"STARLIGHT REFLECTIONS"
WALTER LANG(p), THOMAS MARKUSSON(b), SEBASTIAN MERK(ds)
2013年3月 スタジオ録音 (ATELIER SAWANO : AS 135
)

ドイツのピアニスト・WALTER LANGの澤野工房への移籍第1作。1961年生まれの52歳だ。
ドイツのジャズ・ピアニストというとカチッとして質実剛健タイプのピアニストを連想する。
古くはJOERG REITER(JAZZ批評 66.)。最近では、MARTIN TINGVALL(JAZZ批評 804.)やSEBASTIAN STEFFAN(JAZZ批評 485.)、SEBASTIAN GAHLER(JAZZ批評 571.)もそうだ。才女の誉れ高いOLIVIA TRUMMER(JAZZ批評 498.)なんかもカチッとした演奏が持ち味だ。
翻って、このアルバム作りには意表を突かれた。ピアニスト・LANGの意向なのか、澤野工房の意向なのか分からないけど・・・。

@"WALTZIN'" 典型的なヨーロピアン・美メロ・ジャズ。LANGのオリジナルだが、どこかで聞いたことのあるような美メロ。
A"WHEN LIGHTS ARE LOW" 
この曲と言えば、OLVIER ANTUNES"ALICE IN WONDERLAND"(JAZZ批評 504.)、あるいは山田拓児"LITE BLUE"(JAZZ批評 738.)を思い出す。この曲に没入するよりも他の演奏を想起してしまうところが問題だ。清廉で耳に心地よい演奏。
B"COULD WE MEET?" 
これもLANGのオリジナルなのだけど、どこかで聞いたことがあるような美メロ。
C"IN THE WEE SMALL HOURS OF THE MORNING" 
美しいスタンダード・ナンバーのバラード。MARKUSSONのベース・ソロが用意されている。
D"SWEET AND LOVELY" 
BILL EVANSの名盤、"EXPLORATIONS"(JAZZ批評 158.)の中でSCOTT LAFAROとの丁々発止のインタープレイが聴ける。甘いだけでない刺激的な演奏だ。このEVANSを聴いた後だと物足りなさを感じてしまう。
E"NO MOON NIGHT" 
ヨーロピアン・ド演歌。
F"STEPPIN' IN" 
G"I'LL REMEMBER BILL" 
ここで言うBILLがEVANSを指しているのかは不明だが、追悼曲のような重々しさがある。
H"MISTY MOUNTAINS" 
ここではドラムスのソロが用意されている。
I"SNOW CASTLE" 
フォーク・ソングにでもありそうなテーマ。
J"I'M A FOOL TO WANT YOU" 
このアルバム、4つ目のスタンダード。BILLIE HOLIDAYの愛唱曲でもあったらしい。
K"WITHOUT A SONG"
 

総じて、どの曲も美メロのオンパレード。ひたすらに美しいという感じ。別に、悪いことではないと思うが、美しいだけではジャズとして寂しい。躍動感も緊迫感も欲しいところだ。ヨーロピアン美メロ・ファンには超お勧め(?)と言えるかもしれない。
個人的には美メロのオンパレードで流石にうんざりさせられる。温度感も低い。ただし、邪魔にはならないので、読書のBGMなんかには打って付けかも。   (2013.10.10)

試聴サイト : http://www.jazz-sawano.com/products_383-0-2.html



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WALTER LANG TRIO
ヨーロピアン美メロ・ファンには超お勧め(?)

独断的JAZZ批評 826.