ア行の花 解説   ※牧野新日本植物図鑑より引用

カ行 サ行 タ行 ナ行 ハ行 マ行 ヤ行 ラ行 ワ行

【ア の 花】


アオイスミレ

アオイスミレ すみれ科
山地や路傍の日なたや半日蔭に生える多年生草本
葉:根出、長柄、束生、細毛、心臓状円形、基部心臓形、鈍鋸歯、葉柄に逆向き毛
花:葉腋に花柄、その先に左右相称の淡紫色花を横向き、唇弁に紫の条、距は3〜4mm、側弁の内側に少数の突起毛、花柱は棒状、先が前方へ屈出
真鶴(170409)


アオチドリ(ネムロチドリ)

アオチドリ らん科
亜高山帯の湿地の森林側等に生える多年生草本、20〜40cm
茎:緑色、直立、稜
葉:茎上に4〜5片互生、長楕円形または皮針状長楕円形、鈍頭、上部の葉は次第に尖、表面つや、基部さや
花:5〜6月、茎先に片側性総状花序、汚淡緑色紫色ぼかしの花、包葉は皮針形長大で花より長い、唇弁は紅紫緑色で垂下、先端2裂、距は球形小形
箱根(170618)


アオノツガザクラ

アオノツガザクラ つつじ科
高山帯に生える常緑低木、高さ7〜15cm
茎:基部は横たわり、枝は斜上する
葉:線形または皮針形、枝上部に密に互生し、緑色で先は鈍く、ふちにごく細かな鋸歯がある
花:7〜8月、枝頂の中心にあるりん片状の包葉の腋から数本の有毛花柄をのばし、緑白色卵状つぼ形の花を下向きに開く.がくは基部近くに密に腺毛があり、5裂し、裂片は広皮針形.花冠の先は5裂し、筒の中に雄蕊10本雌蕊1本
涸沢(170816)


アオホウズキ

アオホオズキ なす科
山地の林中に生える多年草
茎:まばらに分枝、まばらに柔毛
葉:互生するが普通節ごとに2枚づつ、質は柔らかで長楕円形または卵状長楕円形、両端尖り短柄、両面にまばらに軟毛
花:6月頃、葉脇に下向き1花、花冠は淡緑色、鐘形で先は5片に浅裂、内面基部に毛が密生、雄蕊5本雌蕊1本
芦ノ湖畔(160804)


アオヤギソウ

アオヤギソウ ゆり科
箱根(210711)


アカショウマ

アカショウマ ゆきのした科
山地に普通に見られる多年生草本で、太く短い根茎がある
葉:長柄があり、3回3出複葉、柄の基部や分かれ目に褐色の長い鱗片状の毛がある.小葉は長卵形、先は長く尖り、縁に重複した鋸歯、長さ4〜10cm、幅2〜4cm
花:6〜7月頃、花茎の先に長さ10〜25cmの複総状花序、花軸には短い腺毛が密生、白色小花を密に開く.花は短柄があり、萼片5個、卵形1mmくらい.花弁はへら状線形、先は鈍頭、基部は長く細まり長さ3〜4mm.雄蕊10個、雌蕊2個
※赤升麻は地下茎の皮が赤黄色あるいは赤色であるため
箱根(160718)


アカネスミレ

アカネスミレ すみれ科
山地や原野の日当たりのよい場所に生える無茎性の多年生草本、細毛が多い
葉:根元から束生、長柄の上部に翼、長卵形または卵形、時に円形、基部は心臓形、全体的に白味勝ちの淡緑色、帯薄紫色多い、鈍鋸歯
花:葉間から花柄、先に横向き紅紫色の左右相称花、包葉は線形、先尖、細毛、萼片は皮針形、附属体の先は2〜3の歯と毛、花弁に紫のすじが顕著、側弁の内側に突起毛、唇弁の距は8mm、細い円柱形、細毛に覆われる
幕山(220331)


アカモノ(イワハゼ)

アカモノ つつじ科
山地または高山にはえる常緑ごく小形の低木.枝は多数分かれて直立または斜上
葉:互生、革質で艶があり、広卵形で先は尖り、基部丸くふちには鋸歯
花:夏、枝の先端または上部の葉腋に数本の花径を直立し、各1個の花を下垂する.花茎及び鱗片状の包葉には赤褐色の毛がある.がくは5裂、裂片は卵形.花冠は鐘形で白色、ふちは5裂し多少紅色をおび、反り返る
白山(200703)


アカヤシオ

アカヤシオ つつじ科
アケボノツツジの一変種
花柄に腺毛があることで区別
両神山(190509)


アキギリ

アキギリ しそ科
北陸地方の山地の木陰にはえる多年草.茎の下部は横にはい、節から根を下ろし、全体に立った腺毛が密生している
葉:対生し、長い柄があり、先は急に長く尖り、基部は心臓形、ふちにはあらい鋸歯があり、表面や裏面の脈上に毛がまばらにある
花:秋、茎の頂の包葉の脇に大形の唇弁花を数段つける.がくは鐘形で脈上に毛がある.花冠の上唇はやや斜めに立ち、下唇は浅く3裂して平らに開き、中央裂片のみ大きい.雄蕊2本、雌蕊1本で花柱は上唇より長く突き出し、先は2裂する
下の廊下(181011)


アキノウナギツカミ(アキノウナギズル)

アキノウナギツカミ たで科
溝の近くや湿地あるいは水辺に普通に見られる1年生草本
茎:長く四方に広がり分枝、長伸4稜、逆向き刺
葉:有柄互生、皮針状ヤジリ形、先端鋭、葉裏中脈下部に葉柄と小逆刺、さや状の托葉は短、斜め切形
花:秋、茎先が分枝、枝先に頭状花序、下部が白で上部が紅色、花柄に刺なし、萼5深裂、花弁なし、雄蕊8個、子房に花柱3個
箱根(161010)


アキノキリンソウ(アワダチソウ)

アキノキリンソウ きく科
日当たりのよい地に最も普通な多年草
茎:直立し細くて強い、下部は紫黒色、上部に短毛があり、時に分枝する
葉:互生し上葉は皮針形、下葉になるにつれ卵形、中下葉は有翼の柄、根葉は長柄で束生し、先が尖る.基部はくさび形か円形、内曲する鋸歯があり、下面は細かい網脈がある
花:晩夏から秋、茎先に穂状の頭花が多数つく.花冠は黄色、広線形の舌状花(雌花)と整正の筒状花(両性)、変化が多く類似種も多い
富士山麓(170806)


アキノタムラソウ

アキノタムラソウ しそ科
山地や野原に普通に見られる多年草
茎:四角、直立、無毛または細毛
葉:対生、長柄、奇数の羽状複葉、3〜7個の小葉、小葉は広卵形、ひし形、鋸歯、表面無毛またはまばらに毛
花:7〜11月、茎上部に分枝し枝先に花穂、淡紫色の唇形花を数段輪生、花冠は1〜1,3cm、上唇直立、下唇3裂、外面に少し毛、花筒の内側に輪状毛、雄蕊2本、花冠の上唇から突き出す
箱根(170924)


アケビ(アケビカズラ)

アケビ あけび科
山野に普通に見られる無毛の落葉つる性低木.つるは長くのびて分枝.枝は細長くて褐色
葉:短柄のある5小葉からなる掌状複葉で長い柄があり、柄の先と小葉柄の間に説がある.小葉は狭小な長楕円形あるいは長倒卵形で、先端は凹形、全縁、葉は新枝に互生し、老茎では鱗片のある短枝の上に叢生する
花:4月頃、新葉とともに開花し、短枝の葉の間から有柄の短い総状花序を出して下に垂れ、柄のある淡紫色の花をつける.雌雄同株で1花穂の中に小形で多数ある雄花と大形で少数の雌花が混在している.ふつう花弁は無い .がく片は3個、卵円形または円形、内面がくぼみやや多肉質.雄花は雄蕊6個があり雌蕊の痕跡がある.雌花には粘性の柱頭のある短い円柱形の心皮が3〜6個あり、不稔の雄蕊がある
南郷山(210407)


アシタカツツジ

アシタカツツジ つつじ科
愛鷹山越前岳(170523)


アセビ

アセビ つつじ科
乾燥した山地に生える常緑低木、分枝多い
葉:密に互生、広倒皮針形、鈍頭の鋸歯、革質無毛
花:枝先に複総状花序を下垂、多数のつぼ状白色花、花冠5裂、雄蕊10本雌蕊1本
明神ヶ岳(160416)


アツモリソウ

アツモリソウ らん科
山中の草原にはえる多年生草本
茎:直立して粗毛が多く、中辺に幅広く大きい葉を3〜4枚互生する
葉:広楕円形、先は鋭尖形で基部は茎を抱き、両面に毛がはえ、頂には上方に離れて緑色の1包葉がある
花:5〜6月頃、茎の先に大きい花を1個点頭して開く.紅紫色から淡紅色になり、まれに白花がある.外花被の背側の1個は広卵形で尖り、側方の2枚は合体して卵円形、内花被2片は卵状皮針形で尖り、ともに開出し各片の上半部は少し内側に向く.唇弁は扁球形の袋状、上部に漏斗状の開口がある.花柱は唇弁の口にその頭部を差し入れ、上部柱頭の両側に2雄ずいの葯がある.頂には広く大きい仮雄ずいが柱頭の背面をおおっている
三ツ峠山(210610)


アブラチャン(ムラダチ、ズサ、ジシャ)

アブラチャン くすのき科
枝が多く葉が密生する落葉性低木で山地にはえる.樹皮は灰褐色
葉:互生し、卵形あるいは楕円形で先端はだんだん細まって尖り、全縁、基部はくさび形で細長な葉柄があり、なめらかである
花:早春、葉が開くよりも先に淡黄色の小さい花をつける.花には柄のある小形の散形花序につき、つぼみの時は総包の鱗片に包まれている.花序は小枝の元から2個ずつ出て、前年には既に枝上に現れている.花柄にはまばらに毛がある.雌雄異株、がくは深6裂、雄蕊9個、内輪に3個、外輪に6個ある.雌花の外輪のものは小角体となり、内輪のものは腺体となる.雄蕊は1個ある
西丹沢(210411)


アマギアマチャ(ホソバコガク)

アマギアマチャ ゆきのした科
伊豆半島に特産する落葉小低木
葉:有柄、小形長楕円形、先端が尾状に尖る.質は薄く鋭い鋸歯をもち、かじると甘未を感じる
花:7月頃枝先に散房花序を付け白い花を開く.中心に両性花、周囲に装飾花をつける.装飾花のがく片は花弁状で3〜4個ある.両性花は三角形の小さい5個のがく片と卵形の5個の花弁を持つ.雄蕊は約10本、花柱はおおむね3個
日本名:天城甘茶で伊豆半島に特産し、天城山(甘木山)周辺に特に多いことに因む
箱根(220619)


アマギシャクナゲ

アマギシャクナゲ つつじ科
伊豆半島の産地の林内に生え、常緑小高木、若枝や若葉には白色の綿毛様の短い枝状毛が密生
葉:革質、葉柄は1〜2p、長楕円形、5〜15p、幅1.5〜4p、先は短尖、下部くさび形で葉柄に流れ、表面は無毛、裏面は淡灰褐色の圧状する短毛が密生
花:5〜6月、枝先に短い総状花序を付け10個内外の花を開く.花柄は1.5〜3p、額はごく小さく皿状、ふちは波を打つ.花冠は紅紫色で上部内面に濃色の斑点、漏斗状鐘形で径4〜5p、筒部内面に短毛が散生、雄蕊10本、花糸の下半分に短毛が密に生える
天城山(200529)


【イ の 花】


イタドリ

イタドリ たで科
山野にはえる大形多年生草本.根茎は木質で黄色、皮は褐色で地中を長く貫いて伸びる
茎:ふつう粗大で直立または斜めに傾き分枝し、中空の円柱形で若い時は紅紫点がある
葉:有柄で互生、広卵形または卵状楕円形、先端短く鋭尖、基部は切形、葉質は硬い
花:夏、枝上の葉腋や枝先に複総状様の花穂を出し、多数の小さい白色の花を密につける.雌雄異株、がくは5裂.花弁なし.雄花に雄蕊8個、雌花の子房上に3個の花柱
高松山はなじょろ道(151024)


イチヤクソウ

イチヤクソウ いちやくそう科
山野の林下に生える常緑多年草
葉:根際に数枚集まる、長柄、円形または広楕円形、不明瞭な鋸歯がある、葉質やや厚く深緑色
花:初夏、葉間から直立する花茎上部に白色花5〜6個がつき、短い柄がある、下向きに開き、花は深5裂、雄蕊10本、花糸は一方に曲がる、1本の花柱がある
蓼科山(170802)


イヌゴマ(チョロギダマシ)

イヌゴマ しそ科
やや湿地に生える多年草
茎:四角形で直立し、普通分枝しない.茎の稜に下向き刺がありざらざらしている
葉:対生し、短い柄があり、皮針形、ふちに鋸歯、葉面にしわがあり下面の中肋にもとげがあってざらつく
花:夏、茎先に花穂をだし、紅淡色の唇形花を密に輪生し層をつくる.下唇は3裂し内側に赤い点がある.雄蕊4本のうち2本は長い
箱根(170730)


イヌトウバナ

イヌトウバナ しそ科
山地の林内や道端などに生育する多年草
茎:下向きに曲った細かい毛があり、根際より群がりはえ、分枝する
葉:5〜15mmの柄があり、葉身は狭卵形ないし卵形、先は鋭頭または鈍頭、基部はくさび形または広いくさび形、ふちに鋸歯があり、両面に毛があり、下面には腺点が多い
花:8〜10月ころ、枝先や上部の葉のわきに花穂をつける.花はまばらに輪生し、やや接して数段付き、花穂の軸には密に毛がある.がくは筒状2唇形で、上唇は3裂し裂片は鈍頭から鋭頭、下唇は2裂し裂片は尾状鋭頭で、ともにふちに開出毛が散生する.花冠は白色でわずかに淡紫色をおび、上唇は浅く2裂、下唇は3裂する
箱根外輪山(210804)


イヌホオズキ

イヌホオズキ なす科
畑や道端などに普通に見られる一年生の有毒植物.茎葉枝分かれして横に広がる
葉:有柄、互生、卵形、先端は鋭形または鈍形、縁は全縁または波状の鋸歯
花:夏から秋にかけて節間の途中から長さ1〜3cmの花枝を出し、ほぼ散形に並んで数個の白色花を開く.がくは5片、花冠は平らに広く開いて5裂、径6〜7mm.花の中央に1本の雌蕊が直立、それを囲んで5本の雄蕊、葯は黄色
果実:液質で球形、黒熟
漢名:龍葵、漢方薬
幕山(171203)


イブキジャコウソウ

イブキジャコウソウ しそ科
山地や時には平地の日当たりの良い岩地に生える小形低木
茎:細く地上を這い、多数の枝を出す、全体に芳香
葉:対生、ごく短い柄、長楕円形鈍頭、両面に腺点
花:6〜7月、枝先に短花穂、淡紅色小形の唇形花を数段密に、花冠上唇は直立、下唇は3裂して平開、雄蕊4本のうち2本は長い
坪庭(160730)


イブキトラノオ

イブキトラノオ たで科
山地あるいは山原の草地にはえる多年生草本
茎は直立し細長く緑色、分枝しない
葉:根葉は叢生し、長い柄がある
さや状の托葉は膜質で非常に長い
花:夏から秋、茎頂に円錐形の花穂を直立し、淡紅色、あるいは白色の小花を密につける.がくは5裂.花弁はない.雄蕊8個、わずかにがくより長く、葯は淡紅紫色で花糸の基部に小腺がある.子房の上には3個の花柱
白山(200703)


イボタノキ

イボタノキ もくせい科
山野に多い半落葉の低木.枝は灰白色でよく分枝し、新枝に細かい毛がある
葉:対生し、ごく短い柄があり、長楕円形で鈍頭、全縁.葉質はややうすく、裏面は淡緑色
花:5月頃、小枝の先に長さ2〜3pの総状花序を出し、白色の花を密につける.がくは緑色で4歯があり、花冠は筒状で先端は4裂し、ほとんど平開する.雄蕊2本、雌蕊1本、果実は柴黒色で小さな楕円
※樹皮に白いイボタロウ虫が寄生することによりイボタノキという
箱根(200620)


イワアカバナ

イワアカバナ あかばな科
多年生草本で山中の湿ったところにはえる
茎は直立して分枝する
葉:対生し、葉柄はきわめて短く、長楕円形あるいは披針形で、縁にかすかな鋸歯があり、基部はくさび形に尖る
花:夏から秋にかけて茎の上部葉腋に柄のない白色あるいは極めて薄い淡紅色の花を単生する.がく片は4個、花弁4個で先が浅く2裂する.雄蕊8本、花柱1本で柱頭は頭状にふくらむ.子房は下位で細長い
奥穂高岳(170817)


イワイチョウ(ミズイチョウ)

イワイチョウ みつがしわ科
亜高山から高山の湿原に生える多年草
葉:根生し長い柄があり、腎臓型で先は凹み、縁に鈍鋸歯がある
花:8月、20cm内外の緑色花径を出し、頂に集散状に分枝、白色花をやや多くつける.萼は緑色で深く5裂、花冠も深く5裂、ふちには波状のしわがより、中央には縦に走るひだがある.雄蕊5本、雌蕊1本
八方尾根(190724)、立山室堂(180812)


イワウチワ

イワウチワ いわうめ科
関東地方に分布する常緑多年草で、深山にはえ、根茎は長く横に走る
葉:根出葉は長い葉柄をもち、質厚く少し光沢がある.葉身は扁円形で波状の鋸歯を持ち、葉先はへこみ、基部は心臓形
花:春、直立する花茎をのばし、その先に淡紅色の花を横向きに1個つける.花茎の基部には数個の鱗片がある.がくは5片.花冠は漏斗状鐘形.花弁の先端は細かく裂ける.雄蕊は5本、雌蕊は1本
大塚山(170416)


イワウメ(フキズメソウ、スケロクイチヤク)

イワウメ いわうめ科
高山帯の岩場にはえる極めて小形の草状の常緑低木.多数の個体が密に集まって隙間なく地を覆う.根茎は地中を這い、枝は斜上するが極めて短く、葉を密につける
葉:へら形で倒卵形、先端は凹み、全縁、革質厚く、表面は葉脈の部分が凹み、幾分しわ状
花:7月、2〜3片の包葉をもつ花径を出し、先端に緑白色の花を1個つける.がくは5片で緑色、卵状楕円形でいつまでも残る.花冠は短い鐘形で5裂し、裂片は円形で白い梅の花に似ている.雄蕊は5本、花弁の内側にこれと互生してゆ着し、内側に曲って雌蕊を囲む
八ヶ岳(190620)


イワギキョウ

イワギキョウ"" ききょう科
高山帯または亜高山帯にはえる多年生の小草本で、地下茎は細長く分枝し、その先に苗を生じて盛んに繁殖する
葉:茎葉は狭皮針形またはやや線形で少数、無柄、互生、根葉は多数束生、皮針状倒卵形あるいは倒皮針形、縁に荒い鋸歯
花:花茎の高さは10cm内外、夏に茎先にふつう1個、ときに上葉の葉腋に2〜3個の鮮紫色の花、花冠は先の広い鐘状5裂、無毛、雄蕊5個雌蕊1個、柱頭3裂、萼片5裂、裂片は広線形で粗毛、長さ1cm、縁に少数の鋸歯
立山(180812)


イワキンバイ

イワキンバイ ばら科
山地の岩の間にはえる多年生草本.全株に伏毛をかむる.茎の高さ10〜20pくらい
葉:多く根元から生え長い柄をもつ.多くは3小葉からなるが、その下部に1〜2枚の小葉を出すことがある.小葉は倒卵形または斜めにゆがんだ倒卵形、先端は円形または鈍形、基部はくさび形、ふちに鋭い歯牙状の鋸歯がある.両面にやや伏毛を密生し、下面はやや白色をおびる
花:7月頃茎の頂端に集散花序を作って黄色の花が開く.花は細い柄を持ち、がく片は5、卵形、副がく片はがく片とほぼ同形でやや小さい.花弁は5、黄色で倒卵形、先端は凹型、雄蕊は多数あって黄色で、卵形の小さい葯を持つ
※岩間にはえるキンバイソウ(きんぽうげ科)の意味
赤城、掃部ケ岳(180623)


イワシャジン(イワツリガネソウ)

イワシャジン ききょう科
溪畔の岩場に垂れ下がってはえる多年草
茎:細く下垂し、無毛
葉:根葉は卵形または広楕円形、茎葉は互生し線状皮針形または線形、表面はまばらに短毛、ふちは内曲する低い鋸歯があり、先端は尾状にのび、基部は次第に狭くなって短柄に移行する
花:9〜10月頃、茎の頂にまばらに総状花序を成し、紫色の花を1〜12個下向きに開く.花冠は鐘型、先は浅く5裂し、小苞は糸状線形、小形である.がく裂片は開花時は開出し、糸状線形でまばらに腺歯があり、花柱は花冠の中にあって外に突き出ない
畦ヶ丸(201021)


イワショウブ

イワショウブ ゆり科
山中の湿気の多い所にはえる多年生草本.根茎は短く斜めに出て、外面に黒褐色の繊維がある
茎:直立し、細長い円柱形で下半になめらかな短い葉を1〜2枚つけているが、上半になると花軸と共に粒状の腺毛を密生して粘着する
葉:茎の下部に2列につき、直立して剣形で尖る.下の方はたたまれて半ばさや状になっている
花:7〜8月頃、茎の先に2〜3花毎に集合した小花序が穂状花序的につき、白い花が咲き、つぼみは時々紅紫色になる.花被片6個は線状の長楕円形で広鐘形.6個の雄蕊は花被片より長く頂に黒い点のような葯がある.子房は1個で花柱は3つに分かれる
火打山(200822)


イワタバコ

イワタバコ いわたばこ科
山地の日当たりの悪い岩壁に生える多年草
葉:1株に1〜2枚、楕円状卵形、先端短尖、冬は固く丸まって越冬、褐色毛密
花:夏、1〜2本の花茎、上端に散形花序、紅紫色
建長寺(150620)


イワツメクサ

イワツメクサ なでしこ科
高山の砂礫地や岩場の陽の当たる土地に生える草質の軟らかな緑色多年生草本
茎:多数密に叢生して立ち、繊細で無毛
葉:対生、無柄、線形、先端鋭尖形、葉質は薄く滑らか
花:7〜8月、茎上部から長柄、多数の白花、花弁5個は萼片より長く深2裂、裂片は先が鈍形狭長、雄蕊10個、上部に3個の花柱がある
奥穂高(170817)


イワハタザオ

イワハタザオ あぶらな科
山地の岩間、岩上、崖上にはえる多年生草本.高さ30cmくらい.全株に星状毛または叉状毛を布く.基部から地下茎を分ち、茎はやせて直立あるいは垂れ下がる
葉:根生葉はへら形、先端は鈍形、基部は次第に細くなって翼のある葉柄になる.縁には荒くて浅い鋸歯.葉質はやや厚い.茎上葉は卵形あるいは楕円形あるいは皮針形.先端は鋭形.基部は多少茎を抱き、無柄.縁にはやや大形の鋸歯
花:初夏、茎頂に総状花序をつけ、長柄の白色大形の十字状花を多数密集して生ずる.萼片は直立し長楕円形、頭部は円形、長さ9mm.雄蕊は4本だけが長い.雌蕊1本
八ヶ岳(190620)


イワヒゲ

イワヒゲ つつじ科
高山の日当たりの良い岩の間に多数集まって生える、草状の常緑小低木
茎:分枝して横たわり、緑色紐状、小さい鱗片葉を密につける
葉:卵形で茎に接着し1,5〜2mm、先は鈍形で背面膨らむ
花:7〜8月、枝上部の鱗片状葉の間から1〜2本の花柄を直立、白色または帯淡紅色の花を下向きに開く.萼片5個で卵形、花冠は鐘状で8mm、縁は5裂、雄蕊10本雌蕊1本
砂払岳(180626)


イワベンケイ

イワベンケイ べんけいそう科
高山の岩地に生える多年生草本、根茎は短く太く、分枝は多数の鱗片に被われる
茎:かたまって立ち30cm、多数集まって球状の集団となることがある.葉も茎も著しく白っぽい
葉:茎の上に多数重なり合って互生開出、上半は表面がくぼんで曲がる、倒卵状楕円形で2cm内外、扁平、多肉、先端は鋭頭あるいはやや鈍頭で上半部に鈍鋸歯があり、表面平ら、脈は外面に現れない.茎上端部の葉は包葉に見える
花:7月、茎頂に密集した集散花序をつけ、上面は平らな球状で薄黄色の花を開く.雌雄異株.花弁は細く4〜5、雄花は平開、雌花は短く貧弱、雄花は雄蕊8〜10本、雌花に雌蕊4〜5本
北穂高岳(180717)


【ウ の 花】


ウグイスカグラ(ウグイスノキ)

ウグイスカグラ すいかずら科
山地、原野に分布するが、鑑賞のため庭園にも植えられる落葉小低木
葉:短柄があり、対生、葉身は楕円形または広卵形で無毛、へりは若い時に暗紅紫色をおびる
花:春に葉が出ると同時に、葉腋から下垂する細長な花柄が出て淡紅色の花が咲く.花の基にある包葉はふつう1個で狭皮針形.花冠はやや曲った漏斗形で花筒部が細長く、長さ2pくらい、先端は5裂、裂片は同形
丹沢(210328)


ウサギギク(キングルマ)

ウサギギク きく科
高山帯の適度に湿った草地に生える多年草
茎:単立し高さ30p内外、葉とともに毛があり、根茎は長く這う
葉:対生し、下葉はさじ状の倒皮針形、上葉は狭い卵状皮針形でまばらに歯状の鋸歯があり、洋紙質
花:夏、茎頂に黄色の頭花を単生、頭花は周辺に雌性の舌状花があり、花冠の先は浅い3歯牙となり、中心に暗色を帯びた両性、先端5裂の管状花が集まる.全体に毛が多い
※管状花冠が無毛のものをエゾウサギギクといって区別する
涸沢(170817)


ウスノキ(アカモジ、カクミノスノキ)

ウスノキ つつじ科
各地の山林にはえる落葉低木で、多数分枝して細毛があり、新枝は緑色
葉:ごく短い柄を持ち互生し、卵形または卵状楕円形、先は尖り基部鈍形で細毛がある
花:5〜6月頃、短い総状花序を出し、2〜3個の花を下垂する.がくは緑色で小さく、がく裂片は5個、ほぼ短い卵状三角形で尖る.花冠は淡褐紅色で鐘形、先端はごく浅く5裂して反り返る.雄蕊10本、葯の先端は細い管状でその先の孔から花粉を出す.花柱は1本直立
※臼の木は果実先端が凹んで臼のような形であるため
白山(200703)


ウスユキソウ

ウスユキソウ きく科
低山帯に生える多年草
茎:叢生し細長、薄く綿毛がかぶさる
葉:皮針形、先は鋭尖、基部は急に細まる、上面緑色、下面は綿毛が密に生え白色
花:夏から秋、茎頂に表裏とも白色の綿毛がかぶさる包状葉を数個生じ、葉内に灰白色の小さな頭状花が多数集まってつく
八子ヶ峰(160825)


ウツギ

ウツギ ゆきのした科
山地に普通に見られる落葉低木、分枝が多い、高さ1.5m、樹皮は次々とはげ、若い枝には小星状毛
葉:対生、短葉柄、皮針形か卵形、先端長く尖り基部は丸い、縁に浅鋸歯、ざらざら
花:5〜6月に円錐花序、白花、がく筒は鐘形、星状毛がぎっしり、萼片5三角形、花弁5、長楕円形1cm以上、雄蕊10本、花糸に歯状の翼、花柱は3〜4本、糸状で花弁より短い
三浦アルプス(180408)


ウツボグサ(カコソウ)

ウツボグサ しそ科
日当たりの良い山野の草地に普通に見られる多年草、茎、葉、花序に白色粗毛
茎:四角形、直立または斜め、時にまばらに分枝
葉:対生、1〜3cmの柄、長楕円状皮針形、白色粗毛
花:6〜8月、茎頂に花穂をつけ、紫色唇形花を密集してつける.包葉はゆがんだ心臓形でふちに毛があり、花軸に対生してつき、そのつけねに3個ずつの花をつける.先端は5裂して鋭く尖り、下唇は3裂し中央裂片のふちには鋸歯がある.雄蕊2本は他より長い
箱根(170730)


ウバユリ

ウバユリ ゆり科
山野の藪中や林中に生える多年生草本
茎:緑色で強く、太く平滑
葉:中辺に5〜6葉が集まって附き平開、葉柄は長く、楕円状心臓形、緑色で大きく柔らかい.先端は鋭尖形、深心臓脚で網状脈があり、つやがある
花:夏、茎先に緑白色の3〜4花を側向して開く.内面に淡褐色の小点を布き、花被片6個が互いに長筒を作り上端は開き、少し左右相称をしている.雄蕊雌蕊は一束になって長短不同で花被より短い
芦ノ湖遊歩道(160804)


ウマノアシガタ

ウマノアシガタ きんぽうげ科
葉:単葉、ほとんど無柄、線形3裂片、直立性の毛、根生葉は叢生、長柄、掌状に3深裂、中央裂片は3尖裂、両側裂片は2尖裂、倒卵形あるいは狭倒卵形、基部くさび形、粗鋸歯、茎葉は無柄で線形3裂片
花:初夏、根葉の中から直立花径、茎先が集散的に分枝、枝端に1個の黄花、がく片5個黄緑色、背面に毛、花弁5個平開、くさび状倒卵形、艶、雄蕊雌蕊多数、そう果は卵形、球状球果、径5〜7mm
三ツ峠(170709)


ウメバチソウ

ウメバチソウ ゆきのした科
山麓、高山の陽のあたる所に生える多年生草本
葉:根生葉は固まってつく、長柄、円形または腎臓形、基部は心臓形、茎生葉は無柄、卵形または円形、基部は心臓形で茎を抱く
花:夏秋、数本の花茎を直立し、1枚の葉と1個の白色花を開く.花弁5個は平開し、雄蕊5本、外に向いた葯、雄蕊と雄蕊の間に5個の仮雄蕊、掌状に13〜20裂、裂片の先端は黄緑色の球形
三ツ峠(170903)


ウラシマソウ

ウラシマソウ さといも科
林下、林縁にはえる多年草で、雌雄偽異株で雄株から雌株へと完全に転換する.3〜5月ころ地上に葉と花序を展開する
葉:普通1枚で偽茎部が短く膜状の鞘状葉に囲まれ、葉柄部ははるかに長い.葉身は鳥足状に分裂し、小葉は11〜17枚、狭楕円形で両端が狭まり、濃緑色で光沢があり、ときに白斑がある
花:花茎は短く、花序は地上近くに立ち上がり、仏炎苞は筒部が太い筒状で上にやや開き、舷部は広卵形で先は細く狭まり、舷部の外側では紫褐色、筒部の内側は白味を帯びる.花序付属体は無柄で基部は太く、次第に細く糸状にのび、仏炎苞外で立ち上がり、更に下にたれさがる.まれに結実し、赤熟する
南郷山(210407)


ウラジロナナカマド

ウラジロナナカマド ばら科
高山帯にはえる落葉性小高木.高さ2mくらいで全株無毛
葉:有柄で互生、奇数羽状複葉、小葉は4〜6対、長楕円形、やや鋭頭で凸型の先端、上半部には鋸歯があるが、下半部は全縁.基部はゆがんだ円形でほとんど無柄.表面は青味のある緑色で裏面は粉白色、通常縁はやや内側に曲る
花:7月頃枝先に上面の平らな散房花序を生じ、密に細かい白花をつけ、花軸は無毛でなめらか.花弁5、比較的大形で円形、花爪があり、先端にしばしば歯状のくぼみがある.雄蕊は20本くらい、雌蕊の花柱は5本
日本名:裏白ナナカマドの意味、葉の裏面が白い
八方尾根(190724)


ウルップソウ(ハマレンゲ)

ウルップソウ うるっぷそう科
本州では八ヶ岳と白馬岳の高山の砂礫地にのみ見られる多年草
葉:根際に数枚の大きな葉を付ける.葉は長い柄を持ち、広卵形または腎臓状卵形で、長さ幅とも4〜10cm、先端は円形または鈍形、縁に鈍鋸歯があり、多肉質で表面につやがある.花茎の葉は柄がなく広卵形
花:夏、小形の葉を持つ高さ10〜30cmの花茎を直立し、頂に多数の小さな花を密集した花穂をつける.各花の下に緑色膜質の狭楕円形の包葉がある.がくはへら形で一端が基部までさけ、縁に細かな毛が生える.花冠は紫色で湾曲した長い筒型となり、先端は2裂して唇形となり、下唇は更に2裂、2本の雄蕊を持つ
果実:長楕円形の堅果で、大形の1〜2個の種子を持つ
日本名:得撫草は千島のウルップ島で採集されたから
白馬岳(190724)


ウワミズザクラ(コンゴウザクラ)

ウワミズザクラ ばら科
各地の山野にはえる落葉高木.樹皮は褐紫色
葉:有柄で互生し楕円形、先端は急に細くなり尾状に長くとがる.基部は円形、時にわずかに心臓形.若い時に葉脈に毛があるが、成葉ではほとんど無毛、ふちには刺状の細鋸歯がある.葉は乾けば膜質
花:4〜5月頃、小枝の先に総状花序を出して多数の有柄の小形白色花を密生して開く.萼は広い鐘型で無毛.浅く5裂し、裂片は小形の三角状で全縁、内面に毛布状の毛があり、雄蕊と共に花托から脱落する.花弁は5、倒卵形、水平に開き後にそり返る.雄蕊多数で花弁よりずっと長い
甲相国境尾根(210530)


【エ の 花】


エイザンスミレ(エゾスミレ)

エイザンスミレ すみれ科
山地の樹陰に生える無茎性の多年生草本、花時7cm
葉:根生、花時は有柄、葉身3裂、両外側深2裂し5裂に見える、各裂片は更に鋭浅裂、花後の葉は長大、葉身は葉柄の3分の1長、単純3裂、裂片広長卵形、葉柄の付け根に白色膜質、皮針形の托葉片
花:春、葉間から花柄、先に淡紫白色または淡紅色のやや大きい花を横向き、香り有、唇弁と側弁に明瞭な紫のすじ、側弁内側は突起毛、距は5〜6mm先が膨らむ円柱形
檜洞丸(170514)


エゾシオガマ

エゾシオガマ ごまのはぐさ科
高山の草地に生える多年草
茎:根際から数本直立して株、円柱形、分枝しない
葉:互生、三角状長卵形、先は尖り、基部は切断したような形で短柄、重鋸歯がある
花:花序は細長く総状花序、花冠は黄白色、唇形、一方にねじれ、上唇の先端は細長いくちばし状、鎌状に曲がって下唇に接する、下唇は広卵形で筒部と直角に曲がり、へりは内側に巻いて先は浅3裂、中央裂片は円形で小さい、2本づつ長さの異なる4本の雄蕊
涸沢(170817)


エゾノタチツボスミレ

エゾノタチツボスミレ すみれ科
本州中部以北の日当たりよい山地山麓に生える多年草
茎:高さ20〜30cmほどで円柱形、直立、ふつう数本が群がってでる
葉:三角形心臓型で先が尖り、へりには鈍鋸歯がある.托葉は長楕円形でへりはあらく、くし歯状に裂ける.ふつう体全体に微毛がある
花:初夏、茎上部の葉腋から長い花柄の白色または紫色花を出し、側向して開く.白色の時も唇弁に紫色のすじがあり、距は短く2〜3mm、側弁内側に突起毛がある.萼片は緑色で附属体はやや大きい.花柱の先端から柱頭の背部にかけて突起毛があるが日本産のスミレではこの種以外はアイヌタチツボスミレだけだから良い区別点となる
櫛形山(170627)


エビネ

エビネ らん科
山林や竹藪にはえる多年生草本
葉:越年生で2〜3束生するが次年には下をはう.倒皮針状長楕円形、先端は鈍頭または少し尖り、基部は鋭尖形で細くはっきりした葉柄となる.暗紫色で縦にひだをつけ裏面には短毛を布いている
花:春に新葉心から1花茎を出し、10個内外の花を開く.花被片は全開し、外花被片は紫褐色、内花被片と唇弁は白色または紅紫色.唇弁は深く3裂し、中央裂片は先端に凹入があり、内面には3枚のたてうねがある.距は子房と並行し、長さはそれよりも短い
矢倉岳(210507)


エンレイソウ(タチアオイ)

エンレイソウ ゆり科
深山からやや低い山地の林内にはえる多年生草本
茎:1〜3条を出し単一で分枝せず、基部は褐色の膜質の鱗片葉で囲まれており17cm内外、先に無柄の3枚の葉を輪生
葉:広卵形で10〜15cm.先端は尖り3〜5の脈がある
花:5〜6月頃其葉心に直立した柄を1本出し、帯紫色の花を横向きに開く.花被片は萼片に相当する3片だけで花弁に相当する他の3片はない.雄蕊6本、葯は細長く内側向き.子房は幅広く球形、3室で3花柱、短い
液果:球形、熟して緑色または紫黒色または緑紫色
※有毒植物
北穂高岳(180716)


【オ の 花】


オオアマドコロ

オオアマドコロ ゆり科
葉:互生、長楕円形、黄緑色、質丈夫
花:緑白色、下垂、花柄は紫色、花被片6は筒状、先端は離れて緑色で白色短毛
入笠山(170604)


オオカメノキ(ムシカリ)

オオカメノキ すいかずら科
温帯山地、普通ブナ帯に分布する落葉小高木.褐色毛の太い枝をまばらに出し、側方に開出ししなやか.短枝は葉の落ち痕で節くれている
葉:赤味の柄、対生、葉身大形で5〜15p、幅5〜10p、円形先は短く尖がり、基部は心臓形、縁に鋸歯、下面に始め毛がある
花:4〜5月ころ葉がほどけかかって裏面の脈が茶色のしわ状に集まって見えるころに花が咲き始める.散房花序は枝先につき無柄、周囲の大きな白色装飾花が中央小形の正常花を囲む、花冠深5裂、正常花は雄蕊5本、淡黄色の葯
檜洞丸(180505)


オオコメツツジ

オオコメツツジ つつじ科
深山にはえる小低木で、高さ1〜1,5mでコメツツジの1変種.枝はやや長く、葉も少し大形で明瞭な3本の脈がある
葉:小さなものは長さ1,5p、大きなものは4,5cm、幅7〜15mmで短柄を持ち互生し、一般に枝先に集まってつき、楕円状倒皮針形で先は鋭形、両面と縁に毛がある
花:夏、枝先に白色小花を散形状に開く、花冠は漏斗状で径10〜12mm、株により先が4裂するものと5裂するものがあり、4裂は雄蕊4本、5裂は雄蕊5本、花冠より長く外へ伸びる
果実:卵形のさく果で細かな伏毛がはえる
遠見尾根(200717)


オオタチツボスミレ

オオタチツボスミレ すみれ科
山野に多い多年生草本
茎:長柄のある根葉とともに束生して直立または斜上し、短柄の茎葉を互生して、花後閉鎖花を腋生する
葉:円状心臓形でへりには低く鈍い鋸歯が多数ある.托葉は茎の上部のものは皮針形だが中途以下のものは卵形または広卵形でくし歯状に羽裂するが、タチツボスミレほどには深く裂けない
花:春にところによっては初夏に葉腋から長い柄を出し、その先に左右相称の淡紫花を横向きに開く.唇弁には濃い紫のすじがあり、距は5〜7mmぐらい.花柱は棒状で曲らぬものや、先端がやや曲るものなどがあり無毛である
南郷山(210407)


オオバキスミレ

オオバキスミレ すみれ科
高さ15〜30cm、地下茎は横に這う、細根が節々から出る
根葉:数少なく長柄、心臓形で5〜10cm、先尖、縁に鋸歯、質薄い、支脈は葉の先に向かって湾曲、普通は無毛
茎葉:3〜4個で茎上部に集まり、短葉柄、根生葉より小、最上部は長卵形、切脚またはくさび形で葉柄に移る、托葉は広卵形で先尖で全縁
花:5〜8月、茎上部に2〜3個の黄花を腋生、横向き開出、唇弁と側弁に紫条、唇弁の距は極端に短、側弁内側に毛、雌蕊の先はやや膨らみ両側に微毛、萼片は狭皮針形
北穂高岳(180717)


オオバギボウシ(トウギボウシ)

オオバギボウシ ゆり科
山地に自生する多年生草本
葉:根から出て群がって葉の集まりを作り、葉柄は太い溝形をし、緑白色.葉面は大形で広い楕円形または楕円形で先端は鋭尖形、基部は心臓形または少し柄に流れ、支脈は縦走して濃緑色でつやがあり、裏面は淡色または表裏に白い粉をふいている
花:7月頃葉心より長い花茎を出すが多少前方に倒れ、多数の紫白色をした花が総状に出る.花の下にある包葉は卵状楕円形で扁平で、多くは白質化する.花被は細い漏斗状をして広がり、6裂片は平開するほどではない
箱根(170730)


オオバジャノヒゲ

オオバジャノヒゲ ゆり科
中部から西の山林中の陰地に生える多年生草本
葉:群がり細長い、厚味あり丈夫
花:6〜7月、平たく丈夫な花径、上部に淡紫色まれに白の小花を下向き点々、細い花柄、2〜3個集まる、花被片同形6枚離れてろう斗形に開く、濃青色の種子
箱根(160718)


オオバタケシマラン

オオバタケシマラン オオバタケシマラン液果 ゆり科
高山の谷筋にはえる多年生草本.茎中部で2又状に5〜6回分枝し、葉を左右に多数互生している
葉:卵状楕円形、先端は鋭尖形で基部は茎を抱き、表面は黄緑色裏面は蒼白色をおびている.平坦であってそれに5〜7本の縦脈が陥入して走り、ふちは多少の起伏をし、また少しきざみがある
花:7月頃、各葉の下に緑白色の花を一つづつ垂れ下がって開く.長い柄があって途中で1回ひねれている特徴がある.これは腋出した花柄は茎と融着してその上方の葉の下で初めて離れるためである.花被片6個は披針形、下半は鐘形、上半は強く反り返っている.雄蕊は6個、葯は尖って大きい.雌蕊の花柱は長い
液果:後で卵状球形の液果を懸垂し、8月に紅熟する
※タケシマランとは葉の色と茎を抱えた形、花軸が1回転することなどで区別
遠見尾根(200720


オオバミゾホオズキ(サワホオズキ)

オオバミゾホオズキ ごまのはぐさ科
亜高山帯の湿地にはえる多年草.細長い地下茎を伸ばして繁殖し群生を作る
茎:柔らかく四角で分枝せず、直立
葉:無柄で対生、長卵形または広卵形で先は尖り、縁に大形の尖った鋸歯、3〜5本の目立つ脈を持ち、長さ3〜6cm、幅1,5〜3,5cm
花:夏、上部の葉腋に細長い花柄を出し1花をつける.萼は筒型で長さ8〜13mm、5個の稜があり、稜には狭いひれがある.がくの先は尖った5裂片.花冠は黄色で長さ2,5〜3cm、筒の先は5裂唇形.2本づつ長さの違う4本の雄蕊
果実:長楕円形、長さ1cmでがくの中に包まれている
栂池(190720)


オオハンゴンソウ

オオハンゴンソウ きく科
北アメリカ原産の長大な多年草
茎:上部で分枝
葉:下葉は有柄で羽状に5〜7裂し、上部の葉は3〜5深裂し、最上の葉は全縁
花:夏から秋、長花茎の先端に黄色頭状花、長く下垂する舌状花
箱根(170730)


オオヒョウタンボク

オオヒョウタンボク すいかずら科
高山帯下部に産する落葉低木.若枝は無毛、基は硬い鱗片で包まれる
葉:対生で柄があり、葉身は卵状長楕円形で両端が尖り、質は薄くほとんど無毛で脈はくぼみ、下面は白っぽい
花:7月、葉腋から細長い花柄を出し、先に2花が並んでつく.包葉は皮針形、小包葉はまるい.萼片5個で皮針形.花冠は黄白色を帯び、筒部は短く下側は膨らみ、上唇は上部4裂し、下唇は線形で下垂し反り返る.花柱と花糸下部に毛がある
液果:2個並び径8mm、熟すと濃赤色になり光沢がある
八方尾根(190724)


オオヤマフスマ(ヒメタガソデソウ)

オオヤマフスマ なでしこ科
山地あるいは山原にはえる多年生草本、群がってはえる
根茎:糸状で地中をのびる
茎:直立、細長、単一あるいは多少分枝、高さ10〜20cmくらいで細い毛
葉:対生、ほぼ無柄、楕円形ないし長楕円形、先端は鈍形、長さ1〜2cm、細かい毛
花:6〜7月頃、少数の花が集まった集散花序を腋生または頂生、細長い柄のある小形の白い花.萼片5個、卵形で2mm、先端は鈍形.花弁5個、長楕円形、がくの2倍の長さ、雄蕊10個、花糸の基部に毛.子房の頂に3個の花柱
※姫誰が袖草
櫛形山(170627)


オカトラノオ

オカトラノオ さくらそう科
山地、原野の日当たりの良いところにみられる多年草
茎:円柱形、分枝しない、基部紅色
葉:互生、短柄、長楕円状皮針形、先端は尖り縁に毛がある.葉肉中に細かな油点が散在する
花:夏、茎頂に一方に傾いた総状花序を出し、多数の小白花を密につける.花柄は細かい毛、基に小さな線形の包葉がある.花冠5片は深裂し、裂片は狭長楕円形、雄蕊5本雌蕊1本
湯坂路(180708)

※アサギマダラ


オキナグサ

オキナグサ きんぽうげ科
山野の日なたに生える多年生草本、全体に白い毛が密生
葉:根葉は有柄、主根の頸部から叢生、2回羽状分裂、各小葉は更に2〜3深裂、裂片はくさび形または線形、先端2〜3の歯牙、総包は直立円柱形の茎頂、3片4片で無柄、細裂、裂片長線形
花:包葉の中心から1本の花柄、先が一方に傾き点頭して暗赤紫色の1花、萼片6で長楕円形、外面は白色絹毛、雄蕊多数葯黄色、雌蕊多数、花柱上部は紫色
神成山(170402)


オクモミジハグマ

オクモミジハグマ きく科
山地の林下にはえる多年草
葉:茎の中部に4〜7個あり、長い柄を持ち、やや輪状につく.葉身は腎心形または円心形で、ふちは掌状に浅く裂け、両面に軟毛が散生する
花:8〜10月に咲く.頭花は穂状につき、開花時は横を向き、 2mmほどの柄をもち、小さな苞がある.総苞は狭い筒状で、総苞片は瓦重ね状につく.小花は3個で、花冠は白色、4裂または5裂する
雨飾山(200823)


オトギリソウ

オトギリソウ おとぎりそう科
山野に生える無毛の多年生草本
茎:円柱形緑色
葉:対生、茎を抱く、皮針形、先端丸い、黒色油点が散在
花:夏から秋、茎頂部が分枝、短柄黄花、がく片緑色5個、花弁5個倒卵形、子房に花柱3本
蓼科山(170802)


オトコエシ(オトコメシ)

オトコエシ おみなえし科
日当たりの良い山野に見られる多年草
茎:直立し、株元から長いつる枝を伸ばし、その先に新株ができる.全体に毛が多い
葉:対生し、多くは羽状に分裂し、裂片は卵状長楕円形になり、長片が最も大きい
花:晩夏から秋にかけて茎上部で分枝し、その先に白花を多数つけて散房状となる.花冠は5裂し筒部は短い.雄蕊4個、雌蕊1本、子房は下位で、3室のうち1室だけ結実する
箱根外輪山(210804)


オトメアオイ

オトメアオイ うまのすずくさ科
フォッサマグナ地域に特産する多年草.ふつうのカンアオイに似て区別が難しいが、葉を隔年に1枚ずつ展開するのが特徴
花:7〜8月頃に開花し、翌年5〜6月頃に熟する.萼筒は淡褐色または緑紫色、丸みを帯びた筒型で上部が軽くくびれる.萼裂片は卵状三角形、萼筒とほぼ同長で平開またはやや斜上して表面はなめらか.萼筒内面は縦に18〜27個、横に6〜8個の隆起したひだを持ち、全体複雑な網目状.子房は上位、萼筒中央に盛り上がり、その上に6個の花柱が直立する.雄蕊は12個、すべての葯が外側を向き、短い花糸で子房壁に付着する
箱根(211024)


オトメスミレ

オトメスミレ すみれ科
明神ヶ岳(210402)


オニシバリ(ナツボウズ)

オニシバリ じんちょうげ科
山地にはえる有毒で毛のない落葉低木、雌雄異株、高さ1m内外
茎:直立分枝、灰茶色、ひどく丈夫で容易に切れない
葉:互生、軟らかい、倒皮針形、全縁、短葉柄、枝先に集まる、秋に伸びて冬越し、夏は落葉
花:早春に黄緑色の花が葉腋に集まって咲く、がくは筒状4裂、花弁なし、雄蕊8、雌蕊1、雌花は雄花より小さい
※樹皮は日本紙の材料になる
南郷山(190224)


オニシモツケ

オニシモツケ ばら科
山地にはえる多年生草本.高さ1〜2m.茎は緑色で直立し、数枚の茎上葉を互生する
葉:大形の広卵形、基部は心臓形、多くは掌状に5中裂する.裂片は三角形または卵状三角形、ふちには切れ込み状で重歯牙状の鋸歯がある.上面は無毛、下面はやや無毛で、葉脈状に粗毛がある.葉柄は強くて丈夫
花:夏、茎頂が分枝して集散状散房花序を作って、多数の白小花を密集して開く.萼片は円状卵形、背面に反り返り、両面に毛がある.花弁は倒卵状円形、雄蕊は花弁よりずっと長く、花糸は糸状、雌蕊は背腹に毛がある
日本名:鬼下野
槍ケ岳(190818)


オノエラン

オノエラン らん科
高山の向陽地にはえる多年生草本
茎:緑色で細長く、もとはさやで包まれている
葉:根元に2枚向いあってついており、広楕円形または楕円形.先は鈍頭または鋭頭で基部は茎を包み、上部に小形の葉が1枚あるが針形をして尖る
花:7月頃葉の間から出た茎梢に短い総状花序を出して3〜4の花を一方に向けて開き、花の下にはいずれも緑色の針状の包葉があって長さは殆ど子房と同じである.花は純白で閉会しない.外花被3片は卵形で、内花被2片は線状の楕円形をしている.唇弁は倒皮針形のへら形をして浅く3つに尖り、基部には円頭の短距があって下に向いている.下位の子房は狭く長い
檜洞丸(210613)


オミナエシ(オミナメシ)

オミナエシ おみなえし科
山野の多年草、株側で新苗が分かれて繁殖
茎:直立、やや太く、下部に多少粗毛
葉:対生、羽状に分裂、裂片は狭尖
花:茎上部で分枝、枝先に黄色い細花を多数つけて散房状、花冠5裂、筒部は短、雄蕊4個雌蕊1本
箱根外輪山(170924)


オヤマノエンドウ

オヤマノエンドウ まめ科
高山の草原や砂れき地にはえる.根は木化して太く長くのびる
葉:数個密につき、葉柄は全長のほぼ半分くらいの長さで白色の毛が散生する.小葉は4〜7対、狭卵形で先は鋭形、両面に軟毛があり、ふちに絹毛がある.托葉は膜質、薄茶色、狭卵形でまばらに毛があり、背面は中ほどまで葉柄に癒合する
花:6〜8月に葉腋から総状花序をだす.花序は長さ2〜6cmの梗があり、その先にふつう1〜2個の花をつける.花の基部に長楕円形の苞があり、小花梗とともに黒色の毛がある.花は紅紫色で、がく裂片はがく筒の約1/3の長さで狭皮針形、白色の長軟毛と黒褐色の剛毛がやや密にはえる.旗弁は他の花弁より著しく大きく、基部に白斑がある.翼弁は旗弁とほぼ同長.竜骨弁は他の花弁より短く、先端は短く尖る
鹿島槍ヶ岳(200717)


オヤマボクチ

オヤマボクチ きく科
日当たりのよい山野に生える多年草
茎:直立、帯紫色で太い、白色蜘蛛の糸状毛、上部で短く分枝
葉:根葉は下面に白色綿毛を密生、大形三角状卵形、先尖、基部心臓形、互生、短葉柄から無柄
花:秋、枝先に暗紫色の頭花、横向きから下向
三ツ峠(151004)


オヤマリンドウ

オヤマリンドウ りんどう科
高山帯の草地に生える多年草
茎:直立、丸い
葉:下部の数対の葉は短さや状に退化、10〜12対、広皮針形、先やや尖り、基部は茎を抱き、葉は白色帯び3脈が目立つ
花:夏から秋、茎頂または上部の葉腋に1〜7個の無柄の紫色の花、花冠は鐘状5裂、裂片の間に副裂片、雄蕊5本、筒の半ばより下、雌蕊1本、柱頭は2裂
涸沢(170817)


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