RAMBERTO CIAMMARUGHI
"NEW MUSIC FOR TRIO"というほどの「新しさ」を感じない
"NEW MUSIC FOR TRIO"
RAMBERTO CIAMMARUGHI(p), MIROSLAV VITOUS(b), GERALD CLEAVER(ds)
2006年6月 スタジオ録音 (CAMJAZZ : CAMJ 7865-2)
お目当てはベースのMIROSLAV VITOUS、その人である。VITOUSと言えば、僕がジャズにのめり込むきっかけを作ったCHICK COREAの"NOW
HE SINGS, NOW HE SOBS"(JAZZ批評 1.)で驚異的なベース・ワークを披露していた。その後、WAYNE SHORTER、JOE ZAWINULのWEATHER REPORTに参加した。1989年にはSTEVE
KUHNの"OCEAN IN THE SKY"(JAZZ批評 82.)に参加している。そのアルバムの4曲目"DO"でのベース・ソロは圧巻だった。
2000年以降は"UNIVERSAL SYNCOPATIONS"(JAZZ批評 159.)を自らのリーダー・アルバムとして世に出したくらいで、あまり話題になることも少なくなった。VITOUS、久しぶりの登場である。
リーダーのRAMBERTO CIAMMARUGHIは初めて聴く。イタリアのピアニストだ。最近、PAOLO DI SABATINO(JAZZ批評 816.)とかLUIGI MARTINALE(JAZZ批評 812.)とか、イタリアのピアニストをアップすることが多いが、偶然だろうか?
@"BYE BYE BLACKBIRD" ピアノ・ソロ。イタリア人らしいヨーロピアン・テイストのリリカルなピアノだ。
A"ANABASYS" このハイポジションでのベース音を聴くとVITOUSの音色だと思ってしまう。音色が独特。緊張感あふれる演奏だが、テーマがつまらないのでアドリブが無機質。
B"JOHANNES" 哀愁を帯びたリリカルな曲。静謐さと同時に内に秘めた情熱を併せ持ったような演奏で、ピアノとベースのインタープレイが強調される。これはなかなかいいね。
C"B-LOOSE" これも無機質な印象のテーマ。アドリブでは丁々発止のインタープレイが繰り広げられる。VITOUSのベースに対抗できるだけのガッツがピアノに欲しい。
D"COME SEMPRE" 一転して、リリカルなバラード。ここでもベースとピアノのインタープレイが繰り広げられるが、はみ出すベースに比べてピアノが至極真っ当。同じような絡み方で新鮮さに欠ける。
E"IMPRO TRIO" VITOUSのオリジナル。タイトルの通り、インプロビゼーションに賭けた演奏なのだろう。躍動感に欠けて停滞した雰囲気だったのが、後半部よりイン・テンポになって躍動感が増してくる。
F"IN D" CIAMMARUGHIのオリジナルがどれも似たような印象のテーマでVITOUSとのインタープレイもワンパターンで新鮮さを感じない。CLEAVERのドラムスもほとんど光が当たることがない。
G"W ON W" 最後は多ビートで楽しそう。しかめっ面ばかりの演奏だけでなく、こういう雰囲気がアルバム全体に流れていれば良かった。本アルバムのベスト。
アルバム・タイトルの"NEW MUSIC FOR TRIO"というほどの「新しさ」を感じない。一体、どこが新しいのかと思ったりする。通常、こういうのを「自己満足」という。終いには「どうぞ、お好きに」っていう気分になってくる・・・とは言うものの、自分のやりたいことをやり遂げたという自己主張を感じさせるのはとても大事なことだ。
例によって、CAMJAZZは全ての楽曲をフルに試聴することが出来るので、お時間のある方は下記のサイトでゆっくりどうぞ。 (2013.10.06)
試聴サイト : http://www.camjazz.com/labels/cam-jazz/ramberto
-ciammarughi/8052405141088-new-music-for-trio-cd.html
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