10 アタック25体験記 その3

10月17日(水)

 授業を済ませ、午後7時過ぎに自宅に着く。この日の深夜バスに乗り込むのは午後10時。お仕事でかなり疲れていたが、シャワーを浴び、出発に備える。一番悩ましかったのは服装。スーツで出演することはずっと前から決めていた。これは、

などの理由による。要はテレビ写りを考えたとき、一番無難であるということだ。ただ、いつ着替えるか、というタイミングが難しい。6年前に出演したときのことを考えると、テレビ局に着いてから着替える場所は無いといって良い。もちろんテレビ局のトイレで着替える手もあるけど、出来るだけ余裕な気持ちでいたい。いろいろ考えて、結局スーツ姿で行くことにした。ネクタイだけを取り、比較的ブカブカなYシャツを選ぶ。夏休み中などであれば前日に大阪入りし、ホテルで着替えたりしたいところである。

 着替えを完全にし、髭剃りや歯ブラシ、大き目のバッグ、筆記用具、予想問題を持って出発。午後10時にバスに乗り、すぐに就寝。あまり良く眠れないのだけど。

 

10月18日(木)

 朝7時ちょっと前に池袋駅着。ラッシュになる前に東京駅まで移動する。東京駅発は9:03。大分時間があるため、カレーを食べて銀の鈴のあたりで待機。予想問題を見たい気にもなったが、人前で見るのは痛いので「ナベプロ帝国の興亡(文春文庫)」を読んでいた。

 深夜バスではよく眠れなかったから、新幹線に乗ったら眠ろうと考えていたのだけれど、とても眠れる雰囲気ではなかった。気持ちが高ぶっていたから、まず予想問題に目を通す。わたしの作る時事問題はしょうもないものが多いので、当たりそうも無い。例えば

  1. 雅山、浜錦、千代大海、安美錦の4人が結成したロックバンドは?
  2. 自民党・旧河本派は、現在の会長の名を取って何という名前になった?

 普通の感覚を持った人なら作らないかもしれない時事問題である。答えは「どすこいず」「高村派」。テレビで出るわけが無い。そう言う意味で本気の予想問題は次の通り。

  1. 宇宙開発事業団2人目の女性宇宙飛行士に認定されたのは誰?
  2. 金城一紀の直木賞受賞作を原作とし、窪塚洋介・柴咲コウ主演で話題の映画は?
  3. 来年春公開の映画「ピカレスク」で、主演の河村隆一が演じる文学者は誰?
  4. 政府の闇資金をコンピュータ回線で奪う元ハッカーをジョン=トラボルタが演じる、この秋話題の映画は何?
  5. マライア=キャリーが様々な人物に利用される歌手を演じる、初主演映画は何?
  6. 交通事故に遭いタイムスリップする銅板画家を牧瀬里穂が演じる、北村薫原作の映画は何?
  7. 最新作「おいしい生活」が人気の映画監督で、「アニーホール」などの代表作で知られるのは誰?
  8. 映画「ショコキ!」で映画初監督を務めた、お笑いグループ「ジョビジョバ」のメンバーは誰?
  9. 映画「みすゞ」で、天才詩人・金子みすゞを演じている女優は誰?
  10. 人気アイドルグループ「モーニング娘。」が13人のメンバーになって初めて発表する13枚目のシングルは?

 以上、映画問題を重視していたことが分かる。他に「赤い橋の下のぬるい水」「ピストルオペラ」を覚えようとした形跡が有る。秋元さんのメールでは「冷静と情熱のあいだ」を紹介していたので、これも覚えた。

 タレント本も気になったが、あまり覚えようとはしなかった。3日に1回は書店に行くから、多分思い出せるだろうということである。

 CDが全然分からない。秋元さんからのメールにあった「シュガーレス」→スガシカオ、「ディープ=フォレスト」→ドゥーアズインフィニティーだけを、とりあえずアルバム名だけで思い出せるようにしておいた。

 お次は11月4日問題関係の予想問題。スタッフは「放送日から1週間くらいの日付を」とおっしゃっていたが、わたしは「11月4日」だけに予想を絞った。何故なら、11月4日は結構いろんなことがあった日だからだ。わざわざ日付をずらしてまで問題を作る必要が無いのである。わたしの予想は次の通り。

 と、出題のされ方をかなり緻密に考えた。テレビ番組の場合、難易度をあまり上げるわけには行かないから、自然と出題される範囲が決まってくる。そう言う意味で「○月△日問題」は、かなり予想しやすいといえる。

 初めは年号だけで誰が生まれたか死んだかを導けるようにしておこうとも思ったが、最近の問題は「〜で知られる人が〜年○月△日に亡くなっています。誰でしょう」のように年号が文の途中にあったり、「〜年○月△日に〜が亡くなっています。彼が〜」などのようにさらに問題を進めるパターンがほとんどなので、年号を覚える意味は無くなっている。かつて法政大学でわたしと同じ学年のK氏が出場したときの最後の問題、年号だけで「マーク=トウェイン」という答えを正解し、優勝したことがある。一般の視聴者からすれば全然面白くないだろう。「本名問題についてU」で述べたように、そこで押されると面白くも何とも無い。アタック25はその対策がきちんとできている。だから良質なクイズ問題を出す番組として存在しつづけられるのである。

 予想問題を確認した後は、アタック25の本を初めから通し読みする。読んでいくと、妙なことに気づいた。6年くらい前のビデオを見ていたときに出題された問題が、ほぼ同じフリで収録されているのである。ということは、同じ問題は同じフリで出題されることが多いということになる。だから、出場する人はこの本をなるべく読んでおいたほうが良いだろう。わたしの場合、頭をクイズに戻すためにざーっと問題を見てぱっと答えを思い浮かべさせる作業をしまくった。

 だんだん新幹線が西に進むにつれ、緊張感も高まってきた。天気があまり良くないので富士山は見えない。浜名湖が見えた辺りで緊張も絶頂に達した。緊張の絶頂が本番のときだと苦しいと思っていたから、この緊張感の持ち具合は悪くない。気が散るから風景だけを見る。幸い窓際であったから、細かく見まくったらジャスコが見えてきた。毎日行っているデパートをこんなところで見られると嬉しいもんだ。何か心強い。ジャスコカードも持ってるし。

 この辺で勝負のイメージ作りを始めた。これまでわたしは「一般人大会」ということで、問題の難易度もそれほど高くない勝負を設定してきた。しかし、ここに来てもうひとつの可能性「スジ者大会」対策も考え始めた。クイズの手だれが集まった場合、基本的に指の遅いわたしは勝てる可能性が著しく低い。予想問題ならかなり完璧な対策と自負していたから押し勝つこともできるだろうが、普通のベタ(良く出る)問題だと勝てる気がしない。そういう練習を全然していないから。もちろん一般の人に比べればメチャメチャ早いだろうけど、クイズプレーヤーの中では遅いほうなのだ。集中力も無いし。そうなってしまったら とにかく集中力を持って早押し勝負に挑むしかない。つーか、クイズ研究会出身の癖に、楽に勝とうとしている自分の根性があさましいような気もしてきた。

 そろそろ京都に着く頃、洗面台へ行って髭を剃り、歯を磨いた。テレビ局でこれをする場所も時間も無い。

 新幹線はやけに長く乗っていたような気がする。やっと着いたのが12:03。昼食は新大阪駅構内のうどん屋。とにかく大阪でうどんを食べたかったのだ。秋田は稲庭うどんに代表されるように細いうどんが主流なのだが、わたし自身はそれが大嫌いなのである。だから、関西以西に行くと必ずうどんを食べることにしている。

 14:15福島駅で応援の秋元さんと落ち合うことになっており、結構時間がある。まず阪神百貨店に行き、書籍コーナーで芸能人の著作を確認する。いろいろあったが良く覚えていない。全然関係無い「電波少年最終回」という本を読んだように思う。そんなに面白くは無かった。つーか、電波少年ももうええんちゃう? またこんなときでも漢字検定の新しい問題集が無いかを探している自分も好き。クイズ本もさがしてみたが、一冊も売っていなかった。いい時代になった。

 さらにCDコーナーへ行き、野口五郎・クールファイブのシングル集と岡林信康ライブ盤「狂い咲き」を購入。「狂い咲き」には伝説の曲「くそくらえ節(完全盤ではない)」「友よ」「手紙」などが収録されているため見つけて嬉しさ満々。「放送禁止歌特集」の「NON−FIX」(フジテレビ)を放送していない秋田にいて「手紙」が聞けるのは嬉しい。なんとなくいい気持ちになって収録に臨めそうだ。「今日はラッキーな日だ」という感覚を持てるようなことをしてみるのは、勝負の前のいい刺激になるような気がする。

 そうこうしているうちに14:15福島駅で秋元さんと落ち合う。秋元さんは6年前もわたしの応援に来てくださっているし、東大入学以来もう8年近くもクイズを一緒にしている気心の知れた人。たいへん心強い。ひとことふたこと交わしながらテレビ局到着。

 どうやってテレビ局に入ればいいのか分からない。6年前と違って局内に簡単に入場できないからだ。まず入り口の守衛さんに話をし、中に入らせてもらう。秋元さんとはその場で別れる。受付の女性に話をして入館証をもらい、いったん局の外に出て、秋元さんとまたまた言葉を交わす。応援の人は局の外でかなりの時間待たされることが予想されるから、今後応援を考えている人は覚悟しておいたほうが良いだろう。秋元さんと話をしていると、一組のご夫婦がいらした。旦那さんは何処かで見たことがあるような方だと思ったが、クイズプレーヤーに詳しくないわたしは分からなかった。

 すると秋元さんが「あの人、ウルトラでいいところまで行った落合さんという人じゃないか?」と言う。記憶の糸を手繰っていくと、そういえば第5回ウルトラでメンフィスまで行った方が落合さんという名前だったということに思い至った。写真でしか見たことが無い(「ウルトラクイズ伝説」57ページなど)からはじめ気づかなかった。ということはバリバリのクイズプレーヤー大会ではないか! なんつーことだ。一般人のフリをしていたのに、ばれてるじゃねーか! 

 考えてみれば無理も無い。アンケートの「クイズ番組出場歴」に「iQバトル20世紀」と記入していたのだから。あの番組に出る人がトーシローな訳が無い。すぐ他の対戦者が誰なのか気になり、局に入って控え室に急いだ。

 控え室に入ったのはわたしが最後だった。既に談笑が始まっていたが、わたしはクイズプレーヤー同士の談笑に入るのが極めて苦手である。クイズの世界にあまり詳しくないからだ。知り合いも少ないし。だから話題が広がらないのである。聞き手に回っているうち、解答者の方々のことがだんだん分かってきた。

 まず緑の佐藤宏司さん(29)。名古屋大学OB。JRに勤務。6年前わたしが負けた安藤正信さんの先輩にあたる。クイズの世界では「アスワンさん」として知られている。西のほうのクイズ事情に関して詳しいことは知らないし、それまでお話ししたことは無かったが、たぶん難問系に強いだろう。指が早いかは知らない。気になるのは其処だけだ。

 白は中田勝さん(40)。中学校の社会の先生。新潟のクイズ同好会に入会している方だそうだ。クイズを始めたのは古くないらしい。下手するとキャリア自体はわたしと変わらない位かもしれない。

 青が先程の落合義和さん(39)。証券アナリストという職業らしい。スタッフが言っていた「銀行員」はこの方のことか。大分違うじゃないか。

 わたしにとって幸いなのは、いわゆる若手のクイズバリバリプレーヤーが相手でないことであった。若手と戦うと指で絶対に負ける。ある程度以上の年齢のプレーヤー同士だと、よほどの定型ベタ以外はかなりきわどい指勝負になる。そうすると後は開き直ったもん勝ちである。新幹線の中でやっていた答えを思い出すイメージをよみがえらせた。

 目の前にはアタック25の注意事項が書かれた紙がおいてある。いろいろ書いてあるが、気になったのは次の2文。

 1つ目。「商品」は「賞品」の誤植である。

 2つ目。アメリカ旅行は現在獲得できない。こういうところを直さないのは、いかにもアタック25らしい。なおこの紙では「アメリカ行き問題」という表記もある。我々だったら1秒で生徒に指摘されるミスである。

 

 4人の会話は長く続いた。スタッフが時間を過ぎても全然迎えに来ないのである。お茶すらない控え室でずっと待たされる。なんつー仕打ちだ。この日は2本撮りである。1本目が押しているのだろう。にしても、せめて1回くらい顔を出しに来てもいいのに、と思っているうちに午後3時を回った。集合時間から30分経ってまだ何も音沙汰が無い。おかげで他の3人のいろいろな話を聞くことができた。

 4人の職業が「国語教諭」「JR」「社会科教諭」「証券アナリスト」ということで、多分「文学」「社会科」「経済」は出題されないだろう、というのが他の3人の意見だった。手だれ大会で各々の得意ジャンルを出すはずが無い、というのがその理由なのだが、わたしは全く逆の意見を持っていた。これらジャンルがちらほらと1問ずつは絶対に混じっているだろう、と思ったのである。これにはあまり根拠が無かった。ただ、これだけ特色のある職業の人がそろっていれば、それに関する問題を出題したほうがテレビ的なのではないだろうか。幸い地理以外は比較的得意なジャンルである。ガンガン他人のジャンルのお株を奪おうと考える。

 さらに話はミリオネアに及んだ。他の3人の方は何らかの形でミリオネアに関わったことがあるらしい。テレフォンを誰にするかは結構悩む問題である、ということ。センター席に座るとその後の取材が面倒くさいということ。疑惑のあの事件のこと、などなど、結構舞台裏を聞くことができたが、ここでは省略。

 などと話していると、やっと構成作家の方が登場。高見さんという方で、6年前とほとんど同じ感じで現れた。来るなり「これから移動します」と言う。貴重品や携帯などは持って、という注意を受け、すぐさま移動となった。普通「注意事項の紙を読んでください」とか言いそうなものだが、一言も無し。

 控え室から出て階段を上った辺りに応援の人が待っている。秋元さんに軽く会釈をしその場を通過。さらに進んでロビーのような場所に通された。すぐメーク室に移動し、ドーランを塗ってもらう。髭が濃いから、その辺を重点的に塗っていた。わたしはすぐ終わり退室したが、残りの方はなかなか出てこなかった。中田先生は髪をぴっちり真ん中分けにされてしまっていた。女性の場合どのようにメークするかは良く分からない。わたしは女性と同じ回になったことが無いので。

 すぐ近くにあるテレビからはスタジオの様子が移されている。折しも最後の「或る人物問題」の最中だった。見ていると田中美里の映画出演シーンが写り、最後に金子みすゞの写真が写った。「或る人物問題」は、基本的に顔写真があればわたしは正解できる。これだったらラクだったのに、と思ったわたしの気持ちを、佐藤さんが代弁した。「これだったら分かったのに……」という台詞が妙に重く感じられた。わたしは映画の予想問題が出題されていることに、少し気を良くした。よし、勘は悪くない。

 目の前にはタレントの楽屋がある。「原田伸郎様」と書かれてあることにわたしは興奮した。「赤とんぼの歌」はまごうこと無き名曲である。名曲「あの素晴らしい愛をもう一度」でも「赤とんぼの歌を歌った空は」という歌詞がある、というのは余計な話。ものまねブーム前夜におけるあのねのねの司会ぶりはわたしに精神的影響を強く与えている。だから、たいへん嬉しかった、と思っていると、その楽屋の前をひとりの見覚えある男が通過した。芸人だと思うのだが、どうしても名前を思い出せない。島田紳助氏言うところの「大阪限定タレント」であることは間違い無いのだが、誰だったかなぁ、ひとりで「或る人物問題」の解答をひねり出そうと努力している頃、構成作家・高見さんの説明が始まった。

 初めのうちは基本的なルールなどについての説明。その辺のことはどうということはない。ただ「今日の問題はいつもより難しめにしてあります」といわれたことは気にかかった。こういう言葉をどう受け取ればいいか、実に微妙である。「難しめのベタ(=基本問題)」と考えればいいのか、「新作問題ばかり」と考えればいいのか。しかしそれは、どうでもいいことだった。そのときはまだ件の「大阪限定タレント」が気になっていた。

 クイズについての説明は、結構詳しいものであった。例えば「フルネーム」ということについて。問題の答えが人物だったとする。例えば「松井秀喜」が答えだとしよう。このとき、答えのレベルとしては「松井秀喜」「松井選手」「ゴジラ」の3段階くらいが考えられる。最後のが全然ブーなのはいいとして「松井選手」はどうだろうか。実は長いこと、クイズの世界では「スポーツの選手は名字だけで正解」という不文律があり続けてきた。スポーツの選手だけでなく、例えば「近衛文麿」を「近衛首相」と答えたり(第14回ウルトラ・レバノン)、アタックで「岸首相」と答えた秋元さんの例もある。

 ところが、数年前からクイズ同好会の間では「日本人はフルネームでないとダメ」という不文律が決まってきた。これはある意味で正当な約束事といえる。プロ野球の世界に「松井選手」は1人ではない。区別する意味では「松井秀喜」と言わなければならない。「近衛首相」はひとりしかいない。が、「ひとりしかいない人は名字だけで正解とする」という約束事はかなり鬱陶しい。「自民党出身の首相のうち、社会党から当選したことのある人は誰?」という問題に対し、「鈴木首相」と答えたらどうなるか。「鈴木首相」が鈴木善幸しかいないと思っている人は「鈴木首相」と答えるだろう。「鈴木首相は貫太郎と善幸の2人がいるから、鈴木首相では不正解です」という判定をするのは、はっきりいって気が利いていない。面白くない。しらける。なら、やめればいーじゃん。

 アタック25も基本的に同じ考え方である。日本人はフルネームじゃないとダメ。難しいのは日本人以外の人物の場合である。これについては、クイズ同好会の間でもきっちりした規則を見出してはいない。例えば「アメリカ大統領で、3期務めた大統領は誰?」という問題に、「ルーズベルト」と答えるとブー。これでは「セオドア=ルーズベルト」か「フランクリン=ルーズベルト」か限定できない。そうなると「限定できる人はファミリーネームだけで正解とする、限定できなければフルネームで」という約束を作るしかない、かのように思われる。が、実は「フランクリン=ルーズベルト」もフルネームではない。「フランクリン=デラノ=ルーズベルト」がフルネームなのだ。同じような例に「ピカソ」がいる。画家ピカソは有名だが、宝石店ティファニーのデザイナーにもピカソがいる。だとすれば「パブロ=ピカソ」と言って限定するしかない。しかしピカソのフルネームは異様に長い。ならどうやって決めればいいのか。

 これに対してクイズ同好会の間では「限定できるように答えないとダメ」という不文律によって対応されている。「ルーズベルト」では正解にならないが、「ピカソ」は普通画家のピカソを指すから正解になるような気がする。その辺はケースバイケースである。

 ところが、アタック25では全く違う約束事を用意していた。「ルーズベルトのように正答判定に揺れる問題は、出題しないことにしている」というものである。かつて「セオドア=ルーズベルト」がアメリカ行きの問題で出題されたとき、「ルーズベルト」といった人を不正解にしたことがあり、また別の回で普通に出題された問題のときは「ルーズベルト」で正解にしたことがある。これはまずいのではないか、という議論が起こり、「だったら出さなきゃいーじゃん」ということにしたそうだ。ただ「チンギスハン」「フビライハン」については、「ハン」とだけ答えても正解にできないのは間違い無いから出題する、ということである。

 次に話題に上がったのは「手だれ大会のときは、早とちりが多く、往々にして時間切れになる」ということ。このとき高見さんは「40問用意していて、それが尽きたら終了」という話をされた。14問誤答・キャンセルがあればタイムアウト、ということになるが、かつて何処かで「放送には50問用意している」という話を聞いたことがあるので、聞き間違いかもしれない。ただ勝負がかかっているときには早とちりを恐れず、遠慮無く勝負してください、と付け加えられた。勝負をしない人が結構いるけど、そうするとえらくつまんない番組になってしまう。この日の1本目の撮りがそうだったということである。後で放送を見たが、全くその通りだった。あれは気持ち悪い。

 クイズに関係の無いことでは、「他人が正解したときに拍手をする人がいるが、それはやめてほしい」と言われた。これは全く同感である。クイズ番組を見ていて一番嫌なのは、対戦しているはずの人たちが妙に仲良しなことである。本番中に話をしていたりするプレーヤーを見ると、本当に不愉快になる。

 途中からプロデューサーも加わって話が進んだが、面白い方だった。高見さんが一生懸命喋るのにボソッと合いの手を入れる。それがまた絶妙。

 そうこうしているうちに、スタジオのほうからガヤガヤした雰囲気の集団が出てきた。前の収録の応援・観客役である。さらに時経て我々の収録の応援の方々がスタジオに向かう。いよいよ出陣である。

 なお、このころ件の「大阪限定タレント」が「和泉修」であることを思い出していた。どうでもいいけど。

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