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こ れから 学会発表する若者のために
ポスターと口頭のプレゼン技術


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酒井 聡樹著 共立出版
本体 2700円(税込み 2916 円)
B5 判 192 頁 3色刷 A4折込ポスター付き
(ISBN 978-4-320-00579-2)

2008 年 11 月 30 日 初版第 1 刷発行
2010 年 5 月 25 日 初版第 2 刷発行
2011 年 2 月 25 日 初版第 4 刷発行
2011 年 9 月 25 日 初版第 6 刷発行
2012 年 11 月 30 日 初版第 8 刷発行
2013 年 9 月 20 日 初版第 11 刷発行
2015 年 9 月 20 日 初版第 13 刷発行
2016 年 4 月 27 日 初版 14 刷発行

 累計 2,0363 部出来
はじめに
 本書は、これから学会発表する若者のための本である。学会発表をしたことがない若者や、経験はあるものの、学会発表に未だ自信を持てない若者の ための入 門書だ。理系文系は問わない。どんな分野にも通じるように書いた。
 あなたは今、卒業研究生・大学院生・研究生として研究に勤しんでいるはずでる。研究成果を出したら、それを学会で発表することになるだろう。そ の目的 は、あなたの発表を聴衆に理解してもらうことである。そして、研究の価値を認めてもらうことである。しかし、わかりやすい発表の仕方を知らずに臨 むと悲惨 なことになる。せっかくの発表も、聴衆に理解してもらえずに終わってしまうであろう。だから必ず、わかりやすい発表の仕方を身に付けないといけな い。
 わかりやすい発表をするためには、四つのことを心がける必要がある。

1. 発表内容を練ること。
2. わかりやすいポスター・スライドを作ること。
3. 発表本番で、ポスター・スライドを明瞭な論理で説明すること。
4. 質問にわかりやすく答えること。

以下で、それぞれについて説明しよう。

1. 発表内容を練ること
発表内容を練ることがまずもって大切である。序論・研究方法・結果・結論の各部分で何を伝えるべきなのか。これを知らずして、良い発表をすること などでき ないのだ。これは、プレゼン技術以前の --- しかし、研究の本質により深く関わる --- 問題である。伝えることがしっかりしていてこそ、それを伝える技術(プレゼン技術)を活かすことができるのだ。

2. わかりやすいポスター・スライドを作ること
プレゼンを成功させるためのかなりの部分が、わかりやすいポスター・スライドを作ることにかかっている。説明なしに見ただけで理解できるポス ター・スライ ドを作れば、聴衆を失う可能性はかなり減るのだ。そのためにあなたは、わかりやすいポスター・スライドとはどういうものなのかを理解し、それを具 現する技 術を身に付ける必要がある。

3. 発表本番で、ポスター・スライドを明瞭な論理で説明すること
むろん、発表本番での説明も大切である。あなたは、聴衆から、理解しようという姿勢を引き出さなくてはいけない。それがうまくいくかどうかは、あ なたの説 明の仕方にかかっている。

4. 質問にわかりやすく答えること
質疑応答もうまくやらないといけない。質問者の意図を的確に理解し、それに簡潔に答えること。これができれば、聴衆もあなたも有意義な時間を過ご すことが できる。

 本書には、これら四つをすべて書いた。つまり、これから学会発表する若者にとって必要なことをすべて書いた。
 本書は、学会への臨み方を書いた本でもある。学会とはどういうものなのか、そこに行って何をすべきなのかも書いているのだ。学会は、誰にとって も非常に 有益な場である。そこでいかに濃密な時間を過ごすことができるか。それが、今後の研究生活の大きな糧となる。しかし、漫然と参加しても得るものは 少ない。 学会では積極的に行動しないといけないのだ。そのための指針も、本書から読み取って欲しい。

本書の構成
 本書は三部構成である。
 第 1 部では、学会発表の前に知っておきたいことを説明する。学会とは何なのか、学会発表とはどういうものなのか、学会に行って何をするべきなのか。第 1 部は、学会への臨み方の解説である。
 第 2 部では、発表内容の練り方を解説する。ここでの説明は、論文の書き方にも通じるものである。
 第 3 部では、学会発表のためのプレゼン技術を解説する。わかりやすいポスター・スライドの作り方。発表本番での、ポスター・スライドの説明の仕方。質 疑応答の 仕方。これらを徹底解説している。

本書が対象とする読者
 本書が対象とする読者は、「これから学会発表する若者」である。具体的には、次のような人たちを想定している。

・研究の世界に入ったばかりの大学院生・学部生。自分が学会発表する日を夢見ながら、これからの研究生活に打ち込んで欲しい。
・学会発表の経験が浅い大学院生・学部生。本書の内容が、学会発表をする上で役立つことを切に願っている。
・卒業論文・修士論文・博士論文の発表や、研究室セミナー等を行う学生。本書の内容は、これらの発表にもそのまま通じるものである。
・学生の発表指導をする立場になったばかりの若手教官。教える側の理論武装の一つとして本書を役立てて欲しい。

目次
第1部 学会発表の前に知っておきたいこと
 第1章 学会とは何か
  1.1 組織としての学会
  1.2 大会としての学会
 第2章 学会に行く目的
  2.1 自分の研究成果を聴いてもらう
  2.2 最新の研究成果を知る
  2.3 自分を売り込む
  2.4 知り合いを作る
  2.5 その分野に慣れる
 第3章 学会発表とは何か
  3.1 学会発表と論文発表の違い
  3.2 ポスター発表と口頭発表の違い
   3.2.1 ポスター発表
   3.2.2 口頭発表
   3.2.3 どちらを選ぶべきか
  3.3 どこまで研究が進んだら学会発表してよいのか
   3.3.1 学会参加経験がある程度はある場合
   3.3.2 学会参加経験がほとんどない場合
 第4章 聴衆としての心がまえ
  4.1 会場でのエチケット
  4.2 質問をしよう
  4.3 質疑応答の時間における質問の仕方
   4.3.1 質疑応答の時間は皆のもの
   4.3.2 全員に向けて言葉を発する
   4.3.3 時間を守る
 第5章 学会が終わった後にすべきこと
  5.1 自分の発表へのコメントをまとめる
  5.2 プレゼンの反省点をまとめる
  5.3 新しい着想を整理する
  5.4 メールのやりとりをする

第2部 発表内容の練り方
 第1章 取り組んだ問題と主張したいことを決める
  1.1 当初思い描いていた問題と、手持ちの結果から主張できることはしばしばずれる
  1.2 手持ちの結果を元に、主張したいことを決める
  1.3 主張したいことに合わせて取り組んだ問題を決める
 第2章 序論で説明すべきこと
  2.1 「どうしてやるのか」の説得が鍵
  2.2 説得力のある序論とは
  2.3 説得力に欠ける序論
   2.3.1 「何を前にして」がない
   2.3.2 「どういう問題に取り組むのか」がない
   2.3.3 「どうして取り組むのか」がない/弱い
   2.3.4 「どういう着眼で」がない/弱い
   2.3.5 「何をやるのか」がない
  2.4 説得力のある序論にするコツ
   2.4.1 骨子の練り方
   2.4.2 「どうして取り組むのか」を説得するために
 第3章 演題の付け方
  3.1 演題の役割
  3.2 興味を惹くためには
  3.3 演題に入れる情報
   3.3.1 「どういう問題に取り組むのか」を入れる理由
   3.3.2 「どういう着眼で」を入れる理由
   3.3.3 「何を対象に」を入れる理由
   3.3.4 結論は入れるべきではない
  3.4 良い演題の例
  3.5 悪い演題の例
   3.5.1 研究題目を演題にしただけ
   3.5.2 「どういう問題に取り組むのか」ではなく、「何をやるのか」を書いている
   3.5.3 「どういう問題に取り組むのか」しか書いていない
   3.5.4 言い換えただけ
   3.5.5 情報を詰め込みすぎ
  3.6 印象を強くする工夫
   3.6.1 「取り組んだ問題を述べる主題:着眼点を述べる副題」という形にする
   3.6.2 疑問文にする
 第4章 研究方法の説明
  4.1 研究方法を説明する目的
  4.2 説明すべきこと
 第5章 研究結果の説明
  5.1 得られた結果の提示
  5.2 得られた結果の統合的解釈
  5.3 先行研究の検討
  5.4 結論:「どういう問題に取り組むのか」(取り組んだ問題)への答え
   5.4.1 「問題への答え」になっている結論を示す
   5.4.2 できるだけ簡潔に
   5.4.3 結論とまとめは違う
  5.5 結論を受けて:「どうして取り組むのか」への応え
 第6章 講演要旨の書き方
  6.1 要旨に書くべきこと
  6.2 論文の要旨との違い

第3部 学会発表のプレゼン技術
 第1章 何のために学会発表をするのか
  1.1 伝えたいと思っているのはあなた
  1.2 学会発表は、聴衆にわかってもらうために行う
 第2章 わかりやすい発表をするために大切なこと
  2.1  わかりやすい発表とは
   2.1.1 聴衆が、情報整理をしやすい
   2.1.2 その主張を導く論理を理解できる
  2.2  わかりやすい発表をするために大切なこと
   2.2.1 論理的な主張をする
   2.2.2 わかりやすくしようという意識を持つ
   2.2.3 聴衆を想定する
 第3章 わかりやすい発表をするためのプレゼン技術
  3.1  必要かつ不可欠な情報を選び出す
   3.1.1 主張することを絞る
   3.1.2 それらを主張するために必要な情報だけを示す
   3.1.3 聴衆の疑問に配慮する
   3.1.4 聴衆が待っている情報を与える
  3.2  聴衆の理解の流れに沿った順番で情報を与える
   3.2.1 研究方法の説明をすべて終えてから、結果の説明をする
   3.2.2 結果の説明を終えてから結論を述べる
   3.2.3 論理的なつながりを意識する
   3.2.4 同じ説明を繰り返さない
   3.2.5 重要なことから示す
  3.3  どういう情報を伝えるのかを前もって知らせる
   3.3.1 目次を示す
   3.3.2 見出しを付ける
   3.3.3 全体像を示してから細部を説明する
  3.4 情報保持の負担を減らす
   3.4.1 言葉を覚えさせない
   3.4.2 同じ言葉を使い続ける
  3.5 情報を読み取りやすくする
   3.5.1 情報の構造を示す
   3.5.2 強調文字を使う
  3.6  直感的な説明を心がける
  3.7 説明無しでわかるようにする
  3.8 見やすくする
   3.8.1 大きな文字で
   3.8.2 ゴシック体で
   3.8.3 大きな図で
   3.8.4 背景とのコントラストを明確に
 第4章 図表の提示の仕方
  4.1 論文の図表をそのまま使わない
  4.2 単純な図表にする
  4.3 視覚的に意味を捉えやすくする
   4.3.1 できるだけ、表ではなく図で提示する(数値の比較が目的の場合は必ず図で)
   4.3.2 表で提示してよい情報
   4.3.3 模式図を活用する
  4.4 比較が目的のデータは同じ図に組み込む
  4.5 図の軸等の説明を丁寧に行う
   4.5.1 図のタイトルと軸の説明をきちっと分ける
   4.5.2 その説明を読めばわかる軸にする
  4.6 記号のすぐそばに、その説明を書く
  4.7 図表のすぐそばに、その解釈を書く
 第5章 ポスターの作り方
  5.1 ポスターを作る前に
   5.1.1 ポスターの大きさと視野の関係
   5.1.2 読んでもらえるポスターとは
   5.1.3 わかりやすいポスターとは
  5.2 すっきりとしていて、拾い読みをしやすいポスターを作るコツ
   5.2.1 序論と考察を最小限にする
   5.2.2 結論(まとめ)を上部に書く
   5.2.3 結論先行型にする
   5.2.4 番号等を使って情報間の対応をつける
   5.2.5 情報を省略しない
   5.2.6 二段組みを基本にする
   5.2.7 情報の領域を明確にする
   5.2.8 読む順番がわかるようにする
  5.3 ポスターの各項目で書くべきこと
   5.3.1 演題
   5.3.2 発表者名等
   5.3.3 序論
   5.3.4 研究対象と方法
   5.3.5 結果
   5.3.6 考察
   5.3.7 まとめ
   5.3.8 付録
   5.3.9 要旨は不要
 第6章 ポスター発表の仕方
  6.1 説明練習をする
   6.1.1 他者の意見を仰ぐため
   6.1.2 説明の仕方を工夫するため
   6.1.3 ポスターの問題点を見つけるため
   6.1.4 淀みなく説明できるようになるため
   6.1.5 説明時間を確認するため
  6.2 五分くらいで説明できるようにする
  6.3 勝手に説明を始めない
  6.4 十秒ほど見てくれたら声を掛けてみる
  6.5 全員に向かって言葉を発する
  6.6 聴衆の反応を見ながら説明する
  6.7 特定の聴衆と延々とやりとりをしない
  6.8 指示棒を使って説明する
  6.9 図表の読み取り方を説明してから、データの意味することを述べる
  6.10 縮刷版を用意する
 第7章 スライドの作り方
  7.1 スライドを作る前に
   7.1.1 聴衆のおかれた状況
   7.1.2 盛り込める情報の量
   7.1.3 スライドの適正な枚数
  7.2 わかりやすいスライドにするコツ
   7.2.1 一枚のスライドで一つのことだけを言う
   7.2.2 各スライドに見出しを付ける
   7.2.3 そのスライドで言いたいことを明記する
   7.2.4 大切なことはスライドの上部に書く
   7.2.5 スライドの作り方に一貫性を持たせる
   7.2.6 次にどういうスライドが来るのかをわからせる
  7.3 各スライドで書くべきこと
   7.3.1 演題・発表者名・所属
   7.3.2 序論
   7.3.3 研究対象・方法・結果
   7.3.4 考察
   7.3.5 まとめ
 第8章 口頭発表の仕方
  8.1 発表練習をする
  8.2 発表時間を守る
  8.3 聴衆を見て話す
  8.4 演台の中央寄り前部に立って話す
  8.5 原稿を読み上げない
  8.6 会場の一番後ろまで届く声で話す
  8.7 適度に間を取りながら話す
  8.8 過度に抑揚をつけた話し方をしない
  8.9 スライドにないことを話さない
  8.10 ポインタ・指示棒をぴたっと指す
  8.11 図表の読み取り方を説明してから、データの意味することを述べる
  8.12 スライドの印刷資料を用意する
 第9章 質疑応答の仕方
  9.1 質問を歓迎しよう
   9.1.1 興味を抱いてくれたということである
   9.1.2 今後の研究に活かすことができる
  9.2 質問への対応の仕方
   9.2.1 質問の意図を捉える
   9.2.2 自分を落ち着かせる
   9.2.3 まず的確に答え、次に、必要に応じて補足説明をする
   9.2.4 質問者を見ながら答える
   9.2.5 他の聴衆にも届く声で答える
   9.2.6 他の聴衆にも届く声で答える
   9.2.7 質問者の声が小さいときは、他の聴衆のために質問を復唱する
   9.2.8 沈黙しない