論文総目次
一.時評
・「古代史の『偽装』ー過去の事実と現代日本ー」
・ブログ:「井内誠司の学界時評」
二.論文
T 「上部構造」論と律令制国家論ー石母田説と浅野・高橋説の検討からー
(要旨)
機構論に注目して、国家論の方法論を模索するための前提として、「なぜ、国家論の方法論の模索の上で、生産関係論・共同体論でなく『上部構造』論に注目するのか」を論ずる。
(アンケート結果)…
U 機構論の意義と課題
(要旨)
日本古代史の諸事実と、国家機構に関する先行学説との緊張関係のなかから、機構論の意義を把握し課題を析出する。
(アンケート結果)…
V 地方行政機構論の必要性ー郡制の特質ー
(要旨)
地方行政機構論の課題を設定するための前提作業として、国郡制を中心とする地方行政機構を、行政機構論の枠組みの中で論ずる必要性を確認する。
(アンケート結果)…
W 郡領任用抗争の特質ー大和国高市郡の事例からー
(要旨)
郡領候補者を要する地域集団の活動と国家との関連を考える素材を提供するために、郡領職の任用をめぐる抗争(郡領任用抗争)の特質を把握する。手法としては、従来の法制史料ではなく、抗争の具体例の分析を用いる。
(アンケート結果)…
X 機構論における「人格的身分的結合関係」とは何か?−任用過程研究の意義ー
(要旨)
人格的身分的結合関係のどの側面をどのような方法で明らかにするかを追究し、その特質の把握のための具体的課題を、叙位を含む官人の官職への任用過程総体(「任用過程」)に求める。
(アンケート結果)…
Y 在地首長層と天皇ー令制郡領任用制度の検討ー
(要旨)
令制郡領任用制度の検討から、在地首長層と天皇との人格的身分的結合関係の特質を把握する。
(アンケート結果)…
Z 郡領の「試練」の意義ー早川庄八説の意義と課題ー
(要旨)
郡領の「試練」の意義が、在地首長層に対する「意識の内部の支配」の基本的手段という点にあることを明らかにし、あわせて、畿内政権論の立場から「試練」の意義を論じた早川庄八説の意義と課題を把握する。
(アンケート結果)…
[ 八世紀における「譜第」・擬任郡司制ーその意義と特質ー
(要旨)
郡司制の特質を規定する要素である、(1)「譜第」(2)擬任郡司制、それぞれの意義・特質について検討し、(1)の意義・特質が、ディスポティシズムの原理の枠の中の、郡領任用における身分に準ずる独自の位置たる点、(2)の意義・特質が、ディスポティシズムの原理の枠の中の、「擬似君恩」である点、にあること、したがって、両者に共通する特質は、ディスポティシズムの枠の中にある点にあること、を明らかにする。
(アンケート結果)…
\ 「事実と理論の緊張関係」の現代的意義ー現代日本と古代行政機構論ー
(要旨)
古代国家論構築の基本的「方法」である「事実と理論の緊張関係」の現代的意義が、(a)「情勢」の緊迫によってかつてない重要な意義を有していること、(b)古代史研究の問題・混乱を是正する意義を有していること、の二点にあることを明らかにする。
(アンケート結果)…
] 地方行政機構の特質・展開と律令制国家ーその維持・運営ー
(要旨)
地方行政機構(国郡司制)における(α)「人格的身分的結合関係」・(β)「意識の内部の支配」・(γ)「単一的支配」の在り方・特徴を析出することにより、その維持・運営における(T)「基本的課題」・「基本的政策課題」と、(U)維持・運営の在り方を明らかにし、(1)律令制的地方行政機構の特質、(2)主として八世紀におけるその展開を把握する。
以上の作業を通じて、(A)「組織された強力」としての律令制国家の特性・特徴を中心に、(B)「人格的身分的結合関係」の在り方、(C)近代国家の表象としての「中央集権国家」像の克服について、一定の知見を提示する。
(アンケート結果)…
三.研究ノート
T 主政・主帳小考ーその職務遂行と、在地における存在形態ー
(要旨)
郡司の三等官・四等官である主政・主帳を取り上げ、(@)その職務遂行の基本的根拠について検討し、さらに(A)それらに任用される首長層の、在地社会における存在形態について、一定の知見を提示する。これらの課題に迫る手法としては、それらに任用される首長層と天皇との、人格的身分的結合関係の特質の把握を採用する。
(アンケート結果)…