骨頭は再生する




41    九州大学がIONの予防薬を発見
更新日時:
2007/12/15
骨壊死の難病に予防法
●骨壊死の難病に予防法 既存の薬2種併用で効果〜九大グループ発見
◇ひばりさんも苦しんだ「骨壊死」
 故・美空ひばりさんも苦しんだ難病「大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)症」の予防に、
   高脂血症の治療薬(抗高脂血症剤)
と、血液を固まりにくくする
   抗凝固薬
の併用投与が効果的であることが、九州大医学部整形外科のグループの動物実験で明らか
になった。成果は米国リウマチ学会の学会誌10月号に掲載される。
 同症は、股関節を構成する大腿骨の先端部(骨頭)に血液が届かなくなり、骨頭が壊死、変
形していく病気。骨頭がつぶれると痛みで歩行が困難になり、手術以外に有効な治療法はな
い。年間3000〜5000人の患者が発生するが、このうち約半数は、膠原(こうげん)病やリウマチ、
臓器移植、頭部外傷などの治療で使われるステロイドが関係していると考えられている。
 同大の山本卓明助手、大学院生の本村悟朗さんらは、ステロイドを注射すると骨が壊死する
ウサギを使った実験で、予防薬の効果を検証した。予防薬がないと約70%に壊死が起こるが、
抗高脂血症剤を与えると発生が4割以下、これに加え抗凝固薬を投与すると、発生率は5%と
劇的に低下。薬剤が、骨頭周辺の血管がつまるのを防いだのではないかと推定される。
 骨の壊死を防ぐには、ステロイドの使用開始から2〜3カ月間程度服用すればいいという。
山本助手は「ステロイドの使用が必要な状況では、効果的な投与で骨壊死の発生が防げる
可能性が出てきた」と話している。【金田健】
引用:毎日新聞 2004年9月29日 西部朝刊
〔トニーの意見〕
要するに血液がサラサラであれば骨頭まで血液が届くという理屈じゃないの?
42    IONとタバコの害
更新日時:
2007/12/15
今、100万部を突破している「病気にならない生き方」という本(胃腸内視鏡外科の新谷
弘美教授著)にIONとタバコや酒の害について書いてあったので、以下、その本から抜粋する。
 まず、新谷弘美教授について説明すると今から約35年前、世界で始めて大腸内視鏡を使う
ことによって開腹手術をすることなくポリープを切除することに成功した第一人者である。
 以下著書から抜粋
 30万例以上の胃腸を検査し、その臨床結果から『健康な人の胃腸は美しく、不健康な人の
胃腸は美しくない』ということが判った。
 こうした胃腸内の状態を人相になぞらえて『胃相』『腸相』と呼んでいる。良い胃相・腸相をし
ている人は心身ともに健康であり、逆に胃相・腸相が悪い人は心身のどこかに何らかのトラブ
ルを抱えている。
 健康で長生きするにはこの胃相・腸相を良くしなければならない。
 胃相・腸相を良くするには『ミラクル・エンザイム』を消耗しない生活を送れば大丈夫である。
※ミラクルエンザイムとは新谷教授が作った造語でボディ・エンザイム(体内酵素)の原型と
 なるエンザイムのことである。
 このミラクル・エンザイムを消耗する要因は沢山あるがその代表が
    酒・たばこ
である。
 タバコの害・・・・・毛細血管が収縮するため細胞に酸素や栄養が補給されなくなる。タバコの害
           というと「肺」にタールが溜まることばかりが注目されているが、それと同じくらい
           深刻なのが、全身の毛細血管が収縮してしまうことである。
           毛細血管が収縮すると水分が全身に行き渡らなくなる。つまり栄養が行き渡ら
           ず、さらに排泄させる老廃物も滞る。
 酒の害・・・・・お酒を毎日飲む人の血管もタバコを吸う人と同様に血
         管が収縮している。酒は血管を広げると勘違いしている人がいるが、酒によって血
         管が拡張するのは、2〜3時間程度であり、急激に広がった血管は、リバウンドで
         通常状態より血管が収縮し、栄養物や老廃物の吸収・排泄が出来なくなる。
 〔トニーの意見〕
 確かに、タバコを2〜3日吸わないで、久しぶりに吸ったとき、最初の1本目で、頭が酸欠になり
「クラ〜ッ」とくる。
 また、小田切病院の院長も大酒のみの他に、ヘビースモーカーにも骨頭壊死が多いと言って
いる。
 私の場合も、タバコの影響で骨頭に向かう毛細血管が収縮し、壊死になったかもしれない・・・・・。
 でも、わかっちゃいるけど止められない。
43    変形性股関節症について
更新日時:
2007/12/15
富士温泉病院名誉院長「矢野英雄」先生の話
 矢野先生は、昭和47年の人工股関節の歩行研究を皮切りに40年近く変形性股関節症に
取り組んできました。
 50年代には、自分の骨を間接に生かす人工骨や寛骨臼回転骨切り手術の開発に着手、
当時20歳代未満の患者のみを対象していた手術を中高年の患者にも行えるよう技術改良に
成功した。
 このように長年、手術療法を中心に取り組んできた矢野先生ですが、現在は、手術療法に
頼らなくとも、保存療法で十分に股関節の機能を再建出来ると言っています。
 変形性股関節症の発生に原因は、股関節臼蓋形成不全がある人で中高年に発生するケー
スが8割を占めています。
 
 かつてのように幼児期に股関節脱臼や股関節障害を患った人よりも、股関節症の既往歴が
なかった40〜60歳代で発生するケースが今は増えているそうです。
 矢野先生は、股関節について
  ・他の関節より負担が大きい
  ・よって痛みやすい
  ・他より修復の速度が遅い
と言っています。
 そして、痛みが出ると
  ・神経の疲労
  ・筋肉の疲労
を招き、運動調整システムにミスが生じやすくなり、ますます、股関節は傷つき、関節の変形に
至るわけです。
 変形性股関節症は激しい痛みが特徴です。痛みは筋肉や神経の緊張を招き、その状態が
続くと
  血流が悪化し
骨や関節は痛みやすくなります。
 変形性股関節症はこうして進行するので、痛みを取り去り、筋肉や神経の緊張をほぐして
やれば、痛んだ箇所は当然、治癒に向かいます。
 そして子供でも老人でも、じっとしていれば折れた骨がいずれつながるように変形性股関節
症も
  十分な安静を保てば痛みも変形も必ず取り除ける
と説明しています。
 ところが、股関節は他の関節と違い、日々の生活の中で股関節を全く動かさないでいるの
「不可能」なことなのです。
 そこで矢野先生は、股関節の痛みを10段階に分けて、毎日、記録を付けることを勧める
のです。
 これが、股関節らくらく日記というもので、その日の痛みと、その日の歩数、その日の行動
を簡単に記録するのです。
 そうすると、どの位の歩数の翌日は、調子が良いとか、何をやった次の日は調子が悪いと
か、自分で認識出来るようになり、自然と自ら痛みを避けるような生活が出来るようになるの
です。
 先生の狙いはここで、自ら痛みをコントロール出来るようになれば、自然と痛みの少ない
生活をするようになり、痛みが少なくなれば、股関節が再生していくということです。
 変形性股関節症の人と、我々大腿骨頭壊死の人とは、骨頭に血液が流れている点で大きく
違います。
 でも、矢野先生の言われていることはもっともであり、事実、MRIの他に骨シンチグラムまで
やって大腿骨頭壊死症と診断された人が松葉杖の生活をしているうちに完治した例もあります。
 我々、大腿骨頭壊死症も痛みをコントロールすれば、良い方向に向かうのではないでしょうか。
44    壊死領域の拡大と壊死の再発
更新日時:
2007/12/15
腎移植やSLEでは、投与量の変化はあっても、ステロイド投与は長期間継続されており、
それでも経時的にband像が抹消側へ拡大することない。すなわち、ステロイドの投与下に
あっても壊死領域(band像で囲まれる領域)は経過とともに広がらない。また、再発を示す
所見も認められない。
 再発率に関して、606例の摘出骨頭の組織学的検索では、0.3%との報告がある。
 壊死領域が拡大しない、あるいは再発率がきわめて低いということから、骨頭温存手術を
行った場合でも術後に壊死が拡大・再発して大腿骨頭が再圧潰する危険性が低いことがわ
かる。
 すなわち、骨頭温存手術の適応は、ION発生初期の壊死領域の位置と大きさをもとにして
決定してよい。また、ステロイドを継続しても壊死の拡大・再発はないことから、一度IONが発
生した後に原疾患のコントロールに必要なステロイドの減量・中止を行う必要がないことがわ
かる。ION発生後もステロイドは継続してよいといえる。臨床的に極めて重要な事実である。
ポイント
 ・ステロイド性のIONにおいて、壊死領域が拡大することはなく、再発もほとんどない。
 ・骨頭温存手術の適応は、ION発生初期の壊死領域の位置と大きさで決定してよい。
 ・ION発生後も原疾患のコントロールに必要なステロイドの投与は継続してよい。
45    特発性大腿骨頭壊死症の病期、病型
更新日時:
2007/12/15
◆病期
 大腿骨頭壊死症(ION)の病期は骨頭の正面と側面の2方向からのX線像で評価する。
 IONは大腿骨頭の阻血により骨組織の不可逆的な細胞障害が起こることで発生すると考え
られている。
 機能的な細胞死が起こっても、光学顕微鏡で捉えるには核(核濃縮、核崩壊、核融解)変化
が起こるまで時間がかかる。
 完全な骨細胞の自己溶解は48時間〜4週間、またはそれ以上に及ぶ。
●2001年改訂版 特発性大腿骨頭壊死症の病期分類
Stage1: X線像の特異的異常所見はないが、MRI、骨シンチグラム、または
      病理組織像で特異的異常所見がある時期。
Stage2: X線像で帯状硬化像があるが、骨頭の圧潰(collapse)がない時期
Stage3: 骨頭の圧潰があるが、関節裂隙は保たれている時期(骨頭及び臼
      蓋の軽度な骨棘形成はあってもよい。)
   3A: 圧潰が3mm未満の時期。
   3B: 圧潰が3mm以上の時期。
Stage4: 明らかな関節症性変化が出現する時期。
注: 骨頭の正面と側面の2方向X線像で評価する(正面像で骨頭圧潰が明らか
  でなくても側面像で圧潰が明らかであれば側面像所見を採用して病期を判
  定すること。)
  側面像は股関節屈曲90度、外転45度、内外旋中間位で正面から撮影する
  (杉岡法)
@ステージ1について
 骨壊死が起こると壊死領域周囲に繊維性修復組織を伴った反応性界面が現れる。この時期
にはX線検査では異常所見はなく、MRIによって壊死巣に対する反応性界面が認められ診断に
つながる。
 骨壊死領域辺縁の修復反応は、T1強調像における帯状低信号像と、T2強調像における帯状
高信号像としてみられる。
 組織学的に、T1強調像の帯状低信号像は反応性界面であり、帯状低信号像より近位は無反
応性壊死層である。
 IONの初期組織像は3つの層(壊死層、修復層、正常層)からなるのが特徴的である。骨シンチ
グラムで無反応性壊死層がcold in hotを呈する。
Aステージ2
 修復が進めば壊死領域への血管結合組織の進入によって、骨吸収と骨形成の過程が生じる。
反応性界面の周辺では、以前に死んだ海綿骨が部分的に繊維組織や層板骨によって覆われ、
帯状硬化像としてX線学的に捉えられる。
Bステージ3
 壊死海綿骨の吸収により界面部の壊死骨は強度が低下して関節圧力に耐え切れなくなり、
軟骨下骨折や最終的な圧潰を起こす。
 ステージ3は圧潰の程度で臨床症状や関節機能に差があるため、3mmを境にAとBに細分
されている。
Cステージ4
 関節の圧潰は最終的に関節軟骨の変性を引き起こし、変形性股関節症へと移行する。
◆病型
 新しい病型分類は、従来のX線組織学的な分類を基に改定され、特徴的なX線所見とMRI
所見の両方またはいずれかにより壊死域の荷重部に占める割合で決定される。
 股関節荷重部に壊死部が占める割合が内側1/3未満のタイプA、内側1/3以上2/3未満の
タイプB、内側2/3以上のタイプCに分類される。
 さらにタイプCは壊死域の外側端が臼蓋縁内にあるタイプC-1、壊死域の外側端が臼蓋縁
を越えるタイプC-2に細分類される。
■骨頭圧潰の危険性
 壊死部の荷重部に占める割合が大きいほど、骨頭圧潰の危険性が高い。
  タイプA:  0%
  タイプB: 40%
  タイプC: 90%
 タイプC-2はタイプC-1よりも圧潰率が高い。また、X線像で骨硬化像がなく関節面の扁平化
などの不整像がみられるものは従来のX線病型2型で、ステロイド性に多く、圧潰する確立は
100%である。
 骨頭内に嚢胞洋透過陰影を呈するX線病型3B型もほぼ100%骨頭圧潰に至る。これらを
MRIで観察すると、タイプC-2に分類され、圧潰の危険性が高いのは壊死部が荷重部に占め
る割合が大きいためであるとされている。
※ ちなみにトニーこと私の壊死は
     病期 ステージ2
     病型 タイプC-2
  と診断されており、医師からは「壊死域が広いから、必ず圧潰する」と断言さ
  れています。
46    大腿骨頭壊死症の治療の原則
更新日時:
2007/12/15
九州大学名誉教授
九州労災病院院長 杉岡洋一
 特発性大腿骨頭壊死症はもちろん、症候性大腿骨頭壊死症でも外傷性を除いて、その発生
機序にはいくつかの説はあるものの、本態はいまだ不明である。
 
 しかし、治療に関しては、その病態がMRIや山本卓明らの超早期病理像や、著者らによる大
腿骨頭回転骨切り術を新とする、骨切り術の長期遠隔成績とそのX線学的ならびに病理学的
観察により、陥没進行の防止により壊死病変は治癒することが証明され、その原則が明確に
示されたと考える。
 
 しかし、いまだ古典的骨移植術やcore decompressionを含めた骨穿孔術が繰り返し行われた
り、人工骨頭置換術や人工関節全置換術が、若壮年者に対していとも安易に行われることには
義憤を覚える。
 治療の原則は以下の2点である。
 @治癒機転を阻害する陥没進行の防止
 A陥没により生じた骨頭の前外上方への亜脱位を正し、間接整合を得て安定した関節の再建
 このいずれか1つが欠けても、大腿骨頭壊死症の治療は成功しない。
陥没防止により骨壊死病変が治癒する根拠
陥没進行例にみられる分界部の肥厚した骨壁と介在する繊維性結合組織層の形成機序
 著者は、著名な陥没を呈して人工骨頭置換術などて゜摘出された骨頭の病理像と陥没が極め
て軽微または、非陥没剖検例の病理像の比較検討の結果、以下の結論に達した。
 
 壊死発生直後から、その境界部で修復反応が観察され、壊死骨梁に直接添加する新生骨に
より、修復が進む。これは古くから知られた遊離海綿骨移植において、壊死骨梁を足場にして、
誘導された骨芽細胞が添加性骨新生をもたらし、凍結乾燥や冷凍保存骨においても移植骨と
同形の骨を際背する機序と同じである。
 その骨芽細胞の誘導は、移植壊死骨に存在するBMPによるとが明らかにされたわけで、骨
頭壊死の壊死骨梁でも同様の機能を有することは自明の理である。
 では、なぜ陥没進行例でその治癒機転が阻害され、厚い分界部の骨壁とその中枢側に厚い
結合組織が介在するようになるのであろうか。その結合組織には壊死骨梁の吸収像とわずか
な化生新生骨が存在するのみで、治癒機転はまったく停止している。その組織像は偽関節部
の組織像に類似し、持続する関節面の陥没によってもたらされる境界部の異常可動性、不安
定性により形成されたものといえる。
 この分界部では、骨死骨梁を核とした添加性骨新生像は分界部の肥厚した骨壁に存在する
のみで、治癒機転は完全に停止している。逆にいえば、陥没変形の進行が防止されれば、添
加性新生骨により壊死病巣は急速に治癒するといえる。
 この事実は、大腿骨頭回転骨切り術により、陥没変形が防止された症例のX線像や、心筋
梗塞で死亡した剖検骨頭病理、関節症変化を招来した摘出骨頭病理でも証明された。なお、
すでに小児のPerthes病でもこの事実は明らかにされ、外転位によるcontainmentや骨切り
術による陥没防止が治癒を促進し、骨移植術、骨穿孔術が無意味であることは定説となって
いる。
 また、厚い骨壁の中枢側には豊富な血管が存在し、過去に考えられていた血管の進入を
阻害する障壁と考えていたのは誤りで、穿孔術が無意味であることは明白である。
X線像ならびにMRIが明らかにした病態
 以前より無症状で壊死のX線典型像を示す。いわゆるsilent hipのX線追跡調査でも明ら
かにされていた壊死の発生と、発症の時間的ずれ(time lag)、関節面の陥没により発症し、
非荷重部に存在する壊死病変が治癒機転の進行により縮小することなどが、副腎皮質ホル
モン非投与例のMRI経時的追跡調査でも明確に証明された。
 すなわち、骨頭壊死が発生しても非荷重部にあるか、臼荷重部外側に陥没を防ぐに十分な
骨頭健常部が対応している場合、無症状で、その壊死病変は修復縮小して治癒しうることを
示している。
●トニーの意見
 これら専門医の研究から、なぜ、医師が回転骨切り術を進めるのか理由が判った。
 ということは、要するに骨切り術によって壊死部に荷重をかけることを回避して、数年経てば、
壊死部が完全治癒するということではないか・・・・・。
 陥没しなければ、壊死した骨はいずれ再生する。大学病院の専門医で作る研究班が出した
答えだ。
 それなら、別に手術せずとも、加圧によって筋力を鍛え、筋肉で骨を支え、なるべく骨頭に負
担をかけずに生活し、骨頭の圧潰を防止すれば、いずれ壊死は完治するということになる。
47    日本の難病研究班における大腿骨頭壊死症研究の歴史
更新日時:
2007/12/15
埼玉医科大学整形外科教授
  二ノ宮節夫
 旧厚生省の特定疾患(いわゆる難病)に対する調査研究班として、昭和50年度に特発性
大腿骨頭壊死症が取り上げられて、長年にわたってその研究が続けられ、現在も継続され
ている。
歴史
 1975年(昭和50年)4月に西尾篤人九州大学教授が班長となり、「特発性非感染性骨壊死
症調査研究班」が発足した。主たる研究対象は特発性大腿骨頭壊死症であった。
 1981年(昭和56年)には「特発性大腿骨頭壊死症調査研究班」と名称が変わり、班長には
小野啓郎(大阪大学教授)、1989年(平成元年)からは杉岡洋一(九州大学教授)、1994年
(平成6年)4月からは著者が班長に就任した。
 1996年(平成8年)4月には特定疾患研究班の全面的な改組、再編成が行われ、特発性大
腿骨頭壊死症調査研究班は脊柱靭帯骨化症調査研究班とともに『骨・関節系疾患調査研究班』
としてまとめられ、その傘下に「特発性大腿骨頭壊死症分科会」(分科会会長二ノ宮節夫)として
再発足することになった。
 2000年(平成11年)4月からは高岡邦夫(信州大学教授、現大阪市立大学教授)が分科
会長として、研究を継続して行っている。
成果
 長年にわたる研究により、特発性大腿骨頭壊死症の疫学、病態が明らかとなり、画像解析の
進歩に伴い診断基準が確率され、また、卓越した手術法の開発とその長期成績が明らかとなり、
この疾患の分野では世界をリードするに至った。また、動物実験モデルの作成にも世界で初めて
成功した。
■全国疫学調査
 西尾篤人班長の下で、1975年から行った第一回全国疫学調査では、1155症例を収集すること
が出来た。本疾患の背景としてステロイド剤の服用、アルコールの愛飲例が際立つことが明らか
となった。
 
 第二回全国調査は小野啓郎班長の下で実施され、全国有病者数2500人前後と推計された。
 1994年の第三回全国調査は難病の疫学調査研究班との共同研究として行われ、年間の全国
病院受療患者数は7400人(6700〜8200人)と推計された。
 平成4年4月より特定疾患治療研究対象疾患に指定され、治療費の自己負担分の公費補助が
行われるようになったが、平成6年度の交付件数は3500人であった。また、ステロイド剤の既往
者の割合が第一回調査時の31%から50%に増加していることがわかった。
■臨床研究
 MR画像による病態の解明、診断、治療や予後の予測などの研究が1987年より開始され、特
発性大腿骨頭壊死症の研究にMRIの占める意義の大きなことが認識されるようになった。
 一方、杉岡洋一班長の下で、廣田良夫班員を中心として、SLE、腎移植に対して行われた症
例・対象研究は病態の解明に大きな足跡を残した。
 すなわち、ステロイド剤投与と特発性大腿骨頭壊死症との関連において、総投与量とは関係
なく、1日の最高投与量との関連が示唆され、これはパルス療法とのより強い関連を反映した
ものと思われた。
 これらの結果は、1日の投与量が少なくなれば総投与量が増えても発症リスクはそれほど増大
しないことを物語っているといえる。
 治療法の研究には各班長が取り組み、的確な適応で行えば、杉岡式骨頭回転骨切り術が長
期にわたって骨頭温存を可能にすることが判明した。
■動物実験モデル
 本疾患の病因を研究する上で欠かせない動物実験モデル作成は長い間、世界中の研究者に
よって試みられてきたが、成功した例はなかった。しかし、九州大学、大阪大学の研究グループ
がそれぞれ異なる方法で明らかな骨壊死を作成することに成功した。
 とくに、1995年度に発表された九州大学グループの方法は、家兎にメチルプレゾニドロン
(20mg/kg)の1回筋肉内投与で骨壊死を発生させるもので、発生率も骨幹端部で43%という
高いものである。
参考文献
1)厚生省特定疾患「特発性大腿骨頭壊死症調査研究班」昭和50年度報告書〜平成7年度
 報告書
2)厚生省特定疾患「骨・間接系疾患調査研究班特発性大腿骨頭壊死症分科会」平成8年
 度報告書〜平成12年度報告書
3)二ノ宮節夫編:特発性大腿骨頭壊死症、整形外科編集委員監修、別冊整形外科、
 No.35,1999.
 
48    病気を治せる医学(安保徹)
更新日時:
2008/01/05
安保徹の「病気を治せる医学」
 症状の謎を知れば、正しい治療法が見えてくる!
著者  安保 徹
 1947年、青森県生まれ。東北大学医学部卒。
現在、新潟大学大学院免疫学・医動物学分野教授。
1980年、米国アラバマ州立大学在学中に、ヒトNK細胞抗原CD57に
対するモノクローナル抗体を作成。1989年、胸腺外分化T細胞を発見。
 1996年、白血球が自律神経の支配下にあるというメカニズムを解明。
 1999年、マラリア感染の防御が胸腺外分化T細胞によって行われている
ことを発見。2000年、胃潰瘍の原因は胃酸ではなく顆粒球であるという説
を米国の専門誌に発表、大きな衝撃を与える。国際的に活躍する免疫学者。
 著書に『免疫革命』『未来免疫学』『医療が病いをつくる』『体温免疫力』『体
温免疫力で病気は治る』など多数。
はじめに
 なんでも細かく分析するのがギリシャ以来の西洋科学で、現代医学もこの
例外ではありません。物事を細かく分け構成要素を極限まで追い詰める方法
です。分析科学とか要素還元主義などと呼ばれています。研究している本人
は研究自体が面白く、論文も書けるので、仕事の方向性に疑問を持つことは
ありません。しかし、いつまで研究しても病気の治療に役立つことは、ほと
んどないのです。
 研究者は多少の不安もあるのでしょうが、まわりに同じような研究者も多
いし研究費も入るのでそのまま研究を続け、人生のたそがれを迎えます。
 しかし、分析は細かいことを明らかにし続けるだけで、そのままで全体像
が見えてくるわけではありません。まして人間を臓器別に研究して病気を部
分の破綻として捉えるやり方では、対症療法しか生まれないのです。
 これが、現代医学が病気を治せない理由です。病気の症状は治癒反応とし
て現われることの方が多いので、現代の医療にかかると病気は前よりも悪化
することにもなります。たとえば、痔の患者さんに痛み止めの入った座薬を
処方するのが、現在まかり通っている治療法です。痛み止めは血流を抑制し
顆粒球(活性酸素放出)を増やして確実に病気を悪化させていきます。日常
多くの人々が経験していることです。
 生体反応を理解し、なぜ不快な症状を出しているのかを考えるのが、私た
ちが提唱している「病気を治せる医学」です。いい言葉はありませんが「自
律神経免疫学」です。不快な症状を出す理由は必ずあります。その原因を追
究し、治療していく医学といってよいでしょう。分析から統合の医学へ進む
必要があるのです。生体反応をまるごと理解し、病状の謎を知れば、正しい
治療法が自然に見えてくるのではないでしょうか。
 人間には個体差があり、画一的に自律神経免疫療法が適合するとは思えな
いという意見もあります。しかし、ヒトとサルの遺伝子を比べても、違いは
1パーセントで残りの99パーセントは同じです。物事は漠然と考えている
うちは多様ですが、その中には単純な法則性が隠れているのではないかと考
えています。
 この本で、人間の体の仕組み、人間を取り巻く普遍的な謎を解き明かし、
「治せる医学」の原理をみつけていきたいと思います。
トニー
 この本は、まだ途中までしか読んでいないが、胃腸内視鏡外科の権威である
新谷教授、年間300例を執刀してきた外科医の土橋博士らと内容は同じような
意見が書かれている。
 ここで一番、気になるのは、痛み止めについてである。この先生は痛み止めを
使うと『活性酸素』が出ると言っている。
 ということは、我々IONで痛み止めを使うとIONの直接の原因となる活性酸素
を体内に発生させ、壊死を進行させるということではないのか?
 実際、壊死に対する薬はないのだから、足が痛くても痛み止めは飲まないに
こしたことはない。
49    病気を治せる医学パートU
更新日時:
2008/01/05
1 安保教授の治療法
 この本を読んで要約すると、安保教授曰く、病気になる原因は
    自律神経の不調
から、血液循環の流れが悪くなり、病気に至ると説明している。
 
 教授曰く、
  今まで発ガン物質は外から与えられるものと考えられてきました。日光を浴びるな。
  タバコを吸うな、魚の焦げたものを食べるな、清潔にしろなどです。
  しかし、周りのガンになっている人たちをよく観察してください。このようなことが当て
  はまる人は少ないのではないでしょうか。
  ガンの原因は自分の中から生じていたのです。
と言っている。
 がんも含め多くの病気は
    @働きすぎ
    A心の悩み
    B間違った薬の長期間投与
の3つの何れかひとつが原因し、病気になるらしい。
 その結果、血流が悪くなり、血流が悪くなると体温が下がって自律神経が乱れ、
    交感神経
    副交感神経
のスイッチが思うように働くなり、交感神経優位のときは、血中に赤血球と
    顆粒球(かりゅうきゅう)
が増え、増加した顆粒球が
    活性酸素
を放出して血管や組織を破壊する。
 また、逆のパターンで赤血球が減少すると副交感神経優位の体調となり、消化
機能が停止し、消耗貧血となる。いわゆる、血液サラサラ状態の体調になる。
 これらが病気の原因になると定義しているが、では、どうすれば、病気が治るか
というと結論は、人間の
    自然治癒力
を強化するということらしい。
 そのために西洋医学の飲み薬を飲み続ける(1ヶ月くらいは良いと書いてある)
ことは絶対しないよう強調している。
 治療に関しては、簡単に説明すると
    @体温を上げること(体を温める)
    A東洋医学(鍼・灸)
により、自律神経を正常に戻し、ストレスを排除すれば、自然治癒力が高まり病気
が治るという図式になる。
 安保教授は免疫学であるが、外科医で年間300例もガンの手術をしてきた土橋
先生も同じような意見である。
 土橋先生の場合、具体的にストレスがどうなってあーなってということは判らないら
しいが、情報にも書いてあるとおり、乳ガンなどその人の性格によってガンの出来る
位置が左右違うと説明している。これは、土橋先生が、統計を取って判ったことな
ので、どういう理由で、ガンの位置が違ってくるのかまでは判らない。
 しかし、ストレスがガンの直接原因ということを両者は言っている。
 
 なるほど、そういわれてみれば、田舎の叔父さんがそうであった。タバコ、酒は一切
やらず、専業農家で、健康的な生活をしていたのに40代で胃ガンになった。
 当時は、働き盛りで体もガッチリして健康的だった伯父が何で?と思ったが、今、
こうして安保教授や土橋先生の理論から、伯父がガンになった原因が見えてきた。
 伯父がガンになった原因は
    @ムコ養子だった
    A働き者だった
の2点ではないかと思う。体は筋肉質で脂肪もなく、早寝、早起きでどこからみて
も健康体。
 食べる物も、この情報の中の「新谷弘美」教授の本に書いているように、暴飲暴
食をするわけでもなく、爺様婆様がいるため、食べ物も魚などを中心に理想的な食
事でミラクルエンザイムが多い、超健康的な生活をしていた。
 新谷教授も、エンザイム(体内酵素)を消耗しない生活をする他に、物事をするとき
      し過ぎ
ということをしないよう書いている。
 健康な生活を送るには適度な運動が必要だが、それはあくまでも体に適当な運動
をした場合のことであると忠告している。
 伯父はおそらく、ムコに入って苦労し、ストレスが溜まっていたのかもしれない。ま
た、性格的なものもあるが、働き者だったため、仕事のし過ぎなども悪循環となり、
ガンになったのではないだろうか。
 伯父は、胃を半分切除して助かったが、その後、長男に農業の一切を任せ、趣味
の釣りをしながら、体に無理をかけず、70数歳まで生きた。
 しかし、最後も結局はガンであった。
 ここで、何故、酒、タバコもやらず、術後、ストレスも溜めず今まで以上に健康に
注意していたのに、30年も経過したころ、再発したのかと疑問に思ったが、直ぐに原
因は判った。
 
 伯父は、当初、体に気をつけていたが、60歳ころから、だんだんと釣りが本格的と
なり、遠くに釣りに出かけることが多くなったのだ。
 その当時、両親も「○○さん、腹切っているのによく体力が持つなあ」と言っていた。
 今思えば、大好きな釣りの「し過ぎ」が、逆にストレスになっていたのかもしれない。
また、釣りは体を冷やすことになるので安保教授から言わせればあまりよくないの
かもしれない。
 安保教授は、病気を治すには、体を温めることが一番だと言っている。
 うつ病などの精神的なものから、ニキビに至るまで大半は体を温めることで治ると
書いている。
 昔から、体が不調になると温泉につかる習慣が日本人にはあった。昔、お婆ちゃん
と1週間くらい、湯治場に滞在し、温泉につかった記憶がある。
 伯父も、晩年、湯治場で体を癒していればもう少し長生きしたのかもしれないなと
ふと感じた。
50    お茶も飲み過ぎは良くない
更新日時:
2008/01/20
安保徹の「病気を治せる医学」
 お茶は奈良時代以前に既に中国から日本に移入され、広く飲用されています。日本の
場合は緑茶が開発されたのが特徴で茶色の茶はむしろ少数派です。
 あるテレビ局の男性が「お茶とガン予防」という番組を企画しているといって、私のところ
にやってきました。静岡ではお茶をたくさん飲んでガンを予防できていると言われているの
で根拠を考える番組にしたいということでした。
 お茶には苦味や渋みの成分であるカテキンのほか、カフェイン、ビタミンC、その他多くの
成分が含まれています。多くの研究者は、お茶の有用性を明らかにするために成分分析や
疫学調査に力を注いでいますが大切なことを忘れています。
 カテキンのような、栄養にならずいやな味のする成分は、その植物が虫除けのために進化
過程で獲得した物質でしょう。お茶のほか、ヨモギ、ドクダミなどもいやな味を持つ植物であり、
虫が付きにくいという特徴があります。
 このような物質を口に含んだり飲用したりすると私たちの体は、これはたいへんと排泄反射
が起こります。この反射は、副交感神経刺激によって引き起こされるので、この神経に支配さ
れた多くの反応が同時に巻き起こされることになります。
 副交感神経の特徴は次のとおりです。
@リラックスの神経であるので気持ちが落ち着き、血流が増して血圧が下降する
A消化管を働かす神経なので食欲が出て便秘が解消される
B分泌現象のほとんどを支配しているので尿や他の分泌が盛んになり老廃物が流し出される
 このような異物による副交感神経反射を導入せずに成分分析だけを行っていてもお茶や漢
方薬などの薬理作用の本体にはたどりつけません。
 本来、お茶の成分も異物ですから、あまり大量に飲み続けると酸化異物としての働きの方が
主体になって交換神経緊張状態を作るに至ります。
 
 お茶、紅茶、コーヒーなどをガブ飲みすると、心臓がドキドキして脈が速くなることを誰でも
経験していると思います。ウーロン茶など中国系の茶色の茶はカテキンやカフェインが豊富
なので、交感神経を刺激して興奮作用を発揮し易いと考えられます。この作用を利用したの
が「痩せる効果」です。
 お茶は少量で副交感神経刺激、多めに飲むと交感神経刺激と全く正反対の作用を発揮
するのです。お茶によるガン予防はリラックス作用を発揮する量で引き起こされるのであって、
頑張って1日に何十杯も飲むようでは、発ガン作用に逆転してしまいます。
 一時、漢方薬の小柴胡湯(しょうさいことう)で肺の繊維化などの副作用が報告されたことが
あります。漢方薬も熱心に飲み過ぎると交感神経を刺激し、いろいろな副作用を出す能力を
持っていることを知っておく必要があります。
 



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