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こ れから レポート・卒論を書く若者のために 第 2 版

酒井 聡樹著 共立出版
本体 1800円(税込み 1944 円)
A5 判 242 頁
(ISBN 978-4-320-00598-3)


2007 年 5 月 15 日 第 1刷発行
2009 年 5 月 1 日 第 3 刷発行
2010 年 2 月 15 日 第 5 刷発行
2010 年 9 月 5 日 第 7 刷発行
2011 年 5 月 15 日 第 9 刷発行
2012 年 4 月 10 日 第 11 刷発行
2013 年 4 月 1 日 第 13 刷発行
2014 年 1 月 25 日 第 15 刷発行
2015 年 1 月 26 日 第 17 刷発行
2016 年 4 月 27 日 第 18 刷発行
2017 年 4 月 1 日 第 19 刷発行
2017 年 7 月 15 日 第 2 版第 1 刷発行

累計 3,5349 部出来
初版 2,7316 部
第 2 版 8033 部

若手研究者のお経


「これからレポート・卒論を書く若者のために」という本を出版しました。レポー トと卒業論文の書き方を解説した本です。「これから論文を書く若者のために」の姉妹本です。
 本書は、以下の方々を対象にしています。

・これからレポート・卒論を書こうとしている学部生・専門学校生。理系文系は問いません。
・学生のレポート・卒論書きを指導する側の方々。やはり、理系文系は問いません。
・社会人となって、ビジネスのためのレポートを書こうとしている方々。本書の内容は、こうしたレポート執筆にも役立つはずです。
・より高いレベルを目指している高校生。
「これから論文を書く若者のために」の読者(投稿論文を書こうとしている人)の方々。内容が 重なる部 分(「序論の書き方」等)は、「これから論文を書く若者のために」の内容 をさらに練り上げたものになっています。

みなさま、どうか、かわいがって下さい。

序文
目次
内容紹介
本書は、これからレポート・卒論を書く若者のための本です。理系文系を問わず、どんな分野にも通じるように書いています。
 良いレポート・卒論を書くためにはまず、レポート・卒論とは何かを知ることが大切です。どういうことを書くことを求められているのか。どういう 心構え をもって書くべきなのか。そして次に、レポート・卒論を書くために必要な技術を学ぶ必要があります。序論・本論・結論等の書き方、読者を説得する ために 必要なこと、わかりやすい文章を書くための技術などです。本書には、こうしたことを全て書いています(目次 本書の構成)。 本書 を読めば、これからレポート・卒論を書く若者にとって必要なこと全 てを身に 付けることができます。
 以下で、本書の内容を二つ抜粋して紹介しましょう。
1. レポート・卒論とは何か
良いレポート・卒論を書くためには、何のためにこれらを書くのかを知ることが非常に大切です。そうでないと、国語の時間の感想文・作文と変わらな いレポー ト・卒論になってしまいます。では、何のために書くのでしょうか。それは、レポート・卒論は、何らかの、学術的に意義のある問題に解答するために書くのです。つま り、河野 (2002) が指摘するように、

1) 何らかの、学術的に意義のある問題を提起している
2) それに対する解答を示している

必要があります。ここでいう「学術的に意義のある問題」とは、ある学問分野 において 学術の対象と なるもののことです。たとえば、サッカー科学の分野では、

1) なぜ、ベガルタ仙台は強いのか?
2) 牛タン定食を食べて身体能力を高めているからである
(注:「ベガルタ仙台は、日本中の人がうらやむほどに強い」としておきます。事実とは、激しく少しだけ違います が。)

ということを示したレポート・卒論は、その価値が認められます。
 一方、以下のようなものはレポート・卒論とは呼べません。

【個人的問題を扱ったもの】
例 1 自分の生き方

私は、「自分の生き方」と題してレポートを書く。私は、人を幸せにする仕事に就きたいと思って大学に入った。自分の入学動機を再確認することを目 指して、 このレポートを書いていきたい。(以下略)

入学動機の再確認は、書き手にとっての個人的な問題でしかありません。どこにも学術性はありません。これでは、「国語の時間の作文」と同じです。

【調べただけのもの】
例 2 牛タン定食の歴史

牛タン定食は仙台名物である。仙台市民として牛タン定食のことを知っておくことは大切と考え、牛タン定食の歴史を調べてみた。
 牛タン定食は、敗戦後の食糧難の時期に、太助という仙台の店が始めたものであると本にあった。低コストで栄養価の高い食べ物はないかと試行錯誤 の末に誕 生したそうだ。(以下略)

調べるのは、学術的に意義のある問題に解答するためです。調べること自体が目的のわけではありません。学術的問題の提起なしに調べるのは意味の無 いことで す。

2. 説得力のある序論
序論では、そのレポート・卒論で取り組む学術的問題を提起します。レポート・卒論の価値(学術的に意義のある問題に取り組んでいる)を認めて貰え るかどう かは、問題提起に説得力があるかどうかにかかっています。ではどうすれば、説得力のある序論を書くことができるのでしょうか。
 たとえば、「ここに穴を掘って下さい」と人に頼むとします。そう言われて、「わかりました」と穴を掘り出す人はいないでしょう。どうして穴を掘 るのかわ からないので、その気になれないからです。そこへ、「徳川幕府の埋蔵金が埋まっています」と告げます。そうしたら人は、にわかに張り切って穴を掘 り始める でしょう。どうして穴を掘るのか、その理由がわかったからです。このように、人に何かをしてもらうためには、「どうしてやるのか」を説得することが鍵です。
 全く同じことがレポート・卒論にも当てはまります。レポート・卒論を書くということは、このレポート・卒論を読んで下さいと読者に頼むことで す。ですか ら、読者に読む気を起こさせることが重要です。そのためには、レポート・卒論の目的を伝え、かつ、それを明らかにすることの学術的意義を説明する 必要があ ります。つまり、

何をやるのか
どうしてやるのか

の二つを明確にすることが序論の使命なのです。上述のベガルタの例の場合、

何をやるのか:なぜ、ベガルタ仙台は強いのか?
(注;くどいようですが、「ベガルタ仙台は、日本中の人がうらやむほどに強い」としています。)

を書くだけでは駄目です。

どうしてやるのか:その理由を解明できれば、日本サッカーの強化に応用できる

と説明する必要があります。
 とは言っても、書き慣れないうちは、「どうしてやるのか」を上手に書けない人が多いようです。失敗例の典型は以下のような序論です。

例 3 深海生物の不思議
 新聞に、深海生物のことが書いてあった。不思議な生物もいるものだと関心を持った。そこで、深海生物の身体の特徴を、浅海生物の身体 の特徴と 比較してみることにした。(以 下略)

この序論の「どうしてやるのか」は、「不思議な生物もいるものだと関心を持った」からです。読者は、これで納得するでしょうか?
 たとえば、以下のように頼まれて穴を掘る人はいないでしょう。

「ここに穴を掘って下さい」
「なぜなら、穴に関心を持ったからです」

こう言われたら、「なら自分で掘れ」と思ってしまいます。
 例 3 の序論は、これと同じ頼み方をしています。「自分が関心を持った」というだけの理由でそのことをやるのなら、勝手にやればいいことです。レポー ト・卒論と して人に見せる必要はありません。
 学術の対象となりえるのは、あなたが興味関心を持っていることの一部だけです。


ですから、「興味関心を持った」ということだけでは、学術的な問題として取 り上げる理由にはなりません。もちろん、深海生物は学術の対象となりうるものです。深海生物にどういう学術的問題があるのかを説明し、その問題に 取り組む のであれば、立派なレポート・卒論となります。「興味関心を持った」だけでは駄目だと言うことです。
 本書では、説得力のある序論の書き方を詳述しています。この続きは本書で!

本 書の構 成
本書は三部構成です(目次はこちら)。
 第 1 部では、レポート・卒論とは何かを解説します。高校までに書いて いた作文とはいかに違うのかを知って下さい。
 第 2 部は本書の核となる部分です。レポート・卒論を書くために必要な ことすべてを解説しています。ここを読めば、レポート・卒論の各章で 何を書くべき なのか、 どのように書くべきなのかがわかるはずです。
 第 3 部は文章技術の解説です。わかりや すい文章を書くために必要な技術を徹底的に解説してます。

引用文献
河野 哲也 (2003) レポート・論文の書き方入門 第 3 版 慶應義塾大学出版会