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青春ブタ野郎シリーズ

鴨志田一の青春ブタ野郎シリーズは、TVアニメ『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』の2018年10?12月放映に続き、アニメーション映画『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』が2019年6月劇場公開されたあとはコロナの影響もあってか少し間は空きましたしたが、 2023年6月に『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』、続いて12月に『青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない』が劇場公開された人気のシリーズです。

ここでは、TVアニメ『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』で、峰ヶ原高校制服姿の牧之原翔子さん(CV:水瀬いのり)が七里ヶ浜の海岸で主人公の梓川咲太(CV:石川界人)に唐突に語りかけたセリフ

「知ってますか? 人の目の高さから見える水平線までの距離は4キロメートルなんですよ」

を検証してみたいと思います。

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メートル法

1メートルという長さの単位は、18世紀フランス啓蒙思想を受け地球の大きさを基準に、北極から赤道までの子午線の距離の1千万分の1とされました。

したがって、地球半径を r とすると

2 π r = 4 × 10 7 m
水平線迄の距離

次にここで、目の高さを h 水平線までの直線距離を l とすると、上の図の直角三角形から

l 2 + r 2 = r + h 2
l = 2 r h + h 2
r h
l 2 r h

右上の図の角度 θ

θ = tan -1 l r
θ = l r - 1 3 l r 3 + 1 5 l r 5 - 1 7 l r 7 + ...

r l から、上のマクローリン展開式の第2項以降をネグれば

r θ l 2 r h = 4 × 10 7 π h = 2 × 10 3 10 π h

水平線までの距離が 4キロメートルとなる目の高さ h

h = 4 × 10 3 2 × 10 3 2 × π 10 = 1.26 m

小柄な女性でも 4キロメートル先までは見渡せそうです。

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一里≒4km ?

Youtubeの『劇場アニメ「青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない」本編冒頭映像|12月1日(金)公開』に

小学生の桜島麻衣(CV:瀬戸麻沙美)「ここどこですか?」
梓川咲太(CV:石川界人)「知らないおじさんとは話してはいけないんじゃなかったっけ?」
小学生の桜島麻衣「もういいです」
梓川咲太「七里ヶ浜です」「実際は一里もない七里ヶ浜」

というやり取りがあります。

検索すると七里ヶ浜の七里については諸説あるようですが、人の目の高さから見える水平線までの距離を必ずしも一里とは言えないかもしれません。

2024年1月現在、世界遺産登録申請中の『佐渡島の金山』の鉱山町相川の沖に一里島灯標(通称一里島灯台)があります。 欅坂46→櫻坂46になった初シングルのMV 櫻坂46 『Nobody's fault』*1 の冒頭0:05?0:08に中央から左に移動しながら写っているのが一里島灯標です。

欅坂46のMVでも分かるように海岸から見ると水平線よりも少し手前に見えます。 Googleマップで確認するとMV撮影地点(大間港跡)が一里島灯台との最短距離で約1.4km、相川湾の奥(相川下戸付近)からが約2.0km、相川湾の西端(春日崎)からは約1.75kmで、どこの海岸からも4kmはありません。

この佐渡島へ渡る手段は現状、佐渡汽船のカーフェリーか高速水中翼船のジェットフォイルしかありません。ジェットフォイルの速度はkm/hで表記されることが多いのですが、通常船舶の速度の単位はノットで、1ノットは1時間に1海里進む速さです。また1海里*2はメートルと同じく地球の大きさ決められていて 1.852kmです。断定はできませんが、一里島灯台の一里を1海里と考えれば異論のない距離ではあります。

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標高が高ければ遠くまで見渡せます

MV撮影ポイントの大間港跡から相川金銀山を越えて大佐渡スカイラインを登った標高850メートル付近に大佐渡スカイライン展望台があります。850mの標高から見える水平線までの距離は

l 2 × 10 3 10 π × 850 104 × 10 3 m

大佐渡スカイライン展望台の大佐渡スカイラインパノラママップには飯豊連峰、角田山、弥彦山、守門岳、八海山、谷川岳、米山、妙高山、北アルプスが描かれており条件が良ければこれらの山々を見渡せるらしいです。

Googleマップで大佐渡スカイライン展望台からパノラママップにある山々の山頂までの距離を測定してみました。
また山頂の標高の目視可能な水平線までの距離も計算してみました。

 
山岳名 展望台からの直線距離
(Googleマップで計測)
山頂の標高 山頂から目視可能な水平線までの距離
(山頂の標高からの計算値)
大日岳(飯豊連峰) 122 km 2,128 m 164.6 km
角田山 56 km 482 m 78.3 km
弥彦山 60 km 634 m 89.8 km
守門岳 106 km 1,537 m 139.9 km
八海山 124 km 1,778 m 150.5 km
谷川岳 149 km 1,977 m 158.7 km
米山 89 km 992 m 112.4 km
妙高山 132 km 2,454 m 176.8 km
白馬岳(北アルプス) 154 km 2,932 m 193.2 km
黒峰城跡(能登半島) 123 km 436 m 74.5 km

上の表では、おまけの黒峰城跡(能登半島)を除き、Googleマップで計測よりも山頂の標高からの計算値の方が大きく、大佐渡スカイライン展望台とパノラママップ山々の間に邪魔するものがない限り、条件さえ良ければ十分目視可能なことが分かります。

能登半島は距離的に見えそうな感じがしますが、大佐渡スカイライン展望台からGoogleマップで計測では能登半島東端でも105km程度あり、標高850mの展望台からであっても能登の海岸線は臨めないでしょう。 黒峰城跡は能登半島の東側では比較的標高がありますが、佐渡最西端の沢崎鼻灯台まではGoogleマップで計測で101.4kmなので黒峰城跡からも佐渡の海岸線は臨めません。佐渡最西端の沢崎鼻灯台は海岸段丘上にあり、海面から灯火までの高さは41.3mもあります。この高さからの水平線までの距離は22.9kmですが

74.5 km + 22.9 km < 101.4 km

残念ながら黒峰城跡からは沢崎鼻灯台の明かりは見ることはできないでしょう。

次に大佐渡スカイライン展望台から黒峰城跡が見えるかですが、

74.5 km + 104.0 km > 123 km

数値としては見えそうなのですが、大佐渡スカイライン展望台からの方角が相川湾を臨む方向なので大佐渡の稜線が邪魔をして水平線が見えず能登半島を見渡すことはできない気がします。数値としては十分なので、逆に黒峰城跡からは佐渡の海岸線は無理ですが、大佐渡の山々は確実に見えるはずです。

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