クイズ

 

呼ばれない理由 2019/7/21()

・昨日の問題。「駅弁当」の旧字体、間違ってなかった?「弁」の旧字体はいくつかあるが、「弁当」の場合は「辨」のはず。漢字検定1級程度の知識が必要な話なので、スタッフが間違ってもしかたないか。

・こういう憎まれ口ばかり書くから呼ばれないんだよなあ。


誰もが自分を愛しているだけの悲しいゲームさ 2019/7/17()

・私が危惧するのは、クイズというものが既出問題を暗記しまくるだけのゲームに成り下がることではない。解答者の意識など知ったことでは無い。既出問題を手本として(たとえばこういうところを見たりして)、「こういうのがクイズ問題として適切だよね」と無言のうちに確認し合い、類題を作成し出題し合うだけのゲームになることの方を強く懸念する。

・「こういうのがクイズ問題として適切だよね」という意識は、簡単に「こういうことさえ聞いておけば、クイズとして成立するよね」という意識に転化しうる。例えば「世界遺産の説明文」とか「元素の発見の経緯」とか(他にもいくらでもあるが)を、ネタ本から引き写せばクイズができたような気になる。かくてクイズ作成がどんどん安易に堕していくが、そういう「クイズ問題のようなもの」に正解することで満足を得る人が多いわけだから、仕方ないのだろう。新聞等に月並俳句(=よくある発想の俳句)が投稿されまくっているのを見るにつけ、人々は「のようなもの」を「制作」する趣味を持つことが多いのだろうと感じている。


今日か〜ら君は〜た〜だの〜お〜んな〜 2019/7/1()

・フリートークも狂気のオープニングもなくなった「ガキの使い」をなぜ見続けているかというと、それはそれなりに他のバラエティーよりは独自性を出しているし、数か月に1回本気で笑わせてくれるから(最近では謝罪会見)である。そりゃあ、行ったことのない街に行くロケとか、雑学を言い合うロケとか、それだけで見る気が失せる企画が無いわけでもないが、概して「見てて損した」という気分にはならない。

・もちろん、私が好きだった「ガキの使い」は昔の「ガキの使い」だ。私の中では、昔の「ガキの使い」と今の「ガキの使い」は、テイストは似ているけど別の番組だと思っている。そう思えば、今の「ガキの使い」にも、充分満足できる。同じ番組だと思うから、不満が出てくるのだ。

・結論。「99人の壁」も、私が出たときと違う番組になったんだと思えば、まあそれなりに面白く見られるんじゃないかな。そう思うことにしよう・・・無理か。せめて「99人の壁」の独自性を壊さない方向での変化ならいいんだけどなあ。

・何処が違う番組になってしまったかというと、分単位で視聴率を計算して作るような、単なる普通の雑学系クイズ番組になってしまったんですね。確かに視聴率を細かく刻むという点では、工夫がたっぷりとなされているかもしれないけど。

・秋田県にいる自分が参加したり、福岡県にいるユウイチが参加したりしている関係で、どうしても地方からの参加者に同情的な目線で見てしまう。で、「せっかく福岡予選とか仙台予選とかやっても、遠くから通う人間はいなくなるよな」と思ってしまうのである。もしいまだに私が収録に通ってたら、途中でブチ切れて「東京近郊の人達だけでよろしくやってればいいんじゃないの?」とか言って、もうずっと辞退ですな。

・追伸その1 いろいろ考えて、このブログは7月以降何処かのタイミングで「はてなブログ」に移行する予定です。ツイッターはやりません。あしからず。

・追伸その2 ボタンチェックの後に拍手するのをこないだ初めて見ました。私はしませんでしたが。


R100 2019/6/21()

・諸先輩方に甘やかされて育ってしまったせいか、私のスタンスは「自分の作りたい問題を作りたいだけ作って、出題したいだけ出題する」というものになってしまった。よく言えば貴族的、悪く言えば超ワガママ。

・ということで、誰が楽しむのか分かりませんが、ボツ問題をアップしておきます。


溜飲は下げるな 2019/6/20()

TQC11期の方々については私も述べたいことがたくさんあるが、それは次の機会に。仙台への週末の遠征を控え(クイズではない)、超多忙。

・一応断っておくが、前の記事は決して競技クイズを批判する意図があってのものではない。競技クイズというものは、人間を不遜な方向に変えてしまう可能性を孕んでいるかもしれないから気をつけようね、ということを述べたものである。特に中高生は気をつけた方が良いかな。

・あるクイズ番組に出たとき、前室(参加者が割と多いクイズ番組だったので、かなり大きい部屋だった)の入口付近で、なぜか早押しクイズをしている高校生っぽい集団がいた。クイズ好きの一人として、こういう風景は見たくなかった。ここはあなたたちの遊び場ではない。仕事柄高校生を見る目線が厳しいから、どうしても目くじらをたててしまう。競技クイズを部活にしたら、顧問や先輩の厳しい指導により、そういう迷惑な人達がいなくなるのだろうか? いや、無理かな。

・またボツ問がたまってきた。その中でも発表できそうな問題が50問たまるごとに発表する予定。


それは愛ではない(中島みゆき) 2019/6/18()

・私自身は、クイズ問題を出題して「そんなのクイズじゃない」と言われたり、出題中に露骨にやる気のない態度に出られたりしたことがないので、いまいち憤りを完全には共有できないでいるのが、非常に歯がゆいのである。

・それは私が問題を出題してきた環境に起因する者であり、決して私の出す問題が万人に受け入れられているからではない。自分で言うのもアレだが、私の問題は世間の大部分のクイズ好きの欲求を満たすようなものだとは思っていない。何処が一番問題かというと、ジャンルですね。

・だいいち、「99人の壁」と言いながら、実質15人くらいしか壁になりそうな人がいないジャンルで100万円獲得した「あいつうまいことやりやがったグランドスラマー」だ。スポーツは見ないし、アニメやゲームやアイドルにも明るくないし、ベストセラーの作者も書き出しも覚える気がないし、クイズ問題集を1日に2冊読んでいるわけでもないし、まあ世間の大部分のクイズ好きが好きな問題を作る条件が全くない。

・もっとも、世間のクイズ好きが、本当にクイズ全般を好きなのかは私には分からない。私は目の前で見たことが無いから「ほんまかいな」と思ってしまうのだが、こっちがクイズだと思って出題したものに対し「そんなのクイズじゃない」という不遜な態度を、本当にとれるものなのか(そんなの難しすぎるよ、なら百歩譲って理解できる)。もちろん、物事には程度問題というものがあるから、「赤信号みんなで渡れば怖くない」に対して「そんなの俳句じゃない」と言っても良いような気がするし、「花子さんが八百屋に行きました。さて、何でしょう」に対しては「そんなのクイズじゃない」と言っても良いと思う。だがしかし。

・まあ、私らおっさんの問題を見て「こんなのクイズじゃない」と思うのは勝手だが、それを平気で口にする不遜さはアウトだわな(そういう人が本当にいるとした場合)。競技クイズなる概念に基づいて、オープンと呼ばれる大会を頂点としたピラミッドに登ろうとする、という現在支配的なシステムに、もしかしたら排他性とか蔑視性とか自己正当化とか自意識肥大とか、そういう要素が埋め込まれうるのかも知れませんね。それを意識するとしないとでは、趣味としての楽しみ方が大きく違ってくると思う。

この書き込みを見て、「若い頃に相当苦労されたのだろう」と感じた。もしかしたら「クイズに洋楽が出ない=洋楽の問題は出すべきではない=洋楽の問題はクイズ問題ではない」というくらい極端な考えを持ってクイズをしている人が本当にいるのだろうか。だとしたら、なるべくそういう人とは接しないようにしよっと。それしかないもんね。なお私は、こういう文章を16年前に書いております。

・余談。「99人の壁」に一番近いテレビ番組は、多分NHK「のど自慢」。久しぶりに見て、そう感じた。「のど自慢」って、いつ見てもあんなにドキドキする番組って、なかなかないでしょ。


ラッキーチャンスを逃がさないで(これも昭和お笑い史) 2019/6/12()

・「99人の壁」の「イントロ問題」について議論が盛り上がっているようだが、私はあまり盛り上がっていない。なぜか。

・あの問題に解答した「進学校」の人は、ツイッターを見る限り「何て自分は運が無いんだろう」と思っているようだが、そうではない。これだけ物議を醸す問題に正解し、気持ちが盛り上がったところでセンターに立てずそこで終了。きっと今の彼には相当な運が溜まっているに違いない。コンデンサーで言うと、電圧を掛けまくってからすばやく回路のスイッチを切ったような状態だ(敢えて理Tっぽく分かりにくくたとえてみました)。クイズの神様に貸しを作っている状態、と言い換えてもいい。

・彼のチャレンジは、ここで終わるわけにはいかない。この運を放出させないといけない。「イントロ問題」は、新たな伝説の序章に過ぎない。もう一段階、盛り上がりが来るはずだ。全国のクイズバラエティーファン達よ、刮目して待とうではないか!

・・・戯れに異常なトーンで書いてみようかと思ったが、何だかアホらしくなってきたのでここでやめる。いずれ、萩本欽一流に言うと「この人はそうとう運をため込んでいる」。いわゆる「持っている」というヤツである。ここに断言しよう。彼はまだまだ面白いところを見せてくれるはずですよ。ま、不機嫌な顔をやめれば女神もほほえむでしょ。


1問削除しました 2019/6/11()

・日曜のサークルの例会で出題した問題はこちら〜。

・それにしても、「早押しクイズ」というものの持つ魔力はすさまじいものがある。早押し機を製作し供給する集団も増えてきている。私がここに書いたとおりのことが、こんな短期間で起こるとは思わなかった。鶴君のこの予測はさすがに悲観的だろうとは思うが(同時に、彼の正直な実感なのだろうが)、確かにクイズを画一化する装置は25年前に比べて拡大している。「みんはや」はその最たるもの。

・「99人の壁」について、相変わらず様々な意見が散見されるが、ほとんどがクイズ番組としてどうなのかを語っている。だから誰の意見を聞いても、常に私には違和感があった。私は、あの番組をクイズ番組ではなく、バラエティー番組だと思っているのである。当初この番組を評価したのは、見たことが無いバラエティー番組だったからである。既存のクイズに寄せようとしているクイズ番組なら見る気がおこりまへん。


大都会のやさぐれ女 2019/6/9()

・「99人の壁」視聴。いろいろ書きたいことがあるが、いろいろあって眠いので、少しだけ。

・敢えて言うが、あのルール変更、あんまりおもしろくなーい(これについては後述)。あと、最近の編集、臨場感を削いでるような気がしません?

・視聴率が苦しいのだろうか、どうしても数字を意識したルール変更や編集を盛り込もうとしまくって、結果的に臨場感を削いでいるということか。私はあまり評価していないが、「QAR制度」が世間に受け入れられたのは「現場で起きたことをそのまま流すのがテレビだ」という価値観に合っていたからである。今のこの番組、見ていてクイズ会場がどんどん遠ざかっていくイメージが・・・。つーか、最後の3択いります? 二朗さんが視聴者に語りかける姿は、あまり見たくない。100人だけを相手にしてほしい。実況ばかり写すし、とうとうボタンを押した人の名前の紹介もなくなったし、なんかつまんなーい。

・別に自分が関係者だから言うわけではないが、今のところ「99人の壁」の面白さのピークは2月2日放送分あたりだったんじゃないだろうか。現場の雰囲気も伝わるし、問題の魅力も伝わるし、(100万取ったおっさんを除いて)キャラ立ちするチャレンジャーも出まくってたし。

・イントロの問題。ホントにイントロを流して、曲名が略語とか、歌い出しが略語とか、で正式名を答えさせた方がさらにトリッキーだったような気がする。別に偉そうに苦言を呈するつもりもないが、プロの作家なら「このくらい思いついて当然ですよ」というスタンスで語ってほしい気がする。

言及しないわけにいかないでしょう。多分無理ですね(つーか、元のルールでも100回やって40回くらいしか100万円は取れないと思っとります、私ほどの人間でも)。はっきり言って、あんなことされたら集中力は途切れるわな。百歩譲って、すぐファイナルステージをやるなら分かるけどね。99人相手にして3問中2問早押しで正解しろ、って、それクイズマニアを有利にするだけじゃん。

・東京まで行ってやさぐれて帰ってきた男がいるようですが、途中ホントに鬼のような顔をしてましたな。あのルール、今回だけかな?


クイズ100人に聞きました? 2019/5/25()

・「99人の壁」視聴。

・やっぱり最初のチャレンジャーだけクイズで決めるのは、まどろっこしい。一応ちゃんと意見を述べておけば、この番組はチャレンジャーを見るのが面白い番組なんだから、そうじゃないような場面で問題をいくら出しても面白くない。つーか、どうしてもクイズにしたかったら早押し1問だけでいいんじゃないの? これならくじ引きも一切必要ないでしょ。

・QARを絶賛する声が多いが、別に審議を放送しなくていいんじゃない?という声が無いのが不思議。あれをカットすれば、その分1問でも多く問題が見られるんだけどね。ということで、私は別に絶賛しません。

・問題のミスに気付かないで放送してしまったり、放送前に気付いてその問題をカットしたりするのは非常によろしくない。だから、QARという制度はあった方が良い。でもやっぱり放送しなくてもいいかな。どうせツイッターあたりで「実はこの日QARが発動して云々」とかって流れるしね。

・「戦国武将」って簡単に詳しくなれるのかしら? ちなみに私は日本史好きだが、戦国武将に詳しくない。みんなが好きになる分野って、興味がわかないもんで。

・次回からルールが変わるという噂。この人の言うような感じだとすれば、地方からの参加者はリピーターになりづらく、クイズに縁が無い人も諦め始め、最終的に東京近辺のクイズ屋さんだけで100人集めるしか無い・・・というのはさすがに考えすぎか。でも、地方の人が自費で出続けるのが大変なのは確か。ともあれ、みんながみんな、少しずつ「99人の壁」に疲れ始めてるような気が・・・。気のせいかも知れないが。


たかが Rock'n Roll されど Rock'n Roll 2019/5/20()

・論争(風の何か)に巻き込まれるのが面倒くさいので、こういうタイプの記事にコメントをあまりしなかったのだが、行きがかり上ちょっとだけ。

・まあ、私なら問題にしようとすら思わないネタですね。理由はだいたい次のような感じ。

・理由1。どう転んでも(転ばしても)、クイズのために高城氏の名前や写真をチェックした人が圧倒的に有利な問題しか作れそうに無いから。故に「高城靖雄と言う歌手がCMで最後に熱唱する六文字の商品名は何?」も、私なら作らないかな。逆に超早押し勝負になる可能性が高い。百歩譲って、最後の部分を「熱唱する言葉は何・何・何・何・何・何?(あのメロディーで言う)」くらいなら作るかも知れない。いや、作らないか。

・理由2。どうせみんなが作りそうな問題だと分かっている問題を、わざわざ作る趣味は無いから。または、そういう問題を出題するのが、こっぱずかしいから。

・理由3。「ネットなどでみんなが一斉に知り得るような情報」は、クイズにしたくないから。

・このうち、「理由1」は私のクイズ上の価値観や信条に由来するもので、たとえばここに書いてあることと同じ発想。「理由2・3」は、みんなと同じことを同時にするのが嫌だという私の性格に起因している。みんながチェックするような問題を作り、早押しかなんかで出題し、ポイント(=この場合は高城氏のお名前)で押してもらい、正解した人は事前にチェックしていたことを喜ぶ、作成者も自分の作題能力が高いと自認する、クイズって楽しいなあ、どんどんクイズに強くなっているなあ私は、お互いよかったね。そういう流れに与する気は全くない。

・「書き出しだけをクイズのために覚えることを誇る人達」という話もあった。そういう人が周りにいないので何とも言えないが、世間には「あらすじだけでその本の内容を知る。教養を身につけたいビジネスマンにうってつけ!」的な本が山ほど出ている時代だから、そんな人達がいっぱいいても当然だよね。そういうのが嫌なら、そういう人には正解できない問題を出せばいいだけのこと(鶴君と同意見)。例えば最新の芥川賞受賞作を大会のために覚える人は、みんなその作品を読んでるわけじゃないでしょ。

・考えてみれば、問題集を読み込んで勉強している人達がやっていることは、「書き出しをクイズのために覚える」のと何ら変わりが無い。そうやって正解したことを誇らしげにツイートする人達も多いようだ。なぜ読書についてだけ目くじらを立てるのか、よくわからない。

・私なんかからすれば、逆に「この知識はクイズじゃ無いところで覚えたのだ」ということを、やたらと誇っている人に違和感を感じる。いや、普通の会話なら別にいいんですけど、度を超してそればっかりとりわけ強調したがる人って、なんか自慢気なんだよなあ。別にクイズに正解することも、クイズに強いことも、決して自慢するようなことじゃないのに。

・クイズというのは、出題された内容に関する経験が無くても正解できることがあるし、造詣が深くても正解できないことがある。そういう理不尽な遊びだ、それだけのことです。「たかがクイズ」にムキにならないようにしようね、というのが私の基本的なスタンス。


それでは、関係者の方ですか、関係者の方ですか。 2019/5/13()

・今日は非常に不親切な文章を書いてみたい。ツイッターをやっていない(=いちいち他人の文章を読んだりフォローするのが面倒くさい)ので、関係者向けにまとめていろいろフォローを。めんどくさいんで、何をフォローしているかは、分かる人だけが分かればいい、そんな日もあります。何らつながりの無い文章ばかり、そんな日ばかりです。

・「語源」を問う問題について。「インプット=アウトプット」のゲームという側面に加え、「生活の延長線上ではなく、クイズの勉強線上にしかない知識」という側面を、良く表していると思う。語源問題といえば、アラビア語語源とされる星の名前がやたら多い(全然覚えてないけど)。星の名前もごく一部を除けば、クイズでしか知り得ないものが多いわね。

・チェッカーズのイントロは一通り私も対策していた。チェッカーズ対策問題も当然作っており、昭和お笑いつながりで「ONE NIGHT GIGOLO」とか、「矢島工務店」(昭和じゃないけど)とかマークしていた。さすがにトップテンのしいたけ(よく総集編で放送されていた)までは考えてなかった。

・イントロと言えば、安室もチェックしたり、「雨の嵐山」をチェックしたり、「赤い鳥逃げた」と「ミ・アモーレ」の違いを聞き比べようとしたり(結局不可能だった)、まあいろいろやった。

・私は伊達眼鏡では無くマジ眼鏡だが、場所によってはモニターが本当に見づらかった。痛恨だったのは「ムード歌謡」ジャンルで、ビジュアルで赤いハンカチそのものが映し出されたとき、赤いクリアファイルと見間違えてしまったこと。

・マジメな話、99人の壁の出場者に対するツイートで、マイナスなものってほとんど目にしない。実に気分が良い。私もなかなか怪しそうな人物なので、家人はネット上で炎上するのでは無いかと心配していたが、世間の声は必要以上に温かかった。私は非常に極めて疑い深いので、真に受けてないけど。

・バカ押しするな、というような注意は、私が参加した3回ともずっとありました。ADみたいな人(今回一瞬写っていた)が必ず言っていた。これに関して私が見た例では、5問目で某芸能人が全然分からないのに超早押しして誤答、その後ボタンの叩き合いになってブロックされたことがあった(チャレンジャーも分かっていたのに)。これはいくらなんでも可哀想だと思ったが、チャレンジャーはそれについて何ら弁明せず、放送上も某芸能人の件がカット。・・・あの場合仕方ないか。

・一応言っておきますが、私は武田真治、結構好きですよ。ハイテンションに出ないかのぅ。


メガネは男を三分上げる(わけでもないようですね) 2019/5/12()

・99人の壁、視聴。編集は試行錯誤中なのだろうか。いまどきのテレビ番組ではしかたないことかもしれないが、詰め込みすぎで見ていてやや疲れた。以前出ていたチャレンジャーが再チャレンジするのは、せめて1年位経ってからが良いのでは(アタックのように縛りを掛けるとか)。あと、最初のチャレンジャー、やっぱくじ引きでいいんじゃない?

・「きのこ」の5問め、あの問題だとブロッカーが有利だという意見が散見される。「順番が決まっている名数問題は、最後のものが答えになる」というクイズの「セオリー」通りの出題だから、クイズ屋(というより、早押しをほんの少しだけかじったクイズ好き)が有利になってしまう、という意見なら分からないでもない。

・チャレンジャーが圧倒的不利になってしまった状況として、私が見た(そんな他人事みたいに)例では、「これは何処の国の〇〇でしょう」という問題で、ブロッカーがよく分からないのにカンで押しまくり、数人が誤答を続けた挙げ句、どっかのおっさんがさらっと正解してしまった。しかもそれが1問目だったから、それはそれは可哀想なことでした。

・誰かがカンで超早押しをした瞬間、どんな問題もチャレンジャー不利に流れる(難しい問題だったら別だが)。でも、それもクイズだから仕方が無い。「イタリア語で『私をいい気持ちに』」などというフリの問題だって、クイズ屋(というより、早押しをほんの少しだけかじったクイズ好き)が複数いれば、たとえチャレンジャーがクイズ屋(というより、早押しをほんの少しだけかじったクイズ好き)だとしても、やっぱチャレンジャー不利になる。同じところで同じようにボタンを押す人の集まりになるからね、解答権が来るかどうかは神のみぞ知る。第4問〜第5問で難易度押さえ気味の問題が出れば、大体それに近い状況になる。

・つーか、チャレンジャーが圧倒的不利な状況なのに5問正解することを目指すのがこの番組なんだから、それで別にいいんじゃないの? その「不利な状況」にいろいろあるというだけで。私が言うと説得力ある・・・わけでもないか。「分かりもしないのに押すな」とかいう意見も聞かれるが、ペナルティーのリスクを負って押しているわけだから、別にいいんじゃないの?

・ブロッカーの誤答は3局休みというペナルティーが与えられる。収録時間等を考えると、このペナルティーはなかなか厳しい(とはいえ、実際は自分が立てない局も多いわけだから、あまり気にせずガンガン押した方が良いとは思う)。このことから、収録の前半は比較的ブロッカーが慎重であり、後半はガンガン押してくる状況がある。だから100万円は収録前半に出やすいよね。・・・ということは以前も書いたっけ。

・それにしても、あれだけ楽しげな現場で、よくもまああれほどの表情でいられるものだと、逆に感心しきり。なかなかできることではない。うちの家族も「この人あやしい」と、しっかり正鵠を射ていた。名物キャラへの道、まっしぐら。

・やっぱ「99人の壁」は私に合っている番組らしく、「立川不二身」の問題はここに出している(ちなみに、「昭和お笑い史」研究として、立川流Bコースの高座名は一通り覚えている)し、「四星球」はここに出ている。もっとも、「ティラミス」の問題は全くノーマークだったけど。


次回予告を見た感想がどこかに混じっています 2019/4/27()

99人の壁、視聴。おもしろいんだけど、私は病的に飽きっぽいので、2時間は飽きてしまった。そらQさま!見ないわけだ。

・業務連絡。私はブロッカーとして6回解答権を得たが、最後までボタンの押し方は分からなかった。結局、人差し指と中指で連打したのが一番良かったかな。自分に解答権がないとき、よく解答権を得る人の押し方を観察したが、さほど意味なかった。むしろ「押し切る」という意識を強く持つ方がいいと思う。で、本気でひたすら押しまくること。つーか、もっとにこやかにできんか?

・くじ引き、やたら女性、しかもキャラ立ちする女性に当たるような気がするのは気のせいでしょう。うん。

・このところやたら「平成最後」だの、「次に会うときは令(以下略)」だのという挨拶を耳にする。このことと、数年来クイズについて考えてたことが非常に関連するのだが、明日遠征(クイズではない)で4時起きなので、また今度。


きも〜ろ〜!すくらんぶるよ〜! 2019/4/20()

・いろいろ忙しく、リアルタイム視聴しなかった番組が多いので、コメントするタイミングを失っていましたが。

・「99人の壁」、ここまで来ると、さすがに「他のジャンルとの重なりを意識して出題している」と言わざるを得ないように思う。偶然、にしてはできすぎている。問題を作る段では意識しなくても、出題問題を選定する段階では意識していると思う。あまり意識しすぎると、クイズの神(っているのか?)は逃げていくような気がしないでもない。

・例えば、難読国名を出題したら、何故か昭和お笑い史のおっさんが正解した。実は国語の教員(が一般的に難読国名に詳しいかは別として)だった。偶然だったなあ、というのはホントに偶然だけどね。

・今回はやや編集が間延びしている印象。2本撮りの2本目を2時間にする、という荒技がなせる技か。ブロッカーが誰も答えようとしない問題があったのも、そのせいだろうか(3局休みというペナルティーが重いので)。

・「スクランブルエッグ」の問題は、自信を持って「Yesterday」と私も答えた。やっぱ「スクランブルエッグ」って日本語臭かったので出題しにくいだろう、と。

この記事を読んだ。実は私が最初に出場したとき、木村さん(も初参加だった)は隣にいらしたので、少しだけお話をした。テレビの裏側とかね。「昭和お笑い史ならブロックしたいなー」などとも。収録に参加しまくっている木村さんならではの視点が嬉しい。病的に飽きっぽい私だが、正直言って長時間の収録でも飽きたことがない。ただ参加者のテンションはだんだん上がってくるので、100万取りたかったら早くセンターに立てればラッキーですな。

・つーか、毎週放送したらもうちょっと視聴率がよくなると思うので、2時間スペシャルを2週に分けて放送すれば?

・話は変わって「アタック25」。最近、早押しを少々かじった参加者が、カタギの参加者に混じって圧勝するパターンが何度か見られた。参加者に罪はないが(そりゃ誰だって出たいもの)、やはり見ていてあまり気持ちの良いものではない(ワタシ的にはね)。これだけ「小手先の早押し技術」が磨かれている今の時代、あのような番組に「早押しの技術を磨いた人」を出しちゃうと、番組として成立しないような気がする。アタックのルールは、正解する人がある程度ばらけないと面白くないのだ。かと言って「もしやパーフェクトか?」と思わせてくれるわけでもないし。やっぱCSとか少人数のイベントとかで披露するくらいがちょうどいいのかもね。


ウラジオストクのウラジオストク中学の(以下略) 2019/4/1()

・「ウラ取り」ということについて、考えさせられる事件が立て続けに2件起こったので、個人的なことではあるが記述する。

・ごく一部で話題の「有職読み」の件、私もここで問題を作っている(26問目)ので、張本人の一人と言えようか。

・この問題は2008年の問題。このときは子供が生まれる直前で、東京のクイズの集まりに参加せず、問題だけ送付した記憶がある。だから、私が読み上げていないので、当時どういう反応があったかは分からない。

・今は割とマシになっている(と思う)が、そもそも私の問題作成はウラ取りが甘いような気がしていた。だから、間違いを指摘されることもちょこちょこあった。「有職読み」については、まだ正否の確定していない部分もあるが、不適切な出題と言われても仕方なかろう。デジタル大辞泉に掲載がある、という情報もあるが、私の電子辞書版デジタル大辞泉には掲載がない。古いからだろうか。

・たぶん、何処かで見聞きした用語を、ネットで検索したら見つかったので、ウラが取れたような気がして出題してしまったのだろう。家の書籍をひっくり返しても、「有職読み」という用語が全然出てこないし。辞書にも全然ないし。

・もっとも、辞書に無い用語を出題してはいけない、ということではない。むしろ、辞書に無い用語をいかにクイズに出していくかを考えなければならない。それにはウラ取り上、危険が伴う。

・もう一つの事件は、「王貞治ランニングホームラン事件」である。事件名を聞いても全然意味分からないでしょ。

・発端はこの書き込みを見たことだった。実は全く同じ問題を私は1997年(秋元さんの卒業後)に出題している

・プロのクイズ作家がウラ取りできないものを、なんでおまえが出題してるんだ、と言われそうだ。これは完全に発想が先にあった問題で、調べてみたらランニングホームランがなかった、ということで出題した。で、そのときに資料にしたのは『プロ野球データブック・最新版』(宇佐美徹也・講談社文庫・1995)である。この中に、ホームランの本数と、そのうちランニングホームランが何本かを記述した箇所があった。そこを見た・・・はずなのだが、確認できない。なぜならこの本は今手元にない。古いデータで意味が無いと思い、処分してしまったのだ。もったいない。

・で、私が興味があったのは「この本でウラ取りができたと言えるのか否か」ということである。もっと一般化して言えば、「プロのウラ取りはどの程度までおこなうのか」が知りたい。これだけプロの方がSNSで発信する時代なので、ぜひ教えていただければクイズ界に寄与しまくりかと思われる。

・一方、プロではない一般の人達が仲間内でおこなうクイズについては、プロ基準でなくてもいいのではないのか、という意見を私は持つ。ウラ取りは大事だが、必要以上に拘りすぎない方がいいかな。その上で、他人のクイズ問題が不適切だと思ったら、遠慮無く指摘する、そんな環境ができればいいかな。この辺、異論もあろうと思うので、ぜひご意見伺いたい。

・一連の事件の中で、興味深かったことがもう一つある。市販されている某クイズ王の問題集にも「有職読み」が出題されていたことだ。また、管見の及ぶ限りもう一例、クイズに強くなりたい人向けの電子書籍にも出題例があった。こうしてベタが生まれていくのだなあ。


選手としては卒業します(クイズ界聞き間違いシリーズその1) 2019/3/24()

・クイズ問題をアップしました。今年は1000問作る(=発表できる問題を1000問作って、ちゃんと発表する)ということを言ってしまったので、がんばっている。

・イチロー引退が相当なニュースとなっている。私はどうもスポーツ選手を自分と重ね合わせたりする習慣が無いので、そうとう冷静にニュースを見ていた。

・競技クイズの引退を宣言する人がちらちら出てきているようで、それに対するツイートなども散見される。競技クイズを極めようという努力は、一流アスリートがしている超人的な努力に近いことを目指しているわけだから、何処かで引退を考えるのも必然だろう。イチローのように40代半ばで引退する人もいれば、高校出てすぐ引退する人もいる。まあ、そういうもんだろう。

・殆どのスポーツがそうであるように、競技クイズについても、どうしても年齢に抗えない部分がある(と思うが、経験が無いので想像で書く)。反射神経は鈍るし、だいいち思い出せたはずのものが思い出せず、学生のように練習・勉強の時間も費やせない。いかんともしがたい衰えを強く感じさせる競技だ。

・一方、はじめから競技クイズに向いていない人も存在する。私なんかがその代表だが、アウトプットに時間がかかる、暗記が苦手、地道な作業が苦手、勝負に拘りが持てない、などなど。こういう人が競技クイズを何かの拍子で目指してしまうと、それはそれは哀しいことになるように思う(が、経験が無いので想像で書いている)。

・本当にクイズは、年を取るとダメになってしまう遊びなのだろうか。イチローは「頭を使う野球がどんどんなくなっている」という趣旨のことを述べていた。クイズも同じかもしれない。頭を使わないクイズを別に否定しないが、「みんなが作りそうな・答えそうな問題と答えの組み合わせを覚えて、人より早く押す」という形に、頭を使う部分はかなり少ないのではないか。「知っているかどうか」で勝負が決まるとすれば、クイズ中に頭を使うことはあまりないもんね。

・頭を使う要素を盛り込むことによって、年を取った方が楽しめるようなクイズの方向性を提示することができるのではないか。イチローの引退をぼんやり考えながら、なんかそういうことを強く思った。クイズは、知的な遊びは、知的に成熟した年配の人間にこそ似合うようなものであるべき、だと思いたい。

・だから、何度でも言うが、クイズを「スポーツ」とか「競技」とか「知識の格闘技」とか、そういう勝敗に拘るような文脈で語るのは、そろそろやめてもいいのではないか? 早押しと暗記が苦手で、世事に疎いおっさんは、そんなことを考えるわけです。


結成20周年を記念して、2009年「20」というアルバムを出したバンドは? 2019/3/16()

・一時期「標高押し」なる言葉が流行したことがあった。クイズ問題の冒頭が「標高は〇〇m。」ではじまったり、「最高峰は標高〇〇mのナンチャラ山。」とか、そんな問題。

・早押しポイントが標高の数字になる、という意味で、クイズ屋が覚えなければいけない事項を一気に増やしたと言えるジャンルだ。他にも、原子番号押しとか、年代からノーベル賞受賞者を答えるような押し方とか、数字がポイントになるパターンの問題は、なんぼでもあるようだ。まあ、そこにポイントが来るような問題を作るんだったら、「標高が7952mの山は何?」「原子番号が76の元素は何?」という問題で良いよね。と、それはともかく。

・クイズ問題が早押しというものを重視するあまり、ポイントを重視・強調する問題文構成になったことで、クイズ問題のもつそこはかとない「おもしろみ」というものは、失われつつあるように思う。面白いのは「競技性」であって、問題文そのものではない。そんな声なき声の価値観が聞こえてくるようだ。

・ところが、「ポイント」という観点とは全く違う発想で、数字を織り込んだ問題を見つけた。言わずと知れたここの問題群である。問題文にスパイスを効かせるような数字の使い方が実に泣かせる。問題は鶴君の言うとおり難しいが(Q2しか分からなかった)、別にいいのだ。大事なのは、問題文をオシャレに決めていること。是非玩味されたい。

・99人の壁視聴。芸能人がセンターに立ちまくるより、やっぱ一般人が多い方がいいかな。ただ、やっぱ既視感のあるセンターステージばかりなのは、ちょっとね。

・一応私も一家言ある「超難読漢字」。たかがクイズ番組なんだからそこまで目くじらを立てなくてもいいのだが、「びあん」と「たいと」はいまだかつて漢和辞典に掲載されたことがない漢字なので、出題するのもどうなんだろーなー、と思ったりもする。ちなみに私が「たいと」の字を知ったのは高校3年のとき、古書店で購入した『難読姓氏辞典』(東京堂出版)に掲載されていたからであった。あまりにも幽霊名字が多い本だったので、手放してしまって今は持ってない。要は、あんなの漢字と言えるのか?という疑問ですね。たかがクイズだから、別にいいけど。

・ま、実際に無いけど漢字雑学系で良く目にするおもしろ(いか?)難読字といえば、「びあん」か「たいと」くらいしかないからね(あとは「おおいちざ」くらいか)。いわば難読漢字ベタ。クイズ好きで押し合って、押し勝ったんだからお見事。


再チャレンジ社会到来! 2019/3/13()

・二度と自分から応募することのない「99人の壁」だから別にいいのだが、ペア大会、なんか最終回にありがちな「記憶に残るチャレンジャー大会」っぽい。まあ、たまにはこういうお祭りもありか。ホントにありか?

・一方で、なかなか呼ばれないとやきもきしている人も。特別感がある回には行かない方が良いものよ。対策できる時間は長い方がいい。

・本ブログはおいでやす小田さんとマツモトクラブさんを応援しています。だからどうでもいいのですが、あんまり優勝者を天才天才と持ち上げるのはいかがなものか。

・若い子を天才と持ち上げるときは、大人の下心が隠れているものだ。クイズ(風の)番組で嫌という程見てきたでしょ。

・フジ系列なのに、博多華丸さんは二冠と呼ばないのね。自己否定なのか、関テレの意地なのか。


運が悪けりゃ死ぬだけさ 2019/3/4()

・「99人の壁」視聴。久々に一視聴者として客観的に見ることができた。

・今回は「算数」の彼の超早押しなどにより、麻雀で言う「荒れ場」(=みんなが超早押しをして自滅したり、たまに正解したりする状況)であったような気がする。私も以前書いたが、「ヤマを張る」「他人のジャンルの対策をする」が戦略として確立してきた中で、問題作成スタッフがそれをどう乗り越えるかがここからの見所であろう(などとプレッシャーかけたりして)。

・今回で言うと、「モンブラン=白い山」はクイズ研の餌食にするための問題としか言いようがない。あれをクイズ研より早く押せる一般人がいるとは、とうてい思えない。一方で「調布市」の問題は、明らかに「境港市」を誘っているから、クイズ研が引っかかる可能性大の問題と言えよう。なお、私はかつて「水木しげる記念館があるのは境港市。では鬼太郎茶屋があるのは東京都何市?」という問題を作ったことがある(たぶん未出題)。

・まあ、「荒れ場」を見せたい、という演出なら今のままで良いと思うが、視聴者が見たいのはそれなのだろうか? よく分からん。ともあれ、クイズ研を出しまくって荒れ場になりまくってつまんなくなった一時期のアタック25のようにならないことを祈る。

・くじで選ばれたとはいえ、「妖怪」の方の戦いぶりは圧巻。勝負は4問目で決まっていた。私の4問目でも説明したが、自分が本当に詳しいことで、対策をしまくってきたことで、かつ無心でクイズに臨めている場合、他の人より「確定ポイント」が早くなる現象が起きる、のかもしれない。私は絶対に「ざしきわらし」だと思ったけどね(大昔「二戸市」を問題にしたことはある)。「ゾーン」というより、たまたま正解しただけなのかもしれない。もちろん私の場合も。

・100万取るのに必要なのは、クイズの実力なんかではなく、問題の巡り合わせと、運と、度胸と、何をジャンルにしたか。一言で言えば「たまたま」。それに尽きる。「どう頑張っても5問正解するの無理だよな」というセットも結構あったしね。結局運じゃん! でも、残念ですが、クイズなんてそんなもんなんですね。


ジャンル=キャッチフレーズなんですよ(日本ポップス伝より) 2019/2/25()

・このところの「99人の壁」バブルが終わり、やっと訪問者の数が落ち着いてきた。なので、やや硬質な話。別に、巷間激しく言い合われているような議論に与するつもりはない、ということは付け加えておく。だって別にクイズの世界を広げないから、どうでもいいんだもん。

・クイズに限らず、将棋でも野球でも、「競技」として「最高峰」を演じるような世界と、愛好家がぼちぼちやっている世界と、両方が共存している。しかし、クイズの場合と、他の場合とは相当に事情が違っている。クイズの場合はプロとしてお金をもらっていない、というような話ではない。

・将棋でも野球でも、愛好家の世界は基本的に「競技」としての「最高峰」より下部のもの、という位置づけである。これは相当に明確な位置づけだと言える。微差はあれど、「最高峰」のやり方を後追いするのが基本的なスタンスである。

・一方クイズにとって、「最高峰」というものは存在しない。いわゆる「競技クイズ」はクイズの1カテゴリーに過ぎない。「最高峰」っぽい場面設定をすることはいくらでも可能だろうが(全国から集めた体にしたり、それっぽい団体が主催している体にしたり)、たとえば「競技クイズ」の作法が遍くクイズに行き渡るわけではない。現に、すべてのクイズが競技クイズ化している、とは別に言えない状況でしょ。

・だから、「競技クイズ」だけがクイズ文化の担い手になるわけではない。サークルのちょっとしたクイズでも、ネットにひっそり掲載する個人的なクイズでも、クイズ文化を芳醇にするのに役立つ。このことは、はっきりさせておきたいと思う。オリジナリティのあるすべてのクイズ(問題でも形式でもルールでも)が、クイズ文化を一歩進める原動力になり得るのだ。

・「競技クイズ」をあがめる必要も、価値が高いものと持ち上げる必要もない。自分のクイズを卑下する必要もない。目の前の人を面白がらせたら、それが正しいクイズなんだろうと思う。究極は「俺のクイズ」というジャンルができたら理想だが、そこまでオリジナリティーは生活すべてをクイズ作成に捧げないと作れないだろう。

・実は、競技クイズで勝つことより、人を面白がらせる方が難しいことだったりして。「俺はクイズで人を楽しませたことがない!」とか言ってクイズを引退する人が出てきたりして・・・そんなわけないか。


甘口のカレーってなんなんですか? 2019/2/22()

・「QUIZ JAPAN」10、とりあえず読了。さほど激辛批評が思い浮かばないので、甘口批評。

・編集者が少ない状況では仕方ないのだろうが、ちょっと古いインタビューが多いような・・・。この間に日本クイズ協会理事の入れ替えがなくてよかったですね。にしても、HPに掲載したほぼそのままの記事が多く、大枚はたいて購入したお得感が非常に少ない。

・例えば、レギュラー化してからのGRAND SLAM達成者のコメントは全く取れていない。2月中旬発売の本の原稿って11月中旬くらいなのか? せめて「小説イントロ」だけでも掲載できたら良かったのに。

・てことで、興味深いのは田中健一さんのインタビューだけ。もっとも、私は田中さんという人物を全く知らない訳ではないので、「いかにも田中さんのおっしゃいそうなことだなー」と内容を追認する感じ。興味深かったのは、仲野隆也さんとの関係。やっぱクイズ作家が一度は通る人物なのだろうか。

・今号は全体に「クイズの内輪の話は、一般には受け入れられないよ」というメタメッセージを感じる内容となった。視聴率が悪いと言われ続けた「99人の壁」だが、結構みんな面白がって見てるんだよね。ああいう「こざっぱりした」バラエティー番組(クイズ番組、ではない)の需要はあるのだろう。ゴリゴリのクイズ屋(私ではない)が出ても、一切そのことに触れないしね。

・最後にちょっとだけ。秋元さんも触れていたが、ここにある映像は、出演者からすると本当にありがたいものである。一般参加者をヒールにしないように気を遣う方向性を、明確に打ち出しているからだ。

・私は、「99人の壁」という番組なんだから、自分がもうセンターに立つ権利がなくなっても、センターにかわいい子どもが出ていても、ましてや100万円獲った後でも、壁は壁としての役割を演じ続けなければならないと思っているし、少なくとも私はそういうつもりで最後まで気を抜かずクイズし続けていた。

・どうでもいいけど、ウィキペディアの「GRAND SLAM達成者」一覧の備考欄って、放送では知り得ない情報まで書いてあるが、あれって有りなのか? その辺の基準がよく分からん。別に隠しているわけではないが、保育園の保護者など私が東大出という暗い過去(by橋本治)を持っていることを今回初めて知った、という声多数。


愛があれば大丈夫(とは限らない) 2019/2/19()

・「QUIZ JAPAN」の感想を、なんか書かなければいけないような気がするので、まず少しだけ第一弾。

・既にどこかで読んだことのあるような文章が多かったのが残念。

・「99人の壁」特集、出演者の寄稿で良かったのはONE PIECEの人。ジャンルをもっと絞った方がブロックされにくいとアドバイスされたそうだが、プライドでこのまま行ったと言う。誰かと一緒だ。思えばこの方の部屋は番組史上最もジャンル愛が満ちていた(これに比べればウルトラクイズの本が本棚の下の方に見えた、とある漫画のジャンルの方の部屋はそこまででもない)。問題が易しいと言う批判に対しても、ちゃんと自分なりの意見を披瀝してくれた。こう言う人が多いといいなあ。だから、私はカピバラさんをとても応援していました。

・スタッフの方が家に取材しにきたとき、「私なんか大して面白くないですよ」と言ったら、「でも普通のお父さんが、めちゃくちゃ得意なジャンルがあるというのが面白いんだと思いますよ」と言うようなことを言っていた。スタッフにこの認識が共有されているうちは大丈夫でしょう。

・田中さんのインタビューの中で、インタビュアーが「三小田さんがマイエンジェルを手掛けた」と言う趣旨のことを述べている。どこまでが「手掛けた」なのか分からないが、 最初のマイエンジェルについては基本的に問題作成しかしてないはず(ちなみに企画立案者は諸事情でエンディングにも名前が出てこない)。で、三小田さんが関わったのはまだナムコに内定してた時期である。ちなみにそう言う人があと2人問題作成スタッフにいた(クイズ研ではない)。で、それに何故か私と、仕切りのボス、5人で池袋のウィーククリーマンションの一室に篭り、作業していた。

・なお、私が加わったのは三小田さんに誘われたから。にしても、三小田さんが私を選んだ理由は謎である。しかしたいへん貴重な経験だったし、とにかく面白かったので、三小田さんには本当に感謝している。ご本人に言ったことないけど。

・ぜんぜん感想文じゃねーじゃん! スマホからだと打つの面倒なので、また今度。


ジコチューで行こう!(聞いたこと無い曲シリーズその1) 2019/2/18()

・長文ですが一気に。次回「QUIZ JAPAN10」の感想を書く前に、「99人の壁」について整理しておこう。

・で、「99人の壁」。この回は前回(1/19放送分)より分かる問題が多く、カンもかなり当たったので、センターに立てなかったことが非常に悔やまれた。

・思えば最初のチャンスは「スニーカー」であった。ババ抜きサドンデスで、残り3枚になって「ぺよん潤」さんが答えた箇所。このとき、絶対にババは香川照之と踏んでいた。残った3枚のうち、残り2人はそこまで知名度が高くない。知名度が高くない人をババにするのは、クイズ問題的に言って面白くない(だから「水森かおり」ではなく「磯野貴理子」がババになるのだ)。ここで私が押して「小宮山雄飛」を答えれば、たくみさんは「香川照之」で間違うから、センターステージにいける・・・はずだった。この読みは結果的にドンピシャだった。

・だが、この時点では自分のカンに自信が持てなかった。いや、相当な自信はあった。「香川照之」はこの日の問題で2回目の登場だった(1回目何で出たか忘れたが)。そういえば「ボクシング」のときにも出ている。絶対これがババだ。しかも、殆どの人はこの問題、押していなかった。こんなチャンスになぜ押さないのか。私の悪いクセだ。「自分が絶対的に自信があることには、逆に自信を持てなくなる」という考え方のクセのせいで、押すのが遅れたからだ。しかし、このときの強い後悔が、極端に言うと自分のその後のクイズプレーヤー人生における考え方を、大きく変えたと言える。

・しかし、試練は続く。「ぺよん潤」氏は「週刊少年ジャンプ」。さほど得意ではないジャンルだとヤマを張る私は(「餃子」は行ったばかりの「aa」で張っていた)「鳥嶋和彦」で完全に張っていた。ところが、2問目(だったと思う)「東京オリンピックのマスコット審査会のメンバーで」と言う前振りに反応できず、「Drスランプ」まで聞いていたら「西郷隆盛」に押し負けた。あとで見たら「ウィキペディア」にもちゃんと出ていたネタだ。「ぺよん潤」氏は前回にも出ていたから、ジャンプ対策はもっとできたはずだ。このときの強い後悔が、他ジャンルの対策を激化させた。

・西郷隆盛は苦手だったし、そもそも同じ壁の人だったからブロックできないよなーと思っていたら、運命の4問目。ここでまさかの超易問。普通に押し負けた。このとき、難易度なんか意識してたら負けるよ、とはっきり悟った。普段難易度がばらばらな問題群を作っている自分には、有利なのかもね。

・そしたら「ムード歌謡」ですよ。答える気満々。答える権利のない1問目は予想通りの問題。で、運命の2問目。イントロの押し負け。しかも「ドレミファドン」で死ぬほど出題された(ここにも既に記述している)「別れても好きな人」! まあ、チャレンジャーが正解したからまあいいか、と思ったら運命の3問目(運命ばっかり)。スリーヒント、完全に写真を見間違えて押し負け。ホント画面が見にくい。しかも押し負けた相手が「アタック25」で対戦した「銀行」の落合さん(ここを参照。ご挨拶せずに申し訳ありません)。このときは「今日は無理だな」と完全に観念した。イントロ押し負けは相当ショックだったが、このとき「センターのボタンの方が押し易いから、イントロだったら絶対チャレンジャー有利だよな」とも思った。

・ただ、この日本当に一番悔しかったのは、「マーガレット和田」を思い出せなかったことでしたとさ。

・「インフルエンサー」の問題を押したのは、「自分のカンは本当に正しいのか」をちゃんと確かめたかったからだ。どうせ「乃木坂46」の彼女がこの問題を誤答するとも思えないし、既に収録予定時間を相当過ぎていたので、正解するメリットはさほどない。が、すでに次の収録に頭を切り換えていたので、ここで「カンを頼って行って良い」という自分の中のお墨付きを得たかったのである。まあ、誤答の選択肢として思いつかないものはこれだろう、というカンで正解。ここで得た自信は、「停電!」の超早押しにつながっている、と言えなくもない。

・ということで、この日の不甲斐ないクイズっぷりが、次回収録(前回放送)でグランドスラムにつながったわけでした。オレのカンは絶対的に正しい、と。

・その他いくつか。今回私がカットされた正答は「世界遺産」の「アーヘン大聖堂」。ちなみに前回カットされた正答は「フランス」。何のジャンルかは秘密。


テレビいちゃもん言っちゃうもん(ジャンプばっさり記念) 2019/2/17()

・眠いので少しだけ。

・今回ボタンがついたのは、ワールドカップ、乃木坂46、世界遺産(未放送)。3つとも、一切興味がない。が、正解している。ま、それもクイズという遊びの面白いところ。

・「インフルエンサー」という曲は、聴いたことがない。ただ、自分の感覚が問題作成者と合っているか、確認したかっただけ。ババ抜きで、勘が外れたことはまずないので。この解答で、自分の感覚に完璧な自身がついたのだが、その話は長くなるのでまた今度。

・この回の収録で「餃子」「ムード歌謡」「銀行」と、クイズのスジ者が消えてくれたことが、私のグランドスラムにつながっている可能性は否定できない。ラッキーやね。でも、クイズなんてそんなもんさ。これも詳しくは次回。

・「餃子」5問目、「大谷石」と答えた瞬間、遠くから「あー!」という嘆きの声が確かに聞こえた。あれは絶対正誤判定の人の声だろう。いけませんねぇ。

・にしても、今回はやや盛り込みすぎたせいか、編集がぎこちなかったかな。芸能人がセンター行き過ぎたからね。


番組の途中ですが 2019/2/16()

・私が先程登場したのに対する番組のフォローがなかったので。前回の放送の前に今回の収録は行われております。悪しからず。


考えすぎのコンピューター! 2019/2/16()

・夜は「99人の壁」のことを書く。やっと書ける話がいっぱいあるのよ。だから、とりあえず「頭脳王」についてひとことだけ。

・高校生クイズがあのような状況だったとき、よく「あんなのクイズではない」という声がよく聞こえてきた。あえてそれをもじれば、「あれじゃ単なるクイズじゃん」。今まで以上に頭脳的な要素が少ない。淡々とクイズを出すだけの時間が長く、三倍速で丁度いいというのに同意。

・あと一つだけ。はさみ将棋のコンピュータの声が前近代的なのが、妙におかしかった。演出の行き過ぎ。


佐々木がやったとなぜ言わぬ 2019/2/12()

・「QUIZ JAPAN」最新号に投稿したという「99人の壁」チャレンジャーのツイートが散見される。私は絶妙なタイミングでグランドスラムを達成したため、一切その種の取材や寄稿依頼を受けていない。皮肉でも何でも無く、非常にお互い運が良かったと思う。私なんかに原稿依頼したら、何書くか分からないもんね。

・記事をチラ見した限りにおいては、「好きで仕方が無いことをジャンルにして出場した話」より、「どういう風にジャンルを選んだら番組に出やすいかor100万円獲りやすいか」という方向の話が主になるような懸念がある。そうなっちゃうと、番組の方向性に水を差すことになりかねないのでは、と心配したりして。そうでなくても「やっぱクイズ強いとか、東大生です、とかみたいな強烈なキャラを持った人しか出場できないのかな−」などと、誤った認識がネット上で散見される。もちろん、昔からクイズ番組に出演するには、ある程度キャラ戦略が必要なのは言うまでもない。

・ただ、今はネット社会。番組に出演するための「必勝法」が一気に駆け巡り、みんなが番組出演のため、無理矢理ジャンルを用意して、にわか仕込みの勉強をしまくるようになると、番組の寿命は縮む。

・番組のオーディションでは、いろいろアンケートを書く。二朗さんに渡される個人カードに書いてあるのは、その内容のごく一部である。で、その中に「所属するor過去に所属していたクイズ研は?」みたいな質問があったので、「東大クイズ研」と記した。ところが、私が東大出身であることには一切触れなかった(収録時も触れられていない)。取材VTRの撮り方でも分かるように、いかにそのジャンルへの愛が深いかを強調するのがこの番組の基本線だ。ここがこの番組の演出上唯一のルールだ。そこに私の学歴は関係ない。だから、私は「昭和お笑い史に異常に詳しい単なるおっさん」というキャラとなっている。もちろん本人、その扱いにたいへん満足している。こういう演出が続く限り、番組はぶれない。数字が伸びるかはわかんないけど。

・ところで、番組出演後、同じような質問を複数の人から受けたので、差し障りのない範囲で回答する。一番多かったのは、「あの番組は何本録りなの?」。秋田から普通そんな何回も通わないだろう、ということで訊いてくるようだが、2時間SPは確実に1本録りです。私の出場は3回だが、隔週土曜日収録で、とも午後3時収録開始。収録終了は日によってズレるが、1回目(年明け最初の放送分)は7時30分ころ、2回目(次回放送分)は8時を少し過ぎたころ、3回目(前回放送分)は7時20分ころだったと思う。たぶんスタジオを借りている時間や、出演タレントの都合で決まっているのだろう。

・「オーディションではどんなことするの?」→アンケートを書き、その後面接。私のときは2(スタッフ)対1(私)。アンケートの内容を踏まえた雑談という感じ。オーディションの必勝法はよく分からないが、よほど面白いジャンルを持っている人以外は、喋っていて楽しそうな人を優先して出場させているように思う。だいたい一部の例外を除き、チャレンジャーはみんな陽気だもの。

・「賞金は100万円もらえるの? それとも100万円から税金を引かれた額をもらえるの?」→案外多かった質問。結論から言うと、100万円もらえます。テレビ局から100万円プラス税額が支払われ、源泉引かれて100万円手元に(振り込みだけど)いただけるということです。なお、100万円にブロックボーナスが付いた場合も、5000円プラス税額が支払われ、源泉引かれて5000円いただけます。何でお前がブロックボーナスまで言及できるんだ、という疑問については秘密。なお、賞金に源泉がかかるのは50万円を超えた場合である。

・クイズの賞金の上限が100万円だったころは、100万円から源泉引かれた額がもらえた、という話を聞いたことがあるが、今は200万が上限だから大丈夫なのでしょう。

・ということで、なぜか次の土曜日もちらちら映ると思われます。暇で暇で本当に暇で仕方が無い場合のみ、私を探してみてください。今回が一番見つけづらいです。


こちトラ自腹じゃ! 2019/2/7()

・だいぶ訪問者が落ち着いてきたので、いつもの感じで(激辛で、という意味ではなく)。

・ここに対策問題を掲載したが、どう考えても放送で出題されそうにない問題ばかりだ。今回の5問は、一般の視聴者(さほどお笑いに詳しくない人でも)でも何らかの反応ができるという意味では「良いところを突いている」。作成者の思ったとおりの反応ばかり。「のどごし生の曲って、元ネタがあったんですね」とか「そういえば停電したことがありましたねー」とか。

・こちらの事前の対策としては、「細かいけどさほど面白くない知識」も「細かいけど面白い知識」も「メジャーだけどややこしい知識」も「クイズっぽい知識(今回全く出ませんでしたね)」も、ひたすら整理して頭に入れ直していった。心の中で「これはさすがに出ないだろ」と思う知識ばかりなのだが、

・他にも、4〜5問目の早押し対策として、自分なりの確定ポイントを整理したりもした。直前まで考えていたのが、「紅白帽」か「爪楊枝」が出たら「柳家金語楼」で決まりだが、例えば「小学校でよく使われる(紅白帽)」という前振りで押しても良いものか?ということ。もしあのときのイケイケな雰囲気でこのフリが出されたら、「小学校でよく」くらいで押してたかも。にしても、こういう努力を普段のクイズですれば「強く」なるのだろうが、はっきり言ってめんどくさいよね。

1つだけ前回書き漏らしたことを。私がブロックした「国名漢字」の問題についてである。漢字検定1級で第2外国語が中国語(=中国音で類推できるので、国名漢字に有利)の私としては、こっちでも全然100万円取れそうなジャンルだから、とにかくブロックする気満々。今日1回目の大チャンス! 少しくらい不確実でも勝負するつもりだった。

・で、運命の4問目。国名に多く使われる漢字は「亜」「利」「西」などがあるが、クイズ的には「西」だろうと完全にヤマを張って、「どこか難しめの国」「スイス」「フランス」の順で出ると予想。放送上は「ニュージーランド」「マレーシア」「フランス」がほぼ同時に見えたが、現場では「マレーシア」がまず出て、ややあって「ニュージーランド」が出たところで、気がついたら勝手に指が反応していた。自信なさそうな顔は、「2枚目スイスじゃねーのかよ」という、予想が外れた自分に対する憤りの表れである。現場では気付かなかったが、このときチャレンジャーも押していたようだ。あっぶねー。でも、初めからヤマを張っているヤツの方が強いよね。指が遅い分、ヤマ張りで勝ったというお話でした。

・で、こういう話が。クイズ史の歴史的価値が出ることを見越して、がんばって大枚はたいて購入している。自腹だから、遠慮無く批評はしている。「99人の壁」の紹介は少しだけ楽しみだが、この本で紹介された番組等は、何故かその後しぼんでことが多いんだよなー(こういうこと書くから「激辛」とか言われるっつーの!)。


「もっと難しいの!」(クイズプレーヤーの心の叫びシリーズその1) 2019/2/4()

・「昭和お笑い史」について、「俺ならブロックできたなあ」とか「簡単すぎたんじゃないの」とかお嘆きのあなた! だったらこれはどうだ! ということで、問題を少し放出。当方、ちゃーんと戦前も戦後すぐも演芸ブームも押さえてますわよ。はっきり言って死角無し。

・ちなみに、これらの問題は(掲載しなかったブロック用対策問題も加えて)このサークルで出題されたことを付記しておく(とか言ってサークルを宣伝したりして)。

・「99人の壁」の話は、もったいないので小出しにしていく。今はグランドスラム特需で、訪問者が多すぎる。平常くらいに戻ってから、細々と書いていきたい。それに、どうせ再来週も語ることが出てくるはずなので・・・。

・とか言いながら、どうしてもちょっとだけ。スタッフの方々にも感謝しています。子どもをブロックして100万円ゲットした(だけじゃないけど)私は、下手すると悪者に映るわけですが、そうならないような配慮を随所に感じました。ありがたいことです。

・私は元々、レギュラー化には反対の立場をとっていた。なぜなら、問題作成スタッフの方々の負担が大きすぎることで、どんどん番組が疲弊していくのではないかと思ったからだ。だいたい問題作成という作業は、神経をすり減らすものだ。せっかく問題の難易度バランスが取れてきたと思ったら、今度は正誤判定でいろいろな意見が散見される。SNSは知ったかぶりして他人を批判できるメディアだから、こういうことは今後もどんどん出てくるだろう。問題監修の心労はいかほどばかりか。

・偉そうなことを言わせてもらえば、「99人の壁」の問題作成スタッフには、常に面白い問題を作る人達だという信頼感を私はもっている。この番組を好きな主因は既に書いたが、そもそも良問揃いじゃなければ見ないって。だから、どうしても「昭和お笑い史」、5問とも出題させたかった(だって「面白い問題揃えているんで」って言うんだもん)。カピバラの5問も全部ちゃんと面白かった。たぶん、テレビのクイズの歴史を塗り替えている実感をもって仕事をされていると思う。だからこそ、どうか無理せず、良い意味で「細々と」続けてほしいような気がする。

・芸能人が多く出ることを批判している人が結構いる。確かに、私も「芸能人いいから、一人でも多くチャレンジャー回してよ」と思ったことが一度や二度ではない。番宣じゃん、という批判があるのも分かる。ただ、芸能人の方の存在は、一般人がなるべく非難されないようにするための、一種の防波堤になっているのは事実だ。芸能人をブロックしても、一般人は絶対悪者にならないもんね。

・あー結局長く書いてしまった。明日(っつーか今日)学校行ったら結構めんどくさいだろうなー。


99人の壁!について 2019/2/3()

・ということで、グランドスラムでした。前回もセンターに立てなかった私は、ずっと「押せば取れたよね・・・行かせてはおしまいだ」という福留功男氏のセリフを頭で復唱していた(ウルトラクイズマニアは分かりますね)。私の場合、センターに立つチャンスは、毎回2回くらい巡ってくる。それをきっちりモノにするかどうか。

・確実に100万円取ることを考えると、「昭和お笑い史」というジャンルは漠然としている(=対策しにくい)のは確かだが、逆に漠然としている方が「対策されにくい」とも思う。ともあれ、100万円のために無理して指定したわけではないジャンルで(秋元さんいわく「ストロングスタイル」)勝負したかった。何より、「昭和お笑い史の人」という呼称を私は大変気に入っている。

・で、私の出番だが、「問題が簡単だった」という書き込み多数。「俺ならブロックできた」というコメントも多数。そのことで番組に出てみようかという人が増えるなら、それでよし。クイズは見るより出るべき(本当は、さらにそれより「作るべき」がある)。

・1問目。漫才コンビというのは予想通り。秋元さんから収録後「なぜ順番通りB海原はるか・かなたに行かなかったのか」と聞かれた。その時は「好きな順に答えたから」と答えたが、やっぱりあの場で神経が高ぶっているので(壁からの圧迫感は、正直感じなかった)、正解を言ったつもりでも「海原かける・めぐる」とか間違って答える可能性を、完全に排除することができないような気がしたこともある。意外と1問目の穴埋めで簡単に間違ってしまうチャレンジャーは多い。穴埋めはとにかく確実なものから答えるべきだと思う。ブロッカーを間違わせようなどと余計なことは考えない方がいいのではないか。

・2問目。秋元さんの対策問題でも触れられていたので「みなさんのおかげです」が昭和開始なのは自信を持っていた。ここでブロッカーが「ガキの使い」で間違ったことで、運がこっちに向いてきた。もっとも、この日は最初から自分に風が吹いていることを感じていた。そもそも、ブロックできそうなジャンルがいつもより明らかに多いのだ。かつクイズ屋らしいクイズ屋が全然いない。しかも、相当早い段階で(確か収録開始3〜40分で)センターに立てた。経験上、収録時間の最初の方より、後の方がブロッカーの押しは厳しくなってくるものである。

・3問目。今までの収録では、ことごとくイントロを押し負けてきたのだが、全然負ける気がしない。数年前、古いお笑いに関する曲をmp3で入れまくったCD(タイトルは「Please,Laugh」)を作り、車で聞きまくっているから。しかも「ゲバゲバのテーマ」は、私が「世界三大マーチ」に入れるほど好きで好きで仕方が無い曲なのである(あと2曲は「軍艦マーチ」と「錨を上げて」)。

・そういえば、「正解の基準」という話がちょっと前に盛り上がっていたが、これだって正確には「巨泉・前武ゲバゲバ90分」である。まあ、5問目じゃないから許してくれたのかな?

・4問目。「入間市民会館」「9分半」などいろいろ答えがありうるのによく勝負した、という声が散見された。この押しは伏線がある。

・ここまでの収録で、自分の問題文の先読みや、解答がどの辺に落ち着くかという感覚・勘は、全く間違いないという結論に達していた(これは結局辞退した「ホールドオン」にも感じていた)。特にババ抜きは知らない問題でもほぼ正解できていた。クイズ番組だから、答えの選び方も「より本質的で、かつ面白い単語」に落ち着くだろうと思っていた。で、「停電した、しか答えはあり得ないだろう」とヤマを張っていた。あとは何処で押すかだけだ。

・一般論として言えば、「一度だけ、8時」まで聞けば確定ポイントとなる(=「9分半」の可能性を外せる)。しかし私は「8時」の部分を読ませ押しする感じで押している。なぜここで押したか。全員集合に関する書籍は相当読んでいるが、今まで一度も「『8時だョ!全員集合!』というコールが、一度だけ使われなかったことがある」という記述に、出会ったことがないのである(多分)。だから、「8時だョ!全員集合!」というコールが使われなかった例は他にもある可能性がある(少なくとも、問題作成者がその可能性を排除することはできない)。ただ、そうだとしても「停電」以外の理由を聞いたことは無い(いかりやの代わりに加藤がコールした例はあるけど)。だから、私にとっては「一度だけ」が確定ポイントになっていたのだ。「一度だけ、他のかけ声をしたことがありますが、それはどんなかけ声でしょう」と、続かせることができないということだ。

・で、最終問題。ジュラルミンケースを触ったのは、ここまでさして面白いやりとりができなかったから、ちょっと笑わせようというスケベ心である。今後、5問目にチャレンジする人に流行ればいいと思う。

・5問目。「イントロに前振り無し(by秋元さん)」の言葉通り、ガチ早押し。考える必要もないし、ひっかけを恐れる必要もない。だから、とにかく点いて良かった。押し勝てた理由は、自信があったことと、センター席のボタンの方が圧倒的に押し易いことの2点だろう。

・これを機に、戦前のお笑いとか、戦後すぐのお笑いとか、そういう問題を私に出してくれる人が増えることを祈っております。全然反応できなかった壁のお子たちや若者たち、ごめんなさい。でも私も長い壁生活で、そういう経験いっぱいしてるので。ま、どんなジャンルでも、99人の壁のうち、本当に壁になれる人は4〜5人くらいだろうからね。


僕がテレビ屋サトーです(本棚の愛読書シリーズその1 2019/2/2()

・このところアクセス数がやたら多いので、便乗して書き込みを。また「99人の壁」関係の話。

・「難読駅名」「秘境駅」の2人の楽屋訪問VTRで、2人が二朗さんそっちのけで問題の出し合いをしていた。クイズ的に言って非常に美しい光景であった。少なくとも、既存の問題集で辺り構わず早押し機を広げてはしゃぐ若者の姿より、子供同士で好きなことに関するクイズの出しっこをしている姿の方が、余程クイズの原点であると思った。

・話を変える。以前から度々申し述べているように、私は(クイズ屋ではない)一般の方がクイズをする姿を見るのが好きである。ウルトラクイズが好きな理由もそこにある。

・一般の方のクイズする姿の何処に惹かれるのか。それは「クイズに一問正解することが、どれだけ難しく、また嬉しいことか」を強く感じさせるからだ。「99人の壁」は、そのルールの厳しさや、問題の絶妙なバランスなどで、それを浮き彫りにする。

・「アタック25」で、明らかに不利になる場面でわざわざ正解する人がいる。何故そんな無駄なことをするか。明らかだ。正解できるのが嬉しいからだ。一般の方にとって、テレビでクイズに正解できることは、非日常の嬉し過ぎることに違いない。分かる問題が出ることは、無条件で嬉しいのだ。

・もしかしたらそれは、我々クイズに慣れた人間が、いつか忘れてしまったことなのかもしれない。でも、クイズの原点は、いや、少なくともクイズ番組の原点はそこにある。

・私が「99人の壁」を一押しする理由も、クイズを非日常の楽しいイベントにしている番組だからだ。だって、壁の皆さん、みんな明らかに遊びに来てるもん。でも皮肉とか揶揄とかでなく、それが理想だと思う。みんな本当に楽しそうなのよ。そうやって遊ばせながら場を盛り上げるスタッフの技に、私は古き良き時代から細々と続く、フジテレビのバラエティ番組の矜持を見ているのかもしれない。


おまえを蝋人形にしてやろうか? 2019/2/1()

・まあ私も少しは「99人の壁」の宣伝に寄与せんがために、少しだけ。

・前回の「99人の壁」、北の壁でカメラがずーっとこっちを見ているような気がしたので、私としては割とニコニコしていた、はずであった。ところが、家族から「相撲詳しいのはわかるけどさ、閣下が横綱についてうんちくを述べているとき、後ろで『そのくらい俺も知っているよ』というような無表情で見ているのはいかがなものか」という批評が下った。さすが私の心底を見透かしている。なんか固まったみたいに無表情になってしまうんだよなあ。

・そんな私であるが、2月2日放送分については、収録の回数も重ね、もう少しマシな表情ができているのだろうなあ、と思っていた。ところが、ゆりやん絡みのこういう映像が発表されたので視聴したら愕然とした(35秒くらいから)。何という冷ややかな目つきであることか。会場みんなを大ウケさせたゆりやんを、いくら自分がはまっていないからといってあそこまで冷ややかに見ることはない。「昭和お笑い史」が聞いてあきれるわ。

・ということで、次の放送では33番、長らく「東大イケメン枠」だった席に、なぜか「東大にいたことがあるオッサン」がいるので、暇でしょうがない人で、かつ「仮装大賞」を見る予定がない人は、見てもいいんじゃないでしょうか。

・にしても、裏番組が「仮装大賞」か・・・なるほど。


遊びをせんとや生まれけん 2019/1/21()

・「99人の壁」で検索してこのブログにたどり着いた方もいらっしゃると思うので、少しくらい収録時のお話を。

・難読駅名を秘境駅がブロック返しした美談。あの問題、私も押しているが(映像でも分かるはず)、完全に押し負け。現場で押した人は結構いたはず。まあ、私がブロックしてもドラマにならんわな。ちなみに私は一応漢字検定1級。

・謎解き5問目は、やや可哀想だな、と思ったが、放送では触れていないことなので、どう可哀想かは伏せておこう。ご本人も一切言い訳してないし。

・「99人の壁」は、適度にバラエティーで、適度にクイズなのが妙に心地よい。これだとまさか「結果出せなかったら引退する」とかって悲壮な覚悟をもって臨む人もいないだろうし。仮に100万円取ったって、クイズ強いと自負する必要もなかろう。運良くチャンスをものにできた、というだけのこと。でも、クイズってそういうもんだよね。遊びなんだから。

・そういえば、一つ付け加えておく。このリツイートは、これを踏まえてのことと思われる。大昔の文章であり、舌っ足らずで論理的でなく、やや恥ずかしいので、最近のこっちの文章を紹介しておくことにする。あ、もちろん問題文の途中でスピードが変わる、という読み方も、私は日本語として不自然だと思っていますよ。


予告その2 2019/1/19()

・つーことで、今回の放送では書き割りと変わらなかった私ですが、センターに立たなかったと言うことで、懲りずに次の放送(2/2)にも出るようですので、まあよほど暇な人は見たら良いのではないでしょうか。


予告 2019/1/19()

・本日放送「99人の壁」、壁として出ています。よっぽど暇でしょうがないという人は、探してみてください。


馬鹿が戦車でやってくる 2019/1/12()

・今たまたま読んでいた「昭和バラエティ番組の時代」からの引用。

・「バラエティでも、低レベルのクイズ番組が話題になれば右へならえ。高学歴な出演者を相手にハイレベルで目も眩むような問題をぶつけるクイズ。これが当たると、これまた各局が右にならう」

・さすがに「99人の壁」は、真似しないだろうなあ。無理して馬鹿げだものを作るのが、テレビなんだよなあ。

・ということで、出先なのでスマホから投稿してみました。やっぱパソコンからがいいわ。


クイズの真の普及を願って、自らが作成したクイズ問題(以下略) 2019/1/8()

・とうとうスマホを買ってしまった。今のところ、ツイッターもフェイスブックも始めていないので、探しても無駄です。

・で、重大なことに気付いた。ウチのHPのクイズは、解答を反転させて見るようにしてある。これがスマホだとえらい見づらい。フォントもMS系がないから妙に堅いフォントになってしまい、困ったもんだ。誰でもアクセスしやすいページにしたいので、スマホにもっと気軽に見られるようにちょっとした改変を加えようかな、と思ったりしている。

・ま、もう少し暇になったら、ですが。


アイデン&ティティ 2019/1/3()

・新春である。早々お知らせを。

・かつて「クイズの杜」というページが運営されていた。で、そこに私の問題が相当数掲載されていた。

ここにあるように、「クイズの杜」の問題を「新・一心精進」に移管することに関してどうしますか、というようなメールが届いたので、一応次のようにすることとした。

・まず、「クイズの杜」にある問題は相当古く、現在では出題する意味の無い問題や、確認すると不備のある問題が非常に多い。そのため、ここにあるようにこつこつと改訂作業を進めてきた。不備やら間違いを含む問題をそのままにしとくのもよろしくないからねえ。だからリンクだけ張っていただくのは構いませんが、問題は引き上げさせていただきたい、ということにした。

・と、ここまでが「新・一心精進」にお伝えした理由である。まあ、私の問題はネットでまとまった形にして公開しているわけで、わざわざ会員しか見られない場所に置かなくても良いのかな、と。会員しか見られない情報がある、という状態に対して異議を唱えるつもりは毛頭無いが、私の問題はそういうところに置きたくないということだ。

・ということで、私の問題を見る場合は、私のHPまで。旧クイズの杜以降の問題も2500問以上ここにあるので。もっとも、クイズに良く出る問題の暗記だけをしたい若者や、公衆の面前で迷惑も顧みず早押しクイズをしたい若者などには100%向かない問題群ですが。

・私は、自作問題を完全無償でアクセスできる環境に公開することをもって、クイズ的なアイデンティティーとしている者なのです(自分で明確に意識しているクイズ的立場は、多分その一点だと思います)。もちろんこれは、あくまでも私のアイデンティティーなので、他の人が自作問題をそうしていないことに、何ら異議を唱えるつもりはありません。


新 年乃始乃 波都波流能 家布敷流由伎能 伊夜之家餘其騰(万葉仮名クイズその1) 2018/12/31()

・2018年ももうすぐ終わる。今年を振り返ると、私にしては珍しくクイズづいていた年だなあ、と思う。

TQC35thは田中さんの問題を心より堪能した。基本的に問題の傾向は合わないので(田中さんは旅行好きだしスポーツ好きだし時事好きだし、世事に疎い私と真逆)勝てるとは思っていなかったから、結果には割と満足している。ただ、「クイズでは、拾える問題を落とさない努力がプレーヤーとして重要だ」という当たり前のことを、今更ながら思い知った。

・このとき、鶴君に久しぶりに会った。「東大風とは君のことだ。でも君は東大じゃないから!」は二次会の飲み会で出た私の名言だが、考えてみると彼のように確固とした「作風」を持っているクイズ問題作成者というのは結構貴重だと思う。そんな彼が問題集を上梓した。私は「電子書籍でも作れば良いんじゃない」というようなことを言ったのだが、彼は冊子にした。今なお冊子の方が流通力を持つクイズ界という場所の特殊性に鑑みると、これは非常に意味があることだと思う。しかもタダだし。私はデータでもらっちゃったけどね。ちなみに、私は面倒なので手軽なようで手軽では無いネット公開をしている。親切に電子書籍っぽくもしない。高校生が流しに使えるような問題じゃないから、それでいいと思っている。

・あと7月に、ほんの少しだけクイズの知り合いが増えた。私には非常に珍しいこと。

・自作問題的には、「後ろ姿で誰でしょうクイズ」「モザイクかけて誰でしょうクイズ」の二部作が気に入っている。こういう対策できない問題がやっぱりいいなあ。我らがマンオブチャンピオンは博識だから必ず勝つんだけど。

・時は移り、12月。諸事情あってまだ詳しく書く気になれないが、「拾える問題を落とさない」以上に「取れる問題を人に取られない」とか、「一見戦術が無いように見えて戦術が必要」とか、「やっぱ慣れだよな〜」とか、そういうことを身をもって思い知る出来事があった。こんなにムキになってクイズに向き合ってる時期は、人生でそう無い。少なくとも、結果を出さなくてもクイズを語ってきた自分にとって、プレーヤーとしての自分に向き合っている今年一年は、わりかし貴重な時期だったかも知れない。

・平成はまだ4か月続く。平成の最後を何で飾るか、まだ決まったわけではない。

・とはいえ、大都市近郊に住んでいない自分が、コンスタントにプレーヤーとしてクイズをすることが、どれだけ厳しいことかも思い知った。今回は特別に「公の場」でクイズをしているが、こんなことは今後絶えてなくなるであろう。わざわざ大都市優遇な風潮に、大枚かけて乗る気も無い。そこまでしてやりたいクイズもない。地方格差を埋めるために、私が身銭を切って体力を消耗するのは今回が最後。まあ、私も馴れ合いの雰囲気って嫌いだし。プレーヤーとしての自分を、基本的に重視していないのもあるし。プレーヤーとして頑張ろうと思うと、問題作成もできないし、だいいち読書ができない。つまんないのー。

・と、まるで「ガキの使い大晦日」の予告編みたいに訳の分からない文章で、今年は閉めたいと思います。このところクイズ三昧で疲れたので、少し温泉でゆっくりしてきます。皆様、これといってクイズ番組もないですが、良いお年を。来年は1000問以上作るぞ!


お風呂王って何やねん 2018/12/18()

この問題をせっかくなんでやってみた。国際的な知識とかセンスとかがないのと、「だったらそのままじゃん!」という種類の問題に慣れていないのと、思い出せないのとで、結果は62点。

・最近、昔覚えていたはずの問題が、パッと思い出せなくなっている。こんなことではいつまで経っても・・・。

・全く関係ないが、クイズやってるだけで「クイズ王」って呼ぶのと同じくらい、東大出身を「東大君」って呼ぶのやめてほしい。まあ、東大ってだけで「東大王」と呼ばれる日はついぞ来ないだろうと思うが。


もっとうまく好きと言えたなら 2018/12/3()

・「99人の壁」、ツイッター等で異様な盛り上がりを見せているようで、番組スタッフ的には嬉しくてたまらないのでは?

・みんな、たかがクイズ番組にここまで感情移入できることがすごい。結局、みんなクイズ番組が好きなんですねえ。好きなら好きで、あんまりぐだぐだ言わない方がいいんではないかと。「おまえが言うな」と言われそうだが。

・もちろん、私も「複眼」はちょっとかわいそうかな、と思う。でもまあ、それがクイズバラエティーだからね。

・パラレルについてもいろいろ議論があったようだ。確かにパラレルだとチャレンジャーよりブロッカー有利になりやすいと思う。でもまあ、それがクイズバラエティーだからね。チャレンジャーは、5問目を超早押しするくらいの気持ちで行くしかないんじゃないかな。

・つーか、昔のクイズ番組の方がいろいろ露骨だったと思う。「自分が解答者だったら」と思うといろいろ思うところやら要望やらあるけれど(「幕末」ジャンルで大河ドラマ?とか)、視聴者としては素直に楽しんで見ればいいんじゃないの?

・因みに、森口博子の物まね問題、個人的には牧瀬里穂で張ってたんですが、やっぱものまね王座の映像でしたか。確かに名勝負だったし。このころの森口博子のものまねには勢いと自信があった。まー歌は圧倒的に上手いからなー。霜降り明星みたいなもんか。


あの記事では問題です 2018/11/21()

・AERAのあの記事「では問題です」を読みました。初めて知ったことが多く、たいへん勉強になる。

・たとえば、「ウルトラ」「史上最強」「FNS」をまとめて「3大クイズ王番組」と言われていたことなどは、浅学にして知らなかった。「3大クイズ王番組」で検索をかけても引っかからないところを見ると、よほどディープな専門用語なのでしょう。また、クイズを鑑賞する人が増えた理由が、SNSの発展によるものだというのも初めて知った。

・という皮肉はこの辺にしておく。この記事、記事としてそもそもどうなんだろう? 小見出しのタイミングが悪く、非常に読みづらい。いろいろ盛り込みすぎて散漫な印象、言いたいことが結局何だかよく分からない。事情をそれなりに知っている私ですら、読むのに苦労したのだから一般の人には何処まで内容が伝わっているのだろう? 例えば「競技クイズとは何か」を説明していないし。

・クイズ周りのことを取材し、いろいろな人を紹介されて話を聞いているうちに、もったいないから(=それなりに興味深いから)全部盛り込んじゃった、という典型的な悪パターン。我々学校新聞で特集記事を作るとき(私は新聞部の顧問でもあるのだ)、「単純な問いを立てろ」ということを言う。この記事だったら「特定のクイズプレーヤーを鑑賞する若い女性が多いのはなぜか」という問いがスタートにあるわけだから、その理由を掘り下げていけば良い。そこに、クイズ王番組の歴史などあまり関係ないのではないか。むしろ「アイドルの変質」あたりの話が関連しているような気が。

・「いや、クイズの世界の成熟を分析したい」というのなら、少なくともトップリーガーへのインタビューはいらないよね。「99人の壁」もクイズの世界の成熟を分析するにはやや遠回りになりそうだから、外してもいい(まあ、関連づけた分析はできますけどね)。

・にしても、「長期休暇が取りやすいから公務員」って公言するのって国民の皆さんから見てどうなんですか? アタック30周年とかホールドオンに仕事の都合で参加しなかった公務員としては、非常に違和感がある。「産休がとりやすいから公務員」ってのなら、百歩譲って理解できなくはないが、それだって公言はしないかな。

・クイズ番組とか競技クイズとかを記事にするとき、なんでいちいちクイズの歴史をひもとく必要があるの? 「ももクロ人気」を分析するとき、常にキャンディーズから始めますか?(たまには始めてもいいけど) 今流行っている他のものとの関連を考えたり、取材で観客の心理を深く掘り下げたり、そういう方向では分析できないものでしょうか?

・ひとつだけあまりにも分からない文「個性派ぞろいで有名なウルトラクイズ7位の人も2人参加していた。」って、だから何? 

・あれだけ高校生を(ナントカ甲子園よりも)熱くしているAQLをガン無視しているのもすごい。そういえば、ニュース・博識甲子園に優勝した生徒の調査書には、めでたく優勝したことを書けるようになったのだろうか。後学のために是非教えてほしい。

・結局、私が一番散漫な投稿をしているような気が・・・。


寿命は寿命でも、クイズ寿命です(第11回ハワイ) 2018/11/19()

・いろいろ話題になっている「99人の壁」視聴。思ったことを最低限だけ。

・問題傾向は割に固まってきた感じがあり、第1問から第3問までは穴埋めやらドボンやらで、チャレンジャーに正解させるような感じ。4問目・5問目にクイズっぽい問題を持ってくる感じ。たとえば「マジック史」でガチに5問作れと言われたら、私だと「隅田川浪五郎」は絶対に出さない。

・「カルトQ」と違い、この番組はクイズバラエティーだから、「詳しい人にしか面白みがわかりにくい問題」「答える人のすごさだけを強調する問題」を出す必要は全くない。ただクイズ屋に寄せる問題を出しすぎると、番組の寿命は確実に縮むだろうと思う。その意味で、「沢田研二」はよくできていたと思う(5問目がどうだったか分からないが)。僕なら5問目は「沢田研二が自身の曲『灰とダイヤモンド』を作詞作曲したときのペンネームは何?』にするかな(ちなみにこれは昔作ったボツ問)。

・「小説イントロ」についても、いろいろ思うところあるが、ひとつだけ。「小説イントロ」はあくまでジャンル名だから、「小説イントロ」というジャンルのいろいろなパターンの問題を見たかった。少なくとも後ろ3問が全く同じパターンなのはちょっと残念。


勝ちに不思議の勝ちあり(野村克也の「名言」って多すぎない?) 2018/11/12()

・11/11は例会だったが、完全ビジュアル問題を出題したので、公開は無し。

・今回は珍しく、早押しクイズの戦略的なことを考えながらクイズをした。諸事情あり、「少し突っ込み気味な押し(私の感覚なので、説明しにくい)」とか「いち早く6マル0バツになったら、なるべく2問連続で解答権を取るような押し」とか、いろいろ試してみた。いろいろやったので、だいぶ早押しに慣れ気味。今人生で一番早く押せるかも。つーか、それでもあの程度かよ。

・ただ、やればやるほど、ベタが多い問題群による早押しは、「その日の調子」とか「くじ引きのような問題の巡り合わせ」で決まるような気がしてしまう。それが大学時代、オープン大会とかを目指せなくなった主因だったわけだけど。

・よく「ゾーンに入る」という言葉を使う有力プレーヤーがいるが、本当にそういうのがあるのだろうか。どうも調子がすごくいいことを美化するために使っている用語のような気がしてならない。麻雀で思った通りの牌が来て、思った通りの展開になることが稀にあるが、あんな感じなんじゃないの? まあ、勝った人は何を言っても許されるわな。クイズの場合、羽生結弦と違って、勝って反省することはまず無いだろうから。


ジャーナリズムのかけらもないものを一つあげなさい。 2018/10/16()

・明日(つーか今日)から修学旅行でしばらくネットから離れます。因みに私はスマホを持っていません。

・さて、昨日の内容について反響(?)があったので、もう少し付言しておきたい。まずはここについて。

・私の前回の記事では、ウルトラ13回はその後のクイズ史に影響を与えなかった、と結論づけているが、「史上最強」と相まって、クイズブームを起こすのには当然多大な影響を与えている。中高生がクイズを始めるきっかけになったのは、間違いなかろう。ただ、「クイズ」としては影響を与えていない。特に「クイズ問題の作り方」という影響はほぼ皆無だ。だってウルトラクイズみたいな問題作っている人って今いるの?

・秋元さんの言う「増幅効果」について分析する材料を、私は持っていない。なぜなら秋田では「史上最強」は放送されていないので。ウルトラの第13回と「史上最強」が同時的に、多感な中学2年の私に入ってきていたら、どういう影響を与えていただろうか? 全く想像が付かない。

・昨日の記事を読んで、「QUIZ JAPAN 第7号」収載の、斉藤喜徳氏の寄稿と内容が似ていると思った方がいるかもしれない。似ていると言えば似ているが、決定的に違う点もある。

・斉藤氏は、「「史上最強」はそれまでの視聴者参加型クイズ番組がたどり着いた最終形態であり、(中略)オープン大会のプロトタイプでもあった」と述べる。基本認識は、私も同じである。ただ、私はカプセルクイズにおける

2人のクイズ王のパーソナリティ(得意分野とか)が、現在のクイズに決定的な影響を与えてしまったと考えているのに対し、斉藤氏がまず注目するのはナナマルサンバツというルールであった(カプセルクイズは難易度のたがを外したという程度の認識)。

・ナナマルサンバツは早稲田のルール(早稲ルーというそうだ)3○2×が、西村氏や斉藤氏により大木塾に持ち込まれ、5○2×などにアレンジされ、そこから史上最強に7○3×として投入されたという流れを斉藤氏は想定している。事の真偽は道蔦氏に聞けば一発で分かる話だが、それはどうでもいい。私がこの記事に感じたのは、「競技大会の源流であるオープン大会の源流である史上最強のルール『7○3×』の元祖は俺たちだぞ」という主張である(ただ、7○3×というルールが後のクイズにどういう影響を与えているのかには触れられていない)。

・で、このルールは「誤答できない早押し」が求められる。「解答権さえ取ればいい」という汚い戦い方を防ぐ、良いルールだということをややセンチメンタルな(何故か恋愛に喩えたり)表現で強調する。この辺がやや説得力に欠ける論ではあるが、言いたいのは「7○3×のような形式が、正統なルールだ」ということだろう。そうではない「速押し」の技術ばかり学ぶと「本来クイズに必要とされる知性や教養、品位などを身につけ、磨き上げることが疎かに」なってしまうということだ。「本来クイズに必要とされる」という所に、自らの主張の正統性を自負していることを感じさせる。

・持って回った言い方になったが、総合して私が感じたのは、斉藤氏がおそらく、自分(たち)を「競技クイズ的なクイズの正統をレジェンドたちと作り出し、それを受け継ぎ、そしてそれを普及する者」と位置づけたいのだろうということだ。ただし、斉藤氏は「正統」という語を使っていないし、そんなこと考えていない、と反論するかも知れない。しかし、「正しいクイズのあり方」を想定して語っているだろうことは、想像しても想像しすぎではないだろう。もし氏がクイズの正統を継ぐ者であれば、日本クイズ協会の正統性もそこから明らかになる、という寸法である。

・歴史を語る者は、自らの正統性を語るために歴史を語る。それはありふれたことであり、別にとがめる気は無い。ただ、(斉藤氏がそうだと言うわけではないが)歴史を語る者が、意図するかしないかを問わず、歴史を修正してしまうことがあるのもまたありふれたことである。クイズ研究者として、クイズ的な歴史認識の正否を弁別する材料を皆さんに提供するため、私は今後も独自に分析を続けていく。

・あーまたつい長く書いちゃった。ジャーナリズムのかけらもない話ですいません。


GOOD-BYE青春 2018/10/15()

・前回の記事、多少(つーかほんの少し)直しました。私の勘違いしていた点について。

・最近論じてみたいと思っていろいろ資料集めだの何だのをして、準備していたテーマが「なぜ90年代にクイズは『難化』できたのか」。「なぜ難化したのか」の答えは割と論じ尽くされている。しかし、本当に解き明かすべきは「難化してもクイズがゲームとして成立できた(=みんなが問題に正解できた)のは何故だったのか」という点である。

・これを考えるには、「クイズになりやすい題材はどのように選ばれてしまうのか」「難化の方向性はどう選ばれるか」「出題者と解答者の距離はどう近づいたか」など、様々なテーマをコツコツ解き明かす必要がある(たぶん)。

・書こうとしているネタをちょっとバラす。例えば「アラビア語で『川の果て』という意味を持つ名前である、エリダヌス座のアルファ星は何?」という(別に面白くもないが)問題を目にすると、「アラビア語で『つめ』を意味する蟹座の云々」とか「アラビア語で『馬のへそ』」とか「アラビア語で『従うもの』」とか、そういう問題を山ほど作る人がきっといるだろう。

・そういう例はゴマンとある。なのに、例えば「ドラマ『ママはアイドル』の主題歌で」とか「ドラマ『家族ゲーム』の主題歌で」などという問題がおびただしく作られた、という話は聞いたことがない(いくらでも作れまっせ)。この違いは何処から来るのか。そのヒントは多分「史上最強」と「FNS」にあると思っている。

・私は、現在の難問風クイズの原点は、とりあえず「史上最強」にあると考えている(「史上最強」にもさらに先達はいるが、とりあえず措いておく)。単純化して言えば、現在の難問が選んでしまう題材は、「史上最強」に出そうで、「FNS」に出なそうなもの、と言ってしまえるように思う。

・とか何とか書こうと思って準備してたら、諸事情でどうでもいいテーマ(前々回の記事)の長文を書いてしまい、少し放っておいた。そしたら、こんな記事が出た。なるほど、そうであったか(予想通りだけど)。カプセルクイズなんかは、ここにあるように「(水津・西村という)二人のストライクゾーン」を狙っていたわけだ。

・片や読書から知識を得る博学の方、片や百科事典を読んでいった方、そこを狙う問題が、現在の難問クイズの原点だとすれば、ほとんどすべて合点がいく。いいのか、そんなので合点がいっても。単純すぎないか?

・そう考えて、次の水津翁の語を読んでみる。曰く、「クイズを青春にした『諸悪の根源』は、私と西村なのかな」。もちろん、二人は出場者で、何ら責任は無いわけだが、このセリフは結構含蓄がある。まあ、「史上最強」関係者の道蔦氏との会話だからかもしれないが、ここに当時ウルトラクイズで中高生の憧れとなった(のか?)長戸氏の名前が出てこないのが面白い。

・大げさに言えば、ここに翁のクイズ的歴史認識がはっきり表れていると見るべきだろう。クイズが先鋭化し、競技化し、青春や、果ては人生をかけるほどのものになってしまった原点は、「史上最強」の自分たちの戦いぶりにある、と考えているのではないか。翁の見立てでは、第13回ウルトラはその後のクイズ史に影響を与えなかったのだ。先に私が述べた、「クイズになりやすい題材はどのように選ばれてしまうのか」「難化の方向性はどう選ばれるか」「出題者と解答者の距離はどう近づいたか」という物差しを持ってくれば、そのことは理解されよう(なお、私はウルトラクイズを、クイズをマジな感動的なものにした「諸悪の根源」だと思っている)。

・もうひとつ。表舞台に出ない水津翁が出てきたのは、今こそここにある内容を語りたかったからでは無いか。クイズが人生の役に立ったことはない、所詮クイズはクイズ、遊びなんですよ。翁はクイズと言うものが世の中に存在しなくても、同じようなことをしていた人なのだろう。そういうところが、私も目指すところなのです。今クイズが無くなっても、私も全く困りません。私はどうも人生にクイズの占める割合が、世間のクイズプレーヤーより極端に低いようだ。

・でもどうして世間の人は「クイズは役に立つ」って言いたいんでしょうか? クイズに勝つために、したくない努力を苦労してやっているからでしょうか? だいたい、趣味人に「あなたの趣味は役に立ちますか」と質問すること自体、心得違いではないかと思うのだが。

・さ、これでクイズ論さんも無言ではいないでしょ。たぶんだけど。

・あー、また長くなってしまった。


ドラマはアルバイト(浜ちゃん) 2018/10/12()

・興味の無い事柄に対して無理矢理述べた意見が(前回の記事のことです)いつまでも一番上にあるのはイヤなので、軽くいなすために軽い記事を。どうせどこかのツイートからこのブログに来る人は、あの記事しか見ないだろうが。

・そういえば先日、秋田県高文連小倉百人一首かるた部会主催の新人戦が行われた。参加校は4校。百人一首部ってそんなにあったっけ? 個人参加も含めてるかも。参加者19人だったらしいので。

・FNS第1回についてひとことだけ。クイズ本によく出る問題に混じって、目新しいような難しめの問題がちょこちょこ出題された、というイメージだが、そういう問題も実はクイズ本の解説部分に書いてあったりする知識だったりした(ような記憶があるが、ちゃんと確認してない)。

・昔のクイズ本には、解説があった。今手元にある本で言えば、永岡書店「常識クイズ」「常識クイズ」とか「クイズ面白ゼミナール」とか。クイズ問題をとっかかりにして、解説を読み知識を増やす、そういうクイズの楽しみ方が、かつては確かに存在していたのだ。まあ、今も存在するけど。

・つまり、クイズ作家には、博識な文筆家としての一面がなければいけないということだ。特に当時のクイズ本は硬派だったから、大人の読み物として成立していなければならない。今はどっちかというと中高生をターゲットにした本が多いかな。どっちがいいか分からないが、せっかくおっさんになったのに、大人の読み物としてのクイズ本があまりない現状はつらい。

・ある方が最近「大学を卒業して、クイズ作家になるかどうか本気で悩んだ」と聞いて、相当びっくりした覚えがある(付記:が、この記事を書いてからメールをいただき、この話について私の勘違いが発覚した。が、私の考えたことが変わるわけではないので、文章はそのままにしておく)。その方(クイズ作家になってはいない)は私の1学年上だから、ほぼ同時代のクイズシーン(そんなのあるのか?)を生きたわけだが、教員免許を取るために東大に入った私には、全く存在しない選択肢だった。

・「マイエンジェル」「アブノーマルチェック」の問題作成バイトは楽しかったし、そのときのボスに「こういう業界に入りたかったら、企画書の作り方とか教えてあげるよ」と言ってもらったりもしたが、その気が全くなかったので丁重にお断りしていた。当時の私が考えていたのは、「クイズ作家は放送作家か、文筆家が兼任するもんだ(もしくはバイト)」ということ。

・本当は本職があるいろんな人達による様々な種類のクイズ本が販売される、そういう状況が、一クイズファンとしては好ましいと思っているのだが、そういう時代はこないでしょうね。仕方が無いので、いろんな検定の本(『大阪の問題集ベスト選』とか)を読んで我慢している。


面白くない意見ですよ 2018/10/10()

・うーん、いちいちケチをつけているわけでもないんですが、理事の意見が現役教員の代表だと思われるのもなんなので。

・協会の公式見解では、「中高生のクイズの支援」=「高文連に加盟する」ということなのだろう。高文連加盟が厳しい(つーか多分無理)ことや、学校というところが新たな部活動を作ることに後ろ向きな理由は既に述べた。問題なのは「クイズ部という部活動が新たに作れる学校は、ほとんどない」という点にこそある。たとえ高文連に加盟したとしても、だ。平成3年に小倉百人一首かるた部会ができても、秋田県にかるた部はほとんどない(秋田北鷹高校にはある)。演劇部に至ってはどんどん加盟校が減っている状況である。私立高校にいると見えにくいかも知れないが、生徒数減による各部活動の消耗具合というのは、本当に悲惨な状況なのである。

・全国高文連に加盟するには、各都道府県の高校でクイズ部(同好会ではなく)ができて、クイズ部会ができて、はじめて全国高文連に加盟が可能となる。各都道府県、というのは、必ずしもすべての都道府県という意味ではなく、今後数年の「全国高総文祭」開催地にとりあえずできている状況があればいいようだ。

・ただし、この話はあくまでも「全国高文連」についてである。どうしても高文連加盟をしたければ、都道府県単位で行うのが手っ取り早い。たぶん協会もこれを視野に入れているだろう(そうでなければ、あまりに戦略がなさすぎる)。ただ、これも部活動として行っている学校がいくつかないとダメ。そして、おびただしい高文連関連の文書を裁き、大会を運営するパワーと根性のある教員が事務局長にならないといけない。これだけ教員の多忙化が叫ばれて久しい昨今、そういう人がはたして出てくるものだろうか。

・「生徒が熱心にやってるんだから、教員だったらそれくらいしろよ」と思う人がいるかもしれないが、はっきり言って教員はクイズ界の下請けではない。クイズ研顧問の教員と接触しても、さほど芳しい感触はたぶん得られないと思う(私はテニスと新聞と掛け持っていて絶対無理)。協会がどれだけ努力をしたとしても、高文連を立ち上げるのは教員である。その協力を本当に得られるのか。非常に熱心な一教員の意見だけでは、現状は把握できないのでは?

・とにかく、高文連に加盟するのには、ひたすらハードルが高いのである。理想としては理解できるが、それは遠い将来の目標としておいて、純粋に「普及活動」を一生懸命やった方がいいと思う。

・大会中に事故があったら生徒の責任問題に発展しかねない、と心配する向きもあるようだが、ここでいう「責任」とは一般的に言って民事上の責任(要は補償の金銭面)のお話に限られると思う。だから、主催者が保険を掛けるだけでよいのだ。大会中の事故(事件は別ですよ)によって、その競技が否定されるような自体は寡聞にして私は知らない。学校にマスコミが押し寄せる事態も、想定しづらい。

・こういう意見も、たぶん「協会に批判的な意見が多くて云々」という中に入るのだろう。にしても、記事を読む限り、よほど旧理事たちとぶつかったんだろうなあと想像できる。まあ、私のような門外漢でも、「何故○○理事は辞めたのか?」とか「なぜ○○○○は一心精進を応援しているのか」とか「なぜ○○○○はQUIZ JAPANに出ないのか」とか「なぜクイズ論氏は今沈黙しているのか」とか、勘ぐるネタには事欠かない。品がないのは嫌だから勘ぐらないだけで。

・現段階で協会は、2つのクイズ大会を主催しているに過ぎない。それだけでクイズの世界で力を持つはずなどない、ような気もするのだが、実はそうでもない。クイズプレーヤーは何だかんだで「自分がプレーヤーとして活躍できる場」を全面的に肯定する傾向にある。かつ、クイズの世界には「長いものには巻かれろ」的な価値観が割と根強い。だって、そうしないとテレビとか大会とかで活躍できないもんね。やっぱみんななりたいのよ、クイズ王に。そうでないと努力したことが無駄になるもんね。別になってもいいけど私は。

・全くの追伸。「新常識クイズ」は私も読んでました・・・のはずなのだが、さっき見直したら問題をほとんど忘れていた。因みにその前進の「常識クイズ」も持っているが、やっぱり問題はほとんど覚えてなかった。宝の持ち腐れ。


流れる雲を追いかけながら 本当のことを話してみたい 2018/10/1()

・前回の記事について「利権にしたいだけ」というコメントをいただいた。せっかく私がぼやかしたところを明示していただきありがとうございます。私も全くそのように思っております。

こういう記事にも、みなさんどう反応するか楽しみ。ただ、表立った反論はどうせ出ないだろうなあ。日本クイズ協会は、グランプリシリーズだけでなく、事実上「KnockOut」も押さえているわけで、大舞台で活躍したいプレーヤーが協会にもの申すことは多分無いよね。きっといろいろ渦巻いているんだろうけど、私のクイズライフには全く関係ないことだし。

・ただ、この記事からすると、様々な意見を持った人達が意見をすりあわせて、よりよい方向にクイズ界をもって行こう、とする意欲を協会は持っていないようだ。協会内に異なる考えを共存させ、議論を重ねて慎重に運営するのが公的な団体の正しいあり方だろう。一般論として言えば(あくまで一般論ですよ)公的な集団は、トップダウンのためにイエスマンだけを周囲に集めるような運営をしてしまうと、結局全体のためにならない結論を導いてしまう。どれだけ言い訳っぽい理屈を並べられたとしても(あくまで仮定ですよ)、その原則は変わらないと思う。

・さて、「KnockOut3」について考えたことがいろいろある。

・今回の「KnockOut」の問題は、ようやく競技クイズ的な難易度になってきましたね。第1回では視聴者にも分かりやすそうな題材を重視していたが、今回はわりと浮世離れした問題が多かったように思う(「卍」とかで出たようなやつとか)。「浮世離れ」というのは、完全にクイズ用の知識ばかりだった、ということ。もともと、このくらいの問題での戦いを放送したかったのか、本当はそうではないのか、まあきっと内部事情がいろいろあるのだろうが、その辺の感想は次回以降に回します。いずれ、こういう番組を放送すると、クイズをする人と見る人は完全に分かれます。

・そもそも、スポーツで言う「トップアスリート」に当たるような「競技クイズ界の強豪」になるためには、相当な努力が必要だ。「努力」と書けば美しく感じられるが、それを可能にするだけの時間をクイズにかけられる人が果たして世の中にどれだけいるのか。たとえばこういう風な努力とか。

・子育て中の田舎の地方公務員として平均的な生活を送っている(と思うのだが)私には、トップアスリートになる努力にかける時間は、絶対にない。よくビジネスマン向け学習ノウハウ本などには、「時間のやりくりをして」とか「早朝起きて時間をつくって」とかいろいろ書いてあるが、子育てとか家事とかに時間を費やす人のことは、たいてい想定していない。そりゃ1日30分とか1時間とかなら、とれないこともないけど、そのくらいがいいとこ。

・子供がいても子育てにあまり携わらなければ、勉強する時間はそれなりにとれるであろう。ビジネス雑誌(たとえばP社のP誌)などは、完全に家庭を顧みない労働者を相手にした話しかしていない。P誌には子供の学習について取り上げる「F〜P〜」という雑誌もあるが、「子供のお受験には専業主婦が隷属的に努力するのが好ましい」というメッセージしか私には読み取れない。いまだに「旦那は外で仕事、妻は子育て」を奨励している姿勢はまさにfossil

・余談ついでに。たまに子供と遊んであげた、とか、毎日お風呂だけは入れてあげている、とか言ってイクメンぶっている人も気楽なもんだ。私から言わせれば「イクメン」なんていう言葉を軽々しく使っている状況が、ちゃんちゃらおかしい。

・どっかで書いた繰り返しになるが、私が「大人のクイズ」と言うのは、別に問題の題材が大人向けであるというような意味ではない。大人には仕事だの子育て(ガッツリ育てている人に限る)だの、自分の時間を作るのを妨げるものがたくさんある。クイズの勉強など、あまりできないだろう。そういう人達が趣味として、細々と続けられるクイズを志向したくて、そういう言葉を使っているのだ。

・例えば、本当に女性をクイズをする側(見る側ではない)に引き込みたかったら、ターゲットは絶対にキャリアウーマン(死語)だと思う。教養がそこそこあり、男とは違う得意分野を持っているから「あら、あたし結構答えられるじゃん、これ楽しい」と思わせやすい。

・「abc」的だろうと「KnockOut」的だろうと「何ちゃら甲子園」だろうと、トップアスリートを目指さなければ楽しめないようなクイズの状況が生まれることに資することは避けてほしいところ。トップアスリートを目指せる「クイズ貴族」はごく一部だ。「トップアスリート」と「それを見るだけの人」以外の、クイズをする人を増やすために何ができるかを考えることが重要。つっても難しいテーマだけど。


お薦めのクイズ問題集 2018/9/30()

・クイズの本を見つけたとき、瞬間的に買うべきか買わざるべきか、書店で即断するのが常なのだが、今回ばかりはしばらく見つめて、「うーん」と唸ってしまった。

・「クイズドリル」である。この半額ならノータイムで購入するのだが、他の市販の問題集などにあるベタ問を寄せ集めて500問で1296円は、さすがに高いよなー、中高生向けになってないじゃん、などとひとしきり逡巡した挙げ句、「クイズの歴史を研究する史料として、数十年後に価値が出るかもしれない」と自分に言い聞かせて購入した。にしても高い。

・「チュートリアル」と銘打った部分も内容が非常に薄く、この程度の情報ならネット経由で無料でいくらでも手に入る。問題と解答の羅列だったら、昔の「史上最強のクイズ王決定戦」とか「TVクイズ番組攻略マニュアル」とかの方が、問題の多い分良心的。ベタ問を寄せ集めただけの問題集なら、「あなたがクイズを始めるための本」とかの方がお薦めか。つーか、ここにある田中健一さんの問題と日高さんの問題でいいと思う(無料で4000問超!)。

・あんまり田中健一さんばかり褒めるのもいかがなものか、と自分でも思うのだが、「クイズマガジン21」から「田中健一の未来に残したい至高のクイズ」「QuizistA」あたりに進めば、かなりの初心者でも、クイズというものが相当分かってくるとは思う(もっとも、田中さんにもクイズの文体にクセが多少はあるので、他の人の問題にも触れるのがよい。これは言うまでもないことだ)。

・「QUIZ JAPAN」と違い、装丁が立派なら多少値段が高くてもクイズ本は購入される、とはいかないのではないか。実際売れ行きが分からないので何とも言えない。初めからコピーで問題が出回ることを想定して値段を上げているのだろうか? ほるぷ出版だから高いのか? 


全部やれ 2018/9/19()

・ひとつ前の記事(つまりひとつ下の記事)から、新作問題に進めることを一応紹介しておく。

・高校生クイズ視聴の感想などを多少。全般的には、面白い番組に仕上がっていたと思う。それは、全然否定しない。

・ただ、クイズブームに火をつけたいからといって、あまり今回の番組を美化しすぎるのはいかがなものだろうか。たとえばこの記事。正直結論がよく分からないのだが、無理矢理何でもクイズに持って行く必要はないと思うのですがね。基本的に、200個の風船を早く割る方法を競うのは、やっぱりクイズではないと思う。クイズではないことも、高校生クイズでは当たり前にやるのだ、という定義でいいと思う。だってこの記事の筆者、卵のポン食いをクイズとは呼ばないでしょ(呼んだりして)。まあ、高校生をマジにしさえすれば、何をしてもいいのが「高校生クイズ」なのである(ここは完全に鶴君と同じ意見)。

・結局世間の人は、高校生クイズを論じることで、自分の持論を補強しようとしてしまうものだが、私もその轍を踏もう。私は「クイズは、対策しにくい方が深くて面白いはずだ」と思っている(異論は多いと思うが)。今回、新しい高校生クイズの姿を見せたことで「今までの高校生クイズ対策」がリセットされてしまった。そこで挑戦者の必死な(=マジな)姿が従前以上に鑑賞できたのではないかと考えている。てことは、こういう感じが2回3回と続けば、だんだんつまんなくなるのね。

・私はクイズ番組が疲弊するのは、「視聴者が飽きてくるから」よりも「解答者が慣れてくるから」という要素の方が強いと思っている。「アタック25」は、テレビ慣れ・クイズ慣れしていない解答者ばかりを選んで出すから、番組として疲弊しないのだ。だから、「99人の壁」も危ないよ。

・ところで今年の高校生クイズ。面白いと褒めたが、要は既視感がある企画が多かったということ。例えば、壁を越えるのは冒険家族クイズ2001を思い出した。でも、それらを練りに練って完成度を高めて提示したスタッフの努力はすごい。かなりネタを集めまくってシミュレーションをしまくったのではないか。それくらい高校生クイズは失敗できないのだと思う。「クイズ」の固定観念から解き放たれ、視聴率が取れない早押しクイズを捨てた(テレビ局的に見て)英断はすごいと思う。

・これが日本テレビの「全部やれ」精神なのだろうか。今時のクイズっぽい番組で見られる数字の取れる要素をすべて溶け込ませた(詰め込んだ、ではない)見事な構成。「知の甲子園」時代には上の空だった菊川怜も、今回はリアクションがよかったし。

・探究活動が新指導要領に採用され、壁を越えたりタイヤを運んだりする企画は、文部科学省も大喜びだろう。少なくとも普通のクイズをやってリテラシーが鍛えられるみたいなことを言うよりはね。

・番組が始まって、高校名にいちいち偏差値をつける演出(なのか?)には、正直言って辟易しまくった。が、これこそ「地頭力」は偏差値に比例しないという結論に持っていくための伏線だったわけだ。それにしたって、桜丘高校の偏差値をあんなに強調して大丈夫かいな(学校の許可は取ってると思うけど)。

・前回までのクイズっぽい企画からの大幅な転換。必ず「ここまで高校生クイズのために努力してきた全国の高校生を思いを無にするなんて!」的な批判をする人が出てくるが、そんなのは知ったことではない。クイズ番組なんてテレビ局の都合で勝手に変わるもんだ。そういえば、それだけ傾向が変わったのに桜丘高校の連覇をやたら強調していたのは、もしかしたらそういった批判を交わすためか?

・長くなってしまった。次回「KnockOut3」の感想と、「クイズドリル」の感想などを。


業務連絡 その2 2018/9/18()

・高校生クイズ見ましたが、時間がないのでまたあとで。タイトルは「全部やれ」の予定。

・ということで、問題アップしました。100問。


歴史への招待 2018/9/2()

・いろいろあって、クイズ問題を人前で発表する機会がなく、HPでこのところ問題を発表していない。そのくせ偉そうなことばかり述べているのも心苦しい。もうすぐ出題する予定なので、今月中にはアップしますが。

・私は二〇数年かけて作った問題のうち、かなりの割合の問題をPDICで検索できるようにしている。このPDIC、「同じ答えの問題」が同じ項目に並ぶようになっており、たまに問題の並びにほほえんでしまうことがある。そこで、「同じ答えの問題」を幾分か掲載しておくので、お目汚しにどうぞ。ボツ問にすら入れていない未発表問題も結構あるが、答えは自分で調べてください。

・「炎のおっさんアワー」の中の「ステップナー」で、浜田雅功が演じたの人の名字は何?
・漫画「すすめ!!パイレーツ」で、パイレーツは何処パイレーツ?

・ヴィックスドロップ、成人は1回何個服用することになっている?
・サイコロ博打の「チンチロリン」、普通使うサイコロは何個?

・ドラマ「谷口六三商店」の原作者は誰?
・第1回日本「妹」大賞受賞者は、吉本ばなな、柴門ふみと誰?

・「スターのお気に入り」第1弾で、自分にうそを絶対つかない浜田さんが、ノーコメンターになったのは誰が紹介した女の子のとき?
・増田恵子、ファッションモデル・樫本知永子、斎藤慶子、貴田麻耶、久我陽子と交際がうわさされた歌手は?
・足を短く見せるためにズボンはなるべくずり降ろす。歌のクライマックスで鼻をほじり、最後にその指をなめる。コロッケがこのように物まねする歌手は誰?
・「ガキの使い」で、デーブ=スペクター、村上ショージなどとダジャレ対決をした人は誰?

・栗の実1つにつき種はいくつある?
・ラジオ体操第1、第2を通じて、「3拍子」の体操はいくつ?
・動物の熊に、胃はいくつある?
・アメリカ五大湖。接しているアメリカの州は8つですが、カナダの州はいくつ?

・5×5、25マスのビンゴで、3列完成させるには、最低いくつのマスをつぶさなければならない?
・漫画「サイボーグ009」で、家の姿をしているのは00いくつ?
・「四方八方が丸く収まったときに使われる演劇用語」。今でてきた数字を全部足すと?
・正6面体と正8面体の辺の数は同じですが、さて、いくつ?

・「眉唾物」という言葉の由来で、眉に唾をつけた動物は?
・マルティン=ハイデガーの哲学に言う「現存在」とは、ひらたくいえば何のこと?
・もともとは人の住むところすなわち世間を表す言葉で、現在ではもっぱら「ヒト」のことしか指さないであろう言葉は何?
・森下裕美の漫画「少年アシベ」で、主人公アシベはどんな動物?
・「烙印を押される」という言葉の由来、烙印を押される動物は何?
・桃太郎は桃から生まれたとか言っていますが、金太郎は何から生まれた?
・「鳥獣戯画」で、最初に登場する動物は猿ですが、最後は?


商い上手の仕入れ下手 2018/8/25()

・クイズ問題の作り方にはいろいろあると思うが、他の人がどのようにネタ集めをしてそれをどう処理しているか、よく分からない。結局、問題作成はみんな我流でしているのだろうか。それとも、私が知らないだけで、何処かで問題作成の方法が共有されているのだろうか。

・私が基本的にクイズ問題作成のネタとしているのは、普段読んでいる本である。具体的には、本を読んで出題できそうなネタをノートに拾い書きしておき、問題が必要なときにはそれを元にして成文化する、というスタイルである(昔はいきなり成文化したから、ボツ問が多かったのだ)。まあ、いまどきアナログでアナクロな作り方だと、自分でも思う。インターネットは主にウラトリに使っている。

・さて前回書いたこととつながるが、ウィキペディアが広がってから、問題作成は飛躍的にお手軽になったと言える(たぶん)。とりあえず問題作成をするのに、ウィキペディアが便利なのは言うまでもない。いかにもクイズにできそうな情報ばかりが羅列されており、「既存の語に前振りを1個つけたい」ときには重宝するだろうし、1つの事項に対して問題を量産できるし、写真もあるからビジュアルクイズも作れるし、何より書籍では触れにくいジャンルに明るい。

・かくいう私も、ウィキペディアの記事を読むのは大好きである。昔は荒っぽい記事も多かったし、「早押しクイズ」という項には何故か私の名前が(このときまで)載るなど何がしたいのかよく分からなかったりもしたが、最近はもう完全に百科事典的な要素をすべて持ち得ており、ほぼ完成形と言っていいのではないか。ウィキには誤りが多いという俗説に与する気もない。んなこと言ったらネット上の情報なんか(たとえ公式サイトの情報などでも)ハナから疑ってかかるべきなんだし。余談だが、この方がウラトリに本人確認をしたのを美談のように語ることがあるが、本人がYESだと言ったからウラトリ完了、ってのはあまり厳密なウラトリではない気がする。それはともかく、情報の精度だけで見たとき、ウィキはそんなに悪くない(ってここにも書いてあった)。

・ただ、私はそもそも百科事典の類から問題を作成するのが、あんまり好きではない。なんか「自分で作った実感」が持てないのだ。クイズ用に整っている情報を、問題に引き写すという作業に楽しさを見いだせないのだ。また、いわゆる「ネタ本」の類から問題を作るのも、あまり好きではない。他の人と同じ問題を作りたくない、という大前提に立つなら、他の人が作成に使うネタを極力使わず、あまり使わなそうなものを使うのが手っ取り早い。そもそも「みんなが目にするだろうな」と思うことを、なんか出題できないという僕の悪い癖もある。

・前回ウィキペディアから作成された問題を批判したのは、あくまでも「99人の壁でウィキかよ」、という思いから来るものであり、世間のクイズ屋さんがウィキを使うことまで批判したわけではない。ただ、私が思っている以上にウィキペディアからの問題作成って世間に広まっているんだなー、という認識を新たにした出来事だったのは確かだ。だからこそ、違う作り方をしている人が、それを発表してほしいもんだ。そういうのもクイズを広げることにつながるはず。


見過ぎ見過ぎ、見過ぎだから 2018/8/17()

・前回の記事をまた紹介していただいたら、一気にアクセスカウントが増えた。そんなによってたかって見るようなブログでもないですよ。

・「99人の壁」視聴。これについても普段から思っていることと絡めて、また長くなるが、書いてみる。あくまでもクイズに関する一般論なので、長くても気にせず書く。つまらない自己開示などではないからご安心を。

・前回に比べたら、保険のかけ方はえげつなくなかったと思う。ただ、個人的にはクイズ番組に解説者はいらないと思っているので、その辺がやや気になった。まあ、今時のクイズ番組は解説ばっかだしなー。だから見る気が起きないんだよなー。あと、アナウンサーの「ちょっとうまいコメント」が、全然うまくない。結局、間をもたせたいだけで、結局これこそ「保険」なんだよな。もっとMCを信頼したらいいのに。

・前半戦は問題作成に苦労されていると思ったが、後半はちょっとどうなんでしょうか。突貫工事で揃えたよね、という感じでしょうか。例えば、ラガーこと渡辺徹が100万円を獲得した(マジかこいつ)ジャンルが「十代目柳家小三治」。明らかにウィキペディアから作ってますね(特に「主な演目」という項目がお薦め)。もちろん、ウラトリはちゃんとしていると思うけどね。「古田敦也」は著書が一覧になっているから問題にしたのだろう。でも問題になっていた『古田心理術』という本だけウィキになかった。つーか、『古田心理術』という本はamazonなどでも見つけられなかった。ほんとにあるのかしら。

・ジャンルが決まっている問題を、ウィキペディアで作りまくることが今後も増えれば、対策の立てやすい「クイズプレーヤーの食い物」番組になってしまう。そうやって「予定調和」の番組になると、すぐ飽きられるわな。そうならないことを祈る。祈るけど、そもそもジャンルさえちゃんと選べば、非常に対策の立てやすい番組なのである。クイズ問題を分析する際、「対策を立てやすいかどうか」という観点は非常に重要だ、ということは昔からずっと述べているが、あえてここで蒸し返しておく。

・とにかく問題作成に苦労する番組なのに、なんでレギュラーにするんだろ。結局、クイズ番組はテレビ局にとって「便利なコンテンツ」。問題作成の下請けさえ苦労させれば、安価でそれなりの番組が作れる「おいしいジャンル」なのだろう(もちろんフォーマットがしっかりしているからこそだが)。こうやってクイズ番組やクイズ作家は疲弊していく・・・のか?

・テレ朝のように2時間番組を2週に1回放送するようなパターンもあるから、レギュラーと言っても放送の頻度は明らかでないが、毎週やるのなら「挑戦者30人分くらい長回しして何回かに分けて放送」というパターンしかないだろう。そのために今回、前半戦・後半戦をテストパターンとして作ったのかもしれない。これなら1時間番組に縮めて、毎週のように回すことは不可能ではない。面白いかどうかは別として。

・基本的に、スペシャルで成功した番組(この番組が成功しているかは措いといて)をレギュラーにするフジテレビ的手法は、やや時代遅れなのではないか? 日テレは「頭脳王」をレギュラー化しなかった(代わりにTBSがレギュラー化したのね)。レギュラー番組が好調だから、という理由もあろうが、キワモノ的クイズ番組はレギュラー化すると寿命を極端に縮める、ということがよく分かっているのである。ま、でも10月から3月までの放送(15回くらい?)で、大晦日あたりにスペシャルを1回やる、くらいなら全然回るか。

・若い総合演出の起用が美談のように語られているが、そんなことは視聴者には関係ないし、別に宣伝にもならない。どうもこの番組を持ち上げる様々なコメントは、フジテレビの企業としての姿勢をアピールするためだけに存在するのではないか、と感じてしまう。「こんな新しいことやってます。フジテレビ、理解のある良い局だから、若い才能のある人は受験してね」みたいな。MC佐藤二朗起用も画期的であるかのように語られているが、本当に画期的なのは24時間テレビのダウンタウン起用であり、大晦日のMC藤原寛社長起用である。

・まったく関係ないことだが、3月にタイに出張に行ったとき、バンコクのワット・ポー、ワット・アルン、ワット・プラケオは全部行った。なお、これらはすべて世界遺産ではない。バンコクの建造物は新しく建て直しているものが多く、世界遺産になれないんだそうだ。もちろんスワンナプーム国際空港で乗り降りしたし、アユタヤにも行ったので、ワット・マハータートに行って、例の仏様も写真に撮っておる。アユタヤの寺院は戦いで壊されたり略奪されたりしまくったが、修復を最低限にしているので世界遺産になっているそうだ。ということで、私の大好きな世界遺産ネタでした。


何となく自分だけ意地をはり通して さからってみたくなる時があるよね 2018/8/14()

・特定のクイズ者を批判するのが目的では無い、と先に断ってから、普段思っていることを書いてみる。今日のお話は「有名プレーヤーの言うことも、疑ってみよう」。

・私も「クイズはスポーツだ」という考え方には同意できない。この考え方は、完全に解答者という立場しか意識していないからだ。スポーツには「監督」がいて(いなくてもいいが)、「選手」がいて、「審判」がいる。クイズで言う「問題作成者」に当たる存在が、介在しない。この差は非常に大きい。解答者としてのみ生きていくというのなら、この言はなんぼか当たっているかもしれない。でも、そんなクイズ者を増やしても仕方がない。クイズにスポーツ的要素があることは認めるが、んなこと言ったら吹奏楽にだって受験にだって経理にだって、スポーツ的要素はあるわけで、何でも安易にスポーツに喩えることで、見失ってしまうことも多いよね。

・このフレーズはクイズの中心にある「問題作成者と解答者の、共同作業としての遊び」という要素を見失わせるような気がするのだ。「クイズとスポーツは別物だ」、というか、「クイズはクイズであり、クイズでしかない」。それでいーじゃん。むしろクイズと他の「競技」の違いを明らかにしようと言いたい。

・加えて言うと、クイズをスポーツ視することで、そこに「コーチング」とか「熱血指導」とかが強力に入り込んでくる可能性がある。繰り返すが、クイズを中高生に指導しようとする大人の動向に私は敏感なのだ。また、「熱血指導」の結果、問題作成にも指導が入り、「問題作成者」の自由度を失わせるのは一番気にくわない(そうされたこともしたこともありませんがね)。

・別件。「クイズ初心者のうちは、問題作成をしない方が良い」という考え方にも同意できない。自分の見聞きしたものや知っていることをどんどん問題にしてみた方が良いですよ、と言いたい。

・確かに、自分の文体が独特なものであった場合、問題作成を重ねることが解答者としての力(っつっても早押しの力だけだと思うが)を落としてしまう可能性はある。「早押しの約束事」とかいうものに合わないような文体で作るタイプの人は、ボタンを押すのが遅くなる傾向があろう(私がそうだ)。だからこの戒めも、解答者としてだけクイズをするなら全くもって正しい。

・ただ、クイズ界(というものがあるならば)は「問題を作って出題する」という生産者意識こそ育むべきであり、「人が出してくれた問題を解答する」という消費者意識だけを育んではいけないと思う。問題を作る人が増えた方が、世に出回るクイズ問題が様々な方向性に広がって行くではないか。私は色々な人が作る、色々な問題を味わいたいし、それら問題の中に自分の問題を含めていきたいと強く思う。

・まあ、単純な話、解答者としてより作成者としての立場の方が楽しい、という人は一定数いると思うから、そういう人はそんなフレーズがあっても問題は作りまくるわな。私がそうだったから。気にせず作ることよ。

・また、作成者としての腕前は、初心者のうちから問題を作った人の方が上がる・・・かどうかは、実証的な研究をしていないのでよく分からない。でも、初心者の方が自分の個性を丸出しにした問題を遠慮なく作れる(かな?)と思う。それをサークルなどで出題し、反応を見ながら修正を加え、自分の個性を活かした独自の世界を完成させるのがよいと思う。

・今の時代、あまり既成のクイズ問題の文体に慣れない方がよいのではないか。昔ならテレビ番組の雑多な問題集がお手本だったが、今は問題の統一感に気を遣って規格化された大会の問題集が「お手本」になるんでしょ。そういう文体を体にしみこませると、そういう文体でしか作れなくなるかもしれない。これはその人のためにならない(「abc」などの文体については、いずれ論じることになるでしょう)。

・追伸。前回「ミラクル9」を評価する、的な文章を書いたが、実際は「99人の壁」を見ると思う。私はね。


「嚙まれたら死ぬんや」「死ねへん!」 2018/8/10()

・去る8月8日、朝6時から地元のテニスコートに行くと(私がテニスをするわけでは無いが)、たくさんのおじいさんたちが、ひたすらテニスに興じていた。私は2時間ほどそのコートにいたが、おじいさんたちは小休止を入れながらゲーム形式(たいていダブルス)でずーっと楽しくテニスっていた。

・誰が一番強いかなど全然関係なく、なるべくラリーを続けて、ひとつひとつのプレーで盛り上がっている。いいプレーをしようという意識だけで、勝ち負けは二の次という感じなのだ(そんなこと言って、実は陰でにぎりしてたりして)。実にすがすがしい。

・おじいさんたちのテニスは、知り合い同士で相手の弱点も知り尽くした上でラリーを楽しむ、いわば「甘噛み」のようなテニスである。テニスには「甘噛み」ではない、本気の殺し合いのような一面もある。インターハイで、嫌と言うほどそういう試合ばかりを見せつけられてきた。

・さて、クイズはどうだろうか。実はクイズはすべてが「甘噛み」なんじゃないか?と思う今日この頃。ここからやや荒っぽい展開ですが。

・私はクイズにおいて、割にサークル活動というものを重視する。もちろん、そこに排他的な雰囲気が醸成されやすいことは認めているし、そのことがクイズの「普及」にプラスにならないかもしれないということも、充分理解しているつもりである。

・ただ、クイズの楽しさは「目の前の人間に対して、問題を作って出題する」というところにこそあると感じている。日常的にその行為を行うためには、どうしても身近な知り合いとクイズに興じる環境が必要である。そのために、はゆるーいサークルが理想的な環境となる。私が所属したサークルは、ともにゆるーいサークルである。私がふざけた出題をしても、だーれも怒らない(とりあえず表面的には)。

・解答者が何人いようと、クイズの基本構造は「出題者vs解答者」だと思う。これを「解答者vs解答者」にしようとして、様々な目に見えない複雑なルールを作ろうとしているのが「競技クイズ」だと思うが、そのことはともかくとして閑話休題。

・ところが、出題者は解答者を本気で殺そうとして問題を作るわけが無い。そんなことをしたらクイズが成立しない。「カドリエンナーレ」とか「バチカン市国ですよこれは」のような例外はあるにせよ、まあそれなりに正解が出るように問題は作っていくしか無い。これを指して私は「甘噛み」と呼びたいのである。今後は「甘噛みとしてのクイズ」という観点が、案外クイズの「普及」に役立ってくるような気がしたので、急いでこの稿を書いておいた。

・別に競技クイズを否定するわけでは無いのだが、「クイズ王」を目指すクイズばかりがクローズアップされる状況は(ファミリー劇場なんかは完全にそうですね)、クイズにとって実は不自然な状況なのではないか? だから私は、「Qさま!」より「ミラクル9」を思想的には推したい(どっちも見てませんが)。なんかワチャワチャ楽しい雰囲気のクイズが、もっともっとクローズアップされてほしい。昔のクイズ番組ってみんなそうだったじゃん。所詮クイズなんか遊びでありゲームなんだから。たかがクイズじゃないか。もっと軽い気持ちでやりましょ。「青筋立てて答えてる姿なんか昼間から見たくないでしょ」とはアタック25のスタッフの言。


空々しいよ 素顔を見せて泣けばいいのに(松本隆名曲シリーズ1) 2018/8/8()

・インターハイの引率で、日本一暑い東海地方に1週間。宿泊地は三重県桑名市。クイズどころ桑名、読書家を産む桑名・・・の割には書店に恵まれていないかな。

・思い起こせば2000年、漢字検定準1級に合格した頃から「漢字検定協会って儲けてるよな〜」という思いを持ち続けていた。2001年(2000年度第3回)、漢字検定1級に合格したら「ミレニアム合格証書」とかいうイミの分からない証書をもらった。そして2009年、漢字検定協会(公益財団法人)の問題が発覚したのである。

・私は「スポーツは相撲とボクシングしか見ない!」と公言している。そうしたら、日本相撲協会(公益財団法人)も日本ボクシング連盟(一般社団法人)も問題を起こした。私が興味を持つ事柄に関する協会は、どうして何かしら問題を起こしてしまうのだろうか? 経緯は全然違うけどね。(この項つづくかも)

・クイズ論氏は、そろそろ正体を明かすつもりなんじゃないだろうか? 少しずつ匿名が空々しく窮屈になってるんじゃないだろうか? 私が匿名で文章を書いたことがないからそう思うだけかも。明かすタイミングを計っているかのようにも思える。直感だがそんな気がした。にしても、最近の論って、マジですな。

・ということで、インハイ引率中いろいろ考えるところがあったので、少し更新ペースを上げます。「東大王」スペシャルも見たし。


犬の卒倒 2018/7/24()

・つまんない話が続いたので、全然違うつまんない話を。

・世間が東大王とかナゾトレとかに夢中な状況を横目に、私は「虫食ひ算大会」(佐野昌一=海野十三)をようやく解き終わった。

・虫食い算と覆面算とその複合がまぶされた良問群だが、はっきり言って覆面算はほんの少し慣れてしまえばこんなに簡単なパズルはない。難しいのはやはり虫食い算。つーか、虫食い算は少し難問になってくると、「しぼれるだけしぼって、あとはしらみつぶし」のパターンになり、かけ算を何十回も繰り返す惰性の作業になるため、はっきりいって苦痛でしかない。どうも「しらみつぶし」が性に合わない。

・循環小数の虫食い算が1問だけ載っている。1問ということは、つまり解き方が1パターンしかないということだ。多少の数学的な知識が必要だが、しらみつぶし度がそこまで高いわけでもないので、まあ良問なんじゃないかな。

・これだけ解けばパターンはすべて網羅したことになるので、もう虫食い算は解かなくて良いかな。ちょうど飽きてきた頃に終わったし。

・パターンを網羅したらオシマイ、というのは、クイズとか東大王とかナゾトレにも言えるのではないか。ナゾトレの番組は見たことがないが、本はすべて読んでいる。作っている方には非常に申し訳ない言い方になるのだが、4〜5冊目にもなるとネタ切れの所を無理矢理作っている印象を受けてしまった。「ナゾトレ」という形式で作れる問題は、あらかた作り尽くしてしまった、という感じなのではないか。

・これはナゾトレ問題作成者を批判しているのではない。1つの形式で作れる面白い問題なんか、限りがあるよね、そういうもんだから仕方がないさと言いたいのである。もうこの形式だとパターンは出尽くしたよね、という手前くらいで終われれば最高なのだろう。でも、テレビ番組とかでも、パターンが出尽くしたのに、編制の都合とかで何とか番組だけは続けなければいけないから、元々のコンセプトから外れても新しいパターンを無理矢理作り出す場合があるでしょう。

・結局、どれだけ面白い出題形式を供給し続けられるかだけが勝負になる。問題を考えるのはもちろん重要だが、それ以上に面白い出題形式を考える力こそが問われている(ってそんなの当たり前だ)。これはしんどい。

・で、面白いパターンが生み出されて番組が活性化していけばいいのだが(アタック25とかミラクル9とかは成功している方だと思う)、新しいパターンではなく「これってパクリじゃね?」みたいな新しいコーナーをじゃんじゃん入れるようになると、目も当てられなくなる。そういうケースもよくあるよねぇ。

・また、同じ形式ばかり出し続けていると、どうしても対策がしやすくなり、クイズ・ゲームとしてのおもしろみに欠けてくる、という問題もある。例えば「二重音声クイズ」とか「ダウトクイズ」とかを毎年恒例にすれば、対策が急速に進み、当初のドキドキ感は相当薄れるだろう。こないだ「後ろ姿でこの人誰?ビジュアルクイズ」を出したときは、もう二度とこの形式では問題を作らないつもりでネタ集めをした。一方、世界遺産を問う問題は、明らかにみんな対応しまくっていて、やや食傷気味。

・てことで、個人的には苦手な「世界遺産」の問題が完璧に出尽くされることで、とっとと世の中から姿を消していただければありがたいのだが。


えーと、たしか コロンブス いや コロバヌサキノツエ・・・。 2018/7/23()

・一応書いておかないと、変に勘ぐられるかもしれないので、その前に書いておく。

・私はクイズ研の顧問として、生徒たちに「○○大会には出ちゃダメ」とか、そういうことを指示したことは全く無い。出る出ないは基本的に、彼らの希望で決めているようだ。つーか、基本的に私はたまたま顧問を仰せつかっただけで、顧問として仕事らしい仕事は本当に何にもしていない。だから彼らの動きは、別に私の主義主張を反映しているものではない。一応ここに申し述べておく。

・そういえば、某協会から「顧問データベース」への登録を促す文書が以前学校に届いたが、私は登録していない。これはその協会を批判する意味から、というより、データベースに登録する際に個人情報を相当伝達しなければいけないことを疑問視したからである。登録すれば会員と同じようなことができるようになるそうだが、そこに別に魅力も感じないし。


わたくし厚生省の佐々木と申します 2018/7/17()

・このブログの読者の方は、私を元々知っている人ばかりだと思っていたので、多少きつい内容やら表現やらがあっても、普段の陽気なおっさんの顔を思い浮かべていただいているのではないかと、勝手に想像していた・・・のだが。

・私が思っている以上に読んでくださる方が多く、そういう人はおしなべて私を「怖い人」「近づきがたい人」と感じているようだ、という事実に今更ながらに気がついた。ま、しょうがないか。出不精だからクイズの場に私が現れることも滅多にないし。気にせず今まで通り書きましょう。ホントは丁寧な物腰の人間だ、とか言ってもだれも信じないでしょうから。

・こないだ、「abc」の問題に触れる機会があった。素人同然の高校生が早押しに興じる際に用いるのに、ちょうどいい問題群であることは間違いない。だから、最近問題を大量にアップしたことについては、非常に喜ばしいことだと思う。

・一方、ファミリー劇場の「abc」を見たときには、何とも言えない違和感をずーっと抱き続けていた。違和感の正体は(1)「超早押しを演出するのって、もうやめたら?」、(2)「この司会の人、なんでこんなに偉そうなんだろ」の2つ。大学生の大会を社会人が企画する、という枠組み自体を否定する気は無いが、この枠組みに「上の者が下の者に偉そうにする」という構造が組み込まれやすいことには、問題があるような気がする。もちろん、そんなことを感じさせない企画者がほとんどだと思うのだが、少なくともこの司会の人はちょっとね。大橋巨泉じゃないんだから。あまり個人攻撃は好きではないのだが、あくまで大会の枠組みへの意見として述べておきたい。

・とにかく、私は先輩が後輩に対して偉そうにする、という構造が大嫌いなのです(とか言いながら、私自身、鶴君に偉そうにしゃべることはありますが)。そこから敷衍して言えば、派閥争い的なことも大嫌いなのです(派閥争いって要は覇権争いで、誰が一番偉そうにできるかの争いになってしまうので)。「abc」に限らず、ある程度大きいクイズ大会やクイズ団体が、そういった争いの具になりやすくなっている現状は、クイズにとってあんまり幸福なことではなかろう。この派閥争いの中をどう泳いでいくか、などと無縁のところで細々とクイズをしたいものだと思う。

・とかって偉そうに書いているから、怖い人だと思われるんだよなー。別にいいけど。

・最後に業務連絡。叙々苑の焼肉、たいへんおいしかったです。ごちそうになりました。ありがとうございます。


長文ですみません 2018/6/18()

・一応、立場上「ニュース・博識甲子園」について、いくらか申し述べておきたい。

・予選の形式は、要はペーパークイズだけ。それだけのために、多くの高校生が参加するようには思えない(「FNS」の予選もそうだったじゃん、といわれればその通りだが)。ペーパーだといわゆる「強い人」が絶対勝つに決まっているから、よほど自信があるか、よほど会場に近い地域の高校生でも無い限り、「力試しに受けてみようか」とは、ならないと思う。まあ、無料で受けさせる高校生が、余り多く来ても困るだろうが。会場からしても、そんなに多くの人が来ることを想定してないようだし(仙台会場は出張で行ったことがある)

・参加条件については、言いたいことがあるが、諸事情のため省略。ただ「201841日の時点で18歳未満」ってことは、厳密に言うと42日生まれの高校3年生は参加できませんね。たぶん厳密には言わないんだろうけど。

・さて、私がこの件で一番問題だと思っているのが、参加条件にある「保護者の同意書、ならびに顧問または担任の同意書が提出できること」という話。そもそもこの大会、このページにも見られるように、「保護者了解の上での学校監督下で」参加できるように、学校の現状などをいろいろ調査してこられたのだと思うが、それでもなお、どうも学校という所をよく理解していないのではないかと思われる。

・まず、「学校監督下」という言葉は一般的ではなく、一般には「学校管理下」という語を用いる。ここだけ見ても、学校関係者が関わっていないことがよく分かる。まあ、それは措いておこう。

・実際問題、大会主催者が高校生の保険加入をしてくれるのなら、学校管理下であるかどうかなどは、たいした問題にはならない。「学校管理下か否か」が問題になるのは、ひとえに「独立行政法人日本スポーツ振興センター」の災害共済給付になるかどうかを判断するときだけだからだ。要は、「学校管理下」であれば、怪我をしたり事故に巻き込まれたりしても、ちゃんと給付金(平たく言えば生徒ほぼ全員に関わる保険金のようなもの)がおりる、というだけの話なのだ。

・部活動など「学校外で行われること」が、「学校管理下」であると認められるのは、基本的に学校長の指導監督の下、顧問などが引率している場合に限る(一応引率していない場合も学校管理下になる場合もあるが、遠方での活動の場合は認められないだろう)。顧問・担任の承諾書だけで「学校管理下」と認めさせるのは、やや無理があるような気がする。もちろん、協会が独立行政法人日本スポーツ振興センターに問い合わせてそうしたのなら別だが。

・一般的に言って、学校が生徒を大会に出場させる場合、「学校としての責任を果たす」ための最低条件として「何かあったときに保険金がちゃんとおりるようにしておく」というのがある。さっきの給付だけでは足りないから、例えば遠征に出る場合などは、校長名で参加承諾書兼お金を集める文書を作成し、ちゃんと保険に入るようにするのが普通のやり方である。「校長名」というところが、ポイントである。

・何度でも言うが、私は「大会主催者が保険加入(参加者負担でよい)しておけば、大会運営には全く問題がない」と考えている。学校の同意など必要ない。ただ、どうしても「学校が同意している」という雰囲気を出したいのであれば、「顧問や担任」などの同意は何の役にも立たない。やはり校長の同意をもらうべきである。

・学校というところで行われる業務は、「校長が行うべき業務」を顧問や担任が代わりにやっている、という位置づけだと思えば、ほぼ間違いない(「校長」は都道府県教育委員会という大企業の支店長だと思えば良い)。だから、注意を要する業務についてはいちいち校長(の代わりに教頭に)相談する。私が危惧するのは、そういうことをよく分かっていない若手の教員(結構いるんだこれが)が、独断で「生徒の参加に同意」してしまわないか、という点である。「高校生が参加したいと言っているのだから、学校が反対しても、私が同意の捺印をしよう」などと考える「心優しい」先生がいたら、大変なことだ。そんなことをして何か起きたら、間違いなく処分対象になるであろうし、「学校管理下」と世間から認めてもらうのも厳しいであろう。

・いろいろな協会のHPを見ると、引率者を必要とする大会は「高体連共催」のものがほとんどである。それ以外の大会については、学校からの引率無しで、本人や保護者の責任で参加し、協会が最終的な責任をとっている。協会ってそういうものではないのか

・というか、「学校同意書」とか「引率委嘱状」とかの様式を、なぜ公開しないのだろう?

・以上、教員として割と当たり前の感覚で綴ってみた。何か事故があったときの保障が無い状態で、大会を開くのは危ないよなー。


クイズ的な、あまりにクイズ的な 2018/5/27()

・本日のQUIRE(秋田クイズを楽しむ会)例会では、こんなクイズを。

・「これは誰でしょう」ビジュアルクイズ。15問限定。ただし問題はすべて「後ろ姿」が出題される(解答者には最初伏せている)。これがなかなか難問だったようで、私としては非常に面白かった。ちなみに出題したのは、「東大全学連と討議している三島由紀夫」とか「指揮をしているフルトベングラー」とか「EDWINCMの宮沢りえ」とか「ローマの休日のヘップバーン」とか「千代の富士と取組中の霧島」とか、そういうやつ。「将棋解説中の村山聖」は正解者ゼロだった。

・何で後ろ姿に注目したのか。最初は普通に作って「これは誰」を作っていたのだが、フルトベングラーが指揮をしている映像を見ていたら、「このおっさんの後ろ姿って、出題したら笑えるなー」と思ってしまったのである。で、そうやって探していくと、結構後ろ姿は笑えるような気がしたのだ。

・そういえば昔、「世界まるごとHOWマッチ」スペシャルかなんかで、アラン・ドロンの後ろ姿を出題していたこともあった。だからまあ、オリジナルじゃないと言えばオリジナルじゃないわけだが、15問集めたヤツは今までいなかったんじゃないかな。

・さて、ここからが本題。クイズの難易度設定というのは本当に難しい。誰も分からない問題だと、(スルーなのはまあいいとして)正解を発表してもリアクションはないし、みんなが分かる問題だともちろん面白くないし。

・浮き世離れしていないネタで、かつボードクイズでも正解者が多くないような、正解を発表したとき「あーなるほどなー」というリアクションが起きやすいクイズというのは、一つの(あくまで一つの)理想の姿である。「後ろ姿で誰でしょうクイズ」は、そういう可能性をもつ形式だなー、と問題を作りながら思っていた。で、出題してみて、やっぱりそうだった。ということで、今回の実践的クイズ研究でした。

・今回は早押し用問題も50問強用意していたが、こちらはお預け。次の回のときに100問くらいにして大放出をする予定。


一顧問として思う 2018/5/23()

・昨今の「高文連クイズ部会問題」について、思うところを。

・基本的なスタンスはここに書いたとおりだが、すこし付け加える。そもそもの大前提として、「どんだけ高校生ががんばって活動したとしても、高文連麻雀専門部会とかトランプ専門部会とかナゾトキ専門部会はできないよなー」という話なら、誰しも納得がいくのではないか。クイズ専門部会も、そういう類の話だと思う。

・私はそもそも「クイズは遊びだ」と思っているので、部活動ではなく同好会で活動する方がふさわしいと思っている。麻雀もトランプもナゾトキも、そういう類の遊戯だと思う。百歩譲って「競技クイズ部」を作るなら分からないでもないが、それを実現できる体力をもった公立高校が、そんなに存在するとも思えない。

・だいたいなぜに、かくも「高文連クイズ専門部会」を作りたがっているのか。無い方が自由に遊べると思うのだが。考えるに、「高文連クイズ部会を作るために努力すること」以外に、日本クイズ協会の存在意義を設定できないからではないか? だって、定款にある事業内容って、ほとんどはもう誰かに先を越されている(そして成果がある程度出ている)ことばっかりだもの。「ランキングや段位認定があるじゃん」と思う向きもあろうが、協会がランキングつけたってどうせ誰も納得しないって。 

・そういえば、「クイズ界」とか「クイズの普及」とかについて、多少の議論を目にした。「クイズ界」を広げることが「クイズの普及」ってわけでもないよなあ、・・・と思ったところで、ふと疑問が浮かんだ。「クイズ界」って何処?

・「クイズの普及」ということについて言えば、「クイズを非日常としている人達」が、日常的にクイズに触れる(テレビを見るというレベルではなく)ようになるのが「普及した」という状態なのだろうか。だとすると、私は「クイズが普及する」ということについてやや悲観的な見方をしている。もし、もうちょっとゆるい基準(クイズの本を読む、とか)で「普及」を定義するなら、実現可能性が高まる、とも思う。どっちにしても、「普及」ってどういう状態?

・多くの一般の人は、クイズが非日常だから面白いと感じるのではないか、と言うのが私の仮説。例えばボウリングを毎日のように楽しんでいる人もいれば、ごくたまに遊んで楽しむ人もいる。クイズもそういう感じだろう。ただ、ボウリングはヘタでもヘタなりに楽しく遊べるが、クイズは基本的に答えられないと全然楽しくない。そこにも普及を妨げる壁があるように思う。

・翻って「クイズ界を広げること」なら、少しだけ実現しているように思う。それはそれで、まあそれなりに喜ばしいことだと思う(皮肉ではない)。ただ、クイズ界を広げることと、クイズ界で行われているようなクイズが文化として日本社会に根付くことは、たぶん一致しない、かな。


業務連絡 2018/5/8()

ここで紹介されるとアクセスカウントがいつもの倍以上になる。影響力ありまくり。前回書き忘れたことを書いておくと、俳句(川柳も)のべからず集は、表現上の必然性がそれなりに存在し、且つそのルールは俳句の世界を決して狭めていない。クイズの「べからず集」は、競技性を高める(ことが良いことかは別として)ためだけに存在しており、結果としてクイズを狭めてしまっている場合が多い。俳句とクイズの共通点は、排他的な結社性にこそある・・・っつー話は既に書いた。

・業務連絡。某クイズ番組の予選150問を、戯れにやってみた。結果は85点。日常的にクイズをしているわけでもないので、まあこんなもんでしょ。割とベタっぽい問題やら昔テレビで出た問題やら渋めの時事やらを混ぜて平均点を上げる(=もう少しで抜けられそうだぞ、と多くの人に感じさせる)努力をしたようですな。前回が難しすぎたからね。同時に、(多分)世に出回っている問題集から少しずつ問題を引っ張ってきて、ちゃんと上位者(=クイズの勉強を日常的にしている人達)のみが勝ち抜けるようにしている。そういう技術だけ向上するのが現在のクイズ界なのね。

・まったくどうでもいいことなのだが、頭の回転を速くする方法を教えるのが、日本クイズ協会の仕事なの?


このはしわたるべからず 2018/5/7()

・いよいよ農作業も始まり、ややテンションが上がっております。たまに書くため長文になります。ま、連続ツイートみたいなもんだと思っていただければ。

・奇遇にも、この方この方が同じような記録媒体に(大きさは違うようだが)問題作成をされていると言うことを知った。カードにクイズ問題を記述する、と言うことについて、思うところを少し。

・実は、私も高校の頃、クイズ問題をカードに記述して記録しようと思っていた時期があって、カードを100枚入りで購入したことがある(詳しくメーカーは覚えていないが、田舎で売っていたのはコクヨくらいだったと思う)。

・その頃はワープロなど無いので、元々ノートやルーズリーフに問題を記述していた。カードを使おうと思ったきっかけは、やはりウルトラクイズのマネだったと思う。メモのとり方にしても、(教員としての)授業の予習の仕方にしても、最初はいろいろ試行錯誤してスタイルを決めるものだ。その一環だったと思う。

・で、結局2〜3問くらい書いたところでやめてしまった。その理由として、(1)カードはなかなか高い(2)ノートなどと違い、綺麗に書こうとしすぎてしまい、とにかく億劫(3)((2)と同じ理由で)推敲しにくい(4)割とかさばる(5)整理がめんどい(6)たくさんの問題が一望できる方がいろいろ便利、などなど。結局、高校時代は1冊のノートにすべて作問。大学時代はワープロ、仕事してからはパソコン(excel)で問題を作っている。

・私は、自分で作った問題を平気で忘れてしまうような人間なので、問題の管理をどうするかが結構悩ましい。今はexcelで作ったデータを「PDIC」で検索できるようにしてあるのでかなり便利。こないだも「ですが」「では」問題をまとめるのに5分とかからなかった。

・別にカードでの問題作成を否定しているわけではない。面倒くさがりの私には向いていないというだけである。人には特性による向き不向きがある。そういうのも含めて、多くのプレーヤーが自分のスタイルを紹介したら、若い人には参考になるんじゃない? 

・別件だが、ここで紹介されている「クイズは知識の俳句である」ということばを、始めて知った。私は「クイズと俳句はよく似てる」という文章をものしたことがある。「クイズ界の派閥争い」に絡んで、もう一度読み直す価値のある文章だと思ったので、ここに紹介しておく。ま、

・そういえば、芸能人が俳句を作って、それを添削する番組があるようで、ほんの少しだけ見た。ああいう番組が成立するのは、俳句には俳句の世界で広く認知された「べからず集」が存在するからだ(例:「俳句」講談社学術文庫)。で、「べからず集」のうち、割と世間の人にも分かりやすい部分だけを使って添削しているから、バラエティーとして成立するのだろう。たぶん、俳句を趣味とする人の中には、「こんなの俳句じゃなねーよ」と思っている人がきっといることだろう。世間ウケだけを狙った俳句風番組、と取る人が。

・翻って「クイズ」の「べからず集」は、世間の人にも分かりやすいようになっているだろうか? 


何の試験の時間なんだ 何を裁く秤なんだ(TOKIO名曲シリーズ最終回) 2018/5/2()

・何のことだろうかと思っていろいろ探して、私もやってみたら、奇遇なことに24点。ふわふわした感じの問題が多く(褒め言葉です)、これは完全にひとつの個性として成立している問題群と感じた(ペーパー以外の問題は知らないが)。みんなこれの対策問題を必死で作ってるわけね。分かるような分からないような。

・勝負がかかっているのだから、対策する気持ちは分からないではないけど、対策しないでフラットな感じでふらっと解答した方が面白いように、私は感じたもので。

・日本クイズ協会、協会費を払うことが参加の前提になっていることに批判する向きもあるが、まあ「協会」と名の付くものはみんなそんなもんなので、私は特に批判するつもりはない。ただ、そうすることで「クイズマニア(及びその予備軍)」しか参加しない大会になるのは明らか。目標の「クイズの普及啓発」と「クイズの公的地位向上」は達成されるか否か?

・高校生の方のクイズの目標は「ニュースを読む力」「社会に根差した良質な知識や教養」「フェイクニュースを見分けるメディアリテラシー」だそうだ。「クイズ」というものに教育的効果を期待しすぎなんじゃないでしょうか。我々授業では、クイズ的じゃない質問を心掛けておりますですがね。つーか、「社会に根ざした良質な知識や教養」って何?

・にしても、ホントに田中健一さんひとりで全部問題を作るのだろうか? 


あ〜らホントに現代的だわね 2018/4/17()

・新年度が始まり、忙しい。で、思ったことを久しぶりに吐き出しておきたい。

・「99人の壁」、確かにそこそこ面白く見た。「フジテレビ的バラエティの復活!」と大げさな標語が踊るネット記事を見るにつけ、「第3回は絶対パワーダウンするよなー」と思っている自分が間違っているのか?と感じた。

・保険かけまくって、それがすべて良い方向に流れたのが今回。切手マニアが百万円取ったが、どう見ても5問目をクイズマニア同士のたたき合いにして、どっちに転んでも盛り上がるように仕掛けただけかな、と。実際そうじゃなくても、私にはそう見えてしまった。だって「四十八文、」と来れば俺だって押すぜ。しかも、切手マニアはクイズ研究会だし。

・たぶん、Toshiの5問セットも、5問目は易しめにしたつもりだろうが、図らずもToshiが早く正解しちゃった(先の4問でクイズ慣れしたのが絶対原因だと思う)、というところかな? にしても、タレントが絡む視聴者参加クイズ番組って、どうも好きになれない(これを私は「森山周一郎現象」と呼んでいる)。

・保険をかけるのはテレビ番組として当然だとしても、そこに露骨さが見えようになると視聴者が離れるようにできている。現代は「保険を掛けないこと」を売りにする番組ほど人気がある。3回同じことをやると、偶然じゃなくなるからね。

・という意味で、高校生クイズがスタイルを変更するのは賢明。もうばれてるからね。まあ「地頭力」を見せるには、やっぱ早い段階でキャラ立ちする少数のチームを残して、めいっぱい楽しく動いてもらうしかないと思うけど。

・やっとクイズ王の「タモリ倶楽部」が秋田で放送されたので、やっとここに書いてある「ダイヤモンドと真珠云々」の意味が分かった。とりあえず、タモリ倶楽部のオールドファンから言わせてもらうと、タモリ倶楽部的には全然面白くない回でしたね。こんなこと書くから、方々で「辛口」「激辛」と言われるんだよなー。

・戯れに、私のページ上にある「。では、」「〜ですが、」を含むクイズ問題を一覧にしておいた。何の参考になるのかわからないが。

この記事を見たら、世田谷一郎名義で曲を発表する発想は、私がクイズ問題を公表するのとおんなじだと感じた。そう、そういうことなんですよ。


「東大風」=東大じゃないのに東大っぽいね、という意味 2018/3/15()

・ちょっとマニアックな話ですが(いつもじゃん)。長文です。

・「東大風って言われているのは君の問題のことを指してるんだ。我々は関係ないから!」と言ったのは事実ですね。

・「東大王」とやらで東大クイズ研のイメージが全然変わってしまった今の時代、「東大風って何?」という向きも強いが、昔話として記録しておく。まず、東大風の起源なるものを解説するとすれば、概ねここに書いてある通りだろうと思う。では東大風って何?と言われれば、「〜なのは何故?」とか「クイズに出す単語をどんどん広げていく」とか、「身もふたもない問い方をする」とか、まあそういうやつか。

・まあ、私は直接のモロな関係者なので、「東大風」の歴史をひもとく資格はないわけで、この辺の分析は後進に任せる(誰がするんだそんなの)。今日話題にしたいのは、「クイズは誰の影響を受けるのか」という話。

・ビートルズのリバプール訛りの歌い方(は私にはよく分からんが)は、ポピュラーソングをアメリカ英語で歌うべきだとする呪縛から、イギリスの若者を解き放った。彼らはそこに「自由」を感じた、らしい。表現者が、何かをきっかけに自由を感じてインスパイアされる、という状況は非常に多い。

・そもそもクイズ問題というのは、型通りに作ってしまいやすいものである。疑問を表す文ならどんな文でもクイズ問題となる、はずなのだが、実際はそうなっていない。問題文の自由度というのは、案外低いものなのだ(そういう傾向はどんどん強まっているけどね)。

・私が大学に入った頃(1994年)のクイズ研究会界隈の問題群が、まさにそうだった。クイズ王決定戦に対応するために、似たような問題を量産し対策しまくった。その残滓でオープン大会が行われていた、と表現すると言い過ぎだろうか。もちろん、問題文に自由度がないことが、クイズが楽しくないこととイコールではないことは分かっている。ただ、私にはあんまり楽しくなかった。

・そんな中、水谷さんや秋元さんの問題群は、鮮烈だった。問題文の自由度をひらっと越えているように感じたからだ。正確にはお二人の作風はちょっと違う。水谷さんは既存の問題文の形式を使ってパロディーを行ったり、それまでクイズに出ないような題材をそこに乗っけたりした。割と「クイズ」を相対化する試みが多かったように思う。

・秋元さんは1問1問練りに練って作る。だから、問題にハズレがない(私はいっぱいある)。とにかく、1問1問に主張とか問題提起とかが感じられるのである。たとえてみれば、水谷さんは大喜利で言うところのバカリズムであり、秋元さんは千原ジュニアと言うところか。因みに私は・・・堀内健を目指したい。

・要は、「どんな問題でも作って良いんだ」「こういう問題を発表しても良いんだ」ということを、お二人から学んだわけだ。だから、問題の文体の面で直接的に影響を受けた、と言う感じはあまりない(ちょっとはある)。そんな1994〜5年あたりは、私だけでなくいろんなメンバーが、好き勝手に問題を作りまくった。どんな問題を作っても誰も文句を言わない。そんな環境が、楽しくないわけがない。もうクイズが楽しくて仕方がなかった時代だ。ちなみに私は広報担当だったので、それをかさに、ウチの代の問題をムリヤリ集めて、後にちゃんと冊子にまとめといた。これは非常によいことをしたと思っている。

・このころ、クイズ界(なんてあるの?)では奇しくも長文前振り問題が本格化している。つまり「長文前振り問題」も、「東大風」と同じ時期に、クイズ王決定戦的な問題群ではない、新たな問題群の模索から萌芽が見られた別の流れだったのである。ただ、長文前振り問題の方が進化と完成が速かったから、同じ時期に見えないだけだ。

・さて、私がなぜ鶴君=東大風と言ったのかというと、鶴君は、私たちの世代がむちゃくちゃに作りまくった様々な問題群の特徴を、少しずつ含んだ問題群を作っているからである。そこにもちろん、鶴君の個性(ぶっきらぼうな感じとか)が加味されているわけで、そういう意味ではやっぱり鶴君のオリジナル。要は、彼は東大風の完成者だということだ。で、後の時代の人(土屋君とか松崎君とか)は、基本的に鶴君の影響を受けていると思うので、やっぱ「東大風は鶴君のことだ」と言いたくなるのである。東大じゃないけどね。

・鶴君にとって嬉しいたとえをしておこう。漫才ブームの後に既存の漫才の新しい部分をほとんど併せ持ったダウンタウンが現れたでしょう。これが鶴君の問題なわけ。ダウンタウンだから、彼は問題を作り続けるしかない。「これが俺のスタンダードだ!」「引かば引け!」とばかりに、出題しまくってちょーだい。


東大生こそマラソンすべき(TQC先人の言葉その1) 2018/3/13()

こういうのに参加してきた。不特定(か?)多数の人とクイズをするのは、ものすごく久しぶり。たくさんの収穫があったので、羅列的に覚え書きを。長文です。失礼を。

・その1。現役やら東大王やらジャパン最強やらの早押しを、ごく近くで体験できたことで、彼らの「確定ポイント」というものが、何となく体感できたこと。

・私なんかだと、例えば(例えば、ですよ)「鴃舌」っつー答えになる問題があったとして、「モズがさえずる」という前振りを聞くと、「あ、言葉問題だな(田中さんは言葉問題が比較的多い)・・・モズは漢字で鴃・・・鴃舌かな・・・」とか思っているうちに「外国人の言葉が云々」と聞こえてきて、ボタンを押す訳である。ところが、こんなの確定ポイントと意識してさえいれば、「モズがさえずる」で押せちゃう。つーか押しちゃう。

・「競技クイズ」の早押しクイズなら、そこを突き詰めて問題文(+読み方)を練れば良いのだろう。というか、もうそういう技術論はほぼ巷間出そろっている。私としてはやはり、そうではない早押しクイズの問題文を作る技術を整理し、実作に励まねばならない。そのために若い人達の押しを(理解はしていたつもりだが)体感した経験は生きるはずだ。その思いを強くした。

・2つめ。まだまだクイズネタになることってたくさんあるのね。田中さんの「何でも問題にする姿勢」を見て感じた。最近問題作りをサボっているなーと痛感。このところ、例会近くになってやっと成文化する自転車操業の繰り返し。昔は使おうが使うまいが、数が勝負とばかりとにかく成文化しておいたのに(だから最近ボツ問がほとんどない)。もっと真面目に問題作成に取り組もう。

・3つめ。もっと解答者として真面目にクイズに取り組もうかなーなどと思ってみたり。私は勝負事が苦手である。気が弱いとか、そういうのではなく、「絶対勝ちたい!」「こいつには負けてなるものか!」などと思う心が基本的に欠落しているのである。だから、ライバルもいない。勝ち負けにこだわらなすぎなのだ。

・ただ、今回クイズをしてみて、「自分が取れる問題を確実に取る」という目標を持つのは楽しいかも、と思った。結局悔しいのは「分かる問題を落としたとき」だったから。誰かと自分を比べてクイズをするのは、あんまハッピーじゃないよなー(個人的な感想です)。だってやっぱり問題傾向って勝敗にものすごく関係あるからね。クイズに負けて「自分は負け犬だ」と自分を追い込む人もいるようだが、楽しいクイズが楽しくなくなっちゃうでしょうが。市民マラソンに参加するランナーの気持ちでいいんじゃないかと。

・最後に、やはり主催者の田中健一さんはすごい。よくウルトラクイズのスタッフが「必死で1万問用意した」と語っているが、田中さんは時間さえあれば1万問くらい読み続けるのではないか? いつも我々後輩一同、それに甘えすぎているのかもしれない。本当に嫌な顔ひとつせず、いくらでも問題を出してくださるのだ。こういう人を「クイズ神」と呼んだ方がよいのではないか。「神」は下々の者と戦わないものだ。いつか思う存分、田中さんがクイズを答えるシチュエーションを作って、恩返しをしないといけない。そう思っていた矢先、その後のビンゴ大会で恩返しの機会を得た。ちっぽけな恩返しだが。

・5年後にでも、機会があれば「私がクイズ企画をします!」と手を挙げて、歴戦の勇士を集めた大会を主催してみたいものだ、そのためにとっておきの問題を1000問くらい今から作るぞ・・・などと夢想してみたが、田中健一さんだからこそ参加者が集まるのであって、私なんぞが主催しても誰も参加しないだろう。かといってあと5年で有名プレーヤーになる、ってのもなー。

・その他の収穫は、神保町で「漢文の語法(西田太一郎)」「ヂンタ以来(堀内敬三)」をあり得ないくらい廉価で購入したことだったとさ。


クイズの勉強というものを、ちょっとやってきたものですから 2018/2/15()

・諸事情あって、「クイズに出そうなネタ」を気にして生きる日々が続いている。疲れる。覚えなければ、と言う思いを持って物事に接したことがほとんどないから。クイズ問題にできそうなネタ、を気にしていることはしょっちゅうなのに、「出そうなネタ」を気にして生きてきたことがいままでほとんどない。

前にも書いたが、私にとって「クイズの問題集」は「作品集」である(にしても「攻撃すべきは、あの者たちの神だ」とばかりに批判全開の文章だのう。若い若い)。だから私にとって、他人の問題集を読むのも、小説を読むのも、句集を読むのも、全然変わらない。だから、「問題集の問題を覚える」という勉強法を、基本的にしたことがない。「基本的に」というのは、高校くらいの時、一時期やりかけたことを指す。残念ながら私は記憶力がない方(=頭脳王に出ない方)の東大生なので、無理だと悟り、やめてしまった。別に覚えなくても、当時はそこそこ答えられたし。

・「クイズの問題集」=「作品集」なので、問題から個性がにじみ出ることを良しとする気持ちはこのころと変わらない。ただ、ここまで問題が量産されてしまうと、「自分しか作らないような問題」を「狙って」作ることがかなり難しくなっているのも感じる。それは「ネタそのもの」という意味でも「ネタの料理法」という意味でも。

・それだけ、クイズ問題作者が増え、問題のバリエーションも増え、いろいろなパターンを面白がってくれる素地ができた、ということかもしれない(一方でコアなところはどんどんコアになっている)。最近だと、ヘレン=ケラーが来日したときの映像を問題として出題できる準備をしていたら、「東大王」で出たことを知り非常にガッカリした。

・ではこの時代、クイズ作者の「個性」をいかにして出せば良いかという話になるのだが、私の答えは「多くの問題を提示していれば、そのうち個性っぽいものを世間が感じ取るはずだ」というものである。だから、「マンオブ対策問題」などという、別に私が作らなくてもいい問題群でも、遠慮なく発表してしまっているのだ。

・つーことで、やっぱクイズ問題をタダで掲載しているHP最高!と自画自賛したくなるのだった。


高校生について 2018/2/7()

・縁あって(なのか?)ほんのちょっとだけだが、高校生と早押しクイズをする機会があった。

・ほとんどクイズのキャリアは無いはずなのに、決まり切った問題や一度聞いた前振りには、とにかく反応が早い。私は指が遅い方なので、全然ボタンがつかない。一方、高校生は決して知識量が多いわけではないので(=キャリアがないから仕方がない)、私が押せる問題も結構あった。史上最強初期の水津康夫状態、とでもいうところか。

・にしても、早押し機の魔力というのは恐ろしいもので、それがあると自然と高校生たちが集まり、クイズの結果に一喜一憂し、結果何となくサークルを作ってしまう。あとは顧問を引き受けてくれる教員を探すだけ、という状況まですぐ進んでいく。

・「正解すると楽しい」という気持ちを増幅させる装置として、早押し機というものは非常に良くできている。高校生以下には廉価な早押し機を与えるだけでいいのかもしれない。日本クイズ協会に限らず、本気でクイズを普及したかったら、廉価な早押し機を販売してくれるメーカーを探して、需要予測などを提供するのが早いかも。

・もちろん、クイズの楽しみ方として「早押し」は一部にすぎない。入口は早押しであったとしても、それだけでは豊かなクイズ文化になるわけがない。種々のクイズ大会に見られる「行きすぎた早押し絶対主義」は、クイズを「ポイントの整理とそれへの反応」に収斂させてしまう。つーか、現に収斂されちゃっている。「それこそが競技クイズだ」というのは別に構わないが、他のクイズを考える人が少しはいてもいいよね。


何にでも「王」を付けるの、そろそろやめない? 2018/2/5()

・頭脳王視聴。感想を一言で言えば、「作り手が飽きているようなものを、視聴者が面白く感じるわけねーじゃん」。

・みんな「やらせか否か」について、印象批評に終始している感があるので、野暮ったいけれども多少解説をしてみよう。なお、解説したからと言って、私が同じように答えられるわけでは無いことを付言しておく。また、「そんなこと言われなくても分かるわ!」というクイズ屋のツッコミも無視する。

・DNA解析の問題。「全49万885塩基対の一部を抜粋」という注釈のみが解答の根拠になっている(と思う)。

・問題を難しくしているように見せかけて、実は易しくしているというワザもなかなか手が込んでいる。「クールベ」だけ答えさせれば良いのに、「作者が描けないと言ったもの」まで答えさせる必要ってありますか?

・「笙」の問題は竹が17本だということから想像できる。

・点字は解答者が説明していたように(説明させなくていいんじゃないの?)「め」「あ」が読めればあとはヒントがあったから簡単。「め」「あ」の読み方はクイズで問われるし。ホントに点字の知識を問いたかったらノーヒントでもっと長文にすべきだし。ちなみに、私は点字がだいたい読めます。

・あとは、だいたい「クイズに出る」か「対策して暗記しまくってきた」か「単なる計算」か、その辺。

・ということで、「やらせか否か」という点について言えば、私は「やらせはない」と考える。つーか、今のクイズ番組で「やらせ」なんかやろうものなら大変なことが起きるよ。

・ただ、解答者の知識傾向や触れているはずの問題集、もしかしたらクイズにおける解答歴などを加味して、制作側が「答えられそうな問題」を「差し込んでいる」可能性はあるだろう。

・ま、もう終わり時じゃないですかね。


平成8年出題問題 2018/1/14()

このコーナーのクイズ問題を4年ぶりにアップしました。

・にしても、自作問題ではあるが、何せ22年前の問題。まるで他人の文章を添削しているみたいな錯覚。

・今後もこのコーナー、5年計画くらいで気長にアップしていきます。一応すべての問題のウラを取り直しているので。


お年玉その2 2018/1/6()

・またまたクイズ問題をアップ。需要がなくてもとにかく発表するのが大切なのだ、と思う(そうか?)。

・私は、自作問題を作るのは割とすぐできるのだが、対策問題を作るのがエライ苦手である。だから、こういうとき自作問題を見直すようにしている。もしくはこういうとき、その人の問題に似ているテイストの問題群を眺めるようにしている。「こういうとき」がどういうときか、伝わった人への業務連絡だと思ってください。


元旦に思う 2018/1/1()

・元日から、なぜかクイズ問題をアップした。たいして面白くもない問題群ですが。

・「99人の壁」視聴。フジテレビのバラエティーっぽく仕上がっていて、結構面白かった。ただ、1時間番組にあの労力(問題作成が大変・参加者のオーディション・その他諸々)をかけている点については、歓迎したいことと思いつつ、他人事ながら「大丈夫かいな」と心配になってしまう。

・私は常々「答える側が一番面白いクイズは、自分の詳しいことについてのカルトQだ」と公言してきたが、その理由がこの番組を見ただけで分かる。解答者のキャラ付け、答える嬉しさと阻止される悔しさの演出、さらに「これなら出てみたい」と思わせる内容。よくできている。

・こういう番組だと、一番難しいのは問題の難易度設定なのだが、今回のはちょうどいいんではないかと思った。クイズチックな問題が少ないのも好感。

・ところで、最近「歌詞棒読みクイズ」というのを良く耳にするのだが、私は1995年に実施している(TQC企画「第1回上級生歓迎クイズ大会」において)。ただしここでは「2・3番イントロクイズ」と銘打って、有名な曲の2番か3番の歌詞を読み上げるという形式であった。そういう出題もできるということを一応紹介しておく。

・一方、「クイズサバイバー」はちらちら見ていた。一般人クイズ王との戦いより、「一般芸能人」対「クイズ強豪芸能人」とかの方が、盛り上がるんじゃないのかなあ、などと思ったり。


今年を振り返る 2017/12/27()

・今年は本業がやや忙しく、HPにも125問しか更新できなかった。私も成文化しない問題がじゃんじゃんたまっていく・・・こんな経験は珍しい。知的生活のあり方が、加齢とともに変わってきたということだろうか。

・今年のクイズ番組を振り返る・・・のは私には無理。普段本当に全然クイズ番組を見ないからである。このツイートを見るにつけ、「私は本当はクイズ番組をあまり好んでいないのでは?」と自己発見する日々である。

・一方で、ゴリゴリの「競技クイズ」である「EKIDEN」「abc」がBSに初登場したのを見た。一般の人の反響ってどんなもんだんだろ。私の感想は・・・「見てて疲れた」。いやー、クイズにはこういう世界もあるんですね。基本的には「早押し至上主義」と言える。「早押しこそクイズだ!」という状況は、まだまだ当分続きそう。

・「早押しクイズ」は非常にテレビ映えする形式であることは間違いない。テレビのクイズ王決定戦から離れて独自の進化を遂げてきたはずのクイズ界が、早押し以外の形式を磨いてこなかったのはどうしてなのだろう?

・実はクイズ屋さんたちが目指してきたのは、テレビから離れたにもかかわらず、「テレビ映えする要素をとことん追究すること」だったからではないか。もっとはっきり言えば、「史上最強」のもつ2大要素「超早押し」「知識主義」を、様々な形で「別々に」or「併せて」追究したのが今の主流派のクイズだということ。「abc」は言うまでもなく「超早押し」の所を突き詰めた(史上最強の早押しに出るような問題を、社会人たちは「基本問題」と呼ぶはずだからね)。「KnockOut」は(おおざっぱに言って)予選で知識主義を、本戦で超早押しを見せた。「史上最強」に含まれないようなクイズ的要素は、少なくともメインストリームと考えられなかった。

・この辺は、クイズ屋がテレビから離れた(つーかテレビ番組に出られなくなった)1995年頃からずっと続く傾向だと言える。このころ生まれた「長文難問」は、知識主義と超早押しをマッチさせようとした「発明品」なのだが、これを「テレビのクイズにあった制約(難易度・問題文の長さ)を破ろうとした問題群だった」と位置づけるだけでは、事の半面しか見えていない。「テレビ映えする要素の飽くなき追究」=「テレビで放映するに堪えうるクイズの追究」という無意識的な意図が隠されていたことを銘記しておくべきだろう。

・だから、BSだろうがなんだろうが、本気の「クイズ王決定戦」ができたとき、みんな手放しで(たぶん)喜んだのだ。自分のしていたクイズが、いかにマニアックで世間と隔絶されたものであろうと、いつかテレビで活躍できる日を(心の何処かで)信じていたということだ。常にクイズ屋の頭にあるのは、「テレビ」なのである。

・全然今年を振り返ってねーじゃん。つい筆がすべってしまうので。

・仕事柄、最近小難しい評論ばっかり読んでいるので、頭が屁理屈っぽくなっていかんですな。


ハズレ! 2017/12/24()

・KnockOut第3回開催決定だそうだ。ということで、私がここに書いた予想は外れたということで。

・ただ、主張内容については別に変わったところもないので、そのまま記事としては残しておく。


こたえは 2017/12/21()

この問題の答えは「ど」ですね。私もテリトリーなもので。


ヨーロッパの国で唯一世界遺産がないのは何処?(やっぱつまらんね) 2017/12/19()3

・秋元さんが常日頃「世界遺産クイズ批判」をしている(たとえばここ)。私自身は、世界遺産のクイズ問題にさほど触れていなかったこともあり、そこまでこの話にピンときていなかった。また、たとえば、謎解き系の問題が流行しているらしい、ということについても、実は全然ピンときていなかった。

・どうやら秋田県で放送されていないTBS系列「東大王」とか、秋田でも放送されてる「ナゾトレ」とか、いずれ私が見たことがない番組で流行しているらしいことに気付いた。そんだけ世間に疎いということです。

・だいたい、「世界遺産」とわざわざ銘打たなければ問題が成立しないような世界遺産は、問題にする必要性がない(一読してわかりにくい文だということは承知の上で書いている)。東大寺とか日光東照宮とかを紹介するのに、「世界遺産」などという肩書きは全く必要ないはずなのだ。確かに、元興寺とか仁和寺とか上賀茂神社とかだと、「世界遺産」と銘打ちたくなるかな。結局今のテレビはどんなものにも「肩書き」が必要なのよ。「肩書き」があるものしかテレビに出せないんだね。「世界遺産」はキャッチーな肩書きだということで。

・「世界遺産をどれだけたくさん知っているか」をクイズの実力の目安にする、というコンセンサスがもしかしたらあるのか?

・かくいう私も、ブックオフで108円だったので、「世界遺産検定」なる本を1年くらい前に購入した(私は検定本マニアで、秘書検定とかFP検定とかケアマネとか登録販売者とか、そういう検定本をざっと読んで分かった気になってすぐ捨てるのが趣味なのだ)。しかし、まだ本を開いてすらいない。やっぱ面白くないのよ。なのに何で買ったかというと、昔某番組の予選で「コパンのマヤ遺跡は何処の国」みたいな問題が出て、答えられなかったことがあるからかもしれない(答えはホンジュラス)。ま、今思えば時事問題なんだろうけど。ちなみに、その番組には出場できた。難しい問題は答えない方がいいかもしれない。

・世界遺産にかぎらず、難問と銘打ったクイズで出題されやすいジャンルというのは、元をたどると「史上最強」のカプセルクイズ出題ジャンルにいきつく。つーか、もっと元をたどれば「舶来コンプレックス」「伝統文化は偉いぞコンプレックス」という日本人の弊にまでいきつくような気がする。

・にしても、どんなクイズ事情をアップデートしたか気になる。


およそ人は自分の望みを勝手に信じてしまう(ガリア戦記) 2017/11/24()

・クイズ問題をアップしました。

・さて、私も一応「週刊女性」の記事を読んでみた。にしても、クイズ番組について聞く人間違ってるんじゃないかい? 2人とも私の1〜2歳年上に過ぎない。せめてもう少し年配の人に聞いたら?

・まずは細かいところから。ウルトラクイズが「約1か月にわたって毎週放送されるスペシャル放送番組として始まるやいなや、見る者の度肝を抜いた」。第1回は2週しか放送していませんが。

・秋元さんも指摘しているとおり、漫才ブームがクイズ番組を終わらせたというのは、無理がある分析だろう。クイズグランプリ以外にそういう番組がどのくらいあるというのか。そもそも、テレビ番組の寿命なんて、超有名番組を除けば、それほど長くない。つーか、クイズ番組というのは、割に飽きられやすい性質を持っている。漫才ブームが無くても、終わる番組は終わるのだ。

・「クイズというのは知識に結びつくものなのだ、子どもの学習能力を上げるには最適なもの」とは、さすが理事の発言というところか。私はクイズが子どもの学習能力を上げるとは思わない。少なくとも、そういったノウハウの蓄積が、クイズ界にあるとは思えない。単発の知識など、いくら詰め込んだところで何にもならない。私立大学の難問入試(日本史とか)なら少しだけ対応できるようになるかもしれないけどね。

・今日はとりあえずこの辺で。もう少し続きます。


では、わたしも・・・ 2017/11/12()

 

 

1.竹下

2.右近

3.増茂

4.山口

5.五十音

6.徳久

あなたの正解数

6

4

5

6

4

3

あなたの総合ポイント

29.63728893


エイリアン2は、後半(以下略)(松本人志名言シリーズ1) 2017/11/9()

・何やかんや忙しくて更新してなかった。なので、今更ではあるが、「Knock Out」の3回目は実施されない、と見ていいような気がする。何故そう思うかをつらつらと。

・1回目と2回目の違いは、@問題の難易度が上がったAタイムレースが導入されたBプレーヤーのコメントをたくさん拾うようになったC司会者・問題読みが慣れてきたD解答者も慣れてきたE問題の解説を増やした、などなど。で、そのすべてが番組のクオリティを下げてしまっている。

・問題の難易度が上がったことで、一般視聴者を置いて行ってしまった。タイムレースが1対1では全然盛り上がらない(当然でしょ)。クイズプレーヤーには必要以上に喋らせない方がいい。たいして面白くないから。いちいち控室を映す演出もテンポを壊してダメ〜。日本一決定戦なのに、出演者みんながリラックスしている雰囲気も、演出意図が分からん。要は内容に比して尺が長すぎるんですね。

・結局、「QUIZ JAPAN」などで自分たちの「演出」を自画自賛しているのがダメなんですね。ウケると思った演出を過剰にすればもっと面白くなる、と思っているのがダメなんですね。予定調和を避けようとしないのがダメなんですね。

・にしても、東大クイズ研は強いの〜。我々のころと全く別のサークルじゃん。

・次回予告〜。次回の「QUIRE」例会企画を紹介。@全体早押し。正解プラス1、誤答マイナス1。マイナス1の人が誤答をしたら対決クイズが行われるまで解答権を失う。A1ポイント取ると、誰か一人を指名して対決クイズに移行。B対決クイズは3ポイント先取するか、相手に3ポイント差をつければ勝利。対決クイズは、全体早押しのポイントをそのまま持ち込んで開始される。C対決クイズで負けた人が失格となり、全体早押しに移る。マイナスポイントのリセットは行わない。D残り2人になったら、自動的に対決クイズを行う。このとき、それまでの対決クイズで勝利した数が多い方にアドバンテージとして1ポイント与える。題して「Ten Little Quiz Players」。10人も来ないと思うけど、語呂がいいので。100問くらいは持って行きたいのう。


29問です 2017/9/20()

・クイズ問題をアップしました。


欽ちゃんのどこまでやるの? 2017/9/5()

・高校生クイズについての記事を書いていると、「なんで私はたかがバラエティー番組に対し、こんなにムキになって意見を言おうとしているのだろうか」と、壮絶なむなしさに襲われることが多々ある。なのに、何故書くのか。

・そんなことをぼーっと考えているうちに、高校生クイズで起こっていることは、実は今のクイズ屋界隈で起きていることと、まさに合わせ鏡になっているからなのだと気付いた。

・21世紀枠とやらは、クイズ日本一決定戦によくある「招待選手(=スタッフの知り合い)」みたいなもんだろう。クイズ王決定戦なんだから、恣意的に出場者を選んで何が悪い、くらいに思ってるんじゃないか。でもさ、いくら清宮くんが強いからと言って、今年の早稲田実業を書類審査で甲子園に出場させたら、誰だって文句言うでしょ。

・前回の記事で書いたから詳しくは繰り返さないが、一部の人間による一定の条件を満たしたクイズ問題を「定番問題」として覚えまくることでしかクイズで活躍できない、という構造を加速化する働きを、高校生クイズさえもが担ってしまっている。しかも高校生クイズの場合、難問を覚えると地上波で活躍できる唯一の番組なんだから、なおさらタチが悪い。

・勝ち抜けたごく少数の人以外の参加者を全く無視する構造なのも、昨今のクイズイベント(つーか、昔からオープン大会はすべてそうだった)と同じですね。そうした人をなんとか楽しませるために「見せるクイズ」を発展させた挙げ句、参加者がどんどん逃げてしまっているのも、全く同じですね。

・そうやって探していくともっと見つかるような気がする。ぼくの勘やけど。

・書き忘れたことを。「AIが出題」とか銘打って、恥ずかしくないのだろうか。

・私が愛した高校生クイズは福留時代だけであるが、それを今復活してほしいなどとは毛頭思っていない。ウルトラクイズも復活してほしくない。今の時代に、そぐわないと思うからだ。

・だいいち、今と30年前では、参加しようとする高校生の桁が2つは違う。今年の高校生クイズ、秋田の生徒が仙台の予選に参加するために、秋田駅から無料バスが仙台まで出ている。そのチラシがウチの高校にも全クラス分送られてきたので、一応私も教室に貼った。たぶん、誰も予選行ってないけど(東北大オープンキャンパスと同日だったという事情もある)。昔は自費で仙台やら福島やら(第8回のみ)田沢湖やら(第10回のみ)に行ったのだ。それでも東北大会に6000人とか集まったのだ。

・ちなみに言えば、私の勤務校は昨年21世紀枠で全国大会に出場している。その学校内ですら、高校生クイズの話題はほとんど聞かない。ポスターも貼ってあるのに。

・番組を福留時代のように戻せとか、福澤時代のように戻せとか、頭脳王的な感じに戻せとか、そういう議論がかまびすしい。私は、たとえ私が理想とする福留時代に戻したところで、そんなに数字は取れないと思う。

・今のバラエティーは、無茶をしなくなって、とか、お色気を一掃して、とか、まあそんなこんなで規制が厳しくなり、つまらなくなった、という人がいる。私は全然的を射てないと思う。これだけネットでエロ画像やら動画が見られる時代に、テレビでちょっとお色気シーンを流したからと言って、男たちが垂涎のまなざしで見ると思うのだろうか。時代とは、そういうもんだ。その時代に合っている番組しか、面白くないのだ。

・加えて、みんなテレビの「からくり」が透けて見える時代になってしまった。と同時に、「素人の時代」は終わった。萩本欽一と素人のやりとりではなく、コント55号のようなプロによるドキュメント性を、時代は求めるようになった。それまで素人がしていたことを、テレビの中でプロがやるようになった(素人はつまんない、ということについてはここで書いてます)。

・だから、私はすでに2001年の時点で、この番組は打ち切っていいものだと思っていた(参考)。決して感情的な理由ではない。

・また長くなってしまった。反省。「クイズ日本一決定戦はもう時代遅れだ」を続けて書く予定なのだが。


21世紀枠に負けたのは(以下略)(高校教員炎上シリーズその1) 2017/9/2(土)

・ちょっとだけ、高校生クイズの感想などを。といっても、まあ今までの感想と大して変わらない。なので、今回に限ったことだけ。

・わざわざ海外まで行って、室内でクイズをやるのはやっぱ画にならない。ワシントンのクイズは海外に行く必要なし。電車を使うクイズも、別に電車であることに意味がないし(ちなみに、私は第20回の高校生クイズを高く評価している)・・・今年は例年以上に「海外でクイズをしている感」が薄かったような気がする。ま、予算やら何やらいろいろあるのだろうが、ナイアガラに行ってばらまきって・・・。要は、行った場所を生かしたクイズが全然なかった、ということ。

・意味不明なのは寝起きドッキリにも言える。クイズにほとんど関係ねーじゃん。荷物をまとめさせる必要も感じないし。もしかしたら放送上カットされたイベントがあったのかもしれないけど。

・個人的な意見としていえば、スタジオパートは必要なし。最近のバラエティー番組は、海外に行ってきたVTRをスタジオで見る、というスタイルが一般的だが、別にそうする必要はないんじゃないの? 福留時代では何故かいかりや長介と三田寛子が第5回で司会をしているが、結構違和感を感じた。第7回とか第8回の、梶原しげるによる(何故かヘリコプターに乗っているが)つなぎくらいが、見ていて心地よいように思う。

・決勝。ヘミングウェイの子孫、必要? あと、「カドリエンナーレ」の問題は、さすがにカワイソウかな。

・結局21世紀枠じゃん(桜丘・灘は昨年も今年も)。やっぱ無くした方がいいんじゃないの? さすがに腑に落ちん。

・一番問題なのは、問題である。が、もう言う気も失せた。クイズ屋がよってたかって努力して、クイズ的難問をベタ問題(基本問題、では決してない)にし、高校生に覚えさせるように仕向けて、自分たちの都合の良い高校生を選別することができるようになりました。めでたしめでたし。というところか。

・そうやって選別した挙げ句、いろんな問題をチョチョイと組み合わせた結果があの決勝戦の「息詰まる熱戦」ということですね(まあ、かなり編集はしているだろうが)。いや、そういったことはクイズ番組なら当然行われていることであり、それ自体はそれほど非難すべき事でも無い。ただ、露骨すぎるのである。1対1の組み合わせとかも露骨。つまり、「シナリオ透けすぎ」。自分たちの都合の良いように持って行こうとしすぎなのだ。普通、もっと上手にやるけどね。我々が見て気付くのは仕方ないが、一般視聴者が見ても「問題の出し方おかしくないか?」って気付くでしょ。その辺、やっぱりウルトラクイズは見事だったのである(晩年は結構ひどかったが)。

・まあ、尺がないから、それほど魅力的でなかった挑戦者が、徐々に成長していく姿を描いてる暇なんか無いわけで。だったらキャラ立ちしている人を最初から残したいよね。勝ち残るのはかわいい子の方が数字が伸びるよね。気持ちは分かるが、別にそうじゃない子が勝ち残ったっていーじゃん。めいっぱいかわいいところを引き出してやればいーじゃん。アメリカくんだりまで連れて行くんだから。そのくらいやってくれたら本当に夢があるよね。

・ということで、概ね否定的な意見を並べてしまった。

・最後に全然関係ない話をひとつ。ツイートを終了したquizlongだが、クイズ屋界隈では正体が分かっているのだろうか。最近、何となく本棚から手に取った『スーパー情報活用術』(ちくま新書)とかなり文体が似ていることに気付いた。でも、まさかね。


人が否定されないルール(ルールがないのが良いルール) 2017/8/23()

・「論」に疲れたので、多少実践的なことを。

・問題を作り始めた高校のころ、なかなか多くの問題を作れなかった私は、「問題の作り方」を編み出すのに、結構苦労していた。

・クイズ王決定戦ブームの頃、クイズを作るのに適しているとされる雑誌が紹介されることが結構あった。曰く「ダカーポ」「オレンジページ」「サライ」云々。一通り渉猟してみたが、私にとってはどれもクイズ問題を作りやすい雑誌ではなかった。「ダカーポ」は内容がそれなりに面白かったので当分の間購入していたが、たぶん1問も作っていない。あのころ、クイズをする人で「ダカーポ」を購読していた人は多かったと思う。

・結局私がクイズ作成のために役立ったと思う雑誌は「ESSE」「日経エンタテインメント!」くらい。「ダ・ヴィンチ」も創刊当時よく読んでいたが、何となく問題を作る気になれなかった。他には宅配だった「日刊スポーツ」が使えた。「ESSE」あたりは購読している人が周りにいなかったので、買ってすぐ問題を作って出題していた。「日経エンタ」で作った問題を出題したら、土屋君から「それって先月号の日経エンタですよね」と指摘されたので、それ以来数か月寝かせて問題を作るようにしている。

・今、私が問題を作成する主な方法は、@普段とっている読書ノートから作る、A普段見聞きして面白いと思った事柄を記録したメモ帳(@のノートとは別冊子)から作る、Bクイズを作りやすそうな本を眺めながら、アイデアをふくらませて作る(時間があるときしかできないが)、の3つである。人によっては、「ラジオで聞いたことから作る」とか「新聞から作る」とか「ウィキペディアから作る」とか、まあいろいろあると思うが、それらは私の問題作成の習慣には入ってこない。ラジオは全く聞かないし、新聞を毎日細かく読む時間もないし(ちなみに、現在我が家は新聞を購読していない)、ウィキペディアは問題文にしにくい情報構成だし(このことは後でたぶん書く)。

・クイズ問題の個性は、「作成者のパーソナリティ」に加え、「どうやって問題を作っているか」によって決まってくる。問題の文体に即して作り方を紹介するページは多いが、ネタをどうやって料理しているかを紹介するページはあまり多くない。追い追い、そのあたりを書いてみたいと思う。他の人の問題を添削するより、問題の作り方のノウハウをいろいろな人が公開した方が、中高生には役に立つのでは?

・にしても、なぜ「中高生」にばかり目をつけるのだろう? 中高生にクイズを味わわせることには別に異論はないが、そのことが彼らにしがらみを感じさせ、「義理と人情」で将来的にがんじがらめにならないことを祈っている。また、「ね、楽しかったでしょう。こういうのが正しいクイズの楽しみ方なんだよ」と感じさせるようなのも最悪。この方も書いているとおり、(相手がOBに限らないが)顔色を窺ってクイズしても全然楽しくないし。いろんな人がいろんな問題を発表するからクイズは楽しいのであって(ってこれも特定の価値観かも)、そこに「規制」は極力少ない方がいいに決まっている。

・私がHPで自作問題をじゃんじゃん紹介しているのは、誰の顔色も窺わず問題を勝手に作成し、実際に生身の人間に出題し、そのことで別に批判されていないような人間が、確かに存在していることの証明でもある。って、後付けだけどね。


パラマキクイズ(クイズについての意見をパラパラ断片的に述べること) 2017/8/21()

・クイズ論議が活発化している、ようだ。原因は「ナナマルサンバツ」のアニメ放送である、ようだ。すいません。全く見てません。ファミリー劇場を見られる環境にないし。そんな私が指摘することでもないと思うが、アニメ放送が中高生をクイズにいざなう大チャンス!と意気込みすぎない方がいいのではないかと。

パラレルについて。「ちょっとした指摘も嫌がるオッサン連中」が誰で、どんな風に嫌がっているのか知りたいところだが、それはちょっと置いておく。

・そもそも、パラレルとか分岐とか複合並立型とか、そういう分類はクイズを解答者側から分析した結果得られたものだった。だから、作る側はそんなことを意識する必要は、本来ないはずである。誤解を招かない問題文さえ作れれば、それで問題として成立する、はずだった。少なくとも、ウルトラクイズまではそうだった。

・ところが、分類ができると(=傾向分析と対策が進むと)、その分類に沿った文型にはまっていない問題を、非難・排除する空気が醸成されていく。てなことは、15年前に指摘しておいた。この論に述べたようなことがクイズの難化・狭隘化の根底に流れている。そしてその後、早押しのスピードを(人為的に)限界まで速めるようにもなっていく。「1 クイズ問題文型の研究」→「2 クイズ問題文型の固定」→「3 クイズ問題の難化」&「早押しの高速化」=「クイズのお約束化」=「クイズの狭隘化」という歴史的な流れを押さえておこう。

・先の私論で想像できていなかったのは、クイズの狭隘化=お約束化が問題の読み方にまで及んでしまったことである。パラレル問題はさらに細かく分類される。その他の問題形式も細かく分類されているようだが、それは「問題作成のため」というより、読み方(=抑揚とかアクセントとかスピードとか何処で一拍入れるかとか)を決めることが主たる目的であるかのように感じる。もちろん、それはすべて「解答者が限界まで早押しできるような読み方」を追究した行為であろう。特にパラレルなんかは超早押しを演出しやすい文体であるから、当然と言えば当然だ。

・お約束はお約束で別に否定しないが、ここまでお約束が広汎に細かいところまで行き渡ってしまうと、解答者はもちろん、問題を作る人、読む人、競技クイズと呼ばれる世界に関わるあらゆる人に、超人的な努力が必要とされてしまう。そんな状況に、新たに入って行こうとする人が多くいるのだろうか。たかがクイズをするのに、超人的な努力はそぐわない。

・ちなみに、わたしの大学時代の「〜ですが問題」はかつてまとめたことがある。参考までに。この程度で「自由な発想の作問」と言われてしまうと、よほど皆さん不自由な作問を強いられているんですね、と同情を禁じ得ない。当時のTQCは、こんな問題ばっかりでしたけどね。

・中高生等をどうクイズの世界にいざなうか、最近色々な意見が出ている。私は「たほいや方式」あたりが無難ではないかと。深夜番組でタレント的な人たちが、クイズを出し合って面白がっている姿を放送するとかね。具体的には、50問1パックくらいの問題セットを渡して、タレントたちが「流し」のクイズをする(ルールは何でもいい)。興味を持った一般人のために、問題群(50問1セットくらいのパック)を山ほどネット上に置いておき、ダウンロードして自由に遊べるようにする。ダメかなあ。

・私は「アタック25」のパネルもマス目なのだと初めて知った。

・「大人のクイズ」についても一言。正確には「大人の遊びとしてのクイズ」と言うべきですね。これは「クイズに生活のすべてをかけて打ち込む」の逆に、「社会人としての生活がまずあって、その中で無理なく楽しむクイズ」のことをそう呼んでいる。アタック25の30周年大会で地区代表に選ばれた日に大事な仕事があったらどうする? ホールドオンの収録と仕事がかぶったらどうする?→私はどちらも仕事を選んだ。公務員だから当然でしょ。

・前回の記事の続きを書くと、仕事をリタイアしたあと、いよいよ私の「The Third Quiz」の始まりとなる。「大人の遊びとしてのクイズ」のあと、「老後の遊びとしてのクイズ」がある。その頃に「ねんりんピック」に「クイズ」があったら、ぜひ出題者として出場したい。

この方の意見に対して、世間がどう反応しているのかもあまり分からない。私の言う「大人の遊びとしてのクイズ」を実践されているのだろうから、各論に対してはほぼ賛同している。中高生とクイズ的に接するおっさんたちへの戒めとしては、最高の内容だと思う。ただ、この文章を中高生がどう読むか。仕事柄、高校生とめちゃめちゃ接しているから骨身にしみて分かることだが、基本的に高校生は負け嫌いである。とにかく勝負にこだわる姿勢を見せるものである。そんな高校生たちに「勝ち負けを越えた境地」が理解できるか、という点については、違和感を覚えてしまう。


ツイッターはしませんが 2017/8/2()

・業務連絡です。8月2日午後、東大のオープンキャンパス引率のため、本郷キャンパスに出没します。約20年ぶりです。で、8月3日午前からお昼頃に、駒場キャンパスにも出没します。

・ということで、夏休みに近づくにつれてどんどん忙しくなっている状況だが、どうしても書いておきたいことがあるので記しておく。

・さて、「クイズ界」の覇権を争って(いるのか?)いろいろな動きが出ているようだが、それには何か全然興味がなくなってきた。ま、元々さほど興味があったわけでもないが、論じたくなってはいた。今は全然である。

・日本クイズ協会は会費分の「おいしい思い」を本当に会員に還元できるのだろうか、とか、AQLはなぜ早押しにこだわるのか?そもそもリーグと銘打つ必要があるのか?とか、そもそもクイズプレーヤーの人間関係ってどうよ、とか、まあ疑問はたくさんあるが、なんかどうでもいい。結局、どっちも一時の盛り上がりで終わってしまいそうな気がするのである。努力されている方には申し訳ないが。

・ナナマルサンバツのアニメがいろいろ物議を醸している(のか?)。見ていないので、よく分からない(私はアタック25すら普段全然見ない)。ただ、原作マンガ(も途中から買うだけで全然読んでない)の「競技クイズ礼賛」の雰囲気からすれば、反発する人が現れて当然だと思う。ま、そういう反発も、私が既に書いた内容に近いけどね(池田清彦風文末)

この方がツイッターをする時代。もちろん毎日見ております。このツイッターもすごい。つーか、この方の論じている内容の根本にあるのは、私の意見に非常に近い。

・ここからはやや舌っ足らずな意見になるが、後ほど詳しく論じるのでご勘弁を。現在のクイズ界は、クイズを「子どもの遊び」にしようとしているように感じている。中高生でプレーヤーを拡大しようとしているのもそうだし、早押し対決的な「おもしろみの分かりやすいクイズ」を推奨しているのもそうだし、みんなで1位を目指そうとしているのもそうだし、Qさまの問題群なんかまさにそうだし。

・水津翁が「クイズは大人の遊びだ」と断言してから、もう25年になる。私もクイズは大人の遊びだと信じて、大学卒業時に作った4年間のまとめ的なクイズ冊子に「初潮編」と名付けた。今までの自分のクイズは子どもっぽかったが、これからは大人の(=おっさんの)クイズを目指す、と言う宣言だった。時代はさにあらず、クイズは大人の遊びにならなかった。「水津康夫のクイズ全書」も、クイズを大人の遊びにすると宣言するかのような問題群だった。だが、その趣旨は伝わらず、皮肉にも子供じみたクイズの難化に寄与する結果となってしまった。子どもは細かいことを覚えて誇るのが好きだからね。

・「マンオブシニア」も、その延長戦で論じることができる。私は、往年の名プレーヤーがベタを超早押しする姿なんて見たいか?と思ってしまった。あそこに「人生経験が出るクイズ問題」「大人にしかおもしろみが分からない問題(下ネタという意味ではなくて)」を練り込めなかったか。

・ちなみに私が大人のクイズだと思う最たるものがこれ。ちょっと笑い声の足しが多いけど。ともかく、石坂浩二さんを雑学のご意見番にするような使い方を、個人的には見たくなかったな。


「中高生クイズ活動の支援について」について 2017/6/1()

・日本クイズ協会のページに「中高生クイズ活動の支援について」が発表されてから久しい。早く意見を述べねば、と思っていたが、体調不良だったのでしばらく置いておいた。

・一読して、この方が何を目指しているのか、いまいち伝わってこなかった、というのが正直な感想である。クイズは感動的なものだ、ということを強調したいのだろうが、こういう文章は冷静な視点で書かなければいけないのではないか。ということで、分かりづらい文章ではあるが、少し分析をし、意見を述べてみる。

・まず「1)中高生クイズ活動の公的地位の上昇」について。クイズ大会の結果を指導要録に(ということは調査書にも)記載したい、と言う点については、「書いても別にいいんじゃない」としか言いようがない。一般論として言えば、部活動以外の活動記録を指導要録という公文書に書き残すことは、何ら問題がないし、私自身実際書き残したこともある(クイズではないが)。例えば「第〇〇回全国高等学校クイズ選手権全国大会に、秋田県代表として出場した。」などと書いても、別に構わないと思う。

・ただ、クイズ大会の戦績を書くことにどれだけのメリットがあるのかと言われれば疑問。その戦績が世間的に見てどれだけすごいものなのかが評価できない以上、例えば大学受験の調査書に書いてあっても、無視されるのが一般的だと思う。調査書に「アタック25で優勝した」と書いてあったとして、受験で有利になることはまずないだろう。

・高文連の中にクイズ部会を作れるかどうか、という点については、現実問題として無理だと思う。というか、そもそもこの方は高文連に「どうやればクイズ専門部会を作れるか」打診したことがあるのだろうか。文面から察するに、たぶんないと思う。

・そもそも、高文連は教員だけで運営する連盟である。ということは、例えば埼玉県の高文連にクイズ部会ができたとして、何処かの学校がその事務局を担当し、その学校の校長(であることが多いが)が部会長を引き受け、加盟校(クイズ部がある学校、という意味)から会費(普通は数千円)を取り、加盟校の顧問が事務局業務や大会運営を分担する、ということだ。高文連クイズ部会は、日本クイズ協会が関与しない形で運営されなければならない。いわば、クイズの素人集団がクイズ大会を運営しなければならない、ということになる。

・で、大会をするとして、問題は誰が作るのか。高文連の早押し機(結構高いぞ)はどうやって用意するのか。クイズというゲームの特殊性に鑑みると、なかなかクリアすべきハードルが多すぎる。

・こういうことに対して、日本クイズ協会は支援できるのだろうか。もっとも、この文章には「高文連クイズ部会設立のためにどう支援するか」の案はほとんど出てきていないので、実はひそかに具体的に考えているのかもしれないが。

・長くなってきたが、「2)中高生クイズ研究部の安全面確保を含む活動支援」について。「今なぜ学校が本腰を挙げて活動を支援しないのか」とあるが、理由は簡単で、「そんなこと考えたこともなかった」というところだろう。それは冗談だが、実際のところ、学校というところは、学校で行われているすべてのことに本腰を挙げて支援するだけの、人的・金銭的・時間的・空間的余裕が存在しないものなのである(理由は長くなるので省略)。

・「実は、現在オープン大会等で学校名が多く使われているのは、この安全面の責任問題となったときに極めて問題なのです」。だったら学校名を使わず、学校以外の会場でオープン大会をすれば済む話である。「学校名を使った大会を行うので、あれこれ認めてください」という言い分が何でも通るわけではない。

・協会主催の大会について「保険加入に加え、選手派遣依頼文書を学校へ出し、教員の引率を義務付け、責任の所在を明確化させる。」とあるが、こうすることで「責任の所在」がどのように明確化されるのか。そこが明確に書かれていないので、この文章全体の意図をやや図りかねるところがある。ま、それはおいておく。

・そもそも、協会主催の大会に教員の引率を義務づけることは無理だろう。例えば、秋田県テニス協会主催の大会に部の生徒が出場したとしても、「教員を必ず引率につけてください」というような言い方はしてこない。我々が引率するのは原則として「高体連」「高野連」「高文連」主催の大会に限るからである(私立高校のルールはよく知らないが)。

・これは大会主催が参加費に保険料を上乗せしておけば済む話である。それでも気になるなら、保護者の同意書の提出を義務づければよい。この方はどうしても教員を引率させたいらしいが、「一趣味集団に子どもたちが出かけていく」ことなど、世間では非常に良くあること。趣味なんだから、基本は「自己責任」で参加するしかない。

・最後「3)クイズの間口を広げる〜クイズ研究部設立支援〜」について。クイズ研究会の顧問に図らずもさせられてしまった教員に、アドバイスをする教員(協会員、ではない)がいることは、たいへん結構なことだと思う。

・ただ、「学校への説得材料、早押し機提供環境の整備、公式問題集などの発行、お金の動きを生徒個人にさせない、」は、いずれもほんのちょっとのアドバイスで済む話であり、協会が全面的にバックアップしなければならないことでもない。問題なんか生徒が勝手に何処かから手に入れるだろうし、クイズの指導もあまりしなくていいだろうし(僕なら全然しませんね)。生徒が楽しそうにクイズをしているのを、陰で見守り、ちょっと手を貸す。まあ教員なんで、ブログに不用意に部員の写真をアップするのを止めてあげるくらいのことはしなきゃダメだけど、それは教員として常識的な指導だし。

・いずれにしろ、中高生への支援をするにあたり、教員に動いてもらおうとするのは、あまり上手くいかないのではないかと思う。協会主催or高校生主催協会後援の大会を複数実施する、位のサポートが現実的なところだろう。


問題を少々2017/5/10()

・さてさて皆様お待ちかね。問題を25問だけアップしました。


新装開店 2017/3/6()

・私のHPがいきなりURL変更となりました。変更先はhttp://www7b.biglobe.ne.jp/~sasaki1030/ です。なお、中身は全然変わっていません。ご面倒でも、ブックマーク等の変更をお願いします。

・さて、「Knock Out」の第2回の予選が行われたようだ。この大会で出題される問題は、考え得るあらゆる「競技クイズっぽい問題」をまんべんなく集めていると言える。史上最強、オープンで良く出る問題、QMAっぽい問題、田中さんが作る時事問題、などなど。で、そこに若干の新作難問題を入れていく。つまり、世の中の「競技クイズっぽい問題」をとにかく集めまくって、覚えまくることでしか、勝ち進めないようになっている。今回の予選三択はその傾向がさらに強まったように思う。まあ、普通の社会人だったら、問題作成なんかしている暇もないくらいクイズ事項の暗記をしないと勝てないよね、っつーこと。

・対策には、膨大な問題をひたすら吸い込むしかない。小手先の対策はそれほど役に立たない(だから「良い問題群」だ、と言いたいわけではない)。今からクイズ王を目指すには、本当に超人的な努力が必要である。クイズ大会の難易度は、ここに来て本当にボーダーレスな状況を迎えてしまったように思われる。その主因は、おそらく「QMA」の存在にある。

・基本的に、クイズ屋の考えるあらゆるクイズ大会は「史上最強」の枠を一歩も出ていない。うちのサークルのNさんのご厚意で、史上最強のビデオをすべていただいた。あまつさえ「ワールドクイズクラシック(なんつー名前だ)」「クイズ神(なんつー名前だ)」「Knock Out」等も。ぱらぱら見ているが、「史上最強」はそれまでのクイズの総決算であり、その後のクイズのスタイルや問題傾向を相当決定づけてしまった(この辺はもっと細かく分析しております)。「史上最強」では、三択・早押し・カプセル(全然カプセルっぽくない容器ですが)の問題傾向やジャンルは全然違う。つまり対策が違う。すべての対策を行い得たプレーヤーは、当時クイズ王2名しかいなかった。短期間ですべてに対応するのは無理なのだ。ま、クイズ王2名だけが対策できているような問題群を選んでいた、ともいえるわけだが。

・時代は積み重なり、当時からクイズをやり続けている人たちが、同じペースで問題を覚え続けていった結果、競技クイズっぽい知識の蓄積は、膨大なものになっていった。喫緊のクイズ王決定戦があるわけでもないので、無理のないペースでクイズの勉強をし続けていったわけだ。

・そこに、もう一つの流れであった「アーケードクイズ」が合流してしまった。クイズマジックアカデミーは、問題数の膨大化を促進しまくった(これももっと細かく分析を別項で)。「マイエンジェル」の問題納品数は、7000問だった。QMAの問題数は2桁違う。これらの問題群をも巻き込んで、クイズ屋が覚えるべき問題数は、最低でも50万問くらいになっているのではないか。ひえ〜。広辞苑の見出し語の倍じゃん。

・一方、私が大昔作った「ひこねのりお」の問題(クイズの杜にも掲載されている)は予選ボードクイズで正解率が極めて低かったようだ。ということは、クイズ屋界隈ではあまりマークされていなかった問題、ということだろう。まさか、いくらまんべんなくいろんな問題を集めるといっても、私のところから引っ張らないだろうから、新作問題なんだと思うけどね。どうしても他のプレーヤーに差を付けたいクイズ屋さんは、私の問題でも覚えてみたらいかがかしら。私はあまり覚えてないけど。

・ということで、またクイズを考える試みを少し始めたいと思っている。あ、ひとつ言い忘れてました。日本クイズ連盟絡みで、「クイズを部活にできるか」という疑問をもつ人が多いようである。まあ難しいでしょうね。絶対に不可能とは言わないが、生徒数減少の現在、教員数も減り、生徒会費も減り、部費も減り、高文連に所属していない競技を部活として立ち上げるような高校は、普通に考えて存在しないでしょう。つーか、クイズ大会に出場するために公欠にしてもらう必要など、100%ないと思うのですが。


20の扉 2017/2/6()

・問題をアップしました。


反対というわけではないのですが 2016/12/17()

・ホントは1996年のマンオブについて書こうかと思っていたのだが、こういうのを見つけたので言及しないわけにいかない。いくつか思うことを。ロゴは「Q」と「?」を合わせたような形で、なかなか洒落ていると思うが、それは本題と関係ない。

・私がクイズの現状について最も批判したい点は、「クイズとして出題する内容や形式を広げようとしていないのではないか」ということにつきる。一定の出題形式やジャンルのみを掘り下げることで、本来「何でもあり」だったはずのクイズを、極めて狭いものに固着しようとしているように思われるからである。排他的だとさえ言える。

・お互いに「クイズに出る」と思われるジャンルで似たり寄ったりの問題をこしらえ、お互い出題し合って、同じ早押しポイントで答え合っている状況は、実は20年以上変わっていない。東大主催のオープン大会でアンケートクイズを行ったら批判を受けたのが1995年のことである。第2回K−1グランプリで関東が関西に寄っていったのが1995年である。私はクイズの固定化・狭隘化が決定的になったのが1995年だったと考えているが、その件はちょっと置いておく。

・で、明らかにこの協会が対象とする「クイズ」は、私が批判したいそういうクイズであるようだ。たとえばここ

(引用ここから)なかでもクイズと聞いて多くの人が真っ先にイメージするものといえば、やはりテレビのクイズ番組に代表される、知識を問う問題群に対して、いかに早く、たくさん、正確に解答できるかを複数の解答者が競う形式ではないでしょうか。(ここまで)

・いろいろ言いたいことはあるのだが、この文がいわゆる「競技クイズ」というものだけをイメージしていることは明らかだし、その元になっている「史上最強のクイズ王決定戦」あたりを「正統なクイズ」と位置づけていることもうかがえる。そう言えば次の「QUIZ JAPAN」の特集が「クイズ王決定戦特集」なのは、決して偶然ではなかろう。今自分たちがやっているクイズが正統派であることを、縷々説明する文章になるのだろう。法人の設立は、テレビ番組に変わる新たな「権威」「正統」の設定として、重要な意味を持っているのだ。

・もちろん、将棋でも囲碁でも麻雀でも、協会とか連盟というのは、そういう意味を持っている。それは確かだ。ただ、クイズはそれらに比べ、そもそも遊びとして「何でもあり」的な広がりをもつ営みである。どういうクイズが正統的かを決めるべきものではない。

・私は、このような法人の設立がクイズの裾野を広げることに役立つと思っているので、基本的に設立に賛成である。ただ、どうもHPを見ているかぎり、いわゆる「競技クイズ」で勝つためにどうするかに焦点があり、それ以上の広がりはない。例えば「クイズで遊ぶために、面白い問題を作るにはどうすればいいか」というアプローチは考えていないようである。クイズで一番重要なのは問題作りですがね。

・狭隘化しそうな状況はここにある「過去のクイズ大会の問題を閲覧することなどができる会員専用ページの開発や、会員限定イベントなどの開催に向けた議論を進めています。」からも危惧される。役員名簿から推測すると、旧「クイズの杜」サイトの問題なんかは、会員専用ページに移行されるかもしれない。そうすれば誰でも閲覧することはできなくなるわけで、クイズの裾野を広げる上で逆コースとなるのではないか。無料で会員登録できるシステムにするのなら全く問題ないわけだが。

このあいさつに「特に中高生の部活動の支援をはじめ」とある。何も知らない中高生に「こういうクイズこそが正しいクイズだよ」「こういう勉強をしないと公式戦で勝てないよ」「問題は金竜読みで読まないと相手にされないよ」などとアドバイスすることで「支援」するだけの集団にはなってほしくないものであると、切に願っている。少なくとも、面白い発想で問題を作る中高生の芽を潰すことだけは避けてほしい。クイズは「面白い問題を作る作業」が一番面白いはずなので。この協会の目標が青少年の育成なのだとしたら、ぜひそっちに力を入れてほしい。

・ま、もっと気楽に遊びのクイズをやりましょうよ。アタック25の構成作家が言ってましたよ。「ま、気楽に遊んで帰ってください」と。


中田アップ(世が世ならベタになった単語シリーズその1) 2016/11/14()

・アップといえば、全国のクイズ好きの皆様、お待たせしました。いよいよクイズ問題をアップしました。


アリストテレスの提灯(臆面のないベタシリーズその1) 2016/9/13()

・どうも高校生クイズについて、書く気が起きない。基本的には、ここに書いたことと同じ気持ち。

・何度でも言うが、どろんこクイズ。泥じゃねーじゃん。ただ、どろんこクイズの問題自体は良かったと思う。

・ウルトラクイズのルールを焼き直し(てすらいないが)、且つ予算は極力抑える、という手法をあまりやりすぎると、どんどん番組がしょぼくなりますよ。「スペクタクル」的にはNHKの番組にかなわないのよ、もはや。

・ただ、番組としては高校生を上手くとらえており、クイズそのものを除けば、割に面白かった。ま、カップルをちょっといじりすぎですけどね。ああいうのはほっといた方が面白いと思うのだが、テレビ的にはそうでもないんだろうな。


あんたにグラッツェ! 2016/8/9()

・『地下クイズ王決定戦』が本になったので、読了。興味深かったのは、ラガーこと渡辺徹地下クイズ王のコメント。ちなみに、学年が一緒のこともあり、彼のことは大学時代から知っている。

・そんな彼が「もう地下クイズ王って完全に対策のできる大会になってるじゃないですか」と発言している。その直前には「僕はわりとクイズは街の喧嘩みたいなほうが好きですね」とも言っている。全く同感。

・前者について。対策ができるようになることで、クイズ作成者が「対策した人」の知識に作問を合わせてしまうことが起きてくる。そうでなければ、作問傾向が一定の幅に収束してしまうようになる。要は、傾向と対策に合わせた問題を再生産することで、どんどん「傾向」が狭い範囲にしぼられていく、ということ。テレビで言えば晩年のFNS。ま、今の難問化したクイズはジャンルが絞られているという点で、まさにこの法則が成立している。

・だから、地下クイズ王の問題も、どんどんおもしろみがなくなっている。ま、激しさに慣れただけかもしれないが。いずれ、私が「ホントの地下クイズ王決定戦」を例会で企画しましょ。

・後者について。体系化されて勝ち方が決まってくる格闘技のようなクイズではなく、何が起きるか分からない中での対応力が求められる喧嘩のようなクイズが好きだ、という意味に私はとった。私も、そういうのが好きですね。あーこんな堅い職業でなければ、絶対に地下クイズ王を目指したのになー。

・というようなことを書こうと思っていたら、何と8月1日放送の第6回に、東大クイズ研(ある種)伝説の人・上野尚人さんが参加されていた。私も何度か謦咳に接したことがあるが、お元気そうで何よりです。


巨泉のクイズダービーについて 2016/8/1() 午前 2:02

・「問題 文久3年、マルセイユに着いたヨーロッパ訪問使節が、ホテルでまず通された部屋があまりにせまいので怒り出したそうです。そのホテルのせまい部屋とは、一体どこだったのでしょう。」について。

・まあ、多少クイズ慣れ(競技クイズ慣れ、ではない)している人間にとって、この手の問題の答えは「トイレ」に落ち着くことが多い。が、よく考えてみよう。

・ヨーロッパ訪問使節がまず通された部屋が、トイレというのでは無理がある。黙っていても自動的に通されるようなところでなければ、答えとして腑に落ちない。となれば、舞台がホテルである以上、答えはあそこしかない。

・で、正解は「エレベーター」ということになる。この問題に顕著に見られるとおり、クイズダービーの問題は、自然な日本語として完成された問題文に、考えるための道筋を示す語がそれとなく埋め込まれている。

・が、それだけではなく、答えを聞いてリアクションを起こしやすい問題にもなっている。この問題、「文久3年(=1863年)」という言葉がなければ、ここまで面白い問題には仕上がらない。この時代に既にエレベーターがあったという意外性がポイントなのである。

・こういう問題群は、問題作りの上手い人達に、無尽蔵に問題を作らせて、惜しげも無く絞りまくることでしか、作れない。一流の放送作家を集めて作ったという大橋巨泉の自負は、生前しばしば耳にした。その言に恥じない問題群が、おびただしく遺された、というオハナシである。

・ちなみに、このときの使節団は第2回遣欧使節と言われるもので、福沢諭吉が参加した使節とは違う。詳しくはこの辺を。どうやら問題文は文久4年の間違いのようですが。


秋田では放送されてませんでしたが 2016/7/25()

・大橋巨泉逝去! 永六輔のことや、久々の全国民必聴歌(小林千絵「いつも片想い」)のことなどを書こうとしていたが、そんなのは吹っ飛んでしまった。ということで、クイスダービーのことを少々。

・大橋巨泉の名司会ぶりは、今更私が褒めそやすまでもないだろう。見ていて非常に小気味が良い。今なら一時間番組を作ってしまいそうな問題の質量。解説にもムダに時間を掛けず、すべてをテンポ良く進めていく司会術と、それを可能にしているスタッフの労力、すべてが完璧な番組である。

・さて、番組のフォーマットのすばらしさに比して、問題そのもののすばらしさについては、あまり言及されてこなかったように思う。そこで、せっかくの機会だから1問だけ取り上げて述べてみたい。ちなみにこの問題は1枠が鈴木武樹、2枠が沢たまきの時代なので、相当初期の問題である。初期の割には考えさせる問題(やや単純だが)と言えよう。

・「問題 文久3年、マルセイユに着いたヨーロッパ訪問使節が、ホテルでまず通された部屋があまりにせまいので怒り出したそうです。そのホテルのせまい部屋とは、一体どこだったのでしょう。」

・いきなり答えを出すのも無粋なので、次回この問題の解説(解答の解説ではなく)をしたい。出典は『クイズダービー ベスト500』(1987)


四色問題に挑む 2016/7/3()

・アタック25の予選会が昨日秋田で行われた、らしい。もちろん、私は呼ばれていない。

・この番組、私は3回出場したわけで、これだけで相当世間的にはうらやましいことなのだろうと思うが、それでも今も出演を画策して一応予選会に応募している。こういうのをクイズ好きの「業」と呼ぶ。

・そもそも、アタック25は昨今、完全にクイズ好きを排除しているフシがある。「3回出たおまえが言うな」と言われそうだが、私はそれはそれで仕方が無いことだと思っている。それはアタック25が生き延びていく上で、どうしても必要なことだと思うから。

・結局、普通の人がクイズに挑む姿が、一番面白いのである。クイズ好き(=マニア)が普通の人と同化し得た時代はとっくに終わってしまった。ウルトラクイズで言えば、第11回までは「クイズ研究会」というものの存在をほぼ隠しおおせていた(ま、例外はあるにしても)。第12回のオープニングが、クイズ研究会の徹クイの様子から始まるのは象徴的である。あの瞬間(つまり1988年秋)、クイズ研究会は一般人のクイズ的利害を侵食するものとして認知され始めたのである。

・アタック25では、クイズマニアと一般人は別の回に振り分けられるようになった。が、クイズマニアはだんだんと招かれざる客となっていった。一般人がクイズ番組に求めるものが変わっていったからか? いや、たぶんそうではない。一般人がクイズ番組(というか「アタック25」)に求めるものが、実は全然変わらなかったからではないか? 一言で言えば、クイズマニアは、クイズをやりすぎてしまった。クイズマニアは、視聴者の「疑似体験」を、満足させないくらい、面白くないくらい正解をたたき出してしまう。かと思えば、早押ししすぎて勝手に自滅するし。視聴者と同じレベルの出場者だから、多少の優越感を持ってテレビを見ていられるのだ。

・テレビを見ている人は、多少の優越感を持ちながら見ている状態が一番心地良いのではないか。そういう心理的な面にこそ、クイズ番組は配慮すべきなのではないか。とか思ったりして。

・追記。先日、アタック25に3年間私のクラスの生徒だった女性が出演していた。結果は・・・残念でした。しかし、アタック25で彼女の近況を知るとは。


狭義クイズ日本一決定戦(誤字ではない)について 2016/6/22()

・今日は長文ですよ。

こういう大会が開催される。まあ、宣伝する気も無いし、私が放送を見ることもないだろうが(だって無料じゃないもん)、これに2800円出して見に行く人は、間違いなく一般人ではなくクイズマニアである。わたしなんか「そんな大枚はたいて見に行く人なんかいるのかいな?」と、他人事ながら心配になってしまうが、ここを見る限り、リング撤去したとして、200人くらい見に来れば十分ペイするということか。で、こういうのを見に来そうなクイズマニアだけでも200人は優に超えるという計算か。

・こういう計算ができるのも、クイズマニアが商売相手としては楽な相手であることが影響している。どの地域に、どの年齢層の人が、どのくらいの人数そんざいするかがすべて把握できる。かつ、その人達にはゆるやかなつながりがある。欲しがるものはほぼ同じ。どういうクイズに熱くなるかについても、同傾向が見られる。たまにわたしのようなひねくれ者がいるが、そんなの相手にしなければ良いだけのこと。このマーケティングリサーチ的に絶好の状況から、ちょっとしたビジネスチャンスがちょっとだけ生まれていることは周知の通り。

・主催者の誤算は、決勝トーナメントにもっと分かりやすい肩書きを持った人が残ってほしかったのに、という点ではないか。一応「人気度、知名度、タレント性は一切無視」と銘打っているが、テレビ的にはそんなはずはないのである。あ、クイズマニアに「タレント性を持った人」は、どうせほとんど存在しないから、別に誰が残ってもいいのか。

・それにしても、ウルトラクイズと、全く方向性の違うクイズ王決定戦が、同じテレビ局絡みで放送されるのが不思議だ。これだったらウルトラじゃなく「史上最強」でも再放送した方が良いんじゃないの? 一般人は誰も見ないかもしれないけどね。どうせクイズ界だけの盛り上がりでしかないんだから、その方がペイしたりして。

・全く方向性が違う、と言っておきながら、実はウルトラクイズとこのクイズに共通点がある。それは優勝者をクイズ王と呼ぶ、という点。クイズマニアというのは、今でも「クイズ王」の称号をひたすら切望する人たちだ。たとえアメリカを横断しなくても、地上波放送はなくても、クイズ王という称号を得ることが夢である人たちがたくさんいるのです、たぶん。

・ゴリゴリのウルトラクイズファンのわたしからすれば、クイズ王はウルトラクイズのチャンピオンだけですけどね。クイズ好きのみなさんは、あまりゴリゴリのファンではないようですから、そういうこだわりはないのでしょう。


たわむれに 2016/6/21()

・競技クイズ日本一決定戦予選開催。確かに、競技クイズと言うだけあって、問題自体のおもしろみより、「実力」を測ることに特化した「ガチな」問題群が続く。そーか、こういうのが答えられなければダメなのか。つーか、こういう問題を大量に作れないとダメなのか。たいへん勉強になる。ちなみに、私が戯れにやってみたら97点でしたとさ。予選落ちですね。ま、クイズを答える勉強をしてないので、当然ですが。


報告 2016/5/9() 午前 0:45

・クイズ問題をアップしました。厳選していないのにたった25問! いやー、台本執筆がなかなか難航してるもので。


現代口語クイズのために 序章 2016/4/27()

・現在、台本執筆中である。なので、たまには演劇部顧問らしいことを。

・平田オリザの現代口語演劇理論の基本的な考え方に、「日本語では、強弱アクセントをほとんど使わない」というものがある。例えば、「俺はハンバーグにするけど、おまえは何にする?」と喋る際、普通どの言葉もアクセントで強調することはない。確かに問う内容は「おまえは何?」であるから、「おまえ」を強調して読んだり、それと対応する「俺」を強調して読んだりするのではないか、と理論的には思いうるのだが、現実としてそういうことはほとんどない。

・語順が固定されている言語であれば、強調すべき言葉を強めに言うことでしか、強調する方法はない。日本語は語順がわりあい自由であるから、平田理論によると「日本語では、強調したい語は前に持ってくる」となる。「その竿を立てろ」で、「立てろ」を強調したければ、「立てて立てて、その竿を」と言えばよい(『現代口語演劇のために』など参考著書多数)。

・クイズ問題の読み方はどうであろうか。『クイズモンスター・古川洋平のクイズ虎の巻』の前半を読んだ。金竜読みは福留氏や境鶴丸氏を元にした、と書いてあったが、あの2人の読み方をどう発展させれば金竜読みになるのか、いまいち分からない。福留氏はポイントを強調するような読み方を、あまりしていない。たぶん、単に日本語として分かりやすい問題文にすることしか考えていない。

・だいたい、ウルトラクイズの問題はそれほど早押しを可能にする文になっていない(早押しを拒否する文体、という話をいずれ書く予定)。前振りも決定的な限定でなかったりするし。パラレルも単純な構造だし(第9回アナポリスの問題を見ると分かりやすい)。ウルトラクイズの問題は、なるべく最後まで読むように作った問題文なのである。だからトメさんはたまに「問題は最後まで聞いてほしいなあ」的なことを言うのだ。

・クイズの中のごく限られた世界であのような読み方(とそれに合わせた問題作成)がスタンダードになるのは別に構わない。どのような競技にも、その競技特有のお約束は存在する。それに精通することが、競技に勝つ近道であろう。それは認める。ただこの読み方は、日本語の音声言語としての自然なあり方を追求した結果、生まれたものではないということは、はっきりさせておかなければいけない。要は、早押しを追求するという目的だけのために生み出された、人為的な(=不自然な)読み方だということ。だから、今後もし「テレビ番組でも早押しクイズは金竜読みをすべきだ」などと暴論が出てきたら、全力で反論するつもりである。もちろん、私自身は金竜読みは絶対にしないつもりである。日本語として不自然だから。

・まだ問題はあまり見ていないが、1問だけツッコんでおく。ガキの使いに月亭方正氏が出演(参加ではない)したのは、第2回からではなく、第26回からである。詳しくはここの0:52あたりに。https://www.youtube.com/watch?v=FWONN5ySeYA。ウィキペディアにも掲載されていないことなので、紹介しておく。なお、ココリコについてはウィキの内容が正しい。

yahooトップニュースにしばらく「素人クイズ番組なぜ減った」という記事が出ていた(元ネタはこれ)。そんなに需要のある内容だとも思われないが、似たようなこと(でもないか)を16年前に書いているので紹介しておく。ちなみにこの記事の筆者には弁護士の子がいて、その人もこのサイトに文章をいっぱい書いている。その内容は私にはほぼ賛同できないものばかりだった。芸人をバカにした表現が多く、読んでいて不快になることが多い。いろいろあるが、ひとつだけツッコんでおくと、この人が使う「フラ」という言葉の意味は明らかに間違っていると思う。この人の言うとおりだとしたら、「小三治師匠にはフラがある」という言い方は間違っているということになるではないか。


付言 2016/4/10()

・前回の記事で「史上最強」について述べた内容が、ここに書いてある内容と実質的に同じである。日付を見てもらえば、私がパクったわけではないことは分かってもらえると思うが。にしても、このインタビュアーの人は、いつも自分が喋りすぎ。

・で、私の場合ここから「ジャンル論」に話を進めるつもりでいる。いろいろ考えているが、例えば。難問化がどんどん進んでも、「洋楽」やら「懐かしめの芸能」やら全然手つかずのジャンルが存在するのはなぜか。「史上最強の決勝に出なかったから」ではあまりにあっさりした答えすぎるが、案外その辺が答えなんじゃないの?


新年度に際して 2016/4/6()

・相変わらず、クイズのことをいろいろ考えている。例えば、

・ウルトラクイズの歴史的意義は、クイズを「遊び」から「マジなもの」にしてしまったことである。たぶん。この「意義」は、「功」と「罪」と言い換えてもいい。もちろん、それまでにもクイズ番組でマジになる人はいた。が、基本的にクイズ番組は楽しい番組だったと思う。で、私としてはもう少しクイズを「遊び」の方に戻しましょ、と主張したい。マジになってどないすんねん、と言う人がいないのは何故か。ま、シャレをや時の運を売り物にしたウルトラクイズが、「マジなクイズ」の元祖となったのは歴史の皮肉である。

・ウルトラクイズを、クイズ番組の歴史の一コマとして見てみることで、理解できることがもっともっとあるのではないか。例えば、第7回で何故かボタンを押すシステムが変わった。これは何故か。ヒントは1981年放送開始の「100万円クイズハンター」にあるような気がするが、それ以上論証できない。だれか考えて。

・ひとつのフォーマットで使えるネタには限りがある。特にテレビ番組には「テレビで放送するのにふさわしい」という制約があるから、なおさらである。解説がきれいで面白い「トリビア」や「雑学王ネタ」は、そんなに何百個も存在しない。「Qさま!」的な漢字問題も、必ずネタ切れが起きる。「ドレミファドン」で出題できる曲は、そんな何百曲もない。「守ってあげたい」とか「別れても好きな人」とか「夢芝居」とか、毎週のように繰り返し出題される曲が出てしまう。思えばクイズの歴史は、「フォーマットの乗り換え」もしくは「ばれないように使い回す」ことの歴史だった。

・現在「短文系」「長文系」など様々なクイズジャンル(なのか?)があるようだが、これらの問題の特徴が代わり映えせず、ジャンルさえ固定されているのは、根本に「史上最強」を置いているからである、と言うことに今更気付いた。私は「史上最強」を見ないで育った秋田っ子なので、そんなことにすら20年以上気付かなかった。ということで、「史上最強」の本を少し読んでいる。詳しい研究成果は後ほど。


ご報告 2016/2/15()

・問題を34問ほどアップしました。よろしく


「煮詰まる」は本来良い意味(国語教師のうんちくシリーズ1) 2015/12/14()

・またまたクイズの集まり。問題をアップしておいた。

・我々4人の集まりなので、自作問題群だけでは時間がもたず、いきおい巷間行き渡っている種々の問題集から、いわゆる「流し」を行うことになる。

・で、たとえば「abc」とかそれの対策問題集とか、そういう軽めのもの(悪口ではない)を割と多く流している。私自身、若い人たちのクイズに触れることがまず無いから(おっさん4人の集まりだし)、貴重な経験をしている。

・そこで強く感じたことは、実はクイズ問題はもう行き詰まっていて、出題すべき新しいネタなんか無くなってしまったんではないか、ということである。そんな中で、新しい問題なんか作れるんだろうか。いや、もっと言えば、作る意味なんかあるんだろうか。だれか新しい問題なんか求めているんだろうか。

・このあたりをちょっと本気で考えていきたい。この冬はクイズ問題研究者として生きる予定。


才色兼備(言われると損をしやすい言葉シリーズその1) 2015/9/15()

・私は1975年産まれだが、ちょうど私の世代は「お笑い鑑賞黄金世代」に当たる。

・幼いころ、漫才ブームから欽ドン、三波伸介の記憶もあり、東八郎・由利徹も元気、ドリフからひょうきん族、お笑いスタ誕でとんねるずも最初から見ており、スペシャル番組も多数、BIG3からお笑い第三世代からダウンタウン全盛、その後もとにかく良質なお笑いを浴び続けた。自分の世代を評価するのも何だが、お笑いに対する吸収量はどの世代よりも多いと思う。

・そんな我々も、もろアラフォーである。今、お笑い芸人ではこの世代が一番元気あり。テレビ業界でも、この世代が番組作りの中心を担うようになってきている。

・だから、明らかに昔のバラエティー番組のオマージュと思われる企画が出てくるのだろう。今年の「27時間テレビ」での車破壊は記憶に新しい。あの企画の失敗は、自分たちが面白いと思ったことについて、正確な「面白さの原因分析」ができていないところにある(誰も指摘していないが、BIG3の車破壊が面白かったのは、逸見さんがいたからなのだよ)。

・一方、お笑いの歴史を体感しているからこそ、今までにない企画を考えることもできるはずである。自分の感覚をリトマス試験紙にするのである。「お笑いに詳しい」ということは、お笑いを作る上で諸刃の剣であり、うまく利用すれば新しいものができるはずだ。

・何が言いたいかというと、高校生クイズも同じだよね、ということ。今のクイズ関係者の方々には、数字がすべてで、新しいものを作ろうという気持ちはないと思うので、「ウルトラの焼き直しだ!」などという批判をしても何の意味もないでしょう。だって、我々世代の究極の目標は「ウルトラクイズの復活」なんでしょ、たぶん。私は熱烈な復活反対派ですけどね。

・それに、焼き直そうが何しようが、数字が良いのが正義ということ。数字が良い限り、同じことを繰り返すはず。ま、高校生クイズに、新しいものを生み出す力を期待するのは第23回からやめたので、別にいーけど。

・それにしても、数年前、超難問と煽った問題をそのまま早押しで出題する感覚には、感動すら覚える。これで「問題作成」と自称できる潔さ。いやーすばらしい。私には無理ですね。ボクなら控えめに「問題構成」くらいにしますね。

・ただ、この番組に意義があるとすれば、一般人を連れて行く海外ロケ番組のノウハウを復活させようとしているかもしれない、と言うこと。これはテレビ的に意義深い。クイズ的には意義深くないけど。

・何でも良いけど、「21世紀枠」って超うさんくさくないか? 論理的には絶対必要ないものだし。


厳選46問! 2015/5/10()

・今日出題してきた問題を放出! わずか46問!

・引っ越して、実家にあった書籍をすべて引き取った。ということで、今後はもっとハイペースで問題作成ができる、と思うが・・・本があれば問題が作れる、と言うもんでもないしなー。


おーみーごーとー(by中原理恵) 2015/3/4()

・クイズの問題集は、いかにあるべきか。私は14年前、この記事で「わたしにとってのクイズ問題集の理想は『作品集』」と述べている。この気持ちは、今も全く変わらない。さらにここで13年前に述べているように、かの「水津本」も私にとっては「作品集」としての楽しみ方を想定したものであった。

・最近、「水津本」は90年代後半、クイズ問題が難化する上で影響を与えた、とする論調が増えてきた。無個性な難問が増える(ように思えた)中で、氏の個性的な難問群をそのように位置づけるのにはいささか違和感があるように思う。でもまあ、難問化を進めていった張本人が言うのだから、とりあえず信じておきましょ。

・で、『東大クイズ研 異次元クイズ』(データハウス)である。これが1080円で買えてしまうと、ほるぷ出版の本はやっぱり高いような気がする。恐るべしデータハウス。ま、値段のことは置いといて。

・前作までは、やや「お行儀の良い問題群」を並べていたが、ここにきて本性を現し始めた。いや、本作だってまだまだ彼らからすれば「体裁を整えた問題群」なのではないか。このくらいの問題が作れる人たちは、もう一段階も二段階もはじけることができると思う。

・いや、はじける、という表現は合わないかもしれない(私はこれら問題群を「ぶっ壊れている」とは見ていない)。問題を作ることを趣味としている人が、自分の中からわき出るもの、生活で触れてインスパイアされたもの、どうしても人に紹介したいこと、つまりはクイズにしないと気が済まないものを、ただ形にしているだけのことなのだと思う。そうしてできたものが「個性的である」のは、至極当然なことである。で、そこから出版にふさわしい問題を選んだ結果、こういう「はじけた問題集」ができた、ということであろうか。

・しかも、この本の場合は、十分に解説できる問題に絞っていることで、従来のクイズ本では考えられなかった「読み応え」をも達成している。硬派だ。阿っていないが、頷ける人はちゃんと頷ける。分かる人には分かる。私も問題作成に参加したい。

・あと、索引がすごい。

・TQCのOBでありながら、私はTQCのファンである。この辺でいったん商業ベースの問題集を休んで、また従来の活動の中で「蓄積」「発酵」をし、新しい問題群を披露してほしい。

・そういえば、今は「TQC杯」より「早押しチャンピオンシップ」の方が権威があるのね。第5回早チャン問題作成者として大変うれしく思う。

・・・・つい長文にしてしまった。今日こそ『QUIZ JAPAN』という同人誌について論じる予定だったのに。


そして伝説へ…… 2015/3/3()

・「Qさま」。我らが会長・大塚丈様の10問連続正解、いやーいいものを見た。vs宇治原戦も良かった。先攻だったらもっと面白かったかも。ヤング弁護士(28歳はさほどヤングでもないと思ったが)とやらが渺茫霞んで映った。

・単にクイズに強いだけでは10問連続など無理無理。それにひきかえ……(以下略)。

・つーか、東大生の正解率、低くないか?

・なお、私は本来、芸能人が主であるバラエティーに、一般人を同列の出演者として出すのがあまり好きでは無い。なので、こんなことでもなければ「Qさま」は見なかったと思う。そういう意味でも、たいへん貴重な放送であった。


やあ、クイズなんて、はっはっ 2015/2/26()

ここに紹介されているように、我が東大クイズ研の1代上の会長・大塚丈氏が3月2日の「Qさま!」に出演されます。結果は全く知らないのですが、たぶん活躍されるはずなので、関係者は是非見ましょう。関係者でなくても、おすすめです。たぶん。


残念ではありますが・・・ 2015/2/2()

・2月1日に行った企画の概要を紹介しておいた。が、これだけでは全然何のことやら分からないと思う。久しぶりに、一生懸命企画を作ったのだが、詳しく紹介できないのが残念。

・あ、言い忘れましたが、今年もよろしくお願いします。


おー脳(泉谷しげる) 2014/12/10()

・一応、頭脳王を軽く見たので、なんぼか感想を。

 ・あの頃の高校生クイズより、「はったり感」が強くなっている。すばらしい。知っていれば一瞬でできることを、「超難問」と銘打って平然と出題できる感覚が、私には欠けていることがよく分かった。

 ・クイズ的な問題は、すべてベタ問(=有名なクイズ番組やクイズ本などで出題例がある)だし、ブロックを積んだ問題は類題の経験があれば(1+2+…+8)×6=(4×9)×6=6の3乗だし(すばやく計算できるのは十分すごいことだが)、複利計算は72の法則だし、「勧学院の雀は蒙求を囀る」は漢字検定1級ベタだし、、、

 ・と書いたあたりで、ちょっと疑問。コマを取り合うゲームは、スタートのコマの数が、人によって違うのか? 伊沢さんのときは「3/9/10」から始まっているが、この時点で明らかに先手は負けている(相手がミスしないという前提なら)。それに比べ、最後の人の「4/5/9」は「9」から8個取れば勝ちが決まる(ミスさえしなければ)。こんなのありか?

 ・で、多少調べさせてもらった。昨年も同じゲームが出ているのですね。ということは、必勝法を知らない人はいないはず。放送のなかった2人の場合も、同じように必敗パターンからスタートしている可能性がある。ホントのところ、どうなの?

 ・計算せよ問題は、相変わらず面倒くさいだけですね。理系のごく基礎的な素養があれば全く難しくないだろう。ただ、筆算だけでごりごり計算するのは確かに大変。でも、あの絵面、そろそろ飽きてきませんか?

 ・一応突っ込んでおく。(中国の)女子数学オリンピック金メダリストを、「数学オリンピック金メダリスト」と呼んでも良いのか? もちろん、この実績だって一般の人からすればとんでもなくすごいのだが、誤解を招く表現はいかん。

 ・青春の対義語は白秋、か? ほんとか? よく分からん。

 ・個人的には「アリアドネの糸」が懐かしかったかな。言わずと知れた1994年マンオブ決勝ですね。

 ・全体を通して言えるのは、リアルタイムで見なくてよかった、ということ。以上。


報告 2014/11/25()

・問題を作って出題したので、またアップしておいた。たった30問だが、忘れないうちに。

 ・家でも建てて、書庫でも作って、実家にある本がすべて手元にある状況になったら、すぐにでも1000問くらい作るのになー。ネットはウラとりに使えても、問題を作る発想をインスパイアしてはくれないからなー。やっぱ活字でしょ。


jam cracker2 2014/11/5()

・またまたクイズ問題を更新。昔の問題の改訂版第2弾である。にしても、あるわあるわウラトリの甘い問題が。

 ・20年近く前の問題を見直すというのは、昔の傷を自らえぐりまくるような不快感がある行為である。が、「クイズの杜」に掲載されている以上、間違いやら不適切な問題やら放っておくのも何なので。


jam cracker 2014/10/14()

・かつて本HPに、ダウンロード用として置いていた問題を、種々の必要から全面改定することにした。手始めに第1弾を掲載したので、ご覧いただければ幸いである。

 ・昔の問題を改定するに当たり、1問1問ウラを取り直していったが、これがエライ時間のかかる作業であった。賞味期限が切れた問題が多いので、そんなことしなくてもいいという声も聞こえないでもないが、間違い問題も多いし、そのままにしておくのも気持ち悪かったので。


少な! 2014/9/14()

・本日、クイズの集まりで出題した問題をアップしました。少ないです。あしからず。


どろどろしていなくても「どろんこ」? 2014/9/14()

・ということで、高校生クイズの感想である。率直に言うと、それなりに面白く見られた。

 ・番組全体の構成については「大前分析」がやはり優れており、私もほぼ同意見なのでそちらに譲る。2人1組に変更したことの可否については、・・・もう少し考える。好き嫌いで言えば、やっぱ3人の方がいいかな・・・。

 ・わたしはクイズ問題について考えておきたい。今回の問題は、時事問題や一般の人にも引っかかりがありそうなネタを重視し、一昨年までの「クイズ研究会がクイズのために覚えるだけの浮世離れした知識」から脱却していた。この辺の問題作成コンセプトは、うまくいっていたと言えよう。一言で言えば、問題選定が上手だった、ということ。

 ・世間の人に「すごい」と思わせる早押しをさせ、かつ世間の人が答えとなる単語を知っている。そんな条件を満たす問題は、「史上最強」の早押しレベルの問題であった、ということになろうか。昔のベタ問題で超早押しを演出する、というコンセプト自体は、オープン大会に出題された難問を出題していた一昨年までのコンセプトと、思想的に大きく重なるものである。

 ・いいところに目をつけたな、と最初思った。が、正直言うとがっかりする気持ちの方が強かった。『QUIZ JAPAN vol.1』にある「ウルトラクイズ座談会」では、今回の問題作成に携わった方々が高校生クイズについて述べている(p.7475)。例えば初期の決勝問題について述べた部分。「確かに問題としては、いろんなクイズ番組を見てる中で一番見応えがある。本当に予定調和な感じがない。クイズの専門家みたいな人は、基本問を何割で、ひっかけがこのぐらいで、そこに難問を混ぜる、みたいな調整をしがちなんだけど、そういうのが何もなくて、本当に『高校生クイズ』独自の問題であって、他の番組ではありえない問題群なんですよ」。

 ・そこまで言うなら、なぜそこを目指さないのか。クイズ作家なら、そういうところに心血を注ぐべきではないのか。確かに、問題選定の権限はプロデューサーにあるのだろうし、演出に合致するベタ問の方が採用されやすいという事情もあるのだろう。発注のされ方がどうだったか分からない以上、私もあまり無責任なことは言えないのだが。

 ・しかし、今回のように高校生クイズの基本フォーマットに戻ったような全体構成の中で、今こそ予定調和ではない問題を練り込んで欲しかった。そうしないと、結局「海外でやるクイズ王決定戦でしかない」という、末期のウルトラクイズへの批判が繰り返されてしまう。今回の放送を見て、高校生がベタ問題を覚えまくる図式が、目に浮かぶ。そこに「知恵」や「高校生らしさ」はない。

 ・初期(福留時代)の高校生クイズ決勝問題のすばらしさは、いくらでも語れるので別項に譲るが、それをクイズクイズした問題群に変えてしまった責任は、我々クイズ研究会にある。だったら、クイズを研究したはずの我々が(私にその力はないが)、もう一度高校生クイズ独自の問題群とやらを、作り出していくべきなのではないか。今回の決勝戦では、「作問した」クイズ問題は皆無に等しい。過去のベタ問をチョイスして提示するためだけに存在するクイズ関係者は、問題作成者ではなく単なるリサーチャーである。

・おまけ。「日本語では分子間力という」→「ファンデルワールス力」。「力(りょく)」も日本語でしょ。ここは「ファンデルワールスフォース」と言って欲しかった。ま、それは冗談。分子間力の英訳は「intermolecular force」である。ファンデルワールス力ではない。つーか、厳密に言えば「水分子同士の水素結合」とかも分子間力によるもんなので、「分子間力」=「ファンデルワールス力」ではない。早押しを演出したいのは分かるが、だれか理系のウラトリのできる人はいなかったのかな。

 ・決勝はあれだけ熱戦だったのだから、もっとテンポ良くいきましょう。なお、私にとっての決勝名勝負は第7回。次点は第8回。この2つはホントに今見ても面白い。

 ・もうひとつおまけ。「神奈川県のクイズ大会」って何? 

 ・一応繰り返しますが、番組自体は面白く拝見しましたよ。高校教員として、高校生の必死な姿を描いてくれることは、単純にうれしいわけで。


ウルトラスペシャル!全国高等学校クイズ選手権!(第1回) 2014/9/8()

・やはり露骨なほどウルトラクイズを意識してきた高校生クイズ。にしても、どろんこ風の映像をあんなにCM等で押す理由がいまいち分からない。やっぱ人気のクイズ形式と言うことか。

 ・ウルトラクイズのパロディー等でどろんこクイズをやっているのを見ると、セットが本家より相当しょぼく見える。今回もちゃんと作っているはずなのに、いかんせん、なんかねえ。昔『ぎゅわんぶらあ自己中心派」(片山まさゆき)で間違えると海に落ちるというどろんこクイズ風クイズが行われたことがあった。そのくらいすれば面白いかも。

 ・ウルトラクイズと高校生クイズには、根本的に違いがある。(主に本土上陸後の)ウルトラは「落っこちる」、高校生クイズは「勝ち抜ける」という違いだ。だれかが落ちるまでやるか、だれかが抜けるまでやるか、この違いは大きい。そもそも、ウルトラクイズのフォーマットとして最も優れている点は、この「だれかが落っこちるまでクイズを行う」ということ。この点が新しかったのだ。

 ・翻って、高校生クイズのフォーマットで最も優れていた点は「3人1組であること」、だったはず。不可欠なフォーマットを崩した、ということは、新しいフォーマットを採用した、ということで無ければならない。はたして、そうなっていますかな。


中南米の国、セントルシアの(以下略) 2014/8/14()

・「QUIZ JAPAN2」読了。クイズを広めようという熱意に水を差す気は無いのだが、やや危惧が。値段。ページ数を増やした分高くなっているのだろうが、それにしても高額。普通の人が果たして買うのだろうか。

 ・かつて「笑芸人」というムックが白夜書房から発売されていたことがある。お笑い好きの私は当然に1〜17の全冊持っているが、途中からはネタ切れの感があった。しかも値段が上がっていったので、いつ買うのをやめようか悩んでいた。「QUIZ JAPAN」も、それと似ている。

・ということで、さすがに第3号は無いかな。結局、クイズ系の本が長続きしない理由は、ネタが尽きてくることなのである(これは、殆どのブログやHPが長続きしない理由と同じである)。で、ウルトラクイズに(というより、長戸氏に)めいっぱい乗っかっている構成なので、これもやっぱりじきにネタ切れになるであろう。クイズ問題を載せるようになったらやばい。

 ・クイズ問題を入れない、写真をふんだんに使う、など、従来のクイズムックとは違う部分があり、いままで失敗してきた教訓が生かされている形にはなっている。だから、それなりに売れているのだろう。ウルトラファンのみが買っている、という気がしないでもないが、まそれは措いておく。

・ただ、クイズについてはいかんせんネタにできることが少なすぎる。だから、ネタが細かいところに行かざるを得ない。クイズ王座談会「東大編」「京大編」は、一般人を全く置いて走ってしまっている。つーか、インタビュアーが先輩風を吹かせている感じの語り口なのは、駄目でしょう。この辺が「QUIZ WORLD」の悪い部分を引きずっている。

 ・ウルトラクイズ論についても、思うところは多いが、小出しにしていく。


Tくんに捧ぐ 2014/7/17()

・7/13(日)、秋田クイズで遊ぶ会(仮称)で出題した問題をアップしたので、興味がある人は見てください。

 ・クイズ問題と縁の無い生活を送ろうとしているTくんに捧げましょう。と言っても、秋田限定問題がいくらかあり、全然分からないでしょうが。


覚える価値ゼロ! 2014/6/6()

・ほんとのボツ問題。「英語で『kidnapper』といえば誘拐犯。では『・・・』といえば?」で、答えを「愉快犯」にしたかったのだが、どうも「愉快犯」に当たる英単語が無いようで、断念。

 ・どうせ公開している問題だから、別にいいんですが、こんな問を覚えても勉強にならないでしょう。この人がどういう人か知らないが、こんなに露骨に私の問題ばっかりパクってくるもんかね。

 ・だいたい、よくよく考えてみると、私はクイズの勉強をまともにしたことがない。クイズの問題集を覚えるために読み込んだ経験も無いし、好きで何度も読んでいるものはあるが、記憶力が弱いのか、どうも覚えられない。それどころか、自分でつくった問題の答えも相当忘れている。だから、こういうツールを使ってクイズの勉強をしようという気持ちも、無い。

 ・そんな私がつくった問題を、暗記するために使うのは、絶対にやめた方がいいと思う。ま、止めないけど。

 ・ウルトラクイズの再放送。視聴環境がないので見ないが、なぜ第12回なのか、という憶測が飛んでいるようだ。私は「主要な挑戦者と連絡を取りやすいこと」「ゲストクイズがないこと(これを指摘している人が今のところいない)」あたりが大きいのではないかと踏んでいる。ま、どうでもいいけど。


勉強して東大に入ろうね会 2014/5/27()

・先日、http://akitaquizasobi.web.fc2.com/index.htmlに参加してきた。

 ・普段、クイズの集まりに行くときは一定量の新作問題を持って行くのが常なのだが、今回は体調を崩したため手持ちの問題集でお茶を濁した。

 ・で、「クイズの杜」に登録されておらず、面白い問題群で、テンポの良い早押しができるもの、、、と手繰っていったら、「第2回東大(中略)オープン」と「東京大學問答會」というのがあった。

 ・驚いたことに、この2冊は全く古びていない。クイズをするすべての人をターゲットに設定し、かつ日和っていない。自分たちの出したい問題を、まるで例会の延長のように出題していく。テンポの良さ、ジャンル設定、バランス、どれをとっても一個の完成を見ている。

 ・当然ではありますが、問題群は大変好評でしたとさ。2冊の愛読者としては、欣喜に堪えない。

 ・余談。思えば「東大風」は、「それまでクイズの答えにならない単語を、出題していく」という点がエポックだったのではないか。どんな言葉もクイズにしようとしていた大学3〜4年のころを、最近とみに思い出してしまう。


緊急告知 2014/4/8(火)

・秋田県でクイズをしようとしても、する環境がないとお嘆きのあなた。

 ・ひょんなことから、このようなことを呼びかけてみようか、という話になりました。

 ・そこで、クイズをしてみたいという方、クイズに興味がある、という方、とりあえずこの掲示板に連絡ください。

 ・詳しくは、また後ほど。


ちょっとピンぼけ 2014/1/28(火)

・で、先週火曜日のホールドオン。海外のクイズについて研究している人が紹介されるのは実に画期的なことである。メディア史上初であろう。良いことである。結果は残念でした。

 ・で、立命館のクイズ研究会がどう紹介されているかを見るために、その前の日の放送も見てみた。例会の早押しの場面が紹介されていた。クイズ研究会といえば、やはり早押しクイズなのだろう。これで思い出すのが、1995年放送の「ソリトン」なるNHKの番組である。

 ・当時、うちのサークルの先輩がこの番組に出演されるということで、例会の活動風景を撮影したいとスタッフが言ってきた。そのとき会長(私と同期)が「早押しだけがクイズだと思われたくないので、そうではないクイズ企画をしよう」と言い出した。収録はしたが、うちのサークルの活動風景は放送でカットされてしまっていた。ま、やむを得ない判断か。

・で、その時私が出題した問題の中に「Rのつかない月に、カキは何をしているのでしょう?」というのがあった。実に雑な問題である。何をしている、って、そりゃ、生活してますよ。

 ・もちろん、私の作題意図は「Rのつかない月にカキを食べるな」と言われるのは、その時期のカキが何をしている時期だから食用に適さないのでしょうか、というもの。それを、クイズ(こんなのが東大風か?)っぽくこんな文章にしてみたのである。

 ・厳密にいえば、この問題の答えは一つに決まらない。だいいち「Rのつかない月」ってところからいい加減なもんだ。「1月から12月までを英語でいうとき、綴りにRという文字がつかない月に」としなければならない。

 ・そんなことを言っていては、クイズ問題なんか作れないのである。そこは約束事というか、なんとなくお互いに理解できる範囲で問題文が絞り込めていればよいのである。そこには、いわば「一般常識」的な要素がかかわってくる。クイズは、決して問題文だけで解釈されるものではないのである。

 ・クイズにはそういうところがあって、いちいち細かく厳密に問題文を規定しなくても、解答者が出題者の意図を汲めればいいのである。なんとなれば、どうせ100%厳密な問題文など、不可能に近いのだから。(この話はいつか必ず掘り下げて書く)

 ・という観点で見たとしても、「日本では太陽が頭の真上に来ることはない」を、○にするのはまずいのではないか。確かに、構成作家の萩原氏のおっしゃる通り、「クイズは一般的な常識」であるから、「日本と言えば普通は人間の住んでいる場所を指すのではないですか」と言われれば、確かにそうだろう。「沖ノ鳥島という岩礁では真上に来る!」というのが、難癖に近いのも確かだ。しかし、難癖がつかない○×クイズこそ、いかなる視聴者をも楽しませうるのではないか。クイズは一般的な常識だが、その分野に精通している人にも納得できるものであることが理想だろう。

 ・「当時は『単なる岩礁を日本と称して、面白い問題を没にするような愚は避けよう』というのが結論でした」については、やや疑問がある。私は「マイエンジェル」の問題作成のバイトをしているとき、ボス(Y師匠)から「少しでも危ないと思ったら、問題を差し換えてほしい。面白いと思ったネタでも、間違い問題を出すととんでもないことになるから」と常々言われていた。これが誠実な姿勢というものではないか(とか言ってる自分も、間違い問題をちょいちょい出している。ごめんなさい)。いずれ、沖ノ鳥島についてわかっていたなら出題しないのが正しかったのではないか。もっとも、この辺は当時のクイズ番組が、出題の可否の基準をどう見ていたか、という部分にかかわってくるので、もっと子細な検討が必要となる。

 ・もっとも、この問題がどうしても出題しなければならないほど面白い問題だとも思わない。むしろ×だったら面白いような気がするが。

 ・クレームが来ないから、正しい問題だ、というのも、論法として正しいのかどうか。

・とはいえ、間違い問題についての指摘を受けて、当時の経緯も紹介しつつ、立場上問題は誤っていなかった、と明確に発言する氏の姿勢は素晴らしいと思った。


重大発表!の引き写し 2014/1/20(月)

・本当はセンター試験の解説の予定だったが、諸事情により後日。にしても、岡本かの子の小説はいいですねえ!

 ・ご本人が発表されているので、ここでも発表しておく。1/21(火)ホールドオンに、このページでもしばしば登場いただいている秋元雅史さんが出場されます。結果は私も知りません。お楽しみに。

 ・お前は出ないのかって?いやあ、いろいろ事情がありましてね。


諸行無常の響きあり 2014/1/17()

このページで、ウルトラクイズのいわゆる「嘘問」について大きな動きが起きようとしている。

 ・ウルトラクイズには嘘問の噂が幾分かあるのだが、その中でテレビで放送されている「日本では、太陽が頭の真上に来ることはない」について、何と構成作家だった方から「今月中にブログで書きます」と宣言があったのである。

 ・時代が変われば、答えが変わることはあり得る。ウルトラクイズの問題でも、「祇園精舎には、鐘はない」というのが出題されたことがある。インドの寺院に鐘がない(鐘は中国起源)のは割かし有名であり、そのとき(1998年)も正解は○であった。しかし、今は正解が×に変わっている。詳しくはこちら

 ・「君が代の歌には、2番がある」については、今は疑いなく(国旗及び国家に関する法律に則れば)×。歴史的に見れば、「君が代」は今の形に定着するまでいろいろ変遷があり(フェントン作曲のが有名か)、その中に2番を持つものが存在したことがある。しかし、これを「君が代」と一般に呼ぶことはないと思う。ちなみに、この話は高校の音楽の授業で習った。つまりは、あまりよい問題ではないということになる。きれいな問題なので、非常に惜しいのだが。

 ・さて、件の「日本では太陽が・・・」についてだが、ま、間違い問題と認定して良いと思う。割と有名な話で「鉄は錆びると重くなる」なんかには、鉄自体が重くなるわけではないじゃん、というツッコミがある。だったら「服を着ると体重は増える」というのが○になってしまう。ま、これなんかはやや難癖に近い。

 ・ということで、どういうことがブログで書かれるか、実に楽しみにしている。


久しぶりの読書感想文 2013/10/2()

・最近何やかんやで忙しく、更新もままならない。

 ・高校生クイズの感想、、、はタイミングを逸したので、『クイズ王の「超効率」勉強法』という本の感想を少しだけ。

 ・基本的に(笑)が頻繁に出てくる文章は、読んでいてむずがゆくなってくる。ま、それはおいておく。

 ・最近、勉強法に関する本が多い。また、ビジネススキル(って何だ?)を上げるための本も多い。そういう本であることを期待した人にとっては、いささか立腹の内容ではなかったか。

 ・ビジネスパーソンを相手にするなら、「時間が無い中でどう勉強するか」という観点がなければならない。勉強に時間が多く取れる人の意見は、あまり参考にならない。知識の増強に時間を使いまくれるなら、そりゃ3か月で漢字検定1級に合格できるでしょ、と思われていなければよいが。私は教員をしながらだったので、準1級・1級それぞれ1年ずつかけて勉強した(受験は各1回のみ)。

 ・いずれ、ビジネスにはあまり関わりのない本だ、と思っておいた方がよい。大学の頃、塾講師をしていて、子供達にクイズを出した。正解した子を褒めて上げたらモチベーションが上がったという。そりゃそうでしょ。人に物を教える人間なら全員知っていて、かつ実践していること。それを授業にどうつなげるかまで、我々なら語りますが。

 ・腰巻きには「勉強はゲームのように攻略できる」とある。勉強というものを相当狭く設定しているようで、知識のインプットアウトプットだけで「究極の勉強」と銘打たれても、ちょっとね。しかも究極の勉強法は「とにかく繰り返すこと」ということのようですし。「知識をフックのように覚える」も、「ではそのフックをどうやって作るの?」と思いますし。

 ・てことで、結局クイズの解説・分析が主の内容なのだが、我々のような人間には当たり前の内容ばかりだし、この本を入り口にしてクイズの世界に入る人がいるようにも思えないし、、、という不思議な読後感であった。


上海生まれのボルネオ育ち、イタリア語を話す台東区民だぞ 2013/5/22()

・こんな夢を見た。私がホールドオンに出演しているのである。本日のクイズカテゴリーは「イタリア」。そうしたら、隣の出演者が、イタリア人のおばさんと通訳のおじさんのペアだった。で、「チャンピオンセレクト」をする前に100点以上差がついてしまい、ボロ負けしましたとさ。それだけ。


高学歴 高収入 高校生 2013/5/7()

・高校生クイズが今年から大幅に変わるようである。

 ・公式HPを見る限り、今年はゲーム性を高めるような方向性で考えているようだ。別に本ブログはクイズ番組をくさすためにあるわけではないのだが、敢えて厳しく予想しておく。たぶん、失敗すると思う。ゲーム性の高い視聴者参加番組は、成功するのが難しい。「風雲たけし城」(を私は全く見たことがないのだが)や「炎のチャレンジャー」(は私も4回出たが)、「ウルトラクイズ」は、稀な例外である。

 ・確かに、Qさまの相変わらずの人気やら、クイズ風のバラエティー番組の活況(お試しかっとかペケボンも入る)やら、クイズ的要素のある番組は求められている状況にある。だからということで高校生クイズもバラエティー化を目指すべきなのか。いや、それで失敗したのが2000年代中盤の高校生クイズだったはずだ。あれでバラエティーゲームっぽい高校生クイズは、無理だと分かったはずだ。

 ・ゲームは、タレントがやるから画になるのであって、素人がやっても画にならない。「ウルトラクイズは画になったじゃん」という意見があるかも知れないが、それはお門違い。あそこまで手間を掛けて、時間を掛けて、カメラ回すだけ回して、ごく一部分のおいしい所だけを使う、というような余裕が今のテレビには、絶対にあるわけがない。

 ・また、他のゲーム的番組(「vs嵐」とか「フレンドパーク」とか)より面白いゲームが思いつくとも思えない。現在紹介されているゲームも、聞くからに面白く無さそうだし。

 ・だからと言って、昨年までの高校生クイズが良かった、とも思わない。そもそも現在、クイズでは高校生の姿を伝えられない時代になっているのではないか、というのが私の説。ウルトラにしても高校生クイズにしても、クイズはあくまでも高校生の生の姿を伝える「手段」であって、クイズが主だったことは無い。クイズがその手段たり得たのは、もっと視聴者や参加者がウブだった時代に限る。ウブじゃないシロートは、最もテレビに向かない人々、ということ(この話はホールドオン等と絡めていずれ詳しく書きたい)。

 ・だから、もっと厳しいことを言えば、高校生クイズは、もう終わっても良い番組なのではないかと思っている。いや、思ってきた。ま、それは福澤引退のときから思い続けている。


脱サラっつーのはサラリーマンになれた奴の言うことだろーが 2013/5/3()

・諸事情により、最近見る人がいなくなってしまったブログがあるので、紹介しておく。鶴君のボツ問発表の場である。

 http://mandandiary.blog.shinobi.jp/

 ・ということで、紹介をした以上は更新をもっと頻繁にするように。

 ・にしても、ボツ問っつーのはボツじゃない問題を発表してから名乗るものでは?と思ったりして。


iQバトル!(竹下宏太郎風に) 2013/3/11()

・別に世のテレビ番組をくさすためにこのブログをものしているわけではないのだが、と一応前置きをしておく。

 ・「頭脳王」の関西予選が放送されたので、やっと通覧した。

 ・「常人が1ヶ月かかる知恵の輪を、何と25秒でできたんです!」で視聴者がそんなに驚くと思っているのだろうか。当然解き方を知っていたに決まっている(にしても速いとは思うが)。

 ・「知識力を問う」と銘打って、ベタ問を10問並べて、答える速さを競う。もうそういうのもやめたほうがいいのではないか。

 ・それにしても、何でクイズやる人たちというのはこれほどまでに「ポロロッカ」という単語が好きなのか。「史上最強」をリアルタイムで見ていない私には、いまいち理解できない。ピンクレディーのファンなのか。

 ・数学はロピタルの定理を使って極限を出す問題。ロピタルを使え、と指定してあるわけだから、分子も分母もどうせ微分可能。ただし、分子分母がやけに長い。で、結局は単に微分を何階も(誤字ではない)しまくるだけの問題だが、いかにも難しい計算をしてまっせ!的な演出を狙ったのだろう。しかしこれが、見ていて全然面白くない。問題に対するイメージがわかないからだろうか。

 ・そう考えると、高校生クイズが3人1組というシステムをとっているのは、大変良くできている。1人だとドラマは見えにくいが、3人いると何をしてもドラマになるから。

 ・一番納得いかないのは推理力の問題。どういう答えを想定したとしても、絶対に証拠が残り、夫が疑われるに決まっている。その点で言えば、どの人の答えも0点ではないか。この場合、夫が逮捕されないようにするには、不能犯的な殺害方法をとるしかないように思う。例えば催眠術とか強い暗示によって、ある単語を耳にしたら部屋の鍵を全部閉めて首を吊るようにしておく、とか。

 ・大学の名前で頭の良さを分からせようとする演出、というのも、相当に下品に感じるのですが。


500のコト 2013/2/24()

・いささか旧聞に属するが、クイズについて少々。

 ・「東大クイズ研のすごいクイズ500」読了。なぜデータハウスがクイズ本?と思ったが、クイズ本ではなく「東大本」だと思えば合点がいく。で、東大クイズ研が練りに練った問題と銘打っているのだが、どこぞで聞いたことがある問題が多いので、純粋な新作問題はそう多くないように思う。全問題に解説が付せられている点は画期的。しかも、解説はよく調べられていて、実にちゃんとしている。

 ・おそらく、一般向け書籍という前提があるため、解説まで読めばそれなりに興味を持てるような題材を選んでいるのだろう。割に面白く読み通すことができた(別に自分がいたサークルだから褒めているわけではない)。ともすれば同人誌の売り上げを伸ばす、という方向に走りがちなクイズの世界において、難問クイズ問題を一般向けに販売するひとつのモデルを提示していると思う。絶妙なバランス感覚、とでも言えばよいか。今まで市販されたクイズ関係者によるクイズ問題集の中では、「つい誰かに出したくなる○×クイズ777問」に次ぐ高評価。

 ・ま、普段難問クイズをやりつけている人たちからは「ベタばっかりじゃん」とか言われそうだが、そういう意見は無視しますわな。

 ・「双月高校クイズ日和」(講談社文庫)購入。小説部分にはあまり興味がないのだが(そもそも私は普段小説を全く読まない)、解説・福留功男に釣られて買った。クイズ研究会に対して好意的な評価を下している点が興味深い。福留氏といえばクイズ研究会を否定する側だったのではないか(例えば「ウルトラクイズ伝説」など)と思われているに違いないのだが、この宗旨替えはどうしたことか。もっと熟読してから感想を述べよう。


更新情報 2/12()

・秋元雅史のヌーベルクイジーヌ更新しました。どうぞ〜。


とんでもねえ、あたしゃ神様だよ(ドリフ名言シリーズ) 2013/1/2()

・あけましておめでとうございます。本年も、本HP及びブログをよろしくお願いします。

 ・1995年、2001年、2007年と、6年おきにアタック25に出場した私にとって、今年もクイズづいている年になる可能性が高い。ということで、今年はクイズの年にします。まず手始めに、自分の作った問題を見直そうかな、と。

 ・で、もうすぐクイズ神が放送されるらしい。

 ・にしても、個人攻撃をするつもりはないが、「ホールドオン」最多防衛チャンピオンというのは、大変違和感がある。

 ・ま、出場者の選定なんか「恣意的だ」という謗りを免れることはどうせ無理だろうから、別にどうでも良いことだが。

 ・ひとりクイズ神を決めたんだから、他のプレーヤーはクイズ神の下では平等な存在だ、っつーことにして、全員予選から始めさせた方がよいのでは? クイズ番組の優勝者から出場者を決める、というシステムは、「結局出場者決めるのってやらせじゃないの?」って思わせる恐れを大いに孕むのだ。だってアタック25優勝、ってだけで出場している人がいるんだぜ。そんな人いっくらでもいるだろうに、何でその人が特に選ばれたか、説明がつかないじゃん。まさか「高校生と高校の先生大会だからです」って訳にもいかないだろうし。

 ・何度でも思うことだが、「クイズ神」っていうネーミングは、なんとかならなかったのかしらん?


紹介します 2012/12/26()

・このたび、秋元雅史氏のHP秋元雅史のヌーベル・クイジーヌ」を、当面は私のページで更新をさせていただきます。秋元さんからの原稿を、私が転載する形を取っております。

・なんで?という声があるかもしれませんが、そこは察してください。ではどうぞ〜。


たわむれに母を背負いてコブラツイスト(こち亀名言シリーズ) 2012/12/9()

・たわむれに頭脳王の1次予選に挑戦。5分くらいで終了。こんな簡単な問題で、頭脳王なんて分かるの?

 ・たぶん、私より早く解けないと、2次予選なんか参加しても無意味でしょう。

 ・ま、どうせインターネット予選なんかインチキがいくらでもできるでしょうから、どうでも良い問題を用意していると言うことか。ということで、当方、頭脳には全く自信がないので、2次予選には応募しません。


おしらせ 2012/11/26()

・前回アップしたボツ問題、見にくいのでHPの方にアップしました。答え付きです。


今はまだまだ 人生を語らず2012/11/6()

・こっそり、本家HPの方に問題を掲載。130問。私の問題を楽しみにしている、という奇矯な方は是非ご覧くださいまし。

 ・これで2002年からの出題過去問題が1080問となった。これにボツ問を552問、さらにもともとあった3312問。計4944問。さらにちょこちょこした問題もあるから、5000問以上掲載していることになる。全く個人作成の問題が5000問掲載されている個人HPなんて、そう無いはず。あと思いつくのはクイズマガジン21(あちらは時事問題だが)。

 ・多ければいい、ってもんでもありませんがね。

 ・これだけ作っていると、自分で作った問題の答えを覚えていないことも、しょっちゅう起こる。私は基本的に覚えが悪い。単語を覚えるのが極端に苦手(受験のときも、英語は本当に苦労した)。自分の作った問題くらい覚えておけよ、という声も聞こえそうだが、正直言って、一度何処かで出題してしまうと、その問題への思い入れや興味がなくなってしまうのである。だからあまり見直しもしないし、ネット上で公表することに躊躇もない。

 ・ということで、まだまだネタも尽きず、問題作りはできそうなので、作り次第発表していきたい。若い頃は「ネタ切れ」への不安があったが、飽きっぽい私は興味の対象もじゃんじゃん移り変わるので、その心配は無かった。もう少ししたら、いきなりスポーツ観戦が好きになって、スポーツ問題を出しまくったりするかもしれない。

 ・過去に作ったクイズを通して、自分の来し方を振り返ることができる。要は、自分を見つめることができる。その意味で、クイズ問題を作る、という趣味はやはり優雅な大人の遊びだなあと思うのである。


虎の威を借るといえばキツネですが、では・・・(第1回ハワイより) 2012/10/25()

・ウルトラクイズを見ていると、早とちりした解答者に対し、「問題は最後まで聞くこと!」のようなツッコミが司会者から入ることがある。

 ・よく考えてみると、早とちりを戒めるのに「問題を最後まで聞く」というツッコミをするのは、「早押しクイズ」というものの全否定になるのではないか? 私は昔から疑問だった。

 ・最近、その理由がやっと分かってきた。ウルトラクイズの問題は(第14回まで)エクセルデータ化してあるので、たまに調べごとのついでに読んでみたりする。とにかく問題文がおしなべて短い。そういえばクイズグランプリの問題だってメチャメチャ短いわけだし、昔のクイズ問題は一般に短かった(ただし、ウルトラクイズの問題集にある文面は、放送時よりやや短くしてあるものが散見される)。

 ・現在の問題は、早押しポイントというものを強く意識し、早押しに「適した」文体を「進化」させてきた。情報を取捨選択し、複数の情報を入れながら、早押しポイントを何処に埋め込むかを決める。自然と問題作成者がいかようにも早押しクイズを支配することができるようになったのである。長文化することで、逆説的だが、長文化が超早押し化を推進した、とも言える。

 ・もっとも「超早押し」というのは、問題文が長ければ長いほど演出できるのだから、当然といえば当然か。

 ・しかし、ウルトラクイズの問題文は、超早押しをあおることを、もともとあまり想定していないのではないか。

・てなところまで書いて、筆が止まった(筆で書いているわけではないが)。それで更新が進まず。


如是我聞 2012/9/4()

・『ナナマルサンバツ』(4)読了。2Rのルール(1着が何処で押そうが、2着の人が押すまで問題読みを止めない)で、あんだけベタ問出まくりだったら、問題ほとんど聞かずにとりあえず押すヤツがもっと早い段階で出ていいと思うのだが。

 ・この本の帯(「腰巻」と読んでいる人を見たことがない)に「いま、クイズブームが来ている!○か×か?」とあった。そりゃ×だろ、と思って正解を見たら○だってさ。

 ・この本にも「フェルミ推定」への言及があった。フェルミ推定ってそんなに頭の良さを測れるものなのだろうか?

 ・最近楽しみなのがこのページ。特に9月3日更新分の「例えば、雑学辞典、雑学百貨、雑学王、といったような雑学本をそのまま引き写して、『私が作りました』という顔をして提出してくるのです。これは物を書く人間として最低の行為です」。これは耳が痛いのではないか。だってクイズの世界は明らかな盗作が多いものでね。

 ・高校生クイズについて考えるため、久しぶりに自分のHPで文章を読んだが、いやー良いこと書いてるわ。10年以上前から内容が古びていない。それは別に私の意見に普遍性があるからではない。クイズ界(という幻想の枠組み)を牛耳っているメンバーが全然変わらず、しかも当時と同じ発想でクイズ番組を作ろうとしているからなのだ。

 ・高校生クイズに絡めて、某サイトで「クイズ人口が増えないのは何故か?」と疑問を呈していた人がいた。ウルトラクイズ終了後、クイズ人口を増やすことを目的とする試みが成功したことはない。しかし、例えば「トランプ人口」は増えていなくても、トランプという遊びは人口に膾炙しまくっている。クイズもそういう方向を模索するのが正しい、ような気がする。もちろん、コアなファンを喜ばせるクイズ問題(難問とかベタとかという意味ではなく)も必要ですが。

 ・あーもっと書きたい。つーか、気の合うクイズ者たちと喋りたい!


私はあのすぐそばで実況中継をしたい!(第9回グアムより) 2012/9/2()

・「QUIZ NIGHT」の記事を見て、正直「高校生クイズ」などどうでもよくなっていますが。

・準々決勝の早押し。ポイントを最初に持ってくる露骨な問題作りは健在。それでも「20年もの歳月をかけて全8部を書き上げた代表作『チボー家の人々』で知られるフランスの作家は?」だったら、逆に「フランスの作家マルタン=デュ=ガールが」で始めちゃった方が、間違いなく超早押しを演出できる。

・もちろん、超早押しを演出すればよい、と言っているわけではありません。

・準決勝。あんな問題を「NASAからの挑戦状」と言って、NASAは怒ってこないのか? 本当に賢いかどうかを確かめたかったら「太陽の表面温度は、どうやって求めるのでしょうか?」と訊いてやればよい。

・漢文では論語が出た。別に孔子は高校生に挑戦しようとして論語を書いたわけではないと思うが、それはまあ置いておく。実はこの問題の内容は、ゲストの加藤徹教授の著書『漢文力』(文春文庫)にはっきり書いてある(ただし、原漢文は掲載されていない)。もしかしたらネタ元かも。準決勝ではこれとマンモスが、ちゃんとした学力を測れる問題のように見えた。

8000m級の山や、ノーベル文学賞受賞者の多答問題。作成がお手軽な問題。今後、対策を立てられまくるでしょう。

・決勝もベタが多く、特にコメントは必要ない。

TBSを見られない私が言うのも何ですが、第1問の「ウィトルウィウス的人体図」をはじめ、3問がWQC決勝とかぶっていた。こういう出題を普通にできてしまえることに、不思議の念を禁じ得ない。

・このような問題の使い回し状況が起こることは、今までクイズの世界ではあまり問題視されてこなかった。ベタ問が「クイズプレーヤーのみに開陳された共有財産」のように扱われ、そこからクイズ大会やテレビ番組に出題しても良いとする価値観が広まっているからであろう。世の中の森羅万象のうち、ごく限られた「ベタ」のみを出題対象としていき、対策をしている人たちの中だけで「勝利の栄光」を回していく。

・それと全く対極にあるのが「ホールドオン」。ベタを出してもクイズマニアを出さない「アタック25」という番組もある。

・そういえば、100Mの世界記録を保持した唯一の日本人は?という問題。藤井実の立場は?

・秋田県にいると(いなくても)、何で今さら公立と私立を対決させなければいけないのか、理解に苦しむ。ま、他に煽りようがなかったんでしょ。


高校生クイズ 32-1 2012/9/1()

・さて、高校生クイズである。

・1回戦。私としては「幅広いクイズ本から問題を持ってきた」という印象なのだが、これだけ正解率が高いところを見ると、高校生の間で出まわっている問題集にあるものが多いということか。ま、いずで相当クイズ問題集をやり込まないと無理、ということでしょうね。

・毎年書いているような気がするが、こういうのを数%正解している東大生というのは、何と知識量の旺盛な人たちなのか! 純粋に感動する。(あの東大生正解率には、クイズ研究会は入っていないはず)

・スカイツリーの問題を某サイエンス作家が「高校生レベルは超えています」と言っていたが、この人はサイエンス作家なのに高校の教科書を読んだことがないのだろうか。明らかに物理の教科書の最初の方に書いてある公式で解けますが。一応言っておくと、力学の基本的な公式の3つ目を使い(時間を求めたくないので)、2×9.8×634のルート(ということは14×ルート63.4)を求める。これは単位がm毎秒だから、時速に直せば正解が出る。ただし、本当はダルビッシュの身長をスカイツリーから引かなければいけません。また、番組のなかでルート6342.52としていたのは明らかに間違いですね。

・都合の悪い問題は東大生正解率を発表しない、というのもなかなかやりますね。ニトログリセリンの反応式(要はニトロ化)なんか、理系の普通の東大生ならみんな正解しますからね。一方、知のアスリートたちは・・・あの問題はカットしてあげた方がいいのではなかったか?

・というか、今回は理系に強い高校生があまり残らなかった。これは制作サイドにとって誤算だったと思う。ま、理系に強い高校生が来ても、やらせることは単なる筆算ですが。

・準々決勝。と思ったが、長くなりそうなのでまた明日。

・一応準決勝の計算問題について。シュテファン=ボルツマンはただ当てはめるだけですね。太陽の表面積で割るのをお忘れ無く。また、約分して簡単になる数字にはなっていないので、本当に計算がしんどい。つーか、4乗根ルートから数字をくくりだしてしまうと、目標の「1116」という数字が出てこないと言うのはきつい。

・マンモスの方は超簡単ですね。説明するまでもありませんが、いろいろあって、3.184*5730で出ちゃいます。ふう。


嫌なやつやけど、バナナがこわいんや 2012/6/13()

・秋田県というTBSと無縁の地域にいると、安住アナもよく知らないし、クイズ王決定戦風の番組が催されることも、ある方のHPを見るまで知らなかった。ま、クイズの強豪でもなく、番組に好かれる要素もない私は、別に行く気ないですけど。

 ・そこでのご指摘にもからむが、お手軽にペーパーテスト3択100問4回で「一般予選通過者」を選ぶ、で、WQCのときよりはお手軽なセットとルールで2時間くらいの特番を定期的に実施する。要は「Qさま」なのである。問題は何処かで出題された問題が多いわけだから、無尽蔵に作れる(というか、用意できる)。

 ・また、クイズに相当なウエイトを置いている一般人の存在も根強くあり、しかもその人たちがみんなスタッフの知り合いであるという、こんなおいしい状況を放っておく手はない、と多分思っているのだろう。

 ・思うに、あまり大げさにせず、「クイズに強い人たちが、半年に1回テレビで闘いまっせ」くらいのお気軽なノリでやったらよいのではないか、と。「日本一クイズが強い人を決めるんです!」と気負ってしまうから大変なんで。

 ・なので、ゴールデンでなくても全然いいのではないか。

 ・「クイズに強い人たちも、こんな問題で間違うんですよ」「一方で、こんなすごい問題は正解できちゃうんですよ」みたいな、そんなノリでいいんじゃないかしらん。弱点が見えた方がキャラも立つし。

 ・ま、本当に最強王者を演出したいんだったら、超有名な画の作者を間違えるとか、そういうのはカットしとくべきではないかと思いますが。高校生クイズみたいに徹底して最強っぽく演出すればいいのに。そうすれば王者は他の番組に出られなくなり、自分たちの番組だけの専属にできますよね。ま、今更私が指摘することでもないですが。

 ・とりあえず、これだけは言っておきたい。90年代のクイズ王決定戦番組は、90年代初頭だから成立したのです。今、同じようなことを狙っても、多分駄目です。

 ・これはウルトラクイズにも言えます。今やる必要はないのです。哀しいことを言うようですが、福留時代の高校生クイズも、今では成立しないと思います。日常的に高校生と接している私の感覚ですが。

 ・だから、今の時代に合ったクイズ番組をみんなで考えましょ。クイズ王決定戦的クイズ番組で行われているクイズは、クイズを能と同じ運命にしようとしています(意味の分からない人は『現代落語論』を読もう)。

 ・ということで、国会の委員会ではなく、早くホールドオンを放送してほしい。


30年!(あるベタ問の答えを元気よく答えてみました) 2012/6/10()

・誰かが指摘しているかもしれないが、一昨日のホールドオン。「82年組」の問題で「松本伊代」も1982年にデビューしたように出題されていたが、彼女は1981年デビューです。ま、有名なことですが。

 ・彼女を82年組に入れること自体は問題ない(とされている)。にしても、もう30年か・・・。

 ・なお、ダウンタウンやトミーズ、ハイヒールを82年組とは呼びません。


思考実験の予告 2012/3/18()

・難問と銘打たれている問題であっても、一定の既出問題・ジャンルをただ掘り下げて出題しているに過ぎない、という現状は、何度となく指摘してきた。

 ・このことを、15年以上前に「デリバティブクイズ」と言った人もいたし、「クイズというジャンルのクイズ」と表現した人もいる。で、クイズというものは、そこから全く動いていない。

 ・一方で、「?のつくあらゆることがクイズになる」と豪語したクイズ番組もあった。しかし、その番組も「強豪」の「対策」の餌食となり、消えていった。

 ・そもそも、クイズには「答えてもらわないと進まない」という基本的な条件がある。全く一度も「正解者」が現れないクイズは、ゲームとして成立しない(と思う。たぶん)。だから、そこに「難問」という要素を加味しようとすれば、作成者の側が「対策されていそうな問題」「何処かで出題されたことがありそうな問題」を選んで出題することになっていく。そこには「新しいクイズの地平を拓く」などという発想は皆無となる。

 ・というのが、このブログや親HPの基本的な認識である。と、まず整理しておく。

 ・さて、このブログでは、クイズの「強豪」たちがあまり作らないような問題を、今後何パターンか提示していくことにする。で、これがクイズの問題として果たして成立するのか、と言う思考実験をしてみたい。もし、結果的に「どうやっても、クイズというものは広がっていかない」という結論しか得られなくても、それはそれでしょうがないかな、と思う。


つぶれろつぶれろ自分でつぶれるぞ 2012/3/12()

・覚え書きとしてひとつだけ。クイズに関心のない(世間の大部分の)方は無視してください。

 ・ウルトラクイズの通せんぼクイズについて。通過問題がキャンセル(いわゆるスルー)だったときの扱いについて、ウィキペディアの記述によると、第10回以前は「通過席解答者不正解と同じ扱い」とのこと。

 ・で、「ほんとかな?」ということである。実はこのこと、番組中ではっきり述べられていることがほとんどない。

 ・見た感じ、第8回は間違いなく「キャンセル=通過問題挑戦権を失う」である(実際そうなっている)。

 ・第5回・第6回にはそういう場面がないから、やや微妙。分からないのに取りあえず押しているような例(第5回「フライキャスティング」、第6回「昭和基地」の問題など)が見られるので、多分そうだと思うが。

 ・判断に苦しむのは第10回である。ウィキペディアの記述者が、何を根拠に第10回を「キャンセル=通過問題挑戦権を失う」と述べているのかは不明。通過失敗が1度あるが、何とも言えない。ま、穿った見方をすれば、この回は森田vs西沢の決勝をさせたいはずなので、通過問題をやや難しめにしておいて、「キャンセル=通過問題挑戦権を失う」とした方が都合がよいような気がするのは確かである。

 ・一番引っかかるのは第7回である。この回はどう見ても「キャンセル=通過問題もう1問」ではないかと思う。横田さんが通過問題に正解した後「今の分かりました」と言っていることや(ということは通過問題1問目ではないということだ)、渡辺さんの通過問題がキャンセルになりそうなところで今井さんが阻止しようとした(結局失敗)ことなどが、その原因である。また、この回はクイズ経験者がいない回なので、「キャンセル=通過問題挑戦権を失う」とすると、いつまで経ってもクイズが終わらない懼れもある。かつ、ビンゴクイズは編集が面倒くさい。以上より、第7回については少なくともウィキペディアの記述を疑っている。

 ・このように、ウルトラクイズや高校生クイズでは、必要以上のルール説明が為されていない場合が多い。本当のルールが分かった方が、心理状態の想像には良いのだが。

 ・例えば、第8回高校生クイズの1回戦や準々決勝って、全体の早押しで間違うとどうなるんだろう? とか。


エキゾチッククイズ! 2012/3/1()

・昨年は、高校生クイズ・WQC・頭脳王と、難問系クイズ番組が立て続けに放送された年だった。

 ・難問系、といっても、従来クイズの好きな人たちが出題し合ってきた、ある偏りを持つ「難問群」を出題しているに過ぎない。クイズ好きが対応しきれない問題が出題されることは、基本的にはなかった(あったとしてもスルー・キャンセルとして放映されていないだろうが)。

 ・そもそも、テレビで出題できる「難問」には、作問についていろいろな制約がある。差別用語や商品名に関する問題などは出題できない。しかしそれより、何と言っても一番大きいのは「答えてもらわないと、番組が成立しない」という点だ。

 ・つまりこういうことだ。いくら「難問」と銘打っても、正解者が出ない問題を出題していては、いつまで経っても勝敗がつかない。クイズ番組として成立しないのである。

 ・だから、難問系クイズ番組は、今のクイズ好きたちが知っていそうな問題を出題していく。もっとはっきり言えば、クイズ好きたちが仲間うちで出題しあった問題と、同じ問題をテレビ番組で出題しているのである。ま、このくらいのカラクリは、今どき一般の方でも感づいていることだと思う。

 ・で、最近考えているのは、テレビの制約を外し、新しい形の「難問」を作れないか、ということである。そもそも普段私が作る問題は、クイズによく出る問題になるべくかぶらないように心がけている(つもりだ)。

・ということで、今後「クイズによく出る難問」ではなく「純粋な難問」を探る試みをしていくつもり。もちろん、ただ難しいだけの問題ではなく、クイズとして成立している問題を、ということですが。


今日の問題その76 久々にはまったもの 2012/2/28()

・最近私がはまっているもので、「プロフェッサー」「リベンジ」「ポケット」から連想されるものは何でしょう。

 ・別に、これにはまっているからということで、更新が滞っていたわけではありませんが。


ピエロになってしまったじゃない、生まれつきそうなの(第5回ヒューストン) 2011/11/21()

・ワールドクイズクラシックの参加者プロフィール。さすがに「○○オープン」(○○には大学名などが入る)優勝!とかは出てこないのね。さすがにオープン大会はクローズ過ぎると言うことか。あと、超難問を売りにする番組でも、アタック25優勝というのは入ってくるのか。

 ・クイズ王決定戦的番組を成立させる要素に「解答者の凄さが視聴者にも分かりやすいようにする」という点がある。だから、クイズ屋さんにはたいしたことがない「超早押しの演出」や、難しいと言うことが分かりやすくするための「東大生正解率」などが、クイズ王決定戦には必要になっていた。

 ・今回は問題の難しさを前面に出すらしい。問題の意味すら理解できない世界を見せるというのは新しい趣向と言えるが、「どうせその世界では有名な問題なんでしょ」的な思いを視聴者が持たないようにするには、それなりの工夫が必要と言える。超難問と銘打っておいて、超早押しとかボードクイズ全員正解などのように、ガンガン正解されまくってしまえば、どうしても視聴者は引く。「クイズではよく出る問題なんだ」「なーんだ」みたいな。手品のタネが分かってしまったような。

 ・そうしないために、今回その保険になっているのがクイズプレーヤーの名だたる戦歴だ。引っかけっぽい難問とか、今までの難問をひねった問題などを紛れ込ませてそういうプレーヤーの中から失格者を数名出せば、「本当に超難問なんだ」と勝手に解釈してもらえる(第1回FNSの早押しが好例)。これは「誤答」を利用した演出手法として重要な分析要素なので覚えておこう。誰がその毒牙にかかるピエロになるか、楽しみ楽しみ。

 ・ま、どうせ私はTBSが見られる環境にないので、たぶん見ませんがね。

 ・こないだ「ナナマルサンバツ」の2巻を読んだ。「ベタ問題」についての考察があったが、それについてはまた今度。


勉強して東大に入ろうね会 2011/9/11()

・戯れに高校生クイズ1回戦の問題を某サイトで見た。計算問題2問を除き、28問中22問正解。ま、そんなもんでしょ。

 ・計算問題。てこの問題は簡単すぎる。放送もされた「はやぶさ」の問題だが、要は第2宇宙速度を求めよ、と言う問題であることが分かれば、あとは式に当てはめて計算。どんな式かは調べて下さい。万有引力による位置エネルギーの公式さえ覚えていれば楽勝。指数は無視して(2*6.60*6.00/6400)のルートを計算。つまりは(2.2*9/16)のルートだから、与えられたルート2.2=1.48を4で割って3かければよい(その方が約分ができて楽)。第2宇宙速度は普通11.2km/sと知っているから、それに合わせて指数を考えたら早い。

 ・宇宙の大きさの問題は、宇宙を球だとして、半径を宇宙の年齢(を秒に直して)に光速度を掛けた値で出し、体積を出すといううざい計算。現場ではどのくらい条件が出されたんだろ。

 ・毎年指摘していることなので、いまさら問題については述べない。

 ・明らかにクイズ的ベタベタ知識なのに、クイズ問題で覚えたのではないということを強調して説明させる演出は、いかがなものか。潔く「クイズで覚えました」って言えばいーじゃん。

 ・早押しクイズで、わずか0.17秒差!とか言っているが、感覚上0.1秒違えば、押した本人的には相当押し負けているはず。

 ・この番組のスタイルが4年続き、いよいよ「クイズ王日本一決定戦!」的な番組が放送しにくくなってきたと思う。高校生でこのレベル(世間から見れば難問)の問題を出題してしまえるということは、大人で同じレベルの番組をやっても成立しなくなっているということだ。で、テレビで出題する以上、興味の沸かないような問題や、凄さの分かりづらい問題や、正解してもらえない問題はボツらせるしかない。よって、これより難しい問題は、ちょっとテレビでは出しづらいということだ。しかし、難しくしなければ「高校生クイズと同じジャン」と言われる。

 ・高校生クイズでクイズ王決定戦的番組の人気を復活させようと画策していた人が、いたかどうかは分からない。ただ、世に多くいる「クイズマニア」をテレビの場に出したい人は、確実に存在している(と思う)。そういうチャンスを、実は高校生クイズが奪っていく皮肉な状況。

 ・私はTBSを見られる環境にないし、東京近郊にも住んでいないので、「クイズ最強王者決定戦!〜ワールド クイズ クラシック」を見る予定は無いし、出る予定も無いが(とか言って出たりして)、どんな風に作るのか大変興味を持っている。にしても、「想像を超える世界で行われる早押しクイズ、一問多答問題やボードクイズ」って、どんなんや? わたしにはネプリーグとかQさまにしか見えないんですが。

 ・某高校のリーダーが総理大臣とアメリカ大統領を全部覚えていると言っていた。そのくらいなら私も高校時代覚えてましたが。もちろん私は、別に日本を背負う頭脳の持ち主ではありませんが。記憶力なんて、知力でも何でもない。つーか、クイズなんかできたって、そんなのは知性でも何でもない。昔やっていた「石原慎太郎知事に意見を述べる」の方が、よっぽど知性と言える。ま、あれは絶対にクイズではないが。

 ・ま、クイズができることと、頭が良いことをごっちゃにするな、ってこと。全然違うんでね。


しゃべりすぎだぞアナウンサー(『葬らん!』より) 2011/8/28()

・今日は長文です。アタック25、司会者が変わって当分経ったので、そろそろ一旦感想をまとめたい。

 ・たとえばアタックチャンス直前。私の感覚では「戦況を説明しすぎかな」と思われる。揶揄的に言えば「説明がうるさい」とか「テンポが悪くなる」などと表現することもできるかもしれない。だが、この感想は一般化できないし、たぶん当たっていない。

 ・そもそも、児玉さんの晩年の進行は、戦況を説明しなさすぎている気がしていた。これはこれで、視聴者を置いて言っているように見えた。(最晩年は別として)テンポを重視している、と言えるが、クイズ番組はテンポだけでもたせるものではない。

 ・「クイズはテンポだ」が口癖のお前が言うな、と突っ込まれるかもしれない。私の個人的な主張はそうなのだが、世間が今クイズに求めているものは、どうもテンポではないような気がしてきたのだ。

 ・クイズグランプリの映像を動画サイトで見られるようになって久しい。このテンポは確かにクイズ番組の模範であり続けたと思う。しかし、現下の人気クイズ番組は、解説をくだくだしく行うのが主流になりつつある。見ていて本気で邪魔くさくなる高校生クイズの状況解説や、ヘキサゴン2での「この解答はこんな風にオバカなんですよ」というたいへんわかりやすい(皮肉ですよ)解説、「Qさま!」しかり、まー解説三昧である。

 ・もはや、クイズ番組の「演出」とは、リアクションのしやすい問題作成(これは従来から重視されていた)に加え、「状況解説」の技術のことを指すようになっている、かのようである。「ここにもし白が入りますと」と言うと、仮に白が入ったらどうパネルが変化するか、実際に見せるようになるのではないか。ま、アタック25の制作費・編集時間では無理か。でも、視聴率が落ちればやりかねない状況にあるのは間違いない。

 ・で、なんでそうなったのかを考えた。が、実はこれは、当然のことなのだという結論に至った。

 ・アタック25の出場者紹介で、ここ数年職業の欄がきわめてあっさりした記述になっている。いわば、視聴者が出場者に対して思い入れを持ちにくくなっている状況ができている。年齢すら公表できないようである。個人情報のうるさい時代だから仕方がない、らしい。

 ・出場者へ思い入れをもてるか、というのは今までのクイズ番組を支えてきた重要な要素である。ウルトラクイズしかり、アタック25しかり、かつては「この人はこういう人ですよ」というのが一瞬でつかめるような情報を提供するのが通例であった。

 ・高校生クイズにしてもQさまにしてもヘキサゴン2にしても、ミリオネアでもそうだが、出場者のパーソナリティーを伝える部分に時間を割く。アタック25にはそれができない。しかし、根本はいっしょである。クイズそのものの面白さというのは、そもそもが伝えづらいものなのである。だから、それを伝えるために工夫する。簡単に言うと「クイズをする人にとっての面白さ」を無視して、「クイズを見る人にとっての面白さ」を、なるべく分かりやすく伝わるように伝達する。で、それがすべて「解説」という形で出てくる。

 ・高校生クイズなら、「名門」というブランド、数学オリンピックだの孔子だのという分かりやすい権威による問題の意味づけ、クイズプレーヤーしか知らないようなベタを使用した超早押しの演出。これらすべて解説して伝えなければいけないことだ。

 ・Qさまなら出場者の学歴、問題につけられた正解率、解答者にかかるプレッシャーの演出、などである。これもすべて解説される。ヘキサゴン2は司会者による解説に、ほぼしぼられる。

 ・要は、言葉で伝えられる分かりやすい面白さを、クイズ番組では提供しまくっているわけだ。

 ・今のアタック25は個人への思い入れの代わりにゲーム展開の面白さを重視している(ように思う)。だから、最優先される情報は「パネル取りの展開」である。これは相当に解説が必要となる。だいたい、アタック25のルールというのは、そう分かりやすく作られていない。アタックチャンスのねらい目の選び方も、実は結構難しい(私も児玉さんに収録中なのにダメ出しされました)。

 ・そうすれば、自ずとパネル解説を冗長に行わざるを得ない。あの解説の長さは、浦川アナ主導で行われたのでは絶対に無い、と思う。収録後に反省会が行われ、細かい方針を検証しながら次の収録に備えるはずだ。今のアタック25は、今のスタッフが考え得る最高のイメージに近いものであるはずだ。

 ・児玉さんの解説の少なさに対して、スタッフにはもともと異論があったのではないか。今風のバラエティー番組の動向に敏感で、マイナーチェンジをどんどん行うアタック25のスタッフである。解説を増やした方が視聴者に分かりやすい、くらいのことはとっくに分かっていたはずだ。もちろん、児玉さんにその点のダメ出しをすることは、スタッフにできなかったと思いますがね。もちろん、パーソナリティーを重視した昔のアタック25だって、解説が必要な面白さを提供していた、と言う点では同じだ。

 ・この状況は、殆どすべてのテレビ番組に当てはまる。どう楽しめばよいかを解説することで、面白さを担保する。もちろん、そのトップリーダーと言えたのが、奇しくも先頃引退した某司会者であった。その司会者が感情を込めて話し出すと、オルゴールのような音楽が鳴る。そんな演出が、私は苦手だった。

 ・閑話休題(ソレハサテオキ)、今や解説無しに面白さを伝えようとする、潔い・視聴者任せのバラエティー番組は、もはや絶滅の危機(「ガキ」が最後の牙城か)。秋元さんがずっと昔に主張した通り、日本では結局クイズそのものが力を持ったことがないのである。クイズ番組文化がクイズ文化と同一視されてきた状況下では、しかたのないことである。

 ・我々はクイズ番組で、クイズに付随する「解説」を、楽しんでいたに過ぎない。全く解説のない番組は有り得ないが、それを最低限にとどめ、クイズそのものを楽しませることを主流とする番組はできないのだろうか。できないのならば、そもそもクイズは「見る」ものではない、という結論に達することになるわけで。

 ・全くどうでもいい話。ヘキサゴン2の司会を誰にするか悩んでいるようですね。私は絶対に浜田雅功さんしかいないと思いますよ。


クイズクイズと追われる日々に ゆっくりする間もナイアガラ〜 2011/6/13()

・クイズ漫画のヒットに気を良くして、そろそろ日本一決定戦的なクイズ番組が生まれる可能性が、否定できない。

 ・これからクイズ王決定戦的番組を作るとすれば、やはり「勝たせたい人」「取りたい画」を決めた上で番組構成がなされるのではないか、と思う。高校生を相手にした某番組のように。

 ・問題を作る側も、昔と違ってクイズのプロ(作る側としても、やる側としても)である。答える側はオープン大会(というのがあるんですよ)などで得意分野からクイズスタイルからデータ取りをされまくっている。よって、どういう問題をどういう配置で出題すれば、どういう人が勝てるか、かなり決定づけることができる。

 ・もちろん、そういう操作は昔から「演出」の範囲内で行われていた。しかし、今はそれが高い精度で行えるところに危険性があるのである。視聴者は、少しでもやらせ臭さを感じると、徹底的に批判するはずだ。

 ・アタック25は、そういう操作ができない中でドラマを演出しようとしてきた歴史があるから、強いのである。

 ・今、クイズ王決定戦的な番組をクイズプレーヤーでやるのは、はっきり言って「やらせギリギリ」の行為になりかねない。やるなら相当慎重にしないといけない。FNSのように、対策の立てづらい問題を使って、1回だけやる、というなら成立するかもしれない。逆に、ベタベタのみで早押しのみで、だと、公平なのかもしれない。

 ・何でこんな事を書くかというと、作り手も出演者もクイズプレーヤーになっている現状では、何か事が起こったとき「クイズプレーヤーってろくなやつがいねーなー」と、クイズを好む人たち全体へのあらぬ批判が起きてしまいかねないからである。

 ・ま、クイズ王決定戦的番組が放送されなければそれで済む話だが。寝た子を起こすな的で嫌ですが。


We want you,児玉.」(第10回ロサンゼルス) 2011/5/21()

・前回の投稿は、結局児玉さんが亡くなってからのものとなっていたわけだ。知っていれば、ほんの少しは内容が変わっていたかもしれない。

 ・5月16日は大安だった。この日に結婚した知人が2人いる。しかもそのうち一人はアタック25出場経験者! 何という偶然! しかもその友人から結婚メールが来たのは昼の12時12分。亡くなる十数分前。こわー。

 ・私はアタック25に3回出演した。うらやましいでしょう。それはともかく、行くたびに「児玉さんってどんな人?」と聞かれる。児玉さんという司会者に対する関心が高い、と言うことの証。

 ・児玉さんがアタック25の収録時どうしているかについては、ここに書いてある。いやー、我ながら良い体験記だ。

 ・児玉さんがクイズ番組で果たした歴史的役割については、秋元さんがすでに書いちゃった

 ・私は、別の視点から捉えていた。クイズの司会者は「ポンプで空気を与え続ける人である」という持論がある。一般人は、余程上手く乗せないと、モチベーションを保ち続けられない。いくら賞金で煽っても、最後まで頑張り続けることができなくなりうる。諦めたらオシマイなのだ。一般人はクイズ経験が乏しいから、どうがんばっていいか分からないことも多いだろう。まあ、1回テレビに出られたからいいや、と言う程度の人も多いだろう。その点、芸能人と違うのだ。

 ・そんなとき、児玉清さんやら福留さんやら土居まさるさんやら、独特の雰囲気に一般人を連れて行く役割の人が必要になる。彼らはとにかく一般人を「がんばるしかない状況」に追い込む。私も「こうなったらめちゃくちゃに押していくしかない」とか何とか乗せられて(このセリフは放送でカットされていた)、直後に誤答したことがある。自分としては悔しいが、テレビ番組としては良い画が撮れた。それは、間違いない。日曜の昼に、しかも「新婚さん」の直後に、醒めた解答者なんか誰が見たいか。

 ・そして、一般人は、上手に乗せれば、芸能人とは違うドキュメンタリー的な画を提供してくれる(「電波少年」に無名芸人を出していたのは、そういう意味で演出上完璧なのである)。児玉さんはもしかしたら、そういう芸を持った、最後の司会者なのではないか、と思うのである。共通しているのは、テレビに映らないところで、自分の役割をはっきり自覚していたと言うことだ。

 ・私が前回の書き込みで浦川さんに新司会の期待をかけたのは、在阪のアナウンサーによくある「一般人いじりのうまさ」を発揮できる可能性があるからなのである。ということで、これからもアタック25はしっかり見ましょう。そして、「クイズの原点がそこにある」なのか、「クイズの司会者の原点があったにすぎない」なのかを、見極めましょう。

・あ、明日の追悼番組は、アタック関連の映像がどうせ少ないと思うので、あまり期待しない方が良いと思いますよ。肖像権に日本一うるさい朝日系列だから。アタックは昔の映像も全然残ってないらしいし。


高校生クイズ30 2010/9/6()

・高校生クイズ。以下、思いついたことを順番に。

 ・メーンパーソナリティ、少なくとも菊川氏はリアクションが悪い。ま、あれが、普通の東大出身者の反応であろう。彼女はきっと誠実な人なのだろう。

 ・そもそも、東大には天才が入るのだ、というイメージがうざい。「東大生ですら正解できない問題」を答える人は、東大程度の大学なんか目指しちゃダメじゃん。

 ・漢文の問題の時に、宇治原氏が「京都大学の入試レベルを超えている」というような趣旨のことを話した。これはひどいコメント(というか編集)である。基本的に京都大学の2次試験には漢文が出題されないのだ。どんな意図があるか知らないが、よくもまあそのままこのコメントを流せたものだ。だいたい「須」に注目しさえすればよいあの問題が、京都大学の問題よりレベルが高い、とは全く思われない。

・所詮テレビ番組なんて全部そうだ、と言ってしまえばそれまでなのだが、そう大したことのないことを、演出の力でものすごいことに見せようとする、そのやり方のすさまじさをまた実感。

 ・しかしそれが、そろそろ視聴者に見透かされるときが来ているのではないか。明らかにこのクイズで問われていることは、勉強ができる人が、勉強をした末に手に入れるような知識ではない。

 ・情報格差と言うことについても、そろそろ誰かが暴露したらどうか。

 ・そもそも、テレビのクイズ王決定戦的番組が無くなった後、一定の範囲で「超難問」を作成し、「オープン」と呼ばれる大会でお互いに既出問題を出題し合い、「実力がある人」を決めるかのような演出をしてきたのがクイズ界だった。それを、高校生たちを使って再現しようという一部のオトナがいる。そこに五味演出がぴったりとマッチした。

 ・オトナたちは、自分がかつて何処かで出題したような問題を集めて、「超難問」と銘打って出題した。まるでそれがクイズという世界の決まり事であるかのように。高校生たちは、そのオトナたちの問題を手に入れて、暗記しまくった。覚えれば勝てるから。覚えれば、他の人が驚くほどのポイントで早押しできるから。

・もちろん、手に入れられるのは一部の高校生に過ぎない。そこに格差が生まれる。「こういう問題がオトナのクイズの世界では出題される」というクイズ問題を手に入れ得た者だけが解答できる。それが今の高校生クイズである。要は、「クイズ界」というごくごくごくごく狭い一部の人間の居場所に関わりを持った高校生だけが、勝つチャンスを持っているということ。そういうことを暴露されれば、この番組は本当に終わるor方向転換を余儀なくされる、はず。

 ・ちなみに、今回は決勝に新作っぽい難問も混ぜているから、答えられなかった問題はじゃんじゃんカットされたと思われる。その辺について、最近のクイズ事情(っつーものが存在するかも微妙)に疎い私は、いちいち指摘できないのが歯がゆい。誰かすべての問題について、どの問題集の何処に書いてあったか、指摘して公表してくれないものかしら。

 ・それにしても、いくら超早押しを演出したいからといって、いまだに「特に水鳥」などという問題を出題して、恥ずかしくないのだろうか。恥ずかしくないんだろうなぁ。恥ずかしかったらこの番組、成立しないもんなぁ。

 ・余談だが、準々決勝は1回戦だけ難易度(クイズ界で出題される度合いの高さ低さ)が高かった。どういう意図があったのだろうかね。

 ・次に、クイズっぽくない問題について。

 ・正一万角形の対角線にしても、ロト6にしても、普通の高校生にすら「ただの計算じゃん」と思われちゃう問題を出すのは、どんなものなのだろうか。準決勝のハッブル問題にしても、基本的には計算さえすれば解ける。だいいち、本当に解き方を思いつくことさえ難しい問題だったら、電卓の使用可にするのが普通だろう。要は、筆算(暗算でも良いが)の能力だけを問うているわけだ。

 ・誰かが書いているかも知れないが、一応書いておく。ハッブル問題は、「距離÷速さ=時間」だから、式を変形し、ハッブル定数の逆数が求める時間であることが分かる。あとは「3.09/(70.5*86400*365)」を計算。桁数が面倒くさいと思うが、だいたい宇宙ができてから100億年代だというのは知識として常識なので、有効数字3桁さえ出せれば答えはOK。

 ・何で距離÷速さで答えが出るか、とか、「Mpc(メガパーセク)って何?」みたいな知識は必要ない(そのくらい知っていると思うが)。与えられた条件で「時間」を「年単位で」出せ、と言われれば、あれしか計算のしようがないから。

 ・長くなるので、個々の問題についてはまたいずれ。


3.1415……7? 010/7/19()

・昨日のアタック25をさっき見た。フィルムクイズで「孔子」の生年が「551年?」となっていたのは、「紀元前551年?」の誤りであろう。もっとも、「?」が付いているから、なんでもありなのかもしれないが。気付いたので書いておく。


高校生クイズ09 感想1 2009/9/7()

・昨日アップした問題についてのフォローは演劇の大会後に。

・高校生クイズ視聴。相変わらず、大したことがない問題を難しそうに見せる手腕は健在。いや、前回以上。

・数学的な問題が特にひどい。レンガの総数は公式を単に計算する速さだけだし、「数学オリンピック」と銘打った問題、何処が「高校史上最高レベルの問題」なのか。数学オリンピックにいつ出た問題なのか。どう低く見積もっても「国内第1次予選」で出たとしか思えない。計算さえしてればそのうち出るし(私がやってみたら、計算機無しでも6〜7分くらいでできた)。にしても開成高校、答えは絶対に1/6より大きいだろうに。

・アインシュタインの公式の問題も、ただ計算するだけなのに、いかにも「アインシュタインの脳に挑戦する」ような演出。論語も授業で扱うような有名な箇所だし。

・過去問も健在。今回の問題の解答になった単語を、クイズの杜のPDIC(私は大量に問題を提供したということで、データをいただいている)で検索をかけると、出るわ出るわ過去問が。「処処啼鳥を聞く」もQUAPSというところで出ているらしい。ま、その辺の分析は「高校生クイズを極めるページ」などが詳しい。にしても、高校生クイズで学校の名を挙げようとする高校教師など、名乗り出るものなのだろうか?

・ある国語ベテラン教諭の言。「あれだけ難しい問題を正解しまくってて、最後に教科書に書いてあることが分からないんだから面白い」。全く同感。

・準々決勝。特定の問題集の問題が多い。例えば、「abc」という大会に出た問題が多い。順に「プリンキピア」「アンモニア(後フリがやや違うが)」「勘亭流」「キンシャサ(ブラザビルを答えにした問題はヒットせず)」「そして誰もいなくなった」「トリケラトプス」「ウバメガシ」「マルサス」「スーラ」「シナイ山」。例えば「日本の歴代天皇の中で唯一漢字4文字で表記される第103代天皇は誰でしょう」は、ここ98問目にあるのだが、問題文までほぼ同じ。他には「QuizRoad」というメルマガの問題も結構引っかかる(当然といえば当然か)。Mino-Tenというのも結構見つかる。「abc対策会」というのも少しある。解答として全く引っかからない単語はほとんど無い。

・ということで、万が一高校生クイズで勝ちたいと思う人は、そのあたりの問題をガツガツ覚え、すばやい計算力を身につけるのが良いとわれる。ま、来年もあの形でやる、という保証は何もないけど。

・ちなみに、私は自作問題のほとんどをPDICデータ化している。そちらで検索をかけたら、全然引っかかる問題がなかった。

・決勝の問題は絶対に東大生正解率1%以下だけを集めたのではないと思う。オルニチン回路とか、ロカルノ条約とか、失われた時を求めてとか、パノプティコンとか、が1%以下には絶対に思えない。

・疲れたので続きはまた今度。正解音まで長すぎる、とかの話も。


本格派ってこういうことだったんだ 2009/9/6()

・高校生クイズの感想は、諸事情でのちほど。

・クイズ問題を発表するので、ご覧頂きたい


近況報告 2009/5/17()

・森光子国民栄誉賞! は、どうでもよい。文化勲章を受章している人に、わざわざ国民栄誉賞を出す必要があるのだろうか。芸事は生きているうちに評価すべきだ、という私の理論には合っているが、もう文化勲章を出しているし。

・私は国民栄誉賞など、クイズのネタに困った人が重宝する、という程度のものだと思っている。私は覚えていないので、国民栄誉賞関連のクイズ問題は正解できまへん。

・ウィキペディアを見ることが結構あるが、「これは対象物への愛情に満ちている!」と思える記述は(百科事典なんだから当たり前だが)あまりない。今一番のお薦めは「福本豊」。つい笑ってしまう。

・一つ問題を。福本豊が、シーズン終盤の野球解説のとき「覆面パトカー」と呼んだのは、どんな選手でしょう? 答えはウィキペディアで。


クイズの問題への興味 2009/5/6()

・最近、「この問題はどういう発想で作ったのだろう?」ということがやけに気になる。特にベタと呼ばれる問題が、最初はどういうつもりで作られたのかが、すんごい気になる。

・たとえば「なぜ山にのぼるのか」=ジョージ・マロリー。これがクイズによく出る(のか?本当に?)ようになったのは、何故なのか。私なりには、(荒削りなのでまだ発表できないが)答えはある。だが、そう言う観点でクイズ問題を分析しているのを読んだことがないので、論は慎重に立てねばならない。ま、クイズへの興味とは別に「これ、名言か?」という疑問もあるのだが。

・このことを調べようとネット検索をしていたら、いろんなブログやウィキを見つけた。もっとも、私の知りたいようなことは全く載っていなかったが。

・かつて、「ジョージ・マロリーは覚えにくいから、ジョー・ディマジオに似ている名前というふうに覚えている」という方がいた。それで覚えやすくなっているかは疑問。


クイズ雑感 2009/3/10(火)

・昨日のアタック25。問題読みで、「ハロゲン」の語源を「塩(しお)」と「作る」だと言っていたが、一緒に見ていた妻(化学教諭)は「塩(えん)じゃなかったっけ?」と一言。その通り。

・なぜハロゲンを語源から出題しなければいけないのか。多分、答えの限定に必要だからだろう。アタック25はここ数年、「限定」にこだわって問題が長文化している。これはスタッフの方が言っていたので事実であろう。

・視聴者をおいていかず、限定もしたいのであれば、語源を最後に持ってくる、という荒技もあり得る。これは「有名な情報はなるべく後に持っていく」という、従来のクイズ作成観(っていうものがあるとして)とは、真逆な発想である。でも、アリだと思う。

・最近、問題作成と並行して、クイズ基礎論を構築し直そうと思っている今日この頃。


今年やることなど 2009/1/5()

・昨年は、一度もクイズ会合に参加していない。もっとも、問題は一応発表した。なぜかリンクできないようになってしまっていたので、取りあえずここにリンクを張り直しておく。にしても、88問目のネタは、最近テレビでよく見たのぅ。

・で、今年。クイズの勉強は、相変わらず全くしていない。んなもん、するかいな。クイズの勉強に役立たない問題作成は、細々と続けている。こんなのは、抱負にはならない。

・クイズというのは、遊びの手段である。しかし他の趣味と決定的に違うのは、ルールから考え始めなければいけない、というところである。ここがあまりにも違いすぎる。

・クイズのルールを一生懸命考え、且つそれに合う問題を発表している人は、(テレビを除けば)このサイトでしか見られない。

・今年はせっかくクイズ番組ブームが終わるので、これを機に私もいろいろなルールの可能性を考えてみたいような気がする。さしあたり、「クイズそのもので遊べるルール」「真剣勝負をあおれるルール」などを考えてみたいような気がする。クイズそのもので、というのは、クイズに答えた人がカードをめくって云々など、早押しに何かを足しただけのようなルールではなく、という意味。

・「クイズそのもので」、とは言いながら、面白さは当然に参加者の個性に左右されやすい。そういうことを加味して、微調整できるようなルールがいいのぅ。

・「真剣勝負をあおれる」かどうかは、結構難しい。「クイズなんて、そんなに真剣な顔してやるものではないです。昼間から必死な顔なんか、見たくないです。気楽に、遊んで帰ってください」とは、アタック25の構成作家の方の言である(3回目出場にに聞いた)。名言である。結局、クイズって必死にやるものでは、ないのかもしれない。遊び遊び。ただ、遊びなりに、真剣になれるルールは無いものか。

・つまりは、結局の所、ウルトラクイズを捨てるしかないのである。案外クイズグランプリあたりにヒントがあるのかも知れない。いや、クイズ以外の所にヒントがあったりして。ま、そういうアンテナを張りながら、赤ん坊の世話をして暮らそうか、と。

・ということで、今年もよろしくお願いします。だれか私とこの方の真剣勝負の演出をしてくださる方はいらっしゃらないものか。


2008年総括 クイズ 2009/1/1()

・クイズ番組ブームは相変わらず続いている。大晦日をクイズで済まそう、という発想がテレビ界に起こる状況も、よく分かる。

・雑学王もなかなかネタ取りに苦しんでいる様子がうかがえる。ヘキサゴンUは特殊な形のクイズ問題が多いので、ネタも結構すぐ尽きてしまうだろうし、「雑学王」もそろそろきつくなってきた。最近はテレビ朝日御家芸の漢字問題に逃げてしまっている。

・ただ、こうしたクイズ番組たちが、何となくクイズというものの持つ面白さの一端を、世間の人に伝え得たということは評価して良いのではないだろうか。また、ヘキサゴンにしろ、雑学王にしろ、方向性はどうあれ、問題をかなり練り込んで作ってあることはよく分かるし、その点も評価すべきである。

・ただ、気になるのは、最近明らかにクイズが飽きられていることである。ヘキサゴン以外は「役に立つクイズ」というのを、前面に押し出している。世間の人が興味を持つネタで、かつ「役に立つ」という枠組みをはめた途端、問題はかぶりまくっていく。おそらく、来年こそはその傾向が破裂し、番組が淘汰されていくはず。

・私は、クイズが何かの役に立つ必要など、全くないと思っている。私は「トリビア」が結構好きだったが、「明日使える知識」という触れ込みが大嫌いだった。クイズを「知的好奇心」で引っ張る番組が多いが、「クイズを使って何を見せるか」という原点に戻った番組作りが行われればいいなぁ。「クイズ」はテレビにとって、何かを見せる手段に過ぎないはずなのだ。その意味で「高校生クイズ」は、一定の成果があった。ただ制作者が「視聴者目線」ばかりで、「参加者目線」をほぼ全く欠落させていたのは残念である。

・ま、高校生クイズのような「昔出題された難問を、さも超難問のように見せかける」ことが流行しないことを期待している。流行してしまうと、昔ちょっとクイズを消費していた、というだけの人がクイズ界(というものは無いのだが)で偉そうにする、とんでもない状況が出てしまうので。

・これは漢字検定の項で述べるべきことだが、漢字検定的クイズを売り物にした番組は、作り方がいかにも安易である。「漢字検定の過去問題から出題!」という触れ込みだけで、「ラクして作っているなぁ」と、嫌悪感が走る。雑学王の尻取りのように(あれも飽きてきたが)オリジナルの漢字問題を作りなさい。

・視聴率が比較的良かったという程度の理由で、高校生クイズを批判的に見る試みがあまり拡がらなかったことは残念であった。

・そういえば、「ヘキサゴンU」の「アナウンスクイズ」って、早押しにする必要が無いのに、わざわざ早押しにしている。あのような形で早押し機を使う表現効果についても、考えられて良いと思う。


覚え書き 2008/10/3()

・10月2日の「日本人の何ちゃらクイズ」で、山瀬まみが紹介していた「レタスはぬるま湯につけるとパリパリに戻る」は、「ためしてガッテン」のネタであったと思う。パクるにしても、山瀬まみを使うかね! 他にも雑学王とのかぶりもあった。同じ運動会の種目の名前を出すのでも、わざわざ蝶々の話を使う感覚が理解できない。

秋元さんが「剽窃禁止!」を標榜して久しい。最近は「商業利用を希望される場合は、事前にご連絡ください」とも記している。このような表記は、実はクイズの世界では珍しいことである。なぜなら、この語は「自分は本当に新作問題を作っている!」という宣言でもあるからである。そこまで自信を持って問題を作っている人は(私も含め)ほとんどいない。

・クイズのメールマガジンというのがいくつかある(あった)が、たいがいは「今までのクイズによく出ていた問題を紹介する」という趣旨であり、純粋な新作問題を出題していることはあまりないようである。「クイズ作家」のメールマガジンがそういう状態であることを、別に批判する気はない。「よく出る問題」は、「クイズをする人たちの共有財産として既に認知されている問題」(この意味はいずれ詳しく述べたい)だと言えると思うからである(歴史的にはいろいろ問題はあるにしろ)。「クイズ作家」はクイズのスポークスマンたり得ると思うから、このことは良いと思う。

・ただ、こういうことは言える。クイズを作る自称クイズ界の人たちは、既存の問題をパクって出題することに、慣れきっている。これはここ15年くらい全然変わっていない。

・それが高じて、テレビの番組からテレビの番組へ、平気で剽窃が起こっているのが現状だというわけである。これは高校生クイズでも同様であった。ま、ベタ問題はパクってもよく、難問はパクってはいけない、という訳でもない。ベタが何故生まれるかのメカニズムは、結局まだ述べていなかった。今後はパクリの問題と絡めて、ベタの生まれる必然性を述べるつもりでいる。

・クイズに著作権は無い、とうそぶく人たちがいる。こんなのはパクっている自分たちの正当化に過ぎない。つーか、そんなわけねーじゃん。いい大人が、そんなことも分からないのだろうか。

・私が「雑学王」を高く評価しているのは、パクリの要素がほとんど見られないからである。もっとも、最近の問題の中では、、、、(以下、いずれ書きます)

・忘れていたが、「烏」の字源も雑学王のパクリだった。


クイズ覚え書き 陸上編 2008/9/15()

・最近訪問者が多いので、減らす為にこんな記事を。

・FNS第4回決勝で、「棒高飛び」と書いた人を不正解にし、「棒高跳び」と書いた人を正解にしている。正確な表記は「棒高跳」であり、「び」は不要。よって、本来は両方不正解である。ひらがなだったらどうしたのだろうか(「白雉」事件もあったことだし)。

・「ハンマー投のハンマーと砲丸投の砲丸。重いのはどっち(答え:同じ)」的な問題がよく出るが、そもそもハンマー・砲丸とも男女重さが違う。また、ここでいう「ハンマーの重さ」とは、球自体の重さなのか、持つ部分を合わせた重さなのか、判然としない。

・第2回FNSグランドチャンピオン大会でこの問題が出たとき、解答者の永田さんは、少し考えた挙げ句「ハンマー」と答えた。私の予想では、第11回ウルトラクイズ「砲丸とハンマー、球自体の重さはおなじである。○か×か(正解:○)」が瞬間的に思い浮かんだのではないかと思う。で、「球自体」というところから判断し、「ハンマーは持つ部分の分重い」と判断したのではないか。

・結論としては、「ハンマーの重さ=球(正確には頭部と言う)+接続線+ハンドル(取っ手の所)」である(日本陸連HPなど参照)。これが「砲丸」と同じ重さなのだ。つまり、砲丸よりハンマーの球の部分の方が軽いと言える(厳密に言えば、重さには誤差の許容範囲があるのだが、接続線とハンドルの重さを引き、球のみで許容範囲に収まることはまずあり得ないと思う)。ウルトラクイズの問題が間違っていると思う。FNSの方が正しいというのも珍しい。ただ、様々な陸上関係のHPなどでも「球が砲丸と同じ重さ」と勘違いしてあるものが多いようで、間違えるのもやむを得ないか(例:これ)。


高校生クイズについて おしまい 2008/9/9()

・どうも〜高校生クイズの救世主で〜す(分からない人は気にしないでください)。

・高校生クイズ、視聴率が良かったとかで、賛否両論の両方からいろいろ述べられてきてるようである。正直言って、私の予想は「視聴率横ばい」というところだったので、意外ではあった。

・私の周りでも、教員で見た人は結構いた。が、「おもしろかったね」と言っていた人は、私の知る限り皆無。高校生に聞くと、見た人自体があまりいないようであった。

・視聴率が良くても、これに気を良くして「日本一クイズ王決定戦」的な番組は、たぶん生まれないと思う。そこの予想は変えない。高校生だから演出できた部分が大きすぎること、高校生というブランドが必須であること、予選にかかるコストが大きすぎること(ライオンのような大きいスポンサーが付きづらい)などなどの理由である。だから、次の「日本一クイズ王決定戦」は、アタック25の40周年?

・ラ・サールや早慶を編集で重視したのは、右上のテロップに「開成vsvsラ・サールvs早慶」という全国的にキャッチーな高校名を書きたかったから、だけの気がする。ただ、これは最近のテレビの常識なので、好き嫌いは別として、批判しないでおく。つーか、好きではないけど。

・で、一応整理しておくと、私が今回の高校生クイズを批判する観点は「そもそもこういうコンセプトになることを知らず、『わたしたちでもがんばれば勝ち残れるかも知れない』と思い、それなりにお金を掛けたりして、せっかく参加してくれた参加者たちの心を踏みにじっている」という点が主である。

・準決勝を「あんなもんクイズじゃない」と批判した。批判はしたものの、高校生の悩む姿としては、高校生クイズ史上相当「いい画」であったことは確かである。むしろ、「数学オリンピック」の高校生がいるのに「数学オリンピックの問題」を出題することに、不公平感を感じてしまった。「理系」=「頭が良い」という低レベルな思い込みが根底にあるように思えてならない。ま、「理系の知識」は、なかなか普通のクイズにしづらいので、理系問題を出題しようと言う意識は評価したい。

・余談だが、クイズ研究会には文系の人が圧倒的に多い気がする。TQCでも理系問題が出るとうれしかった。他の人がなかなか正解しないので(私は国語教師だが、入学は理科一類なのである)。


高校生クイズ 2008/9/7()

・下の数学の解答、複数のブログで公開されていたようだ。ま、そんなに難しくない問題だからってことで。

・このブログ、2chからリンクを貼られていた。そういうことか。

・今年の高校生クイズが、クイズ番組として一定の成立の仕方をしていることは理解できる。だが、そもそもこういうコンセプトになることを知らず、「わたしたちでもがんばれば勝ち残れるかも知れない」と思い、それなりにお金を掛けたりして、せっかく参加してくれた参加者たちの心を踏みにじっているような気がしてならない。

・単なるクイズ頻出問題を「難問」と銘打って出題し、底知れない知力があるかのように見せる演出には、極めて疑問を感じる。

・北川宣浩氏は「オバカキャラへのアンチテーゼ」と述べていたが、そういう大仰な思想的なものを感じることは、私にはできなかった。さしずめ、高校のクイズ研の実態を知ったスタッフが、上手く利用することで至高のクイズショーを演出できる、と思ったというくらいのものではないか。

・これを機に、「クイズ王決定戦」的な番組は、また当分の間作られなくなることであろう。今回の視聴率が大変興味深い。

・これで「クイズの勉強をした人が勝つクイズになり、喜ばしい」などという感想が出ないことを祈る。

・にしても、彼らは東大に入学し、東大クイズ研究会に入会したりするのだろうか? 

・それに引き替え、今日見たアタック25のほんわかした面白さと言ったら!


高校生クイズについて 2008/9/7()

・このブログは、だいたい1日20〜30人の訪問者がいる。今日に限って訪問者の数が300を超える勢い。何が起こっているのか。高校生クイズゆえ?

・まず、準決勝の数学問題、子どもをあやしながら考えたわたしなりの解答をごく簡単に。

・問題は、「1〜90までの数字から5つを引いて、小さい順に発表するくじがある。連続した数字が現れない引き方は何通り?」というもの。使う公式は組み合わせ公式のみだが、そこに結びつけるのが少し厄介である。それにはやく気づかないと、20分で解くのはたぶん無理。

・まず、問題の条件通りに並べた5つの数字を、小さい順に{a,b,c,d,e}とおく。これを使って、{a,b−1,c−2,d−3,e−4}という数列を作る。

・この数列は「1から86までの数字から5つを引き、それを小さい順に(連続した数字が出てもよい)並べた数列」になる。よって、答えは86534826302通りである。東大を目指しているNくん、正解できたかね。

・秋山仁氏が「全部(の学校が)苦戦している」と言っているが、少なくとも水戸一高は苦戦していないと思う。にしても、準決勝は何としても水戸一高を勝たせたかったのではないか、と言う臭いがプンプンする。(この稿続く)


高校生クイズの印象 2008/9/6()

・高校生クイズの感想を述べる会、に参加できないので、ひとことだけ。

・1990年代初頭のいわゆる「クイズ王番組」などに出題された問題を出しまくって、「超難問」であるかのように見せかけている滑稽さ。あんなもん、知力でも何でもない。

・いくら超早押しを演出したいからと言って、「どっどど どどうど」などという問題を今更出題して、恥ずかしくないのだろうか。

・とにかく、クイズ界(というものは存在しませんが)の約束事に知悉している人間のみの大会になってしまった。こんなもん、誰が出たいか。誰が見たいか。

・結局、超早押しも「約束事」の世界に過ぎないのである。だから、あれを見て「頭良い!」などとは、全く思わない方が良い。「先読み」でもなんでもないから。ウソだと思うなら、私がほぼ同じような押し方をいつでも見せてあげます。

・準決勝。あんなもん、何処がクイズなのか。

・「高校生クイズストーカー」の記事も、大変熱がこもっている。是非読まれたい。


近況報告 2008/8/24()

・まだ出ない。そういうもんか。

・今日気づいたのだが、アタック25のスタッフロール、「問題チェック」の人の名前は、週によって違うようだ。問題作成に関わるスタッフを全員スタッフロールに掲載するわけにいかないから、こういうことになるのだろう。なお「ガキの使い」のディレクターの名前も、回によって順番が違っている(大昔は坂本秀直氏が常に最初だったのだが)。


感想 2008/8/17()

・「アタック25」視聴。高校生と高校の先生大会は、高校生の超早押しで終わることが多い。今回の緑は角が取れるまで全く正解する気が無かった。こういう戦い方が可能であるところが、アタック25の難しいところだ。

・とはいえ、緑に序盤で21を取らせる必要は無いのである。緑が取った角が25だったら、少し展開は変わったはず。この辺の取り方のセオリー(角を取らせる場面では、壁ができないように入れる)が確立されていくと、もう少し僅差になったかもしれない。

・赤の方も、少しクイズをかじったことがある、という印象。ただ、緑のクイズ慣れにはかなわなかった。だいたい、ウルシ科なんてよほどクイズまみれでないと正解できない。今年の高校生クイズは、こういう高校生がたくさん出演してくれるとのこと。ああ、今から本当に楽しみだなぁ。

・ウルシ科については、こういう問題(106問目)を13年前に作った奴がいるので、紹介しておく。

・「ウルシは何科でしょう?」でも、答えられない人のほうが多い。「何科」問題の活かし方ってあるものかしら。

・なお、このページにある問題、修正が必要。93番は24秒ルールになった。109番。日本書紀に西暦は書いていない。216。訓点は「送り仮名」「返り点」「句読点」の3種類にこそ分けるべきである。243。「昔恋しひ」の表記は明らかに間違い。「恋しい」でなければいけない(「恋しき」のイ音便であるため)。

・暇があれば、あのページの問題の修正をしたいのだが、なかなかできないでいる。

・今日の使えない知識。土佐礼子の本名は「村井礼子」。クイズにしにくい知識の例。


お知らせ 2008/7/24()6

・すんごいひさしぶりにHP本部を更新しました。


ベタは何故生まれるか 覚え書き 2008/6/19()

・「Second Quiz」開始時から「ベタは何故生まれるか」を書きたいと思っていた。それなりに構想はあるのだが、なんか手が進まない。

・例えば、走り高跳びの問題を作ると「3回(失敗すると失格)」が良く出題される。他にもいろいろあると思うのに、何故これがよく出るのか。

・ベタが生まれる理由は、クイズ問題を作る上でどうしても意識せざるを得ない(というか、してしまう)「縛り」である。

・曰く「適正な難易度」、曰く「興味を引くことかどうか」、曰く「人生で触れられるようなことか」、曰く「意外性があるか」、などなど。

・この「縛り」、かつては「テレビで出題され得る」という前提の影響が大きかった。

・「縛り」に当たる項目を明らかにすれば、「ベタのできるメカニズム」「今後ベタになりそうな事柄」「ベタを避けるにはどうするか」を明らかにできるのではないか。

・と思っていたのだが、どんどんめんどくさくなっているのが現状。こういうとき、ブログは自分のメモ代わりになってありがたい。


アタック25覚え書き 2008/4/1()

・あのときもらったアメは以下の通り。

 カンロアメぶとう味・カンロアメの茶色い花びらがいっぱいデザインされているもの・カンロアメレモン味・アーモンドスコッチキャンディ(メーカー不明)

 とてもではないが、休憩時間でなめきれるものではない。なぜ休憩が終わるころにくれるのかも不明。


タイムショックの感想 2008/3/27()

・明日早いので早く寝たいのだが、どうしても書いておきたいので。

・タイムショックとミリオネアは、タイムショックの方を見てみた。

・準決勝以降の問題は、バランスも良く、難易度調整も適切で、大変練られた結果のものと感じた。あまり褒める人がいないと思ったので、忘れないうちに書いておきたい。

・決勝がサバイバル形式のタイムショックだったこともあり、難易度調整でアンフェアな感じや、問題選択の運任せの雰囲気が出てしまうとつまんないなぁ、と危惧していたのだが、見事に払拭していた。素晴らしいの一言に尽きる。

・と書いても、何でこんなに褒めているのか分からない、と感じる人もいるだろう。それはそれでしかたがない。


綱引きクイズについて 完 2008/1/6()

・まだ話は終わってはいなかった。なぜ第8回のようなルールにスタッフが変更したのか、不明なままであるから。そもそもここまでの稿で、私は「綱引きクイズは第8回より第7回の方が、完成度が高い」という方向性を一貫して提示している。では第7回の方に、ルール上の問題はないのだろうか。実は第8回のルールは、第7回のルールを改良したものなのではないか? そういう方向から読み解くことはできないのか? それを探るカギは第7回の放送そのものにある。

・第7回では、その後ボストンまで勝ち抜ける今井さんが、やたら先頭にいることに気づく。その後ろに女性が3人。実はこのルール、綱を引く6人がたまたま力弱い人たちだと、ずーっと解答権が後ろに回らず、先頭が変わらない状況が生まれてしまうのである。まして「裏切り」なんぞが起ころうものなら、目も当てられない。

・第7回の綱引きチーム分けは、「朝早く起きた人から前に並んでいく」という形式だった。この形式の場合、体力のある人無い人を均等に分けることができず、力弱い人が特定のチームに固まることが充分起こり得る。また、一見合理的で平等に見える「各チーム6対6で綱を引く」というルールも、引く人数が少ない分、弱いチームの弱さが際だってしまう。弱いチームだから、問題が重なるごとにどんどんつらくなってくる。負のスパイラル状況は6人だけをどんどん追い込んでしまう。

・ここまでくれば、第8回のルール改正の意味が見えてくる。

・解答権が回らない状況は、「12対12」からスタートして、勝ち抜けが出るごとに引く人数の差が出るようにすることで、引き勝つ頻度を均等に調整することができる。また、チームの力強さもころころ入れ替わる。また、第7回では起こりにくかった「裏切ったのに解答権が来る」という状況も、まま起こり得る。

・体力のある人無い人を均等にする、という点は、もしかしたら「朝飯早食いチーム分け」で改良を試みたのかも知れないが、こちらは確定できない。

・スタッフの誤算だったのは、比較的先頭から順調に勝ち抜けていってしまい、後ろの方まで順番が回ってこなかったことだろう。これはひとえに問題の難易度が低かったことに起因する。最初の1周分くらい(20問くらい?)もう少しだけ難しめの問題を用意できれば状況は変わったのだろうが、長時間かけるとつらいルールであり、また最初に難しい問題を出しまくってしまうと早食いのメリットもなくなるし・・・。ということで、結局は問題の難易度も優しくせざるを得ない。また、モチベーションの面では前項のような問題点が指摘できる。

・第7回ルールに潜む問題点。そして前項で見た第8回ルールの問題点。どちらをも解消できないことこそ、実は「綱引きクイズ」が持つルール上の限界というべきであろう。だから、この形式がチーム戦に発展解消していく、という私の結論は揺るがない。

・このように、ウルトラクイズのルール上の問題点や限界を探る試みは、もっと行われて良い。ウルトラクイズがもはや「クイズの古典」としての地位を確立している以上、クイズの共有財産としてウルトラクイズルールを、「これからのクイズをもっと楽しいものにする」営為に利用することは、我々ウルトラファン且つクイズ好きの使命だと思う。

(この稿本当に終わり)


綱引きクイズについて2 2008/1/6()

・最近第7回と第8回の綱引きクイズを見る機会があった。舞台はともにハワイの砂浜。

・綱引きクイズは両方の回とも24人で行われた。まず、いろいろあって2チームに分かれる。

問題が読まれると綱引きが行われ、引き勝ったチームの先頭の人に解答権が与えられる。正解すれば勝ち抜け。間違えると綱引きの列の最後尾に行く。12人が勝ち抜けるまで行われる。

・このクイズで見せたかったのは当然「必死に綱を引く姿」なのだが、その根底にスタッフが想定していたのは「チームのために頑張る姿」だと思われる。福留功男著『私情最大アメリカ横断ウルトラクイズ』では、「他人のためにチーム一丸となって頑張る姿」を描きたかったことを匂わせる記述もある。しかし、それは期待しすぎというものであろう。「今先頭にいる人をチーム一丸となって勝たせたい」という気持ちなど、そうそう起こるものだろうか? 第7回でラスト抜けが決まった直後、いかにも「チームの勝利」と結論づけているが、そんな単純なものだろうか?

・基本は「引き勝つと自分が得になる」から一生懸命引くのではないか。以下、このクイズについては「一生懸命引く姿がどれだけ視聴者に見せられるか」を、出来不出来の基準としていく。

・実は第7回と第8回で大きいルールの相違がある。このことは私の知る限りあまり今まで触れられてこなかった。ただ、放送を見る限り、ほぼ確実にそうなんじゃないかな、と思うので書く。誰かから裏が取れれば良いのだが。

第7回は綱を引く人が、各チーム列の前から6人ずつと決められているようである。だから、どっちかのチームで1人勝ち抜けてもそれぞれのチームの「綱を引く人」の人数は変わらない。クイズはあまり簡単ではない問題。

・放送上かなり編集が多いようだが、順番が何周か(たぶん2周)した末に12人目の勝ち抜けが出たようである。第7回ルールの場合、正解できる問題にたまたま当たるラッキーチャンスに当たるかどうかが勝負の分かれ目。後ろで引いている人たちも、「6対6の綱引きで引き勝てば、必ず自分の解答権に近づく」と思えるから、引くモチベーションはグングン上がっていく。つまりこのルールでは「引き勝つ=(先頭の人がどういう結果でも)自分の順番が上がる」。またいわゆる「裏切り」も6対6の綱引きでは大きな意味を持ってくる(裏切ると7対5の綱引きになるから)。問題の難易度も低くないから、チャンスが巡る回数も比較的多い。

・このルールだと、どんな場合でも「一生懸命引く姿」を描けそうだ。

・一方第8回では、各チーム全員が綱を引いているようである(誤答したとき、ご丁寧に「誤答した人は勝ち抜き絶望の最後尾に」と字幕が出る)。どっちかのチームから勝ち抜けが出ると、そのチームの人数が1人減る。クイズは易しい問題。

・クイズが易しいために、後ろの人にはなかなか順番が回ってこない。事実、後ろの方にいた挑戦者は解答権を全く得ることなく敗者となった。この辺の所を、私はかつてこう書いた。

---以下自分の文章の引用---

しかし、ウルトラクイズの趣旨からして、どうしても納得のいかない点がある。綱を引く後ろの人たちのモチベーションが、なかなかあがりづらいということである。クイズ開始時12対12だった綱引きが、一人抜けると12対11になる。そうなれば12人の側が圧倒的に有利になることは間違いない。つまり、後ろで引っ張っている人にとって「自分のチームにとって勝ち抜けが出る」ということは、順序が1番前に行くということ以上に、「相手チームが次に引き勝つ可能性が圧倒的に上がる」ということを意味するのである。だから、後ろにいる人にとっては何とか引き勝って、先頭の人に間違ってもらいたいところなのだが、先頭の人は分からなければ力を入れなければ良い。そうすれば相手の勝つ可能性が圧倒的に強くなり、自分の位置は安泰になるから。

 つまりはやる気がまったく出ない。だってどう頑張ったって自分は抜けられないんだもの。

---引用終わり---

・この分析はいささか雑である。解答権を得る唯一の方法は「引き勝つ」ことなのだから、結局一生懸命綱を引かざるを得ない。ここには「問題の難易度」という観点を絡めて分析せねばならないところだ。結局、問題が易しかったところに、12対12の綱引きにルール改正したことも絡み、後ろの方まで解答権の廻らない事態が生じてきてしまった(問題が易しいと、前の人が誤答で後ろに回ることがないから)。で、クイズの途中に後ろの方の人がそのことに気づくことは、充分あり得る。ここに「一生懸命綱を引く姿」を描く上での、障害が生じてくる。

・まとめると、「問題の難易度を下げたこと」「12対12の引き合いにしたこと」は、「一生懸命綱を引く姿」を演出する上で、不適切なルール変更だったと云えるのではないか。

・さて、完成度の高い第7回のルールをひるがえし、何故第8回のようなルール改正を行ったのだろうか。実はこの辺が、よく分からないところなのである。

・完全に推測でしかないが、スタッフには「砂浜での綱引きが長期化すること」を恐れる心情が働いたのではないかと思われる。もしかしたらこのクイズは、短時間で終わらせなければならない事情があったのかもしれない。いずれにしろ、長期化させないための力が働いていることは確かだろう。


綱引きクイズについて 2008/1/5()

・書くつもりで書かなかった、ウルトラクイズの「綱引きクイズ」について。

・以下に、ウィキペディアの「綱引きクイズ」の説明文引用を挙げる。

---以下引用---

7回と第8回のハワイ(第3CP)の砂浜上で行われたクイズ。挑戦者全体が2つのチームに分かれて綱引きを行う。並び順は、第7回「早起きつな引きクイズ」では早起きしてクイズ会場に早く到着した順、第8回「朝めし早食いつな引きクイズ」では朝食を早く食べ終わった順。問題が読み上げられた後、綱引き開始。ただし、解答権は勝ったチームの先頭の人にのみ与えられる。もし読まれた問題に自信が無ければ、先頭の人は裏切って相手チームの方向に引っ張る(相手に解答権を押し付ける)ことができる。クイズに正解すれば勝ち抜け、誤答の場合は列の最後尾に回る。

上述のルールのため、後ろの順番の人は解答権がなく、しかも勝ち抜けた者が綱引きから外れてチームの人数が減るため、引けば引くほど後ろの順番の人は不利になった。

---引用終わり---

・ちなみにこの項目。一行空きの後の部分が、昔はこう書いてあった(「履歴」をたどると見つかります)。

---以下引用---

上述のルールのため、後ろの順番の人は解答権がなく、しかも勝ち抜けた者が綱引きから外れてチームの人数が減るため、引けば引くほど後ろの順番の人は不利になってしまった。その点で綱引き参加者の解答意欲を引き出せていない、という点が指摘されていた[1]。その結果、第9回の団体戦という形式に発展解消されたものと言われている。

---引用終わり---

・2つ目の引用にある「指摘されていた」とは、私がこのように指摘したことを指す。[1]とあるのは、私のページを引用している、という内容の註釈が施されていることを指す。もっとも、註釈を付けたのは私が「明記するのが礼儀では?」と疑義を呈してからだったが。

(以下続く)

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