舎  利  容  器  一  覧  表

舎利容器一覧表

出土した舎利容器 (塔埋納舎利容器)一覧表

2020/03/13追加:
○「縄生廃寺出土舎利容器に関する若干の考察」上原真人<「縄生廃寺跡発掘調査報告」昭和63年 所収> より
 伊勢縄生廃寺出土舎利容器は発掘調査で発見された唯一の例である。
 攝津太田廃寺は明治40年開墾中に発見される。
 近江崇福寺跡では昭和14年の測量調査中に発見される。
 大和法隆寺五重塔は大正15年に岸熊吉によって発見され、昭和24年に再調査され公表される。
 大和法輪寺は元文4年(1739)の修理中に発見され、その当時の記録「仏舎利縁起」と舎利外容器を残し、舎利容器は心礎の舎利孔に納められ、今も丁寧に収まる。
 美濃山田寺に伝世した響銅製の有蓋椀は山田寺跡の心礎の舎利孔に丁度収まることから、舎利外容器の実例として評価されている。
 大和桜井山田寺の場合、実物は残っていないが、「上宮聖徳法王帝説」の裏書には大和桜井の山田寺の塔心礎に安置した舎利容器の細目が記されている。
 大和飛鳥寺跡では舎利容器は鎌倉期に既に取り出され、新たに金銅製容器に謝舎利を納め木箱・石櫃で保護して再安置されていたが、心礎上面の周辺部では装身具・武具・馬具などがほぼ原位置で発見され、6世紀末における舎利荘厳具の一端が明らかになる。

 ※大和當麻寺西塔では、 明治45年舎利容器が再発見される。
さらに、2016年からの西塔解体修理で、心柱頂上に納められた舎利容器が「再々」発見される。

舎利容器埋納に関しては、現在、以下の例が知られる。

◆古代
01)近江崇福寺
 近江崇福寺跡(舎利容器は近江神宮蔵、国宝、心礎に横孔を穿ち、その孔に埋納する。)

02)大和法隆寺
 大和法隆寺五重塔心礎(心礎舎利孔に奉安、大正15年と昭和24年に一度取り出されるも、何れも秘密裡に取り出されたもので、
 それ故すぐに五重塔下に戻され、埋納される。
 秘密裡ではあったが、大正15年にはスケッチされ、拓本が採られ、写真撮影されたという。口外無用であったが公然の秘密となる。
 昭和24年には限定の調査報告書が作成されたが、秘宝の尊厳のため、複写転載は厳禁という。
 以上のような事情で、本舎利容器は無指定であり、五重塔の解体が無い限り、陽の目を見ることは無い状況である。)

03)大和飛鳥寺
 大和飛鳥寺(鎌倉(建久)期再安置と云う、心礎舎利孔に奉安される。)

04)大和法輪寺
 大和法輪寺(舎利容器は重文、仏舎利縁起<寛保元年(1741)、重文>を有する、心礎舎利孔に奉安される。)

05)伊勢縄生廃寺
 伊勢縄生廃寺(心礎舎利孔に奉安される。)

06)攝津太田廃寺(攝津三島廃寺)
 攝津太田廃寺(心礎舎利孔に埋納、板倉宝福寺と同様に舎利容器は「石櫃」に納められる。東京国立博物館蔵、重文)

07)美濃三田寺
 美濃山田寺跡(心礎舎利孔に枚納される。)
以上は明確な遺物が現存する。

08)河内衣縫廃寺
 河内衣縫廃寺(復原品<復元品の所在場所不詳>、現物は散逸、安井良三氏の実測図が残り、これから復原と云う。 現物は石製品であったと伝える。)

09)河内善正寺跡
 河内善正寺跡(大正期に東塔から舎利容器が出土というも、情報不足で良く分からない。)

10)丹後俵野廃寺
 丹後俵野廃寺(村誌などに舎利容器の出土を伝えるも、 出土遺物の存在が不明であり、真偽は確認できない。なお心礎の形式から舎利容器が奉安されていたとは疑問と思われる。)

11)大和當麻寺西塔
 大和当麻寺西塔(心柱頂上に奉安されるということで、上記とは性格を異にする。 明治45年舎利容器が再発見される。)
 さらに、2016年からの西塔解体修理で、心柱頂上に納められた舎利容器が「再々」発見される。

◆中世
12)近江百済寺
 近江百済寺/近江百済寺舎利壷の項参照(昭和26年塔跡から発掘と云う。 しかし少々不明な点がある。中世の再興時のものとされる)

◆近世
13)谷中感応寺:寛政年中の再興塔のものである。
 谷中感応寺(谷中天王寺)/谷中天王寺塔跡出土遺物の項を参照(谷中天王寺、心礎舎利孔に奉安される。)

14)上野板倉宝福寺:寛政年中の再興塔のものである。
 板倉宝福寺(昭和33年、舎利、花瓶形舎利容器、石櫃が発掘される。おそらく三重塔心礎位置に心礎の代替として石櫃は埋納されていたものと推定される。つまり心礎に見立てた石櫃に舎利容器を安置する形式であったのと推定される。)

15)摂津四天王寺:文化年中再興塔のものである。
 摂津四天王寺/文化再興塔は昭和9年台風により倒壊するが、倒壊後の発掘調査で出土する。

2018/11/21追加:
16)大和薬師寺東塔平成24年発見江戸期舎利容器
 大和薬師寺東塔平成24年発見江戸期舎利容器/薬師寺東塔解体中に心柱最上部から発見されたものである。舎利容器は木製でおそらく江戸期のものであろう。

現代
2018/11/21追加:
17)大和薬師寺東塔平成30年作成舎利容器
 大和薬師寺東塔平成30年作成舎利容器/東塔は2020年4月に落慶法要が予定されるが、今般東塔に埋納される新しい平成の舎利容器が完成する。

附:文献などから舎利の様子が知られるもの(「舎利とその容器」中野政樹)
攝津四天王寺(詳細不詳)
大和橘寺、
大和山田寺(「上宮聖徳法王帝説」)
大和本薬師寺東塔(詳細不詳)
山城法観寺(詳細不詳)


2011/09/26作成:2014/08/08更新:ホームページ日本の塔婆