一九九六年

十二月二十一日〜

|・スカリー、エミリーの存在を知る。
| スカリーは、ふとした偶然で、一九九四年の誘拐時に採 |取された卵子から、エミリーという実娘が、誕生していた |事実を、突き止めるに至った。
| その時点で、モルダーに遅れる事、数ヶ月――スカリー |もまた、自身の生殖能力が失われている事実を、承知して |いた。
| スカリーは、養子縁組を申請するものの、交配種研究の |実験台として、利用されてきたエミリーは、すでに、余命 |いくばくもない状態であった。
| 結局、スカリーにできた事は、エミリーの延命治療を中 |止して、安らかな死を与える事のみであった。

一九九七年

日付不明

|・一部の“ハンター”、“先住民”に反旗を翻す。
| 反乱分子の目的は、“先住民”の支配を逃れる事と、推 |測される。
| 反乱分子はおそらく、交配種が完成した暁には、“先住 |民”がさらに、勢力を増す事を、危惧したのであろう。そ |こで、地球再入植計画を、白紙に戻す事によって、交配種 |の完成を阻止しようと、画策したのではないか。
| 反乱分子はまず、“影の政府”に対して、妨害工作を開 |始した。交配種研究の実験台として、誘拐された人々を、 |移植されている金属片を利用して、ロシア・カザフスタン |に召集し、虐殺したのである。
| この大量虐殺事件は、すぐさま、“影の政府”の知ると |ころとなり、コバルービアスが、情報収集のために、現地 |に派遣されたものの、クライチェックの妨害に遭う。

|・モルダーとスカリー、スペンダー母子と知り合う。
| モルダーは、ふとした偶然から、“タバコを吹かす男” |の元妻・カサンドラに対面する。しかしながら、懐疑主義 |に陥っているモルダーは、地球外知的生命体によって、三 |十年以上もの間、誘拐されてきた、という、カサンドラの |主張を、どうしても、信じる事ができなかった。
| その一方で、スカリーは、カサンドラの一子、ジェフリ |ー・スペンダーの接触を受ける。スペンダーもまた、モル |ダーやスカリーと同様、FBI捜査官であった。
| スペンダーは、カサンドラの言動が、精神障害に起因す |るものと、考えていた。そんなスペンダーから、スカリー |は、カサンドラについて、口外せぬよう、要請を受ける。

|・クライチェック、渡米。
| クライチェックは、カザフスタンの大量虐殺事件を、唯 |一、生き残った少年・ディミトリを伴って、何の許可も得 |ないまま、ロシアを出国した。
| ディミトリの目撃証言で、反乱分子の発生を知ったクラ |イチェックは、その事実と、ロシアに無断で持ち出した、 |“ピュリティー”のワクチンを利用して、“影の政府”を |揺さぶろうと、画策したのだった。

|・コバルービアス、“ピュリティー”に感染。
| 実は、クライチェックと肉体関係にあったコバルービア |スは、それを利用して、監禁されていたディミトリの救出 |に、成功する。その目的は、ディミトリを、大量虐殺事件 |の証人として、モルダーに引き渡す事であった。
| しかしながら、クライチェックは、万が一に備えて、デ |ィミトリを、“ピュリティー”に感染させていた。そうと |は知らぬコバルービアスは、“ピュリティー”に二次感染 |した結果、ディミトリの逃走を許してしまう。
| コバルービアスはその後、“影の政府”に拘束され、実 |験台として、“ピュリティー”のワクチン開発に、利用さ |れる事となった。

|・カサンドラ、誘拐。
| 反乱分子はまたしても、大量虐殺を画策し、交配種研究 |の実験台とされた人々を、ペンシルヴェニア州のラスキン |・ダムに召集する。それらの人々の中には、スカリーやカ |サンドラ、そして、ディミトリも、含まれていた。
| しかしながら、“先住民”の反撃によって、被害は、最 |小限に食いとめられた。ディミトリは、残念ながら、死亡 |してしまったものの、スカリーは無事、生還する事ができ |たのである。
| 反乱分子を返り討ちにした“先住民”は、カサンドラの |みを誘拐し、ラスキン・ダムを去った。これはおそらく、 |カサンドラが、交配種研究の実験台として、目覚ましい成 |果を挙げていたためであろう。

|・クライチェック、“ピュリティー”のワクチンを、“身だしなみの良い男”に譲渡。
| ディミトリという切札を、失ってしまったクライチェッ |クは、一転、保身のために、“ピュリティー”のワクチン |を、“身だしなみの良い男”に譲渡し、“影の政府”の傘 |下に入る。

|・“身だしなみの良い男”、“先住民”への抵抗を画策。
| 反乱分子のUFOが、ウエスト・ヴァージニア州ウィー |・キャンプ空軍基地において、墜落事故を起こした。“影 |の政府”は、その乗組員を捕虜とする事で、ようやく、大 |量虐殺事件の真相を、承知するに至った。
| 事態を受けて、“ピュリティー”のワクチンを入手した |“身だしなみの良い男”は、新たな協調関係を、反乱分子 |との間に締結し、“先住民”への抵抗を試みようと、“太 |った男”を初めとする、“影の政府”の面々を説得する。
| しかしながら、ワクチンの有効性を疑問視する“太った |男”らは、反乱分子の捕虜を、“先住民”に引き渡し、そ |れまでの協調関係を、継続する事を決定する。

|・モルダー、反乱分子の捕虜を、奪還しようと試みる。
| モルダーは、反乱分子の捕虜が、“先住民”に引き渡さ |れようとしている事実を、クライチェックから、知らされ |る。モルダーの元に、クライチェックを遣わしたのは、も |ちろん、“先住民”への抵抗を諦めきれない、“身だしな |みの良い男”であった。
| モルダーは、失ってしまった信念を取り戻す、最後の機 |会が訪れた事を直感して、スカリーと共に、ウィー・キャ |ンプ空軍基地に向かう。
| 残念ながら、反乱分子の捕虜を、奪還する事はできなか |ったものの、モルダーはようやく、かつての信念を取り戻 |すに至った。

日付不明

|・ギブソン・プレイズ、狙撃を受ける。
| 現生人類の脳には、
有史以前に交配された、“先住民” |の遺伝子が、休眠状態で存在している。その遺伝子が、例 |外的に活性化している、いわば、先天的交配種とも呼称す |べき存在が、プレイズという少年であった。
| 地球への再入植開始が、早まる事を恐れた“影の政府” |は、プレイズの存在が、“先住民”の知るところとなる前 |に、その暗殺を画策する。しかしながら、読心能力を有す |るプレイズを前に、暗殺は、失敗に終わる。さらに、“影 |の政府”の依頼を受けた狙撃犯は、暗殺任務を果たせなか |ったばかりか、逃亡に失敗して、逮捕されてしまう。

|・モルダー、ファウリーと再会。
| プレイズ暗殺未遂事件は、スペンダーの指揮下で、捜査 |が開始される事となった。
| その捜査会議の席上で、モルダーは、ヨーロッパ支局か |ら、FBI本部に復帰したファウリーと、一九九一年以来 |の再会を果たした。

|・“タバコを吹かす男”、帰国。
| カナダでの潜伏生活を送っていた“タバコを吹かす男” |は、“影の政府”の依頼を受け、米国の土を踏んだ。その |依頼内容が、プレイズ暗殺未遂事件の収拾であった事は、 |言うまでもない。

|・モルダーとスカリー、狙撃犯の免責を申請。
| 脳検査の結果、プレイズの読心能力が、あらゆる超常現 |象の謎を解く、マスター・キーにあたる事を、モルダーと |スカリーは、確信するに至った。
| 狙撃犯の証言を得られれば、プレイズの重要性が、さら |に明確となる。そこで、モルダーとスカリーは、刑事責任 |の免責を交換条件に、狙撃犯の証言を引き出すべく、スキ |ナーを介して、司法長官に働きかける。

|・プレイズ、誘拐。
| “タバコを吹かす男”は、プレイズを誘拐した上で、狙 |撃犯を暗殺して、口を封じる事により、“影の政府”の依 |頼通りに、事態の収拾を図った。

|・X−ファイル課、閉鎖。
| 超常現象の立証を動機に、モルダーとスカリーが行った |免責申請は、司法長官にしてみれば、到底、受け入れられ |るものではなかった。さらに、カサンドラの失踪は、モル |ダーに責任がある、と、思い込んでいるスペンダーが、こ |こぞとばかりに、追及を開始した事もあって、X−ファイ |ル課は、存続の危機に立たされる。
| これこそが、“タバコを吹かす男”の目的であった。こ |の機を逃がさずに、“タバコを吹かす男”は、オフィスご |と、X−ファイルを焼き払った。その結果、X−ファイル |課は、否応もなく、閉鎖される事となり、モルダーとスカ |リーは、テロ対策課に転属となった。

日付不明

|・“ピュリティー”、突然変異。
| 有史以前から、“ブラック・オイル”という石油層で、 |密かに繁殖していた“ピュリティー”が、突然変異を起こ |した。感染した宿主の体内で、先祖帰りをする以前の“先 |住民”に戻って、復活する、という、新種のウイルスとし |て、生まれ変わったのである。
| テキサス州にて、地上に表出した、“ピュリティー”の |突然変異体は、少年一人と、その救出にあたった消防隊員 |四名を、次々と冒した。事態を把握した“影の政府”は、 |すぐさま、五名の感染者を収容し、事実の隠蔽を図った。

|・モルダー、カーツウェルの接触を受ける。
| モルダーはある日、カーツウェルという産婦人科医の接 |触を受けた。カーツウェルはかつて、ビルと共に、一般市民の遺伝子標本収集にあたっていた、同僚であった。
| カーツウェルの目的は、情報提供にあった。それは、つ |い先日、テキサス州ダラスで発生した、ビルの爆破事件に |関する情報であった。
| 問題の爆破事件は、“ピュリティー”の突然変異体によ |って、死亡した感染者の死体を、隠蔽するためだけに、引 |き起こされたものであった――カーツウェルから、提供さ |れた情報は、さすがのモルダーも、にわかには、信じがた |いものであった。その信憑性を確認すべく、モルダーは、 |X−ファイル課がもはや、存在しないにもかかわらず、ス |カリーと共に、独自調査を開始する。

|・“身だしなみの良い男”、“先住民”への抵抗を再度、“影の政府”に提案。
| “ピュリティー”の突然変異が、重大な背信行為にあた |るとして、“身だしなみの良い男”は、“先住民”との協 |調関係を即刻、破棄すべきだ、と、主張した。
| しかしながら、コンラッド・ストラグホールドを初めと |する、“影の政府”の面々は、“身だしなみの良い男”の |主張を退け、“先住民”との協調関係を、継続する事を決 |定する。ここに至って、“身だしなみの良い男”はいよい |よ、“影の政府”において、孤立する事となった。

|・スカリー、“ピュリティー”の突然変異体に感染。
| カーツウェルの情報を手がかりに、モルダーとスカリー |は、テキサス州境に建設された、“影の政府”の研究施設 |を発見した。それは、モルダーが二年前、カナダで発見し |た、“ピュリティー”伝播方法の研究施設が、大規模化し |たものであった。
| しかしながら、この研究施設での、潜入調査を行ったが |ために、スカリーは、そこに保管されていた、“ピュリテ |ィー”の突然変異体に、感染してしまう。この事実を知っ |た“影の政府”によって、スカリーは誘拐、南極大陸の研 |究施設に、収容されてしまう。

|・“身だしなみの良い男”、死亡。
| “影の政府”の指示で、カーツウェルを暗殺した“身だ |しなみの良い男”は、そのまま、モルダーに接触する。
| しかしながら、モルダーをも暗殺するよう、指示を受け |ていたにもかかわらず、“身だしなみの良い男”は、それ |に背く。“身だしなみの良い男”は、“先住民”との協調 |関係に端を発する、壮大な陰謀について、告白した上で、 |未来と戦う事を、モルダーに託した。
| モルダーと別れた直後、“身だしなみの良い男”は、壮 |絶な爆死を遂げた。おそらくは、自殺と推測される。

|・モルダー、スカリーを救出。
| “身だしなみの良い男”の情報を手がかりに、モルダー |は、スカリーを救出すべく、南極大陸に渡った。
| スカリーが収容されていたのは、“ピュリティー”の研 |究施設を兼ねて、氷原下に潜伏する、巨大なUFOであっ |た。そのUFOに潜入したモルダーは、“身だしなみの良 |い男”に託された、“ピュリティー”のワクチンを投与す |る事で、スカリーの救出に成功する。

|・X−ファイル課、再開。
| 今回の事件を受けて、FBIは、X−ファイル課の再開 |を決定したものの、担当捜査官については、未定となる。

日付不明

|・“ピュリティー”の突然変異体、流出。
| アリゾナ州フェニックスにて、“影の政府”の手で、厳 |重に保管されていたはずの、“ピュリティー”の突然変異 |体が、流出した。研究に従事していた科学者が、誤って、 |感染した事が、その原因であった。
| 幼体に成長して、科学者の体内から孵化した、“ピュリ |ティー”の突然変異体は、成体となるのに必要な高温を求 |め、姿を消した。

|・スペンダーとファウリー、X−ファイル課に転属。
| モルダーは、X−ファイル課を再開すべく、焼却された |X−ファイルの復元に、取り組んでいた。
| にもかかわらず、X−ファイル課の担当捜査官として、 |FBIに指名されたのは、何と、スペンダーとファウリー |であった。両者は共に、“タバコを吹かす男”の意を受け |ていた。
| スキナーの情報提供で、“ピュリティー”の突然変異体 |が、流出した事を知ったモルダーは、その存在を立証する |事で、FBIに翻意を促そうと、スカリーと共に、再度、 |独自調査を開始する。

|・プレイズ、失踪。
| 幼体に成長した、“ピュリティー”の突然変異体を発見 |するために、“タバコを吹かす男”は、“影の政府”の研 |究施設に収容されていた、プレイズの読心能力を、利用す |る事にした。
| しかしながら、“タバコを吹かす男”の注意が逸れた、 |一瞬の隙をついて、プレイズは逃亡する。

|・モルダーとスカリー、アルヴィン・カーシュ副長官の監察下に。
| モルダーとスカリーは結局、幼体に成長した、“ピュリ |ティー”の突然変異体を、発見する事ができなかった。そ |ればかりか、組織の枠をはみ出した、独自調査の責任を、 |FBIに追求される事となってしまう。
| その結果、モルダーとスカリーは、X−ファイル課に関 |与する事を禁止され、カーシュの監察下に、置かれる事と |なった。
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続く

※参照
 昇天(2x05, 2x06, 2x08)
 支配者(4x01)
 クリスマス・キャロル/エミリー(5x06, 5x07)
 ペイシェントX/赤と黒(5x13, 5x14)
 ジ・エンドビギニング(5x20, 6x01)
 ザ・ムービー(劇場版第一作)
 真実(9x19, 9x20)