IIRフィルタ

双一次変換

連続信号 x(t) の積分 y(t) の離散時間における値 y[n]

y n = 0 Δ t x t d t

台形近似して*1

y n - y n - 1 Δ t 2 x n + x n - 1

z変換の演算子を使って表すと

Y z X z = Δ t 2 1 + z - 1 1 - z - 1

y t = x t d t

をラプラス変換すると

y s = 1 s x s

1 s = y s x s Y z X z = Δ t 2 1 + z - 1 1 - z - 1

サンプリング周期をΔt = T として

s 2 1 - z - 1 T 1 + z - 1

によりアナログフィルタの伝達関数から設計できます。

この双一次変換には

  1. アナログフィルタから係数を算出できるのでディジタルフィルタに詳しくなくても設計できる。
  2. アナログドメインの安定領域(s平面の左半分)がそのままデジタルドメインの安定領域(z平面の単位円内)に変換されるので、安定性が保証されたアナログフィルタから設計された IIRフィルタは同様に安定性が保証される。

などのメリットがあります。

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プリワーピング

双一次変換の変換式

s = 2 1 - z - 1 T 1 + z - 1

において z = e jωT とすると

s = 2 1 - e - j ω T T 1 + e - j ω T = j 2 × e j ω T 2 - e - j ω T 2 j 2 T × e j ω T 2 + e - j ω T 2 2 = j 2 sin ω T 2 T cos ω T 2 = j 2 tan ω T 2 T

z = e j ω T は z平面上の単位円であり、s平面上の虚数軸に対応するので s = j ω (Ω:アナログ角周波数 )

として、下記の Ω:アナログ角周波数と ω:ディジタル角周波数の変換式が得られます。

Ω = 2 tan ω T 2 T

一次の LPF および HPF について

Ω C = 2 tan ω C T 2 T

とするとことで、カット・オフ周波数(レスポンス -3 dBポイント)を一致させることは可能です。 これをプリワーピングといいますが、ω との関係は非線形ですから、プリワーピングにより補正が可能なのはある一点の周波数に限られます。

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一次LPF周波数歪の作図

プリワーピングを施した fs = 48 kHz, fc = 10 kHz1次LPF の周波数特性の作図を示します。

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