BFJ (ブリティッシュジャズ=英国ジャズとほんの少しのニュージーランドジャズ) ホームページ コンテンツ#9 NONDO −英国ジャズのマイナーレーベル C−

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[本ページの最終チェック日 : 2019/2/18]



(2008年1月10日アップロード)

NONDO
−英国ジャズのマイナーレーベル C−


ひさしぶりのシリーズ4回目は、カセットテープを主体に、フリージャズないしフリーミュージック的なインプロビゼーション作品をリリースしたNONDOレーベルを紹介しよう。

NONDOレーベルは、そのオーナーあるいは主宰者といったマネジメント的なことについては資料がないが、ほとんどの作品に演奏者として参加している デビッド(デイブ)・パントンの個人レーベル的な色彩が強い。

バーミンガムを拠点とした、パントンによる70年代初頭から80年代初めにかけての多様な演奏活動が作品化されている。バーミンガムは、ロンドンから直線距離で北西に160km あまり、東京からだと、東海道の方向でいうと静岡市の少し先あたり、時間距離なら2時間ほどというところに位置する、人口100万人足らずの街、とのことである。まあ、中学校の地理の時間に、名前だけは聞いたことがある方が多いと思うが。

パントンは、アルトサックスをメインに、ピアノ、ホームメードのパーカッションのほか、弦楽器もこなすマルチインストルメンタリストである。自身のバンド、「ワン・ミュージック・アンサンブル」は、本来、その名称のとおり、ソロパフォーマンスからスタートしたようだが、実際の演奏ではソロだけでなく、ゲストを迎えての様々なコラボレーションを含む多彩なインプロビゼーションが展開される。

本レーベルのアイテムについては、デレク・ベイリーあるいはスポンティニアス・ミュージック・アンサンブルとのいわゆるスプリットアルバムや、ジョン・スティーブンスの参加作品は、ある程度知られてはいるものの、その他の作品、特にカセット作品については、これまでほとんど紹介される機会がなかった。ただし、若干の昔話をさせてもらえば、それらのカセット作品の多くは、1982, 3年頃にわが国の輸入レコード店の店頭に並んでいたことがあり、現在でも所有されている方はそれなりにいるのではないかと思う。

これまでに確認できた作品は、手描きのスリーブが印象的なLP3枚と7インチEP1枚、他にカセットテープが10本であり、1アイテムを除き、そのすべてにデビッド・パントンが演奏者として名を連ねている。

リリースリストは次のとおり。

1. ONE MUSIC (HTLP 1370) (1970, 71) (LP)
2. ROY ASHBURY BAND / ONE MUSIC ENSEMBLE (DP EP 001) (1973,74) (7インチEP)
3. DEREK BAILEY / ONE MUSIC ENSEMBLE (DP LP 002) (1973, 74) (LP)
4. VARIOUS MUSICIANS - HOW YA DOIN? (DP LP 003) (1969-77) (LP)
5. CRYSTAL PALACE (DP LP 004) (1975) (カセットテープ)
6. ONE MUSIC ENSEMBLE (DP LP 005) (1977) (カセットテープ)
7. ONE MUSIC ENSEMBLE / ASCENSION SEVEN (DP LP 006) (1976) (カセットテープ)
8. ONE MUSIC ENSEMBLE - QUESTION OF SOLACE (DP LP 007) (1977) (カセットテープ)
9. ONE MUSIC ENSEMBLE (DP LP 008) (1978) (カセットテープ)
10. ONE MUSIC ENSEMBLE (DP LP 009) (1980) (カセットテープ)
11. ONE MUSIC WORKSHOP ENSEMBLE - TO ABSENT FRIENDS (FMC 1) (1981) (カセットテープ)
12. SPONTANEOUS MUSIC ENSEMBLE / ONE MUSIC ENSEMBLE (FMC 2) (1973-80) (カセットテープ)
13. ONE MUSIC TRIO (FMC 3) (1981) (カセットテープ)
14. DAVID PANTON TRIO - FOR SOME CATS (FMC 5) (1982) (カセットテープ)


繰り返しになるが、これらは現在までに当方が確認できた分で、例えば欠番となっている「FMC 4」はいかにも有りそうだし、他にも未確認の作品が有るかもしれない。なお、赤字の14は残念ながら、未見・未聴である。

1は、その規格・番号とも他の作品との関連がないうえ、当方の手持ち分はスリーブも手描きで黒無地に塗りつぶしてあるという荒っぽいもので、まことに得体の知れない?ところのある作品である。ただ、スリーブ裏には、意外にも録音データが丁寧に記されてあり、それによれば、本レーベルの(マイコレクションの)中では最初期の作品となりそうだ。当アルバムの前後に一連の他の作品があるのかないのかは、皆目見当が付かない。

2は、パーカッションのロイ・アシュバリーのバンド(第1面)と、パントンのソロ作品(第2面)とのスプリット7インチEP盤。アシュバリーは、サックスのラリー・スタビンスとのデュオアルバム(76年録音)を、BEADレーベルからリリースしている。なお、本作のスリーブについて、手持ちの2種類 (a, b) を掲載しておく。a はアブストラクトな絵模様?、b は文字だけという対照的なデザイン。

3は、デレク・ベイリーの作品(第1面のみ)として、手描きのスリーブとも相まって、本レーベルの中では最もよく知られたアルバム。CD化はされていないようだ。第2面は、パントンのソロパフォーマンス。本アイテムについても2種類のスリーブ (a, b) を紹介しておこう。

4は、オムニバスアルバムで、SME(ジョン・スティーブンスとトレバー・ワッツのデュオ作品)およびパントンの3つの作品のほか、アルトサックスのジャン・スティールの、ソロとドラムスとのデュオの2作品が収録されている。スティールは、80年代半ばにかけて、ブライアン・イーノの主宰した?実験音楽のレーベルOBSCUREから発表した作品(ジョン・ケージ作品とのスプリットアルバム)のほか、女性ピアニストでボイスアーティストでもある、ジャネット・シャーボーンとの共同作業などにより、現代音楽の分野で活発なリリース活動を展開した。

5は、2に続くロイ・アシュバリーのユニットの演奏。ここにあげた本レーベルの作品のうち、唯一、パントンが参加していないアルバム。

6以降は、パントンのソロ、トリオから最大9人編成のバンドに至るまでの多様な演奏を収録する諸作品。これらのうち、7と12はスプリット作品で、12のSMEの演奏は、4に収録された同グループの演奏と同じセッションにおける録音のようだ。8に登場しているメルビン・プーアは、チューバ奏者、作曲家として、現代音楽やフリージャスの分野で活発に活動し現在に至っており、単独リーダー作品こそないようだが、多くのアルバムでその演奏を聴くことができる。

13、14は、ニック・ステファンズ、ジョン・スティーブンスとのトリオによる演奏。ベーシストのステファンズはスティーブンスとの活動で知られ、最近では、自己のレーベルLOOSE TORQUEを立ち上げ、未発表録音の発掘および新規の録音について旺盛な活動を展開している。なお、スティーブンスのディスコグラフィーサイト(http://www.efi.group.shef.ac.uk/mstdisc3.pdf)によれば、13に収録された5曲のうち、3曲については、7インチEP盤(PANTON MUSIC PM 185)によりリリースされているとのことである(未見)。

[ 2013年5月8日追記 ]
最近「見付けた」パントンのサイトには、旧作カセット作品のCDRによるリイシューの紹介など多くの「新情報」が掲載されている。これらに基づき本コンテンツの全面的な改稿を考えているが、それに先立って上に述べた未見の7インチEP盤(PM 185 = 追補1も参照)をこのほど入手したので、とりあえず 当コンテンツ末尾 にスリーブ写真 ( f ) を紹介しておく(録音データなどについてはスリーブ写真をクリック)。


[スリーブ写真をクリックすると、録音データなどが別ウィンドウで開きます。]

01. - One Music ***** 2a. - R.Ashbury's Band/One Music Ensemble-1 ***** 2b. - R.Ashbury's Band/One Music Ensemble-2 ***** 3a. - D.Bailey/One Music Ensemble-1 ***** 3b. - D.Bailey/One Music Ensemble-2

04. - Various Musicians-How Ya Doin ***** 05. - Crystal Palace ***** 06. - One Music Ensemble ***** 07. - One Music Ensemble/Ascension Seven ***** 08. - One Music Ensemble-Question Of Solace

09. - One Music Ensemble ***** 10. - One Music Ensemble ***** 11. - One Music Ensemble-To Absent Friends ***** 12. - Spontaneous Music Ensemble/One Music Ensemble ***** 13. - One Music Trio

14. - D.Panton Trio-For Some Cats


(2008年1月)



[ 追補1. (2009年5月19日アップロード) ]

最近閲覧した下記ウェブサイトに基づき、当レーベルに関連する(当方にとっての)新知見を以下にまとめておく。
[ http://www.geocities.com/pantonmusic@btinternet.com/Nondo-PM-Recordings.html ]

・アイテム1 (HTLP1370) の録音日が当方所有の当該レコードに記載されたものと一部異なり、次のようになっている。
「1970年7月、1971年9月30日、10月15日バーミンガム、1970年8月ロンドン」。
また、「ジャケ違い」のスリーブ写真(当方所有のものより「それらしい」)を a に紹介しておく。なお、本作品にはカセットリリース (スリーブ写真 b ) もあるようだ。

・アイテム3 (DPLP002) 、アイテム4 (DPLP003) にもカセットリリースがある。

・欠番としていた「FMC 4」は存在する。
15. ONE MUSIC WORKSHOP ORCHESTRA - TO ABSENT FRIENDS TOO (FMC 4) (カセットテープ) (1981)
録音データの詳細は不明だが、参加ミュージシャンについては以下の記述がある。
「Panton/Jackson/Parkinson/Peate/Boucher/Randall+Wilson+Stewart+Daw」

・本文のアイテム13, 14の説明の中で記した「7インチEP盤(PM 185)」をはじめとする PANTON MUSIC レーベルの諸作は次のとおりである。当方はいずれも未見。
PM1. DAVID PANTON TRIO (PM 185) (1981) (7インチEP)  [ 2013年5月8日追記 ] このほど入手、録音データなどについてはスリーブ写真 f をクリック。
PM2. DAVID PANTON TRIO / DUO (Panton/Richards+Baker) (PM 186) (1983,84) (カセットテープ)
PM3. PANTON - RICHARDS (PM 187) (1984) (カセットテープ)
PM4. DAVID PANTON TRIO & SEPTET (PM 188) (1981-83) (カセットテープ)
PM5. DAVID PANTON - SOLO SAXOPHONE (PM 189) (1987) (カセットテープ)
PM6. DAVID PANTON - AN INTRODUCTION TO THE MUSIC OF DAVID PANTON (PM 1197) (1963-97) (CD-R)
  
[ 2013年5月18日追記 ] このほど入手。
PM7. DAVID PANTON - IMPROMPTUS AND SONATAS (PM 1104) (2004) (CD-R)  [ 2013年5月18日追記 ] このほど入手。
PM 2〜PM 5 のカセットテープの背表紙の写真(右から順に)を c に、PM 7 のスリーブ写真を d にそれぞれ紹介する。
なお、PM 7 は、パントンのエレピのソロ演奏で、録音は「2004年11月26, 27日、12月3日ウエストミッドランド」。


[ 追補2. (2009年5月25日アップロード) ]

マイコレクションの中にパントンの参加しているアイテムをもう1枚見付けたので紹介しておく。
・ LESTER AND THE BREW - A BAD DAY AT THE CITY (LESTER PL EP 01) (1981) (7インチEP)
ポール・レスターという人の、ときにシャウトするような語りに即興音楽?が絡むといった作品。録音データなどについてはスリーブ写真 e をクリック。

関連ウェブサイト(例えば http://www.allaboutjazz.com/php/musician_discography.php?id=18258 )などによればパントンの参加作品は他にもいくつかあるようだがいずれも未所有。


[ 追補3. (2015年8月11日アップロード) ]

本文末尾にも追記しているが、その後もリイシュー及び未発表作品のリリースが続いている(本年は今のところまだニューリリースはないようだが)。
その際に「約束」した全面改稿についてはサボっていて当面作成のあてもないので、とりあえず「 NONDO-PANTON MUSIC 」のリイシュー、ニューリリースの未発表作品を含めたリリースリストを 別表 に取りまとめてみた。
主にパントンのサイトの情報を頼りに作ったものだが、なにぶんにもリイシューCDR盤の収録曲がかなり「複雑に」込み入っているので、間違い、思い違い等があるかもしれない。ご容赦のほどを。


[ 追補4. (2015年9月21日アップロード) ]

今日、何気なくパントンのサイトを見ていたら、先月11日に閲覧した時には載っていなかった8月10日!リリースの新譜が紹介されていた。というわけで、 この表 も更新した。


[ 追補5. (2015年12月26日アップロード) ]

前項と同じような書き振りになってしまうが、久しぶりにパントンのサイトを見ていたら、10月にリリースされたらしい何と新録作品がアップされているので、別表 を更新しておいた。


[ 追補6. (2016年5月17日アップロード) ]

パントンのサイトによれば、3月に未発表曲を含むコンピレーションCDRがリリースされている。別表 を更新した。


[ 追補7. (2016年9月7日アップロード) ]

ガーナ出身の民族楽器演奏者をフィーチャーしたインプロ作品が先月リリースされている。本年1月「カフェオト」でのライブ録音。別表 を更新。


[ 追補8. (2017年11月16日アップロード) ]

追補5と同様のパントンのオーバーダビングによるソロパフォーマンスの新録作品が本年春にリリースされていたらしい。別表 を更新。



[ e, f のスリーブ写真をクリックすると、録音データなどが別ウィンドウで開きます。]

0a. - One Music (ジャケ違い) ***** 0b. - One Music (カセットテープ) ***** 0c. - PM186〜PM189 ***** 0d. - PM1104 ***** 0e. - Lester & The Brew

0f. - D.Panton Trio



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