二〇〇〇年 | 日付不明 | |・アンバーリン・ラピエール、失踪。 | カリフォルニア州サクラメントにて、ラピエールという |少女が、両親の在宅する自宅から、忽然と姿を消した。 | ラピエールの失踪には、一九七九年に、サマンサの死に |関与した善霊・“ウォーク・イン”が、重大な役割を果た |していた。実は、ラピエールもまた、サマンサと同様、悲 |惨な最期を迎える運命にあった。そんなラピエールに、せ |めて、安らかな死を与えようと、“ウォーク・イン”は、 |その肉体ごと、星の光に還元したのだった。 | そうとは知らぬモルダーであったが、ラピエールに、サ |マンサの面影を重ねて、失踪事件の捜査を開始する。 | |・ティナ、自殺。 | 実は、ティナは、ページェント乳ガンという、不治の奇 |病に冒されていたのだった。 | 自殺の直前、ラピエール失踪事件を知ったティナは、モ |ルダーとの連絡を試みていた。あるいは、サマンサがすで |に、この世の人ではない事を、ティナは、承知しており、 |その事を、モルダーに告白しようとしたのかもしれない。 | |・モルダー、サマンサと再会。 | ハロルド・ピラーという霊能力者の協力を得て、モルダ |ーは、ラピエールの魂と共に、“ウォーク・イン”の保護 |下にあった、サマンサのそれと対面した。 | サマンサの死、という事実を、受け入れる事によって、 |モルダーはようやく、少年時代の心的外傷に端を発した、 |長きに渡る探求の旅から、解放されるに至った。 | 二月? | |・スカリー、不妊治療を開始。 | 一九九四年の誘拐事件で、卵子を採取された後遺症によ |って、スカリーは、生殖能力を失ってしまった。事実、モ |ルダーが、一九九六年に、ロンバード研究所で発見・入手 |した、スカリーの卵子には、生育不可能との診断が、下さ |れていた。 | しかしながら、母親になる、という夢を、諦める事がで |きなかったスカリーは、ジェームズ・パレンティという産 |婦人科医の元に、問題の卵子を持ち込み、改めて、分析を |依頼する。 | その結果、問題の卵子には、一転して、生育可能との診 |断が、下される事となった。 | |・スカリー、モルダーの精子提供を受けて、人工授精によ |る妊娠を試みる。 | 実は、パレンティは、“無敵兵士”計画に従事する、科 |学者であった。 | “無敵兵士”計画は、被験者の卵子に、遺伝子操作を施 |す事によって、“無敵兵士”の開発を行う、第二段階に突 |入していた。“先住民”はおそらく、灰燼に帰した交配種 |研究を、“無敵兵士”計画で代用すれば、地球への再入植 |を、予定通りに実行できる、と、判断したのであろう。 | 第二段階における実験では、交配種研究の被験者から、 |採取された卵子が、再利用される事となった。そうして、 |遺伝子操作を施された卵子は、人工授精を経て、やはり、 |交配種研究の被験者を、代理母として、生育される事とな |った。つまり、スカリーもまた、“無敵兵士”の代理母と |して、白羽の矢を立てられた一人であったのだ。 | まさか、卵子に、遺伝子操作が施されようとは、夢にも |思わぬまま、スカリーは、モルダーから、精子の提供を受 |けて、人工授精に挑戦する。 | 五月六日〜七日 | |・モルダー、脳腫瘍の治療を断念。 | モルダーが、前年に発病した脳腫瘍は、悪化の一途をた |どっていた。 | そこで、モルダーは、最後の望みを懸けて、ペンシルヴ |ェニア州を訪れ、“ソウル・イーター”と呼ばれる超能力 |者に、脳腫瘍の治療を依頼する。 | しかしながら、モルダーは結局、脳腫瘍の治療を断念し |た。多大な苦痛を、“ソウル・イーター”に肩代わりさせ |てまで、自身の延命に固執する事を、潔しとしなかったの |である。 | 五月十日? | |・オレゴン州にて、UFOの墜落事故が発生。 | 太古のUFOによって、前年、一時的に交配種と化した |のは、モルダーばかりではなかった。交配種研究の実験台 |として、利用された過去を持つ人々もまた、モルダーと同 |様の経過を、たどっていたのだった。 | “先住民”は、それらの人々を、“無敵兵士”計画の実 |験台として、利用すべく、交配種研究の証拠を、回収・抹 |消する一方で、次々と誘拐していった。 | しかしながら、その作業に従事していた、“ハンター” |のUFOが、米国海軍の戦闘機と激突・墜落するという、 |不測の事態が生じた。 | 奇しくも、UFOの墜落現場となった、オレゴン州ベル |フルールは、一九九二年、モルダーとスカリーが初めて、 |捜査を共にした、“先住民”による誘拐事件が、発生した |土地であった。 | 五月十一日? | |・クライチェック、流刑者収容所を出所。 | クライチェックは、コバルービアスの手配で、前年から |服役していた、流刑者収容所を出所した。 | 一九九七年に、“ピュリティー”に感染して以来、ワク |チン開発の実験台として、利用されていたはずのコバルー |ビアスを、クライチェックの元に遣わしたのは、“タバコ |を吹かす男”であった。 | “タバコを吹かす男”は、オレゴン州ベルフルールでの |出来事を、第二のロズウェル事件と考え、墜落したUFO |の発見・回収を、クライチェックに命じるのだった。 | この時点で、反乱分子のために、壊滅状態となった“影 |の政府”は、“先住民”と“無敵兵士”に乗っ取られ、形 |骸化していたものと、推測される。さもなければ、裏切者 |のクライチェックを、“タバコを吹かす男”がわざわざ、 |呼び戻すはずがない。 | “タバコを吹かす男”はおそらく、今回の墜落事故をき |っかけに、“先住民”と再び、対等な協調関係を締結し、 |“影の政府”を再興しようと、画策したのであろう。 | 五月十二日〜十三日? | |・モルダーとスカリー、UFOの墜落事故を調査。 | モルダーとスカリーは、一九九二年以来で、オレゴン州 |ベルフルールを訪れ、現地調査を行ったものの、何の成果 |も得られずに終わる。 | その間、墜落したUFOは、張り巡らせたエネルギー・ |フィールドに、身を潜めて、自己修復を行っていた。 | 五月十三日〜十四日 | |・モルダー、ティナの墓参をする。 | モルダーは、ノース・カロライナ州ローリーの墓地を訪 |れ、ティナの墓を参った。死を覚悟したモルダーは、毎週 |末のように、この墓地を訪れ、モルダー家の墓碑に、自身 |の名を刻印していた。 | 五月十五日? | |・モルダー、誘拐。 | クライチェックとコバルービアスの情報提供を受けて、 |モルダーは再び、オレゴン州ベルフルールを訪れる。そし |て、ついに、墜落したUFOを発見したものの、それが仇 |となった。 | モルダーは、“無敵兵士”計画の実験台として、自己修 |復を完了したUFOに、誘拐されてしまう。 | |・クライチェック、“タバコを吹かす男”の殺害を画策。 | “タバコを吹かす男”に、過去の遺物を見て、失望を覚 |えたのか、それとも、単なる復讐のためか……いずれにし |ても、クライチェックにとって、“タバコを吹かす男”の |後継者を志願していた自分は、もはや、過去のものであっ |たのだろう。クライチェックは、“タバコを吹かす男”の |殺害を画策する。 | にもかかわらず、一九九六年と同様に、またしても、一 |命を取り留めた“タバコを吹かす男”は、アナサジ族の砦 |に避難する。十四世紀に、アナサジ族の賢者が、そうした |ように、マグネタイトを盾にして、“先住民”による、地 |球への再入植を生き延びようと、画策したのである。 | 一方、クライチェックは、コバルービアスと共に、“先 |住民”の出先機関と化した“影の政府”へと、復帰したも |のと推測される。 | 五月十六日? | |・スカリー、妊娠判明。 | スカリーが、オレゴン州ベルフルールを再訪するモルダ |ーに、同行しなかったのは、原因不明の体調不良に、その |原因があった。 | しかしながら、原因不明と思われた体調不良は、実は、 |妊娠に起因したものだった。 | 五月十七日? | |・ドゲット、特別捜査班長に着任。 | 一九九五年のFBI入局以来、暴力犯罪課での勤務を続 |けていたドゲットは、モルダー誘拐事件を捜査すべく、組 |織された特別捜査班の、班長に抜擢された。 | 特別捜査班を組織し、その班長に、ドゲットを抜擢した |のは、長官代理に着任したばかりの、カーシュであった。 |カーシュは、副長官時代、モルダーとスカリーを、監察下 |に置いていた,因縁浅からぬ人物であった。 | 五月十八日〜十九日? | |・スカリーとスキナー、UFOを追跡。 | 懐疑主義者のドゲットに、モルダーを救出する事はでき |ない……そう判断したスカリーとスキナーは、“ローン・ |ガンマン”の協力を得て、UFOの追跡を、独自に行う。 | その結果、UFOは現在、オレゴン州から、アリゾナ州 |に移動している事が、判明した。 | UFOの目的は、一九九七年に、アリゾナ州で失踪した |プレイズを、誘拐する事にあった。その事に察しをつけた |スカリーとスキナーは、早速、アリゾナ州に向かう。 | 五月十九日? | |・スカリーとスキナー、プレイズを救出。 | スカリーとスキナーは、アリゾナ州フレミングタウンの |聾学校において、潜伏生活を送っていたプレイズを、“ハ |ンター”の魔手から、救出する事には、成功したものの、 |モルダーの救出には、至らなかった。 | プレイズはその後、FBIの特別警護を経て、ニュー・ |メキシコ州ウィード・ホープの砂漠で、潜伏生活を送るよ |うになる。 | 日付不明 | |・ドゲット、X−ファイル課に転属。 | 特別捜査班長として、モルダー誘拐事件を、解決できな |かった責任を取って、ドゲットは、X−ファイル課に転属 |し、引き続き、モルダーの捜索にあたる事となった。 U U 続く ※参照 |