この表は、NATOのレーベル名でリリースされたもののうち、第1列 (N) = 59/60 ( NATO 1715/1774 ) までがレーベル発足当初の1981年から1989年にかけてアナログ盤でリリースされた作品、ブランクの目立つそれより後は2010年以降？にリリースされた再発作品を含む CD 作品をリストアップしたものである。

80年代初期にNATOのLPを買い始めて不思議に思ったのは、その番号の付け方が不規則なように見えたことである。通常、特にマイナーレーベルにおいては、その番号の付け方は単に1から順に付けるとか（スタートを1001とするなどのバリエーションがある）、リリース年と数字を組み合わせるとか（8001, 8002…,8101など）などの単純な方法が多かったように思う。だからコレクターの間では「○○レーベルの1番から100番までパーフェクトに揃えた」などと言うわけだ。OGUNの初期のように100番ごとに付けられる場合でも、数枚リリースされれば「法則」が分かり、次はxxx番と予想ができる。ところがNATOの場合は皆目見当が付かない。それに私の場合、NATOレーベルについてはパーフェクトにコレクションしているわけではなかったから、マイコレクションの番号だけを見ると大きく飛んでいたりして奇異に感じたものだ。当時はネットでの購入などないから、レコード店で見つけた順に購入するのだが、買い逃しがあるのかどうかもよく分からない。

余談だが、この表の第4列「BFJ No.」は、私のコレクションの整理番号のようなもので、おおむね入手順に番号を付けている（末尾に「CD」が付いているものはコンパクトディスク）。この数字の順番とNATOのレコード番号の順番とはよく整合していて、当時、私がリリースからまもなくレコードを入手していたらしいことが分かる。ちなみに空欄は未入手アイテムである。

そうこうしているうちにリリース点数が増え、マイコレクションにもNATOレーベルのレコードが目立つようになった。当時、お気に入りで要チェックのマイナーレーベル（OGUNとVINYLだったと思うが）については、手書きのリリースリストのようなものを作り、次の新譜を心待ちにしていたのだが、NATOについても同様のリストを作るようになった。そして、いつごろのことなのかは全く記憶にないのだが、そのリストを眺めているうちに「ある法則」を見付けたのである。

上の表を見てほしい。第1列（N）は1から始まる通し番号である。第2列はあとで説明することにして、第3列だが、この数字は (N+1)行のレコード番号（第7列）からN行のレコード番号を引いたものである。この数字はなんと自然数の列になっている（ように見える）。ということは、レコード番号は遠い昔（その頃はそんなに昔ではなかった！）、数学の時間に習った「ある種の数列の基準」に従って並んでいるということである。往時の数学の教科書などを引っ張り出してどうにかたどり着いた、N項のNo.を求める式により算出したのが第2列の数字である。この数字と表の第7列の数字が完全に一致していることに注目してほしい。まあ、当然といえば当然だが。
ちなみにその式は以下のとおりである。

                No.[N] = (NxN-N+8)/2  (N=1,N>1)

「法則発見後」のNATOの新譜の番号が「法則どおり」であることを発見した時は満足！したものである。この話を前述したWAVEのT口さんに得意満面？で報告したが、大して驚いてもくれずにがっかりした記憶がある。どうでもいいことを私がもったいぶって言ったのであきれていたのかもしれない。
なお、この時期に確認できたラストアイテムであるN=60に当たる「1774」までのうち、第1項（N=1）の「4」とN=55の「1489」に該当するアイテムの確認ができていない。

月日は流れ、バブルは去り、そのうちにWAVEは跡形もなく消え、ついでに言えば、私も仕事の関係で東京を離れることが多くなった。そして、私の住んでいたあたりは新しい地下鉄の駅になった。
当のNATOはといえば、90年代はまだしも00年代に入るとリリース点数もめっきり減った。この間、数少ないながら新譜は出ていたし、旧譜のCD化も行われていたが、ディストリビューターが変わるたびに規格と番号が目まぐるしく変わり、また、アイテムによっては頻繁に規格を変えて再発されるなど、私にとってその全容はつかみ切れないものとなっていた。

今回、前述したウェブサイトからダウンロードしたリストにより、改めて再発の「歴史」を知ることができたので、参考までに上の表の最終列にそれらを整理して記載しておいた。未CD化アイテムがことのほか多いのは少々意外だったが。

さて、（本題にもどるが）昨年あたりからごくわずかな枚数ながらマイコレクションにヒットするNATO作品に気付くようになった。上の表の末尾近くにある数枚である（増補分を表に入れてしまったので分かりにくいが、「BFJ No.」でいうと 6503CD から 6801CD までの5枚 = 2016年8月13日追記）。今回調べて分かったことだが、NATOレーベル全体としては、00年代の後半から系列のレーベル HOPE STREET 名義でポツポツと新譜がリリースされていたのだが、その多くが「ブリティッシュ」に関連しなかったりジャンル違いだったりで見逃していたらしい。
NATOの新譜が3枚、4枚とマイコレクションになるうち、また「番号」が気になりだした。これらは90年代とは違って4ケタのシンプルなものだったが、3000番台から4000番台の間隔のあいた「わけのわからない数字」なのだ。ところがである。始めのうちはNATOのラスト番号は上にも書いた「1774」だと思っていたのでピンとこなかったのだが、試しに上に書いた数式に当てはめてみると、これがなんとドンピシャ！ ちなみに現時点でのラストアイテム「4375」はN=94に当たる。

これがこのコンテンツの落ち！？だが、その時点では持っていなかった「4009」を、この数式に従えばリリースされているかもしれないと考え、検索サイトでサーチしたところヒットして入手できたというエピソードもあった（もっともこのアイテムは再発バージョンらしくちょっと残念だったが）。
また、欠番だと思われていた番号のいくつかで、再発ものがリリースされていることもNATOのウェブサイトの情報で判明した。これらの結果についても上の表に記入してある。
ただし、まだ多くのブランクが残ったままだし、また、新譜のリリースにあたって、なぜ（大きく飛んだ）「3920」から再開したのかなど、よく分からないことも多い。

末尾には上のリスト掲載アイテムのうち、アナログリリースされた作品のスリーブ写真を紹介しておきたい。80年代の雰囲気が少しは伝わるだろうか。

今回の話は以上だが、ついでに、同じ資料に基づいて作成した、その他のNATOレーベルのリリースリスト（原則的にオリジナル盤のみをリストアップ）並びに傍系レーベルの「CHABADA」及び「CINÉNATO」のリリースリストを以下に掲載しておく。

なお、「 NATO(2) 」リストでは4番目 ( NATO 669 003 ) 以降、「 CHABADA 」リストでは下から3番目 ( CHABADA CD0H19/21 ) 以降、「 CINÉNATO 」リストでは下から2番目 ( CINÉNATO ZOG 4 ) 以降、そのオリジナルリリースが CD だったように思う。