事業所得
堀内勤志税理士事務所
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掲載(更新)日: 2016年5月2日
事業所得でいう「事業」とは、次のように定義されます。
 事業とは・・・
①自己の危険と計算において、②独立して営まれ、③営利性、有償性を有し、④反復継続して営まれる業務であって、社会通念上「生業(なりわい)」としているかどうか、によって総合的に判断します。
例)
 給与所得の方が、自宅に光発電設備(太陽光パネル)を設置し、余剰電力を売却して収入を得ている(しようと考えている)場合、「事業所得」として申告すれば、給与所得と売電に係る所得計算の損失が相殺でき節税になるという記事を目にしますが、これは上記①から④には該当しますが、社会通念上「生業」としているとは認められませんので、「事業所得」とは認められず、「雑所得」になります。 (参考:国税庁のホームページ)
事業所得は次のように算出します。
事業所得の金額=総収入金額-必要経費
  1. 収入金額
  2. 現実に収入した金額ではなく、収入すべき金額になります。
    したがって、実際に金銭等を受領したか否か、また、代金を請求したか否かは関係がありません。収入すべき時期をいつとするかは、業態により違いますので、それぞれの取引の内容、性質、契約の取決め、慣習などによります。
    また、収入金額には次のようなものも含まれます。
    1. 金銭以外の物や権利その他の経済的利益の価額(経済的利益)
      例えば、
      • 物品その他の資産の譲渡を無償又は低い対価で受けた場合におけるその資産の時価又はその価額と対価の額との差額に相当する利益
      • 買掛金その他の債務の免除を受けた場合におけるその免除を受けた金額又は自己の債務を他人が負担した場合におけるその負担した金額に相当する利益
        ...etc
    2. 棚卸資産等を自家消費、贈与や低額譲渡した場合の通常の販売価額等の金額又はその差額(ただし、通常の販売価額のおおむね70%以上で収入計上していれば、問題は生じません)
    3. 使用可能期間が1年未満の減価償却資産、取得価額が10万円未満である減価償却資産(業務の性質上基本的に重要なものを除きます。)、取得価額が20万円未満である減価償却資産で、取得の時に「一括償却資産の必要経費算入」の規定の適用を受けたもの(業務の性質上基本的に重要なものを除きます。)の譲渡
    4. 商品等について災害や盗難などで損害を受けた際に受け取る保険金や、損害賠償金、公共事業などの施行による休業などの補償として受け取る補償金など
    5. 空箱とか作業くずの売却代金などの雑収入や、仕入割引など
    農業所得の場合は、収穫時に収入として計上するという収穫基準が適用される農産物がありますので、その場合には少し計算が違います。また、家事消費だけでなく借地の地代などを収穫した農産物で支払う事業消費も収入として計上しなければなりません。
  3. 必要経費
  4. 必要経費とは、収入を得るために直接必要な売上原価や販売費、管理費その他この所得を生ずべき業務について生じた費用をいいますので、一般に言われている経費」とは違います
    家事上の経費及び家事上の経費に関連する経費(「家事関連経費等」)は必要経費にはなりませんが、その所得を生ずべき業務の遂行上必要である部分を明らかに区分することができる場合には、その部分に相当する経費の金額は必要経費になります。
    必要経費の例を挙げますと、
    • 売上原価(商品等の仕入、製造や建設業の原材料や外注費など)
    • 給料・賃金(生計を一にする配偶者その他の親族に支払う給与賃金は除く。ただし、青色専従者給与は届出の範囲内で必要経費になります。また白色申告の場合の事業専従者控除の金額は必要経費に算入されます。)
    • 地代・家賃(ただし、生計を一にする配偶者その他の親族に支払ったものは、必要経費にはなりませんし、受取った方も所得にはなりません。その他の資産の賃借料も同じです。なお、業務のために借りた、例えば土地建物の固定資産税など費用は必要経費になります。)
    • 業務に係る貸倒金
    • 業務用固定資産又は繰延資産の減価償却費(減価償却資産等を所有するかぎり、所要の計算を行って必要経費に計上しなければなりません。強制適用です。)

      その他に、租税公課、水道光熱費、旅費交通費、通信費、修繕費、接待交際費、損害保険料、福利厚生費(従業員に係るものに限る)、消耗品費などが考えられます。なお、実際には営む業務内容により支出内容が違いますので、取引内容が適切にわかる費用項目で記帳してください。これらの費用の中に家事用の費用が含まれている場合は、事業用の部分を合理的に算定して必要経費に計上します。
    必要経費の特例
    1. 家内労働者等(家内労働者等とは、家内労働法に規定する家内労働者や、外交員、集金人、電力量計の検針人のほか、特定の人に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする人をいう)の所得計算の特例
    2. 青色事業専従者給与(生計を一にする親族に対する給料をいいます)
    3. 白色申告者の事業専従者控除(生計を一にする親族に対する控除をいいます)
    必要経費にならない費用の例
    • 家事関連費用等
    • 生計を一にする配偶者その他の親族のための福利厚生費用(これは、これらの者は本来の従業員ではないためです)
    • 所得税、住民税
    • 罰金、科料及び過料など(よって、交通違反の罰金は必要経費になりません)
    • 資本的支出(この支出は、減価償却資産となり、減価償却することになります)
    • 雑損控除とした資産損失
 雑所得で事業所得とはならない場合も、同様の扱いになります。
(参考)  親族の範囲
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