鬼平舞台探訪記7
2005/5
江戸名所図会では、亀戸宰府天満宮の挿絵の中で、「当社の門前貨食店(りょうりや)多く、おのおの生洲(いけす)を構え鯉魚を畜う(かう)。業平蜆もこの地の名産にして、もっとも美味なり。」と書いています。
また、鬼平犯科帳第18巻「蛇苺」には、「・・・なれど今日は、久しぶりで亀戸の天満宮へ参詣するのもわるくはない。そうじゃ、そうしよう。玉屋へ立ち寄って、鯉を食べるのもよい。」(中略)「先ず平蔵が大好物の酒の肴が出た。これは削ぎ取った鯉の皮を細かく切って、素麺と合わせてた酢の物と雄の鯉の肝の煮つけである。」と、食通である池波正太郎の面目を施す一節がでてきます。
残念ながら、亀戸天満宮の境内は鬼平犯科帳の舞台として登場しませんが、江戸名所図会の記述通り、門前の玉屋や茶店・ひたちや、裏門前の鳥居傍にある藁葺き屋根の鰻屋・狐屋などの店が登場します。
現在の門前には、くず餅で有名な甘味処「船橋屋」(4枚目の写真)があり、女性の参詣客で賑わっています。今では鯉料理屋は見当たりません。地元の亀戸大根と浅蜊を味噌仕立てにしたあさり鍋の割烹「枡本」があります。菜飯にぶっかけて食べますが、これなどは鬼平が食べたとしてもおかしくないものに思えます。(鬼平犯科帳には出てきません。)
なんだか、「鬼平味ごよみ」のような話になってしまいました。
茨高ネット・クラス会
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