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会員 社会保険労務士のコラム
みどり社労士会   

 社会保険労務士 中小企業診断士 西山 真一   ← プロフィールを詳しく見る

最低賃金法の一部を改正する法律が平成2071日から施行されました。


 今般の改正は、すべての労働者について、最低限度の賃金水準を保障する役割を地域別最低

 賃金が担うこととし、その決定基準や罰則の見直しを行うとともに、産業別最低賃金の在り

 方や派遣労働者への適用関係などについて改正を行なうものです。



 改正の背景

 1.地域別の最低賃金が、国や地方自治体が生活に困った人に扶助する仕組みである生活保護費を下回る

   ケースがあり、その整合性を図る必要があるため。

 2.パート・アルバイト・派遣労働者などいわゆる
非正規型の労働者が増加し、かつ企業が低廉な賃金で

  使用することが多いため、様々な問題(ワーキングプアー、ネットカフェ族など)が発生し社会問題化して

  おり、その是正とセーフティーネットの整備を図る必要があるため。

   などです。


 主な改正点

 ●地域別最低賃金の決定

 地域別最低賃金は全国各地域について必ず決定されるべきものとし、決定基準の見直しが行なわれます。

 ・「地域別最低賃金はあまねく全国各地域について決定されなければならない」として地域別最低賃金の

  決定を
都道府県労働局長に義務付けることとなりました。

  ・地域別最低賃金は、地域における労働者の生計費、労働者の賃金、通常の事業の賃金支払能力を考慮

  して定めることとなります。

 ・労働者の生計費を考慮する場合に、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、

  新たに生活保護に係る施策との整合性に配慮がなされます。


 ●罰則の強化

 地域別最低賃金額以上の賃金が支払われない場合の罰金額の上限が2万円から50万円に引き上げられ

 ます。


・現行法では、最低賃金額以上の賃金を支払わなかった使用者に対する罰金額の上限は、2万円とされて

 います。


・一方、産業別最低賃金については、その不払について最低賃金法の罰則は適用されないこととなります。

 ただし、この場合は賃金の全額払違反(労働基準法第24条違反)となることから、これに係る罰則

 (罰金額の上限30万円)が適用されることになります。

・また、「周知義務(※)」(地域別最低賃金及び船員に適用される最低賃金に係るものに限る)等の違反に

 ついてもその
罰金額の上限が30万円に改められます。


  ※使用者は、最低賃金の概要を、常時作業場の見易い場所に掲示するなどの方法で、労働者に周知させ

   るための措置をとらなければなりません。


 ●産業別最低賃金の決定


 産業別最低賃金については、関係労使の申出を要件として決定されるものであることが明確にされます。

 ・産業別最低賃金については、これまで企業内における賃金水準を設定する際の労使の取組の補完や

  公正な賃金決定といった役割を果たしてきました。

 ・地域別最低賃金がすべての労働者の賃金の最低限度を保障するセーフティネットとして行政機関に

  決定を義務付けるのに対して、産業別最低賃金は、労使のイニシアティブにより決定されるものと整理

  され、関係労使の申出を受けた行政機関が最低賃金審議会の意見を聴いて決定できるものであることと

  なりました。

 ・さらに、産業別最低賃金は、すべての労働者のセーフティネットである地域別最低賃金において定める

  最低賃金額を上回らなければならないこととされます。

 ・そして、産業別最低賃金の適用を受ける労働者に対して地域別最低賃金において
定める最低賃金額未満

  の額を支払った場合には、最大50万円の罰金が科せられることとなります。




 ●最低賃金の減額の特例の新設


 最低賃金の適用除外規定が廃止され、減額特例となります。

 ・現行法では、以下のような対象労働者については、都道府県労働局長の許可を受けたときは最低賃金

  の効力についての規定は適用しないこととされています。

 ・しかし、最低賃金のセーフティネットとしての機能を強化する観点から、最低賃金の適用対象をなるべく

  広範囲なものとすることが望ましく、これまでも支払賃金の下限額については、適用除外許可の条件と

  してきましたが、法律上適用除外とするよりも最低賃金を適用した方が労働者保護に資することから、

  適用除外規定が廃止され、減額特例規定となります。

 ・減額特例は、これまで適用除外の対象者となっていた以下のような労働者については、使用者が

  
都道府県労働局長の許可を受けた時は、労働能力その他の事情を考慮して減額した額により

  最低賃金の効力についての規定を適用するというものです。

   【対象労働者】
  

   ①精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者

   ②試の使用期間中の者

   ③基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受ける者のうち省令で定める者

   ④軽易な業務に従事する者

   ⑤断続的労働に従事する者


 ●最低賃金の適用除外に関する経過措置


 施行日(平成20年7月1日)時点において既に適用除外の許可を受けている労働者について、

 使用者は
平成20年7月1日から平成21年6月30日までの間に新たに減額特例の許可を受ける必要があります。

 施行日(平成20年7月1日)時点において既に適用除外の許可を受けている労働者について、

 平成20年7月1日から平成21年6月30日までの間に改正法第7条の規定に基づく都道府県労働局長の許可を

 受けずに、最低賃金額以上の賃金を支払わなかった使用者には、罰則が適用されることとなります。


 ●派遣労働者への最低賃金の適用

 派遣労働者には、派遣先の地域別(産業別)最低賃金が適用されます。


・派遣労働者については、派遣先の事業場に適用されている地域別(産業別)最低賃金が適用されることに

 なりますので、派遣元事業主においては、派遣先事業場に適用される最低賃金を把握しておく必要があり

 ます。

 ●最低賃金額の表示の一本化

 時間額、日額、週額又は月額で定めることとされていた最低賃金額の表示単位は、時間額のみの表示

 となります。

 ・最低賃金額は、法律上、時間額、日額、週額又は月額によって定めることとされていましたが、

  就業形態の多様化や、わかりやすさなどの観点から最低賃金の表示単位を最小の単位である

  時間額表示とすることとなります。

 ・産業別最低賃金の一部に残る日額表示の最低賃金については、施行日(平成20年7月1日)以後

  最初に行われる改定等の決定が効力を生ずるまでの間は、その まま効力を有します。


 ●監督機関に対する申告規定の新設

 今般の改正により、労働者は、事業場に最低賃金法又はこれに基づく命令の規定に違反する事実

 があるときは、その事実を
都道府県労働局長、労働基準監督署長又は労働基準監督官に申告して

 是正のため適当な措置をとるように求めることができる
こととし、使用者は当該申告をしたことを理由

 として、労働者に対し、解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこととされます。

 そして、この規定に反した場合は罰則(6月以下の懲役又は30万円以下の罰金)が適用されることに

 なります。



 ※詳しくは厚生労働省のホームページをご確認下さい。

   ここをクリック →  厚生労働省 のホームページへ



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