私(古西)が中学・高校の頃は、今よりずっと歯科医院は少なく、反対にムシ歯があふれていて、朝6時から並んで治療の順番を取った・・という話をよく耳にしました。
歯科大を卒業して勤務した医院も1日の患者さんの来院が120人という忙しさで、痛みを訴える歯のみを治療することしか出来ず、症状がない歯周病は放置された状態でした。
平成に入ると、「8020(ハチマルニーマル)運動」(80歳で20本の歯を残そう)がだんだん広がり以前の様にパッと抜いてしまうのではなく、残せる歯は多少時間がかかっても残す治療へと変わっていき、 「歯をやたら抜く歯医者はダメだ!」とTVや週刊誌で言われるようになったのです。
先日、歯周病の治療を始めたMさんに、残せる歯と抜歯が必要な歯の説明をしました。
写真@はそのうちの1本のレントゲン写真そのままの画像ですが、骨の上縁に赤線を描き入れたのがAです。
根の先まで骨が無い様子なので抜くとBの写真のように根の先端まで、歯石がついていると思われます。
茶色い歯石は歯周病菌が血液中の鉄分をエサに増殖し固まったもので、表面には生きた菌がベッタリ付着します。
いわばこの歯の根の周りは歯周病菌の巣窟と化しており、ここから全身に菌をばらまいているのです。
歯周病菌が影響すると報告されている病気は以下です。
〇心筋梗塞 〇 脳梗塞 〇 認知症 〇誤嚥性肺炎
〇糖尿病が治りにくい 〇 早期・低体重児の出産
〇 非アルコール性脂肪肝 〇 心内膜炎
写真の様に悪化すると放置するほうが体のためには良くありません。
固い物は噛めないという自覚症状もあるので、Mさんには抜歯を提案しました。
この状態を放置すれば、隣の歯の骨も無くなるし、近い将来歯の周りが大きく腫れ、1週間満足な食事が取れなくなることも予想できます。
5年後、10年後も元気でやりたい事が出来るように、悪い菌をばらまく歯は取り除いておいた方が良いのですが・・・・ ここはゆっくり、なぜ抜いたほうが良いのかを分かっていただくまで待とうと思います。
Mさんが働き盛りの30代〜40代の頃は、あまりにも忙しくて、歯科治療に費やす時間の確保が難しかった時代だったと思います。
そんなシニアの方にゆったり、健康に残りの人生を楽しんでいただけるように、「残せる歯は確実に残し、ダメな歯は抜き、全身の事を考えた治療を提供したい」 とスタッフ一同がんばっています。
しばらく通院していないお友達がいらっしゃったら、あなたからも検診を勧めて
くださいね!