一九九八年

日付不明

|・クライチェック、スキナーに、ナノボットを注入。
| クライチェックは、スキナーを、操り人形に仕立て上げ |るべく、その体内に、致命的な血管障害を引き起こす、超 |微小サイズのマシン・ナノボットを注入した。
| ナノボットは、クライチェックの思うがままに起動し、 |スキナーの命を、容易に奪う事ができる。それゆえに、ス |キナーは、クライチェックの思惑通り、その指示に、従わ |ざるを得ない身の上となってしまう。

日付不明

|・交配種、完成。
| 交配種となったのは、前年、“先住民”に誘拐されたま |ま、行方不明になっていた、カサンドラであった。
| それを知った“影の政府”は、例によって、“先住民” |による、地球への再入植開始を、先送りにすべく、カサン |ドラの殺害を画策した。
| しかしながら、反乱分子の出現で、カサンドラは、“影 |の政府”の魔手を逃れて、生還する。反乱分子は、交配種 |と化したカサンドラを、衆目にさらす事で、地球再入植計 |画を、白紙化させようと、目論んだのだった。

|・反乱分子、“影の政府”に潜入。
| 反乱分子は、地球再入植計画に対して、妨害工作を行う |一方で、その変態能力を利用して、“影の政府”に潜入し |ていた。
| スパイの存在に、最初に気付いたのは、“タバコを吹か |す男”であった。“タバコを吹かす男”が、後継者と目す |るスペンダーは、地球外知的生命体の実在を、未だに否定 |していた。そこで、“タバコを吹かす男”はまず、スパイ |の暗殺を担当させる事で、スペンダーの翻意を促そうと、 |画策する。

|・スペンダー、“タバコを吹かす男”に反旗を翻す。
| クライチェックの協力を得て、スペンダーは何とか、ス |パイの暗殺に成功する。
| 地球外知的生命体を、生まれて初めて、目の当たりにし |て、愕然とするスペンダーに、さらなる追い討ちをかけた |のは、クライチェックの暴露であった。
| “タバコを吹かす男”は長年、交配種研究の実験台とし |て、カサンドラを利用してきた――その事実を知ったスペ |ンダーは、“タバコを吹かす男”との決別を決心する。
| 実は、クライチェックは、“タバコを吹かす男”の後継 |者として、名乗りを上げていた。にもかかわらず、それを |一蹴した、“タバコを吹かす男”に対する復讐が、あるい |は、先述の暴露だったのかもしれない。

|・ファウリー、カサンドラを拘束。
| カサンドラは、FBIの保護下に置かれていたものの、 |自身が、交配種と化した事を知って、脱走する。そして、 |地球再入植計画を白紙に戻すべく、自身を殺害するよう、 |モルダーとスカリーに懇願する。
| しかしながら、“タバコを吹かす男”の意を受けた、フ |ァウリーによって、カサンドラは、モルダーとスカリーか |ら引き離され、フォートマルリン隔離施設に連行される。
| フォートマルリン隔離施設は、一九九四年、“先住民” |の胎児を入手すべく、スカリーが潜入した、“影の政府” |の研究施設であった。

|・“影の政府”、カサンドラの身柄を、“先住民”に引き渡す事を決定。
| “影の政府”はやむなく、カサンドラの身柄を、“先住 |民”に引き渡して、地球への再入植を、開始させる事を決 |定する。“影の政府”は、反乱分子の妨害工作によって、 |“先住民”との協調関係が破綻し、現生人類が死滅する事 |態を、何よりも、恐れたのだった。
| しかしながら、“ピュリティー”のワクチンが、未完成 |である以上、“影の政府”の決定は、現生人類がもはや、 |壊滅的打撃を避けられない事を、意味していた。
| その事実を受けて、スペンダーに裏切られた“タバコを |吹かす男”は、一転、モルダーの懐柔を試みる。“ピュリ |ティー”の猛威を生き延びるには、“影の政府”と共に、 |カサンドラの身柄引き渡しが行われる、エル・リコ空軍基 |地に向かうしかない、と。
| しかしながら、二年前と同様に、モルダーは、“タバコ |を吹かす男”の意に背き、スカリーと共に、カサンドラの |身柄引き渡しを、阻止しようとする。

|・クライチェック、“影の政府”と決別。
| クライチェックは、“影の政府”との決別を決心し、エ |ル・リコ空軍基地ではなく、フォートマルリン隔離施設を |訪れた。あるいは、後継者として、“タバコを吹かす男” |に認められない以上、“影の政府”に留まっても、仕方が |ない、と、考えたのかもしれない。
| クライチェックの目的は、フォートマルリン隔離施設に |保管されている、“先住民”の胎児を、奪取する事にあっ |た。おそらくは、奪取したそれを、売却する事を交換条件 |に、一度は裏切ったロシアへと、帰国する腹積もりだった |のであろう。
| しかしながら、“先住民”の胎児はすでに、反乱分子の |スパイによって、持ち去られた後であった。

|・“影の政府”、壊滅。
| エル・リコ空軍基地は、一九七三年に、“影の政府”と |“先住民”の協調関係が締結された、全ての出発点でもあ |った。そのエル・リコ空軍基地で、“影の政府”は、カサ |ンドラの身柄を、“先住民”に引き渡そうとしたものの、 |反乱分子によって、阻止されたばかりでなく、“タバコを |吹かす男”とファウリーを除く全員が、殺害された。
| カサンドラもまた、死亡が報告されたものの、反乱分子 |によって、“先住民”に対する、抵抗の切り札として、誘 |拐された可能性も、否定できない。
| いずれにせよ、“影の政府”の壊滅で、“先住民”によ |る、地球への再入植を、先送りにしてきた協調関係が、消 |滅した事は間違いない。つまり、現生人類は、いつ、“先 |住民”によって、滅亡へ追いやられる事となっても、少し |も不思議ではない緊急事態に、追い込まれてしまったので |ある。

|・モルダーとスカリー、X−ファイル課に転属。
| 今回の事件で、自身の過ちを痛感したスペンダーから、 |その座を譲られる形で、モルダーとスカリーは、X−ファ |イル課の担当捜査官に、復帰する事となった。

|・“タバコを吹かす男”、スペンダーを銃撃。
| 今回の事件で、全てを失った“タバコを吹かす男”は、 |裏切りの報復として、スペンダーを射殺しようとする。
| しかしながら、スペンダーは、辛くも、一命を取り留め |た。すると、“タバコを吹かす男”は、“無敵兵士”計画 |の実験台として、スペンダーを利用するようになった。

一九九九年

日付不明

|・レイエス、ニュー・オーリンズ支局に転属。
| レイエスが、ニュー・ヨーク支局を離れたのは、同僚で |あると同時に、交際相手でもあったフォーマーが、ニコラ |ス・レガーリというギャングから、賄賂を受け取る一部始 |終を、目撃してしまったためであった。
| レイエスはあくまで、賄賂の一件について、口をつぐん |だものの、この転属で、フォーマーとの恋愛関係は、終焉 |を迎えてしまったものと、推測される。

五月?

|・太古のUFOが、発掘される。
| 西アフリカのイヴォリー・コーストにて、生物学博士、 |ソロモン・マクマレンの手で、太古のUFOが、発掘され |た。このUFOは、かつて、地球での繁栄を極めていたも |のと推測される、“先住民”によって、数百万年前の
有史以前に、遺されたものであった。
| マクマレンは、共同研究者である生物学博士、スティー |ヴン・サンドスを訪ねて、渡米したものの、研究成果の横 |取りを目論む科学者・バーンズに、殺害されてしまう。
| 一方、マクマレンの殺害によって、身辺の危険を感じた |サンドスは、逃亡生活に入る。

|・クライチェック、スキナーを脅迫。
| 太古のUFOが、発掘された事を知ったクライチェック |は、ナノボットを盾に、スキナーを脅迫し、マクマレン殺 |害事件の捜査を、モルダーとスカリーに担当させる。
| クライチェックは、モルダーとスカリーの動向を、スキ |ナーを介して、把握する事で、情報収集を行おうと、画策 |したのである。

|・スカリー、サンドスを発見。
| 太古のUFOには、米国先住民族・ナヴァホ族の表意文 |字が、刻印されており、サンドスは、その解読作業を、ホ |スティーンに依頼していた。ホスティーンは、モルダーと |スカリーが、一九九五年に、MJファイルの解読作業を依 |頼した、ナヴァホ族の老人であった。
| しかしながら、スカリーが単身、ニュー・メキシコ州を |訪ねると、ホスティーンは、末期ガンを患い、意識不明の |状態であった。ホスティーンの元に、身を寄せていたサン |ドスによると、問題の解読作業は、ホスティーンの急変に |よって、中断されてしまった、という事であった。

|・モルダー、交配種に。
| バーンズの捜査にあたっていたモルダーは、廃人同様の |状態と化して、ジョージタウン記念病院の精神科病棟に、 |収容された。
| モルダーの急変は、
一九九六年に、ロシアの強制労働収 |容所で感染した“ピュリティー”に、その原因があった。
| 脳内に残留していた“ピュリティー”が、太古のUFO |によって、活性化した結果、モルダーは、交配種と化した |のだった。しかしながら、その代償として、自分自身を制 |御できなくなったモルダーは、廃人状態に陥ってしまった |のであった。

|・スカリー、西アフリカに渡航。
| サンドスが、クライチェックによって、殺害された事を |受けて、スカリーは、太古のUFOを自ら、調査すべく、 |西アフリカに渡航する。その目的は、モルダーの治療法を |突き止める事にあった。

|・モルダー、クリッチュガウに協力を依頼。
| モルダーが、廃人状態に陥ったのは、交配種と化した際 |に得た、読心能力と予知能力が、脳を圧迫している事に、 |その原因があった。その症状を改善するには、フェニトイ |ンという劇薬が、必要不可欠であった。
| そこで、モルダーは、国防総省の元職員・クリッチュガ |ウの協力を得て、フェニトインを入手する。クリッチュガ |ウは、一九九六年、モルダーに接触して、内部告発を行っ |た人物で、かつては、CIAにおいて、超能力研究に携わ |っていた経歴の持ち主であった。
| モルダーは、自身が交配種と化した事を、立証しようと |するものの、フェニトインの過剰摂取によって、危篤状態 |に陥ってしまう。

|・スカリー、帰国。
| ホスティーンの作業を引き継いで、表意文字を解読した |スカリーは、太古のUFOに、聖書やコーラン、現生人類 |の設計図・ヒトゲノムが、刻印されていた事実を、突き止 |めるに至った。
| しかしながら、功名に目が眩んだ、バーンズの妨害によ |って、スカリーは結局、モルダーの治療法を突き止められ |ないまま、帰国せざるを得なくなってしまう。
| バーンズはその後、自滅的な最期を遂げ、太古のUFO |も、いずこかに姿を消してしまった。

|・モルダー、誘拐。
| 事態を知った“タバコを吹かす男”は、ティナの協力を |得て、モルダーを退院させた上で、国防総省の医療施設に |収容した。
| “タバコを吹かす男”の目的は、モルダーを蝕む、交配 |種の遺伝子を摘出し、自身に移植する事にあった。そうし |て、自ら、交配種と化す事で、“ピュリティー”への免疫 |を得ようと、画策したのだった。

|・クライチェック、クリッチュガウを殺害。
| 交配種と化したモルダーを、目の当たりにした事で、ク |リッチュガウは、それまでの懐疑主義から一転、地球外知 |的生命体の存在を、立証しようとする。
| しかしながら、クライチェックによって、知り得た情報 |を全て、奪取された上で、クリッチュガウは、口封じに殺 |害されてしまう。
| クライチェックはその後、“先住民”の胎児を、奪取し |ようとした事実が露見し、“タバコを吹かす男”の意向に |よって、チュニジアの流刑者収容所に収容された。

|・スカリー、モルダーを救出。
| スカリーは、差出人不明のカード・キーを用いて、国防 |総省の医療施設に侵入し、モルダーの救出に成功する。
| カード・キーの差出人は、ファウリーであった。ファウ |リーは、死の淵に瀕するモルダーを見かね、その救出を、 |スカリーに託したのだった。
| 交配種の遺伝子が、摘出された事で、モルダーは、一時 |的に回復するものの、間もなく、悪性の脳腫瘍を発病して |しまう。また、“タバコを吹かす男”も、モルダーから移 |植された、交配種の遺伝子に、かえって、肉体を蝕まれる |結果となる。

|・ホスティーンとファウリー、死亡。
| 死に瀕してもなお、モルダーを案じていたホスティーン |は、末期ガンによって、そして、“タバコを吹かす男”を |裏切ったファウリーは、その報復を受けて、それぞれの最 |期を迎えた。
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続く

※参照
 三角フラスコ<終章>(1x23)
 アナサジ祈り/ペーパークリップ(2x25, 3x01, 3x02)
 ツングースカ(4x08, 4x09)
 ゲッセマネ帰還(4x24, 5x01, 5x02)
 S.R.819(6x09)
 ファイト・ザ・フューチャー(6x11, 6x12)
 創世記第六の絶滅(6x22, 7x01, 7x02)
 存在と時間 Part2(7x11)
 レクイエム(7x22)
 サーチ・フォー・モルダー Part1(8x01)
 ウィリアム(9x16)
 解放(9x17)
 真実(9x19, 9x20)