★ 老後とは何歳からか?
「老後とは何歳からか?」と聞かれたときあなたは何歳からと考えますか?
厚生労働省が公表した「平成18年高齢期における社会保障に関する意識等調査
報告書」によると、「老後とは何歳からか?」の質問に対して回答者の全体
(全世代、男女区別なし)で、65歳からと考える人が28.5%、70歳からと考え
る人が32.8%との調査結果があります。
また、「老後生活で思い浮かべるものは?」に対して「年金を受給する生活」
を挙げている割合が最も多く54.3%となっています。
現在職場の中心となって現役で活躍している人もいつかは必ずリタイアする
ときが訪れるものです。
そのときに「老後の収入源として最も頼りにするのは何か?」の質問に
「公的年金による収入」の64.3%で、次いで「本人や配偶者の就労による収入」
が15.2%の割合となっていると報告されています。
このことからも公的年金は老後の生活を支える大きな柱の1つになっている
ことは紛れもない事実と言えます。
わが国では、少なくとも20歳から60歳になるまでの間は日本国内に住む全ての
人がいずれかの公的年金制度に加入し、国民年金の加入者が免除等の適用を
受けない限り国民年金保険料を納める義務を課しています。
民間企業に勤務する場合に加入する厚生年金保険、公務員等になったときに
加入する共済年金は「被用者年金制度」と呼ばれています。
被用者年金制度に加入していれば、原則として同時に国民年金にも加入して
いることになり、国民年金保険料に相当する額を厚生年金保険等の各被用者
年金制度から「基礎年金拠出金」として国民年金に毎年度拠出しています。
つまり、国民年金保険料も同時に納めていることになっているのです。
また、被用者年金制度の加入者への保険給付の面から見ても2階建ての制度と
なっています。厚生年金保険等に加入していた場合、国民年金から支給される
基礎年金に加えて、厚生年金保険等からは基礎年金の上乗せ給付を受ける仕組み
となっています。
民間会社に勤務する場合に加入する厚生年金保険を例に取ると、
厚生年金保険料は勤務する会社と被保険者自身との折半で負担し、
被保険者自身の将来の老齢、障害、死亡を事由とする給付に備えると同時に、
現在の年金受給者を支えている仕組みとなっているのです。
厚生年金保険の保険給付には、老齢厚生年金、障害厚生年金・障害手当金、
遺族厚生年金等があり、それぞれの給付にはそれぞれに受給資格要件があり、
要件を満たしていなければ給付は行なわれません。
厚生年金保険の給付は基礎年金の上乗せ給付としての位置付けから、
老齢厚生年金は老齢基礎年金の受給資格期間(原則25年間の保険料納付済期間
が必要)を満たしていることが第1の条件となり、障害厚生年金の障害等級1級
または2級に該当するときは、原則として障害基礎年金が一緒に支給されます
(障害等級3級の場合、障害手当金の場合は障害基礎年金の給付は
ありません。)。また、例えば配偶者の死亡により遺族厚生年金の受給者と
なったときに子(18歳の年度末までの子、または、障害等級1級または2級に
該当する20歳未満の子)があるときは、同時に遺族基礎年金が支給されること
になっています。
基礎年金の上乗せとしての厚生年金保険からの給付は、当然ながら厚生年金
保険の被保険者または被保険者であった人に係る事由に限られます。
また、厚生年金保険の適用事業所に勤務して初めて厚生年金保険の被保険者
となります。
★ 厚生年金保険の加入状況
(平成18年度末現在)
平成18年
(2006年) |
適用事業所
168万所
|
被保険者総数
3,379万人
|
男性
2,214万人 |
女性
1,166万人 |
社会保険庁:「社会保険事業の概況」より
厚生年金保険の加入は会社単位で行なわれ、一定の要件に当てはまる事業所を
「適用事業所」と言います。その事業所に常時使用される70歳未満の人は、
厚生年金保険に加入し被保険者となります。適用事業所には法律上必ず適用事
業所とされる「強制適用事業所」とその会社の従業員の3分の2以上の同意を
得て事業主が申請して適用事業所となる「任意適用事業所」とがあります。
どちらの事業所の場合もアルバイトやパートタイマーなど所定の勤務時間や
勤務日数が正規社員の4分の3未満で勤務する場合(週の所定勤務時間が
30時間以上の場合を除く)には、その会社が適用事業所であっても被保険者
となりません。
老齢厚生年金は、原則として厚生年金保険の被保険者期間の月数と被保険者
期間中の平均の標準報酬額で年金額は計算されます。
また、老齢基礎年金は、国民年金保険料の納付済期間の月数及び免除月数で
計算されます。どちらも原則毎月の保険料納付が積み上げた結果が年金額に
反映される仕組みです。
「あなたの老後とは、何歳からですか?」
社会保険労務士 柏木 京子
※みどり社労士会では、”年金”その他のテーマでのセミナー・研修等を
積極的に開催してまいります。
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