業務災害(労災保険)に関する保険給付

1 保険給付

                           @療養の給付
                       ・療養補償給付 ---- A療養の費用の支給
負傷・疾病----------
(治癒前)          ・休業業補償給付

    |

             ・療養開始後1年6ヶ月を
              経過しても治癒せず
           傷病等級1〜3級に該当する場合------
             ・傷病補償年金---介護補償給付

 

障害 --------------・障害補償給付----@障害補償年金
( 治癒後)               A障害補償一時金

死亡---------------・遺族補償給付----@遺族補償年金
                     A遺族補償一時金
                     ・葬祭料
 

2   業務災害における業務上の意義

業務上の事由による負傷、疾病、傷害または死亡であると認められるためには、業務との間に因果関係が必要であり、認定実務上この要件を「業務起因性」といいます。

また、「業務起因性」は、労働関係を場として成立しますが、当該傷病が、業務に起因して生じたというには、その原因が当該労働関係のもとにあることを条件としますので、認定実務上、「業務起因性」の成立第一条件として「当該労働関係のもとにあること」=「業務遂行性」が必要とされます。


@「業務遂行性」
 労働者が労働契約に基づき事業主の支配下にあることをいいます。

A「業務起因性」
 傷病等が業務に起因して生じたものであり、業務と傷病との間に相当因果関係が存在することをいいます。


2 業務上の負傷
 傷病等が業務に起因するとは、業務又は業務行為を含めて、「労働者が労働契約に基づき事業主の支配下にあること」に伴う危険が現実化して生ずる災害とされ、業務遂行性と業務起因性が認められるものとされます。


3 業務上の疾病
 業務上の負傷に起因する疾病のほか、業務との間に相当因果関係が認められる場合(業務上疾病)、つまり、必ずしも仕事中に発症した疾病を意味しているわけでなく、業務との間に因果関係が認められる場合に労災保険の対象となります。


3   労災保険給付の時効

  
1 労災保険給付の時効

   療養補償給付、休業補償給付の時効は2年です。時効の進行を止めることができるのは、38条の審査請求と再審査請求です。 
   時効の起算日
  @療養(補償)給付・・・(療養の費用請求の場合)  療養に要する費用の支出が具体的に確定した日の翌日 
 
  A休業(補償)給付・・・ 労働不能のため賃金を受けない日ごとにその翌日

2 申請から審査請求等の流れ 

(1) 労災申請  
  ・療養補償給付 第十三条   ・休業補償給付 第十四条

  ・決定がでるまでの期間  申請から3か月から6か月程度

  ・不支給決定  (保険給付に関する決定)  不服がある場合

(2) 審査請求  不服のある者は、労働者災害補償保険審査官に対して審査請求できる(決定のあったことを知った日の翌日から起算し3か月以内)   

(3) 再審査請求 その決定に不服のある者は、労働保険審査会に対して再審査請求できる (決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2か月以内)
    
(4) 裁判所      民事訴訟