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実用的なリスクアセスメント基準の構築に向けて


  最近は厚生労働省が推進していることもあり、新たな設備を設計・政策する場合や職場の労働安全衛生マネジメントシステム(OHSMS)においてリスクアセスメントの実施が進みつつあります。
  「国際安全規格」や「機械の包括的安全基準の指針」が発行されており、各種セミナーも開催されていますので、これらを参考にすれば簡単に自社の基準が作れるように思われます。
  しかし、実際に基準作りに取り組んでみると思ったほど簡単ではありません。下記のような問題に直面するからです。

@ どうすれば危険源の見逃しを防ぐことができるのか
  設備に潜在する危険源・危険状態を見逃したのではリスクアセスメントになりません。そのためには設備設計、生産現場、安全スタッフの各部門で充分な専門知識と経験を有するベテランがグループ組んで行うことが望まれます。しかし多くの会社は、それだけの人材を振り向けることができるほどの人的余裕はないはずです。経験や知識の浅い人(新人を含む)にも頼らざるを得ない場合もあります。また、いかにベテランといえども潜在危険源を見逃す可能性があります。
では誰がやっても漏れなく危険源を特定(リストアップ)できるようにするためにはどうすればよいのでしょうか。

A どうすればリスク評価のバラツキを少なくできるのか
  リスクを評価するための判定基準に抽象的な表現を用いると (例えば「被災の可能性」を「可能性がある」「可能性が高い」「可能性が低い」「可能性が(ほとんど)ない」といった表現で区分する) 、判定者によって評価結果にバラツキが生じます(専門知識と経験を有するベテランが行ってもバラツキます)。評価結果がグループ内でバラつく場合は皆が集まって協議することもできますが、管理者の姿勢によっては恣意的な評価になる可能性があります。また、グループ間(各現場間)で偏りやバラツキが生じるようでは困ります。このようなことが生じるのは、被災の可能性を「ある」「高い」「低い」「ない」に区分するための根拠が明確でないことに起因しています。誰がやっても評価結果のバラツキが少なくなるようにするためには、どのような根拠(論理)に基づいて各評価項目を区分すればよいのでしょうか。
また、具体的で詳細な基準を作っても例外的なことは必ず発生しますし、どちらに区分するかで判断に迷うケースも必ず存在します。このようなケースにも対処できる基準にするにはどうすればよいのでしょうか。

Bリスクの高い設備は製作・使用禁止にするのか
 「リスクの高い設備は製作も使用も禁止」という社内基準にしたいのですが、既存設備の場合はリスクが高いと評価されても技術面あるいはコスト面でリスクを直ちに低減することができないケースが多々あります。この場合、「リスクの高い設備は製作も使用も禁止」という基準を作って本当に使用禁止にしたら、お客に迷惑をかけるだけでなく会社の信用を落とすことになります。また、新規設備でリスクは高いが社会に貢献する度合いや経済的メリットも大きいといったケースはどう判断するかという問題もあります。ケガはさせたくないが会社の信用を落とすのも困る、という相反する現実にも対処できるようにするためには、どのような基準にしておけばよいのでしょうか。

C 同じリスクアセスメント基準で新しい設備を設計・製作する場合と既存設備を見直しする場合あるいは労 働災害以外の化学物質の取り扱い、化学プラントを評価できるか
 新たな機械を設計・製作する場合と既存の設備を対象とする場合(労働安全衛生マネジメントシステム(OHSMS))を同じリスクアセスメント基準で評価できるでしょうか。
 また、危険源が生じる過程や危険源の持つ性質が大幅に異なる化学物質の取り扱いや化学プラントのリスクアセスメントを機械安全と同じリスクアセスメント基準で評価できるのでしょうか。

  国際安全規格(ISO14121 JIS B9702)を始めとして、「機械の包括的な安全基準の指針」を読んでも上記のこのことに関する考え方は書かれていません。また、いろいろな団体が開催するリスクアセスメントの講習会では、「どこそこの企業ではこのような基準を作っている」とか、「設備や安全の専門知識を有するスタッフと充分な現場経験を有するベテランからなるグループを作ってリスクアセスメント行うべきである」と説明するだけで、具体的な解決策に踏み込んだ説明がないようです。これでは役に立ちません。
  本稿では、現在一般的に流布しているリスクアセスメント手法(以下「現行リスクアセスメント手法」と呼びます)のなにが原因で上記の問題が生じるのかについて説明するとともに、上記の問題点を生じさせないようにするための考え方と具体例を提案したいと思います。

 本提案は下記のように3部に分けて行います。それぞれのところをクリックしてください。
      
第1部:現行リスクアセスメント手法の問題点とその原因

  第2部:実用的なリスクアセスメント基準の構築に向けて
      下記項目について、「要点」あるいは「本文」を掲載します。

    0. 制限条件の明確化
          ・本文 

    1. どうすれば危険源の見逃しを防ぐことができるのか
          ・要点
          ・本文 「UHIM」5W1Hリスク分析法
    2. どうすればリスク評価のバラツキを少なくできるのか
          ・要点
          ・本文 (1) なぜ評価の結果がバラつくのか
             (2) 危害のひどさ(傷害の程度)
           (3)被災の可能性(危害の発生確率)
           (4) 暴露頻度(時間)
          (5)判定基準の精度(精密性)
    3. どのような手法でリスクを見積もり、リスクを評価すればよいのか(「定量法の神話」とは)
          ・「要点」
          ・本文 (1) リスクの見積もり方法〔定性評価、定量評価〕(「定量法の神話」
          (2)リスクの評価〔リスクレベルの区分分け〕 
    4.リスクの区分に応じた処置基準をどのように設定すればよいのか
          ・要点 
          ・本文

    5.リスクを低減しない限り設備の製作及び使用を禁止にできるか
          ・要点
          ・本文  

         
    6.機械プロセス、化学物質の取り扱い、化学プラントのリスクを同じ基準で評価できるか「要点」
    7.リスクアセスメントの実施は設備の設計段階のみでよいか「要点」

  第3部:推奨されるリスクアセスメント手法・基準
     

   第1部、第2部の集大成です。

     

    ぜひ読んでください



     

注)「ホームページの方針」にも述べたように、本ホームページは、「安全技術応用研究会」とは独立した一個人として作成しています。そのため、本リスクアセスメントの内容については研究会と一切関係がありませんので申し添えておきます(疑問・質問は直接私にお願いします。)