タ行の花 解説   ※牧野新日本植物図鑑より引用

ア行 カ行 サ行 ナ行 ハ行 マ行 ヤ行 ラ行 ワ行

【タ の 花】


ダイコンソウ

ダイコンソウ ばら科
山野に生える多年生草本、全株粗毛散生
茎:60〜100cm、粗毛多い
葉:根出葉は羽状複葉、頂小葉が特に大形、卵状円形または心臓型、先端鈍形、基部は心臓形3裂、側小葉は小形、楕円形、楕円状円形、頂小葉は2〜3裂、小葉は両面に短毛、鈍形の歯牙状鋸歯、茎出葉は卵形、先端鋭形または鈍形、基部は心臓形またはくさび形、浅3裂、深3裂、托葉は葉状で粗い歯牙状鋸歯
花:初夏、小枝先に数個の黄花、花弁円形、水平に開く、雄蕊雌蕊多数
箱根(150816)


ダイモンジソウ

ダイモンジソウ ゆきのした科
山地あるいは高山の湿気のある岩の上などにはえる多年生草本.全体に毛のあるものとないものがある
葉:根生して長柄があり、腎臓形またはほぼ円形、基部は心臓形、掌状に深く裂け、縁に欠刻状の鋸歯がある.葉の裏面は常に白色を帯びるが、また黒っぽい紫色のもの、あるいは両面暗紫色のものもある
花:夏から秋にかけ10〜30cmの花茎を出し、まばらな円錐花序を出して白色の花を開く.がくは5個に深裂し、裂片は卵形.花弁5個、上の3個は小さく長楕円形で基部は細まり、下の2個は長く細い皮針形で垂れ下がり、先端は尖らず、全体として『大』の字に似ている.雄蕊10本、花柱2本
笠ヶ岳(190806)


タカネスミレ

タカネスミレ すみれ科
高山地帯の石ころの多い日当たりの強いところに孤立してはえる多年生草本、キバナノコマノツメに全体がそっくり
茎葉:厚く強壮で赤味があり、葉身はずっと大きく光沢があり、脈も著しく目立つ
花:一つの茎に1〜3個でキバナノコマノツメよりやや大きく、7〜8月に咲く
葉:無毛であることで区別
※自生地では石ころに埋まって全体が低く見えるが、茎を掘ると長い、高嶺スミレの意
唐松岳(190722)、鳳凰三山(180626)


タカネツメクサ

タカネツメクサ なでしこ科
高山帯にはえる多年草.叢生する
葉:線状針形で対生し、多くは湾曲し、葉質はやや厚い
花:真夏の頃、多くは茎の先に1花を上向きに開く.広い鐘形.がく片は線状長楕円形、先端は鈍形.花弁は5個で広倒披針形、先端は丸く不明瞭な凹入があり、長さはがくの約2倍.子房は卵状楕円形で、頂上に線形の花柱が3個ある
白馬岳(190721)


タカネトリカブト

タカネトリカブト きんぽうげ科
高山帯から亜高山帯の草原や林縁、時に山地帯の林縁や林内にはえる多年草.形態的変異が著しい
茎:草原にはえる時は直立、林縁や林内にはえる時は斜上し、ほとんど無毛で光沢がある
葉:中部の茎葉は腎円形、3深裂ないし3中裂し、裂片は羽裂して終裂片は線形から披針形となり、葉柄は1〜8p、無毛または屈毛がはえる
花:7〜10月、青紫色ないし菫色で光沢がある花を開く.外面は無毛.花序は茎が直立するときは散房状で、斜上するときは総状あるいは円錐状となる.花梗は全体が無毛.かぶとは円錐形または背の低い円錐形で先端は短く尖る.密弁はいちじるしくふくらみ、柄は11〜18mm、距は太くかつ短く屈曲する.雄蕊はふつう無毛であるが、ときに開出毛がまばらにはえる.雌蕊は3〜5個、無毛まれに斜上毛がまばらにはえる
火打山(200822)


タカネバラ

タカネバラ ばら科
高山の陽当たりが良いところにはえる落葉低木.小枝は水平に開出し、細長くて紅褐色をおび、細いとげがはえる
葉:奇数羽状複葉、小葉は4〜7対、楕円形、両端とも円形のものが多い.葉質はうすく、無毛、ふちにはとげ状にとがった鋸歯がある.裏面の主脈には葉柄や葉軸とともにとげがある.托葉は長楕円形で葉柄に合着し、ふちには腺毛がある
花:7月頃、枝の末端に大きな花を1個つける.花は径4p内外で淡紅色で美しい.がく片は細く、上部はしばしば葉状となり、内面には短い乳頭状の毛がある.花弁は広い倒卵形、ほとんど水平に開出する.黄色の多数の雄蕊がある
爺ヶ岳(200717)


タカネヤハズハハコ(タカネウスユキソウ)

タカネヤハズハハコ きく科
高山で適当に湿った草地にはえる多年草.雌雄異株で全体が白い毛を密に被る
茎:茎が多数立つ.高さ10〜20cm、分枝せず、4〜5葉が互生する
葉:皮針形またはへら状倒皮針形、全縁、基部は次第に細くなって茎を囲み、やや直立して柔軟
花:8月頃、茎頂に散房状につく小頭花は密集しているが包状葉はなく、真のウスユキソウ属とは容易に区別できる.総包片は乾皮質、白色または淡紅色、時に濃いバラ色などがあり、多数重なって白い茎葉とともに愛らしい.小花はすべて筒状花冠であり、ほとんど総苞と同長である
笠ヶ岳(190806)


タチツボスミレ

タチツボスミレ すみれ科
普通に見られる有茎性の多年草
茎:長柄のある根葉とともに束生、互生する短柄の茎葉をつける
葉:托葉は広皮針形、くしの歯状に深分裂、葉身は卵円形、三角状卵形、基部は心臓形、先はわずかに尖る.へりには多数の鈍い鋸歯、山地に生えるものは葉が紫色を帯びることがある
花:春、茎下部から長柄、先に左右相称の淡紫色花側向、花弁やや狭、側弁と唇弁には紫の条、唇弁の距5〜7mm、夏、茎上部の葉腋から閉鎖花を多数、さく果を結ぶ
伊豆山稜線(170422) 入笠山(170610)


タツナミソウ

タツナミソウ しそ科
林の縁や野原に生える多年草、高さ20〜40cm
茎:根茎は細く短く這う、茎は直立、白色の長い毛が密生
葉:対生、5〜20mmの柄、丸い心臓形、両面に密に軟毛、先は鈍形、基部は心臓形、縁に鋸歯
花:5〜6月、茎先端に一方向きの紫色唇形花を穂状2列、花冠は基部が曲がって直立、18〜22mm、筒部長い、下唇は幅広く前方に突き出す、雄蕊4本、内2本は長い
真鶴(170409)


タツナミソウ

タツナミソウ しそ科
林の縁や野原に生える多年草、高さ20〜40cm
茎:根茎は細く短く這う、茎は直立、白色の長い毛が密生
葉:対生、5〜20mmの柄、丸い心臓形、両面に密に軟毛、先は鈍形、基部は心臓形、縁に鋸歯
花:5〜6月、茎先端に一方向きの唇弁型多数の紫花、穂状2列、花冠は基部が曲がって直立、18〜22mm、筒部長い、下唇は幅広く前方に突き出し紫色の斑点、雄蕊4本、内2本は長い
真鶴(170409)


タテヤマウツボグサ

タテヤマウツボグサ しそ科
高山にはえる多年草.茎は四角で根際からむらがえりはえ、直立して25〜50cm
葉:対生し、無柄または短い柄があり、長卵形あるいは長楕円状卵形で3〜8cm.質厚く先端は尖り基部は円形または急に細まり柄となる.縁に粗い鋸歯があり、表面は主脈が凹んでいる
花:7〜8月頃、茎の頂に長さ1〜5cm、幅2,5cm位の花穂を出し、濃紫色の美しい花を密生してつける.包葉はゆがんだ心臓形で縁に長い毛があり、包葉の脇に花をつける.がくは7〜10mm、乾いた皮質で上唇には3個の鋸歯があり、下唇はするどく3裂し紫色を帯びるものが多い.花冠は25〜32mm、上唇は直立し兜形、下唇は平らに開き3裂し、中央裂片のみ大きく先が凹む.雄蕊2本は他より長く、花柱の先は2裂
八方尾根(190724)


タニギキョウ

タニギキョウ ききょう科
山地の木陰にはえる小形の多年草.地下茎は白色糸状で細長く分枝し、その先に高さ10cm内外の軟弱無毛の地下茎が立ち上がる
葉:比較的上方にまばらに着き、互生し、5〜15mmの柄があり、葉身は卵円形で先は鈍く、上面に柔かい短毛を散生、縁には少数の鋸歯がある
花:5〜8月頃上部の葉腋に糸状の花柄を出し、5深裂する小形の白色鐘形花をつける.花冠は長さ5〜8mm、子房は下位で上端に5個の狭三角状がく裂片が着く.花中には5個の雄蕊、葯は線形、雌蕊は柱頭が3裂する
富士山麓(190702)


タマガワホトトギス

タマガワホトトギス ゆり科
深山や谷筋の湿ったところにはえる多年生草本で30〜50cm位あり、花柄の他は全株に全く毛がない
茎:斜めに出て多少曲り、緑色
葉:互生して広い楕円形、6cm内外で先は急に鋭尖形をし、基部は深い心臓形をして強く茎を抱き、表面は鮮緑色で非常に平坦
花:7月に茎に散房花序を頂生して数花を開く.花径は25mm、花被は正開しない.色は鮮やかな黄色で内面に紫褐色の細かい点をつけている.内外の花被片は6個で皮針形、外花被片の下のほうは袋状となる.雄蕊6個で花糸は寄り添って立ち、上のほうは反り返って末端に葯をつけている.子房は細長く、花柱の上部は3つに分れ、分枝は更に2裂し、粒状の毛が多く、紫の斑点がある
焼岳(190807)


タムラソウ(タマボウキ)

タムラソウ きく科
山地の草原などに生える多年草
茎:高さ30〜150pになり、多数の縦線がある
葉:互生、下葉は長柄で直立し、葉身は卵状長楕円形で羽状に深〜全裂し、裂片4〜7対で長楕円形、へりに荒い鋸歯があり、両面に細かい白毛があり上面は緑色、下面は淡緑でやや薄い.上葉ほど短柄または無柄で小形になる.葉にとげはない
花:8〜10月ころ、長い枝の頂きに大きい紅紫色の頭花をつけ、一見アザミ類のようである.そう果は無毛で花床に斜めに着き、冠毛は羽毛状にならず、花柱の分枝は互いに離れて反曲するなど明らかに異なっている.花床にうろこ状の刺がある
箱根(170924)


ダンコウバイ(ウコンバナ、シロジシャ)

ダンコウバイ くすのき科
山地に生える落葉低木で、高さは3m内外.枝はやや太くまばら
葉:有柄で互生、広楕円形あるいは円状卵形で葉質はやや厚い.普通浅く3裂し、各裂片は先端が鈍形で全縁.枝のもとの葉はしばしば裂けずに卵形をしていることもある.裏面には淡褐色の長い毛があり、樹によって多いものと少ないものがある
花:早春、2〜3月頃、葉より早く、あるいは殆ど同時に、軟毛のある鱗片状の総包片の中から黄色の小花が散形状花序をなして密に開き、花柄には絹毛がある.雌雄異株.花被は6深裂し、各裂片は長さ2.5mmくらい.雄蕊9個、雌蕊1個
丹沢(220321)


【チ の 花】


チゴユリ

チゴユリ ゆり科
丘陵地林中に生える多年生草本
茎:単一、まれに分枝、節で多少曲がり、下部は膜質の鞘状葉で包まれる
葉:互生、卵状長楕円形、先端尖り基部は丸く短柄、質薄い
花:4〜5月、茎先に1〜2の花、白色同形の花被片6ほぼ正開、皮針形、先端は鋭劣形、基部は丸い、雄蕊6本は花被の基部につく、果実は黒色
入笠山(170610)


チシマアザミ

チシマアザミ きく科
海岸から高山にかけて、林内、林縁、草原などのさまざまな環境にはえる多年草.日本のアザミの中では最も形態的変異にとむ
茎:分枝するかまたは単純
葉:普通葉の基部が流れてひれ状になるが、ときにヒレが無く、多少とも有毛.茎葉は長楕円形ないし広卵形、全縁ないし鋸歯縁、あるいは羽状に浅裂から深裂して裂片は4〜10対、基部は抱茎し、下面にくも毛があるか無毛
花:頭花は7〜9月に開き、紅紫色、総状または散房状につくか、あるいは単生し、下向き、総苞は球状鐘形ないし椀形、苞片は6列、開出または反曲し、短毛とくも毛があり、粘着しない
火打山(200822)


チシマギキョウ

チシマギキョウ ききょう科
岩れき性の高山帯を好む多年草
茎:根茎は肥厚し、細長く横に這い、地上に出た部分にロゼット
葉:根葉は10個内外、倒皮針形またはへら形、低く鈍い鋸歯、先端鈍く、基部は葉身と同長の葉柄、質やや厚く光沢
花:7〜8月、5〜10cmの花茎、少数の皮針形または倒皮針形の茎葉、先端に1花、花はややうつむき、花冠は大形、広漏斗状鐘形、外側紫色、内面は淡紫色で白長毛、先は5裂、裂片尖
涸沢(170817)


チダケサシ

チダケサシ ゆきのした科
湿った山野に生える多年生草本、50cm内外
葉:2、3回羽状複葉、小葉は卵形あるいは倒卵形、鈍頭または鋭頭、ふちに不整の鋭きょ歯、長さ1〜4cm、両面に毛が散在する.茎下部と小葉付着点にも長い毛がある
花:7〜8月頃、上部に細長い円錐花序を出し、薄紅色の小花が集まってつき、花序には短腺毛が密生する.各花の小花柄は大変短い.がくは5裂、裂片は卵形、花弁5個、へら状線形、がくの3〜4倍の長さ.雄蕊10、花柱2
箱根(170730)


チングルマ 花と果

チングルマ チングルマ ばら科
高山帯の日当たりの良いところに生える小形低木で10cmくらい
茎:横に這い先端部が直立して葉を束生
葉:奇数羽状複葉、小葉は4〜5対、倒卵状皮針形、先端鋭形、基部くさび形、不揃いの切れ込み状鋸歯、深緑色で光沢がある
花:夏、茎頂から10cmの花茎を出し、先端に白色5花弁をつけ、倒卵状円形で水平に開く、雄蕊雌蕊多数
北穂高岳(170816)

果:多数のそう果は花柱が伸びて尾状、羽状毛、帯紅紫色
涸沢(170816)


【ツ の 花】


ツクシハギ

ツクシハギ まめ科
日本固有、日当たりの良い林縁、道端、やや日陰のところにも生える落葉低木で高さ1,5〜2,5m
茎:直立し0,5〜1m、径1〜3cm、上方で良く分枝.枝の基部近くに冬芽をつくり、先のほうは冬季に枯れる
葉:3小葉、時に赤味を帯びる.托葉は褐色、線状三角形、2〜7mmで残存.頂小葉は楕円形から卵形、先鈍形または微凹形、基部円形で2〜6cm、幅1,5〜3,5cm、表面ほぼ無毛、裏面は伏した短毛
花:8〜10月に葉腋から総状花序.長さ9〜15cm、1節に2個ずつ花がつく.長さ9〜14mm.がくは筒状3,6〜4,4mm.がく裂片はほぼ同形、広楕円形から楕円形、先は鈍形または鋭形.淡紅紫色、基部付近に顕著な耳状突起、開花時に基部付近より反り返る.翼弁は最も短く濃紅紫色、竜骨弁は旗弁より白味を帯びた淡紅紫色
箱根(170924)


ツクバネウツギ(コツクバネ)

ツクバネウツギ すいかずら科
山地に多い落葉低木、小枝が多い、1〜2m、若枝は赤褐色で平滑光沢、老成すると表皮は不規則に割れ目、帯灰色
葉:対生、短柄、卵形または卵状楕円形、2〜5cm、上半にまばらな波状鋸歯、先端鋭尖、裏面淡色、主脈の下半に白いひげ毛を密生
花:5月頃、3〜5個の集散花序、黄白色、萼片は狭長楕円形5個、花冠は筒状鐘形、2,5cm内外、筒部の下方は細く、中辺から腹面だけが膨らみ、先端5浅裂で左右相称、裂片の先は丸い、下側内面に黄紋、雄蕊4本花中、花柱1本雄蕊より高い
愛鷹山位牌岳(180602)


ツクバネソウ

ツクバネソウ ゆり科
やや深い山林内に生える多年生草本
茎:先端から緑色円柱形の茎1本出して直立、高さ13〜40cm
葉:茎上端に4(5)個輪生、無葉柄、広楕円形または長楕円形、先端尖、3主脈
花:5〜6月、葉心に直立した柄1本、先に淡黄緑色花を上向きに1個、外花被片4個1〜2cm、皮針形、内花被片無し、雄蕊8個、花糸は長く線形で長葯.子房は球形で雄蕊より長い線形の4花柱がある
明神ヶ岳(190519)


ツタバウンラン

ツタバウンラン ごまのはぐさ科
真鶴(190406)


ツチアケビ(ヤマノカミノシャクジョウ)

ツチアケビ花 ツチアケビ らん科
深山の木陰、多年生無葉蘭で黄褐色
花:6月頃枝先に総状花序を出し多数の花をつけ、全体に大きな円錐状花穂となる.花は半開で淡黄色、先端に淡紅色のぼかしを帯び、短柄があって長い下位子房に連なり長柄があるように見える.花被片は長楕円形または狭皮針形で上片すなわち後片は卵状を帯びている.唇弁は円形でふちは細裂し黄色.心柱は長く立ち少し前に曲る
箱根(220630)
果実:肉質で赤色のバナナ型
箱根(180805)


ツマトリソウ

ツマトリソウ さくらそう科
高山や原野に生える小形多年草
茎:直立10cm、分枝しない
葉:互生、広皮針形で尖、質薄く短柄、上部は輪生状
花:夏、茎上部の葉脇から花柄、白色1花、萼7裂、皮針形尖、花冠深7裂、裂片長楕円形尖、先端縁に微紅色の褄どり、雄蕊7本、雌蕊1本
入笠山(170610)


ツリガネニンジン(ツリガネソウ、トトキ)

ツリガネニンジン ききょう科
変化の多い植物、山野の多年草
茎:丸く全体に毛
葉:茎葉は多くは輪生、時に対生または互生、先は尖り鋸歯、長楕円形、卵形または線状皮針形、単鋸歯または重鋸歯など異変が多い
花:秋、枝先に小花序が輪生する円錐花序、花冠は青紫色鐘形、5裂し先はやや広がり下垂、花中に5個の雄蕊、花柱は1本で花冠の外側に突き出る
三ツ峠(170903)


ツリバナの実

ツリバナの実 にしきぎ科
山地にはえる落葉ておぼくまたは小高木で枝は緑紫色
葉:有柄で対生、卵形または倒卵状楕円形で鋭く尖り基部はくさび形、周辺に細かい鋸歯、5〜8cm、幅3〜4cm、無毛
花:6月頃長柄腋生のまばらな集散花序、細長い枝を分枝、緑に白っぽいまたは紫がかった花を吊り下げる.がくは細かく5片、辺が歯状.花弁5個、卵円形、平開.雄蕊5本で小さい、花盤に立つ.中心に1本の雌蕊

さく果:長柄で垂れ下がる.平たい球形で乾かすと鈍い5稜.熟すと5枚のからに裂け、内面が暗赤色、朱赤色の仮種皮を持った種子を露出
さく果:下の廊下(181011)


ツリフネソウ(ムラサキツリフネ)

ツリフネソウ つりふねそう科
山麓や水辺に生える柔らかな一年草
茎:直立して分枝、多汁質で無毛、紅紫色、節膨む
葉:有柄互生、広皮針形で尖、鋸歯、基部くさび形
花:茎先に出た3〜4本の花柄に紅紫色の腺毛、柄上部は小形の包のある総状花序、数個の紅紫色の花が下がる、花の下に萼片、左右の2つは大きく、距は膨れて後方に長く突出、紫の斑点、尖った先端が巻く、雄蕊5本の葯は連合、雌蕊1本
芦ノ湖遊歩道(160910)、涸沢(170818)


ツルアリドオシ

ツルアリドオシ あかね科
山地の林下によくみられる常緑の多年生草本で、茎は地上をはい、節々から根をおろして長くのびる
葉:対生し、柄があり、葉身は卵形または卵円形でいくぶん波状縁となり、深緑色で質はやや厚くしなやかである.小形の葉間托葉がある
花:初夏に白色花冠の筒に薄く赤味をおびることもある花を枝の先端に2個並んでつける.花冠は長さ15mmで下部は筒状、上部は4裂して内面に毛があり、花筒の下にある子房は2個が合着している.雄蕊は4本、花柱は1本で細く、先端は4裂.花に2形あって、花柱が短く雄蕊が高いものと、花柱が長く雄蕊が低いものがあり、株を別にしている
荒島岳(200705)


ツルカノコソウ(ヤマカノコソウ)

ツルカノコソウ おみなえし科
山地に分布し、湿った木陰などを好む多年草.全体の質が柔軟.基部から細長いつる枝を出して繁殖する
葉:対生、根葉はつる枝の葉と同じく広卵形かまたは1対の小葉を基部に伴う.茎葉は羽状に分裂あるいは少数対の小葉からなり、長片は大きく、縁に毛がある
花:初夏に茎の先に散房状の集散花序が集まり、白色でわずかに紅色をおびる小花を開く.花冠は5裂し、下部は筒になる.雄蕊3個、花柱1本があり、下位子房は細小.萼は花後果実上で白色冠毛状になり、風が吹けば果実を散布する役に立つ
矢倉岳(210507)


ツルキジムシロ

ツルキジムシロ ばら科
山地にはえる多年草.短い根茎があり、そこから細長いほふく枝を出して増える
根性葉:長い柄、奇数羽状複葉、頂小葉と3または4対の側小葉からなる.葉柄には開出毛があり、赤味を帯びる.頂小葉は倒広卵形または円形で、先鈍形、基部くさび形、長さ1〜2.5cm、幅0.7〜1.5cm、基部を除き縁に鋭鋸歯
茎葉:3小葉で根性葉より小さい.托葉は小さく葉柄に合着
花:4〜7月、茎の先端に数個の黄花.径1.5〜2cm.萼片は狭卵形、先鋭、長さ6〜8cm、副がくは皮針形または線形で萼片と同長.花弁は広倒卵形.花柱は7〜10mm、幅6〜8mm.雄蕊多数、葯は楕円形
松田山(190331)


ツルキンバイ

ツルキンバイ ばら科
山中の半ば日の当たる所に生える多年生草本、根茎短、全草に伏毛を密生
葉:長柄、根元から束生、3出葉、小葉は無柄卵形、先端鈍形、基部くさび形、やや粗大な鋭鋸歯、白色伏毛
花:花序は10〜15cm、2〜3分枝、短柄小形葉、鮮黄色、萼片5、三角状のみ形、副萼片5、狭皮針形、花弁5、広倒心臓形、先端凹、萼片より長く平開、雄蕊多数
※ミツバツチグリとの違い:根茎が短太、硬くない.全株に目立たない伏毛、葉下面に白色伏毛、花は濃黄色
檜洞丸(180505)


ツルシロカネソウ

ツルシロカネソウ きんぽうげ科
富士山の陰地に生える草質の軟らかな多年生草本
茎:繊細で緑色、12cm内外
葉:根葉は長柄、柄の基は小さい鞘、鳥足状5出葉、小葉は広卵形、欠刻状鈍鋸歯、上部に細枝を分枝、分岐点に茎葉を叢生
花:5〜6月、細枝の先に直立柄、先に上向き白花、萼片5個長楕円形、花弁5個退化2mm、多数の雄蕊と2個の心皮
三ツ峠(170709)


ツルニンジン

ツルニンジン ききょう科
林内に生える多年草、蔓、他に絡みつく
葉:対生状の互生、短柄、葉身は皮針形または長楕円形、質は薄く軟弱、無毛
花:夏から秋、測枝の末端に短花柄、短広な鐘状花を下向き、花冠は浅5裂、裂片は尖って反巻、外面白緑色、内面紫褐色斑
箱根(150906)


ツルボ(スルボ、サンダイガサ)

ツルボ ゆり科
原野に生える多年生草本
茎:鱗茎は卵球形、外皮は黒褐色、下部に短根茎
葉:春秋の二季、2個向かい合った葉は広針状の倒皮針形、紫緑色直立、内面樋型に凹む、先端鋭尖形
花:初秋、葉間に直立した茎1本、先に少し密な穂のような総状花序、淡紫色の花、花被6片は平開、倒皮針形背面は濃色、雄蕊6個雌蕊1本
箱根(160910)


ツルリンドウ

ツルリンドウ りんどう科
山地の木陰にはえる多年草.茎は細長く、地をはいまたは他物にまつわる
葉:対生し、長卵形ないし卵状皮針形で先は尖り、基部は微心臓形ないし円形、葉柄があり全縁、3主脈があり表面は深緑色、裏面は普通紫色をおびる
花:秋、葉腋に淡紫色の花をつける.がくは短筒状で5裂し、裂片は狭長で尖る.花冠は鐘状で5裂し、裂片の間に小さい副裂片がある.雄蕊は5本、雌蕊は1本


【テ の 花】


テイカカズラ

テイカカズラ きょうちくとう科 山野に多い常緑つる性の木 葉:柄があり対生し、普通は長楕円形.葉質は革質、全縁で先は鋭形鈍端、基部は鋭形で短い柄がある 花:初夏、葉腋または頂に白色で後黄色に変わる花を集散状に開き、花には香りがある.がくは緑色で深く5裂する.花冠の下部は細い筒となり、上部は5裂して平らに開き、裂片は回旋する.雄蕊は5本で雌蕊は1本、ともに花筒の中にある 箱根


テガタチドリ(チドリソウ)

テガタチドリ らん科
高山の草地に生える多年生草本、地下に手形の白色多肉根と線形のひげ根
茎:直立して5〜6葉
葉:広線形または広皮針形、淡緑色、下端は先端丸み、上葉は尖、基部は茎を抱き、下はさや形
花:7〜8月頃、茎先に穂のような総状花序、多数の淡赤紫色の花が密集、包葉は細長く尖、外花被の背面の1個は直立卵形、側方2片は長楕円形で開出、内花被片は低いゆがんだ菱形、外花被の背側の1個とともに兜型に集まる、唇弁は広倒卵形、3中裂、裂片の先は鈍頭、距は下垂し細長く湾曲
坪庭(160730)


テバコモミジガサ

テバコモミジガサ きく科
山地、谷川のほとりなどに生える多年草、地下につる枝
茎:細長で直立50cm、無毛、紫褐色
葉:有柄、まばらに互生、掌状に5〜7深裂、裂片の上半分に鋭鋸歯、下面網目の脈目立つ
花:盛夏、茎頂に円錐花序状、短小柄がある白色頭花、小花は1頭花に5〜6個、冠毛白色多数
※モミジガサに似るが、全体細やか、葉下面の脈が目立つ、蔓枝があることで区別
箱根(170730)


テンニンソウ

テンニンソウ しそ科
山地の木陰に群落をなして生える多年草
茎:四角で直立.上部はまばらに分枝するものもあり、無毛または上部に星状毛があり、質は硬く強い
葉:対生し有柄、長楕円形または広皮針形、両端は長く鋭く尖り、黄緑色で光沢なし.初め星状毛があるが後に落ちて滑らかになる
花:8〜9月頃、茎頂に花穂をだし、淡黄色の唇形花を密につける.若い穂は幅広い包葉がうろこ状に重なっているが、開花するにつれて落ちる.がくは短い筒型で先は5裂し、花冠は筒部長く、上唇は浅く2裂、下唇は3裂する.雄蕊4本と雌蕊1本は花冠より長く飛び出す
※葉裏の中脈上に粗い毛が立ったものをフジテンニンソウという
三ツ峠(170903)


【ト の 花】


トウゴクサバノオ

トウゴクサバノオ きんぽうげ科
各地の山中の湿ったところにはえる多年草で高さは10p内外、草全体は柔軟で無毛
葉:根元から生え、葉柄のもとには軟骨上の鞘があり、卵形で夏まで残っている.葉片は3出あるいは鳥足状5出、小葉は円卵形、ふちに鈍鋸歯がある.茎は1株から3〜4本出て、葉よりも高くなり、4稜があり、汚紅色をしており、上部に2個の包葉が対生し、柄は短くて3出する
花:4月頃茎の先に淡黄緑色の花を開き、細い花柄がある.がく片は5個で花弁状である.花弁は黄色の密槽状となり、がく片よりも短い.雄蕊は15個内外
丹沢(210328)


トウゴクミツバツツジ

トウゴクミツバツツジ つつじ科
山地に普通に見られる落葉低木、分枝多く、冬芽の鱗片は褐色毛でおおわれる
葉:枝先に3個輪生、菱形状広卵形で5〜8cm、葉先は短く鋭形、基部は幅広くさび形、全縁、新葉は黄褐色の長毛が密にはえている
花:5月、葉が開く前に多数の紫花を横向き、萼は皿状で鈍鋸歯を持ち、花柄とともに細毛がある.花冠の径3〜4cm、深5裂しほぼ平開、裂片は広い楕円形で先は鈍円形、筒部は短く上面に濃紫色の斑点がある.雄蕊10本で長さ不同、外側は先端が上に曲がる
※東国三葉ツツジで主として関東の山地に多い
檜洞丸(180505)


トウヤクリンドウ

トウヤクリンドウ りんどう科
高山にはえる多年草.茎葉円く細長くて立ち、8〜15cm
葉:根出葉は倒皮針形で長く、花茎の脇に多数集まって立ち、下の1対は下部がさや状の筒となり、他の葉を包んでいる.花茎の葉は対生し、広皮針形または皮針形で短く、全縁、基部は合着して短いさや状となる
花:夏、茎頂に鐘状の花を2〜3個つけ、花は淡黄色で緑色の細点を散布し、日光を受けて開く.がくは5裂し、裂片は筒より少し短い.花冠も5裂し、裂片の間に小さい副裂片がある.雄蕊5本、雌蕊1本でともに花筒の中にある
槍ケ岳登山道(190818)


トキソウ

トキソウ らん科
湿原にはえる多年生草本.茎は直立し高さ15〜20cmで中途に1葉ある
葉:無柄で長楕円形で扁平、黄緑色少し直立し、基部は茎に沿っている
花:5〜6月頃、先に紅紫色の花を1個開く.花下には子房より長い葉状の包葉がある.花は直立し径2cmくらい、外花被片3は長楕円状倒皮針形をして上半は外巻、内面は淡色.内花被片は外花被片と同じ長さで直立し、倒皮針形で鈍頭、外面中脈は濃色である.唇弁は3中裂し、側裂片は低くて内方へ倒れてずい柱を両面から抱き、中裂片は花被片の間から僅かに突出してみえ、内面には多数の白色突起がハケ状につき、また縁には櫛の歯状の刻みがある.ずい柱は生時花中にかくれている
日本名:朱鷺草はトキ(朱鷺)鳥の羽色のトキ色、淡桃色をした花の色に基づく
八方尾根(190724)


トキワハゼ

トキワハゼ ごまのはぐさ科
庭や道端にふつうにみられる一年草、小形
枝:匍匐しない
茎:根際の葉間から数本の茎を直立、6〜18cm
花:春から秋、茎先にまばらに総状花序、淡紅紫色の小花、花冠下部筒形深2裂唇形、上唇鈍頭浅2裂、下唇大きく先3裂、中央は2列に盛り上がって黄色
小野子山(160605)


トネアザミ(タイアザミ)

トネアザミ きく科
太平洋側地域の山地帯や低地の林縁にはえる多年草.良く分枝し、褐色の短軟毛とくもの糸状の白い毛が多少ともある
葉:根葉は花時に存在しない.茎葉は長楕円形状皮針形、ふつう羽状に浅裂ないし深裂し、基部は抱茎しない
花:頭花は8〜11月に開き紅紫色、総状につき下向き、柄は短い.総苞は広鐘形ないし鐘形、くも毛がある.苞片は著しくときに緩やかに反曲し粘着しない.外片は卵形で尾状鋭尖頭
箱根(210901)


トモエシオガマ

トモエシオガマ ごまのはぐさ科
涸沢(170817)


トモエソウ

トモエソウ おとぎりそう科
山野の日当たりの良い草地に生える無毛の多年生草本、60〜90cm
茎:直立して分枝、4稜、上部緑色、下部木質、淡褐色
葉:薄い、対生、無柄、茎を抱く、皮針形、先端尖、全縁
花:夏から秋、枝頂部に大きい黄花、1日花、緑色萼片5個で卵形、花弁5個でゆがんだ形、巴状にねじれ、多数の黄色い雄蕊は5つの束、中央の子房に1本の花柱、長端部5分し、その先端に柱頭
上高地(180718)


トリアシショウマ

トリアシショウマ ゆきのした科
山地に生える多年生草本.高さ60cm内外.
葉:2〜3回3出複葉、小葉は薄く卵形あるいは長卵形、先端は尾状に鋭く尖り、縁に重鋸歯があり、3〜10cmくらい
花:6〜7月頃、茎の上に円錐花序を出して白色小花を開く.花序には短毛が密生、下部の分枝は通常長く花柄は短い.がくは5裂、花弁5個へら状線形で萼より長い、雄蕊10本萼片より長い、花柱2個
※鳥脚升麻の意味で、丈夫でまっすぐな茎を鳥の脚にたとえ、草の形が升麻ににている
箱根(160703)


トリカブト

トリカブト きんぽうげ科
茎:直立、平滑円柱形、上方に微毛
葉:有柄互生、掌状深裂、裂片に大形鋸歯、先端尖、厚く緑色光沢
花:秋、枝先や葉腋に円錐花序、多数集まる、萼片5花弁状、無毛、花弁2個直立、上部の萼片の中、変形して密腺状、雄蕊多数
西丹沢(170910)


トンボソウ(コトンボソウ)

トンボソウ らん科
山林下に生える多年生草本
茎:単一直立15〜30cm
葉:中部以上に小形の針状葉が4〜5片互生、茎下部に2片互生、接近して対生に見える、倒皮針状長楕円形、先端尖、深緑色、軟らかく光沢なし
花:夏、茎先に総状花序、淡緑色小花、花下の針状包葉は細く尖る、花被片は小形、外花被の背片は卵円形で立ち、側片は線形で反り返り草質、内花被片と唇弁は肉質、唇弁は舌状、下部両側に各1個の歯状小突起、距は細く垂れる
箱根(150816)


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