独断的JAZZ批評 799.

STEVE KOVEN
20年目の集大成
"20"
STEVE KOVEN(p), ROB CLUTTON(b), ANTHONY MICHELLI(ds)
2012年11月 スタジオ録音 (BUNGALOW : SK 009 3)


STEVE KOVENはカナダのピアニストで、今までに3枚のアルバムを紹介しているが、どれも僕のお気に入りだ。
中でも2002年録音の"LIFETIME"(JAZZ批評 560.)は技量、アンサンブル、音色と三拍子が揃った好アルバムだった。2006年録音の"RESURGENCE"(JAZZ批評 561.)や2010年録音の"ALONE TOGETHER"(JAZZ批評 649.)も密度が高くお勧め出来る。
翻って、このアルバムであるが、タイトルが表わす"20"とはこのトリオがメンバーを変えずに20年間続いてきたことを示している。一口に20年間メンバーが固定しているというのは凄いことだ。
さもありなん!アンサンブルが見事というのも当然という気がする。
今回のアルバムは全てがKOVENのオリジナル。曲の良さも特筆に値するので十分に楽しんでいただけると思う。

@"CERVANTINO" ラテン的、プラス、歌謡的雰囲気を持った佳曲。
A"FLO" 
B"LUSCIOUS LADY LIL" 
リリカルなバラード。ああ、いいねえ。美味しい日本酒でも口に含みたくなる。まるで、「純米大吟醸生詰め」のような・・・。
C"LOLALAND" 
一転して、なんかウキウキしてくる曲想。まるでウェスタン調とでも言いたくなる。
D"LEFT OR RIGHT?" 
太いベースのウォーキングに乗って軽やかで切れのあるピアノ・タッチで楽しく歌う。ベースがズンズンいってご機嫌になれる。
E"TWENTY" 
揺蕩う波のように20年の時が流れていく・・・。
F"BONGO BOB" 
これもいい曲だなあ!全然、嫌みがないもの。明るく、健康的で楽しい。
G"THIS TIME NEXT YEAR" 
これもしっとり系のバラード。ピアノ・ソロで始まり、ベースとブラシが合流する。日本酒、お替りといきたいね。
H"MRS. SARNICKY" 
今度は8ビートだ。ご機嫌なアドリブでテンション高め。アコースティックな音色のベース・ソロに繋いでテーマに戻る。
I"ARTISTS"
 美しい音色のアルコに乗ってピアノがアルペジオを奏でる。言ってみれば、何でも出来るグループだ。もっと沢山の曲を聴いていたい!

全編を通して、肩肘が凝るような気難しさがない。老若男女、誰にでも楽しめて、心を解放したくなるような大らかさがいいね。リリカルなバラードからラテン調、ウェスタン調まで幅広い曲想が楽しめて、なおかつ、佳曲揃い。
演奏時間がすべて4分程度なので曲によっては多少食い足りない面もあるが、外れがないので全曲楽しめるだろう。
息の合った3人の仲間が作った20年間の集大成ということで、「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。カナダにSTEVE KOVENありだね。しかし、これが自主制作盤というのはねえ?!   (2013.04.14) 

試聴サイト : http://www.cdbaby.com/cd/stevekoventrio3



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