小人を怒らすな
歴史家、政治家、経済家、伝記記者等は等しく大統領ウッドロー・ウイルソンを米国史上の大いなる失敗者であると言っている。このことは誰もが遺憾とするところであって、大統領はあらゆる偉大さを持っていたが、唯一、彼は小人を怒らせる――小人はそれを忘れないでいる――という欠点を持っていた。
これは相当重要な意味をもっているものであって、このことによって彼は卑しく、劣等な人であり、意地の悪い人であることを示すものである。そして、お客というものは大抵、ご存じの通り、こういう手合いである。
英国の大政治家ロイド・ジョージが、嘗てウイルソン大統領について語ったことには、
『彼は当代の異彩をのある人物であるが、他に比類ないほど人を怒らせる性癖を持っていて、人は決して彼を許さないのである』と。
私は誰かを尋ねる時に、大人物は別として、普通の人や小人を訪れる時には、この人達を怒らせないようにと心がけている。
注文を逃すのは、ほんの些細な事柄からである。あるいは会談中につまらないことに対し注意が足りなかったためである。安全を期せ、軽率に扱うな、人を怒らすな、人を侮辱するな、人を冷笑するな、人を馬鹿にするな、たとえ、馬鹿だと思っても。
相手は他人を許すことのできない小人物かもしれない。