待合室にある本のご紹介 2017年 10月

待合室に置いてある本を、1週間に1回程度ご紹介いたします。
貸し出しもいたしておりますので、ご希望の際は受付でお声かけください。

海のいのち
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立松 和平/著
伊勢 英子/絵
ポプラ社
父を海でなくした 太一少年は 父のあとをついで 漁師になる 海にもぐり父のいのちを奪ったものと出会う そのとき太一のこころに 去来したものは何か 人の生死を静かに包む 海のいのちの物語

あらしのよるに
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木村裕一/著
あべ弘士/絵
講談社
あらしのよる まっくらやみの こやのなかに おおかみとやぎが にげこんだ あいてがだれか わからないまま からだを よせあい はげましあう なにもみえない こころぼそさのなかで おたがいに あいてを いたわりあう にひきは いつのまにか なかよくなる ともだちに なった にひきは よがあけるまえ こやを でる あさの あかるい ひのもとで 「あらしのよるに」を あいことばに また あう やくそくをして

物語はここで終わる。太陽のもとで相手のほんとうがわかった2匹がさてどう思い、どう感じ、どう行動するか、狼は好物の山羊にとびかかるのだろうか。それは読者の想像にまかされる。暗示に富んだ物語。

いきのびる魔法 -いじめられている君へ-
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西原理恵子
小学館

学校はいじめられつらい思いまでして行くところではない。それを知るとき魔法のように道がみえてくる。学校へいけない君への応援歌。

ちいさな あなたへ
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アリスン・マギー/著
ピーター・レイノルズ/絵
なかがわ ちひろ/訳
主婦の友社

「あのひ わたしは あなたの ちいさな ゆびを かぞえ その いっぽん いっぽんに キスを した。」

こうはじまるこのえほん。子は成長し、大地の上を飛びはね、走り、水にもぐり、森に迷い、悲しみ、そしていつか母のいる家をふりかえりながら出て行く。そして長い歳月のはてに子は親となり母が辿ったとおなじように老いていく。子を描写する母の語りが、読む者のこころのひだにしみいるようにやさしい。素晴らしく詩的な文章だ。この本全体がみごとな挿絵とともに詩の世界となっている。とりわけ胸をうつのは、子の成長を見守る母親の慈愛にみちたまなざしの存在。母なるものとはこういうものかもしれない。この本はつぎのようにおわる。

「そうして いつか ながい としつきの はてには あなたじしんの かみも ぎんいろに かがやく ひが やってくる。わたしの いとしいこ。そのときには どうか わたしの ことを おもいだして。」

親であることの痛切なるおもいが表されていると思う。

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