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[本ページの最終チェック日 : 2023/8/23]
(2007年2月23日アップロード)
(前口上)
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かなり以前の、"JAZZ JOURNAL"だったか"WIRE"だったか"IMPETUS"だったかの記事に、大意――「60年代の後半から70年代の前半にかけて、各メジャーは英国ジャズの新譜を次々にリリースしたが、息長く売ろうとはせず、すぐに廃盤にしてしまった。商売にならないと見たメジャーは自国のジャズに見切りをつけた。その後、英国ジャズはマイナーレーベルの時代に入った。」――とあった(ように思う)。記事の現物を探し出すべくもないので、記憶に頼るしかないが確かそんな内容だった(ように思う)。
これは事実に合っている。「英国『ニュージャズ』114選」を見れば分かるとおり、60年代末から70年代始めにかけては、自主レーベルなどのマイナーレーベルは存在したものの、主要なアルバムの大方はフリージャズを含めて、メジャーレーベルからのリリースであった。
ところが、72,73年頃から、英国ジャズの少なくともメインストリーム及びそれよりフリージャズ寄りのアルバムは、メジャーレーベルからはほとんどリリースされなくなる。フュージョン系やジャズロック系については生き残ってはいくものの、実績のある一部のミュージシャンのアルバムに限られ、そのリリース数は少なくなる。このことは英国ジャズそのものの消長とも関わっているかもしれないし、つまり、ニワトリとタマゴのような関係なのかもしれないが、ともかく結果から見た事実はそうである。
そんな状況のなかで、代わりに台頭してくるのが、ミュージシャン主導のマイナーレーベルである。これらのレーベルの多くは70年代の中頃前後に誕生した。代表的なものとしては、INCUSやOGUN といったところがあげられる。これら2つのレーベルはリリース作品もかなり多いし、活動の規模は小さくなったものの現役でもあるのだが、数枚のみで終わってしまったものまで含めれば、かなりのレーベルがこの時期に存在した。この状況は80年代も続く。
なお、LPに比べ製作の簡単なCDの誕生と、インターネット普及による販売方法の革新が始まる90年代以降は、極端ないい方をすればミュージシャン各個人が、1つのレーベルを持ちうる時代となり、レーベルの数はさらに増え、リリース点数は大幅に増加したので、ここでは分けて考えることにしたい。
ということで、どこまでネタが続くか先が見えないが、70年代後半から80年代にかけて、「LP」を主要メディアとして英国「ニュージャズ」をリリースした、マイナーレーベルとそのアルバムを紹介していきたいと思う。
第1回目は、グラハム・コリアーの主宰した MOSAIC である。いうまでもなく、CDのボックスセットで有名なMOSAICとは別物。
MOSAICのフルカタログは次のとおりである。
1. GRAHAM COLLIER MUSIC - DARIUS (GCM 741) (1974)
2. GRAHAM COLLIER MUSIC - MIDNIGHT BLUE (GCM 751) (1975)
3. GRAHAM COLLIER MUSIC - NEW CONDITIONS (GCM 761) (1976)
4. ROGER DEAN'S LYSIS - LYSIS LIVE (GCM 762) (1975)
5. HOWARD RILEY - INTERTWINE (GCM 771) (1975)
6. STAN SULZMANN - ON LOAN WITH GRATITUDE (GCM 772) (1977)
7. GRAHAM COLLIER MUSIC - SYMPHONY OF THE SCORPIONS (GCM 773) (1977)
8. ROGER DEAN'S LYSIS - CYCLES (GCM 774) (1976,77)
9. HOWARD RILEY - SHAPED (GCM 781) (1976)
10. TRITON - WILDERNESS OF GLASS (GCM 782) (1978)
11. GRAHAM COLLIER - THE DAY OF THE DEAD (GCM 783/4) (1978) (2LPs)
12. ROGER DEAN - LYSIS PLUS (GCM 791) (1979)
13. STAN SULZMANN, TONY HYMAS - KRARK (GCM 792) (1979)
14. GRAHAM COLLIER MUSIC - SOMETHING BRITISH (GCM 871) (1985)
規格・番号については、推測するところ、GCMは 「グラハム・コリアー・ミュージック」の頭文字、番号については、始めの2桁はリリース年の下2桁、最後の1桁はそのリリース年での通し番号、のようである。
7年のブランクを経て1987年に1枚だけリリースされた14を別にすれば、1974年から79年のかけての6年間が主要な活動時期だったということになる。
グラハム・コリアーは1967年録音のDERAMからのデビュー盤リリース後、69年から70年にかけて、PHONOGRAM系列に移籍して3枚のアルバムを発表する。72年録音の第5作を独立系のレーベル、SAYDISCから発表した後、MOSAICを立ち上げることになる。MOSAICでは、74年から78年までの5年間に1年に1枚のペースで5枚、6年のブランクの後、85年録音の第11作を87年にリリースした。
この間、75年にはケンブリッジ大学出版局から教材用?のLPを2枚リリース。85年以降は録音が途絶えていたが、95年頃から録音活動を再開して現在に至っている。なお、最近ではベース演奏はせず、作曲・指揮に専念しているようである。
旧作のCD化や未発表作品のリリースなども続いている。昨年末に68年、75年録音の未発表作をカップリングした2枚組CDが発売されたことは記憶に新しい。
MOSAICに残した6枚のアルバムは、若干の変動はあるものの、ほぼ固定された6人から12,13人程度のメンバーによる「大編成コンボ」といった演奏で、端正ながら革新的な佳作が多い。主要メンバーは、ハリー・ベケット、ヘンリー・ロウザー、デレク・ワッズワース、マルコム・グリフィス、エド・スパイト、ロジャー・ディーン、アラン・ウエイクマンなど。
次に、コリアー以外の作品をレビューしよう。
4,8,12の3枚をリリースしたロジャー・ディーンは、クラシックもこなすベーシスト、ピアニスト、作曲家で、グラハム・コリアー・ミュージックのメンバーでもあった。作品は現代音楽の要素もある即興音楽である。12にはケニー・ウィーラーが参加している。ディーンは80年代末にオーストラリアに移り、90年代には ”AUSTRALYSIS” 名義などで多数のCDをリリースした。これらの多くは環境音楽風のものなどで、ジャズとはかなりの距離ができた。
なお、ディーンは、英国在住時に自身のレーベル、SOMAを立ち上げた?。このレーベルからは、以下の作品がリリースされている。
a. JOHN WALLACE - THE SOLO TRUMPET 1966-76 (781) (P1978)
b. LYSIS - DUALYSES (782) (1978)
c. LYSIS - SUPERIMPOSITIONS (783) (1986)
d. LYSIS - THE WINGS OF THE WHALE/YOU YANGS (784) (1983-90) (CD)
b〜dはディーンのリーダー作で、cにはハリー・ベケットが参加している。dはオーストラリア移住後のリリースだが、在英時代の演奏も含まれ、ミック・ハットン、マーク・ロックハートなどが参加している。SOMAは、その後もオーストラリアを拠点に活動を続けているようで、上記作品以外に#785, #786, #787の3枚のCDが2001年までにリリースされているようだ。
MOSAICに戻って、5,9のハワード・ライリーについては、説明を要しないであろう。この2作はソロピアノのアルバムである。ソロとしては第3作、第4作に当たる。
6は、このラインナップのなかでは、もっともオーソドックスなワンホーンのジャズアルバムである。今も大活躍中のサックス奏者、スタン・スルツマンの初リーダー作で、ジョン・テイラー、ロン・マシューソン、トニー・レヴィンの強力布陣を得て、快調な仕上がりだ。CD化されないのが残念。
13は、そのスルツマンと、ロック界でも活躍し、90年代以降はフランスのNATOレーベルから何枚かのCDをリリースしているキーボード奏者、トニー・ハイマスとのデュオ作品。
残る10は、アラン・ウエイクマン(サックス)、ポール・ブリッジ(ベース)、ナイジェル・モリス(ドラム)からなる「トライトン」のデビュー作にして、たぶん唯一のアルバム。
[スリーブ写真をクリックすると、録音データなどが別ウィンドウで開きます。]
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(2007年2月)
[ 追補1. (2023年7月2日アップロード − 8月23日更新) ]
S1. STAN SULZMANN - ON LOAN WITH GRATITUDE (JAZZ IN BRITAIN JIB-48-S-CD) (1974, 75, 77) (2CDs)
本文中に「CD 化されないのが残念」と書いたアイテム 6 が 40 有余年の歳月を経てこのほど CD リリースされた。それも 1 時間以上に及ぶ未発表の演奏を加えた 2 枚組として ! 。未発表分の演奏のうち 1 曲(といっても演奏時間が 28 分に及ぶ 3 パートからなるタイトルナンバーの組曲)のみベースが、クリス・ローレンスに替わっている。
[スリーブ写真をクリックすると、録音データなどが別ウィンドウで開きます。]
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