独断的JAZZ批評 812.

LUIGI MARTINALE
ジャズを40数年にわたって聴いてきて良かったなあとつくづく思う今日この頃だ
"STRANGE DAYS"
LUIGI MARTINALE(p), REUBEN ROGERS(b), PAOLO FRANCISCONE(ds)
2012年7月 スタジオ録音 (ALBORE : ALBCD 020)


LUIGI MARTINALEは最近のお気に入りピアニストひとり。
ソロ・アルバム、"ARIETIS AETAS"(JAZZ批評 774.)は昨年のベスト5(JAZZ批評 784.)の1枚だったし、2005年録音のトリオ・アルバム、"LE SUE ALI"(JAZZ批評 549.)は2009年のベスト8(JAZZ批評 595.)の1枚だった。この"LE SUE ALI"のためにMARTINALEはベースのDREW GRESSとの邂逅を2年待ったという。
本アルバムではタイトルの横に"featuring REUBEN ROGERS"という文言が並んでいる。恐らく、その人、ROGERSの共演を勝ち取るためにMARTINALEはじっと待ったのであろう。
その甲斐あって、ここに素晴らしいアルバムが誕生した!これは聴いてもらうしかない。美しさ、躍動感、緊密感に溢れる素晴らしいアルバムだ。
REUBEN ROGERSはアメリカの黒人ベーシスト。前掲のCHRISTIAN McBRIDEの剛腕ぶりとは対照的な知性派のベーシストと言うことが出来るだろうか?
このROGERSが参加したERIC REEDの"SOMETHING BEAUTIFUL"(JAZZ批評 725.)も素晴らしいアルバムで2011年のベスト5(JAZZ批評 733.)に僕は選定している。併せて、聴いたもらいたいアルバムだ。

@"STRANGE DAYS" 
A"BEWITCHED, BOTHERED, AND BEWILDERED" 
このアルバムを購入以来、僕はこのトラックを今までに何回聴いているだろうか?20回?30回?・・・ 多分、100回聴いていも飽きないだろう!兎に角、この演奏は素晴らしい。かつて、この曲の名演として名高い、BRAD MEHLDAUの"ART OF THE TRIO VOLUME THREE - SONGS"(JAZZ批評 2.)の演奏をも凌いでいるのではないだろうか!?
この曲はメロディ・メーカー、RICHARD RODGERSの書いた曲で、多くのジャズ・シンガーが歌っている。
美しいテーマ、そして、バラードにも拘わらず躍動していて、なおかつ、3人の緊密感(アンサンブル)が素晴らしい!音の一つ一つをしっかりと噛み締めてもらいたい。
僕の考える良いジャズ・ピアニストとは「間」を持っていること。その絶妙な「間」こそ、このアルバムの命。この素晴らしい演奏を多くのリスナーと共有したいと思うのだ。

B"THE ELECTRIC BLUE FLIGHT CASE" 
C"CHRISTMAS EVE" 
D"OOPS, A POP ONE" 
E"PASSAGGIO AD E. S. T." 
F"INVITATION" 
G"GENTLE TOUCH" 
H"WHAT IS THIS THING CALLED LOVE" 
I"THE MAGIC IN LOOKING BACK" 
J"ANYWAY A GOOD DAY"
 

あえて、A以外のトラックについてコメントしなかったが、全11曲、どれも素晴らしい演奏なので、安心して聴いてもらいたい。「艶っぽさ」も「しっとり感」もある極上のピアノ・トリオ・アルバム!
今年も上半期が終わろうとしているが、「厳選」に入れた11枚の中から更に厳選しろと言われたら、本アルバムとSTEVE KOVEN"20"(JAZZ批評 799.)、MARTIN TINGVALL"IN CONCERT"(JAZZ批評 804.)あたりを選ぶだろうか?なんて考えつつ、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。こういう素晴らしいアルバムに巡り合えると、ジャズを40数年にわたって聴いてきて良かったなあとつくづく思うのだ。   (2013.06.28)

試聴サイト : http://alborejazz.com/catalog/albcd020.html
         


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