最近はタンポポといえば西洋タンポポばかりで日本タンポポを
ほとんど見かけない、 日本タンポポは圧倒されて減ってしまった、 と
嘆く人が多くおられます。
確かに町や住宅地で見かけるもののほとんどは帰化タンポポといわれる西洋タンポポです。
ですが・・・。
ずっと以前、 もともと街や宅地に種類を問わずタンポポそのもが多く生えていたかどうか考えてみてください。
日本ではタンポポは野や山の野草です。 近代になって人の手で市街地化した地域では
当然の成り行きで殆ど消滅したはずです。
その日本タンポポ空白地帯に、 後に何らかの理由で帰化種である西洋タンポポが入り込んできて繁殖し、
結果としてその地で見かけるのは西洋タンポポだけ とするのが妥当なのです。
無味乾燥で巨大化する厄介な雑草の多い市街地や宅地で、 ぱっと明るく可愛い花をいっぱい咲かせてくれる西洋タンポポをもっと認めてやって欲しいと思います。
西欧では ダンデライオンという素敵な名前を与えられています。 ダンデリオンとも。
もっとも、 ダンデライオンdandelion は葉の形がライオンの歯に似ているところからきたフランス語が由来だそうですが。
ところで、 私は兵庫県の六甲山の北側ふもとに住んでいるのですが、 もともとタンポポの少なかった道路沿いなどでは 西洋タンポポがたくさん生えています。
しかし日本タンポポは健在です。 (当地ではカンサイタンポポ)
春にはタンポポといえば当然のように日本種のカンサイタンポポが山野のほとんどを飾ります。
日本のタンポポの特徴として 群れを作って一斉に咲くので見事な群落があちこちにみられます。
ほっそり華奢でやや首の長い上品な カンサイタンポポを見ると嬉しくなります。
和服姿のすらりとした日本美人を思わせます。
洋の東西を問わず、 お金を出して買う花に負けない 完成度の高い美しさ のタンポポが、 道路沿いや山野でざらに見られるなんて素敵だと思いませんか?。
<シロバナタンポポ>
私は兵庫県東部の六甲山近くに住んでいるのですが 春の墓参は兵庫県南西部の田園地帯に出かけます。
このあたりは多くの数のカンサイタンポポが自生し いくら歩いても道路わきや田んぼのあぜなどに群落がつずきます。
そのカンサイタンポポの情景を楽しみつつ歩いていると 白いタンポポを見つけました。 タンポポは黄色い花と決め付けていたので 白いタンポポを最初に見た時は
とても驚きました。
まるで白いライオンの品位と風格をさえ感じました。
調べてみると シロバナタンポポ といわれ 兵庫県西部以西の西日本ではさほど珍しくないそうですね。 中にはタンポポといえば白いものしか見かけない地域さえも
あるそうです。
また日本各地に ケイリンシロタンポポ という白いタンポポもあるということですが極めて稀にしか見かけないそうです。
< 日本タンポポと西洋タンポポの区別の仕方 (見分け方) >
日本タンポポと西洋タンポポの違い はよく知られていますが 念のためおおまかな違いをイラストで示しておきます。
総苞 (そうほう) と呼ばれる花びら(花 舌状花)をまとめる部分に違いがあるので 簡単に見分けがつきます。
左の絵にあるように 西洋種は反り返っていますが 日本のものは閉じています。
ダンデライオンは西欧では花ごと食用にされるとのことです。 食用として栽培されている地域もあるそうです。 日本で花ごと食べる 菜の花 の場合と似ていますね。
日本種のタンポポも食用になるのではないでしょうか。
<西洋タンポポに圧倒されて 日本タンポポが減少している と心配な方へ>
いちど 早春(三月下旬ー四月初旬) に山野や田んぼのあぜんど田園父に出かけて観察してみてください。
一部の道路沿いなどを除いて 歩けども歩けども 群落をなして咲いているタンポポは ほぼ100%が日本種のタンポポの
はずです。
(私の地域ではカンサイタンポポ)。
見渡す限り凄い数の日本種タンポポ という光景は少しも珍しくありません。
日本のタンポポは健在なのです。
田園など行くところに行けば ”天文学的な数” の日本タンポポが存在するのです。
日本種は主として 山野で群落を作って春の或る一時期に一斉に咲くタンポポなのです。 自家受粉が
できないので 多くの花を一度に一斉に咲かせて ハチやアブやチョウなどの昆虫を呼ぶという
生き残り戦略なのです。
言い換えれば 膨大な数の虫たちに恵みを与えているのです。 虫たちは春先の日本タンポポ
の開花を待ちのぞんでいるのです。
数千年も数万年も続いてきたこの共生関係が崩れることはないはずです。 この戦略をとっている限り 日本のタンポポ減少
の心配は全くありません。
自家受粉できないことが 却って生き残る力を強めている と考えることもできるのではないでしょうか。
そしてこの春の一時期を外すと 日本種タンポポは咲くことはありません。
このことに加えて 住宅地などにはもともと無いことが 日本種タンポポは見かけなくなった という誤解を生んでいるのでしょう。
カンサイタンポポの群落の一例
タンポポはスミレのような花と花とが接近した 密な群落 は作りません。
株 同士がやや距離を置いた群落になり それが果てしなく続くのです。
(左はイラストではなく写真です)
カンサイタンポポが虫の媒介によって受粉に成功している画像
(左はイラストではなく写真です)
野草研究家と自負する人達のうちでも
都市近郊など自分の住む地域だけを見て西洋タンポポばかりなので日本タンポポは圧倒されて姿を消してしまった ・・・
と主張する方々が少なからずおられるのは困ったものですね。
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タンポポそっくりな花たち
<花首のとても長いタンポポ? 実はブタナ>
一般のタンポポよりやや遅れて5月頃に咲くタンポポそっくりの花が最近目立ちます。
これは ブタナ といいヨーロッパ原産の外来種です。 現在は世界中に帰化しており 日本では北海道 本州に分布します。
30−60センチもある花径が数本に枝分れし タンポポ状の頭花が咲きます。
繁殖力が強く芝生などを枯らすとして害草扱いされることが多いのですが 無視できないほと可愛い花たちです。 1934年に神戸の六甲山で発見
された時 何らかの誤解があってブタナという気の毒な名前にされてしまったのだそうです。
(右はイラストではなく写真です)
<コウゾリナとは>
ついでながら同じくタンポポよりやや遅れて 5月頃に咲くコウゾリナという野草があります。
日本中の山野や空き地や道端など至る所で見られます。 ブタナと似ていますが一つの株あたりの花数が多く葉もかなり上まで互生します。
タンポポよりやや小ぶりですが よく観察するとなかなか可愛い花です。
繁殖力の強さなどから外来種とよく間違われるのですが れっきとした ”国産”です。
(右はイラストではなく写真です)
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