市民による市民のための裁判制度に向かって 本文へジャンプ
被害者参加制度等

1 被害者参加制度
 
従前(平成12年改正前)の取扱い

以前,被害者やその遺族は刑事裁判の当事者ではなく,せいぜ
い証人として証言,あるいは傍聴人として傍聴していたのみ



新たな制度

刑事訴訟法の改正で,
犯罪の被害者・遺族が一定の要件の下で
刑事裁判に当事者として参加する制度
被害者参加制度)が導
入され,人を故意に死傷させた罪・性犯罪・業務上過失致死罪
等の各被害者や遺族に下記権利を付与
 
 
・公判期日への出席(刑訴法316条の34)
・検察官への意見陳述及び検察官から説明を求めること
                (刑訴法316条の35)
・情状証人への反対尋問(刑訴法316条の36)
・被告人への質問(刑訴法316条の37)
・事実や法適用に関する意見陳述(刑訴法316条の38)
 
目的

犯罪被害者は,平穏な日常生活を送っていた市民の一人であり
たまたま犯罪の被害者になったにすぎない。刑事裁判に犯罪被
害者の声をより一層反映させることにより,犯罪被害者の尊厳
を守ろうとしたもの


位置付け

被害者という一市民による刑事裁判への参加であり,この制度
が有効に機能すれば,まさしく市民による市民のための裁判制
度実現への一歩

 

 
2 損害賠償命令制度 
 

新たな制度

犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随す
る措置に関する法律(犯罪被害者等保護法)は,

   刑事事件を審理する地方裁判所に,民事の損害賠償命令
   の
申立てを行い,刑事の有罪判決言渡後,直ちに同じ裁
   判官が,刑事記録を用いて民事の損害賠償の審理を開始
   し,原則4回
以内の期日で損害賠償を命ずる制度
を創設
 
対象事件

故意の犯罪行為で人を死傷させた罪又はその未遂罪に適用
業務上過失致死罪等は適用外
目的

犯罪被害者は,被害により身体的,精神的に病弊し,通常の民
事訴訟を起こすことが困難な場合が多いことにかんがみ,別途
民事裁判を提起せずに,迅速な被害者救済を図ろうとしたもの
位置付け

一人の市民である犯罪被害者に刑事裁判において特別の救済措
置を講じたもの。刑事裁判における保護されるべき市民として
の位置付けは,市民による市民のための裁判制度実現への一歩