鬼平探訪記4

鬼平犯科帳第6巻「狐火」の冒頭に、「火付盗賊改方の女密偵・おまさが新宿(にいじゅく)の渡口へさしかかったのは、明け六ツ(午前六時)ごろであったろう。」と書かれています。1枚目の写真がその現在地で、葛飾区新宿2丁目の中川橋です。
 ここは拙宅から2Kmほどのところにあり、ものの本(江戸名所図会)にも登場し、「松戸街道にして、川よりこなたは亀有といへり。このところを流るるは中川にして鯉魚(こい)を産す。もつとも美味なり。」と記されています。
 ここで大きな疑問が1つ。おまさは前夜松戸に一泊して、早朝にこの渡し場についたのですが、では松戸と新宿の間の江戸川はどうして渡ったのでしょう?流行歌で有名な矢切の渡しは公けの渡しではなく、もっと上流にあった金町・松戸の関所の渡しが公けのものでした。官営ならば、明け六つから暮れ六つが渡しの営業時間でしたから、江戸川を明け六つに渡り、新宿の渡しに同時刻頃に着くのはちょっと変です

2枚目の写真は渡口に続く新宿の宿場通りの現在です。宿場の面影を留めるものは殆ど見受けられませんが、宿場に付き物の桝形(防衛のために道が2回直角にまげられている)は現存します。
水戸・佐倉道は千住宿で日光街道と分かれて新宿に至り、ここで水戸街道と佐倉道に分岐して、水戸街道は金町・松戸の渡しへ、佐倉道は小岩・市川の渡しへとつながっていきます。

         

3枚目の写真はこの分岐点の道標で、「左 水戸街道 右 なりたちば寺道」と刻まれています。

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