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会員 社会保険労務士のコラム
みどり社労士会   

 社会保険労務士 中小企業診断士 西山 真一   ← プロフィールを詳しく見る

パートタイマーの法律が200841日から改正されました


飲食業や小売業の経営者様、その他に多くのパートタイマーの力を借りて事業を行なって

いる経営者様、
平成
2041日から、「短時間労働者の雇用管理の改善に関する法律」

(いわゆるパートタイム労働法)が改正施行されました。



 改正の背景

 バブル経済崩壊以降の景気が長期低迷してきた中、企業は生き残るためつの過剰、

すなわち設備・借金・そして人材のリストララクチャリングを断行してきました。

この結果、企業の業績は表面的にはV字に回復しました(一方で多くの企業は倒産しました)

が、そのしわ寄せはどこにいったのでしょうか?



 そのしわ寄せの大部分は、「人材」のセクターに集中ました。リストラクチャリングは

「首切り・肩たたき」などの代名詞になりました。(本当は違う意味)

「フリーター」、「ロストジェネレーション」、「ブルーテント」、最近では「ワーキング

プアー」、「ネットカフェ族」、「格差社会」など人材セクターに関する多くのことが

社会問題化されています。


気がついてみると、いわゆる非正規型労働者(パートタイマー、派遣社員、アルバイト、

契約社員など)は、雇用全体の約
25%に達しています。


 また、パートタイム労働者のみでは、平成
18年には1,205万人と雇用者全体の割強を占め

るに至っています。


勿論、多様な働き方を求める労働者が増加していることも事実です。

 しかし、一方で企業がパートタイマー等を「安い人件費で使える労働力」とみなし人件費の

節減のために増加させている。あるいは、人材リストラ後の調整弁として大いに活用してきた

ことなども考えられます。


 最近ではテレビを見ても、格差問題(ワーキングプアー=「働いても、働いてもお金がたま

らないし、正社員にもなれずに、ずっと所得水準が低い状況を余儀なくされる労働者」など)

が多く取り上げられています。


 今回の改正は、これだけ大きな勢力となったいわゆる“パートタイム労働者”などを政府も

いよいよ無視できなくなったためと考えられます。


 つまり、同じ仕事をしているのに、単に「パートタイマー」であることのみを理由として

賃金等労働条件に格差を設けるのはおかしいのでは? 

となってきたのです。


 しかし、正社員と非正規型社員とでは、採用(就職試験等)の難易度、仕事に対する責任

の程度、人事異動の有無などで、れっきとした違いがある場合もあります。

 今回の改正は、そうした違いのある場合まで「同じにしなさい」と言っている訳ではない

のです。



 今後の労働市場

 今後、日本は労働力人口の急激な減少が予測されています。

 そうした中では女性・高年齢者、あるいは外国人などの活用も企業にとっては不可欠に

なっていきます。

 こうした点から考えると今回の改正は当然の流れともいえないこともありません。



 
主な改正ポイントは以下の通りです

1.パートタイム労働者から正社員等への転換を推進するための措置を講じること
  
  (義務化


2.正社員等と同視すべきパートタイム労働者の待遇を差別的に扱うこと (禁止)


3.正社員等との均衡を考慮し、パートタイム労働者の職務の内容、成果、意欲、能力、

  経験などを勘案して賃金を決定すること(努力義務化


4.パートタイム労働者を雇い入れる際、「昇給の有無」「退職金の有無」「賞与の有無」

  を文書等で明示すること(義務化


5.その他もあり



 パートタイマーに正社員とまったく同じ仕事をさせていませんか?

⇒ この場合、賃金・賞与・退職金など正社員と同じ待遇にしなければならない

    可能性があります。 (
差別的取扱いの禁止 パートタイム労働法 第8条)

改正パートタイム労働法では、「通常の労働者(正社員等)と同じ就業実態にある

パートタイム労働者の賃金の決定をはじめ教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他

すべての待遇について、パートタイム労働者であることを理由に差別的に取り扱うこと」

が禁止されています。

この「通常の労働者(正社員等)と同じ就業実態」とは、以下①~③のすべてに該当する

場合です。


①職務の内容が(正社員等と)同じ

②人材活用の仕組みや運用などが、全雇用期間を通じて(正社員等と)同じ

③雇用契約期間が実質的に無期限契約の場合

※③の「雇用契約期間が実質的に無期限契約の場合」

事業所の方とお話をしていて実に多いのは、雇用契約書や労働条件通知書の文書を作成

していないケースや、契約書を作成していても契約の更新をほぼ自動的にしているケース

です。

このような場合は実質的に正社員と同様の「期間の定めのない雇用契約」になりますの

で、注意が必要です。



 
対応:

  
雇用契約書や就業規則、仕事の役割分担などを点検・整備し、法令違反がないように

   しましょう!


・労働条件通知書を発行しましょう

・上記①~③にすべて該当するパートタイム労働者がいないか点検しましょう

・上記のパートタイム労働者がいる場合は、善処策を検討しましょう

・今後、正社員等を募集する場合は、その募集内容をパートタイム労働者に知らせま

 しょう

・その他




国等の支援措置等

■ 助成金(短時間労働者均衡待遇推進等助成金)     1550万円

パートタイム労働者の均衡待遇の推進に取り組む事業主及び中小事業主団体に対し、

助成金が支給されます。

■ 中小企業雇用安定化奨励金

■ 母子家庭自立支援給付金事業(常用雇用転換奨励金) 

   30
万円(母子家庭の母一人当たり)


■ 中小企業退職金共済制度

   パートタイム労働者(1週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者

  よりも短く、かつ
30時間未満である場合)については、特例掛金(掛け金が通常より

  低い)があり加入しやすくなっています。



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