「ちょうかい」がミサイル迎撃に失敗
それでもSM3を搭載して帰国へ


「ちょうかい」から発射されるSM3(ミサイル防衛庁ホームページ)

 11月20日、「ミサイル防衛」用に改造された「イージス艦ちょうかい」の迎撃テストが行なわれ、標的ミサイルの迎撃に失敗しました。

 米ミサイル防衛庁がJFTM−2として位置づけたテストでは午前11時21分(日本時間)にハワイ・カウアイ島のミサイル評価施設から標的ミサイルが発射され、「ちょうかい」のイージスシステムがこれを探知・追跡し、3分後に1発のSM3ブロック1Aを発射しました。しかし約2分後、命中する数秒前に標的を見失って失敗におわりました。原因は今のところ不明といいます。

 「ちょうかい」は昨年の「こんごう」と同様、ハワイで2回、標的ミサイルの追尾・迎撃シミュレーションを行なってきました。11月1日は米第3艦隊がミサイル防衛庁の開発計画とは別に迎撃テストを行ない、2つの標的ミサイルを2隻のイージス艦がそれぞれ迎撃を試みました。うち、1発はSM3のセンサーが原因で迎撃に失敗しています。「ちょうかい」は2隻の米イージス艦からも情報を得て、迎撃シミュレーションを行なったのです。

 報道では「今回の訓練は前回と違い、標的の発射時間を事前にイージス艦に知らせず、実戦に近い形で実施した」(共同通信)としています。前回の「こんごう」の迎撃テストは標的の発射時刻が伝えられていたことになります。実戦では使い物にならないことが示唆されるにもかかわらず、再テストをする(莫大な費用がかかる!)ことなく、「システムは機能した」として「ちょうかい」は複数のSM3を新たに搭載して帰国し、「実戦配備」となります。

 「ちょうかい」の改造費用はSM3の取得費用込みで246億8697万円、今回のテスト費用は61億5936万円です。

(2008年11月20日)

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