さわよう さんの旅行記


マレー鉄道

9/8(水) 旅行8日め

今日は、マレー鉄道に乗ってシンガポールへ行く日。夫にとっては、今日がこの旅行のハイライトだ。そう、夫は鉄ちゃん(鉄道マニア)。 昨日から疲れたと言ってはベッドに横になっていたが、マレー鉄道乗車4時間は何が何でもずっと起きていると豪語している。恐るべし鉄ちゃん根性。

ホテルにはチェックインの時に、友人のダンナ殿がタクシーの手配をしてくれた。とっとと朝食を食べてチェックアウトの支度をする。荷物をまとめてフロントへ。 カードで支払いの手続きをし、フロントのセーフティーボックス(部屋には無い)へ預けた貴重品を返してもらう。滞りなく終了。いやあ、いいホテルでした。また来ま〜す。気分よくホテルを後にする。 ホテルの前にはタクシーが待っていた。そういえば、このホテルのお向かいはお城のような豪邸が建っていたが、いったい誰が住んでいるのだろう。疑問を残したままタクシーへ乗り込む。

マレー鉄道に乗車するTampin駅までは1時間ほど。しばし、車窓の風景を眺める。のどかなカンポンの光景。高床式の家が建っている。 今度はカンポンステイもいいね、などとのんきな会話をして過ごす。友人がバックミラーにぶら下がっているお守りのような物が気になりだした。
「あれなんなんだろう?」
運転手は中華系のようだ。それには中国語で「普門品」と書いてある。せっかくだから、中国語を勉強中の夫に聞いてもらいましょう。
夫「これはどういう意味あるか」(中国語)。
通じたらしい。その瞬間、物凄い早口の中国語で運転手が答えた。
友人「なんだって?」。
夫「何言っているかわからない」。
ああ・・・。夫よもっと勉強してくれ。しかし、私はこの時気がつくべきだった。夫は勉強不足もさることながら、もうこの時点でかなりくたばっていたのだ。

駅に到着。10時少し前だ。娘はタクシーの中で眠ってしまった。抱っこしたまま駅舎のベンチへ移動。友人は駅の対面にある店で食べ物を買いに行った。夫は早速写真撮影に向かう。 バチバチ撮りまくる夫。目が生き生きとしている。恐るべし鉄ちゃん。

Tampin 駅外観

娘を抱いてテレビを眺めていると、どこからともなく中華系のおばちゃんが私の前に座った。後ろを向いて、こちらに話しかけてきた。 「日本人? 旅行か? どこに何日いたの」などなど聞いてきたので、答えていたら友人が戻ってきて会話に加わる。おばちゃんはシンガポールにいる子供のところへ行くところだと言う。 友人が結婚してこちらに住んでいると言うと、ふたりでマレーシアの悪口大会が始まった。まあ、たわいの無いことなんだけどね。交通網が整備されてなくて不便だみたいな。ひ としきり二人が盛り上がっていると、娘が起きた。そして、夫と一緒にホームの方へ行ってしまった。

ずっとトイレを我慢していた私は、トイレへ駆け込む。ああ、汚い。と言ってしまってはいけない。 伝統的な御トイレでした。
トイレから出てくると、列車が間もなく来るとアナウンスがあった。荷物を持ってホームへ移動。列車がホームへ入ってくる。こんなボロかったっけ?  友人と乗ったのが18年前だからもう記憶に無い。多分、あの頃と何も変わってないんでしょう。

Tampin駅に列車が到着

大荷物を抱えて乗り込む。席は席は・・・と、あれ?誰か座ってるよ。どういうこと? 友人が我々の席に座っている家族連れに何か聞いてる。 「みんな切符と違う席に座ってるんだって」。じゃあ我々もそうするか。でも4人で座れる席が無い。友人がすかさず、インド系のおばちゃんに席を動いてくれないかと交渉に出た。すごいぞ。 おばちゃんが動いてくれて4人一列で着席。しばらくして検札が来た。友人が、みんな切符と違う席に座っているので自分たちも云々と言うと、検札の人が我々の席に座っていた家族連れに動くように指示した。 その玉突きで車両内で民族大移動が始まった。一通り、移動も終わって落ち着いた。

やれやれ、ビールビール。ビールを飲みながらのカレーパフは最高だね。あれ?夫よ、あんたはやらないのかい?  飲みたくない? そうなの、ふーん。 私はここでも気がつくべきだった。夫がかなりくたばっていたことを。

車内の様子

列車はゴムプランテーションの中をずんずん進んで行く。同じような光景が続き、友人は眠気を催したようだ。ずっと起きていると豪語していた夫もウトウトし始めた。 しかし、タクシーの中で寝んねしていた娘は元気。車窓を眺める事も飽きてきて、愚図りだした。娘を抱っこして、かなり揺れている車内を歩いてデッキへ行った。配電盤の扉が開いてしまっていて恐ろしい。娘が触りでもしたら大変。抱っこしたまま、反対側のドアの窓から外を見せる。それにも飽きて、席へ戻る。デッキ⇔席を3往復させられた。かなり足腰が鍛えられた。席に戻り、抱っこしたまま座っていたら娘はまた眠ってしまった。いや、正確には、私の眠気に彼女がつられたのだ。何回か私の顔をぴしゃぴしゃ叩いていたが、そのうち一緒に眠ってしまった。

ジョホール駅到着。ジャングルから来ると駅の周りが都会に見える。ここでかなりの乗客が降りた。そして、パスポートコントロール。出国の手続き。係官がどどどっと乗り込んできた。 座ったままでさっさと終了。

ジョホール水道を渡り、ウッドランド駅到着。以前はなかったシンガポールの関所。荷物を持って下車。入国審査を受ける。家族3人分の用紙を夫が書く。慣れない事に手間取っている。 他の乗客は次々と行ってしまっている。あせる私たち。皆で手分けして記入。あ、なんか今娘のお尻からいやな音がきこえた。ちょっとのぞいてみる。ああああ、出てる〜。どうしよう。 完全にパニクった私。オムツを出して替えようとする。いや待てよ、ここで変えてもウン○の始末はどうするんだ。思いとどまる。とりあえず、入国審査だ。パスポートを受け取り、荷物チェックへ。 これもパス。あ、あっちにトイレがある。夫に荷物を託し、トイレへダッシュ。おお、さすがシンガポール。トイレが美しい。しかし、感動している暇は無い。大急ぎでオムツの交換。友人が呼びに来た。 「みんな、乗っちゃってるよ〜」。ひゃー。オムツに付いたウン○の始末もそこそこに、また娘を抱えてダッシュ。なんとか間に合いました。よかった。ここから更に30分。 タンジョンパガーの終着駅を目指す。出す物出したら腹が減ったらしく、娘がご飯ご飯と泣き出した。飴でごまかそうとするが、ごまかされない。困ったな。食堂車もう終わっちゃったし。 また、デッキと席を行ったり来たりしてご機嫌を取る。

タンジョンパガー駅到着。ふう、やっと着いた。ホテルへ行ってご飯食べようね、と娘に言い聞かす。駅に着いたはいいが、タクシーが長蛇の列だ。並ぶのが嫌いな娘。すでに大泣き。 列が前に進むまで、離れている事にした。夫に呼ばれて列に戻る。すぐに車が来た。乗り込んで、フラマホテルまでと告げる。

シンガポール タンジョンパガー駅外観

車窓から見る8年ぶりのシンガポールは別世界だった。チャイナタウンはパステルカラーに塗られた建物が多い。まるで、ディズニーランドのアーケードのようだ。 昔の猥雑だった頃を思い出し、ちょっと違和感を覚えた。ホテルに着いた。早くチェックインして、娘にご飯を食べさせなくては。

フラマホテルはフロントが2階にある。まず、入口でベルに荷物を預け、札をもらいエスカレーターで2階のフロントへ行った。エージェントからの紙を渡し、チェックインの手続きをする。 娘が愚図ってうるさいので、記入を夫にしてもらう。「お部屋はツインの・・・」。ちょっと待って、ダブルベッドの禁煙ルームってリクエスト入れてたんだけど。 それからリバービューで高層階にしてと畳み掛けた。あせるフロント嬢。横にいた男性フロント氏とあーだこーだやっている。 禁煙ルームでダブルベッドルームは無い、ツインの禁煙かダブルの喫煙ルームかと言っている。では、喫煙でも構わん、ダブルにして。やっと部屋があったらしい。お部屋は610。 6階だそうだ。リバービュー。とにかく行こうぜ。私も疲れた。

部屋に入る。狭い。リバービュー? 確かに方角はそうだけど、ドリアンシアターの端っこがビルの隙間からちょっと見えるだけ。そうだ、ネットをつながなくては。 はて?繋がらない。何でだ。まあいい、あとにしよう。とにかくメシメシ。あれれ、夫がベッドに臥せったまま起き上がれなくなってしまった。 「俺はもう疲れて起き上がれない。あんたらで行って来てくれ」。ああ、マレー鉄道で全てを使ってしまったのね。夫を見捨てて出発。

フラマホテル610号室 窓からの眺め

チャイナタウンコンプレックスへ行く事にする。ここで両替と食事をしよう。何軒か聞いて回るが大体みな同じ。最後の店でS$153で手を打った。

次は食事。4、5件集まった小さなフードコートで麺を食べた。私は板麺。友人は労麺。板麺はおいしかった。でも何かが足りないなあと思っていたら、写真にある卵が入ってないのに気がついた。 さてはケチったかと思ったが、すぐに鶏インフルエンザを思い出す。卵入りが食べたかったよ〜。娘もおいしい、おいしいと満足。私のつたない中国語で注文ができたことにも満足。 今日からは中国語が主言語。頭を中国語モードに切り替えましょう。

板麺の店

板麺

お腹がいっぱいになったので、次の目的地へ出発。お引越ししてきれいになったマーライオンに会いに行く。タクシーでエスプラネードシアターへ。 この屋根は近くで見るとこうなってたのか。へえ〜。対岸からマーライオンを見る。 「真っ白になってよかったねえ。昔は口から黄色い汚れが一直線に垂れてたのにねえ」、とまたまた友人と老人の会話をする。 写真を撮ってから、マーライオンの昔の場所とエリザベスウォークを確認する。すっかり変わってしまって、どこがどうなったか理解するのに時間がかかる。

マーライオン

マーライオンのそばから、リバータクシーに乗ってクラークキーへ行く事にする。クラークキーでシンガポーリアンの友人と合流する予定だ。 彼女とは5年会っていない。その間、彼女は一児の母になり、私も一児の母になった。

リバータクシーは初めて乗る。大人S$5、娘S$3。娘は怖がって、引っ付いて離れない。エンジン音はうるさいが、涼しくて気持ちいい。 船の中からシンガポールの観光名所が一望できるのは素晴らしい。夫を乗せてやりたかった。15分でクラークキーに到着。

リバータクシーから見るボートキー

友人がシンガポーリアンの友人に電話をしている。 ここで待つこと10分。友人登場。旦那さんと3歳のお嬢ちゃんも一緒だ。シンガポールは今スクールホリデー。旦那さんは我々の為に休暇を取ってくれたらしい。謝謝。 シンガポーリアンの友人 Mrs.T は貫禄のあるマダムになっていた。昔の可愛らしいイメージが残っているものの、肉付きといい声の太さといい、立派な太太です。

旦那さんの運転する車で、今日の夕食場所へ移動する。さっき食べた板麺がまだ残ってるんだけど、ま、いいか。だって、ディナーは私のリクエストのチリクラブなんだもん。 彼女一押しのシーフードレストランへGO。大分走ったような気がする。イーストコーストの彼女の家を高速から横目に見て、レストランへ着いた。

No Signboard がそのシーフードレストラン。名前だけは聞いた事がある。ジャンボかここかと掲示板でよく話題になっているところだ。これは楽しみ。うしし。 ここからは、すっかり夫のことなぞ忘却の彼方へ。注文は Mrs.T に任す。あれこれと見繕って注文してくれた。出てくる物全ておいしい。今日もいっぱい食べました。

イカの揚げ物

野菜炒め

炒飯

いっぱい食べ過ぎたせいで、またまたカニの感動が薄れてしまったのが悲しい現実。でも、チリソースのおいしかったこと。最後はご飯にかけて頂いちゃいました。 カニよりもソースが印象に残ったチリクラブだった。

チリクラブ

ホテルまで車で送ってもらう。途中で夫の為に粥を買いにホーカーへ寄ってもらう。だんだん夫の事を思い出してきた。大丈夫かなあ。死んでないだろうね。 急に心配になり、明日の相談もそこそこに車を降りた。

部屋に戻った。夫はベッドに横になったまま。意識ははっきりしている。熱があるようだ。一気に緊張モード。明日、病院に連れて行こう。このまま寝たきりにしておくわけにはいかない。 とりあえず粥を食べさせて、持参した薬を飲ませた。

さて、ネットをつながなくちゃ。「フロントに電話して聞いたら、この部屋は使えないからビジネスセンターへ行ってやってくれって言われたよ」と夫。何?  部屋で使えないとはどういうことじゃ。部屋によって使える使えないがあるとは聞いてないぞ。コインランドリー用のコインの両替も兼ねて、フロントへ出向いてたずねる。 「ちょっとうかがいたいんですが」「なんでしょう」。にこやかな女性が応対した。「インターネットの接続ですか?じゃあ、接続できる者を部屋に差し向けます」。なんだ、できるんじゃん。 一安心して部屋に戻る。「できるってさ」夫にこれこれしかじかとさっきのやり取りを聞かせた。「来たらよろしくね」と言って、娘を連れてコインランドリーへお洗濯。 マラッカで溜まった洗濯物しないとね。ランドリールームは蛍光灯が煌々とついていて、日本の我が家みたいだ。落ち着く。ホテルの部屋は間接照明だから、日本人には暗く感じる。 逆に、西洋人には日本の家は、蛍光灯の照明が明るくて落ち着かないという話を聞いた事がある。

洗濯物を乾燥機に放り込んでから、いったん部屋へ戻った。夫に「ホテルの人来た?」と聞くが、まだだと言う。おかしいなあ。いつ来るんだろ。ピンポン。あ、来た。 ドアを開けるとハウスキーピングのおばさんが仏頂面で立っていた。石鹸2個手渡され、他には無いか、もういいのかと聞いてくる。???。とりあえず、何もないよと答えてやった。 何のことだか分からず、頭の中は真っ白。この人部屋を間違えているのではと思い、ネットの接続ができる人が来るのを待つ。来ない。フロントに電話。出ない。もう一度。出ない。 なんなの、このホテル。娘を連れてフロントへ。いた、さっきのねえちゃん。「ねえ、待ってたけど、ネットの接続できる人来ないんだけど。石鹸もって来たおばちゃんが来ただけだよ」と抗議する。 「その部屋はネット接続できません。ごめんなさい」。笑いながら言いやがった。頭に血が上る。すぐに言った。「私は、部屋でインターネットをしたいの。部屋を変えて」。 「では、明日の朝、部屋が用意できるようでしたら変えましょう」。まだ、笑ってる。むかつくが、頭の中を整理する。今強く出て、部屋を変えさせても夫にとっては良くない。 もう今日は遅い、明日の朝にしよう。「OK。明日の朝」。

去り際、そのフロント嬢が言った「ハウスキーピングに連絡しときますね」。ん?ハウスキーピング? 何でと思いながらも、とっととエレベーターに乗ってしまった。 今思えば、その時もっと突っ込めばよかったのだ。なんで石鹸なんだ。そんな事一言も言ってないぞと。その後しばらくすると、案の定、ハウスキーピングのおばさんが、さっきよりもっと仏頂面して石鹸を届けにきたそうだ(夫談)。

その間、私は乾燥機に入れた洗濯物を取りに行った。このホテルに対して釈然としない気持ちでムカムカしながら洗濯物をたたみ、ランドリールームを出た。 部屋は1フロア上なので、階段であがる方が早い。扉を押して階段へ出た。上へ上ると、扉が開かない。外側からは開かないようになっている階段へ出てしまったらしい。やばっ。 娘と二人、こんなところで締め出されてはたまらない。どこかにホテル内への入口があるはず。娘を抱っこして階段を上がったり、下がったり。あった。宴会場の舞台裏のようだ。 「エクスキューズミー」。すぐに声をかけられた。よかった。助かった。あのう、エレベーター探しているんですが。「エレベーター?」。あ、そうだ。ここはイギリス英語だったっけ。 リフト、リフトです。「ああ、あっち」。宴が終わった宴会場のど真ん中を突っ切って、エレベーターホールに出られた。宴会が終わっててよかった。宴もたけなわだったらと思うと冷や汗が出た。 もう、このホテル大嫌い。

部屋に戻り、娘と風呂に入りベッドに向かったのは0時を大幅に過ぎた頃だった。疲れてベッドに入ろうとして気づいた。この部屋は、ダブルベッドとシングルベッドがある。 ダブルベッドには夫が寝ている。と言う事は、私は狭いシングルベッドで娘と寝るわけ? このベッド、寝返り打ったら落ちるのは確実。は〜、ゆっくり寝ることもできないのか。

明日の朝、絶対にルームチェンジしてやると固く誓ってベッドに入った。

  初日 2日め 3日め 4日め 5日め 6日め 7日め 8日め 9日め 10日め 帰国  


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