疑問だらけの米原潜放射能漏れ最終報告
佐世保市長も「容認するかは言い難い」
際立つ、米軍に追随する外務省
8月29日、外務省は「原子力潜水艦ヒューストンの放射能漏れに関する米海軍の最終報告」なるものを公表しました。在京米大ズムワルト首席公使から外務省の北米局長に対して通告があったものです。
通告は「現時点で日本側に提供できるすべてのものであり、更なる情報提供を行う予定はない」と断言しています。しかし、あまりにも簡略で中身がなく、原因解明にはほど遠いものです。それにもかかわらず外務省はこの最終報告に何ら疑問を呈することなく「米原子力艦の安全性が再確認された」と事実上の「安全宣言」を出しました。
米軍の報告概要は次のとおり
- (1)ヒューストンから微量の放射能が放出された可能性があるとされた原因は、閉じられたバルブの1つからの水の染み出しであった。
- ●原子炉からなぜ放射性物質が漏れたのか、どのようなルートで、どこのバルブから漏れたのか全く不明。
- (2)これは、米海軍の厳格な設計基準を上回る少量の染み出しであり、設備の状態に関する極めて詳細な記録を2004年まで遡って検証した結果、2006年6月から2008年7 月まで起こっていたとの結論に至ったものである。
- ●そう結論する根拠が全く記されていない。
- (3)染み出た水に含まれる放射能は、微量の酸化金属(コバルト)によるものであり、その濃度は、海水中に自然に存在する放射能の濃度と同程度である。このような微量の放射能は、人間の健康、海洋生物あるいは環境に対して悪影響は及ぼさない。日本への寄港の際に放出された可能性のある放射能の総量は、一回のX線胸部撮影から受ける放射能の量を下回る。
- ●漏えいした放射性核種を明らかにしていない。コバルト60?だけというはずはない。
- (4)米海軍は、ヒューストンが再出港する前に、バルブの厳格な性能基準が満たされることを確実にすべく措置を講じている。
- ●バルブだけの問題ではないはずだ。
- (5)米国政府は、原子力艦の安全に関する従来のコミットメントを厳格に遵守し続けることを再確認し、すべての原子力艦について具体的な措置及び厳格な基準によりこれを維持することを改めて確約する。
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