知らないことで損をする!
労働基準法 のポイントを押さえましょう
  くどくなりますが、日本の労働関係の法律は、「労働基準法」から「労働契約法」「労働安全衛生法」「労働派遣法(通称)」
「最低賃金法」「雇用安定法」「男女雇用均等法」「労働組合法」・・・など、乱立しており、労使のそれぞれの思惑により複雑に
なるゆえ、余計に多くの労働争議が発生するなど問題が多くあります。
 しかしながら、働くのに法律を知らないと、いろいろな不利益を生ずる事があります。
 ここでは、一番の基本となる「労働基準法」について、基本的なポイント部分をまとめて見ました。
 ●  労働基準法とは
そもそも労働基準法とは何なのか? 
 
   日本で働く人に対して、使用者(雇い主)は 最低でもこの法律で定める以上の労働条件を与えなければならないという法律です。書かれている条件は 最低限 な ものです。
 法律の初めには(第1条)、「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」と書かれています。
 ●  ポイント   
  労使対等(第2条)、強制労働の禁止(第5条)  
    建前かもしれませんが、労働者と使用者は対等の立場で労働条件を決める事になっています。 
労働者・使用者ともに、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守する義務を負う「性善説」として書かれています。
労働者の意思に反して働かせる「強制労働」を禁止しています。「偽装工作しないと首にするぞ!」という場合も、脅迫が脅迫による脅しと捕らえると、強制労働に当たるものと考えます。 
  均等待遇   
    ・ 国籍、信条又は社会的身分による差別待遇の禁止(第3条
・ 男女同一賃金(第4条)
 
  中間摂取の排除第6条  
    労働者から上前をはねてはいけないと言う事です。 この部分は現在の「派遣」が正等な行為と判断できるか、議論が
残る部分であります。 
   ○ 労働条件の提示 第15条)   
     労使契約を結ぶ時、使用者は労働条件を掲示 しなければなりません。 厚生労働省の「労働条件通知書」様式

掲示が必要な内容   
 (労働条件通知書)

右の項目の中で
 @〜Dについては
書面での交付しなければ
なりません
(Fは短時間労働者は必須事項)
 @ 労働契約期間(期間の定めがあった場合、継続の有無)
 A 就業場所、従事する業務の内容
 B 始業・終業の時刻、休憩時間、時間外労働の有無、休日・休暇 等
 C 賃金・計算方法、締切り日・支払日・支払方法
 D 退職に関する事項、解雇する場合の事由
 E 社会保険の加入有無、労働者に負担させる事、
   安全衛生・教育に関する事 等
 F 昇給・賞与・退職金に関する事項
   ○ 賠償予定の禁止第16条)   前借金相殺の禁止(第17条)   
    労働契約(条件)に、不履行があった場合に賠償金を求めるような契約をしてはいけません。
例えば「半年以内に退職した場合、教育にかけた金額は払ってもらう」というような契約です。
但し、あくまで「事前に賠償の取り決めを行ってはいけない」のであって、実際に発生した労務不履行に対する
損害賠償請求権を使用者が放棄するものではありません。
初めに述べた「○年以内に退職した場合に、あなたに掛けた費用を払え」という契約について、
新日本証券留学費用返還請求事件(東京地裁判決 平成10年9月25日)などの裁判・判例があります。
次に、第17条の前借金相殺の禁止とは、「お前生かした金分、○○で働いて返せ」という契約です。借金等の債権と、労働契約は全く別に扱わなければなりません。
 
   ○ 賃金第24条)    月1回以上、直接労働者に支払う  
    毎月1回以上、通貨で直接労働者に、その全額を支払わなければなりません。
現代は、銀行振り込みが主流です。労使協定を結ぶ事で、銀行振り込みや一部現金以外の支給、労働組合費などの控除を行なう事ができます。 
   ○ 労働時間第32条〜)  休日    
    一週間について40時間を超えての労働時間は設定できません。(所定内労働)
超えた分は「時間(所定)外労働」となり第36条からの条文に従わなければなりません。
 
関連   時間外労働(残業)サブロク協定(第36条)、時間外労働(残業)割増賃金(第37条)  
     
  休憩第34条)     
     使用者は、1日6時間を超えて労働させる場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上
一斉に自由に使える休憩時間
を与えなければなりません。(労使協定がある場合はこの限りではありません)
関連   休暇(第39条)、時間外労働(残業)割増賃金(第37条)  
   災害補償(第75条〜)  
 
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   関連する条文  
 
第3条(均等待遇)
 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。
第4条(男女同一賃金の原則)
 使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。
 
 
第5条(強制労働の禁止)
使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して
労働を強制してはならない。
 
 
第6条(中間搾取の排除)
 何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。
 
 
第15条(労働条件の明示)
 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない
 
 
第16条(賠償予定の禁止)
 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
第17条(前借金相殺の禁止) 
使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。
 
 
第24条(賃金の支払) 
 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合(1部分省略)においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
 賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第89条において「臨時の賃金等」という)については、この限りでない。
 
 
第32条(労働時間) 
 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。
 
 
第34条(休憩)
 使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない
 
       

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