独断的JAZZ批評 811.

CHRISTIAN MCBRIDE & INSIDE STRAIGHT
「艶っぽさ」とか「しっとり感」みたいなものが少なくて、少々聴き疲れする
"PEOPLE MUSIC"
STEVE WILSON(as), WARREN WOLF(vib), CHRISTIAN SANDS(p:@F), PETER MARTIN(p:ABCDEG), CHRISTIAN MCBRIDE(b), ULYSSES OWENS JR.(ds:@F), CARL ALLEN(ds:ABCDEG)
2013年5月リリース スタジオ録音 (MACK AVENUE : MAC 1070
)

アメリカの黒人剛腕ベーシスト・CHRISTIAN McBRIDEのアルバム。こういうアルバムを購入するのは僕としては珍しい。現代アメリカの黒人ミュージシャンの音楽というのは僕には少々敷居が高い。
このMcBRIDEが素晴らしい演奏を聴かせてくれたのが、DAVID KIKOSKIのトリオ・アルバム"CONSEQUENCES"(JAZZ批評 771.)。ピアノ・トリオというフォーマットの中でその剛腕ぶりを遺憾なく発揮してくれた。ピアニスト・KIKOSKIにとっても最高傑作の1枚として数えられるだろう。
本アルバムは@とFのピアノとドラムスがメンバー変更になっている。ピアノにはCHRISTIAN SANDSが入っているが、8月にはこのSANDSが参加したトリオ・アルバム"OUT HERE"が発売される予定になっており、既に予約を入れた。

@"LISTEN TO THE HEROES CRY" ミディアム・テンポのブルージーな歌モノ。McBRIDEの太くて逞しいウォーキングにグイグイ引き込まれていく。
A"FAIR HOPE THEME" 
黒人ミュージックという中にあってWARREN WOLFのヴァイヴは新しい彩を添えているね。
B"GANG GANG" 
この曲を聴きながら、どっかで聴いたことがあるなあと思っていた。そう、北欧の若手グループ"PEOPLE ARE MACHINES"(JAZZ批評 562.)のサウンドに似ているのだ。そのレビューで僕は「これを聴いた黒人ジャズ・プレイヤーは真っ青になるに違いない」と書いたけど、本当に真っ青になったかどうか知らない。思わぬところで、アメリカの黒人ジャズ・ミュージックと北欧の若手ジャズ・プレイヤーの音楽が結びついたので驚いた。演奏は北欧の若手プレイヤーの方がずっと熱い!
C"MR. ANGELOU" 
バラード演奏だけど、あまり響かない。
D"THE MOVEMENT, REVISITED" 
剛腕4ビートに乗ってヴァイヴがうねり、躍動する。やはり、こういう演奏が一番合っているね。「どうだ!文句あっか?」みたいな・・・。
E"UNUSUAL SUSPECTS" 
F"DREAM TRAIN" 
ピアノがCHRISTIAN SANDSに代わっている。ドラムスにULYSSES OWENS, JR.を加えたトリオ盤が近々リリースされるというのでちょっと楽しみだ。
G"NEW HOPE'S ANGEL"
 最後はフェード・アウト。

何故、敷居が高いかというと、演奏が基本的にモーダルでメロディアスな部分が少ないから。1回、2回は聴くことが出来ても、5回も聴いていると流石に飽きてくる。「艶っぽさ」とか「しっとり感」みたいなものが少なくて、少々聴き疲れする。何回も繰り返して聴きたくなるような心ときめく味わい深い曲が1曲でもあれば、雰囲気も変わってくると思うけど、残念ながらそれはない。
「無味乾燥な」とか「殺伐とした」とかまでは言わないが、僕の耳には無機質な印象が拭えないのだ。それが残念。   (2013.06.26)


参考サイト : http://www.youtube.com/watch?v=TpZramyYCOM



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