「こんごう」が標的ミサイルを迎撃


左:カウアイ島から発射される標的ミサイル 右:「こんごう」が発射するSM3
(写真は米ミサイル防衛庁のホームページ)

 12月18日午前7時過ぎ、「ミサイル防衛」対応型に改造された海自イージス護衛艦「こんごう」の初めて迎撃テスト(JFTM-1)が行われ、標的ミサイルの「迎撃」に成功しました。

 午前7時05分、ハワイ・カウアイ島の太平洋ミサイル評価施設から標的となる中距離弾道ミサイルが打ち上げられ、「こんごう」は発射と同時に弾道ミサイル防衛システム(BMDS3.6)を利用して、標的を確認、追跡しました。7時8分に発射モードに入り、迎撃ミサイル「SM3」(ブロック1A型)を発射しました。その約3分後、太平洋の高度100マイル(160km)の大気圏外で標的に命中、破壊しました。

 読売新聞は、標的ミサイルは北朝鮮が保有するノドンを想定した、「発射後にミサイルの推進部分と弾頭部分が分離する」ものだったと報じています。

 標的のデータがどの程度まで伝わっていたのか、抜き打ちだったのか否か、「迎撃」の程度は明らかとなっていません。

 いずれにせよ59億3312万円をかけたテストに「成功」したことで、「こんごう」は現地でSM3を搭載して帰国し、1月に佐世保基地に「実戦配備」され、日本はますます米先制攻撃戦略を補完する役割を背負わされて行くことになります。

 長崎港では現在、2隻目となる「ちょうかい」の「ミサイル防衛」対応改造工事が行なわれています。

米イージス艦による迎撃テストの結果
名称 日付 迎撃 メモ
FTM-2 2002.01.25 迎撃体の誘導・制御を制御して目標に接近させる目的だったが、迎撃に成功した。
FTM-3 2002.06.13 迎撃体を標的に命中させることが目的
FTM-4 2002.11.20 上昇段階にあるテスト標的を初めて迎撃
FTM-5 2003.06.18 × 姿勢制御システムの不良により失敗。
FTM-6 2003.12.11 迎撃は行われたが、姿勢制御システムは実戦とは異なる動作仕様
FTM-7 2005.02.24 標的は初めて「抜き打ち」で発射。SM-3ブロック1Aを初使用。コンピュータプログラムはBMD3.0(発射試験用)に
FTM-8 2005.11.17 初めて分離された弾頭が使用され迎撃した
FTM-10 2006.06.22 日本のイージス艦(きりしま)が初めて参加、標的を追跡した。巡洋艦シャイローはBMD3.6(実戦用システム)に。
FTM-11 2006.12.07 × 射撃管制の設定ミスで迎撃ミサイルを発射できず。
FTM-11b 2007.04.26 切り離さないままの標的弾頭を迎撃。同時に迎撃艦への攻撃にも対処。初めてSM-3ブロック1Aの改良型を使用。日本も参加。
FTM-12 2007.06.22 初めて駆逐艦(ディケーター)から迎撃ミサイルを発射。日本も参加
FTM-13 2007.11.07
相次いで打ち上げられた2発の標的ミサイルをレイク・エリーが迎撃。標的は弾頭の切り離されていないミサイル本体のまま。「こんごう」が標的を追跡し、迎撃ミサイルの発射シミュレーションを行なう。