江別等、札幌圏の心理療法



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ヒューマニスティク・サイコロジー系



 このページは、ロジャーズの来談者中心療法や、パールズのゲシュタルト療法といった、いわゆるヒューマニスティク・サイコロジー系の心理療法について触れることにしましょう。ヒューマニスティク・サイコロジーというのは、人間をもっぱら性的な側面に還元して理解する精神分析や、人間を刺激と反応の諸要素に還元して理解する行動療法等を批判して現われた心理療法の立場で、あるがままの人間をトータルに捉えようとする特徴があります。

 まず来談者中心療法です。非指示的療法からこの名称になり、いまはパーソン・センタード・アプローチ(PCA)と呼ばれているのですが、そのまま来談者中心療法と呼ぶことにします。この立場のカウンセラーは、さしあたり自分をインパーソナルな状態(東洋的に言えば滅私ということか?)にして中心を相談者の側におき、相談者に対して、受容、無条件の肯定的関心、共感的理解を示そうとします。カウンセラーの持つ知識やテクニックはあまり重視せず、カウンセラーの態度や存在そのもの(プレゼンス)を重視しました。

 その一方で、相談者の苦しみは、いまある自分を受け入れることが出来ないこと、つまり自己概念と経験の「不一致」にあると考えました。上記のような態度を示すカウンセラーと心理療法で出会うことによって、自己概念と経験のズレは小さくなって行き、不一致から一致へと、つまり回復へと至るわけです。自己を実現しようとする人間、恢復する自然の力を持つ人間を信頼する、暖かみのある考え方なのかもしれません。

 次は、ゲシュタルト療法です。ゲシュタルト療法は、「いま、ここ」での「気づき」を重視します。精神分析のように過去を掘り下げて行くよりも、いまここで起こっていることに眼を向ける心理療法です。私たちのパーソナリティにはいろいろな側面があって、パールズはそれを、たとえば「勝ち犬」とか「負け犬」と名づけます。ゴチャゴチャと口うるさい側面や、ウジウジした側面に対する命名です。私たちの内面には、そうした様々なキャラクターが宿っているのですが、それらと対話を進めて行くのがこのゲシュタルト療法でもあります。

 エンプティ・チェア(空の椅子)と呼ばれる技法があります。実にユニークです。目の前に空の椅子をおいて、たとえば自分の「勝ち犬」がそこに座っているところを想像します。そして、眼には見えないその勝ち犬と対話してみるわけです。それを繰り返すうちに、あるがままの自由な自分でいることを阻止している何かに対する、気づきが生まれると言うわけです。少し演劇的になってしまうのは、仕方ないでしょう。けれども感情が入ると、いまここで深い体験をする場合もあります。文字通り身体がほてるので、そんなときにはエンプティ・チェアが「ホット・シート」になります。

 もちろん、これだけではありません。ゲシュタルト療法のカウンセラーは、特に相談者の身体的な動きや表情に着目して、そのことをフィードバックする場合があります。それによって、いまここでの気づきが、カウンセリングのなかで促進されるのです。

 同じヒューマニスティク・サイコロジーの立場にある心理療法でありながら、来談者中心療法とゲシュタルト療法は随分と異なります。カウンセラーに暖かみを求める方は前者が、少しフラストレーションを感じても自分自身をしっかり見つめたい方は後者が、それぞれ向いているのかもしれません。なお、この分野の専門的な議論について興味のある方は、こちらの人間性心理学をご覧ください。
 



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