独断的JAZZ批評 804.

MARTIN TINGVALL
弾ける若さ!
漲る躍動感!
迸るダイナミズム!
"IN CONCERT"
MARTIN TINGVALL(p), OMAR RODRIGUEZ CALVO(b),
JURGEN SPIEGEL(ds, percussion)
2012年10月 ライヴ録音 (SKIP : SKP 9127-2)


MARTIN TINGVALLは、最初のアルバム"SKAGERRAK"(JAZZ批評 473.)以来、いつも気にかかっているプレイヤーの一人だ。以降、2年ごとにアルバムをリリースしてきて、これが5枚目のトリオ・アルバムにあたる。前作"VAGEN"(JAZZ批評 717.)ではオーケストレーションを導入した1曲も披露されており、どれも素晴らしかった。この間のメンバーは不動だ。スウェーデン、キューバ、ドイツの3人から成るトリオ。
TINGVALLは2012年にはソロアルバム"EN NY DAG"(JAZZ批評 776.)もリリースしている。
さて、今度のアルバムは初めてのライヴ録音だ。そしてすべての曲が今までの4枚のアルバムからの選曲で、しかも、全ての曲がTINGVALLのオリジナルだ。
若さあふれる演奏とライヴならではの熱い演奏は決して期待に背かないはずだ。

@"HJALTEN" のっけからやってくれるね。この漲る躍動感が堪らない!
A"NU DJAVLAR" 
熱い!ライヴならではの熱さだ。早いパッセージも難なく弾きこなす力量は相当のものだ。
B"AVSKED" 
一転して、歌心溢れるバラード演奏を披露してくれる。ジャズの世界ではキューバ人のベーシストっていうのは珍しいけど、CALVOは実力をいかんなく発揮している。
C"VAGEN" 
前作のタイトル・ナンバー。ミディアム・テンポの曲だけど、この演奏もまた熱くてクール。
D"MUSTASCH" 
一度聴くと耳に残りやすい調子の良い曲。進むほどに高揚感が増していく。
E"MOVIE" 
今度は軽快な疾走感を伴う曲。
F"HAJSKRAJ" 
CALVOのアルコ奏法で始まる。
G"UTSIKT" 
全てがTINGVALLのオリジナルだが、選曲の良さと配列の良さと相俟って聴くものを飽きさせない。
H"VALSANG" 
I"MJAU" 
クラシカルな演奏で始まるが、激しくて丁々発止の演奏へとシフトしていく。
J"TROLLDANS-MONSTER" 
K"EFTER LIVET" 
前作"VAGEN"の最後にオーケストレーションを使って挿入されていた曲で大きな感動を呼んだ。今回はトリオの演奏だ。この迸るダイナミズムが凄い!
L"NIMIS" 


このアルバムは全部で78分にも及ぶ長尺だがメリハリがあって聴き飽きることがない。しかも、全ての曲がTINGVALLのオリジナルだというのに!
ライヴ盤にも関わらず、今までの4枚のアルバムの集大成という感すら強くする。
弾ける若さ!漲る躍動感!迸るダイナミズム!
このライヴの再現を日本で!という強い願望を抱きながら、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。少々、気が早いけど、今年のベスト・アルバムの1枚にノミネートされるのは間違いないだろう。   (2013.05.12)

試聴サイト : http://www.7digital.com/artist/tingvall-trio/release/in-concert?h=04&d=01&utm_source=google&utm_medium
=search&utm_campaign=rs
 
          http://www.youtube.com/watch?v=CNFyvWlJ-sE
         


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