一九九四年 | 日付不明 | |・“タバコを吹かす男”、アレックス・クライチェックを |FBIに潜入させる。 | クライチェックは、“タバコを吹かす男”に仕える暗殺 |者であり、その任務は、モルダーとスカリーを監視する事 |にあった。 | 公安課・通信監視担当という閑職にありながらも、真実 |をなお、追究しようとするモルダーと、それに尽力するス |カリーを、“タバコを吹かす男”は、危険視したのだ。 | “タバコを吹かす男”は、スキナーに圧力を加え、新人 |捜査官として、FBIに潜入させたクライチェックを、モ |ルダーの相棒に据える。 | |・“X”、モルダーに接触。 | “X”は、“影の政府”の一員として、“タバコを吹か |す男”の元で働く一方、今は亡き“ディープ・スロート” |にも、恩義があった。 | その恩義に報いるため、“X”はやむなく、“ディープ |・スロート”の遺志を継いで、“タバコを吹かす男”を裏 |切り、モルダーへの情報提供を開始した。 | 八月七日〜 | |・デュエイン・ベリー、旅行代理店に立て篭もる。 | “先住民”による誘拐経験者であり、精神障害者でもあ |るベリーが、ヴァージニア州のデイヴィス更正治療センタ |ーを脱走し、人質を取って、旅行代理店に立て篭もった。 | その目的は、身代わりを立てる事によって、“先住民” |による誘拐・人体実験を、逃れる事にあった。 | X−ファイル課での経験から、ベリーとの交渉を任され |た、モルダーであったが、事件は結局、特殊部隊による狙 |撃で、幕引きとなった。ベリーは幸い、一命を取り留め、 |ジェファーソン記念病院に収容された。 | |・スカリー、誘拐。 | スカリーを、自宅から誘拐したのは、ジェファーソン記 |念病院を脱走した、ベリーであった。 | クライチェックの妨害を受けたモルダーが、ベリーを発 |見した時には、手遅れであった。スカリーはすでに、ベリ |ーによって、“先住民”と“影の政府”に、引き渡された |後であった。 | |・ベリー、暗殺。 | ベリーは、“タバコを吹かす男”によって、利用されて |いたに過ぎなかった。“タバコを吹かす男”にとって、ベ |リーの供述を裏付ける証拠を、入手していたスカリーは、 |邪魔者以外の何者でもなかった。だからこそ、“先住民” |による誘拐・人体実験を、逃れたい一心のベリーをそその |かして、スカリーを誘拐させたのだった。さらに、スカリ |ーを誘拐すれば、モルダーを孤立させる事もできる。 | そして、スカリーの誘拐に成功した以上、ベリーはもは |や、無用の存在であった。ベリーは、口封じのために、毒 |殺された。その実行犯はおそらく、クライチェックと推測 |される。 | |・X−ファイル課、再開。 | モルダーが、その正体を看破した時には、クライチェッ |クはすでに、消息を絶った後であった。 | X−ファイル課という専門部署が、存続していさえすれ |ば、今回のような事態は、避けられたはずであった。その |事を痛感したのであろう。スキナーの独断によって、X− |ファイル課は、再開される事となった。それに伴って、モ |ルダーもまた、X−ファイル課に復帰した。 | 十月二十九日以降 | |・スカリー、帰還。 | 誘拐事件から四週間後、スカリーは突如、意識不明のま |ま、ジョージタウン北東医療センターに、姿を現した。 | 交配種研究、そして、米国政府の兵器研究に利用され、 |生死の境を彷徨ったスカリーであったが、何とか、九死に |一生を得て、X−ファイル課に復帰した。 | 十一月二日 | |・エミリー・シム、誕生。 | 交配種研究の一環として、スカリーは、放射線照射を受 |け、過剰排卵を誘発させられた。そうして、採取された卵 |細胞を用いて、創り出されたのが、エミリーであった。 | エミリーはその後、シム夫妻の養子になり、交配種研究 |の実験台として、利用される事となった。 | 一九九五年 | 日付不明 | |・ドゲット、FBIに入局。 | 暴力犯罪課に配属された。 | 四月十日〜 | |・MJファイル、漏洩。 | MJファイルとは、“影の政府”が、前身の特殊対策チ |ーム時代から、約五十年に渡って、繰り広げてきた陰謀の |全てを記録した、極秘文書である。 | 国防総省によって、厳重に保管されていたはずの、MJ |ファイルであったが、“ローン・ガンマン”の一員、ケネ |ス・スーナによって、ハッキングされ、漏洩に至った。 | |・モルダー、MJファイルを入手。 | “ローン・ガンマン”を介して、スーナに接触したモル |ダーは、MJファイルが保存されたDATテープを、入手 |する事に成功した。しかしながら、MJファイルは、米国 |先住民族・ナヴァホ族の言語で、暗号化されていた。 | スーナはその後、“影の政府”によって、暗殺された。 | |・ビル、暗殺。 | ビルは、MJファイル漏洩の経緯を、久しぶりの再会を |果たした“タバコを吹かす男”から、打ち明けられた。 | 愕然としたビルは、“タバコを吹かす男”の忠告に背い |て、自身の過去を、モルダーに懺悔する決意を、固めたも |のの、それを果たす前に、暗殺されてしまった。 | その実行犯は、“タバコを吹かす男”の指示を受けた、 |クライチェックであった。ビルはその後、マサチューセッ |ツ州ボストンの、パークウェイ墓地に埋葬された。 | |・モルダー、瀕死の重傷を負う。 | モルダーとスカリーは、ニューメキシコ州ファーミント |ンを訪れ、ナヴァホ族の老人、アルバート・ホスティーン |に、MJファイルの解読を依頼する。 | モルダーはさらに、MJファイルの解読作業を、スカリ |ーに任せて、ホスティーンの示唆で、単身、ナヴァホ族居 |留地に向かった。 | ナヴァホ族居留地に眠っていたのは、交配種研究におい |て、実験台となった人々の、死体であった。 | しかしながら、それらの物証も、“タバコを吹かす男” |によって、爆破されてしまった。その爆発に巻き込まれた |結果、モルダーは、瀕死の重傷を負う。 | |・モルダー、生還。 | ホスティーンによって、ナヴァホ族が代々、受け継いで |きた“救済の儀式”を、施されたモルダーは、三日間、生 |死の境を彷徨った果てに、生還した。 | |・スカリー、金属片を摘出。 | ふとした偶然から、スカリーは、自身の盆の窪に、身に |覚えのない金属片が、移植されている事実を知った。 | 問題の金属片は、交配種研究、そして、米国政府の兵器 |研究に伴う、人体実験の副作用である、特殊なガンの発病 |を抑制するために、移植されたものであった。 | しかしながら、そうとは知らぬスカリーは、問題の金属 |片を、摘出してしまった。 | |・スカリー、“身だしなみの良い男”の接触を受ける。 | “影の政府”のリーダー格である、“身だしなみの良い |男”の忠告によって、スカリーは、自身の暗殺計画が、進 |行している事実を知る。モルダーが死亡したものと、思い |込んでいる“影の政府”は、スカリーをも、口封じに殺害 |しようと、画策していたのである。 | しかしながら、スカリーの暗殺はかえって、事態を悪化 |させる、というのが、“身だしなみの良い男”の持論であ |った。 | “身だしなみの良い男”の忠告が奏効して、スカリーは |危うく、窮地を脱したが、その身代わりとなって、姉・メ |リッサが、凶弾に倒れてしまう。実行犯はやはり、クライ |チェックであった。クライチェックは、ルイス・カーディ |ナルという暗殺者と共に、犯行に及んだのだった。 | |・モルダーとスカリー、ストラグホールド鉱山を訪れる。 | “救済の儀式”によって、生還したモルダーは、スカリ |ーと合流し、ビルの遺品を手がかりに、ペーパークリップ |作戦で、米国に帰化し、交配種研究に従事していた、ヴィ |クター・クレンパーに対面した。 | クレンパーの証言を元に、モルダーとスカリーは、ウエ |スト・バージニア州のストラグホールド鉱山を訪れ、そこ |に保存されている、大量の遺伝子標本を発見した。それら |は、交配種研究のために、一九五〇年代から収集されてい |た、一般市民の遺伝子標本であった。 | クレンパーはその後、“影の政府”によって、口封じに |暗殺された。 | |・スキナー、DATテープを奪還される。 | スキナーは、モルダーとスカリーの身を案じて、DAT |テープを預かっていた。しかしながら、クライチェックと |カーディナルの襲撃を受けた結果、そのDATテープを、 |奪還されてしまった。 | |・クライチェック、逃亡。 | モルダーが生存していたばかりか、スカリーの暗殺にま |で、失敗をした結果、“タバコを吹かす男”は、“影の政 |府”において、窮地に立たされる。 | そんな“タバコを吹かす男”によって、全責任を押しつ |けられる形で、クライチェックは危うく、暗殺されるとこ |ろであったが、間一髪のところで、窮地を脱した。 | 逃亡したクライチェックの懐には、スキナーから奪還し |たDATテープが、収められたままであった。 | |・メリッサ、死亡。 | 凶弾に倒れたメリッサは、ついに、意識を回復する事の |ないまま、この世を去った。 | メリッサの死を、無駄にしないためにも、モルダーとス |カリーは改めて、真実を追究する事を誓うのだった。 U U 続く ※参照 |