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『大女優物語 オードリー、マリリン、リズ』を読んで | |||||
中川右介 著<新潮新書> | |||||
リズの『バターフィールド8』とマリリンの『バス停留所』という絶妙のカップリングによる合評会を楽しんだ際に映友から勧められた新書だが、バックステージ情報に疎い僕には絶妙のタイミングで、とても面白く読んだ。ちょうど『バターフィールド8』を観て、「いつになく頬の黒子を目立たせ、ベッドで寝ている場面から起き出て下着のままのグラマラスな姿を延々と見せるオープニングに、強くマリリン・モンローを意識した演出を感じ」たことを裏打ちするように、標題の大女優たちにおける同時代での歩みを年代記として併記してくれていたからだ。 自室にジグソーパズルを掛けてあるマリリンについては、三十五年前に読んだグロリア・スタイネムによる『マリリン』<草思社>と亀井俊介による『マリリン・モンロー』<岩波新書>が書棚にあるけれど、あとの二人は、何も読んだことがなかった。ところが折よく、ヘレナ・コーン監督によるドキュメンタリー映画『オードリー・ヘプバーン』を観たばかりだったことに加えて、『クレオパトラ』を観てエリザベス・テイラーを見直す気持ちが強くなっていたところだったから、尚更のことだった。著者の中川右介が二歳違いの同世代であることから来る“大女優”たちへの距離感に同調しやすい面も作用していた気がする。 ハリウッドの大女優になったことで破格の制約と自由とを手に入れた三人が三人とも、とても派手な恋愛遍歴を重ねていることでは共通しているのを見ても、恋愛における人の本性というのは移ろいに他ならないことを改めて観るような気がした。そんななかにあって著者が「「婚姻制度の敵」とまでマスコミで叩かれた」(P218)エリザベス・テイラーについて、他の二人と違って「リズの場合、離婚があれば結婚がある。…たしかに恋多き女だが、リズは必ず結婚するという点では婚姻制度を墨守しているとも言える」(P243)と記しているのが目を惹いた。 また、年代記の合間に挿し込まれていた三女優それぞれ5作の特記作品が改めて興味深く、未見作品を片付けたい思いが強くなってきた。そして、BSプレミアム録画で『ダークサイドミステリー▽マリリン・モンローとハリウッドの闇~映画に夢を求め続けて』を折よく観て、やはり大した女性だったなぁとの感慨とともに、女優になりたいのにアイドル【偶像】であることを求め続けられた不幸を気の毒に思った。 リズ: 『緑園の天使』['45]10代時分のテレビ視聴 『陽のあたる場所』['51]拙日誌 『ジャイアンツ』['56]未見 『去年の夏突然に』['59]未見 『クレオパトラ』['63]拙日誌 マリリン: 『イヴの総て』['50]未見 『七年目の浮気』['55]拙日誌 『王子と踊り子』['57]拙日誌 『お熱いのがお好き』['59]'85. 5.23. 『荒馬と女』['61]拙日誌 オードリー: 『ローマの休日』['53]拙日誌 『パリの恋人』['57]拙日誌 『尼僧物語』['59]未見 『ティファニーで朝食を』['61]拙日誌 『マイ・フェア・レディ』['64]拙日誌 | |||||
by ヤマ '22. 8.18. 新潮新書 | |||||
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