『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』をめぐって
(ミノさん)
(TAOさん)
(グロリアさん)
(サンさん)
ヤマ(管理人)


  No.3751から(2003/08/03 15:28)


(ミノさん)
 こんにちわ。
 アンパンマンでたまった鬱憤を晴らそうと新作『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』を見てまいりました。これ、よかったです〜。

ヤマ(管理人)
 ようこそ、ミノさん。僕も昨日、観たとこです。
 大袈裟なギリシャ式婚礼ってタイトルに示されてる過剰さが暑苦しくもあり、可笑しくもあり、やさしくもありってとこですよね。

(ミノさん)
 とにかく笑えますし、何となくあちらの寅さんって雰囲気で、終始こっちも笑顔なんですよ。

ヤマ(管理人)
 なるほど。暑苦しさに通じるところも含めて、面白い連想ですね。

(ミノさん)
 女性なら、こんな人に出会いたいもんだって思うような(笑)願望をくすぐられる映画でありました。イアンって、ジョン・トラボルタに似てません?(笑)

ヤマ(管理人)
 トラボルタですか? 家庭を大事にしそうっていう役どころは確かに一時期、彼がよくやってましたね。そっか〜、そういう連想もあるか(笑)。でも、イアンをやったジョン・コーベットのほうが、かなりスラっとしてたようにも(笑)。
 それはそうと、『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』については、ミノさんも感想をアップされてますよね。自由なんだけど、干渉しあうことなんかない、うすーい世界で、わずらわしさもないんだけど、なんか退屈。なんかさみしいんよねえっていうのは、イアンのみならず、最近の日本人も含めた現代人像でもありますね。
 この作品が各国でヒットしたことの裏側には、ここんとこでの“イアンの側の得たもの”っていうのがきちんと感じられるように描かれていたからでしょうね。「ただ一つ惜しいのは」とお書きになっていることは、成る程と納得のご指摘でした。あの、穴あきケーキにでも病みつきになるとかあってもよかったですのにね。それにしても、実に「身から出た感想」と言いますか、実感に支えられた魅力的なテクストでしたね。

(グロリアさん)
 トム・ハンクス夫妻が発掘した舞台劇なんですよね。

ヤマ(管理人)
 ようこそ、グロリアさん。そうらしいですね。

(グロリアさん)
 大ヒットでとうとうWOWOWでは連ドラ化『マイ・ビッグ・ファット・ライフ』までスタートしています(わたしは観てないんですが)。

ヤマ(管理人)
 衛星TVチューナーつけてないし、僕は観られませんが、そうですか、日本でもそれだけ支持されてるんですね、放映されるとは。

(グロリアさん)
 ジョン・コーベットは『SATC』にも家具職人&デザイナー役で出てますが、健全で好感のもてる典型的アメリカ男って気がします。

ヤマ(管理人)
 『Sex And The City』でしたっけ。グロリアさん、お気に入りのTVドラマなんですよね。確か自称、普及委員会委員長だとか(笑)。ま、彼は、今回かなりの儲け役ではありましたね〜。

(ミノさん)
 ジョン・コーベットって、SATCにも出てるんですね〜。私、あの手の顔かなり好みかもしれません(笑)。なんというか、微笑み顔っていうか。怒ってても顔の笑ってる人っていうんですか。

ヤマ(管理人)
 僕、怒ること自体がないもんで、そう言われるんですよ。でも、同時に怒るときっと凄くおっかないんだろうな、とも(苦笑)。

(TAOさん)
 おひさしぶりです。『マイ・ビッグ・ファット・ウエディング』との対比で、非ラテン気質について書かれていたのも興味深く拝見しました。

ヤマ(管理人)
 ようこそ、TAOさん。ありがとうございます。TAOさんもご覧になってたんですね、『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』

(TAOさん)
 私自身、非ラテン系なんで、ラテン系的おおらかさへの憧れと、それに対する居心地の悪さと、相反する気持ちがとてもよくわかるんですよねえ。

ヤマ(管理人)
 あはは。僕もそうですね。しかも、それに加えて、僕は自分ではゲルマン型の傾向が強いと思っているし、こちらでは割合そういうふうに見られることが多いのに、県外に出ると、ラテン型の印象もかなり強いらしいんで、ダブルでアンビバレントな心情を誘われちゃうんですよ。

(TAOさん)
 うはは。ヤマさんは南方系ゲルマンなんですね。私もナニワ系九州人だからか、血液型はAなのに、必ずO型かB型だろうと言われますよ(笑)。

ヤマ(管理人)
 お互い、どこにいてもコウモリみたいな存在なのかも(笑)。テンション高いラテン型のはずが、東京で暮らしてた大学時分の僕のあだ名、「なまけバク」でしたし、A型なのに「積極ズサン」とかって揶揄されてましたしね〜(笑)。

(TAOさん)
 この春、公開された『ベッカムに恋して』というイギリス映画でも、英国に住むインド人家族の結婚式の模様が描かれていて、なにかあるたびに、けっして大きくない家に一族が結集して大騒ぎするところなど、『マイ・ビッグ・ファット・ウエディング』にとてもよく似て、さわやかで楽しい映画でした。

ヤマ(管理人)
 これは今月こちらでも上映が予定されていますよ。インド人家族の結婚式って、モンスーン・ウェディングでもたっぷり見せて貰いましたね。あれはDr.Tと女たちとの対比が興味深い作品でした。ベッカムに恋しても楽しみにしています。こちらではムーンライト マイルとの併映という嬉しい二本立てなんですよ。

(TAOさん)
 いま、英米では、大家族への強い憧れがあるんでしょうね。『マイ・ビッグ・ファット・ウエディング』の新郎も、ヒロインの大家族をバックボーンに育った魅力に惹かれたのかなあ。

ヤマ(管理人)
 日本でも、そのうち濃厚に出て来るんじゃないですかね、ネオコンの流れですから。十五年前に月の輝く夜にを観たときの日誌に新保守主義との関連での家族主義というものに触れてますが、日本が今、あのくらいの感じなのかもしれませんね。

(TAOさん)
 じつは私、いささか納得できないんですよ。たしかにめでたしめでたしだけど、新郎には改宗までさせてるのに、新婦は独身時代と変わらない生活を送るわけでしょう。これじゃあ、よほど新郎やその家族に気をつかわないと、二人の間でバランスがとれないんじゃないか。いくら実話だからって、そこを軽視するのはいかんのではないかと。なんだか苦労人の取り越し苦労のようでもありますが(笑)。

ヤマ(管理人)
 僕は、あの二人については、どちらも共に自分の属していた家族のスタイルから脱却したかったってとこがあったろうと思うんですよ。

(TAOさん)
 ええええ、同感ですね。体験的にも非常によくわかります(笑)。

ヤマ(管理人)
 大なり小なり、子供は自分の属している家族のスタイルに対してそういう心情を抱くとしたもんですよね(笑)。そういう意味でも、二人の子供を車に乗せる最後のシーンがけっこう重要なんじゃないかなって思ってます。あの三人家族の雰囲気にラテン色って、ほとんど感じられなかったというか、むしろ、脱色されていた感じで、なんだか直前の持ち家をプレゼントされた結婚に至るまでの騒動シーンとの対照が際立っていたように思うんですけどね。

(TAOさん)
 たしかにたしかに。こざっぱりしてましたね。ワスプでもギリシャでもない、ただのアメリカ人家庭になったんでしょう。

ヤマ(管理人)
 このあたりが『ブリジット・ジョーンズの日記』のような一方的な都合のよさと一味違うように僕が感じたことに繋がっているような気がします。
 で、それと同時にイアンにとっては、自分がウンザリしているものについて見直す視線を与えてくれた相手の存在ということがあって、そこんところでは、双方がイーヴンだったのではないかって感じなんですね。ただ映画は、トゥーラの側から描いているから、イアンの献身ぶりのみが際立っているけど、イアンが得ているものだってきっとあるはずなんですよ。映画でもそこのところをもっときちんと描くべきだというのは、同感なんですけどね。

(TAOさん)
 “自分がウンザリしているものについて見直す視線を与えてくれた存在”という点については私も同感なんですが、ただ、ヤマさんも指摘されてるように、トゥーラの側ばかりが描かれてるために、昔ながらの「そのままの君が好き」パターンと同じになってしまうきらいがあるのと、今までは一般的に女性が一方的にライフスタイルの変更を余儀なくされることのほうが多かったので、そういう犠牲を厭わない男性をことさらに理想としたいフェミニスト的な視点もあるのかな、と。だとしたら、浅薄でちょっといやだな、と思ったんです(笑)。

ヤマ(管理人)
 “昔ながらの「そのままの君が好き」パターン”ですか(笑)。似て非なると断りながらも、僕が『ブリジット・ジョーンズの日記』を想起したこと自体が、まさにこういうところがあることの証左ですよね。

(ミノさん)
 きゃ〜 TAOさまだ! お久しぶりです〜。さびしかったですう(笑)。HEROは未見ですが、『ビッグ・ファット』は、私も見ましたよ。
 ご指摘の「二人の間でバランスがとれないんじゃないか。」「いくら実話だからって、そこを軽視するのはいかんのではないか」ってとこ、私もそこがひっかかったんです。自分のレビューにも書いたんですけど、男性側が、相手の価値観の取り入れを行う柔軟性があるのに、ギリシア系だけは相変わらずコテコテのギリシア系で変化ナシ。
 これだと単に男性が相手に染められてしまっただけとも取れる危険性がありますよねえ。やっぱ相互に影響を与え合う部分の描写が欲しいですね。

(TAOさん)
 ミノさん、こんにちは! この夏は珍しく商売繁盛、ひまができると映画館に走ってたもんで、すっかりごぶさたしてしまって。

ヤマ(管理人)
 おおー、この不景気下にそれは何よりじゃありませんか!

(TAOさん)
 “相互に影響を与え合う部分の描写”については、ミノさんもそう思いました? でも、ヤマさんご指摘の最後のシーン、たしかに重要ですね。すっかり忘れてました。というか、ただおまけとしてしか見てませんでした。映画は最後まで気を抜いちゃいけませんね。

ヤマ(管理人)
 やはり“昔ながらの「そのままの君が好き」パターン”とか“犠牲を厭わない男性をことさらに理想としたいフェミニスト的な視点”を感じさせたりもするあたりが、まさにミノさんも気になった部分なんでしょうね。
 そういう意味では、真にイーヴンな関係を望んでおられるお二人の男女関係に対する感覚のセンスのよさが感じられますね。その点では、お二人とも女性の側であればこそ、余計にそのあたりに敏感にならざるを得なかったのかもしれません。男の側からは、もっと容認しやすいですよ。『猟奇的な彼女』あたりまでいくと、戯画化しているとはいえ、かなり倒錯的な部分もありますから、そこを心情的に共感できないと、ちょっと乗れなくなっちゃうと思うんですけどね。
 ミノさんもこの作品には、「なんともいえない違和感に包まれてしまった」らしいんですけど、それは、この部分についての話ではなかったようなんですけどね。


-------半年を経過して-------
No.4318から(2004/04/11 14:37)

(グロリアさん)
 うちへのレスにも書いたんですが、ヤマさんがこの作品をご覧になってたとは意外でした(笑)。

ヤマ(管理人)
 そうですか?(笑) 僕、よく観ていることが意外と言われる作品があるんですが、基本的には何でも観るんですよね、折さえ合えば。

(グロリアさん)
 わたしもついつい『ブリ・ジョン』と比較(というほどでもないけど)するというか、

ヤマ(管理人)
 そうでしたか、御同輩(笑)。

(グロリアさん)
 「今、世界的に負け犬女性ストーリーが旬なんだな〜」と思いつつ観てたんですが、ちょっと期待はずれでした。

ヤマ(管理人)
 実のところ、僕にはこの“負け犬女性”って感覚が今いちピンと来ないんですよね。なんか女性たちには諧謔的に滅法ウケているみたいなんですが(苦笑)。

(TAOさん)
 それはね、ヤマさんには賞味期限の恐怖というものがわかんないからです(笑)。いまの“負け犬”ブームは、酒井順子の「負け犬の遠吠え」という本が火元になっているんですけど、女のハードボイルドとでもいうか、なかなか痛快な本なんですよ。

ヤマ(管理人)
 売れてるようですね。読んでませんが、あちこちで見聞きしますもん。

(グロリアさん)
 『ブリ・ジョン』は特に好きではないんですが、まだあっちのほうが「ヒロインのサエない時期 → いい女になろうと努力する姿」をていねいに描写していたし、恋愛も波乱もあり、女性として共感できる部分があったんですが、『ビッグ・ファット』のほうはヒロインがメガネをコンタクトに変えてちょっとお化粧して市民大学に行っただけであっさりとキレイになり(あくまでも映画上で)、やりがいのある仕事も恋人もゲット、おまけに恋人とはなんの波乱もなくす〜っと結婚、とトントン拍子に進みすぎて物足りなさすぎ!

ヤマ(管理人)
 『ブリジット・ジョーンズの日記』は、冒頭のサエなさの鬱積をバン!っと描出した場面は秀逸でしたね。でも、努力してました?(笑) 幸運ゲットにジタバタしてただけのように思いましたが(笑)。
 『マイ・ビッグ・ファット・ウエディング』は、確かに浮き沈みは、あまりありませんでしたね。でも、マークがブリジットに惹かれる理由よりは、ミラーがトゥーラに惹かれた理由のほうが僕には納得できたんですけどね(笑)。

(グロリアさん)
 それは言えてるかも! それよりブリジットとヒュー・グラント演じるプレイボーイ上司の関係もわたしには腑に落ちないものがありました。ま『ブリ・ジョン』はわたしもそんなに買ってないんですが・・

ヤマ(管理人)
 腑に落ちないのは、ブリジットの求めていたものが何だったのかってとこですか?

(グロリアさん)
 自己肯定度が低い(特にルックス)わりに、ブリジットってブラジャー透け透けのトップスをオフィスに着てきたり、ミニスカートはいてヒューをそそったりして、そのあたりがどうも自分をどう位置づけてるのか解せないんですよね〜。

ヤマ(管理人)
 自分では辛抱というか、気後れを振り切って、というか、まぁ涙ぐましい思い切りなんでしょうよ(笑)。

(グロリアさん)
 「痩せたい」と言いつつ、実は豊満な肉体が男性受けすることを本能では知っていて葛藤してるのか?とか(笑)。

ヤマ(管理人)
 わはは。こりゃいいや。ええ、柔らかいのが、いいですね〜。ま、女性は別に豊満までいかなくたって柔らかいとしたもんですが。

(グロリアさん)
 そういえばヒューは『ラブ・アクチュアリー』でも太目の秘書にベタぼれだったけど、ああいう男性が増えてくれると助かります(笑)。

ヤマ(管理人)
 男が若いうちは見てくれに走り、長じるに及んで触感を愛でるというのは、今も昔も、さほどに違いもないのじゃないかという気がしますが(笑)。

(グロリアさん)
 『マイ・ビッグ・ファット・ウエディング』に話を戻すと、もう一つ引っ掛かったのは、異民族間の結婚がメインテーマだったからだとしても、そちらもデフォルメしすぎて中途半端だったし、おもしろくて好感持てる映画だっただけに残念でした。

ヤマ(管理人)
 シリアス系ではありませんでしたから、デフォルメとかはもうスタイル的なもので、仕方ないように思いますが、グロリアさんにはフィットしなかったんですね。なまじ“おもしろくて好感持てる映画”という印象が残るものほど、自分にフィットしなかった部分に恨みが残るというか、未練がましい気持ちが生じるものですよね、何事につけ(笑)。こんなのキライって訣別できる作品には生じない「残念」ですもの。

(グロリアさん)
 でもヒロインの母親は理解あるし、娘の可能性をひろげるためにサポートをしてくれる心強い存在でよかったですね。

ヤマ(管理人)
 あ、ここんとこがグロリアさんに訣別をさせない一番のポイントだったのかも(笑)。

(ミノさん)
 グロリアさま、『ビッグ・ファット』私も見ました。確かに女性のサクセスストーリーとしてみると、トントン拍子すぎることはすぎますよね。私は、結構感情移入できて見ることができて、好きですけどね。この作品。
 ただ、男性側が、女性の民族の価値観を取り入れてるだけで、女性側が相手側のそれを取り入れて・・っていう「双方向性」には欠けているなあと思ったので、それが一番不満でしたね。

ヤマ(管理人)
 確かにそういうきらいはありましたね。

(グロリアさん)
 そうなんです! わたしも自分ちのレビューにここのところを納得いかないポイントとしてあげてるんです。あんなに全面的に受け入れるて、一度も逡巡も葛藤もないなんて・・・

(ミノさん)
 そのへんが描けてればもっと深いお話になってたんでしょうねえ。コメディとしてそこまで包み込んでくれてたらな〜。

ヤマ(管理人)
 このへんは、恋愛適齢期の手練れ方が見事でしたねぇ。

(グロリアさん)
 『ビッグ・ファット』は、しかも何年後かに娘が生まれたらギリシャ語学校に行かせてギリシャ系のアイデンティティで育ててるでしょ、わたしがイアンの両親だったら一人息子をギリシャ人に取られたって嘆きますよ(笑)。

ヤマ(管理人)
 はは。それは実際のところ、そういう心境かも(笑)。でも、ある意味、自業自得っていうか、彼にある種の欠乏感なり、物足りなさを感じさせる家族関係だったわけですよね。暑苦しいほどの家族関係に憧れるような息子になった以上(笑)。それって、親にしても子にしても、善し悪しとは別のことなんですけどね。

(ミノさん)
 日本だったら沖縄とかああいう家族関係なんでしょうねえ。

ヤマ(管理人)
 ミノさん、沖縄お好きですよね。

(ミノさん)
 暖かいところって、閉鎖的な核家族文化とか形成されにくいのかな? 暑いからドア開けてて開放的なのか?

ヤマ(管理人)
 そうねー、夏なんか、ろくに服着てませんからね〜(苦笑)。
 ま、そういうことごとを踏まえても、ラストが大家族のなかで彼らが生活をするのではなく、あくまで核家族としての生活の場を築いているところが、“大家族主義賛歌にはしていない結末”として、この作品の大事なとこだと思ってます。

(TAOさん)
 『マイ・ビッグ・ファット・ウエディング』の双方向性欠如問題については、私もかつてここで、ヤマさんに訴えたことが・・・(笑)。

ヤマ(管理人)
 そうでしたねぇ(笑)。

(TAOさん)
 そのときヤマさんに指摘されて、なるほどと思ったんですが、体温の低そうな両親のもと、一人っ子で育ったミラーは、ずーっとホットで濃密な家庭に憧れてたんでしょうねえ。

ヤマ(管理人)
 そう、そう。ここんとこですよ(笑)。

(TAOさん)
 だから、入り婿状態も大歓迎で、自分の子供もそういうふうに育てたかったんでしょう。自分の親たちももう少し地中海的に変えたいと思ってるんじゃないかな。

ヤマ(管理人)
 たぶんね。でも、子が親の思い通りにならないのと同様、親だって子の思い通りにはならないですからねぇ(笑)。

(グロリアさん)
 そういえばイアンの両親、思ったより柔軟な人たちでしたよね。もっとスノッブでいざこざが起きるかと思いきや・・・・

ヤマ(管理人)
 前のTAOさんとのやり取りは、No.3801〜No.3807でした。今回のと併せて、いずれ採録しようかな。前回も、グロリアさん、タンミノワさん、参加してくださってるし。

(TAOさん)
 といいつつ、私、じつは『ブリ・ジョン』のほうがだんぜん好きなんですよ(笑)。たぶん笑いのツボがばっちりあってるせいですが。

ヤマ(管理人)
 あの身も蓋もなさをどうこなせるかってとこで、僕なんか、ちょっと笑うに笑えないとこもあってね(苦笑)。

(TAOさん)
 ヤマさんご指摘の「でも、努力してました?(笑) 幸運ゲットにジタバタしてただけのように思いましたが(笑)。」に対しても、見苦しさをおおいに晒して笑いをとるサービス精神こそが、「ブリ・ジョン」の上品なところで・・・(笑)。

ヤマ(管理人)
 確かに。ま、僕にはサービスにならなかったってことでしょうか(笑)。


-------『負け犬の遠吠え』(酒井順子 著)をめぐって-------

(グロリアさん)
 ところで、TAOさん、酒井順子の「負け犬の遠吠え」については、わたしも拙サイトでレビュー書いてますので、よければのぞいてみてくださ〜い。わたし自身はぎりぎり30歳で結婚したので「負け犬」にはなりそこねたんですが(苦笑)、かといって優雅な専業主婦でもなく、心情は「負け犬」寄りですねぇ・・・。

ヤマ(管理人)
 あれは、30までに結婚しているかどうかで決めるんですか(呆)。でも、確か、結婚してるだけじゃダメで、子供産んでないと負け犬女なんだそうですよ(苦笑)。
 “優雅な専業主婦”ってのは、重要な要素なんですね。要は、有閑マダムが女の勝ち犬ってことですか(笑)。しかし、勝とうが負けようが、犬にはなりたくないような気も(笑)。

(グロリアさん)
 でも酒井順子の本に出てくる負け犬ってけっこう恵まれてるんですよ〜、それについては「アエラ」でも所得の低いカップルが「ほんとの負け犬は経済面(家賃、各種行政の補助など)で必要に迫られて結婚しているわたしたちのような層」とか発言していて、わたしも実情はその通りなので印象的でした。

(TAOさん)
 早速ながら、グロリアさん、拝読しました! 私も小倉千加子とセットで読んで、ミノさんにもしっかりセットで推薦しました(笑)。ついでに小倉氏の「赤毛のアンの秘密」も読みましたが、これも面白かったですよ。

(ミノさん)
 ちょっとごぶさたで覗いてみたらここでも負け犬論争が・・(笑)。

ヤマ(管理人)
 なにせ管理人が戌年なもんで(笑)。

(ミノさん)
 グロリアさん、私も拝読。そうなんです。このセットはTAOさま伝授のセットですのよ。これほんとセット販売のようですよね。

(TAOさん)
 酒井順子さんは、きっと「私は負けてないもん」とか勝ち負けなんてないもんと思ってるわりには、内心ちょっと憂鬱な優雅な人たちに、提案したかっただけで、こんな社会現象になるとは思ってもみなかったんじゃないでしょうか。

ヤマ(管理人)
 そういうささやかさや慎ましさが偲ばれる筆致で綴られているのなら、大いに魅力的ですね。

(TAOさん)
 勝ち負けなんて関係ないと思いながらも、30代後半の女性が抱えている漠然とした不安。これこそが賞味期限の恐怖なのですが、…

ヤマ(管理人)
 あけすけにセックスを想定しているわけではないってことなんですね。でもなぁ、賞味期限って言葉、なんかヤだなぁ(笑)。

(TAOさん)
 たしかにヤですね(笑)。でもほら、元はクリスマスケーキとかって25歳だったんですよ。だから賞味期限って言葉なんでしょうよ。それが20代後半、30代とジリジリ伸びてきて、最後に立ちはだかっているのが自然出産の限界である40前ってことなんじゃないでしょうかねえ。

ヤマ(管理人)
 ??? ケーキが25歳? ごめんなさい。意味が掴めてない(苦笑)。25歳を過ぎたら、ケーキ食べちゃいけないとかってあったんですか?

(TAOさん)
 たぶんセックスより受胎能力なんだと思います。あけすけに(笑)。

(ミノさん)
 私もそう思います。何だかこう、より本能的つうか、生き物的ですよねえ。

ヤマ(管理人)
 ふむ、そうですか。いまだに掴めぬというか、ますます意味不明になってきたなぁ、女性が自ら賞味期限という言葉を冠するいわれというものが(苦笑)。受胎って賞味するもんですかね(笑)。賞味と来りゃあ、やっぱ…(笑)。

(TAOさん)
 そっちのほうなら、死ぬまでなんでは(笑)。

ヤマ(管理人)
 女性のほうが「有効期限」が長いように言われたりしますね、むしろ(笑)。

(TAOさん)
 渡辺淳一大先生がたしか老人ホームを舞台にした性愛小説を書いてましたよね。タイトルは「エ・アロール」だったかな。

ヤマ(管理人)
 新聞連載されてましたよね。読んでませんが、僕。「ア!エロ〜る」のほうが彼には似合ってると思うんですけどね(笑)。

(TAOさん)
 それにしても…、そうか〜 ヤマさん、クリスマス説をご存じなかったんですねー。

ヤマ(管理人)
 どうにもトンチンカンな受け答えで失礼しました(苦笑)。

(TAOさん)
 そうとは知らず不親切な書き方をしました。ふた昔ばかし前、まだ腰掛け就職とか家事手伝いなんて言葉が生きていた頃、女性の適齢期は23歳あたりと言われ、25を過ぎたら商品価値なしってことでクリスマスケーキに喩えられたんです。それがバブル期あたりには大晦日まで伸び、30代独身も都市部ではそれほど珍しくなくなったという背景があるんですよ。

ヤマ(管理人)
 今じゃ田舎でもごろごろ(笑)。っていうか、女性に限った話じゃないですよね、シングルの増加って。

(TAOさん)
 社会状況的には30代独身未出産になんの問題もなくなったわけなんです

ヤマ(管理人)
 ですね。

(TAOさん)
 けど、いかんせん、生体的な面では人間はまだ変化してないので、産むべき時期に産まないと、婦人科系疾患やホルモン分泌の失調による不定愁訴などが起こったりする、と産婦人科医も東洋医学関係の先生もおっしゃる。そんな話を聞くと、30代後半未出産女性の憂鬱にますます追い打ちがかけられる、という事情があるんですよ。

ヤマ(管理人)
 バブル期以前は、それが25だったってことでもないでしょうが、言葉って人口に膾炙されるにつれ、多義的になってきますからね。まさしくTAOさんがおっしゃってたように「元々は」ってことであって「商品価値」の観点が「賞味期限」という言葉に置き換わった時点で元々の意よりも現在煽られている恐怖や不安のほうにウェイトがシフトされてきたんでしょうね。

(ミノさん)
 賞味期限って、本来の言葉の意味から言うと「おいしく頂ける期間」ですよね。

ヤマ(管理人)
 でしょう?(笑)

(ミノさん)
 ここでの女の40歳あたり云々のことって、その意味から言うと「賞味期限」というよりは「有効期限」的意味合いですよね。生殖能力期限ギリギリ(笑)みたいな。「女性クリスマスケーキ説」ってのをヤマさんがご存じないのは何だか私は好感もってしまいましたけど(笑)。

ヤマ(管理人)
 おっと、こりゃ、棚からぼた餅だ(ほくほく)。それだけ流布してるのなら、おそらく聞いたことはあったんでしょうけど、あまりに自分の感覚と乖離があって歯牙にも掛けてなかったんでしょうね、きっと(笑)。
 「女性クリスマスケーキ説」ってのは、25を過ぎると価値がなくなるってことだったんですね〜(苦笑)。商品価値がなくなる、というのと賞味期限というのでは、かなりニュアンスが違うと思うのに、混用されてるせいかピンと来なかったようです(苦笑)。だって、たとえ商品価値のなくなった26日のケーキでも食べて具合の悪いことが起こるわけでもないように思います、ね(笑)。それにしても、暦に喩えると31より先はハナから存在してないんですね(呆)。

(ミノさん)
 男性は極端に言うと、一生その子孫を残すという生殖能力が有効ですけど、女性は一定の期間しかないので、その有効期限が切れるとされる30代後半ぐらいから、イロイロと思うわけですわ(笑)。

ヤマ(管理人)
 これについては、さもあらんという感じですね。でも、この有効期限を25に設定なんて、何ソレって感じで、ますますピンと来なかったんですが、商品としての価値期限と機能としての有効期限をごちゃまぜにした用い方をしているのが混乱の元のような気もしますね(笑)。
 しかし、男が一生、生殖能力が有効であれば、バイアグラがあれほどもてはやされなかったんではないかと思ったりもしますが(苦笑)。『恋愛適齢期』でのバリーも愛用者でしたよ(笑)。

(ミノさん)
 でもまあ、今観賞用としての賞味期限も、生殖能力の有効期限も、かなり延命されましたからね〜。クリスマスケーキだの大晦日だの、嘘みたいですよね〜。

ヤマ(管理人)
 賞味期限って「観賞」にも使うの?(笑)
 ま、いずれにしてもボウリング・フォー・コロンバインじゃありませんが、恐怖や不安を刷り込んで、美容用品の購買欲の促進やら寿退社の促しやら何らかの煽りを受け入れやすくするための女心の「隙作り」に一役も二役もかっていた言葉だったようですね(苦笑)。あまりに実態に即さないと、巧妙にも期限延長をなし崩しに重ねつつ言葉自体の効用としてある恐怖や不安の強迫効果は維持して生き残ってるんだなー(笑)。

(TAOさん)
 そこを自虐的に、あえて“負け犬”と言い切って徹底的に笑いのめし、だってしかたないもんねーと開き直るという方法を提示することで、ちょっと肩の荷を軽くしてあげてるところがあると思います。

ヤマ(管理人)
 実際に効用があるというのは立派なもんですよね。能書きだけじゃ役立たないですから(苦笑)。

(TAOさん)
 少なくとも、一昔前に元専業主婦が書いて物議を醸した「くたばれ専業主婦!」なんて本よりは数段趣味がいいし、

ヤマ(管理人)
 デキる側から、見下ろし、挑発した本だったんですかね。なんか、あったような気もするなー。特定配偶者扶養控除とか第3号被保険者とかへのバッシングを煽る風潮やメディア論調にも一役買ってたんじゃなかったっけ。

(TAOさん)
 勝ち負けだの賞味期限だのにこだわらないですむように、徹底的にこだわってみる、という逆療法なんじゃないかと思うんですけどね。

ヤマ(管理人)
 なるほど。こういうことってありますよね。正体を見届ければ、枯れススキだったってやつですね(笑)。


-------世代を超えて女性たちに根深く浸透している“負け犬”強迫-------

(サンさん)
 おひさです。盛り上がって(?)ますね「負け犬」論争^^

ヤマ(管理人)
 ようこそ、新婚さん、いらっしゃ〜い。サンさんは、大晦日前にご結婚され、受胎も済まされたようですから、ここに言う「負け犬」要素は既にクリアされたんですよね(笑)。

(サンさん)
 私が会社に勤めていた時の先輩(29歳独身女性)は、先日上司(35歳独身女性)から、無言でこの本を渡されたそうです。「どう思うぅぅ〜!?」と唸ってましたが…。

ヤマ(管理人)
 うおぉ〜、女性たちへのこの強迫感って本当に根深いというか凄いものがあるんですね、「無言で」ですか(笑)。

(サンさん)
 私の周りは、この先輩&上司のように、所謂「負け犬」ばかりなのですが、全く負け犬には見えないところが凄い。実は「勝ち犬」なんじゃないかと私は思います…。

ヤマ(管理人)
 勝ちでも負けでも、人間を犬に喩えての分断ってのは、かなりの悪趣味ですから、自身にそれを諧謔的に向けられる余裕があるってのは、既に「負けてはない」んでしょうね。

(グロリアさん)
 ヤマさん、クリスマスケーキ及び大晦日説、ご存知なかったんですか。ミノさんも書いてらっしゃるように好感度アップかも(笑)。

ヤマ(管理人)
 まさしく棚からケーキでした(ゴチ(笑))。皆さんのおかげで僅か一日にして氷解しちゃいましたし、棚からぼた餅もいただきましたし(笑)、儲けものでした(礼)。上にも書きましたが、商品価値から「賞味期限」への飛躍が混乱の元だったみたいです、僕にとっては(苦笑)。何にしても、新たに知る・分かるというのは、よいものです。

(グロリアさん)
 TAOさんの的確でわかりやすいご説明をさらに補足すると、「思い出づくり」ってドラマでは主役3人の女性(田中裕子、古手川祐子、森昌子)が作品中では24歳。いまの「負け犬」的なことで悩んだり迷ったりするんですよ。たった24歳!今思えば隔世の感ありますよね・・・

ヤマ(管理人)
 うっ、やっぱり知らない、「思い出づくり」ってドラマ(笑)。それにしても、主役3人の女性(田中裕子、古手川祐子、森昌子)同い年なんですか〜(驚)。

(グロリアさん)
 それがバブル後の「29歳のクリスマス」(山口智子、松下由樹、水野真紀)では主人公たちの抱える悩みが30歳目前にスライドされてました。「思い出・・・」はリアルタイムで登場人物が自分より年上だったのでちょっと他人事っぽく観てましたが、「29歳・・・」にはどっぷり共感してハマりました(笑)。

ヤマ(管理人)
 ふーむ、そうでしたか。「29歳のクリスマス」これまた、知らないんですが(苦笑)。でも、山口智子、松下由樹、水野真紀なら、なんとなく同い年っぽいな。
 んで、どっぷり共感してハマったあと間もなくご結婚って進んだというわけでもないですよね(笑)。たまたまの一致ってことなんでしょうね。でも、なんか面白いもんですね。女性から教えてもらわないと、こういうことに思いを馳せたりはしないもんですし(笑)。

(グロリアさん)
 今後、どうなっていくんでしょうねぇ・・・

ヤマ(管理人)
 『恋愛適齢期』とか『エ・アロール』って来てますから、不安と焦りの強迫は通じなくなってくるかもしれませんね。

(サンさん)
 グロリアさんが書いていらっしゃる「29歳のクリスマス」。私も大好きです。かなり再放送もされてましたよ、一時期。仲村トオルにあれで惚れました。

ヤマ(管理人)
 『あぶ刑事』と『ビーバップ』しか思いつかない(とほ)。



参照テクスト:酒井順子 著 『負け犬の遠吠え』読書感想文
参照テクスト:酒井順子 著 『儒教と負け犬』読書感想文
by ヤマ(編集採録)



ご意見ご感想お待ちしています。 ― ヤマ ―