☆ 噛めるけど、きつくて入れ歯を外したい

 

80代のMさんは最近上下の総入れ歯を新しくしました。
咬みながら型を取るという方法で作り痛みもなく、落ちることもなく何でも噛めると喜んでいただき、私も嬉しく思っていました。 ところが数か月経ってから、「上の総入れ歯がきつい」とおっしゃって調整希望で来院されました。

 

きついということはどこか当たって痛いのかな〜と思い、お口の中を見ましたが傷も粘膜の赤味も無く、咬みあわせを確認しましたが入れ歯を揺らすような変な当たりは見られませんでした。 どんなものを召し上がるかと聞きましたら「なんでも食べられる」とおっしゃいます。
でもきついから苦しくなって 食事が終わると外してしまうそうです。

 

私(古西)も最近、下着のしめつけや、靴下のゴムのしめつけが苦しいと感じることがあります。ちょっと伸びた下着やゴムの方が楽チンなのです。
これと同じでピッタリ合ってなんでも噛める総入れ歯は上アゴをピッチリ包んでいて、それがきついと感じる方がいらっしゃいます。 食事の時以外は外したい気持ちは十分に理解できます。
でも総入れ歯の重要性は食事の時だけではありません。頭を安定させ体軸を固定するコルセットの役目も果たします。

 

歯がないと右の赤図の様に上体が前に傾き、足も上がり難くなりつまずきやすく、転倒による骨折、寝たきりにつながる傾向があります。
入れ歯を入れることで上体が起き、これらを防ぐことが期待できます。ですから、昼間活動している時は上下の入れ歯を入れておいてほしいのですが・・・

 

保険で入れ歯を作ると「食べなければ痛くないのだけれど・・」とおっしゃる方がほとんどです。 保険の入れ歯は粘膜の歪みが無い状態で作っているので、食事以外で入れておくには楽なようです。
眼鏡を用途に応じて使い分ける様に、食事のための入れ歯と体軸の安定のための入れ歯を使い分けることも良いと思います。 Mさんには普段咬まない時は 保険の入れ歯を入れておき食事をするときはピッタリする入れ歯を入れる事を提案しました。

 

年齢を重ねると、体にぴったりする物が苦しくなるのですね〜。
こんな症状の方、ご相談ください。