樹々がなくては、地上の生活は成り立ちません。恐らくそれゆえ、世界の多くの民族が、生命の象徴として樹のイメージを選んだのです。この樹の枝のひとつに、今から百年ほど前、新たな果実がみのった。その名を「映写機」といい、人類に映画という言語をもたらしました。映画は、まったく独自な仕方で現実を反映することができる、つまり、事物の映像と動きを捉えるばかりか、その持続−時間−をも捉え得るのです。このすばらしい言語が、今日、消滅の危機に頻しています。もしそんな事態が起きたら、生命の樹は、その最もか弱い果実のひとつ、しかしまた、その最もおいしい果実のひとつを失うことになるのです。みんなで力を合わせて、この実を保護しなくてはなりません。-Victor Erice 1993/2/12- |HOME|銀盤生活な掲示板|Cinema-BBs|LINKS|
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