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3.デューラーの「幾何学世界」について


 ドイツ近世の画家アルブレヒト・デューラーの晩年の技術書 Underweysung der messung (測定法教則)に含まれる数学的内容を紹介したものである.


 高瀬正仁氏の紹介で,京都大学数理解析研究所における研究集会で講演することができた.その際は,基本的に, Jeanne Peiffer 教授による詳細な注釈つきのフランス語訳に基づいた.添付稿は講演時のものに若干の手直しが施してあるが,十分ではない.


 その後,故小竹武東北大学名誉教授の追悼集会が開かれるとの連絡を受けたが,余儀ない欠席の代償に上稿のいわば要約として用意したpdf稿がある.


 さて,京都大学数理解析研究所講究録は,枚数制限があり,講演予稿は長大に過ぎて転用できなかった.改めて書き直したものを示す.この頃には,Jeanne Peiffer 教授とも連絡がとれ,また,従前の稿についての各所からの反応も集まっていて,それらを若干反映させることができた.


 また,イエズス会士らにより,デューラーの作図の一部が明末に唐土に伝えられていることが検証できるようである.当然,本邦にも何がしかの跡があろうかと思われるものの,果たして証拠を見つけられるかどうかは,これからの課題であろう.


 なお,Underweysung der messung の下村耕史九州産業大学教授による翻訳

     『測定法教則』注解.下村耕史編訳.中央公論美術出版 (2008) 

として出版されている.




追記(平成20年8月26日): 

久留米大学附設高等学校1年生相手の特別講義を行なった(8月25日).デューラーを巡る話題を論じた.
添付ファイルに加え,ニュルンベルクを含む現在の欧州地図やニュルンベルク市のデューラー記念館の解説なども示したが,これらはネット検索で見つけたものであり,再録はしない.なお,他に,デューラーのメランコリアTの画像も示した.さらに,デューラーの葉形曲線(説明に不正確な点がある!)やデューラーによる角の近似的な三等分法も示したが,これらは,数式処理ソフト Maple を利用したものであり,今は公開しない.



追記(平成21年4月16日):

久留米大学附設高等学校の文化祭での体験授業のためにデューラーの曲線の紹介をしてみようと考え,当初は『測定法教則』第一書の28図を論ずるつもりであった.しかし,第二種楕円積分が現れるので,生徒たちとの相談の結果,デューラーの葉型曲線を論ずることにした.
そこで,当初の稿を手直ししたものをここに貼り付けておく.[ただし,恥ずかしいことに,式の変形の過程で x と y とが混同されているところがあり,同じ式を何回かコピーして使ったためにみっともないことになっている.平成22年12月の放送大学文京センターの授業中に気付いた次第]

久留米大学附設高等学校第39回男く祭での体験授業(mhtファイル)を示す.「授業」の際示した版画2葉は削ったがパワーポイントの雰囲気は.残っているはずである.