TORIO 9R−42Jレプリカ 10球(All MT管)高1中2シングルスーパー受信機(中波帯〜28Mhz)

 オール真空管の高1中2を製作しました。CW、SSBも受信可能にしております。回路図は9R−42j MT管タイプとしました。検波回路はプロダクト検波にし、SSB受信を快適にしたかったのですが、一応9R−42jレプリカのつもりでしたのでCW、SSBも受信はBFO回路のみとしました。低電圧放電管を使用したことにより、SSBも快適に受信できております。


(写真をクリックすると大きくなります。)


配線図

配線図
 昭和30年 春日無線製造(後のTRIO現KENWOOD)の 9R-4J は、高一中二シングルスーパーで、当時の、日本の一般向けSWL及びアマチュア無線用受信機としては標準的な構成です。 昭和40年ぐらいまでのAM時代に使われました。 デザインは・・一目で短波受信機と解る秀逸で魅力的(?)です。米国ハリクラフターズ社の S-38〜38C型がモデルだと言われています。シリーズで6R-4(RFアンプ無し) 9R-4(9R・・原型) 9R-4J(9R-4の省エネ版) 9R-42J(ダイヤル表示がハムバンド重視でいずれもMT管使用)が有りましたが、構成は同一です。 受信範囲は 550KHZ〜30MHZ で、4バンドのコイルパックを切り替えます。
BFOコイルは
ナショナルのBFO−1しか手持ちが無かったので、回路図のハトレー発信回路ではなく、プレート発信回路に変更しました。したがってこの部分だけ配線図が違っています。

シャーシ加工
 シャーシはリードのS2(400×300×65)を使用しました。シャーシ加工にはハンドドリル、電動ドリル、可金ノコ、リーマー、シャーシパンチ、ハンドニブラー、ヤスリなどがあると比較的楽にできます。シャーシ加工が一番の力仕事です。

ダイヤル駆動装置
@36mmバーニアダイヤルをばらし減速メカのみを使用
A減速メカパネル裏と表
Bパネルへの組み込み
 

フロントパネル加工
 パネル加工はハンドドリル、かな鋸、ヤスリで加工し、透明のプラスティックを両面テープで貼り付けました。ダイヤル表示窓、Sメータ部分はヤスリがけの跡が目立つので眼のこまいサンドペーパーで磨き上げました。

 
コイルパックの修理
 オークションで入手した中古トリオ4バンドコイルパックを一旦ばらして修理し再組み立てしました。
 

主な部品の取り付け
 
真空管ソケット、IFT、電源トランス、バリコンなどを取り付けました。バリコンの間にあるのは50MHZのクリコンです(今回は配線をみやわせました)。シャーシ内部にはトリオの4バンドコイルパック(550KHZ〜30MHZ)を取り付けました。
IFTはトリオのT−21、BFOコイルはナショナルのBFO−1を使用しました。BFO−1配線図は写真の通りで、今回は12AT7を使用しました。BFOの出力は通常検波部に2〜5Pで入力しますが、この配線をしなくても12AT7のBFO発信出力が充分にあり快適にSSB受信が可能となっております。

配線
 
ヒーター配線は写真のようにヨリ線にし一方を必ずアースに落とします。これを怠るとハム発生の原因になります。(原因は良く分かりませんが、経験からです。)リード線による配線は本当はもっと綺麗に(お互いクロスしないように)したかったのですが、半田付けが終了してみると写真のようにかなり煩雑なクロス配線になってしまいました。こんな配線でも異常発信は起こりませんでした。


組み立て

とのこ塗布

下塗り

研磨

仕上げ塗装
ケース筐体作成
@ベニア板をカットしてケースを組み立てました。
A水性ニスで塗装しました。
Bこの塗装に一番時間が掛かりました。5、6回ほど塗装研磨を繰り返しました。

ケースに収納
 SGを使用しIFT、および各バンドのトラッキングを調整しました。
真空管用シールドソケットをはめ込み、ケースに収納して完成です。
アンテナ端子にリード線を付け7MHZを受信したところSSBでのラグチューが快適に受信できております。

各ツマミの説明
・Sメータツマミはアンテナを外した状態(無信号状態)で0点になるよう調整してください。
 仙台では中波放送はアンテナなしでほぼ振り切れ状態で受信できています。
・NLONOFFツマミ
 左に回し切った状態でNLがONで右に1つ回した状態でOFFです。通常はOFFしてください。ONの状態ですと音量が小さくなります。
 2つ以上回した状態では使用しないでください。(ロータリースイッチの手持ちの関係で接点の多いスイッチを使用した関係です。) 
・RFGAINボリューム
 通常は右に回し切った状態でご使用ください。
 SSBを受信する場合などで信号が強すぎてBFO信号抽入が少なく上手く復調できない場合ゲインを調整し復調させる時になどに使用します。
・AGC/MGC/BFOツマミ
 AMを受信する場合は左に回し切った位置で受信します。
 AGCを切って受信したいときは2番目の位置です。
 CW、SSB受信するときは3番目の位置です。
 AGCがかかったままだとBFO(455Khz)信号が受信されてAGCが強くかかり感度低下を招くためAGCを切る必要があります。
 AGCを切るとSメータは動作しません。
・BFOツマミ
 BFO発振周波数を調整します。通常真ん中の位置でSSBは復調できます。復調ピッチを調整したいときに左右に回し調整します。
・RFツマミ
 受信感度が一番良いところに調整します。
・バンド切り替えスイッチ
 左に回し切った位置→中波
 2番目→1.6〜4.5Mhz
 3番目→4.5〜14Mhz
 4番目→10.5〜30Mhz
・ダイヤル位置
 1.6〜4.5Mhzは3.5Mhzに合わせてあります。
 4.5〜14Mhzは7Mhzに合わせてあります。

参考
 IFTはトリオTー21(Tー11のMT管タイプ)を使用しました。Tー21に添付されている説明書の回路図にはミスプリントがあるので注意が必要です。
@IFTの足の番号が違います。(IFTが箱入り新品の場合は正誤表が付いているので問題は無いと思いますが。)
A発信回路にミスプリントがあります。局発の7番ピンから100Pのコンデンサーで局発コイルに配線されるように配線図はなっていますが、これは間違いで、正しくは1番ピンからが正しい配線の仕方です。添付の回路図のままだと絶対に局発は発信しませんので、どのバンドでも信号は受診はできません。

長らく真空管の回路から遠ざかっていた場合は気づかずに配線図どおりに配線するかもしれませんね!その上、中古でコイルパックを入手した場合などコイルパックが駄目なのか原因追求に手間取ってしまいます。天下のトリオでもこんなミスが昔はあったのですね!

下が今回製作した高1中に、上は前回製作したオールGT管タイプ高1中2です。

下のイラストをクリックするとそのページを表示します。


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