骨頭は再生する




51    石原式《体を温める》と病気は治る
更新日時:
2008/02/17
石原結實(いしはら ゆうみ)
 医学博士。1948年、長崎市生まれ、長崎大学医学部卒業、血液内科専攻、
同大学院博士課程終了。長寿地域として有名なコーカサス地方(グルジア共和
国)や、スイスのB・ベンナー病院などで最前線の自然療法を研究。テレビ・ラジ
オの健康番組での分り易い医学解説で定評がある。主な著書に「体を温める」
と病気は必ず治る(三笠書房)、「温め美人プログラム」(WAVE出版)、「病は脚
から」(文芸春秋)、「筋力」をつけると病気は防げる」(フォー・ユー)などがある。
体温を1度上げれば免疫力は5倍増強し、万病を撃退
1 サラサラの小川がドブ川になってしまう
  近年、日本人の低体温化は非常に深刻です。極端なことをいえば、
人間は体温が低くなればなるほど、病気や死に近づくわけですから、
たかが冷えと、見過ごせる問題ではありません。冷えこそ万病の元と
いってもいいでしょう。
 冷えの大きな弊害の一つは、血液を汚すことです。体が冷えるのは、
血行が悪くなっているということなのです。血液は、新鮮な酸素と栄
養を各細胞に運び、不要な老廃物を取り去っていますから、血行が悪
くなると血液が汚れていきます。サラサラ流れていた小川が一旦せき
止められると、ドブ川に変わるようなものです。
 漢方では、あらゆる病気は血液の滞りから生じると考えますが、小
川がドブ川になれば、細胞は満足な活動ができません。再生が妨げら
れ、細胞自体が弱ります。それが全身の臓器で起これば、病気になら
ないほうが不思議といえるでしょう。
 細胞の機能が落ちると、代謝が悪くなり、熱が産生されなくなりま
す。つまり、冷えが血液の滞りを生み、さらにまた冷えを招くという
と悪循環が起こるのです。
 また、漢方では、冷えは水毒と痛みの原因ともなると考えます。む
くみ、関節痛、頻尿、メニエール病、胃もたれなどは、溜まった水が
充分に排泄できずに起こる水毒の代表的な症状です。
 冷えが原因の病気は他にも多く、ガン、動脈硬化、心筋梗塞、高血
圧、肺炎、アレルギー疾患、慢性関節リウマチなどの膠原病、心臓病
、肝臓病、糖尿病、胃腸病、めまいや耳鳴り、うつ、ノイローゼと数
え切れません。
2 細胞が元気になり臓器も正常に動く
 では、私たちはどうすれば、体の冷えを克服できるのでしょうか。
基本は、冷えた体を温めることです。体を温める食物を多く摂取し、
筋力トレーニングで体(特に下半身)を鍛えましょう。また、入浴法
を工夫し、服装に注意して、生活様式を変えれば、冷えの克服は可能
です。
 実は私自身、小さいころ、大変な虚弱児でした。始終風邪をひいて
熱を出し、慢性の下痢や腹痛に悩まされていました。テストや学校の
行事の時には、必ず腹痛と下痢を起こしていましたから、今から考え
ると、それは「過敏性腸症候群」だったのでしょう。ともあれ、いろ
いろな薬や漢方薬を試しましたが、私の腹痛と下痢はいっこうに改善
されませんでした。ちなみに、発熱と下痢は体の冷えの典型的なサイ
ンです。その当時の私の体はきっと冷え切っていたのでしょう。おそ
らく体温も36.5度を切っていたことと思われます。
 大学生で一念発起した私は、朝食をプチ断食とも呼べる少食に変え
、パワーリフティングに打ち込んで筋力をつけました。その結果、筋
力がついたことで体の冷えも解消することが出来たのです。以来、現
在に至るまで体温は36.5度を超えています。幼いころ悩まされた
発熱や下痢とも無縁となり、病気知らず毎日、診療や執筆、講演やテ
レビ出演など、忙しい日々を過ごしています。
 冷えが解消されれば、体全体の代謝が活性化し、様々な痛みや不快
な症状が改善されます。また、血流もよくなりますから、細胞に酸素
や栄養が充分に届きます。そして、一つ一つの細胞が元気になり、臓
器も正常に機能し始めます。
 さらに体温が上がることで、免疫の働きが高まります。体温が1度
上がると、免疫力は5倍になると言われていますから、風邪などの感
染症の予防や、ガンなどの予防も期待できるわけです。
 他にも、体温が上がることで様々な効果が期待できます。冷えから
生じる不定愁訴、例えば、のぼせやめまいなどの不快な症状に対して
も有効です。あたなもぜひ体を温めてみませんか。そして、万病の元
である冷えを克服しましょう。
体温が1度上がると代謝が12パーセント上昇!体を温めれば脂肪太
りも水太りも解消
1 水太りの人は同時に脂肪太りにもなる
  肥満の原因が冷えにあるといったら、あなたはどう思うでしょう。
素直に信じるでしょうか。それとも、本当かなと疑いますか。多くの
方にとって、これは未だにピントこない話かもしれません。ですが、
冷えと肥満の間に密接な関係があることは事実なのです。
 体が冷えると体はどんどん太り易くなります。いくらダイエットに
励んでも効果がなかったという人は、根本原因である冷えに気づいて
いない可能性があります。では、体が冷えると、どうして太りやすく
なるのでしょうか。
 私が学生時代に学んだ衛生学では、体温が1度下がると、基礎代謝
(安静時に消費するエネルギー)は12パーセントも低下するとされ
ていました。これは考えてみると、恐ろしいことです。全く同じ生活
をしていても体温の低い人は、ただ体温が低いだけで、普通の体温の
人より12パーセントも太りやすくなっているということなのです。
 体が冷えると血行が悪くなり全身の細胞に栄養や酸素が供給されに
くくなります。その結果、細胞は、充分に活発できなくなり、代謝が
低下します。しかも代謝が低下すれば、体内に蓄積された脂肪がエネ
ルギーとして使われなくなり、脂肪がどんどんたまり、いよいよ太り
やすくなるというわけです。
 体が冷えて溜まるのは、脂肪だけではありません。水も溜まり易く
なります。漢方では、体が冷えると水の巡りが悪くなり、水毒を起こ
すとされています。水毒とは、関節のようなくぼみや袋状の臓器、細
胞と細胞の間、脂肪細胞の中などに水が溜まり、さまざまな症状を引
き起こすことです。
 水毒の一番わかり易い症状といえば、むくみでしょう。漢方ではこ
のむくみと肥満を区別していません。むくんで体に異常に水がたまっ
た状態が肥満で、これはわかり易くいえば水太りのことです。人間の
体重の60〜65パーセントは水分で占められています。太っている
人は、水分も増えるため、当然、水太りになります。
 体が冷えると血行が悪くなり、内臓の機能が低下します。尿を排泄
する腎臓の機能も低下し、尿が出にくくなるため、体が冷えるほど、
水が溜まり易くなります。おまけに体内の水が増えると、その防衛反
応として体は脂肪を貯めて体を温めようとします。このため、水太り
の人は同時に脂肪太りにもなってしまうのです。
2 同じカロリーを摂取しても痩せ易くなる
 このように肥満の根本原因は、冷えにあります。ところが、多くの
人はそれに気付いていません。無理な食事制限をしたり、ハードな運
動をしたり、高価なダイエット食品を買ったりしています。私から見
ればこれこそ的外れなダイエットといえるでしょう。これではいくら
努力しても、うまく痩せられるはずがありません。
 それでは、痩せるためにはどうしたらいいでしょうか。冷えが肥満
の原因なのですから、その原因である冷えを解消してやることがまず
第一です。そうして、体を温めて体温を上げてやれば、代謝が高まり
ます。体温が1度上がると、基礎代謝量は12パーセントも上がりま
す。すると同じカロリーを摂取していても、痩せ易くなるのです。
 また、水太りの人が上手に痩せるためには、まず体の中の水分が多
い状態を解消してやらないといけません。体を温め、余分な水分や老
廃物を出し、血行をよくして、さらに体から産生する熱量を多くする
、こうしたサイクルを上手に回すことがダイエットの秘訣です。
 今回紹介する、体を温める方法を取り入れてほしいものですが、例
えば、ショウガ紅茶やニンジン・リンゴジュースを飲んで、体を温め
るようにしてみるのもいいでしょう。入浴法を工夫したり、ウォーキ
ングやスクワットも勧められます。こうした運動を実行することで、
体の中の余計な水分や老廃物を排出する効果も、ぐんと高まるからで
す。
 もともと低体温だった人は、体温が36.5度に近づいてくると、
それだけで痩せ始めるでしょう。
52    股関節治療の第一人者がズバリ教える手術についての考え方
更新日時:
2008/02/26
富士温泉病院名誉院長 矢野英雄
1 保存療法で再建は十分可能
 
 私は変形性股関節症に関しては、保存療法で股関節の機能を十分再建できると
考えています。もちろん、手術療法を否定するわけではありません。私自身、人
工関節の歩行研究をはじめ、寛骨臼回転骨切り術の開発など、手術療法の研究・
開発に長年取り組んできたという経験もあります。
 ただ、医師の中には痛みの程度にかかわらず、関節や骨の壊れ具合で手術を勧
める方が少なくありません。確かに、変形が進むと股関節は衝撃に対してもろく
なります。しかし、変形と痛みの関係は、実はまだよく判っていません。また、
痛みが同じ強さでずっと続くとも限りません。ある年齢を境に、痛みが軽くなる
ケースが少なくありません。
 さらに、痛みは骨に接する筋(スジ)からも生じています。骨を硬い地面、筋
を地面から生える木、骨と筋の継ぎ目を根とイメージすると判り易いでしょう。
無理な力で木を引くと、根が盛り上がります(変形)。同時に木や根も傷みます。
手術で関節や骨の変形だけを治しても、その周囲の筋や筋肉のケアがおろそかだ
と痛みは残るわけです。
 手術では、股関節を取り巻く筋肉や感覚器が傷つき、全身で行う歩行の運動調
整システムが乱れることもあります。人工股関節置換術を受けた患者さんが、反
対側の股関節を傷めたり、腰を悪くしたりするのはこのためです。
 もちろん手術療法にも痛みを速やかに取るなど、利点は数多くあります。手術
を受けるタイミングは、手術療法のメリット、デメリットを十分理解したうえで
患者さんご自身が意思決定すべきではないでしょうか。
2 股関節症の多くは病気ではない
 
 私は、変形性股関節症の多くは、”病気ではない”と考えています。変形性股
関節症は、加齢や生活環境によって心身に生じた生活病、生活障害と捉えるべき
でしょう。
 
 現在、変形性股関節症の発症は、その約8割を股関節臼蓋形成不全のある中高
年者が占めています。顔の形がひとりひとり異なるように、骨盤の形にも人によ
って特性があります。変形性股関節症は、臼蓋形成不全という特性を持つ人が、
加齢によって発症しやすい生活障害というわけです。
 歩行は、股関節の機能だけでなく、背骨や腰、ヒザ、足などを含めた、全身の
骨・関節・筋肉・神経の精妙な運動システムで成り立っています。加齢により、
運動神経が衰えると、この運動システムの調整にミスが生じやすくなります。小
さなミスでも、もともと負担の大きい股関節には、痛手となります。しかも、加
齢により治癒能力が衰えているため、いったん損傷が生じると修復は容易ではな
く痛みも持続します。
 
 痛みが持続すると、全身の筋肉と神経は常に緊張を強いられ疲労します。その
結果、さらに歩行の運動調整システムにミスが生じやすくなります。また、筋肉
と神経の緊張が続くと血流も悪化するため、股関節はますます痛みやすく、治癒
しづらくなります。その結果、変形に至ってしまうというわけです。
3 崩れた股関節でも再建できる
 
 では、一度傷つき、変形の進んだ股関節は二度と再建しないのでしょうか。
 Hさんは、1989年、42歳のとき、両側性に股関節痛が起こりました。52歳
のとき左股関節痛から歩行不能となり(写真1)「他の病院で勧められた人工関節の
手術を避けたい」と私の外来を訪れました。両側性末期股関節症の診断のもとに、歩
数を制限し、関節運動を行う自己管理法を勧めました。この結果、痛みが軽減し、歩
行が可能となりました。
 しかし、55歳のとき、今度は右股関節が痛み、歩行不能となりました(写真2)。
両側性股関節症は交互に症状が進行するため、この治療には徹底した保存的治療が
必要と考え、入院治療してもらいました。温泉プール治療とリハビリを受け、股関
節らくらく日記をつけました。痛みは徐々に軽減し、歩行能力も次第に回復。60歳
の現在、痛みの少ない生活を送られています(写真3)。
 55歳から60歳の5年間の保存的治療によって、CTにみる骨の性状も改善して
います(写真4、5)。Hさんの症例から学ぶことは2つあります。一つは両側の股
関節症は一時、片方が改善しても反対側が進行するという事実。もう一つは症状があ
ってもリハビリ入院を行い、その後の生活で痛みをしっかり管理すると歩行能力は回
復し、股関節症は改善するという事実です。
 多くの症例でHさんのように痛みが少なくなると、レントゲンやCT所見も改善し
ますが、骨や関節が改善する姿は人それぞれです。短時間で改善する場合もあれば、
長時間を要する場合もあります。大切なことは痛みの軽減であり、歩行能力でありま
す。従って、骨や関節の姿から即座に人工関節の手術を決めるべきではありません。
一度はご自分で保存的治療を試してみていただきたいと思います。
 加齢によって股関節症は進行する場合もありますが、中高年者にも治癒能力はあり
ます。強い痛みが生じたときには小さな骨折が生じたためと考えられ、迅速に対処す
れば骨や関節は修復されます。
 
 とはいえ、身体の要に位置する股関節を使わないで生活することは出来ません。た
完全に安静を保てなくても、痛みによる筋や神経の疲労や緊張を解放してやれば、
時間はかかりますが、股関節症は治癒に向かいます。これが「痛みをコントロールす
る」ということです。「痛みをコントロールする」ためには、痛みの度合いを客観的
に把握する必要があります。しかし、現在の科学の力では痛みを正確に把握すること
は不可能に近いといえるでしょう。
 痛みを感じるメカニズムは、身体(損傷による痛み刺激の発生)だけでなく、脳・
神経(痛みの伝達と記憶)や心(痛みの認知と受容及び高次の精神活動)と、広範囲
に跨っています。
 心の疲れといわれる「うつ病」では、体の損傷がなくても痛みを訴えることがあり、
また治癒へのあせりや将来への悲観が伴うと、実際の状態以上に強く痛みを感じる傾
向があります。
 では、どうすれば痛みの度合いを把握できるのでしょうか。その方法の一つが、
「股関節らくらく日記」をつけることです。
4 痛みのコントロール
 
 股関節らくらく日記の基本項目は以下のとおりです。
 @ 日付
 A 痛みのスケール(度合い)
    痛みの度合いを10段階で評価します。全く痛みのない状態をO、最高の
   痛みを10として、現在の痛みの度合いを記します。
 B 歩数
 C コメント
    その日の行動や痛み方を記します。
 ここに上げた4項目以外にも、参考になりそうな項目を自由に設けてかまいませ
ん。患者さんの中には自分で行っているリハビリやトレーニングの方法、天候、体
重、服用した薬、血圧といった項目を設けている人もいます。痛みの変化が一目で
判るように折れ線グラフの形式で記録した方もいました。
 実際に股関節らくらく日記をつけると判りますが、毎日記録をとり続けているう
ちに、どんな条件で痛みが強く(弱く)なるかが見えてきます。例えば「5000
歩以上歩くと痛む」「職場でストレスが溜まると痛む」「カイロを当てると痛みが
和らぐ」といった具合です。その条件は予想外のものであることも少なくありませ
ん。これをもとに日常生活において、痛みが少なくなるように調整すること、これ
が痛みをコントロールするということです。
 最後に股関節らくらく日記のもう一つのメリットをご紹介します。それは、痛み
に対する不安やおそれの払拭です。いつ、何がきっかけで痛むのかが判らないと、
痛みへの不安は増大します。将来に悲観的にもなりがちです。
 不安は痛みの度合いを左右します。しかし、股関節らくらく日記で痛みを自分で
コントロール出来るようになれば、心は前向きに変わるはずです。痛みの予測もつ
くため、積極的な社会活動も可能となるでしょう。
 股関節らくらく日記は、患者さん本人でなければ記せません。「自分で治す」と
いう強い意志で、痛みのコントロールに取り組んで下さい。
トニー:この先生の一番言いたいことは、痛みについてはよく判っていないが、
「痛みのない生活をする、痛みがないように動く」ということである。
 そうすれば、股関節は治癒に向かうという理論だ。
 これと似た考え方として、自然形体療法というのがある。リンク集に掲載しているが、
整体ともカイロとも違う療法である。
 自然形体療法では、大学病院で我々と同じ特発性大腿骨頭壊死症と診断され人工
関節を勧められた人が、完治したと載っていた。怪しいので俺はまだ受けていないが、
先日、本を購入し、どういったものか検証中である。
 それによると、痛みは「何らかの事情で身体が緊張しているために起きるもの」だそ
うだ。その緊張を取り除いていくと、身体の歪みも直り、健康体に戻る。
 
 その治療法の中で、この西洋医学でありながら、保存療法を勧める矢野先生と痛み
について同じようなことが書かれていた。
 それは、痛い動作をしないということだ。詳しくは後で掲載するが、「痛い方向に動か
せば状態は悪化し、痛くない方向に動かせば治る。」という単純なものだが、的を得て
いる気がする。
 自然形体療法では、痛みそのものを取り去るそうだが、詳しくは、後に掲載するつもりである。
53    ヒアルロン酸注射と同等の効果を得た加圧トレーニング
更新日時:
2008/02/26
福田博司:1983年名古屋大学医学部卒業、86年名古屋大学整形外科入局、
91年三菱名古屋病院勤務、97年ふく田整形外科開院、2000年ひざ関節靭帯
損傷の臨床研究で学位取得、04年加圧トレーニング統括指導者、現在ふく田整
形外科及び3箇所の関連施設で加圧トレーニングを行う。
1  椎間板ヘルニアの痛みが短時間で消失
 加圧トレーニングについて知ったのは、2003年『臨床スポーツ医学』
という専門誌で小田切研一先生らの研究報告を目にしたのが最初でした。そ
れによると、加圧トレーニングは、「重症の患者さんでも楽に出来る軽い
運動負荷で、通常の290倍もの成長ホルモンが分泌され、極めて短時間
で筋力をアップし、短時間で骨や関節の治療に大きな効果を現す。」という
ものでした。
 ただし、私たちのように運動療法やリハビリを重視している者にとって、
この報告はとても信じ難いものでした。足腰の弱った重症の患者さんの筋力
を短期間に、しかも楽に増強できるというのは、現代医学の常識では考えら
れないことだからです。
 ところが、加圧トレーニングに興味を抱き、実際にその講習を受けてみる
と、私自身が加圧トレーニングの驚異的な効果を体験することなったのです。
それは、加圧トレーニングの講習に通い始めて間もない2004年9月のこ
とでした。私は右足の激痛で目を覚ましました。痛みで足が上げられません。
その症状から間違いなく椎間板ヘルニアと判りましたが、その日は金曜日で、
とりわけ患者も多く、私にとって最も忙しい日でした。
 休診も考えましたが、痛み止めのブロック注射でその日1日を凌ぎ、夜に
加圧ベルトを痛い方の足に巻いてトレーニングしてみたのです。すると、し
ばらくしてから、フッと足が温かくなり、痛みが急に消えたのです。
 しびれとマヒは残りましたが、あの強烈な痛みはなくなっていたのです。
私がこれまで診察した椎間板ヘルニアの患者さんで、このように短時間で
痛みが取れた例は一度もありません。ブロック注射の効果も考えられますが
その効果は、せいぜい2時間しか持続しません。もちろん、薬も飲んでいま
せん。
 痛みが消えたのは、やはり加圧トレーニングの効果としか考えられないの
です。
 その後、84歳の女性の前腕骨の骨折に対して、簡単なギブス固定を行っ
たうえで、加圧トレーニングを試したところ、4週間で骨折が治りました。
高齢の女性の骨折がこんなに早く治った例を私は見たことがありません。
通常なら、この5倍くらいの器官がかかるのです。他の整形外科医に話して
も同様の意見でした。
2 筋肉や関節を強化し、じわじわ痛みを取る
 加圧トレーニングに興味をいただいた私は、さまざまな患者さんの同意を
得て、試させてもらいました。その結果、加圧トレーニングは、骨折、ねん
ざ、肉離れなどの外傷、ひざや腕などの変形性関節症、椎間板ヘルニアなど
の腰痛、それに大腿骨頭壊死症などの難病に特に有効であることが確認され
ました。
 なかでも、私は、ヒザの治療を専門としているので、多くの変形性ヒザ関
節症の患者さんにも試しました。この病気は、ヒザの関節が軟骨の老化など
によって変形し、その機能が衰えるものです。
 私のクリニックには、毎日30人以上の変形性ヒザ関節症の患者さんがヒ
ザ関節へのヒアルロン酸の注射を受けに来られます。ヒアルロン酸は、ヒザ
関節の軟骨を保護する働きがあり、痛みに対しても効果があり、副作用もこ
れといってありません。
 とはいえ関節に注射を打つのは強い不快感があります。それに、感染症の
危険性が全くないとは言えません。
 
 そこで、加圧トレーニングとヒアルロン酸のどちらがより有効かを比較す
る実験をしたのです。30人の変形性ヒザ関節症の患者を2つのグループに
分け、一方はヒアルロン酸で、もう一方は加圧トレーニング(週2回で1回
15分)で治療をして、その効果を比べたのです。
 その結果、治療開始後12週間以内に症状が改善された人は、
       ヒアルロン酸注射群・・・・10人
       加圧トレーニング群・・・・9人
でほとんど差は無く、その意味で効果は同等でした。
 ヒアルロン酸は、持続時間は、持続時間は限られますが、劇的に痛みを取
る作用があります。一方、加圧トレーニングは、筋肉や関節を強化して、じ
わじわと痛みを和らげていく働きがあります。
 現実的には、ヒアルロン酸で、まず痛みを和らげ、それから加圧トレーニ
ングで根本的に治していくのが最も効果的であると考えられます。
3 治療法のないヒザの骨壊死にも有効
 実は、重症の変形性ヒザ関節症の患者さんの中には、ヒアルロン酸が効か
ない場合があります。それは、軟骨の老化ではなく、骨の壊死によって起こ
るものです。
 難病とされる大腿骨頭壊死は、軟骨ではなく、股関節を形成する大腿骨の
先端の骨が血流障害によって死んでいくことによって起こります。これと同
様なことが、ヒザの関節で起こってくるのです。
 この場合、ヒザの軟骨には問題がないので、初めからヒアルロン酸が効き
ません。こうした重い症例に対して、よく効くのが加圧トレーニングです。
 例えば、Mさん(女性67歳)がまさにこのタイプの変形性ヒザ関節症で
した。Mさんはひどい左ヒザの痛みを訴えて、訪れました。レントゲンで見
てみるとビザ関節の骨に穴が開いているのが見えました。明にか骨が壊死し
ているのです。
 このタイプは、有効な治療法がないため、ヒザ関節の老化がどんどん進み、
最終的には、ヒザの機能が失われて人工関節の手術の適用になる例も少なく
ありません。このまま放置しておくと、最悪の事態も考えられので加圧トレ
ーニングを試したのです。
 加圧を始めるとめきめき効果が出始め、1ヶ月で悪い左足が正常な右足に
比べて引き締まった若々しい足になったのです。
 そこで当初は左足だけに行っていた加圧を右足に行うようにすると2ヵ月
後には、ほとんど痛みがなくなり、普通に歩けるようになりました。
 従来こうした重症の患者さんに対しては、これといった治療法はありませ
んでした。それが加圧トレーニングにより、新しい道が開けたのです。
 骨や関節の障害や病気で悩まれている人は、一度早めに加圧に理解のある
専門医のアドバイスを受けることをお勧めします。
54    重症の股関節痛に効くプラセンタ注射
更新日時:
2011/02/13
清水整形外科医院 院長
清水 康雄
1 従来の治療では股関節痛は治せない
 股関節やヒザ、それに肩などの関節痛を訴えて整形外科を訪れる患者さんは沢山います。
 しかし、整形外科の治療でそうした関節の痛みがすっかり解消されるかというと必ずしもそうではありません。
 関節痛によく行われる注射や内服薬、湿布薬などの従来の治療法には初めから限界があるのです。いうまでもなく、それらは関節痛を根本的に治す治療法ではないからです。
 そのため、股関節やヒザの痛みを治すために、あちらこちらの病院やクリニックを転々とする患者さんが沢山います。しかし、どこの整形外科でも行われる治療は、似たり寄ったりです。
 医師であれば、患者さんをよくしてあげたいと誰でもそう思うでしょう。そこで、私は、従来の治療法にとらわれず、いいと思われるものはどんどん治療に取り入れてきました。その結果、従来の治療と比べると、はるかにいい結果の出ることが多いのです。私の場合、それが漢方薬であり、伸縮テーピングでした。
2 五十肩やヒザ痛にプラセンタが効いた
 そして、今から8年前にプラセンタ療法に出会い、それを用いたところ、驚くような結果
が、次々と出て私の関節治療の中心的な存在となっていきました。
 プラセンタとは、哺乳動物の「胎盤」を意味する言葉で、そこから抽出されたエキス製
剤のことを指します。また、医薬品としてヒト胎盤から抽出された注射薬、サプリメントや
化粧品としてブタ胎盤から抽出されたエキス製剤もすべてプラセンタと呼ぶのが普通で
す。このうち、私が用いているのは注射薬です。
 例えば、どんな治療をしてもよくならない頑固な五十肩がプラセンタを注射すると、そ
れだけであっというまによくなってしまうことがあります。
 また、ヒザの痛み(変形性膝関節症)には、ヒアルロン酸(軟骨保護薬)の注射がよく
用いられます。ヒザ痛でも体重のよくコントロールされた患者さんなら、ヒアルロン酸の
注射を4〜5回繰り返して用いると痛みが取れてよくなってしまうことがあります。
 しかし、体重の重い患者さんの場合はそうはいきません。いくらヒアルロン酸を使って
も全く効果がないのです。そんなとき、プラセンタを注射すると肥満した患者さんであっ
ても、ヒザの痛みがきれいに取れてしまうのです。
3 股関節痛の手術が不要になった
 中でも私が一番驚いたのは、股関節痛の患者さんにプラセンタを用いたときでした。
 その人は79歳の女性で股関節の軟骨がレントゲンで見ると、ほとんどなくなってい
て、もはや手術以外には治療法がないという人でした。私のところへ訪れたのも、大学
病院からの紹介で手術までの繋ぎの治療として頼まれたものでした。つまり、手術待ち
の患者さんです。
 その人にプラセンタ注射を週に1回したところ、3ヶ月で杖なしでも歩けるようになり、
手術が不要になってしまいました。
 もう一例は、やはり変形性股関節症の62歳の女性です。この人は股関節の激しい
痛みで、ほとんど歩くことができず、日常生活にも支障をきたしていました。
 手術を勧められていたのですが、どうしても受けたくないということで、大学病院から
やはり紹介でやってきました。この人の場合も、週1回のプラセンタ注射を三ヶ月続け
たところ、痛みがキレイに取れてしまいました。
 なぜプラセンタがこんなによく効くのか、正直なところ、よくわかりません。レントゲン
で股関節の状態を見ても、悪かったときと、ほとんど変わっていません。それでも、痛
みはないし、普通に歩くことも出来るのです。
 胎盤(プラセンタ)は、人間を含めた哺乳類の胎児の発育や成長のために、あらゆ
る栄養素と生理活性物質(体の働きを活発にする物質)が集中している臓器です。
 プラセンタが効くのは、これらの成分が股関節の組織の細胞を活性化させ、その
機能を高めたからではないか、と考えています。
 ただし、全ての股関節痛にプラセンタが効くかどうかはわかりません。今後、その
点をもっと明らかにしていきたいと考えています。
55    新軟骨サプリ(外科医実証の凄いサプリメント)
更新日時:
2008/03/08
新軟骨サプリ(グルコサミン、コラーゲン、コエンザイムQ10、ビタミンC)
股関節痛・ヒザ痛が1ヶ月で和らぐ
外科医実証の凄い軟骨サプリ
中野クリニック
兵庫県神戸市北区鈴蘭台東町4−5−32
シャトーすずらんU2階
電話078−596−6110
1 軟骨が磨り減ると慢性的な痛みが生じる
  ヒザ痛や股関節痛を防ぎ治すには、簡単な体操やストレッチで股関節の可動域を広げ、
周辺の筋肉を強化すれば痛みが引いてきます。しかし、関節痛を根治させるためには、関
節の軟骨の強化が必要なのです。
  軟骨は年をとると徐々に磨り減り、その破片が飛び散って周囲に炎症が起こり、関節が
腫れて痛みが出ます。また、クッションとしての役割が失われ慢性的な痛みが生じるのです。
2 グルコサミンが衰えた軟骨を修復する
  最近まで、関節の軟骨は一旦衰えて磨り減ると、修復させるのは困難だというのが定説
でした。しかし、ここ数年で、ある栄養素を取れば、衰えた軟骨が修復されるという報告が次
から次へと発表されるようになってきました。
  その代表的な栄養素が「グルコサミン」というアミノ酸です。軟骨は、約8割を占める水分
を除けば、主にプロテオグリカン(ムコ多糖類)とコラーゲンから成り立ち、強度や弾力性、
滑らかさが保たれています。
  グルコサミンは、このプロテオグリカンを構成する成分の一部として(他にもコンドロイチン
やヒアルロン酸がある)軟骨の強度や滑らかさなどを正常に保つように働いています。
 ただし、グルコサミンの働きは単にこれだけではなく、プロテオグリカンやコラーゲンを日夜、
作り出している軟骨細胞の働きを強力に活性化しているのです。グサコサミンの効果について
は、既に世界各国の研究者によって調べられており、磨り減った軟骨が正常な状態にまで回復
していることが、いろいろな研究で明らかにされています。
3 軟骨は水分を除けばコラーゲンが大半
  軟骨の約8割は水分で残りの2割の大半は、コラーゲンです。このため、コラーゲンを積極的
に取ることが大切で、コラーゲンを補えば、コラーゲンが体内で合成しやすくなります。コラーゲン
は体内に入ると一旦は細かく分解されますが、再び再合成されるからです。しかも、軟骨細胞の
働きも活性化して、軟骨のコラーゲンが増えやすくなるのです。
  グルコサミンやコラーゲンを体内に増やすためには
      鶏・牛・魚などの軟骨部分
を積極的に食べたり、栄養補助食品を利用すれば補えます。(イワシの缶詰など)
4 コエンザイムQ10が軟骨細胞を活性化する
  コエンザイムQ10は、30年以上前から心臓病の治療薬として医療現場で用いられてきました。
コエンザイムQ10の働きは、全身の細胞の働きを活発にして内臓や筋肉を正常に働かせ、細胞
の新陳代謝を活性化させることです。
  体内の細胞は栄養を燃やすことでエネルギーを作り筋肉や内臓などのあらゆる組織を活動さ
せます。エネルギーは細胞内のミトコンドリアがブドウ糖を燃やして分解しATP(アデノシン三リン酸)
を作り出し、このATPが機械に例えると電池の役割を果たし身体を動かすのです。
  このATPを作る過程で不可欠なのがQ10なのです。ですから、Q10が体内に十分あれば、
不足しているときに比べて数十倍も多くのエネルギーを作り出すことができ、軟骨細胞の活性化
を促すのです。
5 ビタミンCはコラーゲンの体内合成を促す
  16〜18世紀にかけて船による長期の航海で、船乗りたちが相次いで出血死しました。
これは壊血病という病気でビタミンCの摂取不足によってコラーゲンなどが体内に不足して起こる
ものと判りました。
コラーゲンは食事でたっぷり取っても、それがそのまま体内に吸収されるわけではなく、
体内で細かく分解され、再び体内で合成される際、ビタミンCが必要なのです。
6 二週間で47%、一ヶ月で86%の人に著効
 このように、軟骨の衰えを回復させるには、
     @ グルタミン
     A コラーゲン
     B コエンザイムQ10
     C ビタミンC
 が重要で、この4種全てが含まれている新軟骨サプリが最近になって市販されるようになりま
した。この新軟骨サプリを「西てらかた医院」の笹島元則院長(整形外科医)がヒザ痛・腰痛・肘
痛・肩こりといった軟骨の衰えで起こる関節痛に悩む人に飲んでもらいました。
  すると二週間で47%、一ヶ月で86%、三ヶ月で97%もの人の関節痛が改善したのです。
軟骨の栄養補助食品は多数ありますが、ここまで効果が早く実感できるものは多くないでしょう。
もちろん、効果には個人差がありますが、この結果は特筆すべきといえます。ちなみに新軟骨
サプリをとり続けた人の中には衰えた軟骨が若い頃のようにすっかり回復してしまった、という
人もいます。
  この試験では残念ながら股関節痛のことは調べられていませんでした。とはいえ、股関節
痛も多くは軟骨の衰えから原因ですから、この4種の栄養をしっかりと補うようにすれば股関節
痛も同様に改善されてくることでしょう。
7 4種の栄養素は身近な食品に含まれる
 @ グルコサミン・・・・・・カニ、エビの甲羅や殻の成分
キチン質に多く含まれている
               動植物の軟骨(焼き鳥の軟骨、丸ごと食べられる小魚)
 A コラーゲン・・・・・・・鶏、豚、牛などの肉や魚肉
骨や腱、皮の部分に多く含まれる
鶏の手羽先を煮込んだスープなど
 B コエンザイムQ10・・・肉のレバー、イワシやサンマなどの青背の魚、大豆
               緑黄色野菜、ジャガイモなど
 C ビタミンC・・・・・・・パセリ、ブロッコリー、コマツナ、ホウレンソウ
               グァバ、レモン、ミカン、キウイなど
  簡単に4種の栄養素を摂取するには、「イワシの缶詰」で3種を補い、それにレモン汁を
かけるなどしてビタミンCを摂取すればベスト。
  
56    手術後の回復をスムーズにする術前リハビリ
更新日時:
2008/03/09
福岡和白病院リウマチ・関節症センター長
林 和生
1 全ての患者さんに運動療法を勧める
  私は、骨セメントを使わない人工関節の手術を長年研究してきました。そして、
 セラミック素材を用いた人工関節を開発し、人工関節の耐久性を延ばすことに成
功しています。このセラミック素材を用いた人工股関節は、20年以上の耐久性
が確実となり、現在世界的に普及しています。
 それでも、手術はむやみにするべきではないというのが、私の基本的な考えで
す。私は、全ての変形性股関節症の患者さんにまずは運動療法をお勧めします。
 なぜなら、例えば人工関節置換手術の場合、入院に1ヶ月、退院後、社会復帰
までに1〜2ヶ月は必要だからです。手術をするということは患者さんご本人は
もちろん、会社や家庭にとっても大きな損失になるのです。
 変形性股関節症は、ガンなどと違い、命に直ぐに関わるような疾患ではありま
せん。よって、なんとか手術を回避したい、それが無理ならせめて休みの取り易
い時期に手術をずらしたい、と患者さんが望まれるのは当然です。それを可能に
する唯一の方法が、運動療法というわけです。
 私はこれまで1000例の人工股関節の手術を行ってきた経験から、その理由
として次の2つのことを掲げたいと思います。
 1つは、筋力が相当落ちた状態で手術をされると、術後の回復に時間がかかる
ということ。
 2つ目は、手術前に拘縮(股関節が硬くこわばった状態)が強い人は、手術し
ても、拘縮が残るケースが多いということ。筋肉がつきにくいという傾向もしば
しば見られます。
 つまり、手術の前に股関節を柔軟にし、周辺の筋肉を鍛えておくことは、速や
かな回復のために、極めて重要なのです。
 ところが、手術前に運動療法を勧める整形外科医は、あまりいないのが現状で
す。手術後のリハビリにしても、サポート程度にしか見ていない医師が多いよう
ですが、人工股関節の術後1年を過ぎても1本杖を外せない患者さんが数多くお
られるようにです。私は人工股関節の術後は、杖なし歩行ができ、旅行や軽い運
動(ゴルフや自転車)が出来ることを標準としています。
 キネシオロジー(運動機能学)に基づく、しっかりした運動療法の重要性を感
じていたとき、目にとまったのが大谷内輝夫先生の本です。何より、患者さんの
負担にならない運動が、きちんと紹介されており、股関節症の患者さんにとって、
とても有用なないようだと感動しました。私はすぐさま先生に連絡をとり意見交
換をするとともに、先生の講演会を私どもの病院で開くなど治療の向上のために
互いに連携をとっていくことにしたのです。
 私どもでは、これまで変形性股関節症の運動療法で患者さんが痛みを感じた場
合、運動の回数や行う時間を減らして継続するように指導してきました。しかし、
大谷内先生と出会って痛みを伴う運動療法は、間違いであることが判りました。
まだまだそのやり方を継続している医師は多いと思われますので、このことは広
く周知させたいと思っています。
2 手術のタイミングを逃してはならない
  高齢の患者さんの中には、痛みや手術を避けたくて、あまり体を動かさない方が
います。しかし、動かずにいると、股関節を支える周囲の筋肉が萎縮や筋力低下
招きます。そうなると、歩行時に股関節の負担が増大するだけでなく、結果的に症
状を悪化させてしまう場合があるのです。また、ヒザ痛や腰痛、足関節痛を併発す
ることもあります。
  そうなってから手術をしてもスムーズな回復は得られないかもしれません。手術
は最終手段ですが、その選択に踏み切るべきときがあるのも事実なのです。
 私はそのタイミングとして人工関節の場合は、次の4つの要素があると思ってい
ます。
      @ 運動療法をやっても改善が見られない
      A 夜間痛や寝返り痛が出る
      B 15分以上歩けない
      C @〜Bを満たす方で、まだヒザ痛、腰痛、足関節痛の訴えはなく
        あっても軽い
以上の条件がそろったときこそが手術の旬です。手術の旬を逃し、体を動かさない
まま手術を先延ばしにするのは、得策ではありません。だからこそ、私は手術をす
る患者さんにも、運動療法を勧めてきました。手術前に運動療法に取り組むことで
症状が軽快し、手術を回避できた患者さんも沢山います。
 運動療法の中でも大谷内先生が提唱される「術前リハビリ」は患者さんの負担に
ならない方法で筋肉を強化し柔軟にする素晴らしい方法だと思います。
57    股関節痛に効くAKA療法
更新日時:
2010/09/19
望クリニック
整形外科院長 住田憲是(すみた かずよし)
「難治の股関節痛の多くは仙腸関節の異常と判明」
股関節痛が治り大反響のAKA療法
【171-0032 東京都豊島区雑司が谷2-4-1】рO3−3986−7889
1 重症になると満足に歩けなくなる
  変形性股関節症は、その原因により、いくつかのタイプに分けられ
ます。股関節脱臼、臼蓋形成不全、化膿性股関節炎後などです。中で
も、臼蓋と大腿骨の接合がうまく合わないことから痛みを起こす臼蓋
形成不全から起こるものが多いようです。
  臼蓋形成不全からくるといわれている痛みは、長時間の立ち仕事や、
激しい運動の後に起こりやすく、急性なら、しばらく安静を心がける
ことで治る場合があります。
  しかし、臼蓋形成不全からの痛みが慢性化すると、関節に変形が起
こり、激しい痛みを伴うようになり、階段の昇り降りや歩行が困難に
なり、跛行(足を引きずる)に至ることも少なくありません。
2 人工関節にしても痛みの消えない人がいる
  変形が重くなると、一般的な整形外科の治療としては、手術が勧め
られます。多くの患者さんは、手術以外の治療法を希望するものです
が、残念ながら、従来の整形外科では、他に治療の手立てはないので
す。変形性股関節症の手術では磨り減った軟骨をずらし、関節面の適
合をよくする骨切り術という方法がとられます。しかし、この骨切り
術は一時しのぎでしかなく、最終的には股関節を金属製の人工関節に
置き換える手術が行われます。
  なお、人工関節は素材の問題から、あまり永く持たないため、年齢
が50代半ばに達するまで手術を勧められません。このように手術を
受け、股関節を人工関節に置き換えることで全快する人もいますが、
実際は、手術前と同じように痛みの現れるケースがあるのです。
  私が整形外科になったばかりのころ、手術で人工関節に置き換えた
にもかかわらず、痛みを訴える患者さんが多くいることに疑問を感じ
ていました。なぜなら股関節の変形に痛みの原因があるとすれば、人
工関節に置き換えることで痛みは完全に消失するはずだからです。
  実は、ここに大きな問題点があります。それは、検査で現れた異常
が必ずしも痛みの根本原因ではないということです。そもそも、変形
性股関節症や臼蓋形成不全といった呼び名は、レントゲンやMRI(磁
気共鳴断層撮影装置)によって確認される画像上の異常に基づいてつ
けられた病名です。
  しかし、いくら画像診断で臼蓋の形成不全や股関節の変形などの異
常が認められても、全く痛みを訴えない人がいます。逆に画像上で、
まったく正常でも痛みを訴える人が多くいます。これは、どういうこ
となのかというと、診断上の病名と痛みの原因が必ずしも一致してい
ないということです。
3 痛みがすぐ消える
  では、痛みの本当の原因はどこにあるのでしょうか。関節のいずれ
かに機能異常が起こると、その関節に関係する筋肉が異常な収縮起こ
します。すると、痛みやコリ、ツッパリ、シビレといった症状が現れ
ます。これらの症状は、異常を起こした関節の周囲だけでなく、思い
もよらない遠い部位にまで発生します。これを関連痛といいます。
  特に関連痛を引き起こし易いのが、骨盤にある仙腸関節(仙骨と腸
骨をつなぐ関節)なのです。仙腸関節が機能異常を起こすとその周囲
だけでなく、股関節・腰・ひざ・肩・首などにある筋肉が緊張して収
縮します。さらに、その影響で他の関節が異常を起こすと、それと関
係する筋肉までもが収縮します。
  私のクリニックに体の痛みを訴えてくる患者さんのほとんどは、こ
の仙腸関節に異常が認められます。
  実は、二十数年前に腰痛、ヒザ痛、肩こりなど整形外科的痛みの根
本原因を突き止め、ピタリと改善する画期的な治療法が開発されまし
た。それは、【AKA療法】(正式には治療法を開発された先生の名前
をつけAKA博田法という)です。
4 関節の異常が筋肉の収縮を招く
  私たちが行っているAKA療法では、仙腸関節の機能異常を運動療
法(手技療法)によって正常にするのを一番の目的としています。そ
れによって、股関節・腰・ひざ・肩・肘など、あらゆる部位に発生す
る痛みが始まるのです。
  AKAとは英語の、Arthro Kinematic Appr
oachの略で和訳すると「関節運動学的アプローチ」となります。
人間の関節は、単純に筋肉の伸び縮みだけで動くわけではありません。
骨と骨の結合部には骨膜関節があり、その内部がきちんと動くことに
よって、初めて関節は機能するのです。この骨膜関節は、関節包とい
う膜で覆われています。つまり、関節運動とは関節包の中で行われる
微妙な動きのことなのです。
  ただし、関節が機能異常を起こしたからといって、その部分だけに
症状が現れるとは限りません。むしろ機能異常を起こした関節から遠
く離れたところに症状が現れることが少なくないのです。
  それは、全身の筋肉が関節の機能異常に影響受け、異常収縮(筋ス
パムズ)を起こすためです。この筋収縮の強いところは、全身どこに
でも痛みを感じます。中でも障害関節から遠いところに出る痛みを関
連痛といいます。
  このような関連痛を招く関節は脊柱にいくつかありますが、ほとん
どの整形外科領域の痛みは、仙腸関節の機能異常で起こります。この
仙腸関節こそが関連痛の震源地といっても過言ではありません。
  仙腸関節は、腰椎(背骨の腰の部分の骨)を支える骨盤の中央にあ
る仙骨と腸骨が結合した部分です。ここには、全身の重心がかかって
いるため、機能異常を起こしやすいのです。
  ふつう仙腸関節には、2〜3ミリの遊び(骨と骨の結合部のゆるみ)
があり、動きのほとんどは、関節包内の運動です。しかも、仙腸関節
を保護している靭帯はとても強靭で骨そのものの動きはほとんどあり
ません。
  ところが、中腰で関節がゆるんだ状態のとき重い物を持つなどする
と仙腸関節に異常な負荷が加わり、関節面が少しねじれた状態になり
ます。すると仙腸関節はねじれた状態のまま固定され、遊びがなくな
ってしまいます。関節は遊びという余裕があって、初めて動くことが
出来ます。
  仙腸関節の機能異常とは、このように遊びがなくなり、動きのなく
なった状態のことです。そうなると、仙腸関節に関係する筋肉が異常
な収縮を起こします。瀬長関節は体の中央にあるため筋肉の収縮は、
上半身や下半身の聞く肉が関係している股関節・腰・首・肩・肘・膝
など全身に及びます。レントゲンの画像検査で異常が確認されても、
症状の根本原因と一致しないことが多いと述べましたが、それは、多
くの整形外科領域の痛みが仙腸関節の機能異常を原因とする関連痛だ
からで、画像検査では本当の原因が判らないということなのです。
5 AKA博田法の治療後の手術は0件
  私はこれまで20数年間、AKA療法博田法を行っていますが、そ
の経験からいうと、整形外科の痛みを訴える患者さんの80%は千腸
関節の機能異常を起こしています。ですから、AKA博田法で仙腸関
節の内部動きを正常にし、回復させればレントゲンなどの検査で軟骨
の磨り減り、狭窄、ヘルニアによるものと診断された痛みの多くは解
消できます。
  ちなみに変形性股関節症に限れば、患者さんの90%に仙腸関節の
機能異常が見られます。中には股関節自体が炎症を起こしているよう
なケースもありますが、股関節だけに痛みの原因があることはまれで
す。事実、私のクリニックには病院で手術が必要といわれ、来院する
変形性股関節症の患者さんが沢山いますが、ほとんどはAKA博田法
によって痛みが消失しています。また、AKA博田法を続けていただ
いた人で手術を受けた患者さんは一人もいません。
  ただ、いくら優れた新療法といっても、変形性股関節症を根治でき
るわけではありません。変形性股関節症の人は仙腸関節に慢性的な炎
症を起こしていることが多いため、一時的に痛みが消失しても、時間
の経過と共に再び痛みを訴えることが少なくないからです。
  このように慢性的な炎症を起こしている場合は、定期的にAKA博
田法を受け、痛みをコントロールすることになります。それでも手術
を受けることなく激しい痛みから解放され、健康な人と同じように日
常生活を送れるのですから、患者さんにとっては大きなメリットがあ
るといえます。
  また、中には手術が必要な患者さんもいます。それはAKA博田法
に反応がなく、股関節そのものに炎症が強くある場合です。腰痛でい
うとレントゲンなどで確認できる異常と神経が障害されている症状が
完全に一致しているときです。その場合は、本当に画像の異常で痛み
が生じているので、手術で異常を取除かなければなりません。
  どのような痛みでも、まずAKA博田法を試して、反応しないもの
に初めて手術を行うべきだと私は考えます。
6 治療は苦痛もなく簡単に終わる
  AKA療法は、仙腸関節のある部位を手で軽く押さえるだけの一見
ごく簡単で愛護的なものです。荒々しく力を加えることはしないので
苦痛はなく、治療時間も数分で済みます。では、なぜ、手で軽く押さ
えるだけの治療で仙腸関節を中心とした関節の機能異常を正すことが
できるのでしょうか。
  実は、AKA博田法は簡単なように見えて非常に高い技術が治療者
に求められます。というのも、仙腸関節の遊びはわずか2〜3ミリし
かなく、治療者は経験をもとに指先で関節の機能異常の状態を察知し
なければならないからです。このように細やかな手技を行うには関節
内部の運動の性質を熟知していなくてはなりません。
  手技には骨と骨の間を広げる「離開法」、骨と骨を反対方向に動かす
「滑り法」、関節の運動を利用して硬くなった関節を動かす「凹凸の法
則」など、さまざまな技術があります。これらを組み合わせ各関節の
機能異常に応じて治療を行っていくのです。
7 AKA博田法の手順
 ? 体の前後屈
   体を前後左右に屈伸し、どれくらい曲がるのか、痛みはあるのか
を調べます。
 ? SLRテスト
   仰向けに寝て足を伸ばしたままゆっくり持ち上げます。仙腸関節
が機能異常を起こしていたり、ヘルニアが神経根を刺激していたり
する場合は左右の足で上がる角度に差が生じます。
 ? ファーダフテスト/ファベーレテスト
   仰向けに寝て股関節を、いろいろな方向に動かして、動き方の制
限や痛みの度合いを調べます。
 ? 仙腸関節のAKA
   横向きに寝た患者の腰に手を軽く押し当て、仙腸関節の内部の動
きの障害を直します。
 ? 症状が残っている場合
   ?〜?の手順を何回か繰り返し、再び?の屈伸で各部の曲がり具
合を確認すれば終了です。仙腸関節の動きをよくするため、あらか
じめ腰を温める光線治療を行うこともあります。
8 AKA療法は専門の資格を持つ医師に受けるのが肝心
  AKA療法は技術的に難しいことから習熟のレベルによって効果に
差が出ます。そこで、AKA博田法の普及を推進している日本AKA
医学会では、一定の技術水準をクリアした専門医を増やすことを目的
として認定専門医という独自の制度を設けています。AKA博田法の
専門医になるには日本AKA医学会が行う筆記試験、技術試験を受験
し、合格しなければなりません。しかも、受験資格として同医学会に
5年以上入会する必要があるほか、学術集会への参加条件などが決め
られています。まだ、認定期間は5年と定められており、定期的に資
格を更新する必要もあります。
  現在、日本AKA医学会で学んでいる医師は500人、専門医は5
0数人ほどです。このように医師たちが自ら難しい認定制度を設けて
いることからも信頼できる治療法であることがお分りでしょう。
ですが、昨今、専門医でもないのにAKA博田法を行っているかの
ような宣伝をしている悪質な治療師がいます。知識も技術もない人が
AKA博田法を行った場合、全く効果がないばかりか、かえって症状
が悪化することがあるので注意が必要です。
9 1〜2回の治療で3週間ほどでよくなる
  AKA博田法は健康保険が適用されず、自費治療になります。費用
は、病医院ごとに異なりますが、当院では、1回9,500円です。
治療回数は患者の症状によって異なりますが、仙腸関節の機能異常に
よる痛みの大半は1〜2回の治療で3週間以内に治ります。ただし、
仙腸関節炎(単純性)お起こしている場合は、つき1〜2回のAKA
博田法を3ヶ月ほど続ける必要があります。また、再発を繰り返す仙
腸関節炎(特殊型)の場合は、定期的に治療を受けなければなりませ
ん。
  変形性股関節症はもちろんのこと、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱
管狭窄症、腰椎すべり症、変形性膝関節症と診断された人もAKA博
田法を受けてみたほうがいいでしょう。なぜなら病院で手術が必要と
言われた重症の人でもAKA博田法を何回か行うだけで完治すること
がよくあるからです。
10 AKA療法行う主な病医院
太田外科整形外科医院(北海道小樽市)  0134−62−3131
おおあさクリニック(北海道江別市)   011−388−2233
望クリニック整形外科(東京都豊島区)  03−3986−7889
岡田整形外科クリニック(横浜市青葉区) 045−981−4511
樂々堂整形外科(山梨県富士吉田市)   0555−24−1171
臼田医院(長野県小諸市)        0267−22−0483
廣田ペインクリニック(名古屋市南区)  052−823−6800
岡崎理学診療クリニック(大阪府八尾市) 0729−25−3617
矢倉クリニック(大阪府平野区)     06−6701−4715
別所外科診療所(大阪府堺市)      072−232−9096
増田医院(兵庫県尼崎市)        066−499−6880
ひまわり整形外科(兵庫県姫路市)    0792−43−2000
こたけもり整形外科(岡山県岡山市)   086−252−1237
大谷リハビリテーション病院
(AKA事務局)(広島県江田島市)    0823−57−3636
ほり整形外科(広島県西区)       082−278−5255
おもて整形外科(山口県山陽小野田市)  0836−84−7000
山北診療所(高知県香美郡)       0887−54−2220
伊与木クリニック(高知県土佐市)    088−828−5222
三愛医院(福岡県嘉麻市)        0948−57−3268
中村博整形外科医院(福岡県南区)    092−554−1700
内田内科(熊本県熊本市)        096−396−7227
★AKA医学会のHP
http://www.aka−japan.gr.jp/chiry
o.html

58    万病に効くヒュウガトウキ
更新日時:
2008/03/30
ヒュウガトウキ(高千穂の神の草)
体の弱点のみに作用し、糖尿病から腎臓病、高血圧まで大改善
 水野修一
 1937年、福岡県若松市(現北九州市)生まれ。1968年、九州大学医学部
 大学院終了後1973〜1998年まで国立小倉病院消化器医長を務める。その間、
 現代医療体系での漢方薬の位置づけを研究、1976年に漢方医療を開始。
 1981〜1982年には厚生省漢方療法研究班班長に着任。現在敬天会東和病院
 副院長。和漢医学会評議員、日本東洋医学医学会評議員、九州歯科大学
 非常勤講師(東洋医学)。
 ホルモンの働きを正常化し、生活習慣病を根本から改善する「ヒュウガトウキ」
1 脂肪の燃焼を促し、脂肪肝も改善
 私は西洋医学の医師ですが、長年、東洋医学も研究してきました。昭和51年
からは、当時、消化器科医長をを務めていた国立小倉病院で同意を得た患者さんに
漢方治療を開始し、数多くの好結果を導き出してきました。現在の病院でも漢方は
続けており、同時に漢方薬の研究も続けています。
 その私が「これは素晴らしい」と感嘆する薬草が「ヒュウガトウキ」です。ヒュ
ウガトウキは、宮崎県高千穂地方の山で育つセリ科の植物で、江戸時代から薩摩藩
では「神の草」として珍重されてきました。
 ヒュウガトウキの薬効に関する基礎的研究は、愛媛大学、明治薬科大学、京都薬
科大学でなされました。この研究は現在も引き続き行われておりますが、既に多く
の薬効が判明しています。
 まず、ヒュウガトウキには、インスリンが出ているのに血糖値(血液中の糖分量
を示す数値)が下がらない、U型糖尿病を予防する作用のあることが証明されてい
ます。インスリンは、血液中のブドウ糖(血糖)を細胞内にエネルギーとして取り
込むためのホルモンで、血糖値が上昇しすぎないよう調節する役割があります。U
型糖尿病の人はインスリンがうまく働かないので、血糖値が上昇してしまうのです。
ヒュウガトウキには、インスリンの活性を高める作用のあることが判っています。
 ただし、糖尿病の人がヒュウガトウキだけに頼るのは禁物です。暴飲暴食を避け、
食事療法を続け、必要なら経口糖尿病薬を服用しながら、ヒュウガトウキを併用す
ることが原則です。
 また、U型糖尿病で肥満の人は、中性脂肪(体内で最もありふれだ脂肪)を燃や
す、アディポネクチンというホルモンの分泌も低下していることがわかってきまし
た。それにより、糖代謝(等の利用と排出)だけでなく、脂肪代謝(脂肪の利用と
排出)も下がります。研究者の間では、アディポネクチンの分泌を増加させる薬を
発見することが急務とされていますが、現時点では現代医薬品にはまだ見つかって
いません。
 しかし、現実に中性脂肪が下がっている臨床例をいくつも持つヒュウガトウキに
は、このアイディポネクチンの分泌を増加させる効果もあるのかもしれません。
 ヒュウガトウキが中性脂肪に及ぼす作用で判っているのは、燃焼作用です。肝臓
に中性脂肪が過剰にたまる脂肪肝も、この燃焼作用で改善します。
 また、脂肪肝だけではなく、肝機能の働きそのものを改善します。そのため胆汁
の分泌が盛んになるので消化管の動きがよくなり、消化酵素も十分に分泌されます。
それに伴い便通もよくなるのです。
2 お年寄りの悩みの唾液不足も解消
 消化酵素の分泌がよくなると唾液も良く出ます。お年寄りで「唾液が出ないので、
舌が口の中に張り付く」と訴える人がよくいますが、これも一部は消化管の働きが
弱っているからです。
 ヒュウガトウキには、高血圧を改善する作用のあることもわかっています。血圧
を下げるために専門医が使っているのは、アンジオテンシン変換酵素阻害剤とカル
シウム拮抗剤です。ヒュウガトウキには、アンジオテンシン変換酵素阻害剤と同様
の物質が含まれていることが証明されています。
 現代医薬品の降圧剤は、最小血圧が下がりにくいのですが、ヒュウガトウキは最
大血圧も最小血圧も下げます。つまり、自然な状態で血圧を下げるのです。また、
このときに血管を軟らかくするので動脈硬化の改善につながります。
 アンジオテンシン変換酵素阻害剤には、慢性腎炎を防ぐ作用もあるといわれてい
るのですが、ヒュウガトウキにも、その作用が見られます。現実に、慢性腎炎が人
工透析を勧められていたのが、ヒュウガトウキを飲んでいたら透析をせずに済んだ
という人もいます。
 ヒュウガトウキを飲むと、尿の色が濃くなったという人がいますが、これも腎臓
が活発に働くようになった結果とも考えられるでしょう。体の中で炎症が発生した
り、アレルギー反応が起こったりすると気管支喘息や、アレルギー性皮膚炎、慢性
関節リウマチなどを引き起こします。ヒュウガトウキは、これらの炎症やアレルギ
ー反応を抑制するよう働きかけるのです。このほか、ガン、C型慢性肝炎なども改
善されたという報告があります。
 このように、ヒュウガトウキを継続して飲んでいると体調がよくなり、元気にな
ってきます。神経の緊張もゆるんで気持ちが落ち着いてくるので夜もよく眠れるよ
うになるのです。
 私が、患者さんにヒュウガトウキを勧めるのは、薬効性の高さからだけではあり
ません。安全性も考慮してのことなのです。ヒュウガトウキは、ネズミを用いた慢
性毒性実験においても全く異常は認められませんでした。副作用もありません。
3 効いてほしいところだけに効く
 ステロイド剤(副腎皮質ホルモン剤)を用いた治療の場合、効果は高いのですが、
その反面、長期的に連用していると不快感や依存症、胃潰瘍による出血、骨がもろ
くなりやすいなどの副作用があります。これはステロイド剤の作用が炎症を引き起
こす物質だけでなく、健康を維持するために必要な体内の物質のプロスタグランデ
ィン(ホルモンの一種)まで抑制してしまうためです。
 これに対してヒュウガトウキは、炎症を引き起こす物質だけを抑える働きのある
ことがわかっています。つまり、効いて欲しいところにだけ作用するので副作用が
出ないのです。
 プロスタグランディンには、血管拡張作用、血流増加作用、睡眠誘発作用、動脈
を開く作用などがあります。ヒュウガトウキがプロスタグランディンを活性化し、
血液の循環を改善します。
 ヒュウガトウキには、過酸化脂質(酸化して毒性の強くなった脂肪分)を低下さ
せる作用のあることも判っています。過酸化脂質は、血管の内側にある内皮細胞を
傷つけて血栓(血液の塊)を作り、動脈硬化を助長するといわれている物質です。
 インスタント食品や長期間、冷凍した食品中には、過酸化脂質が多く含まれてい
ます。過酸化脂質を低下させることによっても動脈硬化は改善され、コレステロー
ルも減少します。こうしたことが心臓や脳の血管が詰まる心筋梗塞や脳梗塞を防ぎ、
また脂肪肝などの肝障害の予防となるのです。
 ヒュウガトウキの薬効に関する基礎医学的な実験・研究は、まだまだ続いていま
す。しかし、ヒュウガトウキを飲んで病気の予防や改善を実感している人は既に沢
山います。今後の研究の中で、更なる薬効が発見されることは大いに期待できます
し、私自身もそれを楽しみにしているところです。
★血流を改善するという点で、副作用のないヒュウガトウキは、骨頭への血流不全から発症するIONにも有効な漢方薬となるかもしれない。
59    北京皇帝専門病院の治療体験記
更新日時:
2008/04/12
当HPのリンク集に載せている中国の病院に実際に入院治療した方から、病院での治療方法や体験談のメールを頂いたのでご紹介します。
 尚、情報にご協力頂いた方にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。
私は、2003年12月に杏林大学付属病院で、特発性大腿骨壊死と診断されました。その後、自分や友人とインターネットでいろいろ情報収集していた際、全くの偶然で、北京大腿骨頭壊死専科医院を発見しました。
中国語は全くわかりませんでしたが、明らかにこの病気を専門に診ている病院とわかり、英語のメールで問いあわせをしました。
その後すぐに返事が来て、X線とMRIを郵送し、いろいろ調査はしたのですが、手術はしない、中医治療ということで、たとえ効果がなかったとしても「失うものはない」といった理由で入院を決断しました。
この病院は、中国人患者だけでなく、外国人もかなり受け入れていて、それこそ世界各国から患者が訪れていました。
日本人は私の前に3人治療した実績があります。2人の女性はとも原因が事故で、1人の男性は私と同じ特発性でした。
その男性は、私と同じ年齢で、32才の時発病、8年後のステージ4でした。日本全国の有名大学をことごとく回り、全ての病院で置換手術以外ないといわれていたそうです。
最後に、北京の病院にたどりついたのですが、約6ヵ月の治療で、骨頭が完全に再生されていました。病院で一緒に、X線を見せてもらった時には本当に驚きました。
ただ、このケースは非常に特殊で、一般にこの治療効果は個人差が大きく、通常は2年〜5年といわれています。実際、一人の日本人女性は、満足な効果が得られず手術を選択しています。
私の場合ですが...
書けばとても長い物語になってしまうので、かいつまんで書きます。
2004年4月から3ヶ月間の入院、その後、3ヶ月間の自宅治療、それを3回ほど、繰り返しました。
治療内容は、
・承載丸
・電気治療
・薬湯・足湯
・リハビリ訓練
です。
承載丸はこの病院のメインの治療薬で1日6個ほど服用します。電気治療は、あくまで針治療に近いもので、毎日、医師が指定した所謂「ツボ」を変更して治療します。
中でも、一番重要なのが、松葉杖を使用したリハビリ訓練で、これは筋力維持の目的よりむしろ、骨頭部に刺激を与ることで、各治療との相乗効果で、骨細胞と周辺の血管を再生させるのが主たる目的です。
私の場合、当初の入院時、過去の不摂生の影響で、体重が90kgもあり、血液も全ての値が異常だったのですが、4ヶ月の入院後、体重が20kg減り70Kgの以前の体重に戻り、血液も全ての値が正常値に収まりました。それだけでも、ありがたい気持ちでした。
中医治療は、患部だけを直すというより、体全体のバランスを良くしていき、最終的に患部も治すという伝統があるのを身をもって体験しました。
現在の私はといえば...未だに若干の痛みはありますが、家の中の移動は問題なく、壊死の進行は止まっているようです。遠出するときは念のためステッキを携帯しています。
実は私は今でも、人工関節置換も念頭に入っています。発病時と比べたら、痛みや足の可動範囲は格段に改善しているのですが、まだ完全ではないからです。
健常者と同等に、遠距離の移動や長時間勤務にはまだまだ不安があります。自分の年齢や家族のことを考えると、仕事の内容次第で、考えなければと思っています。
中国医学には西洋医学と違って、理屈ではわからない部分がたくさんあります。でも、実績があるわけで、日本で年間2000人とも言われる新規患者も、もしかしたら、この方法が有効な人がいるかもしれません。一人でも多くの方が、この方法で快方に向かえば嬉しいです。
しかし、やはりネックになるのは、時間と海外という事情かと思います。数ヶ月に及ぶ入院治療を海外で行える人はかなり限られてくるのかと思います。
皇城医院は、入院患者数は平均300名程度、医師10名、看護婦100名の体制です。
入院治療が前提なのですが、中国もまだまだ、貧富の格差が激しく、入院費用が捻出できず、薬(承載丸)と電気治療器を購入して、自宅で治療している患者さんもかなりいると聞いています。
実際、やり方をマスターすれば、マッサージ以外の治療は自宅でもできるのです。私も後半はそのようにしてました。
ただ、日本人の場合、厚生労働省の規制で、薬や治療器を送ってくれというわけにはいきません。やはり、一度、診断してもらって、2〜3日体験入院したのち、自分で薬等を持ち帰る方法があるかもしれません。
確かに、「なにかあった場合、責任が取れない」という厚生労働省の言い分もわかりますし、なんでもかんでも認可して危険な薬が市場に出回るような事態は避けなければなりません。
ただ、日本の医学にさじを投げられたような患者さんの中には、座して待つのではなく、なにしろできる治療は挑戦したい、という方も多いのではないかと思います。
トニー:この体験談の中で非常に興味深かったのが、「松葉杖を使用したリハビリ訓練」である。
 西洋医学の保存療法は、骨頭に対する完全免荷による圧潰の防止であり、なるべく歩かないことが基本である。
 しかし、この病院では松葉杖を使用しているとは言っても骨頭に荷重のかかる歩行訓練をしており、それが筋力維持ではなく、骨頭に刺激を与えるのが目的というところで目からウロコが落ちた。
 そうか〜。骨頭にも多少の刺激を与えることで再生を促す。
 さっそくだが、トニーは以前から気になっていたポールウォーキングをするべく、ステッキを注文した。
 このメールの方が入院した当時のことを綴ったブロクがあるのでリンク集に掲載しておきます。
60    病の起源
更新日時:
2008/04/27
 先日、NHKで「病の起源」という番組がやっていたが、的を得ていると感じた。
 人は、いつから病気にかかるようになったのか?
 人間の祖先は、アフリカから始まる。アフリカ大陸の森林に住むサルから進化したのだが、病気を患うようになった理由として人間が進化の過程で肌の色を変化させたことがひとつの理由である。
 チンパンジーの毛を掻き分けて、肌の色を見ると「白い」が、サルが森林から草原に出るために必要だったのが太陽の熱に強い体を作る、つまり体毛を減らすことだった。
 ところが体毛を減らすと紫外線が白い肌を通して体内に大量に入り過ぎてしまう。それをある程度遮断するため、メラニン色素が日傘の役割をするようになり、人間は肌の色を褐色にして、草原に出たのである。
 アフリカから移動した人間は、今のエジプトから2手に別れ、今のエジプトから2手に別れ、インド、タイ、フィリッピンを通り、オーストラリアに至った。
 だから、オーストラリアの先住民(アボリジニ)は、肌の色が黒いが、後から移住してきた白人は、未だ白いままである。
 
 かたや、エジプトからイギリス、ノルウェー方面の北に進行した人間は、南に向かった人間より、倍以上の年月がかかった。
 それは、黒くした肌を今度は逆に白くしなければならなかったからだという。
 要するに北に向かえば、太陽光が少なくなり、黒い肌では、紫外線を十分に体内に取り込めないからである。
 この紫外線を十分に取り込めないとどうなるか?
 骨が出来ないのである。太陽光をある程度受けなければ、体内でビタミンDが生成されず、骨の奇形になるのである。
 そして、人間は寒い地方で暮らすために、肌を白くし、熱い地方では、肌を黒くし、適度な太陽光を浴びて体内でビタミンDを生成することで骨を作ってきたのである。
 それも何千年、何万年もかけて・・・・。
 ところが、最近、肌の黒い者でも、北方の寒いところに住むようになったことから、その子供が体内でビタミンDを作れず、歯が生えないとか、骨が変形する病気を患うようになってきたのである。
 唯一、世界中でひとつの人種だけが、肌の色に関係なく、北方で暮らす者がいる。
 エスキモーである。ところがこのエスキモーも最近、近代化が進みだしたことから、骨粗鬆症や骨の病気を患うものが出てきたのである。
 
 エスキモーが何故、黄色人種なのに、太陽光の少ない地方で骨の病気にかからず、現代まで暮らしてきたのかというと、その食生活にあった。
 エスキモーは、アザラシなどを狩猟し、その内臓を生で食べていたからなのだ。内臓を食すことでビタミンDを摂取してきたのだ。
 ところがエスキモーも近代化により、昔ながらの食事をしなくなってきたため、ビタミンD不足から骨の病気を患うようになってきたらしい。
 この番組から教訓を得た。
 結局、人間は、何万年もかけて肌の色を変えて、その土地、土地に住める最適な状態を作ってきたのだ。
 さらに、食生活もしかりだ。日本人は、米を主食に小魚など魚介類と野菜中心の何千年もかけてしてきた。
 だから、我々の腸も胃もそのように作られてきたのだ。肌の色が違う欧米人だけでなく、肌の色が同じでも、モンゴル人みたいに遊牧で何万年も生活してきた人たちとは、胃も腸も違うのだ。
 「病気にならない生き方」著の胃腸の専門医である新谷弘美は、牛乳は人間の飲むものではなく子牛が飲むものだから、体によくないと本に書いているが、ある意味当たっているが、俺は違うなと感じた。
 遊牧民など何万年もかけて、牛の乳、ヤギの乳などを飲んだり、チーズを食べてきた人間は、そういう胃腸になっているから良いのだ。
 だが、日本人は、もともと牛乳を飲む習慣もなければ、チーズを食べる食生活ではなかった。
 戦後50年くらいでそういったアメリカの食生活が入り込み、いろいろな物を食べるようになってきたのだ。
 
 今、日本では、メタボリックが問題となっているが、栄養の取り過ぎなのだと感じる。
 ご飯に味噌汁、小魚に漬物。これだけで十分なのだろう。それが日本人の内臓に合った、体に合った食生活なのではないだろうか。
 日本の風土を考え、食を考え、ジャンクフードを避け、適度な太陽光を浴びれば、健康になれるのではないかと感じた。



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